以下に、本発明をより詳細に説明する。
クリーニング性やクリーニング性の耐久性を良好に維持するためには、電子写真感光体やクリーニングブレードや現像剤のクリーニングに好適な組み合わせ、特に、摩擦特性の範囲規定が必要である。
本発明者らが鋭意検討した結果、クリーニング性を良好に維持するためには、クリーニングブレードが電子写真感光体の表面と巨視的のみならず微視的に、負荷として均一に摺擦していることが重要であることが判明した。
すなわち、クリーニング性に関する特性として、クリーニングブレードにかかる負荷のばらつき、すなわち、動摩擦力の振れ(スティックスリップ)がブレード捲れ、共鳴音および現像剤のすり抜けに関与していることが判明した。
すなわち、クリーニング性に関する主な特性である摩擦特性として、摩擦係数のみならず、スティックスリップ、すなわち、クリーニングブレードや電子写真感光体、また、両者の当接部に介在する現像剤などへの負荷のばらつきが、ブレード捲れ、共鳴音および現像剤のすり抜けに大きく影響を及ぼすことが判明した。また、この負荷のばらつきは、電子写真感光体の回転速度(周面の移動速度)、いわゆるプロセススピードに依存することも判明した。
特に、プロセススピードが大きくなったときに、共鳴音が低減される場合があった。本発明者らが検討した結果、共鳴音の低減には、プロセススピードと摩擦特性の範囲とに関係があることが見いだされた。
図1(a)に、本発明の電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1(a)において、1はドラム状の電子写真感光体であり、不図示の回転駆動手段により、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤により現像されて現像像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されている現像像が、転写手段6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
現像像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
現像像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニングブレードを有するクリーニング手段7によって転写残現像剤の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、電子写真感光体の表面を帯電するための帯電手段が帯電ローラーなどの接触帯電部材を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1(a)では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
図1(b)に、本発明の電子写真装置(中間転写方式のカラー電子写真装置)の概略構成の別の例を示す。
図1(b)において、1はドラム状の電子写真感光体であり、不図示の回転駆動手段により、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。この際の露光光は、目的のカラー画像の第1色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した露光光である。こうして電子写真感光体1の表面に、目的のカラー画像の第1色成分像に対応した第1色成分静電潜像(イエロー成分静電潜像)が順次形成されていく。
ドラム状の中間転写体(中間転写ドラム)11は、矢印方向に電子写真感光体1とほぼ同じ周速度(例えば電子写真感光体1の周速度に対して97〜103%)で回転駆動される。
電子写真感光体1の表面に形成された第1色静電潜像は、第1色成分現像手段(イエロー成分現像手段)5Yの第1色トナー(イエロートナー)により現像されて第1色トナー画像(イエロートナー画像)となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されている第1色トナー画像が、一次転写手段(不図示)からの一次転写バイアスによって、中間転写体11の表面に順次一次転写されていく。
第1色トナー画像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段7によって一次転写残トナーの除去を受けて清浄面化された後、次色の画像形成に使用される。
第2色トナー画像(マゼンタトナー画像)、第3色トナー画像(シアントナー画像)、第4色トナー画像(ブラックトナー画像)も、第1色トナー画像と同様にして電子写真感光体1の表面に形成され、中間転写体11の表面に順次転写される。こうして中間転写体11の表面に目的のカラー画像に対応した合成トナー画像が形成される。第1色〜第4色の一次転写の間は、二次転写手段(二次転写ローラー)6sは中間転写体11の表面から離れている。
中間転写体11の表面に形成された合成トナー画像は、二次転写手段6sからの二次転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から中間転写体11と二次転写手段6sとの間(当接部)に中間転写体11の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次二次転写されていく。
合成トナー画像の転写を受けた転写材Pは、中間転写体11の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることによりカラー画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
また、クリーニング手段7による転写残トナー除去後の電子写真感光体1の表面を、前露光手段からの前露光光により除電処理してもよいが、図1(b)に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
次に、各要素を以下に詳述する。
<クリーニング>
本発明者らの検討の結果、クリーニングブレードによるクリーニング性は、クリーニングブレードと電子写真感光体との当接部位の近傍の微小な範囲での現像剤の挙動(特に流動性)や、クリーニングブレードの摩擦力の挙動(特に流動性)に大きく依存していることが判明した。
図2〜5に、クリーニングの模式図を示す。
図2に示すように、電子写真感光体202の表面は矢印Aの方向に移動しており、電子写真感光体202の表面には転写残りの現像剤や紙粉がクリーニングブレード201に向かって搬送される。
クリーニングブレード201と電子写真感光体202との当接部近傍には、クリーニングブレード201が電子写真感光体202に当接している当接部204と、当接部204に上流側にあり、現像剤の外添剤や電子写真感光体の摩耗粉などの小粒子からなる阻止領域203が形成されており、搬送されてきた現像剤のトナー粒子などの大粒子は、阻止領域203により減速され、当接部204への突入や、すり抜けが抑制される。
図3〜5は、クリーニングブレード201と電子写真感光体202との当接部をさらに拡大した図である。
図3に示すような当接状態のとき、クリーニングブレード201の201C側をカット面、電子写真感光体202側である201T側を当接面と称する。また、電子写真感光体の接線と当接面201Tとが成す角を、当接角θと称する。
図2および3においては、説明のため、クリーニングブレード201の電子写真感光体202への当接角を直角に示しているが、さらに拡大すると、図4および5に示すように、クリーニングブレード201の先端は、電子写真感光体202との当接部で撓ったり、微小な変形を起こしたりしているのが一般的である。
図4に示すように、転写残現像剤などは、電子写真感光体表面202の表面にあって、電子写真感光体202の表面の移動方向Aに搬送されてくる。一方、クリーニングブレード201と電子写真感光体202との当接部近傍では、当接部204と、阻止領域203が形成されており、転写残現像剤のクリーニングがなされる。当接部204には主として現像剤の外添剤や電子写真感光体の摩耗粉などの小粒子があり、当接部204に潤滑性を付与して、クリーニングブレード201のスティックスリップや、機械的な振動としてのスティックスリップが生じずとも、クリーニングブレード201への付加の振動を防止するだけでなく、過剰な粒子の侵入をも防止する。
当接部204の幅は、減速層203aや活動層203bを維持し、また、現像剤などの粒子をせき止めるためには、大きいほうが好ましいが、大きすぎると、全体的あるいは局所的な摩擦の変化などにより、クリーニングブレード201のスティックスリップが増加したり、カット面201C側が電子写真感光体202の表面に引きずられる力が過剰に働いてクリーニングブレード201が摩耗したり、現像剤が電子写真感光体202の表面に塗りこめられてしまう、いわゆるフィルミングなどが発生しやすくなるなどの弊害が発生する場合がある。したがって、当接部204の幅は10〜500μmであることが好ましく、さらには10〜200μmであることがより好ましい。
また、上述のとおり、阻止領域203は、減速層203aおよび活動層203bに分類される。活動層203bは、当接部204に近い方の領域に形成され、主として現像剤の外添剤や電子写真感光体の摩耗粉などの小粒子があり、一部トナー粒子などが混在する層である。活動層203bにより、過剰なトナー粒子や紙粉などの侵入が防止され、また、当接部204へ潤滑性を付与するための上記小粒子などの供給がなされる。一方、減速層203aは、現像剤のトナーおよび外添剤や紙粉などからなり、2成分現像剤の場合には、現像器から漏れたキャリアが混入する場合もある。キャリアは一般にトナー粒子よりも十分に大きく、ほとんど阻止領域203にて阻止される。
減速層203aは電子写真感光体202の表面によって搬送されてきた転写残現像剤を減速させる。上記各層のうち、特に活動層203bでは、一般的に、上記小粒子や現像剤のトナー粒子および外添剤などの凝集性が高く、流動性が低いが、凝固、すなわち過剰な凝集をせず、流動性や潤滑性を有していることが好ましい。これにより、各層が均一に維持され、また過剰な現像剤の当接部204への侵入を好適に防止することができる。
クリーニングブレード201が電子写真感光体202に対して鈍角の当接角をもって当接するような、つまり図5に示すような場合は、当接部204の幅が狭くなったり、減速層203aや活動層203bが不安定になったりする場合があるため、特にクリーニングブレードが1つの場合は、鋭角に当接角を構成することが好ましい。なお、その設定の好適な範囲は後述する。
クリーニングブレードの保持機構としては、いわゆるチップブレードなどの板金型が、装置の簡易性やコスト面から好適である。また、他の保持機構としては、挟み込み保持機構などが挙げられる。
図6〜8にクリーニング装置の概略構成を示す。クリーニング装置は、弾性を有するクリーニングブレード701およびクリーニングブレード701を保持するクリーニングブレード保持部材702を有する。図6はチップブレード型を、図7は板金板ブレード接着型を、図8は挟み込みバネ加圧型を、それぞれ簡略に図示したものである。いずれも、クリーニングブレード保持部材702に保持されたクリーニングブレード701は、適切に電子写真感光体1に当接するように、適切な方法で、クリーニング容器703に設置される。挟み込みバネ加圧型においては、さらにバネなどの当接圧調節機構704を有する。
クリーニングブレード701は、クリーニング安定性や、クリーニングブレード自体の耐久性などの観点から、反発弾性が5〜60%で、硬度が20〜85°であることが好ましい。硬度が85°よりも高いと、電子写真感光体の局所的な摩耗が生じたり、クリーニング性が低下したりする場合があり、20°よりも低いと、ブレード捲れが生じる場合がある。また、反発弾性が5%よりも低いと、電子写真感光体の表面の凹凸や、異物などによりクリーニングブレードが欠けたり、電子写真感光体が局所的に摩耗したりする場合があり、60%よりも高いと、クリーニングブレードが電子写真感光体の移動方向に引きずられやすくなり、ブレード捲れや、すり抜けが発生する場合がある。なお、硬度はJIS−A硬度であってJISK−6253に基づいて測定した値であり、また、反発弾性はJISK−6255に基づいて測定した値である。
また、クリーニングブレードの厚さは1〜4mmであることが好ましい。1mmよりも薄いと、上記硬度や反発弾性を有効にさせにくく、クリーニング不良が生じる場合があり、4mmよりも厚いと、電子写真感光体が局所的に摩耗する場合がある。
クリーニングブレードは、電子写真感光体と当接する部分に摩擦制御部位を導入してもよい。例えば、クリーニングブレードの電子写真感光体と当接する部分にナイロンコーティングや紫外線などによる変質加工を施したり、クリーニングブレードの電子写真感光体と当接する部分に摩擦制御機能を有する粒子を含有させたりすることができる。
クリーニングブレード保持部材は、チップブレード型の場合は、板金が好適に使用され、挟み込み型の場合は、アルミニウムやSUSなどの金属板と燐青銅などからなる背板や、クリーニングブレードの電子写真感光体への当接圧を調節するための、バネなどのブレードホルダーが好適に使用される。
クリーニングブレードにかかる負荷のばらつきや摩擦力の偏差を制御する方法としては、クリーニングブレード保持部材を制御することも有効である。板金の厚さ、形状、固定状態、自由長、電子写真感光体への当接圧、当接角などを制御することで、クリーニングブレードの受けた負荷を好適に分散し、クリーニングブレードの摩擦力の偏差を制御することができる。また、クリーニングブレードの自由長や当接角などの調整を併用することも有効である。
当接圧および当接圧の分布を好適に維持する観点から、クリーニングブレードの自由長は2〜10mmであることが好ましく、当接角は20〜40°であることが好ましい。
クリーニング部やその近傍における摩擦特性を制御して、特に上記活動層や当接部において、粒子を好適に維持、活動させることで、良好なクリーニング性を得ることができる。クリーニングに際しては、転写残現像剤など、特にトナー粒子がクリーニングブレードをすり抜けて画像にスジ状の画像欠陥が生じる、いわゆる「すり抜け」や、クリーニングブレードや電子写真感光体の振動によるいわゆる「鳴きあるいはビビリ」や、クリーニングブレードが摩耗することによるすり抜けなどが生じる、いわゆる「ブレード欠けあるいはクリーナー摩耗」などは、当接部近傍の静止摩擦力や動摩擦力や動摩擦力の標準偏差(動摩擦力のばらつき)といった摩擦特性が関与しており、その摩擦特性で制御すること、特に、動摩擦力の標準偏差を制御することで、本発明の効果が得られることが判明した。
クリーニングに際して、クリーニングブレードは小粒子などが介在した状態で電子写真感光体に当接する。電子写真感光体が移動しているとき、クリーニングブレードは巨視的には電子写真感光体の表面を摺擦して滑るように移動しているが、微視的にはクリーニングブレードの電子写真感光体への当接部において、引っかかったり(スティック)、滑ったり(スリップ)という一連の動きを連続的に行っている。クリーニングブレードが機械的に振動していない場合でも、その受ける負荷は振動している。
本発明者らは、クリーニングブレードが受ける負荷のばらつき(変動)の指標として、動摩擦力の標準偏差σを用い、この標準偏差σを規定することでクリーニング性を長期にわたって良好に維持できることを見いだした。この標準偏差σを動摩擦力偏差σと称する。
さらに、本発明者らの検討の結果、動摩擦力偏差σはプロセススピードに依存すること、また、プロセススピードに応じて、良好なクリーニング性が得られる動摩擦力偏差σの範囲が変動することも判明した。
具体的には、プロセススピードSと動摩擦力偏差σとは下記式で示される関係を満たす必要がある。
0.0057×S+0.5≦Ln(σ)≦0.0055×S+3 ・・・(1)
また、プロセススピードS[mm/s]は100〜350mm/sであることが好ましい。
プロセススピードSおよび動摩擦力偏差σを、上記範囲に収めることで、クリーニングブレードの捲れや欠け、すり抜け、共鳴音などを防止し、また、電子写真感光体の全体的、局所的な摩耗を防止して、良好な画質を得ることができる。また、この好適な摩擦特性を有する状態が耐久中にわたって維持されることで、クリーニング性が長期にわたって好適に維持される。
次に摩擦特性の評価方法を説明する。
図9、10に、電子写真感光体とクリーニングブレードとの間の摩擦特性を評価する装置(摩擦特性評価装置)の概略構成を示す。図9には、実際に画像形成するための電子写真装置を改造した摩擦特性評価装置を示し、図10には、専用の摩擦特性評価装置を示す。
まず、図9に示される構成の摩擦特性評価装置について説明する。
図9において、クリーニングブレード701は、摩擦検出器Sensを設置した状態で、クリーニング装置本体に固定される。摩擦検出器Sensとしては、ミネベア(株)製の歪みゲージ(Fシリーズ)を用いた。
クリーニングブレード701のクリーニング装置本体への固定は、クリーニングブレード701を挟み込んで支持し、背板を使用して自由長を調整してもよいが、いわゆるチップブレード型による固定が好ましい。本図では、チップブレード型の概略構成を示している。なお、動歪みゲージの形状によっては、動歪みゲージを介して、クリーニングブレードをクリーニング装置本体に固定してもよい。
摩擦検出器Sensで得られた信号は、不図示の動歪みアンプを介して、オシロスコープ、コンピューターなどの外部機器に接続されて解析される。動歪みアンプとしては、ミネベア(株)製の歪み測定器DAS−406Bを用いた。この他にも、摩擦検出器Sensとしては、新東科学(株)製のトライボギアHEIDON−14(1kgタイプ動歪みゲージ)を改造したものなどを、また、動歪みアンプとしては、新東科学(株)製の動歪みアンプHEIDON3K−84Aなどを用いてもよい。
クリーニングブレード701は、負荷が加わっていない状態で電子写真感光体1にちょうど接するように調整されている。クリーニングブレード701は、固定位置を調節することで負荷を調節することにより、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接圧を調節することができる。
また、クリーニングブレード701には、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との接線方向に加わる力を検出する荷重変換器(不図示)がさらに設けられている。
また、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接部の温度をモニターする非接触方式の温度計(不図示)が設けられている。
さらに、必要に応じて、不図示の潤滑剤供給用部材やクリーニングローラー、クリーニングブラシなどのクリーニング部材を設置してもよい。
図9に示される構成の摩擦特性評価装置による摩擦特性測定方法について説明する。
まず、摩擦検出器Sensを設置した状態で、クリーニングブレード701の自由長および当接角を調整し、さらに、クリーニングブレード701の設置位置を調整して負荷を加え、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接圧を調節する。
次に、不図示の駆動系により、電子写真感光体1を矢印方向に回転させ(回転駆動開始)、そして所定の速度で一定時間回転させた後(定常回転)、回転を終了する。
次に、図10に示される構成の摩擦特性評価装置について説明する。
図10において、Sensはブレードホルダーとしても用いられる摩擦検出器であり、この摩擦検出器Sensは、バランスアームによって負荷が加わっていない状態で水平に電子写真感光体1に接するように調整されている。摩擦検出器Sensとしては、新東科学(株)製のトライボギアHEIDON−14(1kgタイプ動歪みゲージ)を改造したものを用いた。
摩擦検出器Sensで得られた信号は、不図示の動歪みアンプを介して、オシロスコープ、コンピューターなどの外部機器に接続されて解析される。動歪みアンプとして、新東科学(株)製の動歪みアンプHEIDON3K−84Aを用いた。
摩擦検出器Sensは上皿を有しており、この上皿に加える負荷を調節することにより、電子写真感光体1とクリーニングブレード701との当接圧を調節できる。摩擦検出器Sensには、電子写真感光体1とクリーニングブレード701の接線方向(図中左右方向)に加わる力を検出する機能が設けられている。
また、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接部の温度をモニターする非接触方式の温度計(不図示)が設けられている。
さらに、必要に応じて、不図示の潤滑剤供給用部材やクリーニングローラー、クリーニングブラシなどのクリーニング部材を設置してもよい。
図10に示される構成の摩擦特性評価装置による摩擦特性測定方法について説明する。
まず、摩擦検出器Sensの上皿に重りを載せて負荷を加え、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接圧を調節する。
次に、不図示の駆動系により、電子写真感光体1を矢印方向に回転させ(回転駆動開始)、そして所定の速度で一定時間回転させた後(定常回転)、回転を終了する。
また、摩擦特性を測定する別の方法として、電子写真感光体の駆動トルクで測定する方法がある。
この場合の評価方法としては、まず、クリーニングブレード701の電子写真感光体1への当接圧が0の状態で、電子写真感光体1を所定の速度で駆動して、モーターの負荷電流や、トルク計などの適切な方法でトルクを測定する。
次に、上記の所定の条件でクリーニングブレード701を電子写真感光体1に当接させて、上記と同様に電子写真感光体1を駆動させてトルク測定を行う。これらの差分がクリーニングブレード701によるトルクとなる。このトルクから電子写真感光体1とクリーニングブレード701の摩擦力が算出される。
なお、必要に応じて、これらのトルク測定時に帯電手段などを設置していてもよい。
また、上記のいずれの測定方法においても、必要に応じて、すり抜けた現像剤の量を観測するための反射濃度計や、他の当接部材などを配置してもよい。また、必要に応じて、非接触の温度計を設置し、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接部における温度をモニターしてもよい。
図11に摩擦力の検出例を示す。
図11に示すように、抗力、すなわち負荷を加えてクリーニングブレード701を電子写真感光体1に当接した状態で、電子写真感光体1を回転させると、回転駆動開始直後(回転駆動開始時)に摩擦力が最大の値になる(図中の領域I)。図中、丸で囲んだ部分が最大静止摩擦力である。
その後、電子写真感光体1が所定の速度で一定時間回転する定常回転時においては、摩擦力はほぼ一定の値になる(図中の領域II)。この際の摩擦力の平均値を動摩擦力と称する。クリーニングブレード701や電子写真感光体1の表面状態にもよるが、定常回転時において、動摩擦力は必ずしも一定の値に安定せずに、変動を伴う。動摩擦力のばらつきを評価する値として標準偏差を算出した。
このようにして求められる最大静止摩擦力、動摩擦力、動摩擦力偏差について、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接圧を変えて測定を行い、当接圧に対する依存性を求めた。その結果を図12に示す。
図12に示すように、最大静止摩擦力および動摩擦力は当接圧にほぼ比例しており、この際の比例係数を、それぞれ、静止摩擦係数μS、動摩擦係数μMと称する。一方、動摩擦力偏差σは、使用状況などにより、必ずしも当接圧に比例関係にあるとは限らない。なお、図12中、当接圧をx[g/5cm]、摩擦力をy[gf]とすると、最大静止摩擦力の式はy=0.559x、動摩擦力の式はy=0.5376x、動摩擦力偏差の式はy=0.0304xであった。また、図12中の領域IIIは、クリーニングブレードの当接圧の一般的な範囲である。
また、動摩擦力偏差σについては、電子写真装置で使用する際の設定線圧、すなわちクリーニング性が最適化された設定線圧に対して、100±50%の線圧の範囲における最大値を求めた。これを最大動摩擦力偏差(σmax)と称する。
上述のように、動摩擦力偏差σは、クリーニングブレード701と電子写真感光体1との当接部での摩擦力の変動の大きさを意味し、動摩擦力偏差σが小さいということは、当接部において、ばたつきや引っ掛かりがないことはもちろん、スムーズな摺擦がなされているということを意味している。
また、摩擦係数も、上述のように、電子写真感光体の回転駆動手段の平均トルクの指標であり、クリーニング性や耐久性や設計上のラチチュードに関わる特性である。
摩擦係数に関して、動摩擦係数μMが低い方が、クリーニングに関しての当接圧のラチチュードが広がる。すなわち、クリーニング不良やブレード捲れなどのクリーニングブレードの損傷などの防止に有効である。
また、近年、省エネルギーの観点から、低融点トナーの開発、電子写真感光体やクリーニングブレードの長寿命化が要求されており、そのためにも動摩擦係数μMの低減が重要である。
上述の理由から、動摩擦係数μMは1.0以下であることが好ましく、また、温度による動摩擦係数μMの変化幅は0.4以下であることが好ましく、特には0.2以下であることがより好ましい。
一方で、摩擦係数が低すぎると、クリーニングに必要な摩擦力を得るための線圧を高く設定しなければならず、その結果、クリーニングブレードの撓みが大きくなり、当接不良などによる現像剤のすり抜けが発生する場合がある。そのため、動摩擦係数μMは0.2以上であることが好ましく、特には0.3以上であることがより好ましい。
摩擦特性の評価時には、摩擦特性評価装置を環境を制御可能な環境試験室に設置し、この環境試験室(環境試験箱)を所定の温度湿度に設定した後、24時間以上放置して電子写真感光体1やクリーニングブレード701などを設定してから各摩擦特性を測定する。あるいは、摩擦特性評価装置の内部環境を所望の状態に制御可能な環境試験室(環境試験箱)に設置し、摩擦特性評価装置の設置環境を所定の温度湿度に設定した後、24時間以上放置して電子写真感光体1やクリーニングブレード701などを設定してから各摩擦特性を測定する。
なお、本発明において、特記のない限り、環境は23℃、50%RHである。
クリーニング性は、電子写真感光体、現像剤、クリーニングブレードなどの材質や、それらの設置条件などによって、初期のクリーニング条件を最適化するだけでなく、耐久による変動を最小限に抑制することが重要である。
クリーニング性にかかる特性として、耐久による摩擦特性の変動を抑制し、電子写真感光体の表面状態を良好に維持するためには、電子写真感光体の表面に付着した帯電生成物や、さらに必要に応じて、電子写真感光体の変質した表面などを除去する方法を採ることができる。
電子写真感光体の表面に付着した帯電生成物などを除去する方法としては、除去用の摺擦部材を設ける方法が挙げられる。具体的には、弾性部材や磁気ブラシやラッピングテープなどの摺擦部材を電子写真感光体に当接させて、電子写真感光体と速度差を持って駆動させる方法や、金属ブレードなど高剛性部材を当接させる方法などが挙げられる。
摺擦部材は、その種類などにもよるが、電子写真感光体との速度差(周速差)が2〜200%であることが好ましい。速度差が大きすぎると、摺擦部剤の損耗が生じる場合がある。また、速度差は0%(±1%)および100%(±1%)以外であることが好ましい。速度差が0%である場合、すなわち、電子写真感光体の周面の移動速度と摺擦部材の表面の移動速度とが等しい場合、摺擦効果が乏しくなる場合があり、速度差が100%である場合、すなわち摺擦部材の表面の移動速度がゼロの場合、電子写真感光体の表面の摺擦が不均一になる場合がある。
なお、速度差とは、速度差をΔV、電子写真感光体の周面の移動速度をVK、摺擦部材の表面の移動速度をVSとすると、
である。
また、摺擦による、あるいは、紙粉などの異物による、摺擦部材や電子写真感光体の局所的な損耗を抑制するためには、摺擦部材の表面の移動方向は電子写真感光体の周面の移動方向と同方向(順方向)であることが、より好ましい。
また、摺擦部材として弾性部材を用いる場合、その弾性部材のアスカー硬度は25〜45°であることが好ましい。
また、帯電ローラーなどの接触帯電部材を電子写真感光体に対して非平行に当接させて移動行路差を付ける方法、すなわち、接触帯電部材を摺擦部材として兼用させる方法も挙げられる。
また、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部に潤滑層を設ける方法を採ることもできる。具体的には、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛など)などの金属石鹸を塗布する機構を設ける方法や、PTFE、PFA、PVDFなどのフッ素原子含有化合物や、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂などの樹脂粒子や、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物粒子などの固体潤滑剤を当接部に介在させる方法などが挙げられる。
特に、フッ素原子を多量に含むフッ素原子含有樹脂は、表面エネルギーが著しく小さいので、潤滑剤としての効果が大きい。また、現像剤を潤滑剤として流用してもよい。
装置の簡易性、電子写真感光体へ傷を付けないことなどから、摺擦部材を用いる方法が好ましい。また、摺擦部材の材質、形状や、電子写真感光体への当接圧、当接幅、駆動条件などを調整することで、その摺擦力を制御できる。摺擦部材がローラー状の場合は、ローラーの硬度、外径を調整したり、コロなどの規制部材などを用いて電子写真感光体への侵入量を調整したりすることで、電子写真感光体への当接圧や当接幅を調整できる。その他、摺擦部材をベルト状にするなどの方法も有効である。
また、摺擦部材は、現像部と転写部との間を除く任意の位置に設置できる。転写部とクリーニング部との間に設置する場合は、摺擦部材に付着する転写残現像剤や紙粉などを、該摺擦部材から適宜除去することが好ましい。
摺擦部材が弾性部材である場合には、スクレーパーを設けたり、ファー部材を当接させたりするなどの方法を採ることができる。また、摺擦部材が磁気ブラシである場合は、異物除去用の電極に電圧を印加して、バイアスで異物を除去するなどの方法を採ることができる。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真装置に用いられる電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体である。また、その表面層は連鎖重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する層である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
図13に、本発明の電子写真装置用の電子写真感光体の層構成の好適例を示す。
図13(a)に示される層構成の電子写真感光体は、支持体1304の上に感光層である電荷発生層1303、電荷輸送層1302が順に設けられており、さらにその上に、該感光層を保護することを目的として、すなわち保護層として、連鎖重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する層1301が電子写真感光体の表面層として設けられている。
保護層を有する電子写真感光体は、摩耗や傷に対する機械的耐久性が高い。
また、図13(b)に示すように、支持体1304と電荷発生層1303との間に、バリア機能や接着機能を有する中間層(バリア層、接着層)1305や、干渉縞防止などを目的とする導電層1306などを設けてもよい。
その他、どのような層構成であっても、電子写真感光体の表面層が、連鎖重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する層であればよい。
以下、感光層上に保護層を設けた層構成の電子写真感光体を例にとって説明する。
上述のとおり、電子写真感光体の表面層である保護層は、連鎖重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する。連鎖中合成官能基としては、例えば、以下の官能基が挙げられる。
連鎖中合成官能基を有する化合物の中でも、2つ以上の連鎖中合成官能基を有する化合物が好ましい。2つ以上の連鎖重合性官能基を有する化合物を重合させると、3次元に架橋が進み、強固な保護層が形成できる。なお、本発明において、「連鎖重合性官能基を有する化合物の重合物」の「重合」とは架橋による硬化を含む。
連鎖重合性官能基を有する化合物の重合は、熱、光または放射線による重合が好ましく、その中でも放射線による重合がより好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点である。これにより、2つ以上の連鎖重合性官能基を有する化合物であれば、非常に高密度な架橋を有する保護層の形成が可能となり、良好な電子写真特性が確保される。また、放射線による重合は短時間かつ効率的な重合反応であるため、生産性も高く、さらには放射線の透過性のよさから、膜厚が厚い場合や添加剤などの遮蔽物質が保護層中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さい。
ただし、連鎖重合性官能基の種類や中心骨格の種類によっては、重合反応が進行しにくい場合があり、その際には、影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。この際使用する放射線としては、電子線やγ線が好ましく、特には電子線がより好ましい。電子線照射をする場合、加速器としては、例えば、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型、ラミナー型などの形式が挙げられる。
電子線を照射する場合、電子写真感光体の電子写真特性および機械的耐久性を良好に発現させるためには、電子線の照射条件が非常に重要である。加速電圧は250kV以下であることが好ましく、特には150kV以下であることが好ましい。また、線量は1Mrad〜100Mradであることが好ましく、特には1.5Mrad〜50Mradであることがより好ましい。加速電圧が大きすぎると、電子線照射によって電子写真特性が低下する場合がある。また、線量が少なすぎると、硬化が不十分となりやすく、一方、線量が多すぎると、電子線照射によって電子写真特性が低下する場合がある。
また、重合中の電子写真感光体の温度は、重合硬化度や摩擦特性を制御するために重要な項目である。重合中の電子写真感光体の温度は50〜150℃であることが好ましく、特には50〜130℃であることがより好ましい。温度が低すぎると、重合硬化に時間がかかりすぎたり、重合硬化が不十分になったりする場合がある。一方、温度が高すぎると、支持体と保護層との間の層の損傷によって残留電位が上昇する場合がある。
また、連鎖重合性官能基を有する化合物は、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質であることが好ましい。連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の重合物を含有する保護層であれば、強固な保護層が形成できるだけでなく、残留電位や感度などの電子写真特性も良好に維持することができる。
また、保護層には、摩耗や傷に対する機械的耐久性以外に、クリーニングブレードと当接する電子写真感光体の表面の層であるため、摩擦特性を良好に維持するための特性が重要である。そのためには、研磨などで保護層の表面形状(表面粗さ)を調整したり、シリコーン系クシ型グラフトポリマー、フッ素系クシ型グラフトポリマー、フッ素原子含有樹脂粒子、シロキサンユニット含有樹脂などの潤滑剤の含有させたりすることなどが有効である。潤滑剤の含有量は、保護層全質量に対して1〜50質量%であることが好ましく、特には5〜30質量%であることがより好ましい。潤滑剤が多すぎると、保護層の機械的耐久性が低下する場合があり、1質量%より少ないと、潤滑剤を含有させることによる効果が得られにくくなる。
保護層は、連鎖重合性官能基を有する化合物を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、重合することによって形成することができる。
保護層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜7μmであることが好ましい。膜厚が薄すぎると、耐久による保護層の摩耗により、その下の層が露出する場合があり、一方、膜厚が厚すぎると、感度変動や静電潜像のブロード化を引き起こす場合がある。
本発明の電子写真装置用の電子写真感光体の支持体としては、導電性を有していればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックなどを用いることもできる。
上述のとおり、支持体上には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。
また、上述のとおり、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。中間層の膜厚は0.1〜2μmであることが好ましい。
本発明の電子写真装置用の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.5〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
また、電荷発生層の膜厚は0.1〜2μmであることが好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真装置用の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
電荷輸送層の膜厚は上記電荷発生層との合計で5〜50μmであることが好ましく、特には30μm以下であることがより好ましく、さらには20μm以下であることがより一層好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
感光層上には保護層が設けられる。保護層に関しては上述のとおりである。
<現像>
現像剤には、着色剤や結着樹脂などからなるトナー粒子および該トナー粒子に外部添加される外添剤からなるトナーが含まれる。2成分現像剤の場合は、さらにキャリア(磁性キャリア)が現像剤に含まれる。この磁性キャリアとしては、磁性体分散型の樹脂キャリアや、表面を樹脂でコートしたフェライトなどの磁性キャリアなどが挙げられる。
また、トナーは、磁性粒子を含有する磁性トナーと、磁性粒子を含有していない非磁性トナーとに大別される。
現像方式は、モノクロであるかカラーであるかなど、そのニーズによって様々な現像方式が考え出されており、例えば、現像剤の構成によって1成分現像と2成分現像とに分類され、また、現像剤担持体および/または該現像剤担持体に担持された現像剤が電子写真感光体に接触するか否かによって接触現像と非接触現像とに分類される。
メンテナンスフリー、長寿命、クリーニング性の観点からは、1成分現像が好ましい。1成分現像がクリーニング性にとって好ましい理由について、詳細には不明であるが、2成分現像剤の方が転写残現像剤の帯電量(トリボ)が高く、クリーニングブレード近傍での阻止領域が形成されにくいことの影響があると考えられる。
一方、画質の観点からは、接触現像が好ましく、接触現像の中でも、非磁性トナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤を用いた2成分接触現像が好ましい。
つまり、これらの観点から、高画質を得るために2成分接触現像を採用した上で、クリーニング性を良好に維持することが重要である。
図14に、2成分接触現像の概略構成の一例を示す。
図14中、1は電子写真感光体であり、501は電子写真感光体1に対向する現像剤担持体(現像スリーブなど)である。
現像剤担持体501は、電子写真感光体1に対して所定の相対速度で駆動され、現像剤担持体501は電子写真感光体1に対して所定の押圧状態に維持される。現像剤担持体501に付着している現像剤は、電子写真感光体1との対向部において、トナー502とキャリア503とからなる穂を形成し、電子写真感光体1に接触している。穂を形成するトナー502が、電子写真感光体1の表面の静電潜像を現像して現像像504を形成する。
現像剤担持体501には、不図示の現像バイアス印加手段により、所定の直流電圧、または、周波数、ピーク間電圧、デューティー比を制御された交流電圧を直流電圧に重畳した電圧が印加される。
なお、接触現像には、現像剤担持体自体は電子写真感光体に接触せず、現像剤担持体に付着しているキャリアやトナーからなる現像剤で形成される穂が電子写真感光体に接触する方式と、弾性を有する現像剤担持体が電子写真感光体に当接した状態で駆動される方式の両方が含まれる。図12で例示した構成は前者の概略構成である。
また、良好なクリーニング性と高解像度の高画質とを両立するためには、トナーの重量平均粒径は3〜9μmであることが好ましい。粒径が小さすぎると、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性、攪拌性が低下し、カブリや転写性が悪化する場合があり、また、画像ムラの原因となり、転写効率の低下から転写残現像剤が多くなり、クリーニングブレードへの局所的な衝撃が過剰になり、クリーニング性やトナー融着の抑制が難しくなる場合がある。一方、粒径が大きすぎると、出力画像における文字やラインに飛び散りが生じやすくなり、高解像度が得られにくくなり、1ドットの再現が悪化する場合がある。
<帯電>
帯電手段としては、コロトロン・スコロトロン方式、接触帯電方式など任意に選択可能であるが、接触帯電方式が好ましい。さらに、帯電手段には、必要に応じて、さらに帯電手段クリーニング手段を有していてもよい。
接触帯電手段の場合、電子写真感光体に接触配置される接触帯電部材はローラー形状のもの(帯電ローラー)が好ましい。また、接触帯電部材の抵抗値は、その使用される環境、高帯電効率、電子写真感光体の電位収束性、電子写真感光体の表面層の耐圧特性などに応じて設定される。また、必要に応じて内部電位センサーなどの電位測定手段を設けてもよい。
次に、摩擦特性の耐久性について説明する。
初期と画像形成を20万回繰り返した耐久後との間で摩擦特性の変動が大きいと、耐久前後でのクリーニングラチチュードが変動する場合がある。最大動摩擦力偏差σmaxの変化率は±50%以内であることが好ましく、静止摩擦係数および動摩擦係数の変化量は±0.4以内であることが好ましい。
(実施例)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(電子写真感光体例1)
長さ357.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、酸化アンチモンを10%含有する酸化スズで被覆した導電性の酸化チタン粒子50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部、シリコーン樹脂(ジメチルシロキサン−オキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、導電層用塗布液を調整した。
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、150℃で30分間熱硬化して、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部で溶解して、中間層用塗布液を調整した。
この中間層用塗布液を、導電層上に浸漬コーティングし、100℃で20分間乾燥して、膜厚が1μmの中間層を形成した。
次に、オキシチタニウムフタロシアニン3部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学(株)製)2部、シクロヘキサノン35部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル60部を加えて希釈して、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、105℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式で示される構造を有するスチリル化合物10部、
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−800、三菱ガス化学(株)製)10部を、ジクロロメタン30部/モノクロロベンゼン60部の混合溶媒中に溶解して、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、110℃で60分間乾燥して、膜厚が13μmの電荷輸送層を形成した。
次に、ポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製、平均粒径:0.18μm)6部、モノクロロベンゼン50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置(商品名:UVM−30、アイメックス(株)製、ベッセル容量:30リットル、分散媒体:ガラス製で平均粒径1.0mm球形)を用いて、循環量3.0リットル/分、軸回転数700rpmで60時間分散した。
この分散液に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質60部
を加えて溶解し、次に、ジクロロメタン30部を加えて、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を、電荷輸送層に浸漬コーティングし、加速電圧150kV、線量30Mrad、電子写真感光体の表面温度100℃の条件で電子線を照射して硬化して、膜厚が5μmの保護層を形成した。
このようにして、保護層が表面層である電子写真感光体K11を作製した。
(電子写真感光体例2)
電子写真感光体例1において、支持体を長さ363mm、直径62mmのアルミニウムシリンダーに変更した以外は、電子写真感光体例1と同様にして、保護層が表面層である電子写真感光体K12を作製した。
(電子写真感光体例3)
電子写真感光体例1と同様にして、支持体上に、導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。
次に、下記式で示される構造を有する紫外線硬化性アクリル樹脂のモノマー(商品名:ビスコート#295、大阪有機化学工業(株)製)18部、
重合開始剤として2−メチルチオキサンソン1部、および、エタノール150部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで66時間分散した。
この分散液に、ポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製、平均粒径:0.18μm)20部を加え、さらに70時間分散して、保護層用塗布液を調整した。
この保護層用塗布液を、電荷輸送層に浸漬コーティングし、高圧水銀灯により光強度320mW/cm2の紫外線を30秒間照射して硬化し、120℃で2時間の熱風乾燥して、膜厚が5μmの保護層を形成した。
このようにして、保護層が表面層である電子写真感光体K21を作製した。
(電子写真感光体例4)
電子写真感光体例3において、支持体を長さ363mm、直径62mmのアルミニウムシリンダーに変更した以外は、電子写真感光体例3と同様にして、保護層が表面層である電子写真感光体K22を作製した。
(評価1)
電子写真感光体K11、K21をキヤノン(株)製の複写機GP405(図1(a))の改造機に装着し、電子写真感光体K12、K22をキヤノン(株)製の複写機CP680(図1(b))の改造機に装着して、それぞれ評価した。
評価1で用いたGP405の改造機は、GP405において、電位評価を行えるように露光量や帯電条件を調整し、現像位置に専用治具にて電位計(TRek社製の344に電位プローブとしてTRek社製555P−4)を設置したものである。また、評価1で用いたCP680の改造機は、CP680において、電位評価を行えるように露光量や帯電条件を調整し、現像位置に専用治具にて電位計(TRek社製の344に電位プローブとしてTRek社製555P−4)を設置したものである。
23℃、50%RHの環境下で、初期の暗部電位Vd[V]と、初期の感度[μJ/cm2]と、初期の残留電位Vsl[V]とを測定した。
初期の感度[μJ/cm2]とは、暗部電位−600Vを明部電位−120Vに光減衰させるために必要な光量[μJ/cm2]である。また、初期の残留電位Vsl[V]とは、初期の感度の3倍の光量を照射したときの電位[V]である。
次に、23℃、50%RHの環境下で、50000枚の通紙耐久試験を行った後、暗部電位の変動量ΔVd[V]と、明部電位の変動量ΔVl[V]と、電子写真感光体の表面の摩耗量とを測定した。
暗部電位の変動量ΔVd[V]とは、耐久後の暗部電位Vd’[V]と初期の暗部電位Vd[V]との差(Vd’−Vd)[V]である。また、明部電位の変動量ΔVl[V]とは、耐久後に初期の感度の光量を照射した際の明部電位Vl’[V]と初期の明部電位Vl[V](=−120V)との差(Vl’−Vl)[V]である。
また、電子写真感光体の表面の摩耗量は、FISCHER社製の渦電流式膜厚測定器PERMASCOPE TYPE E111を用いて測定し、1回転当たりの摩耗量[×10−5μm/回転]で表した。
結果を表1に示す。
(評価2)
電子写真感光体K11、K21については、GP405を図9で示したとおりに改造した摩擦特性評価装置を用いて、電子写真感光体K12、K22についてはCP680を図9で示したとおりに改造した摩擦特性評価装置を用いて、摩擦特性(静止摩擦係数μS、動摩擦力係数μM、動摩擦力偏差σ、最大動摩擦力偏差σmax)の評価を行った。
結果を表2に示す。
(現像剤例1)
本例は2成分現像剤の例である。
・キャリア
2成分現像剤用のキャリアは、よく知られているフェライトキャリアなどを使用してもよいが、本例では以下に示す球形重合キャリアを使用した。
球形重合キャリアの製造方法としては、結着樹脂、磁性金属酸化物および非磁性金属酸化物を含有するモノマー組成物を、媒体(水)中で懸濁して重合させる方法を採った。
個数平均粒径0.24μmの強磁性体であるFeO・Fe2O3粒子と、該FeO・Fe2O3粒子に対して5.5質量%の3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン(シランカップリング剤)とを容器に入れ、容器内を100℃以上に維持しながら高速混合撹拌して、該FeO・Fe2O3粒子の親油化処理を行った。
個数平均粒径0.60μmの非磁性体のα−Fe2O3粒子と、該α−Fe2O3粒子に対して5.5質量%の3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン(シランカップリング剤)とを容器に入れ、容器内を100℃以上に維持しながら高速混合撹拌して、該α−Fe2O3粒子の親油化処理を行った。
次に、フェノール10部、ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水5質量%)6部、上記親油化処理済みFeO・Fe2O3粒子60部、および、上記親油化処理済みα−Fe2O3粒子40部を、28質量%アンモニア水溶液をからなる水系媒体の入ったフラスコに入れ、攪拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温し、この温度を維持ながら3時間反応、熱硬化させた。次に、30℃まで冷却して、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次に、減圧下(5mmHg以下)にて50〜60℃で乾燥して、磁性樹脂粒子を得た。
この磁性樹脂粒子の表面に、以下の方法で熱硬化性のシリコーン樹脂をコートした。すFなわち、コート樹脂量が1.0質量%となるように、トルエンを溶媒として10質量%のシリコーン樹脂を含有するコート溶液を作製し、このコート溶液に剪断応力を連続して加えながら溶媒を揮発させて、磁性樹脂粒子の表面へのコートを行った。
次に、コート済み磁性樹脂粒子を、200℃で1時間キュアし、解砕した後、200メッシュの篩で分級した。
このようにして、シリコーン樹脂をコートした球形重合キャリアCを得た。
このキャリアの個数平均粒径を、ニレコ社製の画像処理解析装置Luzex3を用いて測定したところ、28.3μmであった。また、このキャリアの1キロエルステッドにおける磁化の強さを理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定したところ、129emu/cm3であった。
・トナー粒子
高速攪拌装置TK−ホモミキサーを備えた四つ口フラスコに、イオン交換水900部とポリビニルアルコール100部とを投入し、回転数を1200rpmに調整し、60℃に加熱して水系媒体を作製した。
次に、スチレン単量体90部、n−ブチルアクリレート単量体22部、カーボンブラック10部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:E−88、オリエント化学社製)1部、および、離型剤としてのパラフィンワックス(商品名:HNP−11、日本精鑞(株)製)20部を混合し、60℃に加温し、特殊機化工業(株)製のTK式ホモミキサーを用いて回転数12000rpmで撹拌した後、これに2,2−アゾビスイソブチロニトリル3部を溶解させた重合性単量体組成物を作製した。
この重合性単量体組成物を上記水系媒体に投入し、窒素雰囲気下で10000rpmに設定した特殊機化工業(株)製のTK式ホモミキサーにて60℃で10分間撹拌し、その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ80℃に昇温し、10時間重合反応させた。
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解させた後、濾過、水洗、乾燥を行って、重合体粒子を得た。
次に、この重合体粒子0.9部をメタノール5.0部に分散し、次いで、この分散液にケイ素化合物としてのテトラエトキシシラン0.5部およびメチルトリエトキシシラン0.3部を溶解させ、さらに、50部のメタノールを添加した。
次に、これに28質量%アンモニア水溶液に対して1000質量%のメタノールを添加した溶液を滴下しながら加え、室温で48時間攪拌して反応させた。
反応終了後、得られた粒子を精製水で洗浄し、次いで、メタノールで洗浄した後、粒子を濾別、乾燥して、平均粒径が6.5μm、形状係数SF1が1.06の非磁性のトナー粒子T1を得た。
・外添剤
個数平均粒径(一次粒径)9nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理をした後、シリコーンオイルで処理して、処理後のBET値が200m2/gの疎水性シリカ粒子を作製し、これを外添剤Gとして使用した。
外添剤としては、本例の疎水性シリカ粒子以外にも、ポリフッ化ビニリデン粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子や、湿式製法シリカ、乾式製法シリカなどののシリカ粒子や、酸化チタン粒子や、アルミナ粒子など、また、これらをシランカップリング剤、チタンカッブリング剤、シリコーンオイルなどで表面処理して疎水性を付与した処理シリカ粒子、処理酸化チタン粒子、処理アルミナ粒子などが挙げられる。
・外添
トナー粒子T1に対して1質量%の外添剤G(疎水性シリカ粒子)を加え、攪拌羽根の周速を40m/sに設定した三井三池化工機(株)製のヘンシェルミキサーを用いて3分間混合して、非磁性トナーH’を作製した。
・混合
キャリアCと非磁性トナーH’とを、キャリアC:非磁性トナーH’=92:8の比率(質量比)で混合して2成分現像剤Hを得た。
(現像剤例2)
本例は1成分現像剤の例である。
・表面処理磁性体
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の水酸化ナトリウム水溶液を混合し、水酸化第一鉄を含有する水溶液を調製した。
次に、この水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次に、このスラリー液に、当初のアルカリ量(水酸化ナトリウムのナトリウム成分)に対して0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液のpHを8前後に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して取り出した。このとき、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。
次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを6前後に調製して十分攪拌しながら、磁性酸化鉄に対して2.0質量%のシランカップリング剤としてのn−C10H21Si(OCH3)3を添加して(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)、カップリング処理を行った。
生成した疎水性酸化鉄粒子を洗浄、濾過、乾燥し、次いで、若干凝集している粒子を解砕処理して、表面処理磁性体を得た。なお、この磁性体の疎水化度は85%であった。
・トナー粒子
イオン交換水709部に0.1M−Na3PO4水溶液451部を投入し、60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加して、Ca3(PO4)2を含有する水系媒体を作製した。
次に、スチレン78部、n−ブチルアクリレート22部、ジビニルベンゼン0.5部、飽和ポリエステル樹脂5部、負荷電性制御剤としてのモノアゾ染料系鉄化合物(商品名:T−77、保土谷化学工業(株)製)1部、および、上記表面処理磁性体190部を、三井三池化工機(株)製のアトライターを用いて均一に分散混合し、単量体組成物を得た。
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)810部を溶解して、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(60℃条件下のt1/2=140分)5部を溶解して重合性単量体系を得た。
この重合性単量体系を上記水系媒体に投入し、窒素雰囲気下で10000rpmに設定した特殊機化工業(株)製のTK式ホモミキサーにて60℃で15分間撹拌して造粒し、その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃に昇温して、さらに4時間撹拌を続けた。
反応終了後、80℃で2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥を行って重量平均粒径7.3μmのトナー粒子T2を得た。
・外添剤
現像剤例1と同様の外添剤Gを使用した。
・外添
トナー粒子T2に対して3質量%の外添剤G(疎水性シリカ粒子)を加え、攪拌羽根の周速を40m/sに設定した三井三池化工機(株)製のヘンシェルミキサーを用いて3分間混合して、磁性トナーJ(1成分現像剤J)を得た。
(現像剤の評価)
2成分現像剤Hおよび1成分現像剤Jについて、各種物性の評価を行った。
結果を表3に示す。
表3中、D4は重量平均粒径、D1は個数平均粒径である。D4/D1の値から、微粒子がほとんどないことがわかる。
(評価3)
電子写真感光体は、電子写真感光体K11、K12、K21、K22を使用し、現像剤は、2成分現像剤H、1成分現像剤Jを使用した。
電子写真感光体K11、K21については、GP405を改造した摩擦特性評価装置を用い、電子写真感光体K12、K22については、CP680を改造した摩擦特性評価装置を用いた。
評価3で用いたGP405の改造機は、GP405において、クリーニングブレードの電子写真感光体への当接圧・当接角を調節できるようにし、クリーニングブレードの表裏に摩擦検出器(動歪みゲージ)を設置し、クリーニングブレードの上流側にある補助部材を着脱可能とし、駆動方向や速度を可変とし、電圧印加条件、各露光の露光量、プロセススピードを可変とし、電子写真感光体駆動用モーターのトルク電流を検出できるようにしたものである。また、評価3で用いたCP680の改造機は、CP680において、クリーニングブレードの電子写真感光体への当接圧・当接角を調節できるようにし、クリーニングブレードの表裏に摩擦検出器(動歪みゲージ)を設置し、クリーニングブレードの上流側にある補助部材を着脱可能とし、駆動方向や速度を可変とし、電圧印加条件、各露光の露光量、プロセススピードを可変とし、電子写真感光体駆動用モーターのトルク電流を検出できるようにしたものである。
評価3で用いたGP405の改造機およびCP680の改造機のプロセススピードは、ともに250mm/sとし、クリーニングブレードが電子写真感光体に対して当接圧が0の状態で電子写真感光体を回転駆動させて、モーターのトルクデータを時系列で測定した。
さらに、クリーニングブレードの当接圧を調整して、上記と同様に電子写真感光体を回転駆動させて、電子写真感光体駆動用モーターのトルクデータおよびクリーニングブレードの歪みデータを測定した。
電子写真感光体駆動用モーターのトルクデータから得られた摩擦特性と、クリーニングブレードの歪みデータから得られた摩擦特性とは、ほぼ一致した。
次に、図10に示すような専用の摩擦特性評価装置を用いて、電子写真感光体の摩擦特性を評価した。プロセススピード、帯電、現像、クリーニングなどの条件は、それぞれ、上述のGP405を改造した摩擦特性評価装置、上述のCP680を改造した摩擦特性評価装置と同様にした。
結果を表4に示す。
(評価4)
電子写真感光体は、電子写真感光体K12をベースとして、ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒径や量、電子線の照射条件などを調整することにより、表面の条件を振ったもの(スティックスリップが図15中のMaxスティックスリップの点になる表面の電子写真感光体、および、Minスティックスリップの点になる表面の電子写真感光体)を使用し、現像剤は、2成分現像剤Hを使用した。また、摩擦特性評価装置は、評価3で用いたCP680を改造した摩擦特性評価装置を用いた。
まず、摩擦特性評価装置のプロセススピードを100mm/sとし、ベタ画像形成シーケンスを2分間連続し、さらに、現像手段を解除して現像剤の供給を皆無にした状態で、画像形成シーケンスを10分間連続し、この間のクリーニングブレードのビビリや共鳴音や振動を評価した。さらに、上記両シーケンス終了後、現像剤がクリーニングブレードをすり抜けることに起因する電子写真感光体および帯電ローラーの汚れを評価した。
また、プロセススピードを変化させて同様の評価を行った。
結果を図15に示す。
図15中の2本の線が挟む領域において特に良好なクリーニング性を得られた。
(実施例1)
電子写真感光体K12を、キヤノン(株)製の複写機CP680の改造機に装着して評価した。
実施例1で用いたCP680の改造機は、CP680において、現像手段を1成分現像(ジャンピング現像、現像剤は1成分現像剤J)に改造し、プロセススピードSを117mm/sに調整し、中間転写体(中間転写ドラム)のクリーニング装置を付加し、潤滑剤棒およびファーブラシを除去し、帯電ローラーを純正の位置から下流側へ移動して回転軸は電子写真感光体の回転軸と平行になるように設置し、クリーニングブレードと帯電ローラーの間に#6000のラッピングテープ(摺擦部材)をバックアップローラーおよびテープ搬送機構によって電子写真感光体の表面に当接させて、周面の移動速度が電子写真感光体の周面の移動速度の103%(順方向、電子写真感光体との速度差が3%)となるように駆動させたものである。
23℃、50%RHの環境下で、初期の摩擦特性とクリーニング性を評価した後、適正なクリーニング当接圧にて、6%dutyの画像形成を1枚間欠で、200000枚の通紙耐久試験を行った。
初期および耐久試験の100000枚経過後、20000枚ごとに耐久試験終了時まで、ハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像、および、前半ベタ黒で後半ベタ白の2トーン画像をサンプリングした。なお、画像濃度はマクベス社製の濃度計「RD−918」を用いて絶対濃度で測定した。各画像評価時におけるベタ黒画像は、耐久試験全体にわたって絶対濃度1.3以上が確保されていた。
また、クリーニング性の評価項目として、フィルミング、スジ状すり抜け、ブレード捲れ、ブレードビビリおよび共鳴音の有無および発生頻度を評価した。
また、クリーニングブレードを観察し、損耗状態の評価を行った。
評価条件、判定基準を以下に示す。
・クリーニング不良(スジ状すり抜け、ブレード捲れ、ブレードビビリ、共鳴音)
スジ状のすり抜け画像欠陥(ハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像、2トーン画像で評価)を目視で評価した。フィルミング状のすり抜けに関しては、TOKYO DENSHOKU(株)製の反射濃度計REFRECTMETER MODEL TC−6D(S)を用いて測定し、画像出力後の紙の白地部反射濃度最悪値をDs、画像出力前の紙の反射濃度平均値をDrとした時の(Ds−Dr)をフィルミング量とした。
A:フィルミング3%未満。スジ状すり抜け、ブレード捲れ、ブレードビビリ、共鳴音なし。
B:フィルミング3%以上4%未満。スジ状すり抜けなし、または、スジ状すり抜け2個以内かつ幅0.3mm未満かつ長さ1mm未満。ブレード捲れなし。頻度少だが共鳴音が電子写真感光体停止時に発生する場合がある、または、頻度少だがブレードビビリが発生する場合がある。
C:フィルミング4%以上5%未満。スジ状すり抜けなし、または、スジ状すり抜け2個以内かつ幅0.3mm未満かつ長さ1mm未満。頻度少だが共鳴音とブレードビビリの両方が発生する場合がある。
・クリーニングブレード損耗
耐久試験後に、クリーニングブレードのカット面と当接面を顕微鏡観察し、クリーニングブレードの欠けや抉れを評価した。
A:クリーニングブレードの欠けなし、または、トナーの粒径以下の欠けまたは抉れが3箇所以内。クリーニング不良なし。
B:トナー粒径以下の欠けまたは抉れが4箇所または5箇所。トナー粒径以上の欠けまたは抉れなし。クリーニング不良なし。
C:トナー粒径以下の欠けまたは抉れが6箇所以上。トナー粒径以上の欠けまたは抉れがある。クリーニング不良なし。
・出力画像の欠陥(現像剤融着など)
現像剤融着によるポチ(黒ポチまたは白ポチ)の評価は、ハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像、および2トーン画像から、大きさと個数を測定し、0.1mm以上のポチが最も多い画像において、A3紙1枚中に何個あるかで判定した。
A:電子写真感光体の表面および出力画像ともに良好。
B:0.1mm以下のポチが出力画像に3個以内かつ0.3mm以上のポチなし。
C:0.3mm以下のポチが出力画像に5個以内かつ0.5mm以上のポチなし。
・電子写真感光体の表面の摩耗量
100000枚経過後の電子写真感光体の表面の摩耗量を測定した。HELMUT FISCHER GMBTE CO社製の渦電流方式の膜厚測定器EDDY560Cを用いて、初期および100000枚経過後の膜厚を測定することにより、摩耗量の測定を行った。測定点は、膜の膜厚が均一な部分において、周方向に8箇所×長手方向に3箇所=24箇所であり、その平均値をとった。また、摩耗量は1回転当たりの摩耗量[×10−5μm/回転]で表した。
A:摩耗量が0.1μm未満。偏摩耗なし。
B:摩耗量が0.1μm以上0.2μm未満。偏摩耗なし。
C:摩耗量が0.2μm以上0.3mm以内、または、偏摩耗あり。ただし、耐久試験終了後に表面層が消失している部位なし。
また、90、100、130、150、210、250、315、350、370mm/sのプロセススピードSに変更して、上記と同様の耐久試験を行った。
また、30℃、80%RHの環境下および15℃、10%RHの環境下においても、上記と同様の耐久試験を行った。
結果を表5〜7に示す。
また、耐久試験における動摩擦力偏差σの推移を図16に示す。
動摩擦力偏差σは耐久進行にともなって増加傾向が見られ、また、途中から飽和傾向が見られた。なお、増加率や飽和値はプロセス条件により異なり、ラッピングテープによる摺擦力を増加させると増加率、飽和値ともに低減傾向が見られた。
また、支持体としてガラスシリンダーにITOを蒸着した透明支持体を用い、不透明な層である中間層、電荷発生層を除いた以外は、電子写真感光体K12と同様にして電子写真感光体を作製し、23℃、50%RHの環境下、プロセススピード210mm/sで、上記と同様の構成で耐久試験を行った。なお、本耐久試験では、電子写真感光体に電荷発生層がなく、露光光による静電潜像形成ができないため、現像バイアスを調整して現像を行った。結果の概略を図17に示す。図17中、203aは減速層、203bは活動層、204は当接部、205はせき止め最終領域である。
200000枚経過後、クリーニングブレード近傍の電子写真感光体の表面を高速カメラで観測したところ、減速層203a、活動層203b、当接部204の幅は安定していた。
(実施例2)
実施例1で用いたCP680の改造機からラッピングテープを取り外し、代わりに、シリコンゴムを主成分とする導電性の弾性部材(アスカー硬度:45°)を摺擦部材として、これを駆動条件自在とし、電子写真感光体への侵入量が0.2mmになるように設置した以外は、実施例1と同様にした。
結果を表8〜10に示す。
実施例2においても、プロセススピードが100〜350mm/sであるとき、特に良好な結果が得られた。
また、シリコンゴムを主成分とする弾性部材の製造時に、弾性層に発泡体を使用するなどして、弾性部材のアスカー硬度を振って同様の評価を行った結果、弾性部材のアスカー硬度が25〜45の範囲にあるとき、特に良好な結果が得られた。
(実施例3)
実施例2で用いたCP680の改造機から摺擦部材としての導電性の弾性部材を取り外し、中間転写体の電子写真感光体への当接圧の総圧を純正の2倍(39.2N)にして当接させた以外は、実施例2と同様にした。
結果を表11〜13に示す。
実施例3においても、プロセススピードが100〜350mm/sであるとき、特に良好な結果が得られた。
また、このように、中間転写体を摺擦部材として兼用することで、電子写真装置の小型化が図れる。
(実施例4)
実施例2で用いたCP680の改造機から摺擦部材としての導電性の弾性部材を取り外し、帯電ローラーの回転中心軸が電子写真感光体の回転中心軸に対して8°の角度をもつように斜めに設置し、電子写真感光体への当接圧の総圧を純正の1.5倍(29.4N)にして当接させた以外は、実施例2と同様にした。
結果を表14〜16に示す。
実施例4においても、プロセススピードが100〜350mm/sであるとき、特に良好な結果が得られた。
また、このように、帯電ローラーを摺擦部材として兼用することで、電子写真装置の小型化が図れる。
(実施例5)
実施例2で用いたCP680の改造機から摺擦部材としての導電性の弾性部材を取り外し、代わりに、表面に現像剤を2mmコートし接地されたマグネットローラーを摺擦部材とし、これをCP680において元々ファーブラシがあった箇所に、駆動自在、電子写真感光体への当接幅が14mmになるように設置した。なお、マグネットローラーには、転写残現像剤が付着するため、過剰な現像剤を除去するために、また、コートされた現像剤のコート厚さを維持するために、マグネットローラーの電子写真感光体に対向しない位置に、樹脂製のスクレーパーおよびトナー溜り手段を設けた。マグネットローラーの電子写真感光体への侵入量は1.0mm、電子写真感光体との速度差は順方向40%とした。これら以外は、実施例2と同様にした。
結果を表17〜19に示す。
実施例5においても、プロセススピードが100〜350mm/sであるとき、特に良好な結果が得られた。
なお、マグネットローラーの電子写真感光体への侵入量および速度差を振って、初期のクリーニングラチチュードを評価したところ、侵入量が0.1〜1.5mm、電子写真感光体との速度差が順方向2%以上で良好な結果が得られた。侵入量を1.0mmとしたときの、マグネットローラーの駆動速度(プロセススピードに対する相対速度)と摺擦効果の相関を図18に示す。ここでいう摺擦効果とは、摺擦部材を用いたことによる、摺擦部材が用いない場合に対するスティックスリップσの低減レベルを意味する。摺擦部材を用いることにより、スティックスリップが50%以上低減、すなわち半分以下に抑制された非常に良好な場合から、以下、低減率が40%以上50%未満、30%以上40%未満、20%以上30%未満、20%未満の計5ランクで判定した。
相対速度100%(等速)および相対速度0%(停止)の近傍の条件では、効果がなくなる場合または電子写真感光体の長手方向での摺擦ムラが大きくなる場合があるが、それ以外は良好な摺擦効果が得られた。なお、相対速度0%とは速度差は逆方向100%であり、相対速度100%とは速度差は0%であり、相対速度200%とは速度差は順方向100%であり、相対速度300%とは速度差は順方向200%であり、相対速度400%とは速度差は順方向300%であり、相対速度500%とは速度差は順方向400%である。速度差が大きすぎると、電子写真感光体の摩耗増加が生じる場合があるが、その影響は実施例1および2よりも小さい。現像剤などの小粒子が介在することで、摺擦過多による摩耗を抑制しているものと考えられる。
(実施例6)
実施例5で用いたCP680の改造機において、現像方式を1成分接触現像方式(非磁性1成分接触現像方式)に変更し、現像剤を2成分現像剤H内の非磁性トナーH’のみに変更した。また、摺擦部材の非磁性トナー対応として、実施例5のマグネットローラーを、ウレタンを主成分とする導電性の発泡弾性部材(アスカー硬度:25°)に変更した。発泡弾性部材の表面には、非磁性トナーH’をまぶしておき、実施例5と同様にスクレーパーとトナー溜りを設けた。発泡弾性部材の電子写真感光体への侵入量は0.8mm、電子写真感光体との速度差は順方向40%とした。これら以外は、実施例5と同様にした。
結果を表20〜22に示す。
実施例6においても、プロセススピードが100〜350mm/sであるとき、特に良好な結果が得られた。
また、実施例5、6では、実施例3、4に比較して摺擦部材の損耗や電子写真感光体の摩耗に対するラチチュードが広っていた。現像剤などの小粒子が介在することで、摺擦過多による摩耗を抑制しているものと考えられる。
また、ウレタンを主成分とする導電性の発泡弾性部材の製造時に、発泡条件を変更するなどして、弾性部材のアスカー硬度を振って同様の評価を行った結果、弾性部材のアスカー硬度が25〜45°の範囲にあるとき、特に良好な結果が得られた。
(実施例7)
実施例4で用いたCP680の改造機において、現像方式を1成分接触現像方式に変更した以外は、実施例4と同様にした。
結果を表23〜25に示す。
現像方式を接触現像方式に変更した実施例7では、実施例4と比較してさらに良好な結果を得られた。接触現像方式とすることで、現像工程において、電子写真感光体の表面の摺擦がなされることにより、動摩擦力偏差σが好適な範囲に維持され、ひいてはクリーニング性が良好に維持されたものと考えられる。
(実施例8)
実施例7で用いたCP680の改造機において、2成分接触現像方式に変更し、現像剤を2成分現像剤Hに変更した以外は、実施例7と同様にした。実施例7は6%dutyの画像の評価のみであるが、それに加えて2%dutyの画像も評価した。
6%dutyの画像の評価結果を表26〜28に示す。
2%dutyの画像の評価結果を表29〜31に示す。
(比較例1)
実施例4に対して、帯電手段への印加バイアスの交流バイアス条件や摺擦条件を適宜変更することにより動摩擦力偏差σを振って、各環境および各プロセススピードで耐久試験を行った。
結果を表32〜34に示す。
動摩擦力偏差σがLn(σ)>0.0055×S+3となるとき、ビビリ・共鳴音の発生や、ブレード損耗で不具合が生じる場合があった。また、実施例1と同様に透明支持体で電子写真感光体を作製し、耐久試験を行った。不具合発生時にクリーニング部近傍を観察したところ、図19に示すとおり、減速層203a、活動層203b、当接部204の幅が長手方向で不安定であるとともに、時系列で不安定になっていた。
(比較例2)
実施例1に対して、電子写真感光体を上記電子写真感光体K11から保護層をなくしたものに変更した以外は、実施例1と同様にした。ただし、電子写真感光体の摩耗が早いため、50000枚の耐久試験とした。
結果を表35〜37に示す。
50000枚の範囲において、クリーニング性やクリーニングブレードの損耗では良好な結果を得られたものの、電子写真感光体の摩耗速度が速く、また、画像比率の偏った画像形成で耐久試験を行った場合、偏摩耗が生じる場合があった。
このように、本発明によれば、摩耗や傷などに対する機械的耐久性が高い電子写真感光体であっても、長期にわたって良好なクリーニング性を保持し、画像不良がなく、かつ、電子写真感光体やクリーニングブレードの耐久性を向上させた電子写真装置および電子写真画像形成方法を提供することができる。