JP4647259B2 - 保護物質の除去方法 - Google Patents
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Description
近年、高画質化、装置の小型化などがますます望まれる中、帯電装置も高画質化と小型化が課題となっている。このような課題に対して、像担持体に接触又は近接させた帯電部材を用いる近接放電方式を用いた帯電装置は、大掛かりな帯電装置を必要としないため有効である。
図9は、近接放電による像担持体表面の劣化状態を調べるために、像担持体表面に帯電部材のみを非接触状態で近接配置し、連続約150時間の帯電実験を行ったときの、被帯電体表面の膜厚の変化を測定した結果である。
実験に使用した像担持体は電荷輸送層にポリカーボネートを用いた有機像担持体であり、像担持体に対して当接する部材を全て取り除き、DCバイアスにACバイアスを重畳した電圧が印加された非接触帯電ローラを用いて帯電を行った。この結果、像担持体表面の膜の削れ量が次第に多くなり、像担持体の膜厚が次第に減少している事実がわかった。膜厚が減少した像担持体を分析したところ、像担持体を構成するポリカーボネートが分解されたと考えられるカルボン酸などが検出された。このように近接放電によって像担持体を構成する成分が分解されたと考えられる物質が検出されたことから、像担持体の膜厚減少のメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。
図10(a)に示すように、近接放電を行うと、像担持体表面の放電領域では放電により発生した粒子(オゾン、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが被帯電体表面の電荷輸送層1aに照射される。このエネルギーが像担持体表面を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、図10(b)に示すように、電荷輸送層1aは、樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度の低下、樹脂の蒸発等の化学的劣化を生じる。このような近接放電による像担持体の化学的劣化によって、像担持体表面の電荷輸送層1aは次第にその膜厚を減少させてしまうと考えられる。
なお上記近接放電による像担持体表面の膜厚減少は放電で生じる粒子のエネルギーによって発生すると考えられるため、ポリカーボネートに限らず他の材質の像担持体を用いた場合においても発生すると考えられる。
一方、保護物質を像担持体表面に供給した場合、繰り返しの放電を受けた保護物質が自ら劣化することによって像担持体を保護している。劣化した保護物質は、繰り返しの画像形成動作の後、像担持体表面に蓄積していく。特に、保護物質を塗布することによって、放電による像担持体劣化を防ぎ、像担持体の高寿命化を図る場合、像担持体表面には、異常画像となるのに十分な劣化した保護物質が堆積することになる。
従って、異常画像となる前に像担持体表面に蓄積した劣化した保護物質を除去する必要がある。本発明では、検知手段によって劣化した保護物質の堆積による像担持体表面の変動を検知し、検知結果に基づいて劣化した保護物質の除去を行う。
また特許文献8には、像担持体上の基準トナー像及び地肌濃度を光画像濃度センサーによって検知し、検知した基準トナー像及び地肌濃度の値に基づいて潤滑剤の塗布量を制御する制御手段を設けている。像担持体表面に基準トナー像を作像し、光画像濃度センサーによって検知する点は、本発明と類似であるが、その目的とするところは、フィルミング防止の為に塗布する潤滑剤の塗布量の最適化であり、潤滑剤過剰供給にトナー付着量の低下や供給不足によるフィルミング抑制効果の低下を防ぐものである。
また、特許文献1ないし8では、ステアリン酸亜鉛が放電を受けて劣化し、異常画像と
なるという記載、及びその解決方法についての記載がない。
しかしながら、放電領域において放電を受けた保護物質は、保護物質自身が劣化するために、像担持体表面に蓄積された場合には異常画像となる。従って、放電領域において劣化した保護物質は、放電領域通過後には速やかに像担持体表面から除去される必要がある。
劣化した保護物質の一部は、通常の画像形成プロセスの中で、現像剤と共に転写プロセス、クリーニングプロセスなどにおいて像担持体表面から除去されていると考えられるが、その一部は像担持体表面に残留し、再び放電領域に達する。このような除去し切れなかった劣化した保護物質は繰り返し放電領域を通過し、徐々に像担持体表面に蓄積される。
一方、本発明の様に、像担持体表面の少なくとも放電領域に保護物質を供給し、近接放電による像担持体の劣化を防止することによって像担持体の高寿命化がはかられる場合、像担持体表面への劣化した保護部材の蓄積量は、異常画像発生の原因となる量に達する場合がある。
また、通常の画像形成プロセスにおいて、劣化した保護物質の一部は除去されるが、その除去量は画像パターン、画像面積率に大きく依存するため、繰り返しの画像形成動作の結果、像担持体表面には劣化した保護物質が不均一に蓄積することになる。
従って、異常画像となる前に、適宜、除去動作によって像担持体表面全面から劣化した保護物質を一度に除去する必要がある。
本発明の除去方法は、移動する像担持体と、像担持体に対して接触または近接して設けられた帯電部材に交流成分を含む電圧を印加することによって生じる放電を利用して像担持体を帯電させる帯電装置と、帯電装置によって帯電させられた像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、潜像形成装置によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像装置とを有し、少なくとも放電領域の像担持体には保護物質が存在する画像形成装置において、前記画像形成装置は、像担持体表面のトナー付着量を検知する検知手段と、劣化した保護物質を像担持体から除去する、像担持体との離接機構が設けられた研磨手段とを有し、正常な像担持体に作像した基準画像のトナー付着量を前記検知手段で検知し、該検知の結果を参照用センサー出力値(Pref)として得、繰り返し作像後に像担持体に作像した基準画像のトナー付着量を前記検知手段で検知し、該検知の結果をセンサー出力値(P)として得、関係式:|P−Pref|≦α×Pref(0<α<1)が満たされない場合に、前記研磨手段が前記像担持体と当接状態となって、前記劣化した保護物質を前記像担持体から除去し、前記当接の時間は、|P−Pref|に基づいて決定されることを特徴とする。本発明の除去方法は、さらに、前記保護物質がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする。
図1に、後述する各実施例に共通した構成を有する画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置は、有機像担持体からなる像担持体としての像担持体1を備えている。
図1において像担持体1は、図示しない駆動装置により回転駆動され、その表面が近接帯電方式の帯電装置2の帯電ローラ2aにより所定の極性に帯電される。帯電された被帯電体1の表面は、露光装置3によって露光され画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4から像担持体1の表面に供給される現像剤としてのトナーにより現像されて、トナー像として可視像化される。
像担持体表面の検知手段として、本発明では光センサーを用いている。光センサーを用いて像担持体表面の粘着性を検知する方法について説明する。
本発明の検知方法の場合、像担持体上に蓄積した劣化物質の量を直接検知するのではなく、基準画像を光画像濃度センサーで検知し、画像濃度が正常であるか否かによって像担持体表面の劣化物質の堆積状態を検出する方法をとっている。
ここで、Prefは、基準画像を正常な像担持体に作像し、トナー付着量を画像濃度センサー(本実施例では光センサー)で検知した際の参照用センサー出力値であって、制御手段のプログラムに記録されている。一方、Pは、繰り返しの作像後に基準画像を作像し、トナー付着量を画像濃度センサーで検知した際の出力値である。
図3の横軸はポテンシャル(表面電位−現像バイアス)、縦軸は画像濃度センサー出力である。基準画像作像時のポテンシャルをVCとする。このとき、正常な像担持体上に形成された基準画像の画像濃度センサーによる検知された画像濃度はPrefとなる。
一方、画像濃度P1は、基準画像が低画像濃度となった場合を示している。画像濃度P2は、基準画像が高画像濃度となった場合を示している。
基準画像の画像濃度は、像担持体表面に蓄積した保護物質によって変化するが、異常画像とならない画像濃度の許容範囲は、|P−Pref|≦α×Pref(0<α<1)によって予め定める。許容範囲は、定数αによって決定され、|P−Pref|=αPrefの場合にも、異常画像にならない様に設定することが望ましい。
このように、像担持体表面に劣化した保護物質が存在する場合には、基準画像の反射濃度測定値PはPrefと異なる値を示す。このような関係を利用して、直接劣化した保護物質量を検知するのではなく、基準画像の反射濃度測定値PとPrefの差から除去動作の必要を判断することができる。基準パターンの作像は、例えばコピー50枚毎に行うなどが考えられるが、機種構成によって適宜設定すればよい。
第1の実施例では、帯電装置によって一様帯電され、露光装置によって静電潜像が形成され、現像装置によってトナーによる可視像が形成される像担持体表面上の基準パターンを光センサーによって検知した。それに対し、第2の実施例の検知方法は、像担持体上からトナー像が転写される中間転写体を有する画像形成装置において、像担持体上に形成された基準パターンではなく、図11に示す様に、中間転写体上に転写された基準パターンを光画像濃度センサーによって検知する構成となっている。この場合、複数の像担持体を有する画像形成装置では、複数の像担持体毎に光画像濃度センサーを設ける必要がないため、部品点数の削減、低コスト化、少スペース化が可能となる。
第3の実施例では、図12に示す様に、像担持体と、像担持体に当接して配置されたトルク検知用ブレード状部材間の摩擦力の変動を検知するトルク検知手段を用いて、像担持体のトルク変動を検知し、検知結果に基づいて除去動作を行う構成である。
「像担持体の回転駆動トルク」=「像担持体単体の駆動力」+「トルク検知用ブレード状部材/像担持体間摩擦力」
で表される為に、劣化した保護物質の堆積による像担持体表面の粘着性を、像担持体の回転駆動トルクの変動によって検知することができる。
トルク値がある値以上になった時、リフェイス動作を実施する。このようにすることにより、異常画像発生前に像担持体表面をリフレッシュすることが可能となる。
図13(b)には、トルク検知結果に基づき、異常画像発生の起こる前に像担持体表面のリフェイス動作を実施した場合のトルク値の時間変化を示している。区間(3)では、劣化した保護物質の堆積により、トルク値が増加しているが、トルク値が異常画像の発生するT1に達する前のT2となった時点(A点)で、像担持体表面のリフェイス動作を実施する。リフェイス動作は、異常画像発生のない検出値Trefとなるまで行われ、Trefとなった時点で終了する。このように、トルク検出結果に基づくリフェイス動作を繰り返すことにより、帯電装置の放電から像担持体を保護しながら、保護物質塗布による異常画像の発生を長期にわたり抑制することができる。
第4の実施例では、図14に示す様に、像担持体表面に当接配置されたブレード状部材に歪みセンサーを設置し、歪みセンサーの検知結果に基づいて、像担持体表面の粘着性を検知し、その検知結果に基づいて除去動さを行う構成である。
劣化した保護物質が像担持体表面に蓄積すると、像担持体の表面状態が変化するため、ブレード状部材との摩擦力が変化する。摩擦力の変化に伴って、ブレード状部材の歪み量に変動が生じる。この歪みが異常画像発生のない範囲となるように、像担持体表面のリフェイス動作を実施する。
図15(b)は、歪み量の検知結果に基づき、リフェイス動作を実施した場合の歪み量の変化を示している。すなわち、区間(1)において、繰り返しの画像形成動作の結果、劣化した保護物質が堆積しながら、歪み量が増加する。異常画像の発生する歪み量ε1に達する前に、歪み量ε2に達した時点(A点)で像担持体表面に堆積した劣化した保護物質を除去する動作を開始する。区間(2)は除去動作を実施している区間の歪み変化を示し、異常画像発生のない歪み値に戻った時点で除去動作を停止する。
上記の実施例は、像担持体表面の粘着性変化を検知する手段に関してのものであったが、以下に、上記検知手段で得られた検知結果に基づいて、像担持体表面をリフレッシュするリフェイス動作に関しての実施例について説明する。
本実施例は、像担持体表面上の劣化した保護物質を除去する第1の方法として、現像装置の磁気ブラシを用いたものである。
除去動作は、非画像形成時に行う。除去動作時には、像担持体と現像装置のみが可動状態にあり、現像装置の磁気ブラシの回転によって、像担持体表面を摺擦することで像担持体表面に付着、蓄積した劣化した保護物質の除去を行う。像担持体表面の劣化した保護物質の量に応じた除去動作を行うために、センサー出力値|P−Pref|に基づいて除去動作条件を決定する。具体的には、|P−Pref|に基づいて現像ローラと像担持体の線速差を画像形成動作中よりも大きくする方法がある。あるいは、画像形成時の現像ローラと像担持体の回転方向がトレーリング方向である場合には、現像ローラと像担持体の回転方向を除去動作時にカウンター方向にする方法もある。その他の除去動作として、現像ローラと像担持体の回転速度は一定としたまま、|P−Pref|に基づいて除去動作時間を調節する方法がある。このように、非帯電体表面状態に合わせて、除去動作条件を決定することによって、除去不足による異常画像の発生や、非帯電体表面の削り過ぎを防止することが出来る。
劣化した保護物質を除去する第2の方法として、トナー除去手段を用いたものである。トナー除去手段としては、通常クリーニングブレードが用いられる。除去動作時にはクリーニングブレードと像担持体の間に像担持体表面を研磨するための研磨粒子を滞留させ、研磨粒子によって像担持体表面から劣化した保護物質の除去を行う方法がある。
具体的には次の除去方法がある。除去動作時には像担持体と現像装置のみ可動状態にあり、転写は行われない。除去動作時には、現像装置によって像担持体表面にトナー像を形成する。トナー像は転写されることなく、そのままクリーニングブレードまで到達し、クリーニングブレードと回転する像担持体との間で滞留し、研磨剤として作用し、像担持体表面の保護物質の劣化物を除去する。
像担持体表面の劣化した保護物質の量に応じた除去動作を行うために、センサー出力値|P−Pref|に基づいて除去条件を決定する。除去量の調節は、|P−Pref|に基づいて像担持体表面へのトナー現像量を調節し、クリーニング部に到達するトナー量によって調節することが出来る。除去動作時間が一定の場合、クリーニング部のトナー量が多いほど、像担持体表面の削れ量が多くなる。
その他の調節方法として、除去動作時に像担持体表面に現像するトナー像を一定とし、除去動作時間を|P−Pref|に基づいて設定する方法がある。
劣化した保護物質を除去する第3の方法として、中間転写体を用いたものである。
除去動作は、非画像形成時に行う。除去動作時には、像担持体と中間転写体のみが可動状態にあり、中間転写体が像担持体表面を摺擦することで像担持体表面に付着、蓄積した劣化した保護物質の除去を行う。像担持体表面の劣化した保護物質の量に応じた除去動作を行うために、センサー出力値|P−Pref|に基づいて除去条件を決定する。
中間転写体の回転速度と像担持体の回転速度の差を|P−Pref|に基づいて画像形成動作時よりも大きくし、中間転写体と像担持体との間の摺擦力を変化させることで行う方法がある。その他の方法として、|P−Pref|に基づいて除去動作時間、すなわち中間転写体の回転時間を決定する方法がある。このように、像担持体表面状態に合わせて、除去動作条件を決定することによって、除去不足による異常画像の発生や、像担持体表面の削り過ぎを防止することが出来る。
劣化した保護物質を除去する第4の方法として、研磨手段を用いたものである。
研磨手段としては、例えばローラ形態のもの、ブレード形態のものなどがある。図7には、研磨手段として、ブレード形態の研磨ブレードをその一例として示してある。
除去動作は、非画像形成時に研磨ブレードを像担持体表面に当接させることにより、像担持体表面を研磨する。画像形成時には、研磨ブレードは像担持体表面と非当接状態になるように離接機構を設ける。研磨量は|P−Pref|によって決定される当接時間によって調節される。このように、像担持体表面状態に合わせて、除去動作条件を決定することによって、除去不足による異常画像の発生や、像担持体表面の削り過ぎを防止することが出来る。
まず、像担持体表面の保護物質について説明する。
放電から像担持体の劣化を保護する保護物質9bとしては種々の物質を用いることが可能である。本実施形態の画像形成装置においてはステアリン酸亜鉛を保護物質9bとして用いているが、ステアリン酸亜鉛は保護物質9bの一例であり、各種の脂肪酸塩、ワックス、シリコーンオイル等他の物質を保護物質9bとして用いることも可能である。
脂肪酸としてはウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
ラメラ結晶の性質を充分に利用して放電から像担持体表面を保護するためには、保護物質塗布装置9は像担持体表面との間で線速差を有し、せん断力を作用させつつ保護物質を塗布する事が望ましい。
本実施形態の画像形成装置には、図1に示すように保護物質9bを像担持体表面に供給するための保護物質供給手段として、保護物質塗布装置9を設けている。この保護物質塗布装置9は、塗布部材としてのファーブラシ9a、保護物質9b、保護物質をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ9cを有している。保護物質9bはバー状に成型された固体保護物質9bである。ファーブラシ9aは像担持体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって保護物質9bを一端ブラシに汲み上げ、像担持体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して像担持体表面に塗布する。
また、経時で保護物質9bがファーブラシ9aに掻き削られて減少してもファーブラシ9aに接触しなくならないように、加圧バネ9cによって所定の圧力で保護物質9bがファーブラシ9a側に押圧されている。これによって、微量の保護物質9bでも常に均一にファーブラシ9aに汲み上げられる。
また、後述するように保護物質が像担持体表面に適切な状態で存在することが重要であり、保護物質を像担持体表面に移行させる手段は塗布に限るものではない。
保護物質9bが放電による像担持体の劣化を抑制する作用を果たすことを示す実験結果について説明する。
図5(a)は、像担持体上に保護物質9bを存在させることによって、近接放電による像担持体劣化が抑制されることを確かめるための実験装置の概略構成図である。図5(b)は、像担持体表面を保護物質存在部Aと非存在部Bとに分けた状態の説明図である。
この実験を行うために、予め帯電ローラ2aと保護物質塗布装置9以外の部材を全て取り払い、保護物質塗布装置9は像担持体1の軸方向半分の表面領域に保護物質9bを塗布するよう構成した。そして、像担持体1と共に帯電装置2と保護物質塗布装置9の駆動を継続して行い、像担持体表面の劣化状態を調べた。実験条件は以下の通りである。
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2.12[kV]
f(AC電圧の周波数)=877.2[Hz]
DC電圧値=−660[V]
像担持体表面の移動速度v=125[mm/s]
保護物質:ステアリン酸亜鉛
ファーブラシ9aの線速=216[mm/sec]
図6は、上記の実験を200時間の継続して行った結果を示したグラフである。
保護物質9bがない領域Bでは、時間の経過とともに膜削れ量が増加していき、200時間経過後には膜厚が約2.5[μm]減少した。これに対して、保護物質9bのある領域Aでは、膜厚の減少は8分の1以下に抑制されていた。さらに、200時間経過後に実験に使用した像担持体表面を目視観察したところ、保護物質9bのない領域Bでは、被帯電体表面が白く変色し変質していたのに対して、保護物質9bのある領域Aでは、新品の像担持体1と同様に鏡面を保っていた。
以上の実験結果から、保護物質9bが存在することによって、放電による像担持体表面の劣化が抑制されることが明らかになった。
劣化した保護物質9bを除去することによって異常画像発生が抑制されることを確認した実験結果について説明する。
図5に示す様に、予め帯電ローラ2aと保護物質塗布装置9以外の部材を全て取り払い、保護物質塗布装置9は像担持体1の表面領域に保護物質9bを塗布するよう構成した。そして、像担持体1と共に帯電装置2と保護物質塗布装置9の駆動を下記の条件下で5時間程度継続した。
帯電条件:
Vpp(AC電圧のピークツーピーク電圧値)=2.20[kV]
f(AC電圧の周波数)=900[Hz]
DC電圧値=−660[V]
像担持体表面の移動速度v=125[mm/sec]
保護物質:ステアリン酸亜鉛
ファーブラシ9aの線速=216[mm/sec]
この劣化したステアリン酸亜鉛が付着している像担持体を画像形成装置中に入れて、画像出しを行ったところ、異常画像となった。
一方、劣化したステアリン酸亜鉛が付着した像担持体を同条件で別に作製し、劣化したステアリン酸亜鉛を下記の方法(図8参照)で除去した。
劣化したステアリン酸亜鉛を除去した一例として、次の実験を行った。
劣化したステアリン酸亜鉛が付着している像担持体とクリーニングブレードからなる実験機において、像担持体とクリーニングブレードの当接部に研磨粒子としてトナーを滞留させ、像担持体を線速185[mm/s]で回転しつづけた。
劣化物質を除去した後の像担持体を画像形成装置中に入れて、画像出しを行ったところ、異常画像の発生が劇的に改善されていた。
従って、上記実験から、劣化したステアリン酸亜鉛の堆積量が少なく、除去可能なうちに除去動作を行うことによって、劣化したステアリン酸亜鉛を像担持体表面から除去し、像担持体を異常画像が発生しない状態に戻すことが出来る。
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いる帯電装置2の説明図である。
この帯電装置2は、近接放電を用いて像担持体を帯電する。近接放電を用いて像担持体1を帯電する方法としては、回動可能なローラ状の帯電部材(以下、帯電ローラという)2aを像担持体1に接触させて配置する接触帯電方式と、帯電ローラ2aを像担持体1に非接触に配置する非接触帯電方式とがある。本実施形態においては、非接触帯電方式を用いている。
帯電ローラ2aは円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、芯金の外周面上に形成された抵抗調整層を有する。帯電ローラ2aの表面は硬質であることが望ましい。ローラ部材としてはゴム部材も使用できるが、ゴム部材もように変形しやすい部材であると被帯電体1との微小ギャップ14の均一な維持が困難となり、作像条件によっては帯電ローラ2aの中央部のみが像担持体表面に突発的に接触する可能性がある。帯電ローラ2aが被帯電体表面に局所的/突発的に接触する事によって生じる保護物質の乱れに対応することは困難であるため、非接触帯電方式を使用する場合にはたわみが少ない硬質の部材が望ましい。
導電性支持体としては、体積抵抗10 10 Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴムなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
結着樹脂としては先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al 2 O 3 を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO 2 、SnO 2 、TiO 2 、ITO、CeO 2 等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
1a 電荷輸送層
2 帯電装置
2a 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 中間転写体
6 定着装置
7 クリーニング装置
8 除電装置
9 塗布装置
9a 塗布部材
9b 保護物質
9c 塗布装置用加圧バネ
10 転写材搬送経路
11 画像形成領域
12 非画像形成領域
14 微小ギャップ
15 帯電装置用加圧バネ
16 駆動モータ
21a ローラ軸部
21b ローラ部
22 スペーサ
Claims (2)
- 移動する像担持体と、
像担持体に対して接触または近接して設けられた帯電部材に交流成分を含む電圧を印加することによって生じる放電を利用して像担持体を帯電させる帯電装置と、
帯電装置によって帯電させられた像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
潜像形成装置によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像装置とを有し、
少なくとも放電領域の像担持体には保護物質が存在する画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
像担持体表面のトナー付着量を検知する検知手段と、
劣化した保護物質を像担持体から除去する、像担持体との離接機構が設けられた研磨手段とを有し、
正常な像担持体に作像した基準画像のトナー付着量を前記検知手段で検知し、該検知の結果を参照用センサー出力値(Pref)として得、
繰り返し作像後に像担持体に作像した基準画像のトナー付着量を前記検知手段で検知し、該検知の結果をセンサー出力値(P)として得、
関係式:|P−Pref|≦α×Pref(0<α<1)が満たされない場合に、前記研磨手段が前記像担持体と当接状態となって、前記劣化した保護物質を前記像担持体から除去し、前記当接の時間は、|P−Pref|に基づいて決定される
ことを特徴とする除去方法。 - 請求項1に記載の除去方法において、
前記保護物質がステアリン酸亜鉛である
ことを特徴とする除去方法。
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