JP2007156081A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し使用時にも安定して優れた電子写真特性を示し、長期間にわたりその表面性が低下することのない高耐久、高安定な電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、表面層が少なくとも酸素原子を含有し、該電子写真感光体表面と該電子写真感光体表面から該支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、該電子写真感光体表面より該支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたとき、下記数式
1.00<X/Y≦1.30
を満たすことを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、表面層が少なくとも酸素原子を含有し、該電子写真感光体表面と該電子写真感光体表面から該支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、該電子写真感光体表面より該支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたとき、下記数式
1.00<X/Y≦1.30
を満たすことを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは、表面層の酸素含有量が特定の割合である電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
従来、電子写真感光体に用いられる光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等の無機材料が知られていた。他方、有機材料であるポリビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるものの、広く用いられるようになってきた。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。
一方、当然のことながら電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、そして光学的特性を備えていることが要求される。また、特に繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、その電子写真感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、転写材への転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性や安定性が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電時のオゾンや窒素酸化物等の放電生成物に対する耐表面劣化性等が要求される。加えて、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、電子写真感光体表面の低エネルギー化が必要とされる。
一般に電子写真感光体の表面は薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が選択され、電荷輸送材料を混合させた電荷輸送層として広く実用化されている。
但し上述したような表面層は、熱可塑性のポリマーであるために機械的強度に限界があること、及び電気的特性を満たす目的で低分子の電荷輸送材料を多量に混合させているために、耐磨耗性という面で十分ではなく、種々の検討がなされている。
その一例として、硬化性の樹脂を表面保護層として用いることが有効であり、例えば特許文献1及び特許文献2には紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いた表面層が開示され、耐久性の向上が示されている。中でも、硬化性のアクリル樹脂はその反応性が高く硬化速度が速いために、各種ハードコートとして使用されており、これを電子写真感光体の表面層に用いた場合にも例えば特許文献3にあるように、十分な耐久性が得られることが示されている。
また、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、例えば特許文献4に開示されている。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い電荷輸送層を硬化、架橋することによって機械的強度が増し、繰り返し使用時の削れ性及び耐傷性が向上する。
更には、特許文献5及び特許文献6等のように、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材を熱あるいは光のエネルギーによって反応させ、電荷輸送マトリックスに化学的に結合させたり、特許文献7等においては熱可塑性高分子鎖中に電荷輸送能を有する基を導入したりすることで、電子写真感光体の表面層の機械的強度を向上させる方法が開示されている。
このような表面硬度を上げることにより、耐摩耗性や耐傷性を良化させることは可能であるが、電子写真感光体の使用時間に対する磨耗量の低下は、先に述べた放電生成物による劣化の蓄積という観点では不利な方向である点は否めず、単純に硬度を上がるだけで寿命の長い電子写真感光体を完成させたことにはならない。
表面硬度を上げて耐磨耗性が改良されると、放電生成物等の劣化蓄積は増える傾向にあり、これは電子写真感光体の長期に亘る繰り返し使用においては、クリーニング性や画像流れが厳しくなる方向である。この現象は、硬化系表面層に比べて磨耗スピードが10〜100倍程度になるポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂といった熱可塑系表面層を用いて形成されている電子写真感光体では磨耗スピードと蓄積スピードが同等か寧ろ磨耗スピードのほうが速いために、大きな問題ではなく、硬化系表面層に特に顕著な課題である。
特開昭51−66834号公報
特開昭64−72167号公報
特開昭61−5253号公報
特開平2−127652号公報
特開平5−216249号公報
特開平7−72640号公報
特開平8−248649号公報
本発明の目的は、繰り返し使用時にも安定して優れた電子写真特性を示し、長期間にわたりその表面性が低下することのない高耐久、高安定な電子写真感光体を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明に従って、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、表面層が少なくとも酸素原子を含有し、該電子写真感光体表面と該電子写真感光体表面から該支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、該電子写真感光体表面より該支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたとき、下記数式
1.0<X/Y≦1.3
を満たすことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
1.0<X/Y≦1.3
を満たすことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
本発明によって、長期間にわたり画像流れを抑制する高安定な電子写真感光体を提供できる。また、本発明の電子写真感光体の効果は、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置においても当然に発揮され、長期間安定した性能が得られる。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明者らは、一般的な電子写真感光体の表面層のうち、表面から支持体へ向かう鉛直方向0.5μm地点までの最表面部の酸素原子量は、表面層の最表面部を除いた部位の酸素原子量と比較すると突出して大きいことを確認した。最表面部の酸素原子量が大きい要因は、電子写真感光体の表面層成膜時の酸素の取り込み、及び成膜後の酸化が考えられる。この最表面部の酸素は、電子写真感光体帯電プロセス時の放電によりラジカル等の活性点になり易く、電子写真感光体表面の放電劣化を促進する作用やオゾン、窒素酸化物等の放電生成物を吸着、蓄積し易い性質を持ち、繰り返し使用におけるクリーニング性や画像流れに対する悪化作用を持つものと推察し、鋭意検討した結果、最表面部の酸素原子量を低減し、表面層を形成する部材の酸素原子組成の理論値に近い表面層の最表面部を除いた部位の酸素原子量により近づけることによって、繰り返し使用時においても放電生成物等による劣化作用を抑制し、高耐久、高安定な電子写真感光体が得られることがわかった。
つまり、本発明は、電子写真感光体表面と電子写真感光体表面から支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、電子写真感光体表面より支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたとき、1.00<X/Y≦1.30を満たすことが必須で、1.3を超えると上記で説明したように繰り返し使用時においても放電生成物等による劣化により画像流れ等が発生する。好ましくは1.00<X/Y≦1.21の範囲である。
本発明における表面層中の酸素原子の検出については、表面層を浅い角度で斜めに切り出し、実効測定面積を広くした上でXPS(ESCA)やTOF−SIMS等の分析手段により検出することができる。
一般にこれらの分析手法の分解能は数10〜100μmだが、切り出し角をθ(度)、表面層の膜厚をd(μm)としたとき、実効分析長:l(μm)はl=d/sinθとなるため、θが1度以下では、lを実際の表面層膜厚の50倍以上としてサンプリングでき、膜厚方向に対しても詳細かつ正確な分析が可能となる。
本発明は、特に反応性モノマーを硬化することで形成された表面層を有する電子写真感光体で重要である。即ち、反応性モノマーを硬化することで形成された表面層は表面硬度が高く、電子写真プロセス中における電子写真感光体表面層の磨耗スピードは一般的に使用される熱可塑系有機電子写真感光体よりも10分の1〜100分の1程度とかなり遅くなる。それ故に放電生成物の蓄積が起こり易く、電子写真感光体が長期に亘り繰り返し使用された状態においては、初期の表面状態とは異なり放電生成物や水分が付着し易く、更には一旦付着した成分の脱離もし難くなる。従って放電生成物の吸着、蓄積や電子写真感光体表面の放電劣化を促進する作用を持つ表面偏在の酸素原子を低減し、最表面部を除いた部位の酸素原子量により近づけることが、繰り返し使用時においても放電生成物等による劣化作用を抑制し、高耐久、高安定な電子写真感光体を得るために必要である。
また、最表面部の酸素原子量が大きいことによる繰り返し使用におけるクリーニング性や画像流れに対する悪化作用は、連鎖重合性官能基を有するモノマーを放射線により硬化させた表面層、及びヒドロキシメチル基の縮合反応により硬化させた表面層においてより顕著である。
ここで連鎖重合性官能基について詳しく説明する。本発明における連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは技報堂出版 三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明されているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。ここでは、その大半を占め応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重合性官能基の具体例を示す。
不飽和重合とは、ラジカルやイオン等によって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。不飽和重合性官能基の具体例を表1に示すがこれらに限定されるものではない。
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が触媒の作用で活性化され、開環すると同時に重合を繰り返し鎖状高分子物を生成する反応であるが、この場合、基本的にはイオンが活性種として作用するものが大部分である。開環重合性官能基の具体例を表2に示すがこれらに限定されるものではない。
表中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子を示す。
以下に本発明に関わる、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の代表例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
また、以下にヒドロキシメチル化したフェノール基を有す正孔輸送材料の代表例を挙げるが、本発明はこれらの正孔輸送材料に限定されるものではない。
本発明における電子写真感光体を得る手段として、
(1)表面層成膜後の表面を支持体に向かう鉛直方向に0.5μm以上減耗すること、
(2)表面層が真空或いは酸素濃度50ppm以下の不活性ガス雰囲気下において20分間以上の時間をかけて硬化すること、
を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(1)表面層成膜後の表面を支持体に向かう鉛直方向に0.5μm以上減耗すること、
(2)表面層が真空或いは酸素濃度50ppm以下の不活性ガス雰囲気下において20分間以上の時間をかけて硬化すること、
を挙げるが、これらに限定されるものではない。
一般的な電子写真感光体の表面層のうち、表面から支持体へ向かう鉛直方向0.5μm地点までの最表面部の酸素原子量は、表面層の最表面部を除いた部位の酸素原子量と比較すると突出して大きいことから、表面層成膜後の表面を支持体に向かう鉛直方向に0.5μm以上減耗することにより、酸素原子量が大きく偏在している部分を取り除くことで、本発明の電子写真感光体を得ることが可能となる。この手段に依れば、成膜時における酸素原子の取り込み分のほか、成膜工程から減耗工程を実施するまでの間に酸化された分についても取り除くことが可能となる。減耗を行う具体的手段としては機械式研磨等が挙げられるがこれに限定されるものではない。減耗する膜厚量は、渦電流式膜厚計(フィッシャーインスツルメント社製、Fischerscope)により減耗前後の膜厚を測定することにより求めることができる。
また、成膜時の酸素原子の取り込み量を減少させることで本発明の電子写真感光体を得る手段として、該表面層が真空或いは酸素濃度50ppm以下の不活性ガス雰囲気下において20分間以上の時間をかけて硬化することが挙げられる。酸素濃度極小雰囲気(50ppm以下)下において成膜することで表面層成膜中の表面近傍の酸素原子存在量が少なく、膜内への酸素原子の取り込み量を抑えることが可能となる。
また、上記手段の他に高い表面移行性を有する添加剤を電子写真感光体中に導入し表面近傍に高い濃度で存在させることによって表面近傍の酸素原子量を抑制することも考えられる。例えば、フッ素系、シリコーン系の化合物等、電子写真感光体へのトナー付着防止能や優れたクリーニング性、転写性を付与させるために潤滑性を有する材料を使用することが一般的に知られている。しかしこれらの材料は、そもそも感光層に用いられている構成材料との相溶性が低かったり、塗工液にした場合の溶解性や液安定性が乏しかったり、また塗工性が非常に悪化したり、成膜時あるいは成膜後に層分離を起こし易い。また、このような添加剤を表面近傍に高濃度に配置させることによって、繰り返し使用の耐久により電子写真感光体が非常に削れ易くなり、耐磨耗性、耐傷性に劣る等の課題も生ずる。
本発明の電子写真感光体の構成は、導電性支持体上に感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層及び電荷輸送材料を含有する電荷輸送層をこの順に積層した構成あるいは逆に積層した構成をとることが可能である。電荷輸送層が二層以上の構成、更には電荷発生層あるいは電荷輸送層上に保護層の形成も可能である。
但し、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層/電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の電子写真感光体構成が好ましく、更にその最表面層は耐摩耗性の点から3次元マトリックス構成をとっていることが好ましく、この3次元マトリックス中に反応性モノマーが化学結合を介して取り込まれていることが、最も効果的である。
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法を具体的に示す。
電子写真感光体の支持体としては導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、またプラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明においては、導電性支持体の上にはバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
下引き層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。これらは、それぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体が機能分離型である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
機能分離型の電子写真感光体の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法で良く分散し、分散液を塗布し、乾燥されて形成されるか、又は前記電荷発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
結着樹脂を用いる場合は、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
電荷輸送層は適当な電荷輸送材料、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物、マトリックスを構成する連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基を有するモノマーやオリゴマーを溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成させることができる。あるいは、前述の連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基自体を同一分子内に有する電荷輸送性材料を溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって電荷発生層上に塗布後、重合硬化させて形成することができる。
この場合の電荷輸送材料と連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基を有するモノマー及びオリゴマーの比率は、両者の全質量を100とした場合に電荷輸送材料の質量は20〜80が好ましく、特には40〜60の範囲で適宜選択されるのが好ましい。電荷輸送材料の量が20未満であると、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易い。一方、電荷輸送材料の含有量が80を超えると塗膜の機械的強度が低下し耐久性が大幅にダウンし易いので、注意が必要である。連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基自体を同一分子内に有する電荷輸送材料を用いる場合においては、電荷輸送能を低下させない範囲で他の連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基を有するモノマーやオリゴマー等、また結着樹脂を混合させることができる。電荷輸送層の膜厚は、1〜50μmが好ましく、特には5〜30μmの範囲が好ましい。
また、電荷発生材料や電荷輸送材料等の光導電性材料の含有量は感光層の全質量を100とした場合に、20〜80であることが好ましく、特には30〜70であることが好ましい。
次に、感光層上に保護層を設ける場合について説明する。まず前記電荷発生層上に、先に述べた適当な電荷輸送材料及び電荷発生層を形成する際に用いた結着樹脂を適当な溶剤に分散/溶解した塗工液を用いて形成し乾燥させ、電荷輸送層を形成させる。前述の電荷輸送材料、連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基を有するモノマーやオリゴマーを溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成させる。あるいは、連鎖重合性官能基又はヒドロキシメチル基自体を同一分子内に有する電荷輸送材料を適当な溶剤に分散/溶解した溶液を後述の公知の方法によって塗布後、重合硬化させて形成することができる。
これらの溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
次に、連鎖重合性官能基を有する化合物の重合方法について説明する。
本発明において、連鎖重合性官能基を有する化合物は熱、可視光や紫外線等の光、更に放射線により重合させることができる。熱や紫外線硬化の場合には、一般に重合開始剤を含有させる。なお、本発明においては、その中でも放射線によって該連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な3次元感光層の作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や含有している遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。但し、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。このとき使用する放射線とは電子線及びγ線であるが、特には電子線が好ましい。
電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、本発明の電子写真感光体においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。本発明において、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また線量は、好ましくは0.5Mrad〜100Mradの範囲、より好ましくは1Mrad〜50Mradの範囲である。加速電圧が300KVを超えると電子写真感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、線量が0.5Mradよりも少ない場合には硬化が不十分となり易く、線量が100Mradより多い場合には電子写真感光体特性の劣化が起こり易いので注意が必要である。
また、反応性基がヒドロキシメチル基である場合は、加熱により硬化させることができる。加熱処理による硬化反応条件は、所望の表面層硬度や表面層の膜厚、モノマーの反応性、感光層自体の熱劣化等の因子により適宜調整することが可能であるが、加熱温度は100℃〜180℃であることが好ましく、特には120℃〜165℃であることが好ましい。また、加熱温度に関して段階的な昇温/降温工程を設けてもよい。
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、原稿からの反射光であるスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の荷電粒子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
トナー画像の転写を受けた転写材7(最終転写材(紙やフィルム等)の場合)は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。転写材7が一次転写材(中間転写材等)の場合は、複数次の転写工程の後に定着処理を受けてプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナー等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応し得るが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用し得るものである。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
まず導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10質量%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
まず導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10質量%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分間乾燥することによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥することによって、膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
次に、電荷発生物質としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の28.1°に最も強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン3部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部とをシクロヘキサノン100部に添加し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これにメチルエチルケトン100部を加えて希釈して電荷発生層用塗布液を調製し、上記中間層上に、この電荷発生層用塗布液を浸漬コーティングし、90℃で10分間乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、化合物例No.6の電荷輸送性化合物(CTM)10部をトルエン9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷発生層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、硬化を開始させた後、150℃で20分間加熱することによって電荷輸送層(CTL)を硬化し、膜厚が15μmの硬化型電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
電子線照射後の加熱時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
電子線照射後の加熱時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例2及び比較例2)
電子線照射後の加熱時間を表3に示す時間に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2及び、比較例2の電子写真感光体を作製した。
電子線照射後の加熱時間を表3に示す時間に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2及び、比較例2の電子写真感光体を作製した。
(実施例3〜4及び比較例3)
電荷輸送層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表3に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例1と同様にして実施例3〜4及び比較例3の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表3に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例1と同様にして実施例3〜4及び比較例3の電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
電子線照射時から加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
電子線照射時から加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
表面層中の酸素原子の分布に関しては、感光層表面をごく浅い角度:1〜1.5度で切り出し、その表面をスポット径100μmに絞ったXPS法により全元素中の酸素原子の割合を測定した。該電子写真感光体表面と該電子写真感光体表面から該支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、該電子写真感光体表面より該支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたときのX/Yを併せて表に記載した。
(実施例5)
実施例1において電荷発生層を形成した後、化合物例No.443の電荷輸送性化合物(CTM)10部をアセトン9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上に浸漬塗布法によりコーティングし、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において160℃で20分加熱することによって電荷輸送層を硬化し、膜厚が15μmの硬化型電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷発生層を形成した後、化合物例No.443の電荷輸送性化合物(CTM)10部をアセトン9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上に浸漬塗布法によりコーティングし、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において160℃で20分加熱することによって電荷輸送層を硬化し、膜厚が15μmの硬化型電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
加熱時間を60分間に変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
加熱時間を60分間に変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例7〜8及び比較例6)
電荷輸送層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表4に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例5と同様にして実施例7〜8及び比較例6の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表4に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例5と同様にして実施例7〜8及び比較例6の電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例9)
実施例1において電荷発生層を形成した後、下記構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物8部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)12部をモノクロロベンゼン50部に溶解させた塗工液を用いて膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、その後、該電荷輸送層、即ち表面層を機械研磨により0.50μmを減耗することによって電子写真感光体を作製した。
実施例1において電荷発生層を形成した後、下記構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物8部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)12部をモノクロロベンゼン50部に溶解させた塗工液を用いて膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、その後、該電荷輸送層、即ち表面層を機械研磨により0.50μmを減耗することによって電子写真感光体を作製した。
(比較例8)
実施例9の機械研磨による減耗を行わないこと以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例9の機械研磨による減耗を行わないこと以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例10)
実施例1において電荷発生層を形成した後、構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物8部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン50部に溶解させた塗工液を用いて電荷輸送層を形成した。このとき電荷輸送層(CTL)の膜厚は12μmであった。
実施例1において電荷発生層を形成した後、構造式(A)で示されるトリアリールアミン化合物8部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱瓦斯化学製)10部をモノクロロベンゼン50部に溶解させた塗工液を用いて電荷輸送層を形成した。このとき電荷輸送層(CTL)の膜厚は12μmであった。
次に、化合物例No.6の電荷輸送性化合物(CTM)5部を1−プロパノール9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送機能型保護層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、45℃で5分間放置した後に、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において加速電圧150KV、線量5Mradの条件で2秒間電子線を照射し、硬化を開始させた後、150℃で20分間加熱することによって電荷輸送機能型保護層(OCL)を硬化し、膜厚が6μmの硬化型電荷輸送機能型保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
電子線照射後の加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
電子線照射後の加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例11)
電荷輸送機能型保護層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表6に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例9と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送機能型保護層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により表6に示す膜厚量を減耗した以外は、比較例9と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例10)
電子線照射時から加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
電子線照射時から加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例12)
実施例10において電荷輸送層を形成した後、化合物例No.443の電荷輸送性化合物(CTM)5部をアセトン9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送機能型保護層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において160℃で20分間加熱することによって電荷輸送機能型保護層を硬化し、膜厚が6μmの硬化型電荷輸送機能型保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
実施例10において電荷輸送層を形成した後、化合物例No.443の電荷輸送性化合物(CTM)5部をアセトン9部の溶媒中に溶解し、電荷輸送機能型保護層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷輸送層上に浸漬塗布法によりコーティングし、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気下において160℃で20分間加熱することによって電荷輸送機能型保護層を硬化し、膜厚が6μmの硬化型電荷輸送機能型保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
(比較例11)
加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
加熱時間を15分間に変えた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例13)
電荷輸送機能型保護層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により0.5μmを減耗した以外は、比較例11と同様にして電子写真感光体を作製した。
電荷輸送機能型保護層、即ち表面層を形成した後に機械研磨により0.5μmを減耗した以外は、比較例11と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例12)
加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
加熱時における酸素濃度を60ppmに変えた以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
<電子写真感光体の評価>
上記で作製した電子写真感光体を温度32.5℃/相対湿度85%RHの環境においてキヤノン(株)製複写機IR−400に装着して評価した。A4サイズの紙でハーフトーン画像上に文字が印刷してある画像を1枚間欠で出力するモードで10万枚の超長期耐久試験を行った。耐久試験2万枚時点における画像流れの評価に関しては、ハーフトーンの乱れが確認されないものをランクA、僅かに濃度ムラが見られるものをランクB、濃度ムラが若干あるが文字の滲みがないものをランクC、文字の流れが僅かに見られるものをランクD、文字が流れて識別できないものをランクE、とした。
上記で作製した電子写真感光体を温度32.5℃/相対湿度85%RHの環境においてキヤノン(株)製複写機IR−400に装着して評価した。A4サイズの紙でハーフトーン画像上に文字が印刷してある画像を1枚間欠で出力するモードで10万枚の超長期耐久試験を行った。耐久試験2万枚時点における画像流れの評価に関しては、ハーフトーンの乱れが確認されないものをランクA、僅かに濃度ムラが見られるものをランクB、濃度ムラが若干あるが文字の滲みがないものをランクC、文字の流れが僅かに見られるものをランクD、文字が流れて識別できないものをランクE、とした。
また、10万枚出力終了後の電子写真感光体の表面状態を観察し、3μm以上の深傷の有無を確認した。
評価結果をまとめて表8に示す。
以上より本発明によって、長期間にわたり画像流れを抑制する高安定な電子写真感光体を提供できる。また、本発明の電子写真感光体の効果は、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置においても当然に発揮され、長期間安定した性能が得られる。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (10)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、表面層が少なくとも酸素原子を含有し、該電子写真感光体表面と該電子写真感光体表面から該支持体に向かう鉛直方向0.5μm地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最大値をX、該電子写真感光体表面より該支持体に向かう0.5μm地点から該表面層の下層との界面地点間の酸素原子含有率(atomic%)の最小値をYとしたとき、下記数式
1.00<X/Y≦1.30
を満たすことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記表面層が、少なくとも反応性モノマーを硬化することで形成された請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記反応性モノマーが、連鎖重合性官能基を有するモノマーである請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層が、放射線により硬化された請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面層が、ヒドロキシメチル基の縮合反応により硬化された請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層成膜後の表面を支持体に向かう鉛直方向に0.5μm以上減耗された請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面層が真空或いは酸素濃度50ppm以下の不活性ガス雰囲気下において20分間以上かけて硬化された請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体が導電性支持体の上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層を有する請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
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JP2005350670A JP2007156081A (ja) | 2005-12-05 | 2005-12-05 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
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EP2278407A1 (en) | 2009-07-23 | 2011-01-26 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
JP2012027124A (ja) * | 2010-07-21 | 2012-02-09 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ |
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-
2005
- 2005-12-05 JP JP2005350670A patent/JP2007156081A/ja not_active Withdrawn
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