以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す。本実施の形態では、本発明に係る画像形成装置としてレーザビームプリンタを例として説明する。まず、同図を参照してレーザビームプリンタの構成を説明する。
このレーザビームプリンタは、OPCやa−Si等の光導電層を有する像担持体としての感光ドラム1を備えている。感光ドラム1は、装置本体Tによって回転自在に支持されており、メインモータM1によって矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、感光ドラム1の表面(像担持体面)を帯電バイアス電圧によって均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ(帯電部材)2、帯電ローラ2に所定の圧力で押圧されて回転することで帯電ローラ2表面を清掃する帯電清掃部材40、静電潜像を形成するための露光手段であるレーザースキャナ3、静電潜像をトナーにより顕像化するための現像装置4、紙等のシート状の記録材Pに感光ドラム1上のトナー画像を転写バイアス電圧によって転写するための転写装置である転写ローラ5、感光ドラム1上に残留する未転写トナーをクリーニングブレード6aによって回収する像担持体清掃手段としてのクリーニング装置6が配設されている。
装置本体Tの下部には、記録材Pを収納した給紙カセット7が配置されており、感光ドラム1の上部には定着装置8が配置されている。装置本体Tの背面には、画像形成動作等を制御する制御部(制御手段)9と帯電ローラ2や現像装置4等に高圧を印加する高圧電源部10が配置されている。制御部9上には、画像形成動作等を実行する指令を出す本体CPU9a、定着の温度制御等を実行する定着CPU9b、およびプログラム等が格納されたメモリ9cが搭載されている。更に装置本体T内部には、定着装置8からの温度の影響を受けにくい位置で機外の温度及び湿度を検知する環境検知部60も設けられている。この環境検知部60は、本体CPU9aに温湿度情報を送信する。
なお、本実施の形態での高圧電源部10には、直流電源と交流電源によって構成されている帯電印加電源10aと、直流電源と交流電源によって構成されている現像印加電源10bと、正と負の各々の直流電源によって構成される転写印加電源10cとが設けられており、プリンタの動作は、制御部9上の各種CPUがメモリ9cから必要なプログラムを読み出して各種制御を実行することによって実現される。(後に詳細に説明するフローチャートによる処理も同様である。
次に、上述構成のレーザビームプリンタの動作を、以下の(1)帯電、(2)露光、(3)現像、(4)転写、(5)定着、(6)クリーニングの各工程の順に説明する。
(1)帯電
図2は本実施の形態における接触帯電装置の周辺の詳細である。図示しないメインモータM1によって矢印A方向に回転駆動された感光ドラム1に所定の押圧で接触している帯電ローラ2は矢印B方向に回転駆動し、高圧電源部10の帯電印加電源10aから所定の直流電圧(DC帯電方式)、あるいは所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電ローラ2の金属軸を通して帯電ローラ2から帯電バイアス電圧として印加される。これにより、所定の速度で回転駆動している感光ドラム1の表面が所定の極性・電位(本実施の形態においては、−500〜−800V)に一様に接触帯電される。
また、本実施の形態においては、帯電清掃部材40に対して、スイッチ30により選択的に、帯電ローラ2に供給している帯電印加電源10aから分岐した同じ極性のバイアス電圧を印加するか、または、帯電ローラ2と帯電清掃部材40の間に電位差発生部材15としてバリスタあるいは抵抗体を介して印加する。電位差発生部材15を介して印加する場合、帯電ローラ2と帯電清掃部材40との間には所定の電位差が発生する。帯電清掃部材40に印加するバイアス電圧は、図2に示したように、帯電ローラ2に印加する帯電印加電源10aと共通でもよいし、図3に示すように、個別に供給する直流電源15bを設けてもよい。図3の構成では、スイッチ30は直流電源15bと帯電清掃部材40との間に設けたが、直流電源15bの出力の発生自体を切り替えるようにしてもよい。この場合、スイッチ30としての素子は不要となるが、スイッチング手段としては同様に存在することになる。
なお、帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受け部材を介して回転自在に支持され、ローラ軸線を感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列して感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触させられて配設されている。本実施の形態において、この帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して回転する。この帯電ローラ2には帯電清掃部材40である回転ブラシクリーニングローラが所定の押圧力で配設されている。帯電清掃部材40は、帯電ローラ2表面に付着した異物を掻き取って、帯電ローラ表面に付着する外添剤やトナーを除去する、帯電ローラの清掃動作を行う。これにより、局部的あるいは全面的に異物汚れが発生することを防止している。
(2)露光
帯電後の感光ドラム1は、その表面に対し露光手段(または潜像形成手段)であるレーザースキャナ3により画像情報に基づいて画像露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。本実施の形態では半導体レーザ(波長780nm)の走査露光Lによって露光がなされている。ただし、感光ドラム1上を露光できる方式であれば他の露光手段、例えばLEDアレイによる露光であっても構わない。レーザースキャナ3の露光出力は制御部9により制御される。
(3)現像
露光によって形成された感光ドラム1上の静電潜像は現像装置4によって現像される。本実施の形態での現像装置4は、アルミローラ表面にブラスト加工やカーボンをコートして所定の表面粗度を有するようにした現像スリーブ4aを有している。この現像スリーブ4aに高圧電源部10の現像印加電源10bから所定の直流電圧と所定の交流電圧を重畳した現像バイアス(AC+DC帯電方式)を印加して感光ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させトナー像(現像剤像)として現像(顕像化)する。
なお、本実施の形態での現像方式は、一成分磁性ネガトナーを用いた一成分反転ジャンピング現像方式である。この他にも、感光ドラム1に対して接触状態で現像する方法(一成分接触現像)や、現像剤であるトナーに対して磁性キャリアを混合し、この現像剤を磁気力により搬送して感光ドラム1に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)、あるいは、上記二成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像法)があり、何れも好適に用いることが出来る。
(4)転写
感光ドラム1上に現像されたトナー像は感光ドラム1の回転駆動によって転写ローラ5部へ回転移動する。このタイミングに合わせて給紙カセット7に収納されている記録材Pは、図示しない給紙ローラや搬送ローラによって搬送され、感光ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部Nに搬送される。転写ニップ部Nに記録材Pが搬送されるタイミングで高圧電源部10の転写印加電源10cから転写ローラ5に現像剤と反対極性の所定の直流電圧が印加されることによって、感光ドラム1に付着したトナー像が転写材Pに順次静電的に転写される。本実施の形態においてはトナーがマイナス極性なので、その逆極性に当たるプラスの直流電圧(+1〜5KV)を転写ローラ5に印加する。
本実施の形態においては感光ドラム1と接触する接触転写ローラ方式を用いているが、他にもタングステンや金ワイヤに20〜30KVの高電圧を印加して放電させる非接触コロナ放電転写方式でも、ITBからなる転写ベルトにトナー像を転写させた後に記録材Pへ転写させる中間転写ベルト方式でも構わない。
また、本実施の形態における転写ローラ5は金属ローラ軸上にNBRゴム(アクリルニトリルブタジエンゴム)とヒドリンゴムの混合ゴムを発泡させたスポンジゴムを配設したイオン導電性ゴムローラであるが、他にもEPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)にカーボンブラックを分散させた電子導電性ゴムローラでも構わない。
(5)定着
次に、図4を用いて定着装置8について説明を行う。静電的にトナー像を担持した記録材Pは、図示しない搬送ガイドに沿って定着装置8に搬送される。定着装置8は、筒状の回転体である定着部材21と加圧部材22とを有する。定着部材21と加圧部材22のいずれか一方は定着モータM2により回転駆動される。定着部材21は、ガイド部材23と、このガイド部材に支持されてトナーを加熱する加熱部材20(抵抗体及びアルミナで構成されるセラミックヒータ)とを内蔵する。
定着部材21は、表層にPFAやPTFEをコートした厚さ40〜100μmのポリイミドフィルムからなる定着フィルムを有し、この定着フィルムがガイド部材23にガイドされて回転する。加圧部材22は、この定着部材21を加圧して定着ニップ部Nを形成する別の定着回転体であり、弾性を有する加圧ローラで構成される。加圧ローラは、回転金属軸体22a上に基層となるEPDMゴムやシリコンゴムあるいはフッ素ゴムを発泡させたスポンジゴム層22bとシリコーンゴムやフッ素ゴムあるいはフッ素樹脂など耐熱性を有したから樹脂から形成される表層22cによって構成される。
このような構成の定着装置8は、プリント信号を受信すると定着CPU9bは加熱部材20に所定の温度設定にするよう指示し、定着CPU9bはサーミスタ24が所定の温度を検知するまで加熱部材20に通電を行うことで定着ニップ部Nにて加熱をし、トナーを記録材Pに定着させた後に記録材Pは図示しない機外の排紙トレイに排出される。
本実施の形態では、オンデマンド定着方式を用いているがこれに限定されるものではなく、トナーを記録材P上に定着させるものであればヒートローラ方式でも電磁誘導加熱方式でも構わない。
(6)像担持体クリーニング
一方、トナー像転写後の感光ドラム1は、記録材Pに転写されないで感光ドラム表面に残ったトナー(転写残現像剤)がクリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって除去され、クリーナ装置内に捕集されたトナーは図示しない回収トナー搬送スクリューによって機外に排出されて回収トナーボックス内に搬送される。本実施の形態におけるクリーニングブレード6aは注型タイプを用いたクリーニング装置6である。注型タイプとは、型にゴム材などを流し込むことで所望の形状に成形するクリーニングブレードのタイプである。このゴムブレードの材質としては、一般的なものとして例えばポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム等のエラストマー等適度の弾性と硬度を有する材料であればいずれでもよい。特に、摩擦により感光ドラム1を傷付けず、耐摩耗性の大きなポリウレタンが好ましい。更に、永久歪が小さいことを考えて、2液性熱硬化型ポリウレタン材料を用いることもある。硬化剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ハイドロキノンジエチロールエーテル、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の一般的なウレタン硬化剤を用いることができる。この短冊状のゴムの厚みは通常1.5mm〜4mm、好ましくは1.5mm〜3mmが良い。なお、本実施の形態で用いたクリーニング方式はブレード方式であるが、特にこれに限定されるものではなくブラシ方式等でも構わない。
以上の(1)〜(6)の工程を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。
(7)感光ドラム
次に、像担持体としての感光ドラム1について説明する。以下の構成は、感光ドラムの長寿命化を意図したものである。ただし、本発明はこれに限るものではなく、また、表面保護層は無くても良い。
まずは、感光ドラム1の表面保護層(後述する図5の56)の特徴(一例)について説明する。感光ドラム1の表面保護層のHU(ユニバーサル硬さ値)、及び弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し連続的硬さを求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した。圧子は対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。荷重の条件は最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1sの保持時間で273点)測定した。段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた。その結果、HUは6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(1)によって規定される。
HU=試験加重(N)/試験加重でのビッカース圧子の表面積(mm2)
=0.006/26.43h2 (N/mm2) ...(1)
h:試験加重下での押し込み深さ(mm)
弾性変形率は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下記式(2)からその値は求まる。全仕事量Wt(nW)と弾性変形の仕事量We(nW)の関係は次式で表される。
弾性変形率=We/Wt×100(%) ・・・(2)
上記HUと弾性変形率の値が、ある範囲の場合に表面保護層の機械的劣化が起り難くなることを見出した。すなわち、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行う。最大荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が40%以上65%以下である電子写真感光体を用いることによって機械的劣化が飛躍的に向上した。また、更なる特性の向上にはHU値が160N/mm2以上200N/mm2以下であることがより好ましい。本実施の形態において用いられる感光ドラム1で、長寿命を考えると、少なくとも表面保護層が重合または架橋して硬化された化合物を含有した感光ドラム1からなる。なお、この硬化手段としては、熱、可視光や紫外線などの光、更に放射線を用いることができる。
したがって、本実施の形態において、感光ドラム1の表面保護層を形成する方法としては、表面保護層用として用いられる、重合または架橋により硬化可能な化合物を、融解または含有している塗布溶液を用いる。浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティングなどにより塗布した後、この塗布された化合物を硬化手段により硬化する方法が採用される。
これらのうち、感光ドラム1を効率よく大量生産する方法としては、浸漬コーティング法がもっとも好ましく、この本実施の形態においても浸漬塗布法を採用することが可能である。この表面保護層については、長寿命を意識したものであってこの限りではない。
ここで、感光ドラム1の概略構成を図5を用いて説明する。(a)は単層型の感光ドラム1の概略構成、(b)は積層型の感光ドラム1の概略構成を示している。
(a)の単層型は、外径がたとえば30mmの導電性基体(支持体、ドラム基体)51に、電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を同一の層(感光層)53に含有する層構成である。(b)の積層型は、電荷発生物質を含有する電荷発生層54と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層55を、順次または逆順に積層した構成である。層54+55が感光層である。さらに、感光層53又は54+55上に表面保護層56を形成することも可能である。
また、電子輸送層の膜厚を最適化させるために、膜厚の幅を持たせる意味で、表面保護層56を用いることが良い。少なくとも感光体の表面層が、熱や可視光、紫外線などの光、さらに放射線により重合または架橋し硬化させることができる化合物を含有していればよい。
単層型と積層型とでは、感光体としての特性、特に残留電位などの電気的特性及び耐久性の観点から、積層型が好ましい。すなわち、電荷発生層54及び電荷輸送層55を順次積層した機能分離型の感光体構成、または、この機能分離型の感光体構成で積層された感光層上に、さらに表面保護層56を形成した構成とするのが好ましい。
表面保護層56における、重合または架橋における化合物の硬化方法としては、感光体特性の劣化が少なく、残留電位の上昇が発生せず、十分な硬度を示すことができることから、好適には、放射線が用いられる。
この重合または架橋を発生させる際に使用する放射線としては、電子線またはガンマ線が望ましい。これらのうちの電子線を使用する場合、加速器として、スキャニング型、エレクトロンカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型などのあらゆる形式を使用することが可能である。
また、電子線を照射する場合においては、感光ドラム1における電気特性及び耐久性能を発現するために、照射条件としては、加速電圧を250kV以下とするのが好ましく、150kV以下がより好ましい。また、照射線量を、10kJ/kg以上1000kJ/kg以下の範囲内にするのが好ましく、15kJ/kg以上500kJ/kg以下の範囲内とするのがより好ましい。
加速電圧が上述の範囲の上限より大きいと、感光体特性に対する電子線照射による損傷、いわゆるダメージが増加する傾向にある。また、照射線量が上述の範囲の下限より少ないと、硬化が不十分となりやすい。また、線量が多い場合には感光体特性の劣化が生じやすいため、この観点から、線量は、上述の範囲内から選択するのが望ましい。
また、重合または架橋が生じて硬化可能な表面層用の化合物としては、反応性の高さ、反応速度の速さ、及び硬化後に達成される硬度の高さの観点から、分子内に不飽和重合性官能基を含むものが好ましい。
さらに、不飽和重合性官能基を分子内に有する分子の中でも、特に、アクリル基、メタクリル基及びスチレン基を有する化合物が好ましい。
また、不飽和重合性官能基を有する化合物とは、その構成単位の繰り返しの状態により、モノマーとオリゴマーとに大別される。モノマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがなく、比較的分子量の小さいものを示す。他方、オリゴマーとは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である。また、ポリマーまたはオリゴマーの末端のみに不飽和重合性官能基が結合した、いわゆるマクロノマーを、表層用の硬化性化合物として使用することも可能である。
また、不飽和重合性官能基を有する化合物は、表面層として必要とされる電荷輸送機能を満足させるために、化合物が電荷輸送化合物を採用することが、より好ましい。この電化輸送化合物の中でも、正孔輸送機能を持った不飽和重合性化合物であることがさらに好ましい。
感光ドラム1の支持体51としては、導電性を有するものであれば良い。具体的には、たとえばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属や、これらの合金を、ドラムまたはシート状に形成したものを挙げることができる。また、アルミニウム及び銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したものを挙げることができる。また、導電性物質を単独または結着樹脂とともに塗布することにより導電層を設けた金属、または、プラスチックフィルムや紙などを挙げることができる。
また、導電性支持体51の表面上には、バリアー機能と接着機能とを有する下引き層52を設けることができる。
下引き層52は、感光層53又は54+55の接着性改良、塗工性改良、支持体51の保護、支持体51上の欠陥の被覆、支持体51からの電荷注入性改良、または感光層53又は54+55の電気的破壊に対する保護などのために形成される層である。
この下引き層52の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミドを使用することができる。また、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、ニカワ及びゼラチンなどを使用することができる。これらの材料は、それぞれに適合した溶剤に溶解されて支持体51の表面に塗布される。この下引き層52の膜厚は、好適には、0.1〜2μmある。
感光体が機能分離型の感光ドラム1である場合は、電荷発生層54及び電荷輸送層55を積層する。
電荷発生層54に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル(Se−Te)、ピリピウム、チアピリリウム系染料を挙げることができる。また、各種の中心金属及び結晶系、具体的には、たとえばα、β、γ、ε、及びX型などの結晶型を有するフタロシアニン系化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料を挙げることができる。また、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、クナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及びアモルファスシリコンなどを挙げることができる。
また、機能分離型の感光ドラム1の場合、電荷発生層54は、電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルなどの手段によって良好に分散する。その分散液を塗布し、乾燥させて形成されるか、または電荷発生物質の蒸着膜など、単独組成の膜として形成される。ここで、この電荷発生層54の膜厚は、典型的には、5μm以下であり、好適には、0.1〜2μmある。
また、結着樹脂を用いる場合の例は、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体及び共重合体を挙げることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
不飽和重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、上述した電荷発生層54上に電荷輸送層55として用いることができる。または、電荷発生層54上に、電荷輸送層55と結着樹脂とからなる電荷輸送層55を形成した後に、表面保護層56として用いることもできる。
正孔輸送性化合物を表面保護層56として用いた場合、その下層にあたる電荷輸送層55は、適当な電荷輸送物質を、上述の電荷発生層用樹脂から選択可能で適当な結着樹脂とともに溶剤に分散または溶解する。その溶液を、上述の公知の方法によって塗布し、乾燥させて形成することができる。
電荷輸送物質としては、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物を挙げることができる。また、ピラゾリン、イミダゾール、オキサドール、トリアゾール、またはカルバゾールなどの複素環化合物を挙げることができる。また、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレジンアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの低分子化合物などを挙げることができる。
電荷輸送層55における電化輸送物質の重量が、これらの範囲より小さいと、電荷輸送能が低下し、感度低下や残留電位の上昇などの問題点が発生する。この場合に、本例における電荷輸送層55の厚みは、10〜30μmの範囲である。
いずれの場合も、表面保護層56の形成方法は、正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合または硬化反応させるのが一般的である。なお、あらかじめ正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させることにより硬化物を得た後、再度溶剤中に分散または溶解させたものなどを用いて、表面層を形成することも可能である。
また、上述の溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、及びスピンコーティングなどが知られている。効率性/生産性の観点から、溶液を塗布する方法としては、浸漬コーティング法が望ましい。なお、蒸着やプラズマ処理などの、その他公知の製膜方法を適宜選択することが可能である。
また、表面保護層中56においては、導電性粒子を混入させることも可能である。この導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラックなどを挙げることができる。
これらの導電性粒子としての金属は、具体的には、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレス及び銀を挙げることができ、さらに、導電性粒子としては、これらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどを挙げることができる。
また、導電性粒子としての金属酸化物は、具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスを挙げることができる。また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。
また、これらの金属酸化物は、それぞれ単独で用いたり、2種類以上を組み合わせて用いたりすることが可能である。なお、2種以上を組み合わせる場合には、単に混合することも可能であり、固溶体や融着を施すことも可能である。
また、導電性粒子の平均粒径は、表面保護層56の透明性の観点から、0.3μm以下にすることが好ましく、より好適には、0.1μm以下にすることが望ましい。さらに、上述した導電性粒子の材料において、透明性などの観点から金属酸化物を用いることが特に好ましい。
表面保護層56中における導電性金属酸化物粒子の割合は、直接的に表面保護層の抵抗を決定する要因の1つである。したがって、保護層の比抵抗は、108〜1013Ωm(1010〜1015Ωcm)の範囲にすることが望ましい。
また、表面保護層56中にはフッ素原子含有樹脂粒子を含有することも可能である。このフッ素原子含有樹脂粒子としては、4フッ化チレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及び、これらの共重合体などが挙げられる。これらの中から少なくとも1種類以上を適宜選択するのが好ましい。なお、樹脂粒子の分子量や粒径は、適宜選択することが可能であり、必ずしも上述の分子量や粒径に限定されるものではない。
表面保護層56中におけるフッ素原子含有樹脂の割合は、表面層の全質量に対して、典型的には、5〜40重量%であり、好適には、10〜30重量%である。これは、フッ素原子含有樹脂粒子の割合が、40重量%より多いと表面層の機械的強度が低下し易くなり、5重量%より少ないと表面層の表面の離型性、表面層の耐磨耗性や耐傷性が不十分になる可能性があるためである。分散性、結着性及び対候性をより向上させるために、表面保護層56中に、ラジカル補足剤や酸化防止剤などの添加物を加えることも可能である。表面保護層56の膜厚は、好適には、0.2〜10μmの範囲であり、より好適には、1〜5μmの範囲である。
上述の表面保護層56を有する積層型の感光ドラム1を本実施の形態で用いたが特にこれに限るものではなく、単層の有機感光ドラムや非晶質光導電体であるアモルファスシリコンやアモルファスセレンを用いても構わない。
(8)トナー
本実施例におけるトナーの製造方法は特に限定されず、懸濁重合法、乳化重合法、会合重合法、混練粉砕法などが用いられる。また本実施例におけるトナーは非磁性トナー、磁性トナーいずれの場合も十分な効果が得られる。
以下に混練粉砕法におけるトナーの製造方法について説明する。
本発明の粉砕法トナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等を単独または混合して使用できるが、中でもスチレン−アクリル、スチレン−メタクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
また本発明の粉砕法トナーを正帯電性に制御する場合は、脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩;アミン及びポリアミン系化合物;高級脂肪酸の金属塩;アセチルアセトン金属錯体;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート等を添加する。また、負帯電性に制御する場合は、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体を用いることができる。使用量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
本実施例での粉砕法トナーには、必要に応じて離型剤を添加することができる。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスまたはその酸化物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪族エステルを主成分とするワックスまたは、その一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。また、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族ビスアミド類;ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンなどのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化物なども用いることができる。添加量は結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
なお、本実施例で用いたトナーは、流動性をあげるためのシリカの他にも複数種の研磨剤が所定の比率で混合されている。
(9)研磨剤
本実施の形態におけるトナーには研磨剤が含有されており、研磨剤は一次粒子の平均粒径が0.030〜0.300μm(30nm以上300nm以下)であり、粒子形状が立方体状または直方体状であるチタン酸ストロンチウム無機微粉体(以下、キュービックチタン酸ストロンチウム)が感光ドラム1表面に付着してクリーニングブレード6aとの間に介在して摺擦することで高硬度の感光ドラム1における放電生成物質、紙粉、トナー等の付着物を除去でき、画像流れを防止することができる。
キュービックチタン酸ストロンチウムを表面処理する脂肪酸または脂肪酸金属塩の炭素数は8以上35以下が好ましく、10以上30以下がさらに好ましい。炭素数が35を超えると、キュービックチタン酸ストロンチウム無機微粉体の表面と該脂肪酸または脂肪酸金属塩の密着性が劣り、長期の使用により剥がれが発生するなど耐久性が低下するほか、剥れた脂肪酸または脂肪酸金属塩がかぶりの原因となるため好ましくない。また炭素数が8未満の場合、該比表面積100m2/g以上350m2/g以下の微粒子の付着性改善が不十分になり好ましくない。
キュービックチタン酸ストロンチウムをトナーに外添する場合、高湿環境下での該無機微粉体の吸湿による現像プロセスへの影響、たとえばトナー帯電量の低下などを防ぐため、本発明の処理をしたキュービックチタン酸ストロンチウムの比表面積は45m2/g以下であることが好ましい。比表面積を45m2/g以下にすることで前記無機微粉体の表面に吸着する水の絶対量を少なく押さえられるため、摩擦帯電で付与されるトナー帯電への影響を小さくできる。
本実施の形態の現像剤には、30nm以上300nm以下の小径キュービックチタン酸ストロンチウム50の他にも粒径の異なる大径チタン酸ストロンチウムが外添されており、粒径の大きい研磨剤は感光体表面の細かい凹凸の付着物除去能力が小さいものの、クリーニングブレードから抜けにくく、特に粒径が0.60μm以上であると長い時間にわたってクリーニング補助剤としての性能を発揮することが出来る。従って、大径チタン酸ストロンチウムに小径のキュービックチタン酸ストロンチウムが付着することにより、一気にキュービックにチタン酸ストロンチウムがクリーニングブレードからすり抜けることを防止して、高度な研磨性を有する研磨剤を長時間にわたってクリーニングに寄与させることができる。
しかしながら、上記キュービックチタン酸ストロンチウムと粒径の異なる大径チタン酸ストロンチウムが混在するトナーにおいては、トナー100質量部に対して質量はチタン酸ストロンチウムの総量で3質量%以下にしなければならない。3質量%より多くいれるとトナーの帯電量が低下して現像性が低下し、特にトナーの帯電量が低下しやすい高温高湿環境下においては顕著に濃度低下を引き起こしてしまう。更にはキュービックチタン酸ストロンチウムを所定量以上トナーに外添した場合、チタン酸ストロンチウムが定着阻害物質となるために定着性が低下してしまう。定着阻害物質であるチタン酸ストロンチウムは転写媒体上の総量に依存され、転写材上のチタン酸ストロンチウムがトナーに対し大径小径含めたトータルとして1.8質量%以下にするとキュービックチタン酸ストロンチウムの影響をほとんど受けない良好な定着性能を得られ、3.0質量%以上にすると定着性の低下が見られることが知られている。
(10)帯電ローラ
感光ドラム1表面を帯電させるために使用される帯電ローラ2としては、先の図2に示したような多層構造の帯電ローラが用いられている。この帯電ローラでは、金属軸体2aと前記金属軸体2aの外周に形成される導電性発泡体層2bと前記導電性発泡層2bの外周に形成される抵抗調整層2cと前記抵抗調整層2cの外周に形成される表面保護層2dとから主に構成される。
前記金属軸体2aとしては、特に限定するものではなく、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられ、前記金属材料としては、鉄,アルミニウム等特に限定するものではない。
前記導電性発泡体層としては、アスカーC(スポンジ硬度計)30〜50°/1kg荷重の硬度の範囲に設定されることが好ましく、電気抵抗値としては、102〜106Ωcmに形成することが好ましく、特に好ましくは103〜104Ωcmである。マトリックス成分としてエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム(CHC),エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),ポリノルボルネンゴム,スチレン−ブタジエンゴム(SBR),クロロプレンゴム(CR),シリコンゴム,エピクロルヒドリンゴム(CHR),塩素化−エチレン−プロピレン−ジエンゴム(Cl−EPDM),イソプレンゴム,ブチルゴム等があげられ、これに電子導電系導電剤および発泡剤,軟化剤,可塑剤,充填剤,加硫剤,加硫促進剤を配合した形成材料によって形成される。上記電子導電系導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛と酸化アルミニウムの固溶体,酸化スズと酸化アンチモンの固溶体,酸化インジウムと酸化スズの固溶体等の金属酸化物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、上記発泡剤としては、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジット(OBSH)等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、加工性,発泡性という点から、マトリックス成分としてCHC,EPDM,Cl−EPDMを用い、これにカーボンブラック,グラファイト,DPT(発泡剤),発泡助剤,加硫促進剤,加硫剤を配合したものが形成材料として好ましく用いられる。上記電子導電系導電剤の配合量は、その種類および設定する電気抵抗値によって適宜に設定されるが、カーボンブラックを用いる場合、マトリックス成分100重量部に対して5〜80重量部の範囲に設定することが好ましい。
前記導電性発泡体層の上層に保護層が形成される。この保護層は、例えば、N−メトキシメチル化ナイロン等のナイロン系材料や、フッ素変性アクリレート系樹脂を含む樹脂組成物材料等に、カーボンブラックや導電性金属酸化物等の導電剤が配合されて、その体積抵抗値が1×108 〜1×1013Ωcmとなるようにして、形成されることとなる。そのような保護層の厚さは、通常3〜20μm程度とされる。
(11)帯電清掃部材
次に本実施の形態において使用している帯電清掃部材40としては、先の図2に示すようなブラシローラが用いられている。前記帯電清掃部材40である帯電クリーニングブラシローラは、金属軸体41と前記金属軸体の外周に接着層42を有し、接着層42上には静電植毛法によってブラシ糸を付着させたブラシ部材43によって構成されている。なお、本実施の形態におけるブラシ部材の製造法は静電植毛法に限ったものではなくブラシ状になっていれば構わない。
前記金属軸体41として本実施の形態で用いているのはSUM21であるが、特に限定するものではなく、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられ、前記金属材料としては、鉄,アルミニウム等特に限定するものではない。
また、本実施の形態で用いられるブラシ部材43のブラシ糸は、太さ1〜3デニール(デニールとは9000mあたり1gである糸の太さ)、長さ0.5〜1.5mm、電気抵抗106〜108Ωのナイロン繊維が好ましいが、これ以外にも前記ブラシ糸に使用する繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維等の化学繊維、天然繊維等が挙げられ、目的に応じて適宜選択され使用される。例えば、合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、脂肪族ポリアミド(ナイロン)、芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂及びポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂等で形成されたものが挙げられる。この他にも、ポリアクリル等のアクリル系樹脂等、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等で形成されたものが挙げられる。再生繊維としては、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。天然繊維としては、綿、絹等が挙げられる。また、ブラシ糸に導電性を付与する方法としては、原糸段階において導電性物質を練りこむ方法と、紡糸後に導電性物質を含む加工液によってブラシ表面を被覆する方法とがある。本実施の形態においては、酸化亜鉛を加工液に分散させた溶液にブラシ糸粉体を浸してブラシ表面を被覆する方式をとっている。この前記導電性物質としては、銀、銅、ニッケル等の金属、酸化錫等の金属化合物、炭素等の微粒子が挙げられる。さらに本実施の形態における帯電清掃部材40であるクリーニングブラシの密度としては、1inch2(約6.45cm2)当たり2万本以上であることが望ましく、好ましくは1inch2(約6.45cm2)当たり5万本以上であることが好ましい。
本実施の形態で用いた、帯電清掃部材40はφ8の金属軸体上に100μmの接着層を有し、この接着層上に静電植毛法によって形成されたナイロン糸(3.0デニール/1.0mm/200Kf)のブラシ回転体は、片側150gfのバネ加重によって帯電ローラ2に当接し、帯電ローラ2の回転にならい周速差(帯電ローラ2に対し60〜80%の周速)を有しながら従動で回転駆動することによって、帯電ローラ2表面に付着した異物を除去回収している。
なお、本実施の形態で用いた研磨剤である小径キュービックチタン酸ストロンチウム50は1辺が50nmと非常に小粒径であるためクリーニングブレード6aで全てを塞き止めることができずにクリーニングブレード6aをすり抜けてしまい、感光ドラム1と接触している帯電ローラ2に付着してしまう。このため、帯電ローラ2に付着した小径キュービックチタン酸ストロンチウム50を積極的に除去回収するため、周速差を伴う帯電清掃部材40のブラシの回転動作によって帯電ローラ2から掻き落として帯電清掃部材40内に捕集することを特徴としている。
以下、図6のフローチャートを用いて、本実施の形態の詳細な制御例について説明する。
まず、電源ON時や省エネモードからの復帰したかどうかを確認する(S11)。既に電源ON状態で省エネモードから復帰しない場合(S11,No)、待機状態を維持する。
電源ON時か省エネモードからの復帰であれば(S11,Yes)、記録部はメモリの初期化やドラム及び転写ローラ等のクリーニング動作(ドラム空回転を有する)を行う通常のイニシャル動作を実行する(S12)。この通常のイニシャル動作実行中に高圧CPU9aが環境検知部である温湿度センサ60によって高温多湿環境以外を検知したと判断した場合(S13,No)、スイッチング手段30の切り替えは実行せずに帯電清掃部材40と帯電ローラ2が同電位になる構成のまま(S14)で前記通常のイニシャル動作を継続し、所定の時間経過後にステップS17へ移行する。
また、この通常のイニシャル動作中に高圧CPU9aが温湿度センサ60によって主に高温多湿環境を検知したと判断する(S13,Yes)と、通常のイニシャル動作実行が終了した後もメインモータの回転を継続しつつ、上述した電位差を発生させる(S15)。高温多湿環境とは、本実施の形態では温度が第1の所定値(例えば27℃)以上で且つ湿度が第2の所定値(例えば70%)以上)の場合である。このような高温多湿環境では感光ドラム表面上に形成された放電生成物質等が水分を吸着し、その抵抗値が低くなり、これに起因してトナー現像特性が劣化し、画像流れが生じやすくなる。そこで、本発明では帯電ローラ清掃動作を実行して、帯電清掃部材40に付着した研磨剤を感光ドラム1に戻すことにより、放電生成物質等の除去を図る。
帯電ローラ清掃動作時には、スイッチング手段30を電位差発生手段15である抵抗体15a側に切り替えることにより帯電清掃部材40と帯電ローラ2間で電位差を生じさせ、かつ、感光ドラム1上をレーザースキャナ3によって露光することにより帯電ローラ2と感光ドラム1間にも電位差を生じさせる。この帯電清掃部材40/帯電ローラ2間と帯電ローラ2/感光ドラム1間に順次電位差を生じる電位差(この例では−800V、−600V、−200V)を維持した状態で、感光ドラム1の空回転を継続する像担持体清掃イニシャル動作(すなわち画像流れ防止イニシャル動作)を実行する(S16)。所定時間経過後に通常のイニシャル動作から継続する像担持体清掃イニシャル動作が終了する(S17)。通常のイニシャル動作及び像担持体清掃イニシャル動作終了後にプリントジョブを受け付けている場合(S18,Yes)は、印字動作を実行する(S19)。その後、ステップS18へ戻る。
また、プリントジョブを受け付けていない場合(S18,No)が所定時間継続する等の要因により省エネモードへ移行する条件が成立した場合(S30,Yes)、ステップS11へ戻る。これにより、装置本体は待機状態に移行してプリントジョブの受付を待つ。プリントジョブの受付は省エネモードを解除する一要因となる。
本実施の形態では、像担持体清掃イニシャル動作実行時に帯電清掃部材40と帯電ローラ2とに、帯電印加電源10aからAC:1200Hz/2.0KVppとDC:−800Vの重畳した帯電バイアス電圧を印加する。その際、電位差発生手段15によって電圧降下するため帯電ローラ2にはAC:1200Hz/2.0KVppとDC:−600Vが印加される。これにより、帯電清掃部材40と帯電ローラ2と間には200Vの電位差が発生する。さらに、感光ドラム1をレーザースキャナ3で露光することによって感光ドラム一面の表面電位を−200Vに均一に帯電させる。この代わりに、転写ローラ5のような転写手段によって帯電ローラ2と感光ドラム1の間の電位差を形成することもできる。
このような動作の実行によって帯電ローラ2(−600V)と感光ドラム1(−200V)間には400Vの電位差が生じる。
これによって帯電ローラ2から帯電清掃部材40内に捕集したマイナス極性を有する研磨剤の小径キュービックチタン酸ストロンチウム50は、帯電清掃部材40(−800V)→帯電ローラ2(−600V)→感光ドラム1(−200V)と順次同極性で電位の絶対値が小さくなっていく。これにより、マイナス極性の小径キュービックチタン酸ストロンチウム50が帯電清掃部材40から帯電ローラ2へ、帯電ローラ2から感光ドラム1と順次戻っていくことが可能になる。このように帯電ローラ2に捕集された小径キュービックチタン酸ストロンチウム50のみが再びクリーニングブレード6a部に供給されてブレードと感光ドラム1が小径キュービックチタン酸ストロンチウム50を介して摺擦することによって非常に効率的に高硬度の感光ドラム1における放電生成物質、トナー等の付着物を除去でき、高温多湿環境下の主に装置電源の投入直後で発生しやすい画像流れを確実に防止することができる。
なお、本実施の形態において像担持体清掃イニシャル動作実行時には、現像印加電源10b及び転写印加電源10cから各々バイアス電圧の供給はしていないが、より効果を上げる為にトナーが現像しないように感光ドラム1表面電位(本実施の形態では−200V)以下の現像のDCバイアス電圧のみを供給しても構わない。また、転写ローラ5に小径キュービックチタン酸ストロンチウム50が付着しないように、小径キュービックチタン酸ストロンチウム50と同極性のマイナスバイアス電圧を転写印加電源10cからかけても構わない。
また、従来は現像装置からトナーと共にクリーニング装置に供給するしかなかった研磨剤が、トナーの供給なしに研磨剤のみをクリーニング装置に送れるのでトナー消費量の無駄をなくすことができるうえ、トナーが研磨剤を阻害してクリーニングブレード部に研磨剤だけを効果的に供給できないという問題も解決できるようになった。
本発明の実施により、例えば本発明の感光ドラム1の寿命を200000枚と設定すると、図7に示すように従来は寿命までに20回程度(10000枚に1回の動作実行)の感光ドラム1のクリーニング動作を実行していたため、約40gトナーを消費(1回の動作で約2gのトナーを消費)していたのに対して、本実施の形態ではトナーを消費することなく感光ドラム1に付着した放電生成物やトナー等の異物を除去することが可能になった。また、イニシャル動作中に温湿度を検知して自動的に本発明の制御を実施するので、出力される紙で確実に画像流れが発生することはなく、ユーザによる複雑な操作も必要なくなる。
更には、従来の画像流れの対策の一つとして使用されていたドラムヒータも必要としないので、無駄な消費電力やコストをかける必要がなくなる。
本実施の形態の中では通常のイニシャル回転を延長して像担持体清掃イニシャル動作を実行しているが、これに限られたものではなくユーザ操作による感光ドラム1の像担持体清掃イニシャル動作の実行でも構わない。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。