JP2018118897A - 水硬性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、水溶性セルロースエーテルを添加した水硬性組成物は、水溶性セルロースエーテルの有する界面活性作用により、水硬性組成物混練時に気泡を連行するため、水硬性組成物の空気量が過多となってしまう場合がある。
水溶性セルロースエーテルによる連行空気の気泡径は大きく、耐凍害性に有効な気泡ではないため、消泡剤を使用することにより粗大な気泡を取り除く操作が行われている。
上述のとおり、水溶性セルロースエーテルを使用した水硬性組成物の場合、水溶性セルロースエーテル由来の連行空気の消泡を目的として消泡剤を使用し、所定の空気量とする必要があるが、消泡剤は、水溶性セルロースエーテル由来の連行空気だけでなく、AE剤由来の微細な気泡までも消泡してしまうため、耐凍害性を満足することは困難であった。
また、AE剤の代わりに、中空微小球を使用する方法も提案されている(特許文献2)。
さらに、フライアッシュを使用するセメント組成物に対して、有用なAE剤も提案されている(特許文献3)。
一方、特許文献2の方法では、バッチ毎の空気量変動が大きいため、空気量のコントロールが困難になる場合があること、さらには中空微小球が高価なためコスト高となってしまうことがある。
また、特許文献3の方法では、ブリーディングや空気量保持等の点で十分ではなかった。
1. AE剤、水溶性セルロースエーテル、消泡剤、セメント、水および骨材を少なくとも含有し、前記AE剤が、下記一般式(1)で表される脂肪酸、下記一般式(1)で表される脂肪酸のアルカリ金属塩、下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルキルアミン塩、または下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルカノールアミン塩からなる脂肪酸系界面活性剤と、下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテルからなるノニオン系界面活性剤とを含むことを特徴とする水硬性組成物、
2. 前記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルメチルセルロースである1の水硬性組成物、
3. 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおける非メトキシ基置換ヒドロキシプロピル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシプロピル基のモル分率(A)の比(A/B)が、0.2〜1.0である2の水硬性組成物、
4. 前記ヒドロキシエチルメチルセルロースにおける非メトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(A)の比(A/B)が、2.0〜3.0である2の水硬性組成物、
5. 前記AE剤が、前記セメントに対して0.0001〜0.5質量%含まれる1〜4のいずれかの水硬性組成物、
6. 気泡間隔係数が、25〜250μmである1〜5のいずれかの水硬性組成物
を提供する。
本発明の水硬性組成物は、AE剤、水溶性セルロースエーテル、消泡剤、セメント、水および骨材を少なくとも含有し、AE剤が、下記一般式(1)で表される脂肪酸、下記一般式(1)で表される脂肪酸のアルカリ金属塩、下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルキルアミン塩、または下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルカノールアミン塩からなる脂肪酸系界面活性剤と、下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテルからなるノニオン系界面活性剤とを含むことを特徴とする。
一般式(1)で表される脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸(炭素数14、R1:炭素数13)、ペンタデシル酸(炭素数15、R1:炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16、R1:炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17、R1:炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18、R1:炭素数17)、オレイン酸(炭素数18:R1:炭素数17、二重結合数1)、リノール酸(炭素数18:R1:炭素数17、二重結合数2)、リノレン酸(炭素数18:R1:炭素数17、二重結合数3)等が挙げられる。
また、式(1)で表される脂肪酸のアルカリ金属塩の具体例としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、脂肪酸の低級アルキルアミン塩の具体例としては、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩等が挙げられ、脂肪酸の低級アルカノールアミン塩の具体例としては、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
特に、脂肪酸系界面活性剤としては、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸およびステアリン酸の混合物であるトール油脂肪酸鹸化物、オレイン酸鹸化物、リノール酸鹸化物が好ましく、トール油脂肪酸鹸化物がより好ましい。鹸化物としては、ナトリウム鹸化物が好ましい。
直鎖の炭素数8または9のアルキル基としては、n−オクチル基、n−ノニル基が挙げられる。
分岐鎖の炭素数8または9のアルキル基としては、例えばイソオクチル基、イソノニル基等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンフェニルエーテルが挙げられる。
また、エチレンオキサイドの付加モル数(n)は、空気連行性能を向上することができ、AE剤の使用量を少なくすることができる観点から1〜50であるが、水に対する溶解性が低下する傾向を考慮すると、20〜30が好ましい。
AE剤における脂肪酸系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の使用割合は、好ましくは質量比で脂肪酸系界面活性剤:ノニオン系界面活性剤=1〜99:99〜1、より好ましくは20〜80:80〜20、より一層好ましくは40〜60:60〜40である。
AE剤の使用量は、所望の空気量や水硬性組成物に用いた材料の種類によって異なるが、セメントに対して好ましくは0.0001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.3質量%である。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおいて、メトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.3〜1.9、ヒドロキシプロポキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5である。
ヒドロキシエチルメチルセルロースにおいて、メトキシ基の置換度(DS)は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.3〜1.9、ヒドロキシエトキシ基の置換モル数(MS)は、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.4である。
上記水溶性セルロースエーテルのアルキル基の置換度およびヒドロキシアルキル基の置換モル数は、第17改正日本薬局方記載のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の置換度分析方法により測定できる値を換算することで求めることができる。
ヒドロキシエチルメチルセルロースにおいて、非メトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(A)の比(A/B)は、空気量保持の観点から、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.2〜2.8である。
なお、本発明のモル分率(A)および(B)は、各グルコース環の2、3、6位の水酸基のいずれか一つに、一分子だけ置換したヒドロキシアルキル基を対象として算出した。従って、グルコース環の2、3、6位の水酸基のいずれかが既にヒドロキシアルキル基で置換されており、そのヒドロキシアルキル基の水酸基がさらにヒドロキシアルキル基で置換されたものは、モル分率(A)および(B)の算出に当たって対象としない。
水溶性セルロースエーテルの添加量は、ブリーディング低減および流動性の観点から、水硬性組成物1m3あたり、好ましくは0.01〜5kg、より好ましくは0.05〜3kg、より一層好ましくは0.1〜2kgである。
オキシアルキレン系消泡剤の具体例としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素数8以上の高級アルコールや炭素数12〜14の2級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル、ポリオキシアルキレンオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等が挙げられる。
アルコール系消泡剤の具体例としては、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等が挙げられる。
鉱油系消泡剤の具体例としては、灯油、流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪酸系消泡剤の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
脂肪酸エステル系消泡剤の具体例としては、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等が挙げられる。
これらの中でも、本発明においては、消泡性能の観点からオキシアルキレン系の消泡剤を使用することが好ましい。
セメントの含有量としては、強度確保の観点から、水硬性組成物がコンクリートの場合はコンクリート1m3あたり、好ましくは270〜800kgであり、水硬性組成物がモルタルの場合はモルタル1m3あたり、好ましくは300〜1,000kgである。なお、コンクリートとしては、普通コンクリート、高流動コンクリート、中流動コンクリート等、モルタルとしては、タイル張付けモルタル、補修用モルタル、セルフレベリング材等が挙げられる。
水としては、水道水、海水等が挙げられるが、塩害の観点から、水道水が好ましい。
骨材は、細骨材および粗骨材が挙げられる。
細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、砕砂等が好ましい。
細骨材の粒径(最大粒径)は、好ましくは5mm以下である。
粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石等が好ましい。
粗骨材の粒径(最大粒径)は細骨材の粒径より大きく、好ましくは40mm以下、より好ましくは25mm以下である。
粗骨材の含有量は、水硬性組成物がコンクリートの場合は、コンクリート1m3あたり、好ましくは600〜1,200kg、より好ましくは650〜1,150kgである。
骨材中における細骨材率(容積百分率)は、水硬性組成物がコンクリートの場合、流動性または十分な強度を保持する観点から、好ましくは30〜55容積%、より好ましくは35〜55容積%、より一層好ましくは35〜50容積%である。
なお、細骨材率(容積%)=細骨材の容積/(細骨材の容積+粗骨材の容積)×100である。
減水剤としては、リグニン系、ポリカルボン酸系、メラミン系等が挙げられる。
リグニン系減水剤の具体例としては、リグニンスルホン酸塩およびその誘導体等が挙げられる。
ポリカルボン酸系減水剤の具体例としては、ポリカルボン酸エーテル系、ポリカルボン酸エーテル系と架橋ポリマーの複合体、ポリカルボン酸エーテル系と配向ポリマーの複合体、ポリカルボン酸エーテル系と高変性ポリマーの複合体、ポリエーテルカルボン酸系高分子化合物、マレイン酸共重合物、マレイン酸エステル共重合物、マレイン酸誘導体共重合物、カルボキシル基含有ポリエーテル系、末端スルホン基を有するポリカルボン酸基含有多元ポリマー、ポリカルボン酸系グラフトコポリマー、ポリカルボン酸系化合物、ポリカルボン酸エーテル系ポリマー等が挙げられる。
メラミン系減水剤の具体例としては、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩縮合物、メラミンスルホン酸塩ポリオール縮合物等が挙げられる。
水硬性組成物には、所定の空気量を確保し、水硬性組成物の耐久性を得るために、その他のAE剤を必要に応じて併用してもよい。
その他のAE剤としては、陰イオン界面活性剤系、陽イオン界面活性剤系、非イオン界面活性剤系、両性界面活性剤系、ロジン系界面活性剤系等のAE剤が挙げられる。
陰イオン界面活性剤系としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤系としては、アミン塩型、第1級アミン塩型、第2級アミン塩型、第3級アミン塩型、第4級アミン塩型等が挙げられる。
非イオン界面活性剤系としては、エステル型、エステル・エーテル型、エーテル型、アルカノールアミド型等が挙げられる。
両性界面活性剤系としては、アミノ酸型、スルホベタイン型等が挙げられる。
ロジン系界面活性剤系としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
さらに、本発明の水硬性組成物には、硬化・乾燥による収縮ひび割れ、セメントの水和反応熱による温度応力に伴うひび割れ防止のために、アウイン系や石灰系の膨張材を必要に応じて添加することができる。
例えば、まず、強制二軸練りミキサーに、水溶性セルロースエーテル、消泡剤、セメントおよび骨材(細骨材、粗骨材)を入れ、空練りを行う。その後、水、減水剤およびAE剤を加えて混練して水硬性組成物を得る。なお、AE剤は、空気量が4.5±1.5%となるように消泡剤の使用量を考慮して使用する。
本発明において、水硬性組成物の気泡間隔係数は、耐凍害性の観点から、好ましくは25〜250μm、より好ましくは25〜230μmである。なお、気泡間隔係数は、例えば、ジャーマンインストゥルメンツ社製のエアボイドアナライザー(AVA;商品名)により測定できる。
〔使用材料〕
(1)AE剤;表1に記載
(2)水溶性セルロースエーテル;表2に記載
(3)消泡剤1;SNデフォーマー14HP、サンノプコ社製オキシアルキレン系消泡剤
消泡剤2;AGITAN299、MUNZING CHEMIE GmbH社製 オキシアルキレン系消泡剤
(4)セメント(C);普通ポルトランドセメント(太平洋セメント製)、密度;3.16g/cm3
(5)水(W);水道水
(6)細骨材(S);最大粒径5mmの砂、新潟県妙高市下濁川産、吸水率2.79%、表乾密度2.57g/cm3
(7)粗骨材(G);最大粒径25mmの砂利、新潟県妙高市下濁川産、吸水率1.45%、表乾密度2.60g/cm3
(8)減水剤1;マスターポゾリスNo.70、BASFジャパン社製 リグニンスルホン酸とポリオールの複合体
減水剤2;マスターレオビルド4000、BASFジャパン社製 メラミンスルホン酸系化合物
〔コンクリート混練〕
容量60リットルの強制二軸練りミキサーに、表2に示す水溶性セルロースエーテル、消泡剤、セメント、細骨材および粗骨材を入れ、空練りを30秒間行った。その後、水、減水剤および表1に示すAE剤を加えて90秒間混練して、下記表3に示す2種類の配合のコンクリートを得た。1バッチ当たりのコンクリートの練り混ぜは40リットルとした。
なお、水溶性セルロースエーテルは、表4に示される添加量で配合し、消泡剤は水溶性セルロースエーテルに対して5質量%使用し、AE剤は空気量が4.5±1.5%となるように使用し、減水剤の添加量は、マスターポゾリスNo.70の場合、セメントに対して、0.25質量%、マスターレオビルド4000の場合、セメントに対して、2.00質量%となるように使用した。
〔評価方法〕
1.コンクリート温度
コンクリートの練り上がり温度は、20±3℃になるように材料温度を調整した。
2.空気量
混練直後の空気量(A0)と30分静置後の空気量(A30)を以下のように定義し、その比を空気量保持比(A30/A0)とした。
・混練直後の空気量(A0)
混練直後のコンクリートを用いてJIS A 1128に準じて行った試験により得られた空気量。
・30分間静置後の空気量(A30)
混練後30分間静置したコンクリートを練り返した後、JIS A 1128に準じて行った試験により得られた空気量。
3.スランプ試験
JIS A 1101に準じて試験を行った。
配合1の場合、スランプ試験により流動性評価を行った。
4.スランプフロー試験
JIS A 1150に準じて試験を行った。
配合2の場合、スランプフロー試験により流動性評価を行った。
5.凍結融解試験
JIS A 1148−2010中のA法に準じて試験を行い、最大300サイクルまでの相対動弾性係数を測定した。300サイクル時の相対動弾性係数が60%以上を耐凍害性に優れると判断した。
6.気泡間隔係数
エアボイドアナライザー(AVA;商品名、ジャーマンインストゥルメンツ社製)にて耐凍結融解性の指標となる気泡間隔係数の測定を行った。予めグリセリン(和光純薬工業(株)製)および水を質量比でグリセリン/水=83/17の割合で混合し、AVA測定用溶液を調製した。
混練後のコンクリートを目開き5mmの篩に通し、気泡間隔係数評価用モルタルを得て、専用のシリンジに20ml採取した。測定用カラムに水約2000mlを注入し、カラム壁面に付着した気泡を刷毛で取り除いた後、予め上記で調製したAVA測定用溶液250mlを専用の器具を用いてカラムの底部に注入した。注入後、カラムの水面付近に気泡採取用のペトリ皿を設置し、測定部分に固定した。シリンジに採取したモルタル20mlをカラムの底部に注入した後、モルタルを30秒間撹拌し、液中にモルタルの連行空気を十分に放出させた。放出させた気泡を経時で測定することにより、気泡間隔係数を測定した。
気泡間隔係数の計算に際して、フレッシュコンクリートの空気量以外にコンクリート全体積より5mm以上の骨材の占める体積を除いた値(モルタル容積率)およびペーストの占める体積(ペースト容積率)が必要となる。モルタル容積率およびペースト容積率は下記の式(I)および(II)より算出した。
モルタル容積率(%)=[(VB+VW+VS)/1000]×100 (I)
ペースト容積率(%)=[(VB+VW)/1000]×100 (II)
VB:セメントの体積(=セメント単位量(kg)/セメントの比重)
VW:水、AE剤および減水剤等の液体添加剤の体積(単位水量と同じとする)
VS:5mm以下の骨材の体積(=細骨材の単位量/細骨材の比重)
7.圧縮強度
JIS A 1108準じて、材齢28日のコンクリートについて圧縮強度試験を行った。供試体寸法はφ10×20cmとした。
8.ブリーディング率
JIS A 1123に準じて試験を行った。
また、いずれも相対弾性係数は60%以上であり、ブリーディング率は1.5%以下であることから、耐凍害性およびブリーディング低減効果に優れるコンクリートであることが確認された。
さらに、表6に示されるように、所定の非メトキシ基置換ヒドロキシアルキル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシアルキル基のモル分率(A)の比(A/B)を有する水溶性セルロースエーテルを使用することにより、良好な空気量の保持を示すことが確認された。
一方、表5に示されるように、比較例1、2、4および5のようなAE剤を使用した場合、気泡間隔係数が大きくなってしまうため、耐凍害性が著しく悪い結果となっていることがわかる。
また、比較例3の場合、水溶性セルロースエーテルを使用していないため、ブリーディング率が5.2%と極めて高い結果となっていることがわかる。
Claims (6)
- AE剤、水溶性セルロースエーテル、消泡剤、セメント、水および骨材を少なくとも含有し、
前記AE剤が、下記一般式(1)で表される脂肪酸、下記一般式(1)で表される脂肪酸のアルカリ金属塩、下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルキルアミン塩、または下記一般式(1)で表される脂肪酸の低級アルカノールアミン塩からなる脂肪酸系界面活性剤と、下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテルからなるノニオン系界面活性剤とを含むことを特徴とする水硬性組成物。
- 前記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルメチルセルロースである請求項1記載の水硬性組成物。
- 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおける非メトキシ基置換ヒドロキシプロピル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシプロピル基のモル分率(A)の比(A/B)が、0.2〜1.0である請求項2記載の水硬性組成物。
- 前記ヒドロキシエチルメチルセルロースにおける非メトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(B)に対するメトキシ基置換ヒドロキシエチル基のモル分率(A)の比(A/B)が、2.0〜3.0である請求項2記載の水硬性組成物。
- 前記AE剤が、前記セメントに対して0.0001〜0.5質量%含まれる請求項1〜4のいずれか1項記載の水硬性組成物。
- 気泡間隔係数が、25〜250μmである請求項1〜5のいずれか1項記載の水硬性組成物。
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