JP2005091742A - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 放射線による重合反応を利用した電子写真感光体において、電子写真特性の向上、特には残留電位、そして耐久後のゴーズトといった画像欠陥の発生しない電子写真感光体を提供する。またこの電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体の表面を形成する表面層を、放射線の照射により重合又は架橋する化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に放射線を照射し、この放射線の照射によって得られた層を、酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱することによって形成する。得られた電子写真感光体を電子写真装置やプロセスカートリッジに装備する。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置、さらには前記電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは、放射線照射によって形成され、さらに硬化終了後に酸素濃度1%以上の不活性ガス中で加熱処理が行われてなる表面層を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置、前記電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、電子写真感光体に用いられる材料として、有機光導電材料は、その高生産性や無公害性等の利点が注目され、広く用いられるようになってきた。有機光導電材料を用いた電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の電子写真感光体として利用される場合が多い。
しかしながら、有機光導電材料を用いた電子写真感光体のうち、有機電荷輸送材料と結着樹脂とで構成される電荷輸送層を有する電子写真感光体では、電荷輸送層の物性については電荷輸送能の樹脂に対する依存度が大きく、例えば硬度が十分に高い硬化性樹脂では電荷輸送能が十分ではなく、繰り返し使用時に残留電位の上昇が見られる等、高い硬度と十分な電荷輸送能の両立は困難であった。
一方で、前記電荷輸送層を有する電子写真感光体としては、例えば電荷輸送能と連鎖重合能とを有する化合物の塗膜に放射線を照射して重合させ、高い硬度と高い電荷輸送能とを両立しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、近年のプリントスピードの高速化、高PV(Print Volume)化、高画質化、低ランニングコスト化等の市場動向に対応すべく、さらなる検討を進めた結果、電子写真特性、特には残留電位、耐久後のゴーズトといった画像欠陥に対しては、前述した電子写真感光体では、満足できるものではないことが判明し、さらなる検討を必要とすることが明らかとなった。
特開平11−265085号公報 特開2000−66425号公報
本発明の目的は、放射線による重合反応を利用した電子写真感光体において、電子写真特性の向上、特には残留電位、そして耐久後のゴーズトといった画像欠陥の発生しない電子写真感光体を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、上記電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体を製造する方法において、電子写真感光体の表面を形成する表面層を形成するに
あたり、放射線の照射により重合又は架橋する化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に放射線を照射する工程と、放射線の照射によって得られた層を、酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱する工程と、を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また、本発明は、前記の方法によって製造された電子写真感光体、この電子写真感光体を有する電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供する。
本発明によれば、優れた耐摩耗性及び耐傷性を有し、さらに、残留電位や耐久後のゴースト等の画像欠陥に対する特性も良好であり、繰り返し使用時にも安定した高性能を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体の製造方法、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
本発明は、基本的に放射線による重合・架橋反応を利用したものである。この反応は、通常室温下で行われるのが一般的である。
しかし、放射線照射によって形成した電子写真感光体は、放射線によって電子写真特性が悪化する傾向にある。また、放射線による重合・架橋反応を促進させるために、高加速電圧化あるいは吸収線量を増大し、被照射体の放射線吸収効率を向上させた場合、電子写真特性や物性がさらに悪化する懸念がある。
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、放射線照射によって電子写真感光体の表面層を形成した後に、酸素濃度1%以上の不活性ガス中で加熱(エージング)を行うことで、放射線の照射によって悪化した電子写真特性が回復することが見出された。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明における電子写真感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを有する。
前記導電性支持体は、導電性を有し、表面に感光層を支持することができるものであればよい。このような導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
前記感光層は、画像情報に応じた光の照射によって静電潜像を形成するものであれば特に限定されず、光照射によって電荷を発生させる電荷発生物質と、発生した電荷を輸送する電荷輸送物質とを含有する層によって形成される。このような感光層としては、例えば電荷発生材料を含有する電荷発生層と、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とをこの順に積層した層、逆に電荷輸送層、電荷発生層をこの順に積層した層、電荷発生材料と電荷輸送材料を結着樹脂中に分散した単層より構成される層等が挙げられる。
本発明における電子写真感光体は、本発明の効果を損なわないものであれば、前記感光層以外の他の層をさらに有していても良い。このような他の層としては、例えば、感光層上に形成される保護層や、前記導電性支持体と感光層との間に形成される下引き層等が挙
げられる。
本発明は、前述した電子写真感光体の表面を形成する表面層を形成するにあたり、放射線の照射により重合又は架橋する化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に放射線を照射する工程(以下「照射工程」とも言う)と、この放射線の照射によって得られた層を、酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱する工程(以下「加熱工程」とも言う)とを含む。本発明では、前記表面層以外の他の層は、公知の方法によって作製することができ、特に限定されない。
前記表面層は、前記電子写真感光体の表面を形成する層であり、前記感光層の構成や、前記保護層の有無等の条件によって異なる。このような表面層としては、例えば保護層を有さず感光層が単層の感光層である場合では感光層そのもの、保護層を有さず感光層が積層の感光層である場合では前記電荷輸送層又は電荷発生層、保護層を有する場合では保護層、等が挙げられる。
前記照射工程は、放射線の照射により重合又は架橋する化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に放射線を照射する。
前記照射工程において、放射線の照射により重合又は架橋する化合物は、放射線の照射によりラジカル等の活性点が発生し、重合、あるいは重合及び架橋、あるいは架橋することが可能な化合物であればよい。このような化合物としては、分子中に連鎖重合性官能基を有する化合物等が挙げられる。前記化合物中における前記連鎖重合性官能基の数は特に限定されないが、同一分子内に二つ以上であることが、表面層の硬度を高める上で好ましい。
前記連鎖重合性官能基は、主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等の重合反応が可能な官能基であり、このような連鎖重合性官能基としては、例えば特開2000−66425号公報に記載されている連鎖重合性官能基や、連鎖重合性官能基の中でも炭素間に不飽和結合を有する不飽和重合性官能基等が挙げられる。前記不飽和重合性官能基としては、例えば下記構造式(1)で示されるアクリロイルオキシ基、下記構造式(2)で示されるメタクリロイルオキシ基、及び下記一般式(3)で示される基等が好ましくは挙げられる。
Figure 2005091742
Figure 2005091742
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前記分子内に不飽和重合性官能基を有する化合物は、反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましい。前記不飽和重合性官能基を有する化合物は、モノマー、オリゴマーあるいはマクロマーのいずれにも限定されない。
前記照射工程では、前記化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に、放射線を照射する。前記膜は、前記化合物の種類や物性等の条件に応じて適当な方法によって形成される。このような方法としては、例えば前記化合物の溶液を塗布する方法や、蒸着、プラズマその他の公知の製膜方法等が挙げられる、前記溶液を塗布する方法では、例えば、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等の公知の塗布方法が挙げられるが、効率性/生産性の点からは、浸漬コーティング法が好ましい。
前記照射工程において前記膜に照射する放射線には、特開2000−66425号公報において開示したものと同様に、電子線及びγ線等が挙げられ、装置の大きさ、安全性、コスト及び汎用性等の種々の点から電子線が好ましい。
前記加熱工程では、前記照射工程で得られた層を、酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱する。加熱工程では、前記層を加熱できれば、その方法としては特に限定されず、電子写真感光体の外部あるいは内部からのいずれにおいても行うことができる。
外部から加熱する場合は、電子写真感光体の近傍に各種のヒータ等を設置し、直接加熱する方法や、電子写真感光体のまわりの雰囲気を加熱するか、あるいは加熱された気体を電子写真感光体に接触させることにより間接的に加熱する方法等が挙げられる。
内部から加熱する方法においても、内部に各種ヒータを設置する方法、加熱された流体を通過させる方法等が挙げられる。
本発明では、これらの加熱手段はそのいくつかを組み合わせることが可能である。
加熱工程における加熱は、電子写真感光体の温度が50度以上250度以下となるように行われることが好ましく、特に好ましくは100度温度以上200度以下になるように行われることである。250度よりも高い温度になると、電子写真感光体の材料が劣化し、電子写真特性が悪くなる傾向にある。50度よりも低い温度になると、電子写真感光体の電子写真特性が低下する傾向にある。
前記加熱工程において、加熱する時間は、その温度にもよるが、おおよそ数秒から数十分程度である。これらの時間より短時間で加熱することに対して特に問題はないが、装置的な制御の問題や、負荷が大きくなる等の点で実用的ではない。一方、これらの時間より長い時間加熱することも可能であるが、生産性等の点からあまり好ましくはない。
なお、前記加熱工程では、前記照射工程によって電子写真感光体の表面に形成された層を加熱することから、加熱工程における前記電子写真感光体の温度とは、実質的には加熱時の雰囲気の温度と同じである。したがって、前記加熱工程における電子写真感光体の温
度は、電子写真感光体の表面の温度を直接測定して求めても良いし、加熱時の雰囲気の温度としても良い。
前記加熱工程において、加熱する雰囲気には、前記表面層中の反応活性点を完全に失活させることが出来るように、酸素を含有する不活性ガスが用いられ、このような観点から不活性ガス中の酸素濃度を1%以上としている。不活性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスや窒素等が挙げられる。不活性ガスは、一種でもまた二種以上でも良い。不活性ガス中の酸素濃度は、高濃度でも本発明の効果は損なわれないが、コスト、安全性の面からして、大気を用いた場合と同じ20%程度にすることが好ましく、この場合は、加熱する雰囲気として大気を使うこともできる。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明では、電子写真感光体の表面層を放射線照射により形成し、硬化終了後に酸素濃度1%以上の不活性ガス中で加熱することによって、電子写真感光体の電子写真特性の向上という効果が十分に発揮される。中でも、電子写真特性、特に残留電位、そして耐久後のゴーズトといった画像欠陥の点より、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の電子写真感光体、又は前記電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の感光層上に保護層を形成した電子写真感光体に本発明を適用することが好ましい。すなわち電荷輸送層あるいは保護層を放射線照射により形成することが好ましい。
また、本発明における表面層が電荷輸送層あるいは保護層のいずれの場合においても、両者は硬化後に電荷輸送能を有していることが好ましい。前記表面層は、前述したように連鎖重合性官能基、より好ましくは不飽和重合性官能基を有する化合物に放射線を照射し加熱することにより形成される。前記不飽和重合性官能基を有する化合物が電荷輸送能力を有さない化合物である場合においては、電荷輸送材料や導電性材料の添加により電荷輸送能を確保することが好ましい。前記不飽和重合性官能基を有する化合物自体が電荷輸送能を有する場合においては、この限りではない。
本発明では、前記表面層の膜硬度や種々の電子写真特性の点からして、後者のような電荷輸送能を有する化合物を前記化合物として使用することがより好ましい。更に、電荷輸送能を有する化合物の中でも、電子写真プロセスや材料の汎用性の点からして、正孔輸送能を有する化合物が更に好ましい。このような化合物には、例えば連鎖重合性官能基に加えて電荷輸送性基をさらに有する化合物等が挙げられる。
前記電荷輸送性基は、電荷を輸送する官能基であれば特に限定されないが、本発明では、正孔輸送性基であることが好ましい。前記正孔輸送性基は、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよい。このような正孔輸送性基としては、例えば、特開2000−66425号公報に記載されているような正孔輸送性基が挙げられる。より具体的には、正孔輸送性基に結合する他の官能基を水素原子に置き換えた水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示したときに、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジフェニルアミンやトリフェニルアミン等のジ又はトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
本発明においては、前述したように、導電性支持体と感光層の間に、バリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性
改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。
下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は0.1〜2μm程度であることが好ましい。
本発明における電子写真感光体が機能分離型の電子写真感光体である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε又はX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン、及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等の方法で均一に分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、又は前記電荷発生材料の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。
前記結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
次に、電荷輸送層について説明する。
本発明において、表面層が電荷輸送層である場合には、電荷輸送層が放射線照射により形成される層となり、この工程により重合又は架橋し硬化する化合物から構成される。
電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物が挙げられるが、これらを放射線照射により重合、架橋可能な化合物と共に適当な溶剤に分散あるいは溶解させ、先の電荷発生層上に塗布した後、前述した照射工程により電荷輸送層を形成する。
放射線照射により重合、架橋可能な化合物として、電荷輸送能、好ましくは正孔輸送能を有し、かつ放射線照射により重合、架橋可能な化合物を用いる場合は、それ単独で前記表面層となる電荷輸送層を形成することが可能である。また、前記表面層としての電荷輸
送層は、前述の電荷輸送材料と、電荷輸送能を有さず放射線照射により重合・架橋可能な化合物とを適宜混合して形成することが可能である。
電荷輸送能を有しかつ放射線照射により重合、架橋可能な化合物は、例えば不飽和重合性官能基を有する公知の正孔輸送性化合物や、公知の正孔輸送性化合物の一部に不飽和重合製官能基を付加した化合物等であればよい。公知の正孔輸送性化合物の例としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、ベンジジン化合物及びスチルベン化合物等が挙げられるが、正孔輸送性化合物であればいかなる化合物も使用可能である。
更に、本発明において電子写真感光体表面層の硬度を十分に確保するためには、不飽和重合性官能基を有する化合物は一分子中に複数の不飽和重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。
本発明において、感光層が単層で構成される電子写真感光体の場合には、例えば電荷発生材料、電荷輸送材料及び放射線照射により重合・架橋可能な化合物を分散又は溶解した溶液を用いて、感光層が形成される。この場合においても、先の機能分離型電子写真感光体と同様に、電荷輸送能を有しかつ放射線照射により重合・架橋可能な化合物の使用が好ましい。
本発明において、表面層が保護層である場合には、保護層が放射線照射により形成される層となり、この工程により重合又は架橋し硬化する化合物から構成される。この場合、下層である感光層の構成は、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した構成、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層した構成、あるいは単層のいずれもが可能であるが、先に述べた理由により、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した構成が好ましい。
この場合、電荷発生層は、前述と同様な方法で形成され、電荷輸送層は、先の電荷輸送材料を、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等の結着樹脂中に分散あるいは溶解した溶液を用いて形成される。場合によっては、放射線照射により重合・架橋可能な化合物を有する化合物の添加も可能である。
保護層は、硬化後に電荷輸送能を有していることが好ましいため、照射工程により重合、架橋し保護層を形成する化合物自体が電荷輸送能力を有さない化合物である場合においては、前述の電荷輸送材料や導電性材料の添加により電荷輸送能を確保することが好ましい。この場合、電荷輸送材料は、放射線照射により重合・架橋可能な官能基を有しても有さなくてもかまわないが、電荷輸送材料の可塑性による機械的強度の低下を避けるためには、前者が好ましい。導電性材料としては、酸化チタンや酸化錫等の導電性微粒子が一般的ではあるが、その他として、導電性高分子化合物等の利用も可能である。
照射工程により重合、架橋し保護層を形成する化合物自体が電荷輸送能を有する場合においては、この限りではない。本発明においては、表面層の膜硬度や種々の電子写真の点からして、後者のような電荷輸送能を有する化合物を使用した表面層が特に好ましい。
本発明において、感光層及び保護層には、各種添加剤を添加することができる。前記添加剤とは、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の劣化防止剤やフッ素系樹脂微粒子等の滑材等である。
次に、放射線の照射について説明する。
放射線として電子線を照射をする場合、加速器としては、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等のいずれの形成も使用することができる。
また、電子線の照射により電子写真感光体を形成する本発明においても、電子写真感光体の電気特性及び耐久性能を十分に発現させる上で、電子線の加速電圧と吸収線量が非常に重要なファクターである。
前記加速電圧は300kV以下が好ましく、最適には150kV以下が好ましい。また前記吸収線量は好ましくは1〜100Mradの範囲、より好ましくは50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300kVを超えたり、吸収線量が100Mradを超えると、電子写真感光体への劣化が起こり易い傾向にある。このことは、特開2000−66425号公報において示されている。
しかし、このようにして得られた電子写真感光体は、電子写真特性、特には残留電位、そして耐久後のゴーストといった画像欠陥が十分ではないことがあり、さらなる性能の向上について検討の余地が残されていることは前述した通りである。また、重合、架橋の効率を上げるためには、吸収線量を増大させることが一般的であるが、吸収線量の増大は電子写真感光体特性の劣化へつながる傾向がある。
しかしながら、本発明では、電子線等の放射線を照射して表面層となる層を硬化させた後に、この層を酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱することにより、電子写真感光体の電子写真特性の低下を防止することが可能である。これは、前記層の形成時における放射線の照射で損なわれたと思われる電子写真特性が、前記不活性ガス中での加熱によって回復するためと思われる。
以上より、前述したような照射工程及び加熱工程を含む電子写真感光体の製造方法によれば、電子線の照射によって電子写真感光体特性が劣化しても、酸素濃度1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱(エージング)を行うことによって、電子写真特性、特には残留電位、そして耐久後におけるゴースト画像による画像欠陥が、加熱を行わなかった場合よりも良化させることが可能である。
本発明の電子写真装置は、前述した本発明における電子写真感光体と、この電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、電子写真感光体上に形成された静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する現像手段と、電子写真感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する。本発明の電子写真装置は、このほかにも、転写材上の未定着トナー像を加熱及び加圧によって定着させる定着手段、転写後の電子写真感光体上に残留するトナーを除去するためのクリーニング手段、後述するプロセスカートリッジを装置本体の所定の位置に案内し着脱自在に支持する案内手段等の、他の手段を適宜有していても良い。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真装置に適用できるものであり、前述した本発明における電子写真感光体と、前記帯電手段、前記現像手段、及び前記クリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持し、前記電子写真装置の本体に着脱自在に構成される。本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体及び前述した構成要素の他にも、他の手段を適宜有していても良い。
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略を示す。この電子写真装置は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる一次帯電手段3と、帯電した電子写真感光体1に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段5と、電子写真感光体1上のトナー像を転写材7に転写するための転写手段6と、転写材7に転写された未定着トナー像を定着させる像定着手段8と、電子写真感光体1に形成されたトナー像の転写後に電子写真感光体1上に残るトナーを除去するクリーニング手段9と、帯電した電子写真感光体1に形成されるべき静電潜像に対応する光を電子写真感光体1に照射する露光手段(不図示)と、クリーニング手段9によってトナーが除去された後の電子写真感光体1の静電履歴を消去するための光を電子写真感光体1に照射する前露光手段(不図示)とを有する。
電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9は、一体に支持され、プロセスカートリッジ11を構成している。前記電子写真装置には、レール等の案内手段12がさらに設けられており、プロセスカートリッジ11は、この案内手段12を用いて装置本体に着脱自在に装着される。
電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位に均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。なお、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナーで現像され、形成されたトナー像は、不図示の給紙部から取り出され、電子写真感光体1の回転と同期して給紙される転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光を行わなくても良い。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザープリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、ファクシミリ及び電子写真式製版システム等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、実施例に従って本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<実施例1>
直径30mm×357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗工液を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分間熱硬化して、膜厚が18μmの導電層を形成した。
導電性顔料:SnOコート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
結着樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール=0.2/0.8 15部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を、浸漬コーティング法で前記導電層に塗布して、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、得られた分散物に酢酸エチル80部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で前記中間層に塗布して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式(4)で示される正孔輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン30部/ジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上にコーティングし、この塗膜に、窒素雰囲気中において加速電圧150kV、吸収線量20Mradの条件で電子線を照射し、前記正孔輸送性化合物を硬化させることによって膜厚13μmの電荷輸送層を形成した。さらに、電子写真感光体を、大気中において150℃で1時間加熱処理し、電子写真感光体を得た。
Figure 2005091742
作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製複写機GP40を用いて22℃/55%の環境下で評価した。電子写真感光体の電位特性については、複写機本体から現像器ユニットを取り外し、代わりに電位測定用プローブを現像位置に固定することにより測定を行った。なおその際に転写ユニットは、電子写真感光体に対して非接触とし、紙は非通紙とした。
初期の電子写真感光体特性〔暗部電位Vd、光減衰感度(暗部電位650V設定で150Vに光減衰させるために必要な光量)、残留電位Vsl(光減衰感度の光量の3倍の光量を照射したときの電位)〕を測定し、さらに100000枚の通紙耐久実験を行い、電子写真感光体の削れ量を測定した。
なお、削れ量の測定には、渦電流式膜厚計(カールフィッシャー社製)を使用した。また、通紙耐久は、プリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。ゴーストの画像評価は、全く見られなかった場合にはA、軽微なゴーストが生じた場合はA−、使用上問題がない場合はB、はっきりゴーストが見られる場合はCとした。結果を表1に示す。
表1に見られるように本発明の電子写真感光体は、初期の電子写真感光体特性、特には残留電位、そして耐久後のゴーストが良好であり、従来の電子写真感光体と比較して、優れた耐久性能を示すことがわかった。
<実施例2>
実施例1における電子線の吸収線量を20Mradから40Mradに増加させた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1における電子線の吸収線量を20Mradから5Mradに低下させた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1における電子線の吸収線量を20Mradから1Mradに低下させた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1と同様にして電荷発生層までを形成した。
次いで下記構造式(5)で示されるスチリル化合物7部及びポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ800、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)10部を、モノクロロベンゼン105部/ジクロロメタン35部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製し、この電荷輸送層用塗料を前記電荷発生層上に塗布し、これを120℃で1時間加熱乾燥することによって電荷輸送層を形成した。このときの電荷輸送層の膜厚は10μmであった。
Figure 2005091742
次いで、下記構造式(6)で示される正孔輸送性化合物45部をn−プロピルアルコール55部に溶解し、表面保護層用塗料を調製した。この塗料を前記電荷輸送層上に塗布したのち、この塗膜に、窒素雰囲気中において、加速電圧150kV、吸収線量20Mradの条件で電子線を照射し、前記正孔輸送性化合物を硬化させ、膜厚が5μmの保護層を形成した。
Figure 2005091742
さらに、電子写真感光体を、大気中において150℃で1時間加熱処理し、電子写真感光体を得た。このようにして作製した電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例6〜8>
実施例5における電子線の吸収線量を20Mradから表2に示した吸収線量に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。その結果、吸収線量が低い方が、初期の電子写真特性は良化する傾向にあったが、耐久性能はやや劣る傾向が見られた。結果を表1に示す。
<実施例9〜13>
実施例5において、加熱処理条件を150℃から表3に示した条件に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例14>
実施例5において、加熱処理条件を1時間から10分に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例15>
実施例5において、加熱処理条件を1時間から2時間に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例16>
実施例5において、加熱処理時の雰囲気を、大気中から酸素濃度が1%の雰囲気に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例17>
実施例5における構造式(6)に示される化合物を下記構造式(7)に示される正孔輸送性化合物に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005091742
<実施例18>
実施例5における構造式(6)に示される化合物を下記構造式(8)に示される正孔輸送性化合物に変更し、溶剤をn−プロピルアルコールからシクロヘキサンに変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005091742
<実施例19>
実施例5における構造式(6)に示される化合物を下記構造式(9)に示される正孔輸送性化合物に変更し、溶剤をn−プロピルアルコールからシクロヘキサンに変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005091742
<実施例20>
実施例5と同様にして電荷輸送層までを形成した。
次に、3,3,3,−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(商品名:LS1090、信越化学(株)社製)で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化錫微粒子50部、及び下記式(10)で示される、正孔輸送機能を有さないアクリルモノマー30部を、エタノール150部中でサンドミルにより70時間かけて分散し、保護層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷輸送層上に塗布した後に、実施例5と同様に電子線照射以降の処理を行い、電子写真感光体を作製し、評価した。なおこのときの保護層の膜厚は4μmであった。結果を表1に示す。
Figure 2005091742
<実施例21>
実施例5において、表面保護層用塗料中に、5部のポリテトラフルオロエチレン微粒子を添加分散した塗工液を表面保護層用塗料とした以外は、実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例5において、加熱処理条件を150℃から30℃に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例5において、加熱処理条件を150℃から300℃に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例5において、加熱処理時の雰囲気を、大気中から酸素濃度が1000ppmの雰囲気に変更した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<比較例4>
実施例5において、電子線照射後の窒素中での加熱処理工程を行わない以外は、実施例5と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005091742
Figure 2005091742
Figure 2005091742
本発明のプロセスカートリッジの一例及びこれを有する電子写真装置の一例の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (17)

  1. 導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体を製造する方法において、
    前記電子写真感光体の表面を形成する表面層を形成するにあたり、
    放射線の照射により重合又は架橋する化合物を含有し、前記表面層の位置に形成された膜に、放射線を照射する工程と、
    前記放射線の照射によって得られた層を、酸素濃度が1%以上の酸素を含む不活性ガス中で加熱する工程と、を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記加熱する工程は、前記放射線の照射によって得られた層を有する電子写真感光体を、50度以上250度以下の温度に加熱する工程であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記加熱する工程は、前記放射線の照射によって得られた層を有する電子写真感光体を、100度以上200度以下の温度に加熱する工程であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを有し、前記表面層は、前記電荷輸送層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記感光層上に形成される保護層をさらに有し、前記表面層は前記保護層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記保護層は、電荷輸送能を有することを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記放射線は電子線であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記放射線の照射により重合又は架橋する化合物は、連鎖重合性官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記連鎖重合性官能基は不飽和重合性官能基であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記不飽和重合性官能基は、下記構造式(1)で示されるアクリロイルオキシ基であるか、又は下記構造式(2)で示されるメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2005091742
    Figure 2005091742
  11. 前記不飽和重合性官能基は、下記一般式(3)で示される基であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2005091742
    (式中、Arは置換基を有していても良いアリーレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
  12. 前記連鎖重合性官能基を有する化合物は、電荷輸送性基を有することを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記電荷輸送性基は、正孔輸送性基であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記連鎖重合性官能基を有する化合物は、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有することを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法によって製造された電子写真感光体。
  16. 請求項15に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像にトナーを供給して前記静電潜像を現像する現像手段と、前記電子写真感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有することを特徴とする電子写真装置。
  17. 請求項15に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像にトナーを供給して前記静電潜像を現像する現像手段と、前記電子写真感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する電子写真装置に装着されるプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体と、前記帯電手段、前記現像手段、及び前記トナー像を転写した後の前記電子写真感光体に残存するトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段とを一体に支持し、前記電子写真装置の本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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