JP2005055729A - 電子写真感光体、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電荷輸送性を有する硬化性膜の機械的強度及び電子写真特性がより一層発現される電子写真感光体、及びこれを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有し、この感光層が感光体の表面を形成する電子写真感光体において、この感光体の表面を形成する層を、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する溶液の塗膜を硬化させることによって形成する。前記塗膜を感光層又はその一部と仮定したときに、感光層の質量に対する溶剤の含有量は0.05質量%以上20質量%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性の表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層の硬化時に、前記電子写真感光体の感光層(電荷発生層及び電荷輸送層、あるいは電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層等)が一定量の有機溶剤を含有した電子写真感光体に関する。また、本発明は、前記電子写真感光体を有する電子写真装置、装置ユニット及びファクシミリに関する。
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、無公害性や高生産性等の利点を有する有機光導電物質が広く利用されている。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。
一方、当然のことながら、電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた感度や電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体の表面層には、帯電、露光、トナー現像、紙への転写及びクリーニングといった様々な電気的及び機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
具体的には、帯電時に発生するオゾンやNOx、硝酸等の活性物質による劣化のために、感度や電位の低下、及び残留電位の増加がおこり、加えて摺擦によって表面が摩耗したり、傷が発生すること等、これらに対する耐久性が要求されている。
これらの問題点を解決する手段として、例えば同一分子内に連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を硬化させたものを表面層に含有する感光体が知られている(例えば特許文献1及び2参照。)。このような電荷輸送性を有する硬化性膜を用いることで、優れた機械的強度と電荷輸送性を両立させることが可能である。
しかしながら上述したような電荷輸送性を有する硬化性膜は、極短時間で三次元的架橋構造となるために、必ずしも電荷輸送性基が最適配置で硬化するとは限らない上に、硬化性膜とその下層との界面状態も最適な状態とは限らないため、従来の感光体と比較して良好な電子写真特性と機械的強度を有するものの、未だ本来の性能を十分に引き出すまでには至っていない。
特開2000−147813号公報 特開2000−66425号公報
本発明の目的は、電荷輸送性を有する硬化膜の機械的強度及び電子写真特性がより一層発現される電子写真感光体、及びこれを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明らは鋭意研究を重ねた結果、導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体において、前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、単一の層によって構成されるか、又は積み重ねられた複数の層によって構成され、前記単一の層によって構成される感光層、又は前記複数の層によって構成される感光層
のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する前記電荷輸送性化合物の溶液の塗膜を硬化させることによって形成され、前記塗膜を前記単一の層によって形成される感光層、又は前記電子写真感光体の表面を形成する層と仮定したときに、前記感光層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.05質量%以上20質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体が、前述の課題を解決するものであることを見出した。
この理由は定かではないが、前記塗膜の硬化時に有機溶剤が適正量存在することにより、硬化により形成される層における電荷輸送性基の配置、及び硬化により形成される層とその下層との界面状態が最適化され、前記層の機械的強度及び電気的特性が従来のものに比べてより向上するためと考えられる。
本発明によれば、同一分子内に少なくとも一つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の溶液の塗膜を硬化させることにより形成される層に関し、前記層の硬化時に、この層中に適正量の有機溶剤を含有させることで、優れた機械的強度と電気的特性を有する電子写真感光体を得ることができ、高品位の画像を継続して形成することができる。
また、本発明では、前記塗膜を硬化させて形成した前記感光層の質量に対する溶剤の含有量が0.02質量%以上2.0質量%以下であると、機械的強度及び電気的特性が優れる電子写真感光体を得る上でより一層効果的である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する。
前記導電性支持体は、導電性を有し、その上に感光層を支持することができる物体であれば特に限定されない。このよう導電性支持体としては、例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金を、ドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、露光によって静電潜像を形成する。前記感光層は、露光によって電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能とを有する層として構成される。このような感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能との両方を有する単一の層によって構成されるか、又は電荷を発生する機能の層と電荷を輸送する機能の層とが積み重ねられた複数の層によって構成される。
前記単一の層によって構成される感光層、又は前記複数の層によって構成される感光層のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する前記電荷輸送性化合物の溶液の塗膜を硬化させることによって形成される。前記溶液に含まれる前記電荷輸送性化合物は、一種類でも良いし、二種以上でも良い。
前記電荷輸送性化合物は、前記連鎖重合性官能基が電荷輸送性化合物に官能基として少なくとも一つ以上化学結合しているものを示す。前記連鎖重合性官能基を前記電荷輸送性化合物中に複数有する場合では、前記連鎖重合性官能基は、一種類の官能基であっても良
いし、二種以上の官能基であっても良い。
前記連鎖重合性官能基は、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態が可能な官能基である。連鎖重合については、例えば技報堂出版
三羽忠広著の「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明されている様に、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことを言う。
前記連鎖重合性官能基としては、例えば特開2000−147813号公報に記載されている連鎖重合性官能基等が挙げられる。前記連鎖重合性官能基としては、より具体的には、アクリル基、メタクリル基、及びスチリル基等が好ましくは例示される。前記連鎖重合性官能基は、すべて同一でも異なったものであっても良い。前記連鎖重合性官能基は、前記電荷輸送性化合物中に少なくとも一つあれば良いが、二つ以上あることが、機械的強度と電気的特性に優れる感光層を得る上でより好ましい。
前記電荷輸送性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2005055729
前記一般式(1)のAで示される電荷輸送性基は、電荷を輸送する性質を有する官能基であれば特に限定されない。このような電荷輸送性基としては、例えば特開2000−147813号公報に記載されているように、前記一般式中におけるP1やZとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加化合物として示したときに、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、置換基を有しても良いナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、フルオレン、フルオランセン、アズレン、インデン、ペリレン、クリセン、コロネン等の縮合環炭化水素、又は置換基を有しても良いベンゾフラン、インドール、カルバゾール、ベンズカルバゾール、アクリジン、フェノチアジン、キノリン等の縮合複合環、及びこれらの複数が合体した化合物等となる官能基が挙げられる。
また、前記一般式(1)のZで示される有機基は、前記電荷輸送性基と前記連鎖重合性官能基とを、それぞれの置換基の機能を損なわないように適当に接続する有機基であれば
特に限定されない。このような有機基としては、例えば特開2000−147813号公報に記載されている有機残基を用いることができる。本発明に用いられる前記有機基としては、例えば置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基、CR21=CR22(R21及びR22はアルキル基、アリール基又は水素原子を示し、R21及びR22は同一でも異なっても良い)、C=O、S=O、SO2、酸素原子及び硫黄原子より選ばれる一種、又は任意に組み合わされる二種以上からなる置換基等が挙げられる。
前記溶剤は、前記電荷輸送性化合物を溶解することができる溶剤であれば特に限定されない。このような溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、メトキシプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジオキサン、トルエン、モノクロロベンゼン等の公知の各種有機溶剤、及びこれらの混合液等が挙げられる。
前記電荷輸送性化合物の溶液の塗膜は、公知の技術によって形成することができる。このような塗膜の形成方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。
前記塗膜の硬化は、公知の技術によって行うことができる。例えば本発明において、前記電荷輸送性化合物は、紫外線や放射線により重合させることが可能であり、特に放射線で重合させることが好ましい。
放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要とせず、これによる電子写真特性への影響を排除することができる点である。また、放射線による重合は、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、さらには放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。ただし、電荷輸送性を有する中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。
この際使用する放射線とは電子線やγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、本発明の電子写真感光体においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で、照射条件が非常に重要である。
本発明において、加速電圧は250kV以下が好ましく、最適には150kV以下である。また照射線量は好ましくは0.5Mradから100Mradの範囲、より好ましくは1Mradから20Mradの範囲である。加速電圧が上記を越えると感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、照射線量が上記範囲よりも少ない場合には硬化が不十分となりやすく、照射線量が多い場合には感光体の劣化による感光体特性の低下が起こりやすいので注意が必要である。
本発明の電子写真感光体では、前記塗膜を前記単一の層によって構成される感光層、又は前記電子写真感光体の表面を形成する層と仮定したときに、前記感光層の質量に対する前記溶剤の含有量は、0.05質量%以上20質量%以下である。前記溶剤の含有量が0.05質量%未満であると、本来の電気的特性を十分に発揮することができないことがあり、前記溶剤の含有量が20質量%よりも大きいと、機械的強度及び電気的特性が悪化することがある。前記溶剤の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であることがより
好ましく、塗膜の硬化によって形成される層が電荷輸送層の場合には0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、塗膜の硬化によって形成される層が表面保護層の場合には0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体では、前記塗膜を硬化させた後の前記導電性支持体上に形成されている全ての層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.02質量%以上2.0質量%以下であることが、機械的強度及び電気的特性に優れる感光層を得る上でより好ましい。
塗膜硬化前後の前記溶剤の含有量は、塗膜形成後または塗膜硬化後に室温でそのまま放置するか、場合によっては加熱処理を行うか、更には減圧環境下で溶剤を留去する等の方法を適宜組み合わせることで調整可能である。
なお、硬化前後における前記溶剤の含有量は、ヘッドスペースサンプラーを装備したガスクロマトグラフィーで測定することができる。硬化前の前記溶剤の含有量については、感光層とみなされる前記塗膜の質量、又は前記塗膜と導電性支持体上に既に形成されている感光層の一部の層との質量は、感光層形成前後の質量を精密天秤で測定し、この差をとることによって求めることができる。硬化後の感光層の質量も同様の方法によって求めることができる。前記ガスクロマトグラフィーで測定される前記溶剤の量は、検量線等を用いることにより定量することができる。塗膜を硬化させた後の前記溶剤の含有量は、塗膜の硬化方法や用いた溶剤の種類等の条件に応じて、得られた電子写真感光体に加熱処理等の適当な処理を施した後に測定される。
本発明の代表的な実施形態を以下に列挙する。
(i)導電性支持体上に少なくとも電荷発生層を設け、その上に、少なくとも連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を硬化して形成される電荷輸送層を、表面層として有する積層型電子写真感光体。
このとき本発明における感光層とは、電荷発生層及び電荷輸送層のことを意味する。
(ii)導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を設け、その上に、少なくとも連鎖重合性官能基を有する電化輸送性化合物を硬化して形成される表面保護層を、表面層として有する積層型電子写真感光体。
このとき本発明における感光層とは、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層のことを意味する。
(iii)導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質及び連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を含有したものを硬化させた層を表面層として形成した単層型電子写真感光体。
このとき本発明における感光層とは、電荷発生物質及び連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を含有したものを硬化させた層のことを意味する。
(iv)導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質及び電荷輸送物質から形成される単層感光層を設け、その上に、少なくとも連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を硬化して形成される表面保護層を、表面層として有する単層型電子写真感光体。
このとき本発明における感光層とは、電荷発生物質及び電荷輸送物質から形成される単層感光層及び表面保護層のことを意味する。
なお、必要に応じて導電性支持体と感光層との間に下引き層等の他の適当な層を設けても良い。
本発明においては、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の硬化性の表面層を形成する構成要素の一つとして、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性モノマーを前記電荷輸送性化合物として選択しているが、その理由は、この連鎖重合性モノマーが反応性に優れ、極めて短時間で重合・架橋するために、生産性が高い上に、硬化後の機械的強度も高く、かつ電荷輸送性基が高密度に架橋されるために優れた電気的特性を有するからである。
しかしながら、前記電荷輸送性化合物は、非常に短時間で重合・架橋してしまうために、必ずしも電荷輸送性基が理想的な配置で三次元的架橋構造に硬化するとは限らない上、硬化性膜とその下層との間で形成される界面も最適な状態になるとは限らず、前記硬化性膜は機械的強度には優れるものの、この膜本来の電気的特性を十分に引き出すことは困難であった。
ところが、表面層の硬化時に、電子写真感光体の感光層中に有機溶剤を適正量含有させることで、機械的強度は損なわずに電気的特性を向上させることが可能である。その理由はいまだ明らかになってはいないが、有機溶剤を含有させることで、電荷輸送性化合物、結着樹脂及び電化輸送性基のフレキシビリティー性が確保され、これらの感光層内での前記電荷輸送性化合物の配置が電荷輸送層として最適化された状態で硬化させることができるため、電子写真感光体の電気的特性を向上させることが可能となるものと推察される。
また、硬化性膜とその下層との間で形成される界面についても、適正量の有機溶剤が存在することにより良好な界面状態を形成することができ、一定量の有機溶剤を含有させることで電荷輸送性化合物あるいは電荷輸送性基の配置を最適化させ、理想的電荷輸送層及び界面状態を形成することで電気的特性を向上させることが可能となるものと考えられる。
本発明の電子写真感光体は、前記電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する溶液を、前記導電性支持体又は導電性支持体上に形成された層の上に塗布して前記溶液の塗膜を形成する工程と、この塗膜中の前記電荷輸送性化合物の連鎖重合性官能基を重合させて前記塗膜を硬化させる工程と、を含む方法によって製造することができる。この方法において、前記塗膜と前記導電性支持体上に形成されている層との質量の総和に対する前記溶剤の含有量は、前記塗膜の硬化前において0.05質量%以上20質量%以下である。
前記溶液の塗膜を形成する工程は、前述したように、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等の公知の技術によって行うことができる。
前記塗膜を硬化させる工程は、前述したように、前記塗膜への紫外線や放射線の照射、より好ましくは電子線やγ線の照射によって行うことができる。
前記塗膜を硬化させる工程は、前記塗膜を含めて前記導電性支持体上に形成されている全ての層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.05質量%以上20質量%以下であるときに行われる。本発明では、乾燥工程等の、前記溶剤の含有量を調整するための適当な工程をさらに含んでも良い。
また、本発明の電子写真感光体の製造方法では、硬化した塗膜を加熱処理する工程をさらに含むことが、硬化した塗膜に残存する未反応の電荷輸送性化合物が除去され、得られる電子写真感光体の電子写真特性を向上させる上でより好ましい。このような加熱処理は、塗膜を硬化させた後に、塗膜を硬化させた反応に引き続き、又は別の時に、得られた電
子写真感光体を50〜160℃程度、より好ましくは80〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。前記加熱処理は常圧下で行われても良いし、減圧下で行われても良い。
次に本発明による電子写真感光体の製造方法を具体的に示す。
本発明においては、導電性支持体の上には、バリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、導電性支持体の保護、導電性支持体上の欠陥の被覆、導電性支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、ニカワ及びゼラチン等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体が機能分離型の感光体である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的にいえばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
機能分離型の感光体の場合、電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法で良く分散し、分散液を塗布し、乾燥させて形成されるか、又は前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
前記結着樹脂としては、例えばスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。前記溶剤には、公知の各種有機溶剤が用いられる。
本発明における、単一の層によって構成される感光層、又は前記電子写真感光体の表面を形成する層は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として、もしくは電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に形成される、電荷輸送能力を有する表面保護層として、用いることができる。いずれの場合も前記層は、前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を、導電性支持体又は導電性支持体上に形成された層の上に塗布後、重合反応により硬化させることにより形成することができる。
前記電荷輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の前記電荷輸送性化合物の量は、重合硬化後の電荷輸送層膜の全量に対して、前記一般式(1)中のAとP1及びZの結合部位を水素原子に置き換えて前記水素付加化合物として換算したときに、分子量換算で20%以上、好ましくは40%以上含有されていることが好ましい。前記電荷輸送性化合物の量が20%未満であると、電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問
題点が生ずることがある。なお、電荷輸送層の膜厚は、下層の電荷発生層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなるように決定され、好ましくは5〜30μmの範囲で調整される。
前記電荷輸送性化合物を表面保護層として用いた場合、その下層にあたる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物を、適当な結着樹脂(前述した結着樹脂の中から選択できる)とともに溶剤に分散/溶解した溶液を、前述の公知の方法によって塗布、乾燥して形成することができる。
この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全重量を100とした場合に、電荷輸送物質の重量が30〜100が望ましく、好ましくは50〜100の範囲で適宜選択される。電荷輸送物質の量が前記範囲よりも小さいと、電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生ずることがある。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなるように決定され、好ましくは5〜30μmの範囲で調整される。
なお、本発明における電子写真感光体の感光層とは、機能分離型の感光層の場合、電荷発生層及び電荷輸送層、あるいは電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層のことを意味する。
単層型の感光層の場合は、前記電荷輸送性化合物を含む溶液中に、同時に電荷発生物質が含まれることになり、この溶液を適当な下引き層あるいは中間層を設けても良い導電性支持体上に塗布後重合させて形成される場合と、導電性支持体上に設けられた電荷発生物質及び電荷輸送物質から構成される単層型感光層上に、前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合させる場合のいずれもが可能である。
更に本発明における感光層には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。前記添加剤とは酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤やハロゲン化合物等の劣化防止剤や、テトラフルオロエチレン樹脂及びフッ化カーボン等の潤剤、単官能あるいは多官能の連鎖重合性官能基を有する重合性モノマー等の硬化性付与剤、熱可塑性樹脂、公知の電荷輸送物質及び公知の電荷発生物質等が挙げられる。
以下、前記電荷輸送性化合物の代表例を表1に挙げるが、本発明に用いられる前記電荷輸送性化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005055729
本発明のプロセスカートリッジは、前述した本発明の電子写真感光体と、この電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段、電子写真感光体に形成されたトナー像の転写後に電子写真感光体上に残るトナーを除去するクリーニング手段等の構成要素のうちの一又は二以上のものとを一体に支持し、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に着脱自在に構成される。本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体及び前述した構成要素の他に
も、他の手段を適宜有していても良い。
本発明の電子写真装置は、前述した本発明の電子写真感光体と、前記帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に露光によって静電潜像を形成する露光手段と、前記現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する。本発明の電子写真装置は、このほかにも、転写材上の未定着トナー像を加熱及び加圧によって定着させる定着手段、前記プロセスカートリッジを着脱自在に支持するための手段等の、他の手段を適宜有していても良い。
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略を示す。図において、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる一次帯電手段3と、帯電した電子写真感光体1に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段5と、電子写真感光体1に形成されたトナー像の転写後に電子写真感光体1上に残るトナーを除去するクリーニング手段9とを有する。電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9は、一体に支持されている。プロセスカートリッジ11は、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在に装着される。
図1に示す電子写真装置は、レール12のほかに、電子写真感光体1上のトナー像を転写材7に転写するための転写手段6と、転写材7に転写された未定着トナー像を定着させる像定着手段8と、帯電した電子写真感光体1に形成されるべき静電潜像に対応する光を電子写真感光体1に照射する露光手段(不図示)と、クリーニング手段9によってトナーが除去された後の電子写真感光体1の静電履歴を消去するための光を電子写真感光体1に照射する前露光手段(不図示)とを有する。
電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位に均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。なお、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナーで現像され、形成されたトナー像は、不図示の給紙部から取り出され、電子写真感光体1の回転と同期して給紙される転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光を行わなくても良い。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザープリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、ファクシミリ及び電子写真式製版システム等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明する。実施例中、「部」は質量部を表す。
<実施例1>
直径30mmのアルミニウムシリンダーをホーニング処理し、超音波洗浄したものを導電性支持体とした。次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2度が9.0度、14.2度、23.9度及び27.1度に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラール(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3.5部及びシクロヘキサノン35部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記の中間層の上に浸漬コーティング方法で塗布して90℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、表1の化合物例No.18の電荷輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶剤中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上にコーティングし、この塗膜に加速電圧150kV、照射線量15Mradの条件で電子線を照射し、その後、加熱処理(150℃、1時間)を行い、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
この感光体1の電子線照射前の感光層中の溶剤含有量を、ヘッドスペースサンプラーを装備したガスクロマトグラフィーで測定したところ、溶剤含有量は感光層質量に対する質量%で0.07%であった。また電子線照射・加熱処理後にも同様の測定を行ったところ、溶剤含有量は0.04%であった。
次に、新たに上記と同様の方法で作製した感光体1を、光量及び帯電設定を変更可能に改造したレーザービームプリンター(LBP−930EX:Canon社製)に装着し、常温常湿環境下(23℃/55%RH)(N/N)で、初期暗部電位(Vd)が−700(V)になるように帯電設定をし、これに波長780(nm)のレーザー光を照射して−700(V)の電位を−200(V)まで下げるのに必要な光量(EΔ500)を測定した。これを感度とした。更に、15.0μJ/cm2(15.0cJ/m2)の光量を照射した場合の電位を残留電位(Vr)として測定した。これらを初期特性とした。なお、その他の条件は、転写電流:+5.5μA、プロセススピード:96mm/secで行った。
その後、環境を高温高湿環境下(32℃/85%RH)(H/H)に代え、Vrの常温常湿下からの変動量(ΔVl)を測定した。感光体の表面電位については、レーザービームプリンター用カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック社製)を装着し、表面電位計(model344:トレック社製)を使用して測定した。
次に、新たに上記と同様の方法で作製した感光体1を、上記と同様の改造機に装着して常温低湿環境下(23℃/10%RH)(N/L)で連続20000枚の通紙耐久を行い、感光体1の耐久前後の膜厚を、過電流式膜厚計(カールフィッシャー社製)を使用して測定した。
また、以下のようにしてフォトメモリーの測定を行った。白色光に対するフォトメモリ
ーの測定のため、新たに上記と同様の方法で作製した感光体1を上記と同様の改造機に装着し(低温低湿環境下N/N)で、初期暗部電位(Vd)/初期明部電位(Vl)が−700(V)/−200(V)になるように帯電及び露光光量を設定し、次に、この感光体1に暗部と明部ができるようにマスキングし、蛍光灯下で3000lux、30分間光照射した後、5分間放置し、残留電位等と同様に、感光体1の表面電位を測定し、暗部電位の初期と光照射後との変化量の絶対値(ΔVd)をフォトメモリーとして測定した。
結果を表2に示す。
これらの結果から、感光体1は、残留電位が低く、各種環境での電位変動及びフォトメモリーも極めて小さく、膜厚減少量も僅かであり、優れた電気的特性及び機械的強度を有することが明確となった。
<実施例2〜18>
表2に示したように、実施例1の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物、表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例1と同様な方法で感光体2〜18を作製し、同様に評価した。その結果を表2に示す。
<比較例1〜8>
表4に示したように、実施例1の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物、表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例1と同様な方法で比較感光体1〜8を作製し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
<実施例19>
表1の化合物例No.6の電荷輸送性化合物60部及び下記構造式(B)の光重合開始剤1.0部を、モノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶剤中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上にコーティングし、この塗膜を、メタルハライドランプを用いて500mW/cm2(5000W/m2)の光強度で60秒間硬化させたのち加熱処理を行い、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、感光体19を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2005055729
<実施例20、21>
表2に示したように、実施例19の表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例19と同様な方法で感光体20、21を作製し、同様に評価した。その結果を表2に示す。
<比較例9、10>
表4に示したように、実施例19の表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例19と同様な方法で比較感光体9、10を作製し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
<実施例22>
電荷発生層までは実施例1と同様に作製した。次いで、下記構造式(C)のスチリル化合物20部、及び下記構造式(D)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(数平
均分子量20000)10部を、モノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗布液を用いて、電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。この時の電荷輸送層の膜厚は15μmであった。
Figure 2005055729
Figure 2005055729
次いで、表1の化合物例No.12の電荷輸送性化合物40部をn−プロピルアルコール60部に溶解して表面保護層用塗料を調製した。この塗料を電荷輸送層上にコーティングし、この塗膜に加速電圧150kV、照射線量15Mradの条件で電子線を照射して前記塗膜を硬化させたのち加熱処理を行い、膜厚5μmの表面保護層を形成し、感光体22を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
<実施例23〜39>
表3に示したように、実施例22の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物、表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例22と同様な方法で感光体23〜39を作製し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
<比較例11〜18>
表4に示したように、実施例22の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物、表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例22と同様な方法で比較感光体11〜18を作製し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
<実施例40>
電荷輸送層までは実施例18と同様に作製した。次いで、表1の化合物例No.19の電荷輸送性化合物40部及び下記構造式(B)の光重合開始剤1.0部をn−プロピルアルコール60部に溶解して表面保護層用塗料を調製した。この塗料を電荷輸送層上にコーティングし、この塗膜を、メタルハライドランプを用いて500mW/cm2の光強度で60秒間硬化させたのち加熱処理を行い、膜厚5μmの表面保護層を形成し、感光体40を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2005055729
<実施例41、42>
表3に示したように、実施例40の表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例40と同様な方法で感光体41、42を作製し、同様に評価した。その結果を表3に示す。
<実施例43>
電荷発生層までは実施例1と同様に作製した。次いで、表1の化合物例No.19の電荷輸送性化合物60部及び下記構造式(E)の硬化性モノマー(日本化薬(株)製、カヤラッドDPHA)6部を、モノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶剤中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上にコーティングし、この塗膜に加速電圧150kV、照射線量15Mradの条件で電子線を照射して前記塗膜を硬化させたのち加熱処理を行い、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、感光体43を作製した。その結果を表3に示す。
Figure 2005055729
<比較例19、20>
表4に示したように、実施例40の表面層の硬化時及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例40と同様な方法で比較感光体19、20を作製し、同様に評価した。その結果を表4に示す。
<実施例44>
電荷発生物質として、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2°において7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を2部、電荷輸送物質として下記構造式(F)を50部、電子輸送物質として下記構造式(G)を50部、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート(数平均分子量35,000)を100質量部と、溶媒として800質量部のテトラヒドロフランとをボールミルで50時間混合分散して単層型感光層用塗料を調製した。この塗料を陽極酸化したアルミニウム管上に塗布した後、100℃で60分間乾燥することにより膜厚15μmの単層型感光層を作製した。
Figure 2005055729
Figure 2005055729
次いで、表1の化合物例No.19の電荷輸送性化合物40部をn−プロピルアルコール60部に溶解して表面保護層用塗料を調製した。この塗料を先の単層型感光層上に塗布し、この塗膜に加速電圧150kV、照射線量15Mradの条件で電子線を照射し、その後140℃で1時間後乾燥を行い、膜厚5μmの表面保護層を作製し感光体44を得た。これを実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
<比較例21>
表4に示したように、実施例44の表面保護層の硬化前及び硬化後の感光層中の溶剤含有量を変更した以外は、実施例44と同様な方法で比較感光体21を作製し同様に評価した。その結果を表4に示す。
なお、下記の表中、「電子線CTL」は、電子線の照射によって塗料を硬化させて作製した電荷輸送層を意味し、「紫外線CTL」は、紫外線の照射によって塗料を硬化させて作製した電荷輸送層を意味する。また、下記の表中、「電子線OCL」は、電子線の照射によって塗料を硬化させて作製した表面保護層を意味し、「紫外線OCL」は、紫外線の照射によって塗料を硬化させて作製した表面保護層を意味する。
Figure 2005055729
Figure 2005055729
Figure 2005055729
以上の実験結果から、同一分子内に少なくとも一つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を硬化させることによって形成される層を有する電子写真感光体において、前記層の硬化時に、以下の範囲で有機溶剤を含有しているときに機械的強度及び電気的特性の優れた電子写真感光体を得られることは明らかである。
0.05≦R≦20、より好ましくは、0.1≦R≦10
(ただしRは感光層の質量に対する有機溶剤の質量%)
さらに詳細には、
電荷輸送層の場合は、0.1≦R≦5.0
表面保護層の場合には、0.1≦R≦3.0
であることが、機械的強度及び電気的特性の優れた電子写真感光体を得る上でより一層効果的である。
また、前記層の硬化後、もしくは硬化後に加熱処理を行った電子写真感光体の有機溶剤含有量に関しては、以下の範囲のときに機械的強度及び電気的特性が優れていることも明らかである。
0.02≦R’≦2.0
(ただしR’は感光層の質量に対する有機溶剤の質量%)
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及びこのプロセスカートリッジを有する電子写真装置の一実施の形態を示す概略図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 画像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール

Claims (12)

  1. 導電性支持体と、この導電性支持体上に設けられた感光層とを有する電子写真感光体において、
    前記感光層は、前記電子写真感光体の表面を形成し、単一の層によって構成されるか、又は積み重ねられた複数の層によって構成され、
    前記単一の層によって構成される感光層、又は前記複数の層によって構成される感光層のうちの前記電子写真感光体の表面を形成する層は、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する前記電荷輸送性化合物の溶液の塗膜を硬化させることによって形成され、
    前記塗膜を前記単一の層によって形成される感光層、又は前記電子写真感光体の表面を形成する層と仮定したときに、前記感光層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.05質量%以上20質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記電荷輸送性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
    Figure 2005055729
  3. 前記電荷輸送性化合物は、前記連鎖重合性官能基を二つ以上有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記塗膜を前記単一の層によって形成される感光層、又は前記電子写真感光体の表面を形成する層と仮定したときに、前記感光層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記塗膜を硬化させて形成した前記感光層の質量に対する前記溶剤の含有量が0.02質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記連鎖重合性官能基が、アクリル基、メタクリル基あるいはスチリル基であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記塗膜は、紫外線あるいは放射線のいずれかにより硬化されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記塗膜は、電子線により硬化されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに一項に
    記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、この電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面からトナーを除去するクリーニング手段とを有する電子写真感光体に装着されるプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体と、前記帯電手段、前記現像手段、及び前記クリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、この電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に露光によって静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体を製造する方法であって、
    前記電荷輸送性化合物と溶剤とを含有する溶液を、前記導電性支持体又は導電性支持体上に形成された層の上に塗布して前記溶液の塗膜を形成する工程と、
    この塗膜中の前記電荷輸送性化合物の連鎖重合性官能基の重合及び架橋のいずれか一方又は両方を行って前記塗膜を硬化させる工程と、を含み、
    前記導電性支持体上に形成されている層と前記塗膜との質量の総和に対する前記溶剤の含有量が、前記塗膜の硬化前において0.05質量%以上20質量%以下である電子写真感光体の製造方法。
  12. 硬化した塗膜を加熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体の製造方法。
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