JP2005062301A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的強度及び電気的特性に優れた電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体において、前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、単一の層で構成されるか、又は積み重ねられた複数の層で構成され、単一の層で構成される前記感光層、又は複数の層で構成される前記感光層のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、同第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有し、前記第1の電荷輸送性化合物は、前記単一の層で構成される感光層又は前記電子写真感光体の表面を形成する層中において重合されている電子写真感光体を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、及び該電子写真感光体を備えた電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真感光体として、無公害性や高生産性等の利点から有機材料を用いた感光体が普及している。これら有機感光体としては、電気的及び機械的特性の双方を満足させるため電荷発生層と電荷輸送層とを積層してなる感光層からなる機能分離型感光体が多く提供されている。
一方、電子写真感光体には該電子写真感光体に適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される電子写真感光体にあっては、その電子写真感光体表面に帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった様々な電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、帯電時に発生するオゾンやNO、硝酸等の活性物質による感度や電位の低下に対する耐久性、残留電位の増加に対する耐久性、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性が要求される。
これらの問題点に対処するため、感光層の表面に位置する層(以下、表面層ともいう)を特定の電荷輸送性化合物を硬化させることにより形成した感光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ここで記載されている感光体は必ずしも電荷輸送性基が最適配置で硬化されてはおらず理想的な三次元架橋構造の表面層は形成されていない。また硬化反応時に付与される高エネルギーにより、感光層を構成する材料に劣化が生じるおそれもある。そこで、機械的強度及び電気的特性の優れた電子写真感光体を提供するという点で未だ改良の余地があった。
特開2000−147813号公報
本発明は、このような状況下為されたものであり、機械的強度及び電気的特性の優れた電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを課題とする。
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と特定量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有させ、該第1の電荷輸送性化合物を重合・架橋し膜を硬化させることにより形成された表面層を有する感光体は、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体において、
前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、単一の層で構成されるか、又は積み重ねられた複数の層で構成され、
単一の層で構成される前記感光層、又は複数の層で構成される前記感光層のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、同第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合
性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有し、
前記第1の電荷輸送性化合物は、前記単一の層で構成される感光層又は前記電子写真感光体の表面を形成する層中において重合されていることを特徴とする電子写真感光体。
(2)前記複数の層で構成される感光層は、電荷発生層と電荷輸送層からなり、前記電荷輸送層が前記電子写真感光体の表面を形成する層である(1)に記載の電子写真感光体。(3)前記複数の層で構成される感光層は、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層からなり、前記保護層が前記電子写真感光体の表面を形成する層である(1)に記載の電子写真感光体。
(4)前記第1の電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の電子写真感光体。
Figure 2005062301
(式中、Aは電荷輸送性基を示す;P及びPは連鎖重合性官能基を示す;PとPは同一でも異なっても良い;Zは置換基を有しても良い有機基を示す;a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは1以上の整数を示す;また、aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、dが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい)
(5)前記一般式(1)で表される化合物におけるa+b×dが2以上の整数であることを特徴とする(4)に記載の電子写真感光体。
(6)前記第2の電荷輸送性化合物は、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメントPの計算値Pcalが、Pcal<1.8(D)を満たすことを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の電子写真感光体。
(7)前記第2の電荷輸送性化合物は、トリアリルアミン構造を有することを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の電子写真感光体。
(8)前記連鎖重合性官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である(1)〜(7)の何れかに記載の電子写真感光体。
(9)前記第2の電荷輸送性化合物の混合量が、前記第1の電荷輸送性化合物に対し10.0〜30.0wt%であることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の電子写真感光体。
(10)前記第1の電荷輸送性化合物は放射線により重合されることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の電子写真感光体。
(11)前記放射線が電子線であることを特徴とする(10)に記載の電子写真感光体。(12)(1)〜(11)の何れかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段とを有するプロセスカートリッジ。
(13)(1)〜(11)の何れかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
本発明により、良好な三次元架橋構造の表面層を有する電子写真感光体を提供することができる。このような電子写真感光体は、機械的強度と電気的特性が優れており、高品位の画像を継続して形成することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<電子写真感光体について>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に感光層を有する構成からなる。
該感光層は電子写真感光体の表面を形成し、単一の層から構成されているか、又は積み重ねられた複数の層から構成されている。より具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質とを同一の層に含有する単一層から構成(以下、単層型ともいう)されているか、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層させて構成(以下、積層型ともいう)されているか、あるいはこれらの層の上にさらに保護層を形成させて構成されている。尚、本発明では、積層型の感光層からなる感光体がより好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体において、単一の層で構成される上記感光層、又は複数の層で構成される上記感光層のうちの上記電子写真感光体の表面を形成する層(以下、これらの層をまとめて表面層ともいう)は、以下に記載する構成とする。尚、ここで本発明でいう表面層は、より具体的には、感光層が上記単一層である場合には該層が相当し、該層の上にさらに保護層を形成させた場合には該保護層が相当する。また、感光層が上記積層型である場合には電荷輸送層が相当し、該電荷輸送層上にさらに保護層を形成させた場合には該保護層が相当する。
本発明の表面層は、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、該第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有してなり、かつ表面層中の該第1の電荷輸送性化合物は重合されている。尚、上記第2の電荷輸送性化合物のより好ましい混合割合は、上記第1の電荷輸送性化合物に対し10.0〜30.0wt%である。上記第2の電荷輸送性化合物の混合量が上記範囲量未満では、電気的特性の改善が不十分となってしまう。一方、上記範囲量を超えると、可塑的作用が大きくなるために、表面層の強度が著しく低下してしまう。
本発明で連鎖重合性官能基を少なくとも1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物とは、公知の電荷輸送性化合物の一部に連鎖重合性官能基が化学結合している化合物をいう。例えば、第1の電荷輸送性化合物の好ましい例として、下記の一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005062301
(式中、Aは電荷輸送性基を示す;P及びPは連鎖重合性官能基を示す;PとPは同一でも異なっても良い;Zは置換基を有しても良い有機基を示す;a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは1以上の整数を示す;また、aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、dが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい)
尚、上記一般式(1)で表される化合物において、a+b×dはより好ましくは2以上の整数であるとよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば特開2000−147813号公報に記載されている連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を参照することができる。
例えば、上記Aの電荷輸送性基は、電荷輸送性を示すものであれば特に制限はない。より具体的には、P1やZとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加化合物(電荷輸送
化合物)として示せば、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(P−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、置換基を有してもよいナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、フルオレン、フルオランセン、アズレン、インデン、ペリレン、クリセン、コロネン等の縮合環炭化水素、又は置換基を有してもよいベンゾフラン、インドール、カルバゾール、ベンズカルバゾール、アクリジン、フェノチアジン、キノリン等の縮合複合環等が挙げられる。
上記Zの置換基を有しても良い有機基は、電荷輸送性を損なわない限り特に制限はない。より具体的には、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、又はCR1=CR2(R1及びR2はアルキル基、アリール基又は水素原子を示し、R1及びR2は同一でも異なってもよい)、C=O、S=O、SO2、酸素原子もしくは硫黄原子を含んでも良い有機基等が挙げられる。
上記連鎖重合性官能基は、ラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合あるいは開環重合等の反応を可能とする官能基をいう。本発明の連鎖重合性官能基の好ましい例としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が挙げられる。
上記第1の電荷輸送性化合物の具体例として、下記表1に記載する化合物を挙げることができる。
Figure 2005062301
本発明の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とは、電子写真感光体に通常使用される電荷輸送性化合物のうち、上記連鎖重合性官能基を有さない化合物であれ
ば特に制限なく使用できる。但し、より機械的強度及び電気的特性の優れた電子写真感光体を得るためには、第2の電荷輸送性化合物は、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメントPの計算値Pcalが、1.8(D)以下を示すものであるとよい。
さらにまた、第2の電荷輸送性化合物は、トリアリルアミン構造を有するものであるとよい。
上記第2の電荷輸送性化合物であって、特に双極子モーメントが1.8未満である電荷輸送性化合物の具体例として、下記表2に記載する化合物を挙げることができる。
Figure 2005062301
以下、本発明の電子写真感光体について、その製造方法も含めてさらに詳しく説明する。
電子写真感光体の支持体としては、導電性を有するものであれば特に制限なく使用することができる。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属や合金をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫などをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独または結着樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、またプラスチックフィルム及び紙などが使用できる。
本発明では、導電性支持体の上にバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。下引き層の材料としてはポリビニルアルコール、ポリ―N―ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、ニカワ及びゼラチンなどを用いることができる。これらを適当な溶剤に溶解し、支持体上に塗布する。その際、下引き層の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
次に、下引き層の上に感光層を形成する。
電荷発生層と電荷輸送層とを機能分離し積層させた積層型感光層を形成する場合には、下引き層上に電荷発生層、電荷輸送層の順で積層する。
ここで、電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的にいえばα、β、γ、ε及びX型などの結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開平54−143645号公報に記載のアモルファスシリコーンなどが挙げられる。
この積層型感光体の場合、電荷発生層は上記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルなどの方法を用いて分散させ、該分散液を下引き層上に塗布し乾燥させることにより形成されるか、または上記電荷発生物質の単独組成からなる膜を蒸着法などを用いることにより下引き層上に形成させる。電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
上記結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
本発明において表面層は、上述した第1の電荷輸送性化合物を重合及び架橋させることにより形成することができる。表面層は、電荷発生層上に電荷輸送層として形成されているか、もしくは電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成させた後にその上に保護層として形成されている。いずれの場合も、上記第1の電荷輸送性化合物と第2の電荷輸送性化合物とを含有する溶液を製膜し、該第1の電荷輸送性化合物を重合及び架橋し、膜を硬化させることにより表面層を形成することができる。
溶液を製膜する方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法などの塗布法を用いて行うことができる。中でも効率性/生産性の点から、浸漬コーティング法が好ましい。また蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法も適用できる。
上記重合及び架橋は、熱や可視光、紫外線等の光、さらに放射線等を用いて行うことができる。そこで、例えば上記第1の電荷輸送性化合物と第2の電荷輸送性化合物と必要によっては重合開始剤を含有させた表面層用の塗工液を用いて形成した膜に、熱を加えるか光や放射線を照射することにより膜を硬化させ、本発明の表面層を形成すればよい。
尚、中でも放射線を用いるのがより好ましい。なぜなら放射線による重合は重合開始剤を特に必要としないからである。これにより電子写真特性への悪影響を排除することができる。また、短時間で効率的な重合が行えることから生産性が高く、さらに放射線の透過性が良いことから、添加剤などの遮蔽物質が膜中に存在していても膜の硬化を阻害する影響は非常に小さい。ただし、電荷輸送性を有する中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があるため、影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。使用する放射線としては、電子線やγ線などである。電子線を照射する場合には、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型などの加速機を用いて行うことができる。本発明の感光体において良好な電気特性を示し、機械的劣化に対する耐久性を向上させた表面層を形成するために、電子線の照射条件を考慮することは重要である。例えば、本発明において、加速電圧は250KV以下であると好ましく、より好ましくは150KV以下である。また照射線量は0.5Mradから100Mradの範囲であると好ましく、より好ましくは1Mradから20Mradの範囲である。加速電圧が上記を越えると感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する。また、照射線量が上記範囲よりも少ない場合には表面層の硬化が不十分となり、一方照射線量が多い場合には感光体特性の劣化が起こる。
上記第1の電荷輸送性化合物を電荷輸送層に含有させる場合、その第1の電荷輸送性化合物の含有量は、該電荷輸送性化合物が例えば上記一般式(1)で表される化合物である場合、式(1)中のAとP及びZの結合部位を水素原子に置き換えた電荷輸送性化合物が、重合硬化後の電荷輸送層膜の全量に対して、分子量換算で20%以上、好ましくは40%以上占めるような量とすればよい。それ以下の含有量であると、電荷輸送能が低下し感度低下や残留電位の上昇などの問題点が生ずる。
電荷輸送層の膜厚は、下層の電荷発生層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなるのが好ましく、より好ましくは5〜30μmである。
上記第1の電荷輸送性化合物を電荷発生層/電荷輸送層上に保護層として用いた場合、その下層にあたる電荷輸送層は以下のようにして形成する。
適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセンなどの複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾールなどの複素環化合物、トリフェニルメタンなどのトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N―フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの低分子化合物を適当な結着樹脂(上述した電荷発生層の箇所で説明したのと同様な樹脂が適用できる)とともに溶剤に分散/溶解し、該溶液を上述の公知の方法を用いて電荷発生層上に塗布し乾燥させることにより形成する。この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全重量を100とした場合に電荷輸送物質の重量は30〜100であると好ましく、より好ましくは50〜100である。電荷輸送物質の量がそれ以下であると、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇などの問題点が生ずる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmであるのが好ましく、より好ましくは5〜30μmである。
次に、感光層が単一層からなる単層型感光体である場合には、上記第1の電荷輸送性化合物と第2の電荷輸送性化合物とを含む溶液中に同時に電荷発生物質を含ませ、この溶液を適当な下引き層を設けてもよい導電性支持体上に塗布し、その後重合及び架橋させて形
成させればよい。あるいは、導電性支持体上に電荷発生物質及び電荷輸送物質からなる単一層を形成し、その上に保護層として上記第1の電荷輸送性化合物と第2の電荷輸送性化合物とを含有する溶液を塗布し、その後重合及び架橋させ形成させてもよい。
更に本発明における感光層には必要に応じて各種添加剤を添加することができる。該添加剤とは酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤やハロゲン化合物などの劣化防止剤や、テトラフルオロエチレン樹脂及びフッ化カーボンなどの潤剤、単官能あるいは多官能の連鎖重合性官能基を有する重合性モノマー等の硬化性付与剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
上記のようにして得られる表面層は、良好な三次元架橋構造の硬化膜となる。このように良好な表面層が得られる理由は明らかではないが、硬化に関与しない上記連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物が、表面層の三次元的架橋網目構造内部に取り込まれることで、電荷輸送性基が好ましい位置に配置され、電荷輸送に最適な架橋構造を形成することによるものと推察される。
よって、このようにして得られる表面層を有する感光体は、機械的強度と電気的特性の優れた電子写真感光体となる。
<電子写真感光体を有する電子写真装置について>
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略図を示す。図において、1はドラム上の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位に均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段(不図示)からの画像露光4の光を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に静電潜像が順次形成される。形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像される。トナー現像された像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1の回転と同期して取り出され電子写真感光体1と転写手段6との間に給紙された転写材7上に、転写手段6を用いて順次転写される。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光10の光により除電処理され、その後繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12などの案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。ここで、画像露光4の光は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に用いることができるだけでなく、レーザープリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、ファクシミリ及び電子写真式製版システムなどの電子写真を応用した分野にも広く用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。実施例中、「部」は質量部を表す。
(実施例1)
まず導電層用の塗料を以下の手順で調整した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部(重量部、以下同様)、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーン化合物(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調整した。この塗料を30φのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、150℃で30分乾燥して、膜厚18μmの導電層を形成し、導電性支持体とした。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、下引き層用塗料を調整した。この塗料を上記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.5μmの下引き層を形成した。
次に、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2度が9.0度、14.2度、23.9度及び27.1度に強いピ−クを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3.5部及びシクロヘキサノン35部をφ1mmガラスビ−ズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記の下引き層の上に浸漬塗布方法で塗布して90℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、表1の化合物例No.20の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物60部と表2の化合物例No.10の連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物4.2部(電荷輸送性化合物に対して7.0%)をモノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶剤中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調整した。この塗料を上記電荷発生層上にコーティングし、加速電圧150kV, 照射線量15Mradの条件で電子線を照射して硬化させ、膜厚15μの電荷輸送層を形成し、感光体1を作成した。
この感光体1の電子写真特性を、常温常湿環境下(23℃/55%RH)(N/N)で、10cmの導電性ガラスを用いて光放電特性を測定することにより評価した。なお、光源はハロゲンランプを波長778nmの干渉フィルターで単色化したものを使用し、電子写真感光体への初期帯電電位は−700Vとなるように調整したのち、−700Vの電位を−200Vまで低下させるのに必要とされる単色光の光量(E△500)を測定し感度とした。また、100lxの白色光を照射し、0.5秒後の帯電電位を測定し残留電位(Vr)とした。
次に、新たに上記と同様の方法で作製した電子写真感光体を、光量及び帯電設定を変更可能に改造したレーザービームプリンター(Laser Writer 16/600PS:Apple社製)に装着して高温高湿環境下(32℃/85%RH)(H/H)で連続15000枚の通紙耐久を行い、電子写真感光体の膜厚を過電流式膜厚計(カールフィッシャー社製)を使用して測定した。なお、通紙耐久試験における改造機の設定は、転写電流:+5.5μA、プロセススピード:96mm/secとした。
さらに、新たに上記と同様の方法で作製した電子写真感光体を、現像バイアスを可変できるように改造したキヤノン製プリンターLBP−EXに装着し、以下に記載した方法でゴーストの画像評価を行った。
常温低湿環境下(23℃/10%RH)(N/L)で、初期に、ドラム一周分適当な文字パターンを印字し、その後全面ハーフトーン画像を取りゴースト現象が出ているかどうかを確認した。次に、下記耐久パターンを10000枚連続プリントし耐久後に全面ハーフトーン画像を取り耐久後のゴースト現象が出ているかどうかを確認した。耐久パターンは約2mm幅の線を縦横7mmおきに印字した。画像サンプルは全面黒と、1ドット1スペースのドット密度の画像を用い、LBPの現像バイアスを変更することにより画像濃度を調整し、標準値(F5:中心値)及びそれよりも画像濃度を下げたもの(F9:濃度薄い)を各々サンプリングした。
評価基準はゴーストが見えないものをランク5とし、1ドット1スペースF9で見えるものをランク4、1ドット1スペースF5で見えるものをランク3、全面黒F9で見えるものをランク2、全面黒F5で見えるものをランク1とした。
評価結果を表3に示す。尚、表3中、表面層の種類の欄に記載の「EB」は電子線を、「UV」は紫外線を、「CTL」は電荷輸送層を、「OCL」は保護層をそれぞれ示す(下記表4も同様)。
Figure 2005062301
これらの結果から感光体1は、低残留電位であり、ゴースト等の画像欠陥も観察されず、膜厚減少量も僅かであり、長期にわたって鮮明な画像が安定して得られ、優れた電気的特性及び機械的強度を有することが明らかとなった。
(実施例2〜14)
表3に示したように、実施例1の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は、実施例1と同様な方法で感光体2〜14を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
(比較例1〜7)
下記表4に示したように、実施例1の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は、実施例1と同様な方法で比較感光体1〜7を作成し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2005062301
(実施例15)
表1の化合物例No.1の電荷輸送性化合物60部と表2の化合物例No.7の連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物12部、及び下記構造式(A)の光重合開始剤1.0部をモノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶剤中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調整した。この塗料を上記電荷発生層上にコーティングし、メタルハライドランプを用いて500mW/cmの光強度で60秒間硬化させ、膜厚15μの電荷輸送層を形成し、感光体15を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2005062301
(実施例16〜17)
表3に示したように、実施例15の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例15と同様な方法で感光体16〜17を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
(実施例18〜19)
表3に示したように、実施例1の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例1と同様な方法で感光体18〜19を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。尚、感光体18及び19を作成するにあたり使用した、連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物は、それぞれ下記構造式で示される化合物(1)及び(2)であり、おのおのの双極子モーメントは、2.257(D)及び3.684(D)である。
Figure 2005062301
Figure 2005062301
(実施例20)
電荷発生層までは実施例1と同様に作成した。次いで、下記構造式(B)のスチリル化合物20部、及び下記構造式(C)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(数平均分子量20000)10部をモノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調整した電荷輸送層用塗布液を用いて、電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。この時の電荷輸送層の膜厚は15μであった。
Figure 2005062301
Figure 2005062301
次いで、表1の化合物例No.7の電荷輸送性化合物40部及び表2の化合物例No.12の連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物2.8部をn-プロピルアルコール60部に溶解して表面保護層用塗料を調整した。この塗付液を電荷輸送層上にコーティングし、加速電圧150kV, 照射線量15Mradの条件で電子線を照射して硬化させ、膜厚5μの表面保護層を形成し、感光体20を得た。これを実施例1と同様に評価した。そ
の結果を表3に示す。
(実施例21〜35)
表3に示したように、実施例20の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例20と同様な方法で感光体21〜35を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
(比較例8〜14)
表4に示したように、実施例20の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例20と同様な方法で比較感光体8〜14を作成し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例36)
電荷輸送層までは実施例20と同様に作成した。次いで、表1の化合物例No.11の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物40部と表2の化合物例No.20の連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物8.0部、及び上記構造式(A)の光重合開始剤1.0部をn-プロピルアルコール60部に溶解して表面保護層用塗料を調整した。この塗付液を電荷輸送層上にコーティングし、メタルハライドランプを用いて500mW/cmの光強度で60秒間硬化させ、膜厚5μの表面保護層を形成し、感光体36を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
(実施例37〜38)
表3に示したように、実施例36の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例36と同様な方法で感光体37〜38を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
(実施例39〜40)
電荷輸送層までは実施例20と同様に作成した。次に、表3に示したように、実施例20の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物の種類や添加量を変更した以外は実施例20と同様な方法で感光体39〜40を作成し、同様に評価した。その結果を表3に示す。なお、感光体39及び40を作成するにあたり使用した、連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送性化合物は、それぞれ実施例18〜19で使用したものと同じ上記構造式で示される化合物(1)及び(2)である。
以上、実施例1〜19及び比較例1〜7の実験結果から、電荷輸送層として本発明の表面層を用いた感光体について下記のことがいえる。
実施例1〜4及び比較例1〜7の結果から、連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物の添加量は連鎖重合性官能基を有する第1の電荷輸送性化合物に対し5〜45%であるとよい。より好ましくは10〜30%である。5%以下では効果がみられず、45%以上では硬化性が低下する。
実施例5〜8の結果から、連鎖重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、もしくはメタクリロイルオキシ基がより好ましい。硬化性に優れており、耐久後の削れ量が少ない。
実施例9〜14の結果から、トリアリルアミン構造を有する、第2の電荷輸送性化合物を添加した場合の方が、感光体の電気的特性が優れている。
実施例15〜17の結果より、紫外線を使用して表面層を硬化した場合も本発明の効果が認められるが、より好ましくは電子線を使用した方がよい。
実施例18〜19と実施例1〜17の結果を比較すると、双極子モーメントPcalが1.8未満である第2の電荷輸送性化合物を添加した場合の方が、電気的特性に優れている。
また、実施例20〜40及び比較例8〜14の実験結果から、保護層として本発明の表面層を用いた感光体について下記のことがいえる。
実施例20〜23及び比較例8〜14の結果から、第2の電荷輸送性化合物の添加量は第1の電荷輸送性化合物に対し5〜45%であるとよい。より好ましくは10〜30%である。5%以下では効果がみられず、45%以上では硬化性が低下する。
実施例24〜29の結果から、連鎖重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、もしくはメタクリロイルオキシ基がより好ましい。硬化性に優れており、耐久後の削れ量が少ない。
実施例30〜35の結果から、トリアリルアミン構造を有する、第2の電荷輸送性化合物を添加した場合の方が、感光体の電気的特性が優れている。
実施例36〜38の結果より、紫外線を使用して表面層を硬化した場合も本発明の効果が認められるが、より好ましくは電子線を使用した方がよい。
実施例39〜40と実施例20〜38の結果を比較すると、双極子モーメントPcalが1.8未満である第2の電荷輸送性化合物を添加した場合の方が、電気的特性に優れている。
上記の実験結果をまとめると、連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物は、連鎖重合性官能基を有する第1の電荷輸送性化合物に対し5〜45wt%、より好ましくは10〜30wt%の混合割合で表面層中に含有させるのがよい。これにより、優れた電気的特性を有する電子写真感光体を得ることが可能となる。また、連鎖重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を用いるのがよい。硬化性に優れた表面層を形成することができる。また、第2の電荷輸送性化合物は、双極子モーメントが1.8未満で、トリアリルアミン構造を有するものが好ましい。
以上、上記のようにして得られた表面層を有する本発明の電子写真感光体は、機械的強度及び電気的特性に優れ、高品位の画像を長期間にわたり安定して形成することが可能な電子写真感光体となる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略図を示す。

Claims (13)

  1. 導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体において、
    前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、単一の層で構成されるか、又は積み重ねられた複数の層で構成され、
    単一の層で構成される前記感光層、又は複数の層で構成される前記感光層のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、同第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有し、
    前記第1の電荷輸送性化合物は、前記単一の層で構成される感光層又は前記電子写真感光体の表面を形成する層中において重合されていることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記複数の層で構成される感光層は、電荷発生層と電荷輸送層からなり、前記電荷輸送層が前記電子写真感光体の表面を形成する層である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記複数の層で構成される感光層は、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層からなり、前記保護層が前記電子写真感光体の表面を形成する層である請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記第1の電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2005062301
    (式中、Aは電荷輸送性基を示す;P及びPは連鎖重合性官能基を示す;PとPは同一でも異なっても良い;Zは置換基を有しても良い有機基を示す;a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは1以上の整数を示す;また、aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、dが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい)
  5. 前記一般式(1)で表される化合物におけるa+b×dが2以上の整数であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記第2の電荷輸送性化合物は、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメントPの計算値Pcalが、Pcal<1.8(D)を満たすことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記第2の電荷輸送性化合物は、トリアリルアミン構造を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記連鎖重合性官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記第2の電荷輸送性化合物の混合量が、前記第1の電荷輸送性化合物に対し10.0〜30.0wt%であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記第1の電荷輸送性化合物は放射線により重合されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記放射線が電子線であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段とを有するプロセスカートリッジ。
  13. 請求項1〜11の何れか一項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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