JP4612868B2 - 電子写真装置 - Google Patents

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本発明は、クリーナー手段を必要としないクリーナーレス方式の電子写真装置に関するものであり、詳しくは、転写手段を経た後の電子写真感光体上に残された現像剤(トナー)を現像手段において電子写真感光体上から除去・回収し、再利用する電子写真装置に関する。
従来、電子写真方式を用いたプリンター、ファクシミリ及び複写機等の電子写真装置は、潜像担持体である電子写真感光体、その電子写真感光体を所定の極性・電位に帯電処理する帯電手段、帯電処理された電子写真感光体に静電潜像を書き込む露光手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより顕像化する現像手段、紙等の転写材に上記トナーを転写する転写手段、転写後の電子写真感光体上に残された残留トナーをクリーニングするクリーニング手段、転写材上のトナーを定着させる定着手段等から構成されている。
このような電子写真装置において、転写後の電子写真感光体上に残された残留トナーはクリーニング手段により電子写真感光体表面から除去されてクリーニング手段を構成する容器等に集められて廃トナーとなる。そこで、環境保全や資源の有効利用等の点から、クリーニング手段にて回収されている廃トナーを現像手段に戻して再利用する、いわゆるクリーナーレス方式の電子写真装置が開発されている。クリーニング手段を除去し、転写残トナーの清掃を現像手段において現像工程と同時に行う「現像同時クリーニング」は、その一例である。「現像同時クリーニング」は、正規極性(帯電手段の帯電極性と同極性)でしかもより高い電位に転写残トナーを帯電させる補助帯電手段を帯電手段の上流側に設けて帯電手段への転写残トナー付着による汚れを防止すると同時に、帯電手段にAC電圧を重畳することで正規極性の帯電を行うと同時に転写残トナーの除電を行い現像手段での回収を行う方式である。例えば、特許文献1にこの方式が開示されており、該補助帯電手段は現像剤帯電制御手段と称されている。
ところで、現像剤であるトナーには、量的には多くはないが、帯電極性がもともと正規極性とは逆極性に反転しているトナーが混在しているだけでなく、帯電極性が正規極性のトナーであっても転写工程における転写バイアスや剥離放電等に影響されて帯電極性が反転するものや、除電されて帯電量が少なくなっているものもある。そのため、転写残トナーの中には帯電極性が正規極性のトナー、逆極性の反転トナー、帯電量が少ないトナーが混在しており、その内の反転トナーや帯電量の少ないトナーが電子写真感光体と帯電手段の接触ニップ部である帯電部を通過する際に帯電手段に付着し易くなる。また、電子写真感光体上の転写残トナーを現像手段の現像同時クリーニングにて除去・回収するためには、帯電部を通過して現像部に持ち運ばれる電子写真感光体上の転写残トナーの帯電極性が帯電手段と同一極性であり、かつその帯電量が現像手段によって電子写真感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量に近いことが必要であるが、転写残トナーの帯電極性が帯電手段と同一極性であっても帯電量が適切でないと、電子写真感光体上から現像装置に除去・回収できず、不良画像を発生させることになる。
そこで、この問題を解決するために、上述の補助帯電手段を備えた電子写真装置において、該補助帯電手段(以降は第一補助帯電手段と称する)よりも電子写真感光体回転方向に対して上流、かつ転写手段より下流に、電子写真感光体上の転写残トナーを均一化する転写残トナー均一化手段(以降は第二補助帯電手段と称する)を設け、両方の補助帯電手段に一定の直流電圧を印加する方法が、例えば特許文献2に開示されている。すなわち、電子写真感光体上の転写残トナーを第二補助帯電手段である転写残トナー均一化手段で均一化し、均一化された電子写真感光体上の転写残トナーを第一補助帯電手段で正規極性に帯電処理した後、帯電手段で電子写真感光体を帯電すると同時に、第一補助帯電手段で帯電処理済の転写残トナーを適正な帯電量に帯電処理して現像手段で除去・回収する方法である。このように転写手段の下流、かつ帯電手段の上流に補助帯電手段として、第一補助帯電手段(電子写真感光体回転方向に対して下流)及び第二補助帯電手段(上流)を設けた場合の両補助帯電手段に印加される直流電圧の帯電極性は、帯電手段による帯電極性がマイナスである場合、第二補助帯電手段がプラス極性(ポジバイアス)、第一補助帯電手段がマイナス極性(ネガバイアス)である。第二補助帯電手段により電子写真感光体上の転写残トナーは、電子写真感光体表面上により均一に分散分布されると同時に、マイナス極性のトナーは吸引され保持量が限界点に達すると徐々にプラス極性のトナーとして吐き出され、第一補助帯電手段ではプラス極性に均一化されたトナーを効果的にマイナス極性に揃えることができるようになるため、トナーの帯電手段への付着が防止される。更に、帯電手段にて直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加する際に、第一補助帯電手段にて転写残トナーがより効果的に帯電処理されているため、帯電手段通過後の転写残トナーの帯電量を現像器で回収し易いトナー帯電量に除電し易くなり、現像手段による転写残トナー回収性を向上させている。
このように現像同時クリーニングのプロセスでは、転写残トナーを帯電させる補助帯電手段、更には電子写真感光体上の転写残トナーを均一化させる第二補助手段といった電子写真感光体に対して接する補助帯電部材(例えば、導電性ブラシ等)を設ける場合があるため、クリーニングブレードを有しないプロセスであっても電子写真感光体の削れ量が多くなって寿命が短くなったり、補助帯電部材によって生成したドラム表面の微小キズにトナー成分が融着して画像欠陥となることがある。この問題に対して、電子写真感光体の最表面層を形成する電荷輸送層用の樹脂として、放射線照射により硬化させた硬化性樹脂を用いることで改善する方法がある。更に、繰返し使用時の高い耐磨耗性と十分な電荷輸送能を両立させることができる円筒状の電子写真感光体を安定的に製造する方法が、例えば特許文献3に開示されている。
特開平8−137368号公報 特開2001−215798号公報 特開2004−240303号公報
近年、オフィスのネットワーク化が進み、プリンターを複数のユーザが同時に使用する頻度が高くなっているだけでなく、個人レベルの情報処理量も著しく増大しており、それに対応できる高速プリンターの需要が高まっている。この高速化の動向は、複写機においても同様に見られる。このようなプリンターや複写機等の電子写真装置の高速化に伴って、電子写真プロセスの速度も速くなるため、転写手段や補助帯電手段等における電子写真感光体の通過時間が短くなり、転写手段や補助帯電手段等における本来の作用が不十分となってしまう。ここで、電子写真感光体の電子写真プロセスの速度を表すのにサイクルタイム、すなわち電子写真感光体が1回転するのに要する時間(秒)を用いる。そこで、電子写真感光体の電子写真プロセス速度が速くなった場合、すなわちサイクルタイムが短くなった場合、各手段における本来の作用を維持させるには、印加バイアスを高めることが必要となってくる。
しかしながら、印加バイアスを高くすることで、バイアス電荷が膜中にトラップされてメモリーとして残存し易くなる場合がある。例えば、帯電手段の極性がマイナスである場合、転写手段の極性はプラスであり、電子写真感光体表面はマイナスに帯電保持される。このとき、転写手段のプラス電荷がプラスメモリーとして膜中にトラップされることになる。また、第二補助帯電手段を設けた場合も帯電手段の極性がマイナスであれば、第二補助帯電手段の極性はプラスであり、同様にプラス電荷がプラスメモリーとして電子写真感光体の膜中にトラップされる。電子写真感光体にプラスメモリーが保持されると、電子写真感光体上の転写残トナーをマイナスに帯電制御する第一補助帯電手段の作用が阻害され、マイナス帯電が部分的に損われるために、帯電手段である帯電ローラ等の部材を汚染してしまい、電子写真感光体に対する帯電能を十分に確保できなくなる。この場合、鮮明なハーフトーン画像が得られなくなる。また、転写残トナーのマイナス帯電性が部分的に十分でないと、現像手段における除去・回収が完全に行われなくなり、カブリや汚れ等の画像欠陥を引き起こし易くなる。
更に、電子写真感光体の電子写真プロセス速度が速くなってくると、露光手段の露光によって発生するキャリアが膜中にトラップされてメモリーとして残存し易くなり、感度悪化を招く場合もある。
そこで、本発明の目的は、帯電手段と転写手段の間に、少なくとも一つの補助帯電手段を備え、転写残トナーが現像手段で回収される電子写真装置において、電子写真プロセス速度が速くなるにつれて発生する場合がある帯電手段の汚染、転写残トナーの回収性の悪化や電子写真特性の悪化を改善することができる電子写真装置を提供することである。
本発明に従って、支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体の周りに配置された帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、
該転写手段の下流かつ該帯電手段の上流の位置に、該電子写真感光体に接触して配置された、該電子写真感光体の表面の転写残トナーを該帯電手段と同一極性に帯電処理する補助帯電手段、該転写手段の下流かつ該補助帯電手段の上流の位置に、該電子写真感光体に接触して配置された、該電子写真感光体の表面の転写残トナーを均一化するとともに帯電処理する第二補助帯電手段を備え、かつ、該補助帯電手段によって帯電処理された転写残トナーが該現像手段において回収される電子写真装置において、
該電子写真感光体の最表面層が、下記一般式(2)で示される電荷輸送性化合物を重合あるいは架橋して硬化させた層であることを特徴とする電子写真装置が提供される。
(一般式(2)中、Ar及びArは置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar 及びArは同一でも異なってもよい。Ar及びArの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。Zは酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、−CH=CH−、−CH−CH−及び上記一般式(3)で示される基の何れかを示す。nは0又は1を示し、nが0のときは結合を有さない。一般式(3)中、R及びRは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は水素原子を示す。R及びRの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。R及びRは同一でも異なってもよい。R〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は下記一般式(9)で示される基を示す。R〜Rは同一でも異なってもよい。但し、R〜Rのうち2つ以上は下記一般式(9)で示される基である。)
(一般式(9)中、X は置換基を有してもよい2価の有機残基を示す。X の置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。aは0又は1を示す。P は上記一般式(4)〜(8)の何れかで示される連鎖重合性官能基を示す。)
以上説明したように、本発明によれば、転写手段の下流かつ該帯電手段の上流の位置に、少なくとも一つの補助帯電手段を備え、転写残トナーが現像手段で回収される電子写真装置において、連鎖重合性官能基を有する特定構造の電荷輸送性化合物を重合あるいは架橋して硬化させた最表面層を有する電子写真感光体を用いることで、電子写真プロセス速度を速く設定した場合でも、帯電手段の汚染に起因したハーフトーン画像の鮮明度低下、転写残トナーの回収性の悪化や電子写真特性の悪化を改善することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、このクリーナーレス方式の電子写真装置について、図1を用いて説明する。図1の概略構成図で、本例においては、帯電ローラにマイナスのDC電圧とAC電圧を同時に印加し、電子写真感光体をマイナスに帯電し、レーザ光により静電潜像を書き込み、マイナスに帯電した現像剤を現像装置により電子写真感光体上の露光部に現像する、反転現像方式の例を示した。
図1において、まず電子写真感光体1は矢印方向に回転し、帯電手段(帯電ローラ)2により帯電処理される。その後、露光手段3により画像情報が静電潜像として書き込まれ、現像装置4によりトナー像として顕像化される。顕像化された電子写真感光体上のトナー像は、転写手段(転写ローラ)5により転写材Pに転写され、その後転写材Pは定着手段6へと搬送される。転写工程後、電子写真感光体1上に残った残留トナーは、第一補助帯電手段7により帯電と同極性でかつより高い電位に帯電され、上記帯電手段において交流による除電が行われる。そして露光工程を通過した後、現像装置により現像容器内に回収され、再び現像処理に用いられる。図1に記載されている補助帯電手段は、固定のブラシ状部材を用いたが、ブラシ回転体、弾性ローラ体又はシート状部材等の任意の形態の部材にすることが出来る。また、この部材は電子写真感光体表面に対してその長手方向の一定範囲内で摺動させ、電位付与性をより均一にさせることもできる。
更に上述の第一補助帯電手段7より上流、かつ転写手段より下流に残留現像剤像を均一化するための第二補助帯電手段8を追加することもできる。図2は補助帯電手段を2つ有する場合を示す。
第二補助帯電手段8の部材としては図1では固定のブラシ状部材を用いたが、ブラシ回転体、弾性ローラ体又はシート状部材等の任意の形態の部材にすることもできる。また、この部材は電子写真感光体に対してその長手方向にスラストさせ、電位付与性をより均一にさせることもできる。更に、第二補助帯電手段8は接地させるか、あるいは必要に応じてバイアスを印加させることもできる。
本発明の電子写真プロセス速度は、サイクルタイムで表される。これは、電子写真感光体が1回転するのに要する時間(秒)を意味する。本発明のようなクリーナーレス方式の電子写真装置では、高速化に対応するようにサイクルタイムを0.3〜0.7秒に設定した場合、上述の課題が顕著に発生し易く、改善が困難になる。サイクルタイムが0.7秒を超える範囲は、従来の電子写真プロセスの速度よりも速い範囲であれば、上述の課題が発生する可能性はあるが、サイクルタイムが0.3〜0.7秒の場合に比べれば改善は困難ではない。サイクルタイムが0.3秒未満では、電子写真プロセスの速度が速過ぎて、転写残トナーの回収が完全に追いつかなくなるため、クリーナーレス方式自体が成り立たなくなる。本発明では、電子写真装置に用いる電子写真感光体が上記一般式(1)あるいは(2)で示される連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合あるいは架橋して硬化させた最表面層を有することで、本発明のクリーナーレス方式が成立する任意のサイクルタイムにおいて上述の課題を改善でき、特に0.3〜0.7秒に設定した場合においても上述の課題を効果的に改善できる。
次に、本発明の電子写真装置に用いる電子写真感光体について説明する。
本発明で用いる電子写真感光体は、少なくとも表面層が放射線照射により連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合又は架橋し硬化させた樹脂を含有する電子写真感光体である。
電子写真感光体の構成は、導電性支持体上に感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層及び電荷輸送材料を含有する電荷輸送層をこの順に積層した構成、又は電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型においては電荷輸送層が二層以上の構成、また後者の単層型においては電荷発生材料と電荷輸送材料を同一に含有する感光層上に更に電荷輸送層を構成してもよい。更には、最表面層に保護層の形成も可能である。これらいずれの場合においても、先の連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物及び/あるいは先の電荷輸送性化合物を重合・硬化したものを感光層の最表面層が含有していればよい。ただし、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層/電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の電子写真感光体構成が好ましく、本発明の利点も電荷輸送能を低下させることなく表面層の高耐久化が可能になった点にある。
本発明における連鎖重合性官能基を有する化合物は、電荷輸送化合物であり、公知の電荷輸送化合物の一部に連鎖重合性官能基を付加した化合物であればよい。公知の電荷輸送化合物の例としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物及びトリフェニルアミン化合物等が挙げられるが特に限定されるものではなく、電荷輸送能を有する化合物であればいかなる化合物も使用可能である。
本発明では、連鎖重合性官能基を有する化合物として、一般式(2)で示される電荷輸送性化合物を用いる。なお、一般式(1)で示される化合物も電荷輸送性化合物であり、ここでは参考例として説明する。
一般(1)及び(2)中、Ar、Ar、Ar及びArは置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar 、Ar 、Ar 及びAr 同一でも異なってもよい。Arは置換基を有してもよいフェニル基を示す。Ar、Ar、Ar及びArの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。Arの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。但し、Arのみに直接又は有機残基を介して下記一般式(4)〜(8)の何れかで示される連鎖重合性官能基を2つ以上有する。
Zは酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、−CH=CH−、−CH−CH−及び上記一般式(3)で示される基の何れかを示す。nは0又は1を示し、nが0のときは結合を有さない
一般式(3)中、R及びRは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は水素原子を示す。R 及びR 置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。R 及びは同一でも異なってもよい。
〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は下記一般式(9)で示される基を示す。〜Rは同一でも異なってもよい。但し、R〜Rのうち2つ以上は下記一般式(9)で示される基である。
一般(9)中、Xは置換基を有してもよい2価の有機残基を示す。X 置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。aは0又は1を示す。P上記一般式(4)〜(8)の何れかで示される連鎖重合性官能基を示す
その中でも特に前述の課題を解決するには、一般式(10)で示される電荷輸送性化合物であることが好ましい。
一般(10)中、Ar及びArは置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar 及びArは同一でも異なってもよい。Ar 及びArの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。は置換基を有してもよい2価のアルキレン基又は酸素原子を示す。X 置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。b=0又は1である。R〜Rは置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、水素原子又は記一般式(3)で示される基を示す。〜Rは同一でも異なってもよい。R〜Rの置換基としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、ハロゲン原子及び前記一般式(3)で示される基の何れかから選ばれる。但し、R〜Rの何れか2つ以上は記一般式(4)〜(8)の何れかで示される連鎖重合性官能基を有する。
なお、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物は、反応性の高さ、反応速度の速さ、放射線照射による硬化によって達成される硬度の高さの観点から、一般式(4)あるいは(5)で示される連鎖重合性官能基を持つ化合物であることが特に好ましい。
本発明に用いることのできる放射線照射により重合又は架橋し硬化さることが可能な連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の例を表1及び表2に示すが、これらに限られるものではない。表1は、参考例としての、一般式(1)で示される電荷輸送性化合物の例であり、表2は一般式(2)で示される電荷輸送性化合物の例である。
本発明では、前記のように同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する特定の電荷輸送性化合物を重合あるいは架橋し硬化させることで、その感光層中において電荷輸送能を有する化合物は、二点以上の架橋点をもって三次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれている。従来より知られている硬化膜は、二つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を電子線や紫外線照射あるいは熱により重合あるいは架橋し硬化させた点では同じであるが、殆ど何れの電荷輸送性化合物も三次元架橋構造膜の主鎖に直接組み込まれる形態になっている。このように電荷輸送性化合物が主鎖に組み込まれた三次元架橋構造膜である場合、電荷輸送性化合物が膜中に均一に且つ同じ状態で配置を取ることが難しくなる。すなわち、電荷輸送性化合物は重合あるいは架橋して硬化すると、それらは捩れが生じたまま強固に固定されているために膜中で同様の立体配座を取ることができず、エネルギー準位の異なった電荷輸送性化合物が膜中に存在し、電荷の移動速度が不揃いになると考えられる。このような状態で、転写手段や第二補助帯電手段より強いプラスバイアスが感光層に印加されると、プラス電荷の移動速度が遅い部位にてプラス電荷がトラップされ、プラスメモリーが感光層中に保持されてしまう。これが原因となって、第一補助帯電手段による転写残トナーのマイナス帯電制御が阻害され、帯電手段の汚れによる画像欠陥といった前記課題を引き起こすことになる。また、このプラスメモリーが原因で現像手段における転写残トナーの除去・回収を妨げたり、感度悪化を招く場合もあることは前に述べた通りである。
しかしながら、本発明の電子写真装置に用いる電子写真感光体の最表面層では、三次元架橋構造膜の主鎖に直接組み込まれることなく、硬化後でもある程度膜中で自由に動ける状態の電荷輸送性化合物が含有されているために、前記のようなプラス電荷のトラップが起こり難く、プラスメモリーに起因した前記課題を改善することができる。これは、本発明に用いる電荷輸送性化合物が、通常の低分子の電荷輸送性化合物と同様の熱力学的により安定な配座を膜中で均一に取ることができるようになったためと考えられる。中でも電荷輸送能が優れているトリアリールアミン化合物の三つのアリール基中、最低でも二つ以上のアリール基には連鎖重合性官能基が含有されていないことが電荷輸送能に与える影響という点で非常に重要である。更には機械的強度を十分確保しつつ、その効果を十分に発現するためには、例えば一般式(10)で示される特定構造を有した二つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物が極めて好ましい。少なくとも表1及び表2に示した電荷輸送性化合物を用いることで、前記課題を改善できることが見出されている。
このように本発明に用いる連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物が三次元硬化を取った場合、従来の主鎖に電荷輸送材料が組み込まれた場合とは異なり、電荷輸送材料の捩れが低減し熱力学的により安定な配置を取ることができるため、従来の系に比べて十分に電荷輸送能が向上して電荷のトラップのない電気的特性を示すと共に良好な機械的耐久性を維持することが可能となった。
前記電荷輸送性化合物は、それのみを重合あるいは架橋し硬化させるあるいは他の連鎖重合性基を有する化合物と混合させることの何れもが可能であり、その種類/比率は全て任意である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物とは、連鎖重合性基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマーの何れもが含まれる。電荷輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が同一の基あるいは互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合三次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は二つ以上の三次元硬化物の混合物あるいは主成分の三次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体あるいはその硬化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率/製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(Inter Penetrating Network)すなわち相互進入網目構造を形成することも可能である。
また前記電荷輸送性化合物と連鎖重合性基を有しない単量体あるいはオリゴマー/ポリマーや連鎖重合性以外の重合性基を有する単量体あるいはオリゴマー/ポリマー等から感光層を形成してもよい。
更に、場合によっては三次元架橋構造に化学結合的に組み込まれない化合物、すなわち連鎖重合性官能基を有しない電荷輸送性化合物を含有することも可能である。また、その他の各種添加剤やその他の潤滑剤等を含有してもよい。
本発明の電子写真装置に使われる電子写真感光体は、円筒状の導電性支持体上に形成される。電子写真感光体が有する支持体は、円筒状の形状で且つ導電性を有するものであればよい。例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレススチール等の金属や合金を円筒状成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔を円筒状プラスチックにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化錫等を円筒状プラスチックに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、円筒状プラスチック及び紙等が挙げられる。
本発明においては導電性支持体の上には、バリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。これらは、それぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μm程度が好ましい。
本発明の電子写真装置に使われる電子写真感光体が機能分離型である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε、X型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及びアモルファスシリコン等が挙げられる。
機能分離型電子写真感光体の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着剤樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等の方法で充分に分散し、分散液を塗布、乾燥されて形成されるか、又は前記電荷発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
結着樹脂の例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体や共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明における前記連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として、もしくは電荷発生層上に電荷輸送材料と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に電荷輸送能力を有する表面保護層として用いることができる。いずれの場合も前記表面層の形成方法は、前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合/硬化反応をさせるのが一般的であるが、前もって該電荷輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に再度溶剤中に分散あるいは溶解させたもの等を用いて、表面層を形成することも可能である。これらの溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着やプラズマ等の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本発明において連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物は、放射線により重合・硬化させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。ただし、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。この際使用する放射線とは、電子線又はγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することが出来る。電子線を照射する場合、本発明の電子写真装置に用いる電子写真感光体においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は250V以下が好ましく、最適には150V以下である。また電子線の吸収線量は1×10〜1×10Gyであることが好ましく、更には5×10〜5×10Gyが好ましい。吸収線量が1×10Gyに満たないと表面層を十分に硬化し難くなり、1×10Gyを超えると感度や残留電位の特性が悪化し易くなり注意が必要である。また、電子線照射時間内での電子写真感光体の回転数は、2回以上10回転以下が好ましい。1回では均一性が低下し、10回を超えると、表面層の硬化性が低下する。図4に電子写真感光体を作製するために用いられる電子線照射装置の概略構成図を示す。
前記連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の前記電荷輸送性化合物の量は、前記一般式(1)あるいは(2)で示される連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物から連鎖重合性官能基の替わりに水素を付加させた化合物として計算した場合、該水素付加物が重合硬化後の電荷輸送層膜の全質量に対して、分子量換算で20%以上が好ましく、特には40%以上含有されていることが好ましい。20%未満であると電荷輸送能が低下し、感度悪化及び残留電位の上昇等の問題点が生ずる。この場合の電荷輸送層としての膜厚は1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
前記電荷輸送性化合物を電荷発生層/電荷輸送層上に表面保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送材料、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を前述の公知の方法によって塗布、乾燥して形成することができる。この場合の電荷輸送材料と結着樹脂の比率は、電荷輸送材料の質量が全質量の30〜100%であることが好ましく、より好ましくは50〜100%の範囲で選択される。電荷輸送材料の量がそれ以下であると、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇等の問題点が生ずる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚1〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜30μmの範囲で調整される。
本発明は上述のいずれの場合においても、前記連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物の硬化物を含有する感光層に、前記電荷輸送材料を含有することが可能である。
単層型感光層の場合は、前記電荷輸送性化合物を含む溶液中に同時に電荷発生材料が含まれることになり、この溶液を適当な下引き層あるいは中間層を設けてもよい導電性支持体上への塗布後に重合あるいは架橋し硬化させて形成される場合と、導電性支持体上に設けられた電荷発生材料及び電荷輸送材料から構成される単層型感光層上に前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合あるいは架橋し硬化させる場合のいずれもが可能である。
本発明における感光層には、各種添加剤を添加することができる。該添加剤とは、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の劣化防止剤やフッ素含有樹脂微粒子等の潤剤等である。
以下に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
参考例1)
図1は補助帯電手段を一つ備えた本発明の電子写真装置である。電子写真プロセスのサイクルタイムは0.5秒となるようにした他、各手段の条件は温度23℃/湿度50%RHの環境下で設定した。
a)帯電手段
2は電子写真感光体1の周面を一様に帯電処理する帯電手段としての接触帯電手段(接触帯電器)であり、本例は帯電ローラ(ローラ帯電器)である。
図1に示すように帯電ローラ2は、芯金2aの両端部をそれぞれ不図示の軸受け部材により回転自在に保持させると共に、押し圧ばね2eによって電子写真感光体方向に付勢して電子写真感光体1の表面に対して所定の押圧力を持って圧接させており、電子写真感光体1の回転に従動して回転する。電子写真感光体1と帯電ローラ2との圧接部が、帯電部(帯電ニップ部)aである。
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加されることにより回転する感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。本例において、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、
直流電圧;−550V
交流電圧;周波数f:1700Hz、ピーク間電圧;Vpp=1450V
このとき、電子写真感光体1の周面は−550V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
帯電ローラ2の長手長さは320mmであり、図3の層構成模型図のように、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dを下から順次に積層した3層構成である。下層2bは帯電音を軽減するための発泡スポンジ層であり、中間層2cは帯電ローラ全体として均一な抵抗を得るための導電層であり、表層2dは電子写真感光体1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
より具体的には、本例の帯電ローラ2の仕様は下記のとおりである。
芯金2a;直径6mmのステンレス丸棒
下層2b;カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm、体積抵抗値10〜10Ω・cm、層厚3.0mm、長さ320mm
中間層2c;カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値10〜10Ω・cm、層厚700μm
表層2d;フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散、体積抵抗値10〜1010Ω・cm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRa)、1.5μm、層厚10μm
図3において、2fは帯電ローラクリーニング部材であり、本例では可撓性を持つクリーニングフィルムである。このクリーニングフィルム2fは、帯電ローラ2の長手方向に対し平行に配置され且つ同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材2gに一端を固定され、自由端測近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成するよう配置されている。支持部材2gが、プリンターの駆動モーターによりギア列を介して長手方向に対し一定量の往復運動駆動されて帯電ローラ表層2dがクリーニングフィルム2fで摺擦される。これにより帯電ローラ表層2dの付着汚染物(微粉トナーや外添剤等)の除去がなされる。
b)情報書き込み手段
図1において、3は帯電処理された電子写真感光体1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置であり、本例は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。不図示の画像読み取り装置等のホスト装置からプリンター側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して回転する電子写真感光体1の一様帯電処理面を露光位置bにおいてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。このレーザ走査露光Lにより電子写真感光体1面のレーザ光で照射されたところの電位が低下することで、回転電子写真感光体1面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
c)現像手段
図1において、4は電子写真感光体1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
4aは現像容器、4bは非磁性の現像スリーブであり、この現像スリーブ4bはその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配設してある。4cは非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設したマグネットローラ、4dは現像剤コーティングブレード、4eは現像容器4aに収容した二成分現像剤、4fは現像容器4a内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、4gはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
現像容器4a内の二成分現像剤4eは、トナーと磁性キャリアの混合物であり現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。本例において磁性キャリアの抵抗は、約1013Ω・cm、粒径は約40μmである。トナーは磁性キャリアとの摺擦によりマイナス極性に摩擦帯電される。
現像スリーブ4bは、電子写真感光体1との最近接距離(S−Dgapと称する)を350μmに保たせて電子写真感光体1に近接させて対抗配設してある。この電子写真感光体1と現像スリーブ4bとの対向部が現像部cである。現像スリーブ4bは、現像部cにおいて電子写真感光体1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。この現像スリーブ4bの外周面に該スリーブ内のマグネットローラ4cの磁力により現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持され、該スリーブの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像部cにおいて感光ドラム1の面に対して接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。現像スリーブ4bには電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、直流電圧;−370Vと交流電圧;1600Vとを重畳した振動電圧である。
而して、回転する現像スリーブ4bの面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって電子写真感光体1面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は、電子写真感光体1面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。このとき電子写真感光体上に現像されたトナーの帯電量は−25μC/gである。
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が不図示の例えば光学式トナー濃度センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは、攪拌部材4fにより攪拌される。
d)転写手段・定着手段
図1において、5は転写手段であり、本例は転写ローラである。この転写ローラ5は、電子写真感光体1に所定の押圧力をもって圧接させており、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて転写材(被転写部材、記録材)Pが給送される。
転写部dに給送された転写材Pは、回転する電子写真感光体1と転写ローラ5の間に狭持されて搬送され、その間、転写ローラ5に電源S3からトナーの正規帯電極性であるマイナス極性とは逆極性であるプラス極性の転写バイアス、本例では+2.25kVが印加されることで、転写部dを狭持搬送されていく転写材Pの面に電子写真感光体1面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた転写材Pは、回転する電子写真感光体1面から順次に分離されて定着手段6(例えば熱ローラ定着手段)へ搬送されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
e)クリーナーレスシステム及びトナー帯電量制御
本例のプリンターは、クリーナーレスであり転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1面に若干量残留する転写残トナーを除去する専用のクリーニング装置は具備させていない。転写後の電子写真感光体1面上の転写残トナーは、引き続く電子写真感光体1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに持ち運ばれて、現像装置4により現像同時クリーニング(回収)される(クリーナーレスシステム)。
参考例においては現像装置4の現像スリーブ4bは、前述したように現像部cにおいて電子写真感光体1面の進行方向とは逆方向に回転させており、これは電子写真感光体1上の転写残トナーの回収に有利である。
電子写真感光体1上の転写残トナーは、感光部bを通るので露光工程はその転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
ただ、前述のように、転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが帯電部aを通過する際に帯電ローラ2に付着することで帯電ローラが許容以上にトナー汚染して帯電不良を生じることになる。
また、電子写真感光体1面上の転写残トナーの現像装置4による現像同時クリーニングを効果的に行わせるためには、現像部cに持ち運ばれる電子写真感光体1上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置によって電子写真感光体1の静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては、電子写真感光体上から現像装置に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
また、近年のユーザニーズの多様化に伴い、写真画像のような高印字率の画像等の連続の印字動作等により、一度に大量の転写残トナーの発生により、上述のような問題を更に助長させてしまうのである。
そこで本参考例においては、転写部dよりも電子写真感光体回転方向下流側の位置において、転写残トナーの帯電極性を正規極性であるマイナス極性に揃えるための第一補助帯電手段7(トナー帯電量制御手段)を設けている。第一補助帯電手段7は、適度の導電性を持ったブラシ状部材であり、ブラシ部を電子写真感光体1面に接触させて配設してあり、マイナス極性の電圧が電源S4より印加されている。
転写残トナーの帯電極性を正規極性であるマイナス極性に揃えることにより、更に下流に位置する帯電部aにて、該転写残トナーの上から電子写真感光体1面上を帯電処理する際に、転写残トナーが電子写真感光体1から帯電ローラ2へ付着するのを防止する。このために転写残トナーに必要な帯電量は、現像時のトナー帯電量と比較すると2.2倍以上必要である。
ここで、第一補助帯電手段7への印加電圧と、第一補助帯電手段7を通過後のトナー帯電量の関係を図6に示す。第一補助帯電手段7に電圧を印加させていないときは、上述したように、転写残トナーには画像部のマイナス極性トナー、非画像部のプラス極性トナー、転写のプラス極性の電圧に影響され極性がプラス極性に反転してしまったトナーが含まれるため、帯電量は不定である。また、第一補助帯電手段7に電圧を印加させていくことにより、トナー帯電量制御手段7を通過した後のトナー帯電量は増加していき、ある値以上において飽和していく。本参考例において使用したトナーにおいて、飽和したときの帯電量は約−90μC/gであった。
次に、転写残トナーが帯電部aに進入する前の転写残トナー量を1としたときの、転写残トナー帯電量と帯電ローラ2への付着量の関係を表したグラフを図7に示す。転写残トナーの帯電量を大きくすることによって、付着量が低下していることがわかる。また、このときの転写残トナーの帯電ローラ2への付着による帯電不良画像の発生は、転写残トナーの帯電量が−55〜0μC/gである時に発生した。
よって、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止し帯電不良画像の発生を抑制するためには、転写残トナーの帯電量が現像時のトナー帯電量の2.2倍以上必要であることがわかる。
参考例においては、第一補助帯電手段7への印加電圧は−820Vとし、第一補助帯電手段7を通過後の転写残トナーの帯電量は、−75μC/gとした。
次に、現像工程における転写残トナーの回収について述べる。
現像装置4は上述したとおりで、現像と同時に転写残トナーを清掃するクリーナーレス方式である。電子写真感光体1上に現像されたトナー帯電量は、前述したように本参考例においては−25μC/gである。ここで、本参考例における現像条件において、転写残トナーが現像装置4に回収されるための帯電量との関係を表3に示す。
電子写真感光体1上の転写残トナーが現像装置4に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量(−25μC/g)と比較すると0.5〜1.8倍であることが必要である。
しかしながら、上述したように帯電ローラ2へのトナー付着を防止するために、第一補助帯電手段7によって−75μC/gとマイナス極性に大きく帯電された転写残トナーを、現像装置4において回収させるためには、除電を行う必要がある。
ここで帯電量が−75μC/gの電子写真感光体1上のトナーが、帯電ローラ2を通過した後のトナー帯電量と、帯電ローラ2への印加交流電圧のVppとの関係を図8に示す。交流電圧のVppを大きくするにつれ、除電されていることが分かる。
帯電ローラ2には電子写真感光体1の周面を帯電処理するために、交流電圧(周波数f:1700Hz、Vpp:1450V)が印加されていることにより、転写残トナーは交流除電されるのである。よって、帯電部aを通過後のトナー帯電量は−28μC/gとなる。現像工程においては、トナーが現像されるべきではない電子写真感光体1上の転写残トナーは、上記の理由で現像装置4に回収される。
このように、転写部dから帯電部aへ持ち運ばれる電子写真感光体1上の転写残トナーの極性を第一補助帯電手段7で正規極性であるマイナス極性に揃えて帯電処理することで転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止しつつ、帯電ローラ2で電子写真感光体1を所定の電位に帯電すると同時に、上記の第一補助帯電手段7で正規極性であるマイナス極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって電子写真感光体の静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御することで現像装置での転写残トナーの回収も効率的になされるもので、これにより、帯電不良や不良画像がなく、かつクリーナーレスシステムのメリットを生かした電子写真装置を提供できる。
次に、本発明に用いた電子写真感光体について述べる。
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部(質量部、以下同様)、フェノール樹脂25部、メタノール25部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.002部をφ1mmガラスビーズ入りサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥して、膜厚が20μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記導電層上に浸漬塗布方法によって塗布し、100℃で20分間乾燥し、膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶3.5部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBH−S、積水化学工業社製)1部をシクロヘキサノン120部に添加し、1mmφガラスビーズ入りサンドミルで3時間分散し、これにメチルエチルケトン120部を加えて希釈して作製した電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記中間層上に浸漬塗布方法で塗布して、100℃で15分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、表1の化合物例1−9の化合物40部をジクロロメタン20部/トルエン40部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この電荷輸送層用塗料を前記電荷発生層上に浸漬塗布方法で塗布し、50℃で10分間乾燥後、図4に示す電子線照射装置を用いて電子線を照射した。サンプルは電子線照射窓部の下部までベルトコンベアーで搬送され、照射部で搬送を止めサンプルを回転しながら照射した(照射開始時のドラム温度は約25℃)。照射終了後、再び搬送され外部に搬出される。このとき、電子線照射部における有効電子線照射幅(サンプル面での電子線密度分布において、そのピーク位置の1/e以上)である幅は4cmであった。電子線照射条件は、吸収線量率3×10Gy/sec(有効電子線照射幅内での吸収線量/サンプル面上の任意の一点が有効電子線照射幅内に存在する時間)、加速電圧150V、吸収線量(電子線照射工程においてサンプルが受ける全吸収線量)3×10Gyであった。尚、電子線の照射開始から終了までの時間は1.5秒であった。以上の条件にて電子線を照射し化合物を硬化することにより膜厚が18μmの電荷輸送層を形成し、更に150℃で1時間加熱処理を行って電子写真感光体を作製した。
このようにして作製した電子写真感光体を上述の電子写真装置に装着し、温度28℃/湿度50%RHの環境下において40000枚の通紙耐久を行い、耐久前後のドラム削れ量、特性(暗部電位、暗減衰)及び画像(ハーフトーン、ベタ白画像)の評価を行った。暗減衰は電子写真感光体表面を帯電手段により一旦帯電させ、電源を切ってから10秒経過後の表面電位の変化量で示した。画像は各パターンについて連続モードでそれぞれ連続5枚を作製した。通紙耐久はプリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。なお、削れ量の測定には、渦電流式膜厚計(カールフィッシャー社製)を使用した。結果を表4に示す。なお、画像評価結果は以下のように分類した。
◎:ハーフトーン画像が鮮明であり、ベタ白画像上にカブリもない。
○:ハーフトーン画像がかすかに鮮明でない部分があり、ベタ白画像上にカブリもやや見られるが肉眼で殆ど判別できない。いずれも実用上問題ない程度である。
△:ハーフトーン画像に鮮明でない部分が部分的にあり、ベタ白画像上のカブリは肉眼でようやく判別できる程度である。
×:ハーフトーン画像に鮮明度が低く、ベタ白画像上にカブリもはっきりと見られる。
参考例2及び3)
参考例1で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物1−9を化合物1−27、2−32にそれぞれ代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
参考例4)
参考例2で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.3秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を2400Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.4kV、835Vに代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
参考例5)
参考例2で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.7秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を1300Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.1kV、810Vに代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
(比較例1)
参考例1で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を下記に示される化合物(3−1)に代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例2)
比較例1で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.3秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を2400Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.4kV、835Vに代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
(比較例3)
比較例1で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.7秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を1300Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.1kV、810Vに代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
参考例1〜5では、電子写真プロセスのサイクルタイムを速く設定しても、耐久を通して良好な鮮明度のハーフトーン画像、転写残トナーの回収性及び良好な電子写真特性が得られることがわかった。
比較例1〜3では、電子写真プロセスのサイクルタイムを速く設定すると、帯電手段の汚染に起因したハーフトーン画像の鮮明度低下、転写残トナーの回収性悪化に起因したカブリや電子写真特性の悪化が見られた。
参考例6
参考例1で使用した電子写真装置を図2で示されるように補助帯電手段を二つ有する電子写真装置に代えた。すなわち、転写部dよりも電子写真感光体回転方向下流側であり且つ第一補助帯電手段7よりも上流の位置において、電子写真感光体1上の転写残トナーを均一化するための、第二補助帯電手段8(転写残トナー均一化手段)を設けた。前にも述べたが、第二補助帯電手段8を設けることにより、転写部dからトナー帯電量制御手段7へ持ち運ばれる電子写真感光体1上のパターン状の転写残トナーはトナー量が多くても、そのトナーが電子写真感光体1面に分散安定化され、非パターン化されるので、第一補助帯電手段7の一部にトナーが集中することがなくなり、該第一補助帯電手段7による転写残トナーの全体的な正規極性への帯電処理が常に十分になされて、転写残トナーの帯電ローラ2への付着が効果的に防止される。なお、第二補助帯電手段8の部材は、参考例1の第一補助帯電手段7と同様に適度の導電性を持ったブラシ状部材用い、ブラシ部を電子写真感光体1面に接触させて配設した。fは第二補助帯電手段8と電子写真感光体1面の接触部であり、eは第一補助帯電手段7と電子写真感光体1面の接触部である。また、第二補助帯電手段8にはプラス極性の電圧として、+360Vを電源S5より印加した。
ここで、第二補助帯電手段8の作用について説明する。転写部dにおける転写材Pに対するトナー画像転写後の電子写真感光体1上に残留の転写残トナーは、引き続く電子写真感光体1の回転で第二補助帯電手段8と電子写真感光体1との接触部fに至り、一旦第二補助帯電手段8に吸引する。ところが、第二補助帯電手段8が抱え得るトナー量には限界があるため、飽和状態に達した後は徐々にトナーが離脱して電子写真感光体1面に付着して搬送されるが、電子写真感光体1面におけるトナーの付着状態、すなわち電子写真感光体1面に付着するトナーの分布は均一化されるのである。
第二補助帯電手段8で均一化された電子写真感光体面上の転写残トナーは、引き続き電子写真感光体1の回転で第一補助帯電手段7と電子写真感光体1との接触部eに至り、この第一補助帯電手段7を通過する電子写真感光体1上の転写残トナーは、その帯電極性が正規極性であるマイナス極性に揃えられる。
更に、参考例1で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物1−9を化合物1−1に代えた以外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
参考例7〜11、14、15、実施例12、13
参考例6で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物1−1を化合物1−9、1−12、1−27、1−31、1−34、2−1、2−8、2−32、2−49にそれぞれ代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
参考例16、17、実施例18
参考例6、9、実施例12で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.3秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を2400Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段、第二補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.4kV、835V、+380Vに代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
参考例19、20、実施例21
参考例6、9、実施例12で使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.7秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を1300Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段、第二補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.1kV、810V、+350Vに代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例4)
参考例6で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を化合物(3−1)に代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例5)
参考例6で使用した連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を下記に示される化合物(3−2)に代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例6)
比較例4で使用した使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.3秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を2400Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段、第二補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.4kV、835V、+380Vに代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(比較例7)
比較例4で使用した使用した電子写真装置の電子写真プロセスのサイクルタイムを0.7秒に代え、帯電手段に印加する交流成分の周波数を1300Hzに代え、更に転写手段、第一補助帯電手段、第二補助帯電手段への印加バイアスをそれぞれ+2.1kV、810V、+350Vに代えた以外は、参考例6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
参考例6〜11、14、15、16、17、19、20、実施例12、13、18、21では、電子写真プロセスのサイクルタイムを短く設定しても、耐久を通して良好な鮮明度のハーフトーン画像、転写残トナーの回収性及び良好な電子写真特性が得られることがわかった。

比較例4、6及び7では、電子写真プロセスのサイクルタイムを短く設定すると、帯電手段の汚染に起因したハーフトーン画像の鮮明度低下、転写残トナーの回収性悪化に起因したカブリや電子写真特性の悪化が見られた。また、比較例5では耐久20000枚付近からキズ起因のスジ状の画像欠陥が発生したため、耐久を中止した。
本発明の電子写真装置の概略構成模型図である。 補助帯電手段を2つ持つ実施例の電子写真装置の概略構成模型図である。 電子写真感光体と帯電ローラの層構成模型図である。 本発明の実施例で用いた電子線照射装置の概略図である。 本発明の電子写真装置に用いる電子写真感光体構成を示す図である。 第一補助帯電手段に対する印加電圧と転写残トナーの帯電量の関係図である。 転写残トナーの帯電量と帯電ローラに対するトナー付着量の関係図である。 帯電ローラを通過した後のトナー帯電量と印加交流電圧(Vpp)との関係図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
1a 支持体(アルミニウムシリンダー)
1b 導電層
1c 中間層
1d 電荷発生層
1e 電荷輸送層
1f 表面保護層
2 帯電手段(帯電ローラ)
2a 芯金
2b 下層
2c 中間層
2d 表層
2e 押し圧ばね
2f クリーニング部材
2g 支持部材
3 レーザビームスキャナ
4 現像装置
5 転写ローラ
6 定着手段
7 第一補助帯電手段(トナー帯電量制御手段)
8 第二補助帯電手段(転写残トナー均一化手段)
10 電子線発生部
12 電子線発生ターミナル
12a フィラメント
12b ガン構造体
12c グリッド
14 加速管
20 照射室
22 照射空間
30 照射窓部
32 窓箔
34 窓枠構造体
A 電子写真感光体の移動方向
B 電子線照射時の電子写真感光体回転方向
S1〜S5 バイアス電圧印加電源

Claims (4)

  1. 支持体及び該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体の周りに配置された帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、
    該転写手段の下流かつ該帯電手段の上流の位置に、該電子写真感光体に接触して配置された、該電子写真感光体の表面の転写残トナーを該帯電手段と同一極性に帯電処理する補助帯電手段、該転写手段の下流かつ該補助帯電手段の上流の位置に、該電子写真感光体に接触して配置された、該電子写真感光体の表面の転写残トナーを均一化するとともに帯電処理する第二補助帯電手段を備え、かつ、該補助帯電手段によって帯電処理された転写残トナーが該現像手段において回収される電子写真装置において、
    該電子写真感光体の最表面層が、下記一般式(2)で示される電荷輸送性化合物を重合あるいは架橋して硬化させた層であることを特徴とする電子写真装置。
    (一般式(2)中、Ar及びArは置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar 及びArは同一でも異なってもよい。Ar及びArの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。Zは酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、−CH=CH−、−CH−CH−及び上記一般式(3)で示される基の何れかを示す。nは0又は1を示し、nが0のときは結合を有さない。一般式(3)中、R及びRは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は水素原子を示す。R及びRの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。R及びRは同一でも異なってもよい。R〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基又は下記一般式(9)で示される基を示す。R〜Rは同一でも異なってもよい。但し、R〜Rのうち2つ以上は下記一般式(9)で示される基である。)
    (一般式(9)中、Xは置換基を有してもよい2価の有機残基を示す。Xの置換基としてはアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子の何れかから選ばれる。aは0又は1を示す。Pは上記一般式(4)〜(8)の何れかで示される連鎖重合性官能基を示す。)
  2. 前記電子写真感光体が0.3〜0.7秒のサイクルタイム(1回転に要する時間)で回転駆動される請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記帯電手段による帯電極性及び前記補助帯電手段に印加される電圧の極性がともにマイナス極性であり、かつ、前記第二補助帯電手段が前記電子写真感光体の表面の転写残トナーを均一に分散分布させるとともにプラス極性で帯電処理する手段である請求項1又は2に記載の電子写真装置。
  4. 前記重合あるいは架橋が、放射線照射によって行われたものである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置。
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