JP2021086078A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的耐久性と、結露回復性とを有する電子写真感光体を提供する。【解決手段】支持体と、表面層としての感光層とを有する、又は支持体と感光層と表面層としての保護層とをこの順に有する電子写真感光体であって、表面層が、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記式(1)で示される化合物とを含む組成物の重合体を含有する電子写真感光体。(式(1)中、R11およびR12は、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基または無置換のフェニル基を示す。R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよい。R13は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R14およびR15は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。R16およびR17は、ヒドロキシ基、もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。R16およびR17は、どちらか一方が、ヒドロキシ基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体には、有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有する有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」という)があり、これまで幅広い検討がなされてきた。近年、電子写真感光体の長寿命化や高画質化を目的として、電子写真感光体の機械的耐久性(耐摩耗性)と、長期使用による電気特性の変動が少ないことが求められている。
特許文献1では、電子写真感光体の最表面層に重合性官能基を有する電荷輸送性物質を重合させて得られる重合物を有することで、電子写真感光体の機械的耐久性の向上と電気特性の安定化をさせる方法が記載されている。
特開2000−066425号公報
重合性官能基を有する電荷輸送性物質の中でも、トリフェニルアミンを含むものは、電荷輸送性が優れ、長期に画像形成を行うことによって生じる分子鎖の開裂や酸化といった化学的変化が生じにくい。それにより、長期使用による画像不良が発生することが起きにくい。しかし、トリフェニルアミンは電荷輸送性を有する物質としては構造が小さい。このため、重合性官能基を有するトリフェニルアミンの重合物を電子写真感光体の最表面層に用いた場合、表面層の膜に大きな空乏ができやすく表面層の空乏から感光層へ水分が透過しやすい。
本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の電子写真感光体では、機械的耐久性があり良好な電気特性が得られるものの、環境を急激に変化させた際に発生する結露に対しては回復性が好ましくない場合があるという課題があった。
したがって、本発明の目的は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、機械的耐久性があるとともに、結露回復性を有する電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる電子写真感光体は、支持体及び該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記式(1)で示される化合物とを含む組成物の重合体を含有することを特徴とする。
Figure 2021086078
(式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基を有するフェニル基、または無置換のフェニル基を示す。前記フェニル基が有する前記置換基は、炭素数4以下のアルキル基である。R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよい。R13は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。R16およびR17は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。R16およびR17は、どちらか一方が、ヒドロキシ基を示す。)
また、本発明の目的は、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを提供することにある。
また、本発明の目的は、前記電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を有する電子写真装置を提供することにある。
本発明によれば、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、機械的耐久性があるとともに温湿度の急激な変化に対して発生する結露の回復性が向上した電子写真感光体を提供することができる。また本発明によれば、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の実施例および比較例で用いた圧接形状転写加工装置を示す図である。 本発明の実施例および比較例で用いたモールドを示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、表面層が、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記式(1)で示される化合物との共重合体を含有することを特徴とする。
Figure 2021086078
(式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基を有するフェニル基、または無置換のフェニル基を示す。前記フェニル基が有する前記置換基は、炭素数4以下のアルキル基である。R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよい。R13は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。R16およびR17は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。R16およびR17は、どちらか一方が、ヒドロキシ基を示す。)
本発明者らは、上記特徴を有することにより、本発明の効果が発現する理由を、以下のように推測している。
電子写真感光体が急激な温度変化にさらされることで、電子写真感光体上に結露が発生する。結露を回復するためには、電子写真感光体上の水分を取り除く必要がある。電子写真感光体の表面層の表面を親水性にすることで、結露により発生した水分を薄い膜状に変化させ蒸発しやすくなると推測している。前記式(1)で示される化合物は分子量が適度に小さく、極性があり酸素を含む環状構造を有するため親水性が高い。また、前記式(1)の末端は片側がOH基を有しているため、親水性がより優れる。もう一方の末端は、連鎖重合性官能基を有するため、正孔輸送性化合物との共重合物となり表面層中に均一に分散される。正孔輸送性化合物のみの表面層よりも親水性が向上するため、結露発生時の水分が膜状になり蒸発の速さが向上する。そのことにより、結露回復性が向上すると考えられる。
以下に、前記式(1)で示される化合物の具体例(例示化合物1−1〜1−21)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2021086078
Figure 2021086078
Figure 2021086078
表面層中の前記式(1)で示される化合物の含有質量は、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記式(1)で示される化合物とを含む組成物の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
前記含有質量が前記全質量に対して、20質量%を超える場合には、結露回復性は良好になるが、繰り返し使用時の電位変動そのものが大きくなってしまう。したがって、この範囲の場合には、結露回復性と繰り返し使用時の電位変動の抑制を高いレベルで両立することができる。さらに好ましくは、10質量%以下である。
さらに電子写真感光体の表面層が下記式(2)、もしくは下記式(3)で示される化合物を含有することが、繰り返し使用時の電位変動の抑制に対し好ましい。本発明者らは、その理由を以下のように推測している。下記式(2)で示される化合物は、フルオレン構造を有している。フルオレン構造は、高い平面性を有している一方で、フルオレン構造の9−位に位置する炭素原子のみsp3混成軌道をなす炭素原子である、3つの縮合感が形成する平面とは異なる方向に位置する。その位置関係により、正孔輸送特性を阻害し難い構造となると考えられる。そのため、正孔輸送特性の向上により、繰り返し使用時の電位変動を抑制することができる。
Figure 2021086078
(式(2)中、R21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数2以上8以下のアルキル基を示す。R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数4以下のアルキル基を示す。R25およびR27は、それぞれ独立に、炭素数3以上6以下のアルキレン基を示す。R26およびR28は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。)
以下に、前記式(2)で示される化合物の具体例(例示化合物2−1〜2−26)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2021086078
Figure 2021086078
Figure 2021086078
Figure 2021086078
Figure 2021086078
本発明に用いられる正孔輸送性化合物の代表的な合成例を以下に示す。
本発明に用いられる正孔輸送性化合物の代表的な合成例を以下に示す。
<合成例>
前記例示化合物No.2−7で示される2官能の重合性アクリル基を有する正孔輸送性化合物の合成例を示す。
Figure 2021086078
反応式(1)で示される、ヨード体とアミン化合物を用いて、トリアリールアミン体の合成を行った。反応容器に、ヨード体の94.5部と、式中のアミン体34.5部、o−ジクロロベンゼン80部を混合し、炭酸カリウム26.9部、銅粉16.6部を加えて、内温約210℃にして反応を行った。約24時間撹拌を行い反応した。反応後、濾過、トルエン洗浄、濃縮を行い粗生成物を得た。
Figure 2021086078
引き続き得られた中間体の加水分解を行い酢酸エステルからヒドロキシ基にした。テトラヒドロフラン100部、メタノール100部、24%水酸化ナトリウム水溶液70部を混合し、内温60℃に加熱、撹拌して、1時間反応して加水分解を行った。反応後、反応混合物から酢酸エチルで抽出後、有機層を水洗、食塩水洗浄、脱水、濃縮を行った。シリカゲルクロマトグラフィーで精製してジヒドロキシ中間体を得た。収量:36.9部、収率(2段階):53.2%
Figure 2021086078
上記反応により得られたジヒドロキシ中間体の36.5部、トルエン365部、4−メトキシフェノール0.7部を混合し、アクリル酸11.8部を反応容器に投入した。p−トルエンスルホン酸一水和物1.3部を添加して112℃還流条件で6時間加熱し、アクリル化反応を行った。
反応後、冷却し10%水酸化ナトリウム水溶液を投入して中和し、酢酸エチルで抽出を行った。水洗浄、脱水、濃縮を行い粗生成物を得た。
続いて、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトで精製して重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を得た。収量:39.5部、収率63.0%
更に、得られた正孔輸送性化合物を溶媒種、溶媒量を調整することでワニスを得た。同様に、前記式(2)で示される他の正孔輸送性化合物を合成することができる。
前記式(2)で示される化合物に代わり、下記式(3)で示される化合物を含有することも好ましい。この場合には、重合反応速度が向上することで膜の緻密性が向上し、環境変動を抑制することができる。
Figure 2021086078
(式(3)中、Aは正孔輸送性基を示し、Pは下記式(4)で示される1価の官能基を示し、aは1から4の整数を示す。aが2以上の整数である場合、各Pは同一であっても異なっていてもよい。該AのPとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記式(5)、または下記式(6)を示す。)
Figure 2021086078
(式(4)中、nは1または2の整数を示し、Xは、アルキレン基、−C(=O)−、−N(L)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Lは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)
Figure 2021086078
(式(5)中、R51、R52及びR53は置換基として炭素数1から6のアルキル基を有してもよいフェニル基、ビフェニル基、またはフルオレニル基を示す。また、R51、R52及びR53はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2021086078
(式(6)中、R61、R62、R63及びR64は置換基として炭素数1から6のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R61、R62、R63及びR64はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
以下に、前記式(3)で示される化合物の具体例(例示化合物3−1〜3−4)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2021086078
前記式(2)、もしくは前記式(3)で示される化合物に代わり、下記式(7)で示される化合物を含有することも好ましい。この場合には、分子体積が小さいことから膜の緻密性が向上し、環境変動を抑制することができる。
Figure 2021086078
(式(7)中、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に、置換または無置換のフェニル基を示す。R71、R72及びR73のうち少なくとも2つが下記式(8)で示される基を有する。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、または下記式(8)で示される基である。)
Figure 2021086078
(式(8)中、R81は水素原子、またはメチル基を示し、R82は炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。nは0、または1を示す。)
以下に、前記式(7)で示される化合物の具体例(例示化合物4−1〜4−10)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2021086078
Figure 2021086078
さらに電子写真感光体の保護層が下記式(9)で示される化合物を含有することが、電気特性の環境依存性の抑制に対し好ましい。本発明者らは、その理由を以下のように推測している。式(9)で示される化合物は、分子量、分子サイズが適度な大きさを有するため、正孔輸送性化合物を含有する膜の緻密性が向上し、環境中からの膜内部等への水分の侵入等を抑制する効果があると推測している。そのため、本発明では正孔輸送性化合物と前記式(1)で示される化合物を組み合わせることで膜の親水性が向上すると同時に、緻密性も向上し、表面層中の水分透過が抑制され、環境変動を抑制できると考えられる。
Figure 2021086078
(式(9)中、R91およびR92は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R93およびR94は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基を有するフェニル基、または無置換のフェニル基を示す。前記フェニル基が有する前記置換基は、炭素数4以下のアルキル基である。R93およびR94のうち少なくとも一方が炭素数2以上のアルキル基を示す。)
なお、前記組成物中の前記式(9)で示される化合物の含有質量は、正孔輸送性化合物の質量の含有量に対して、0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましい。
式(9)で示される化合物の含有質量が0.1倍未満の場合、親水性や緻密性の効果を受けることができず環境変動を抑制することができない。しかし、1.0倍を超える場合正孔輸送性化合物の比率が下がることで環境変動にかかわらず電位変動が悪化する。
以下に、前記式(9)で示される化合物の具体例(例示化合物5−1〜5−20)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2021086078
Figure 2021086078
Figure 2021086078
これらの中でも特に、電気特性の環境依存性が優れるという観点から、例示化合物5−1、5−2、5−3が好ましい。
<合成例>
前記式(5−3)で示される2官能の重合性アクリル基化合物の合成例を示す。
Figure 2021086078
2−メチルバレルアルデヒド50部、37%ホルムアルデヒド40.5部、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(40%水溶液)8.5部をオートクレーブ中に混合した。窒素にて0.5MPaに圧力を上げ、90℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、分液した。水で洗浄し濃縮し、無色液体約50部を得た。
Figure 2021086078
前記無色液体50部、トリメチロールプロパン52部、p−トルエンスルホン酸1部を混合した。室温で一晩撹拌した。反応終了後、反応物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル使用、移動相:酢酸エチル)で精製し、無色油状物を約30部得た。
Figure 2021086078
上記、無色油状物をクロロホルムを溶媒とし、トリエチルアミンを触媒として、ジシクロヘキシルカルボジイミドを脱水縮合剤として用い、アクリル酸との脱水縮合を行った。反応物のろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル使用、移動相:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、無色液体物を得た。重合禁止材として4−メトキシフェノールを100ppm分添加して調整した。
同様に、前記式(9)で示される他の重合性化合物を合成することができる。
[電子写真感光体]
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、支持体と感光層とをこの順に有する、又は支持体と感光層と保護層とをこの順に有することを特徴とする。保護層を有しない場合は感光層が表面層となり、保護層を有する場合は保護層が表面層となる。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、優れた効率性及び生産性を得ることができるという観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
単層型感光層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
また、電子写真感光体が保護層を有する場合は、保護層が本発明における表面層となる。すなわち、保護層は硬化性正孔輸送性化合物と、式(1)で示される化合物と、式(2)で示される化合物と、を含有する組成物の共重合物を含有する。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。
帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。
電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、いわゆる、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジを電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
<電子写真感光体の製造>
<支持体>
支持体として外径29.9mm、内径28.5mm、長さ357.5mm、厚さ0.7mmの円筒状アルミニウム製シリンダーを用いた。
<下引き層>
金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合した。これにN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8質量部をシランカップリング剤として添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリビニルブチラール(商品名:エスレック(登録商標)B BM−1、積水化学工業(株)製)15質量部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン(株)製)15質量部を混合溶液に溶解させた。混合溶液はメチルエチルケトン73.5質量部と1−ブタノール73.5質量部の混合溶液である。
この溶液に上記で調製した表面処理された酸化亜鉛粒子80.8質量部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.4質量部を加えた。これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置を用い、23℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング(株)製)0.01質量部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER(登録商標) SSX−103、積水化成品工業(株)製、平均一次粒径3.1μm)5.6質量部を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥して、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
<電荷発生層>
下記の4つの材料を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700質量部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質):20質量部
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレック(登録商標)B BX−1、積水化学工業(株)製):10質量部
・下記構造式(A)で示される化合物:0.2質量部
・シクロヘキサノン:600質量部
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥して、膜厚0.18μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2021086078
<電荷輸送層>
下記の4つの材料を、キシレン600質量部およびジメトキシメタン200質量部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・下記構造式(B)で示される化合物(電荷輸送物質):30質量部
・下記構造式(C)で示される化合物(電荷輸送物質):60質量部
・下記構造式(D)で示される化合物(電荷輸送物質):10質量部
・下記構造式(E)で示される化合物(Mv:20000):0.02部
・ポリカーボネート(商品名:ユーピロン(登録商標)Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート):100質量部
Figure 2021086078
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間110℃で乾燥して、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
<表面層>
次に、下記の材料群から選択される材料を用いて、表面層用塗布液を作製した。
下記式(F1)で示される繰り返し構造単位および下記式(F2)で示される繰り返し構造単位を有するフッ素原子含有アクリル樹脂(重量平均分子量:83,000、共重合比(F1)/(F2)=1/1(モル比))1.5部を、1−プロパノール45部およびゼオローラH(日本ゼオン(株)製)45部の混合溶媒に溶解した。
Figure 2021086078
その後、フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を添加し、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)で分散した。これにより、フッ化エチレン樹脂分散液を得た。
次に、以下の材料を撹拌して均一に分散させて保護層用塗布液を調製した。
・式(2)で示される化合物として例示化合物2−7(正孔輸送性化合物) 5.9部
・式(1)で示される化合物として例示化合物1−2 0.7部
・式(9)で示される化合物として例示化合物5−3 0.7部
・前記フッ化エチレン樹脂分散液 11.9部
・1−プロパノール 5.9部
・ゼオローラH 4.8部
この保護層用塗布液を前記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間50℃で乾燥させ、下記の条件で電子線照射と加熱による重合硬化処理を行った。
酸素濃度50ppm以下の雰囲気にて、アルミニウム製シリンダーを300rpmの速度で回転させながら、電子線照射装置を用いて、照射距離30mm、加速電圧70kV、ビーム電流8mA、照射時間3.0秒の条件で電子線照射した。電子線照射後、酸素濃度50ppm以下の条件のまま、速やかに誘導加熱装置を用いて保護層塗膜表面を24秒かけて135℃に到達させた。
次に、上記アルミニウム製シリンダーを大気雰囲気に取り出し、さらに12分間100℃で加熱することによって、膜厚5μmの保護層(表面層)を形成した。
<表面形状>
次に、圧接形状転写加工装置に型部材(モールド)を設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。
図3に、電子写真感光体の外周面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の斜視図の例を示す。図3に示すように、圧接形状転写加工装置は、モールド型52、加圧部材53および支持部材54を有する。図3に示す圧接形状転写加工装置に、図4に示すモールドを設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体51の外周面に対して表面加工を行った。
図4は、実施例および比較例で用いたモールドを示す図である。図4(a)はモールドの概略を示す平面図、図4(b)はモールドの凸部の電子写真感光体51の軸方向の概略断面図(図4(a)のS−S’断面における断面図)である。図4(c)はモールドの凸部の電子写真感光体51の周方向の断面図(図4(a)のT−T’断面の断面図)である。図4に示されるモールドは、最大幅X:50μm、最大長さY:75μm、面積率56%、高さH:4μmの凸部を有する。
最大幅Xとは、モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体51の軸方向の最大幅である。
最大長さYとは、モールド上の凸部を上から見たときの電子写真感光体51の周方向の最大長さである。
面積率とは、モールドを上から見たときに表面全体に占める凸部の面積の比率である。
加工時には、電子写真感光体51の表面の温度が120℃になるように電子写真感光体51およびモールドの温度を制御した。そして、加圧部材を用いて7.0MPaの圧力でモールドを電子写真感光体に押し付けながら、電子写真感光体51を周方向に回転させ、かつ加圧部材53を矢印55が示す方向に移動させて、電子写真感光体51の表面層(周面)の全面に凹部を形成した。このようにして、表面層(周面)の全面に凹部が形成された電子写真感光体51を製造した。
得られた電子写真感光体51の表面を、レーザー顕微鏡(商品名:X−100、(株)キーエンス製)で50倍レンズにより拡大観察し、電子写真感光体51の表面に設けられた凹部の観察を行った。観察時には、電子写真感光体51の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体51の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して一辺500μmの正方形領域を得た。そして、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。
前記観察の結果、凹部の深さは2μm、凹部の開口部の軸方向の最大幅は50μm、凹部の開口部の周方向の最大長さは75μm、面積は140000μmであった。なお、面積とは、電子写真感光体51の表面を上から見たときの凹部の面積であり、凹部の開口部の面積を意味する。
以上のようにして実施例1に係る電子写真感光体を作製した。
(実施例2〜6)
実施例2〜6は以下のようにして、以下の表1のように各材料の質量比率を変更し2〜6に係る感光体を作製した。
(実施例7)
<支持体>
外径30mm、内径28mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム製シリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
<下引き層>
酸化亜鉛粒子(比表面積:15m/g、平均粒子径70nm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(KBM503、信越化学工業(株)製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、120℃で3時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、表面処理された酸化亜鉛粒子110部をテトラヒドロフラン500部と撹拌混合し、アリザリン0.6部をテトラヒドロフラン50部に溶解させた溶液を添加し、50℃で5時間撹拌した。その後、減圧濾過によりアリザリンを付与させた酸化亜鉛粒子を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリンを付与させた酸化亜鉛粒子を得た。
次に、アリザリンを付与させた酸化亜鉛粒子60部と、ポリオール樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15部と、ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住化コベストロウレタン(株)製)13.5部とを、メチルエチルケトン85部に混合した液38部と、メチルエチルケトン25部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散した。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、およびシリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン(株)製)40部を添加し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記アルミニウム製シリンダー上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を40分間170℃で乾燥させて、膜厚が20μmの下引き層を形成した。
<電荷発生層>
電荷発生物質としてCuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー(株)製)10部、およびn−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を加え、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を温度100℃で5分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層>
電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン45部、結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PCZ500、粘度平均分子量50000)55部を、クロロベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を45分間130℃で乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
<表面層>
ポリテトラフルオロエチレン粒子(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)60部、フッ素原子含有樹脂(GF300、東亞合成(株)製)3部、シクロペンタノール140部を混合した後、超高速分散機で分散し、保護層用分散液を調製した。
次に、下記の材料をシクロペンタノール80部に溶解した後、保護層用分散液100部と混合し、保護層用塗布液を調製した。
・式(3)で示される化合物として例示化合物3−2 44部
・式(1)で示される化合物として例示化合物1−2 7部
・式(9)で示される化合物として例示化合物5−2 21部
・重合開始剤(OTazo−15、大塚化学(株)製) 1部
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成した。室温(25℃)で30分間風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素雰囲気下で45分間150℃で加熱することで塗膜を硬化させ、膜厚15μmの保護層を形成した。
このようにして、電子写真感光体を作製した。
(実施例8〜10)
実施例8〜10は、以下の表1のように各材料の質量比率を変更した以外は実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例11)
例示化合物2−7から例示化合物4−2に変更し、各材料の質量比率を表1に示す内容とした。
上記以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例12〜14)
実施例12〜14は、以下の表1のように各材料の質量比率を変更した以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例15)
実施例1において、表面層以降の作製方法を以下のようにして変更した。
<表面層>
下記の材料を混合し、保護層用塗布液を調製した。
・式(7)で示される化合物として例示化合物4−1(正孔輸送性化合物) 44部
・式(1)で示される化合物として例示化合物1−2 7部
・式(9)で示される化合物として例示化合物5−2 21部
・光重合開始剤 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5部
・テトラヒドロフラン 80部
次に、この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間60℃で乾燥させた。乾燥後、出力が160W/cmのメタルハライドランプを用いて、照射強度700mW/cmで120秒間紫外線を照射した。その後130℃で30分間加熱処理を行い、膜厚5.0μmである保護層を形成した。
このようにして、電子写真感光体を作製した。
(実施例16〜18)
実施例16〜18は、以下の表1のように各材料の質量比率を変更した以外は実施例15と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例19)
表面層用塗布液中に含まれる正孔輸送性化合物を、例示化合物4−1から例示化合物10−1に変更した。
上記以外は、実施例18と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 2021086078
(実施例20)
表面層用塗布液中に含まれる正孔輸送性化合物(例示化合物10−1)の含有量を66部から55部に変更した。
例示化合物1−2の含有量を8部から18部に変更した。
上記以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
表面層用塗布液に含まれる正孔輸送性化合物を、例示化合物2−7から比較化合物11−1に変更した。
また、式(1)で示される化合物と式(9)で示される化合物とを用いなかった。
上記以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 2021086078
(比較例2)
表面層用塗布液に含まれる式(1)で示される化合物を、例示化合物1−2から例示化合物1−8に変更した。
また、例示化合物1−8の含有比率を表1に示す値とした。
さらに、正孔輸送性化合物と式(9)で示される化合物を用いないこととした。
上記以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
表面層用塗布液に含まれる式(1)で示される化合物を、例示化合物1−2を0.7部から例示化合物1−8を6.6部に変更した。
さらに、式(9)で示される化合物を、例示化合物5−2を0.9部から例示化合物5−1を0.8部に変更した。
上記以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
[評価]
(結露回復性)
各実施例および比較例で製造した電子写真感光体を、評価装置として電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C5255、キヤノン(株)製)の改造機のシアン色用のプロセスカートリッジのステーションに装着した。改造点としては、像露光量、帯電ローラ(ローラ形状の帯電部材)から電子写真感光体の支持体に流れる電流量(以降、総電流とも呼ぶ)、帯電ローラへの印加電圧、の調節および測定ができるように改造した。以下に示す条件で結露回復性の評価を行った。
温度2.5℃相対湿度50%の低温環境に一晩静置する。その後、温度23℃相対湿度50%の常温環境に本体を移動し、120分間静置する。120分後に本体の電源をいれ、135分・165分にA4横サイズ紙にて、画像比率3.6%の格子画像を含むテストチャートを用いて画出しを行った。テストチャート内の格子画像が途切れたら異常あり、途切れていなければ異常なしと判断し、ランク付けを行った。
評価ランクは以下の通りとした。
ランク3:常温環境に移動してから135分後に印刷されたテストチャートの画像に異常は認められない。
ランク2:常温環境に移動してから165分後に印刷されたテストチャートの画像に異常は認められない。
ランク1:常温環境に移動してから165分後に印刷されたテストチャートに異常が見られる。
(繰り返し評価時の電位変動)
各実施例および比較例で製造した電子写真感光体を、評価装置として電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C5255、キヤノン(株)製)の改造機のシアン色用のプロセスカートリッジのステーションに装着した。改造点としては、像露光量、帯電ローラから電子写真感光体の支持体に流れる電流量(以降、総電流とも呼ぶ)、帯電ローラへの印加電圧、の調節および測定ができるように改造した。以下に示す条件で環境変動の評価を行った。
まず、温度30℃相対湿度80%の高温高湿環境において、像露光部VLの「初期の電位」を測定した。
次に、同じ高温高湿環境において、A4横サイズ紙にて、画像比率1%のテストチャートを用いて1000枚連続の画像形成を行った後に、像露光部VLの「1000枚後の電位」を測定した。
そして、像露光部VLの「1000枚後の電位−初期の電位」の値を算出し、ΔVL(HH)とした。
同様に、温度15℃相対湿度5%の低温低湿環境においても、像露光部VLの「初期の電位」、「1000枚後の電位」を測定し、「1000枚後の電位−初期の電位」を算出し、ΔVL(LL)とした。
次に、「ΔVL(HH)−ΔVL(LL)」を算出し、環境変動の結果とした。
本発明において、環境変動(ΔVL(HH)−ΔVL(LL))が10V未満であり、ΔVL(HH)およびΔVL(LL)がそれぞれ30V未満であると、電子写真感光体の特性として問題がないと判断した。
Figure 2021086078
評価の結果、実施例においては結露回復性が良好、繰り返し使用時の環境変動が十分に抑制できており、問題がなかった。比較例においては、結露回復性は悪化、繰り返し使用時の環境変動に問題があった。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
21 支持体
22 下引き層
23 電荷発生層
24 電荷輸送層
25 保護層(表面層)

Claims (9)

  1. 支持体と、表面層としての感光層とを有する、又は支持体と感光層と表面層としての保護層とをこの順に有する電子写真感光体であって、
    該表面層が、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記式(1)で示される化合物とを含む組成物の重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2021086078
    (式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基を有するフェニル基、または無置換のフェニル基を示す。前記フェニル基が有する前記置換基は、炭素数4以下のアルキル基である。R11およびR12は互いに結合して環を形成してもよい。R13は、炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。R14およびR15は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。R16およびR17は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。R16およびR17は、どちらか一方が、ヒドロキシ基を示す。)
  2. 前記組成物中の前記式(1)で示される化合物の含有質量が、前記組成物の全質量に対して、20質量%以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、下記式(2)で示される化合物である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2021086078
    (式(2)中、R21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数2以上8以下のアルキル基を示す。R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数4以下のアルキル基を示す。R25およびR27は、それぞれ独立に、炭素数3以上6以下のアルキレン基を示す。R26およびR28は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。)
  4. 前記2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、下記式(3)で示される化合物である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2021086078
    (式(3)中、Aは正孔輸送性基を示し、Pは下記式(4)で示される1価の官能基を示し、aは1から4の整数を示す。aが2以上の整数である場合、各Pは同一であっても異なっていてもよい。該AのPとの結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記式(5)、または下記式(6)を示す。)
    Figure 2021086078
    (式(4)中、nは1または2の整数を示し、Xは、アルキレン基、−C(=O)−、−N(L)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Lは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)
    Figure 2021086078
    (式(5)中、R51、R52及びR53は置換基として炭素数1から6のアルキル基を有してもよいフェニル基、ビフェニル基、またはフルオレニル基を示す。また、R51、R52及びR53はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2021086078
    (式(6)中、R61、R62、R63及びR64は置換基として炭素数1から6のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R61、R62、R63及びR64はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 前記2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、下記式(7)で示される化合物である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2021086078
    (式(7)中、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に、置換または無置換のフェニル基を示す。R71、R72及びR73のうち少なくとも2つが下記式(8)で示される基を有する。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、または下記式(8)で示される基である。)
    Figure 2021086078
    (式(8)中、R81は水素原子、またはメチル基を示し、R82は炭素数1以上6以下のアルキレン基を示す。nは0、または1を示す。)
  6. 前記表面層が下記式(9)で示される化合物をさらに含有する、請求項3に記載の電子写真感光体。
    Figure 2021086078
    (式(9)中、R91およびR92は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R93およびR94は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、置換基を有するフェニル基、または無置換のフェニル基を示す。前記フェニル基が有する前記置換基は、炭素数4以下のアルキル基である。R93およびR94のうち少なくとも一方が炭素数2以上のアルキル基を示す。)
  7. 前記組成物中の前記式(9)で示される化合物の含有質量が、正孔輸送性化合物の質量の含有量に対して、0.1倍以上1.0倍以下である、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を有する電子写真装置。

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