以下、本発明を、画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタの構成及び動作について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ200の全体の概略構成図である。プリンタ200は、プロセスユニット100、光書込ユニット101、給紙カセット10、複数の搬送ローラ対20、記録体搬送路30、レジストローラ対31、転写搬送ユニット40、定着装置50、排紙ローラ対60などを備えている。
光書込ユニット101は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、周知の技術により、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザー光を照射する。
図2は、本実施形態に係るプリンタ200に採用されるプロセスユニット100の概構成を示す概略構成図である。同図において、トナー像を生成するプロセスユニット100は、ドラム状の感光体1、帯電装置110、現像装置120、感光体クリーニング装置130、除電器140などを有している。
帯電手段である帯電装置110は、像担持体である感光体1に対して、帯電バイアスが印加されながら回転駆動せしめられる回転帯電部材としての帯電ローラ111を所定の微小ギャップを介して対向させている。そして、この微小ギャプにて、帯電ローラ111から感光体1に向けて放電を発生させて、感光体1を一様帯電せしめる。帯電ローラ111を回転させるのは、放電直後のローラ表面を微小ギャップから退避させるとともに、放電していないローラ表面を微小ギャップに進入させることで、安定した放電を生じさせるためである。
帯電手段としては、従来より、コロナ放電を利用したコロナ帯電方式のものを採用するのが一般的であった。コロナ帯電方式は、チャージワイヤを被帯電体に近接して配設し、チャージワイヤに高電圧を印加することにより、チャージワイヤと被帯電体との間にコロナ放電を起こし、これによって被帯電体を帯電するものである。しかしながら、コロナ帯電方式の場合には、コロナ放電に伴いオゾンや窒素酸化物(NOx)などの放電生成物質が発生する。放電生成物質は、感光体方面に画像形成の際に悪影響を及ぼす硝酸又は硝酸塩の膜を形成する恐れがあるため、できればその発生を回避したいところである。そこで、近年では、コロナ帯電方式に代えて放電生成物質の発生が少なく、低電力で帯電ができる接触帯電方式又は近接帯電方式の開発が盛んに行われている。これらの方式は、ローラ、ブラシ、又はブレード等の帯電部材を感光体等の被帯電体に接触又は近接して対向させ、帯電部材に電圧を印加することによって被帯電体の表面を帯電させるものである。この方式によれば、コロナ帯電方式に比して、放電生成物質の発生が少なく低電力化を実現することができるため有用性が高い。また、大掛かりな帯電装置を必要としないため装置の小型化が可能であり、装置の小型化が望まれているニーズに合致する。
そこで、プリンタ200においては、非接触ローラ帯電方式を採用している。なお、帯電方式には、被帯電体に接触させたローラ等の帯電部材による交流印加放電によって被帯電体を帯電せしめる方法がある。この方法を適用する場合には、被帯電体表面と帯電部材との接触性を向上させ、かつ被帯電体に機械的ストレスを与えない弾性部材を用いることが好ましい。ただし、弾性部材を用いると、帯電ニップ幅が広くなり、これに起因して帯電ローラ側に保護物質が付着し易くなることがある。よって、被帯電体の高耐久化には非接触により帯電させる方が有利である。そこで、プリンタ200では、非接触型の帯電方式によって感光体1を一様帯電させるようになっている。
図3は、帯電装置110を感光体1とともに示す拡大構成図である。帯電装置110は、帯電部材としての帯電ローラ111、スペーサ112、スプリング115、電源116とを有している。帯電ローラ111には、軸部111aと帯電部としてのローラ部111bとがある。このうちローラ部111bは、感光体1に対向して感光体表面を帯電する機能を担っており、軸部111aの回転によって回動可能なように構成されている。ローラ部111bが感光体表面に対して微小な間隙で対向配置するよう帯電ローラに間隙保持部材であるスペーサ112が設けられている。このスペーサ112により、感光体1表面のうち、画像が形成される画像形成領域101aに対向する部分は、感光体1と非接触となるよう配設されている。ローラ部111bの長手方向の寸法は、感光体1の画像形成領域よりも長く設定されており、感光体1の非画像形成領域101bにスペーサ112を当接せしめることにより、微小なギャップGを形成している。このスペーサ112を介して帯電ローラ111は、感光体1表面に連れまわって回転するようになっている。微小ギャップGは、ローラ部111bと感光体1との最近接部が1〜100[μm]となるように構成されている。この最近接距離は、30〜65[μm]であることがさらに好ましい。プリンタ200では、50[μm]となるように配設した。
軸部111aには、帯電ローラ111を被帯電体へ向けて押圧するためのスプリング115が取り付けられている。これにより微小ギャップGを精度良く維持することが可能となる。軸部111aには、電源116が接続されており、感光体1表面とローラ部111b表面との間の微小な空隙において、交流印加放電によって感光体1表面を均一に帯電せしめる。プリンタ200では、直流成分であるDC電圧に交流成分であるAC電圧が重畳された交番電圧が軸部111aに印加されるようになっている。交番電圧を用いることにより、微小なギャップ変動に起因する帯電電位のバラツキなどの影響が抑制され、均一な帯電が可能となる。
ローラ部111bは、円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、この芯金の外周面上に形成された抵抗調整層とから構成され、直径が10[mm]になっている。
ローラ部111bの表面は、例えばゴム部材などの既知の材料を用いることができるが、樹脂材料で構成することがより好ましい。ゴム部材を用いると、ゴムの吸水やたわみの発生により、感光体1との微小な間隙を維持することが困難となるからである。作像条件によってはローラ部111bの中央部のみが感光体表面に突発的に接触する可能性がある。このような局所的、突発的なローラ部111bの感光体1への接触による感光体表面層の乱れに対応することは困難である。従って、非接触帯電方式により感光体1を帯電する場合には、ローラ部111bと感光体1との微小間隙を均一に維持することができる硬質の材料を用いることがより好ましい。
ローラ部111b表面に用いる硬質な材料としては、例えば、次のようなものを用いることができる。即ち、抵抗調整層として、高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びその共重合体等)により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化皮膜処理されたものなどである。硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行うことができる。あるいは、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成してもよい。
先に示した図1において、帯電処理が施された感光体1の表面には、光書込ユニット101によって変調及び偏向されたレーザー光Lが照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像手段としての現像装置120によって現像されてトナー像となる。
像担持体としての感光体1は、例えばアルミニウム等からなる素管に、感光性を発揮する有機感光材からなる感光層が被覆され、更にこの上に電荷輸送層が被覆されたドラム状のものである。ドラム状のものに代えて、ベルト状のものを採用してもよい。
現像装置120は、現像ケーシング121内に現像部122と現像剤供給部119と現像剤攪拌部123とを有している。現像部122には、現像ケーシング121の開口から周面の一部を露出させる現像剤担持体としての現像スリーブ124や、ドクターブレード125などが設けられている。
筒状の現像スリーブ124は、非磁性材料からなり、その表面がサンドブラスト処理等によって粗面化せしめられたものである。この粗面化により、現像剤搬送能力が高められている。粗面化の代わりに、表面に微小の溝を設けてもよい。現像スリーブ124は、図示しない駆動手段によって回転せしめられるようになっている。このように回転駆動せしめられる現像スリーブ124の内部には、マグネットローラ126がスリーブに連れ回らないように固定されている。このマグネットローラ126は、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。これら磁極の影響により、現像スリーブ124の周囲上には磁界が形成される。
現像装置120の現像剤供給部119と現像剤攪拌部123とには、磁性キャリアと、マイナス帯電性のトナーとを含む図示しない現像剤が収容されている。現像剤供給部119には、供給搬送スクリュ118やトナー濃度センサであるTセンサ128などが設けられている。また、現像剤攪拌部123には、攪拌搬送スクリュ127や不図示のトナー補給部などが設けられている。現像剤は、供給搬送スクリュ118によって図中奥行き方向に撹拌搬送されて摩擦帯電せしめられる。この攪拌搬送の際、現像スリーブ124の表面に接触する。すると、現像スリーブ124表面から現像剤供給部119内に向けて伸びている磁界の影響によって現像スリーブ124の表面に担持され、現像スリーブ124表面の回転に伴って現像剤供給部119内から汲み上げられる。そして、スリーブ表面の回転に伴ってドクターブレード125との対向位置まで搬送される。この対向位置において、現像剤は、現像スリーブ124とドクターブレード125との間隙であるドクターギャップをすり抜ける際に層厚が規制されるとともに、トナーの摩擦帯電が助長される。
ドクターギャップを通過した現像剤は、現像スリーブ124表面の回転に伴って、感光体1に対向する現像領域に至る。この現像領域では、感光体1と現像スリーブ124とが所定の現像ギャップを介して対向している。また、現像領域におけるスリーブ表面上では、マグネットローラ126の図示しない現像磁極からの磁力によって現像剤中の磁性キャリアが穂立ちして磁気ブラシを形成する。形成された磁気ブラシは、その先端を感光体1に摺擦させながら移動して、感光体1上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体1上にトナー像が形成される。
現像によってトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ124の回転に伴って現像装置120内に戻る。そして、器内に形成されている反発磁界や重力の影響を受けてスリーブ表面から離脱して、現像部122より低い位置に配設された現像剤供給部119内に戻される。
供給搬送スクリュ118を備えた現像剤供給部119と攪拌搬送スクリュ127を備えた現像剤攪拌部123との間には仕切壁129が設けられている。この仕切壁129によって現像剤供給部119と現像剤攪拌部123とに仕切られている。現像剤供給部119内では、供給搬送スクリュ118が図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像スリーブ124に供給する。図中奥端まで搬送された現像剤は、仕切壁129に設けられた図示しない開口部を通って攪拌搬送スクリュ127を備えた現像剤攪拌部123に受け渡される。そして、攪拌搬送スクリュ127の回転駆動により、今度は図中奥側から手前側へと搬送された後、仕切壁129に設けられた図示しないもう一方の開口部を通って供給搬送スクリュ118を備えた現像剤供給部119側に戻る。このようにして、現像剤は現像装置120内を循環搬送せしめられる。
Tセンサ128は透磁率センサからなり、供給搬送スクリュ118に設けられ、その上を搬送される現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ128はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。制御部は、RAM等を備えており、この中にTセンサ128からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納している。このVtrefは、図示しないトナー供給装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上述の制御部は、Tセンサ128からの出力電圧の値をVtrefに近づけるように、図示しないトナー供給装置を駆動制御して不図示のトナー補給部から現像装置120の現像剤攪拌部123内にトナーを補給させる。この補給により、現像装置120内の現像剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
感光体1上に形成されたトナー像は、後述の搬送ベルト41の表面に保持されながら搬送される転写紙P上に転写される。転写工程を経た感光体1の表面は、感光体クリーニング装置130によって転写残トナーがクリーニングされる。感光体クリーニング装置130は、感光体除去ケーシング131、支持部材としてのホルダー132、弾性体クリーニングブレードとしてのクリーニングブレード2、回収スクリュ134などを有している。ホルダー132は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなり、その一端部が感光体除去ケーシング131に片持ち支持されている一方で、自由端側でクリーニングブレード2を支持している。
ホルダー132の自由端側に固定されたクリーニングブレード2は、軟性材料としてのポリウレタンゴムからなり、そのエッジを感光体1の表面に当接させながら、感光体1上の転写残トナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーは、回収スクリュ134上に落下する。図示しない駆動手段によって回転駆動される回収スクリュ134は、図示しない電源から正極性のクリーニングバイアスの印加を受ける。回収スクリュ134上に落下した転写残トナーは、回収スクリュ134に静電吸着しながら、回収スクリュ134の回転に伴って図示しない廃トナー容器に向けて搬送される。感光体クリーニング装置130によってクリーニングされた感光体1は、除電器140によって除電される。そして、帯電装置110によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。
先に示した図1において、プリンタ200本体の下部では、転写紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容する給紙カセット10が、プリンタ200本体に対して着脱可能に支持されている。給紙カセット10は、内部に収容している紙束の一番上の転写紙Pに当接させている給紙ローラ11を回転させることで、その転写紙Pを記録体搬送路30に向けて送り出す。この記録体搬送路30は、搬送路中に所定の間隔で配設された複数の搬送ローラ対20と、搬送路の末端付近に配設されたレジストローラ対31とを有している。そして、給紙カセット10から受け取った転写紙Pを、複数の搬送ローラ対20によってレジストローラ対31に向けて搬送する。レジストローラ対31は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを後述する転写ニップにてトナー像に密着させ得るタイミングで、転写ニップに向けて送り出す。これにより、転写ニップでは転写紙Pが搬送ベルト41の表面に保持されながら感光体1上のトナー像に密着する。
転写搬送ユニット40は、搬送ベルト41、搬送ベルト駆動ローラ42、記録体転写バイアスローラ43、搬送ベルトクリーニング装置44などを有している。搬送ベルト41は、ベルトループ内側から図示しないベース層、弾性層、表面層を有している。ベース層は、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や、伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料を含有せしめた層である。かかるベース層としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料をシームレス状に成型したものを使用することができる。これらの材料についてはそのまま用いたり、カーボンブラック等の導電材によって導電性を調整したりすることが可能である。表面層は、フッ素系樹脂など、表面エネルギーが低くてトナーと良好な離型性を発揮する材料からなる層で、ベース層に対してスプレーやディッピング等の方法によって積層されたものである。弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどの弾性材料からなる層で、ベルト全体にある程度の弾性を発揮させるために設けられている。
搬送ベルト41は、搬送ベルト駆動ローラ42と記録体転写バイアスローラ43とに掛け回されてテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される搬送ベルト駆動ローラ42の回転によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。記録体転写バイアスローラ43は、搬送ベルト41のベース層側(内周面側)に接触するように配設され、図示しない電源から転写バイアスの印加を受ける。また、搬送ベルト41をそのベース層側から感光体1に向けて押圧して、反時計回りに無端移動する搬送ベルト41と、図中時計回りに回転する感光体1とが当接する転写ニップを形成する。転写ニップでは、転写バイアスの影響によって感光体1と記録体転写バイアスローラ43との間に転写電界が形成される。
搬送ベルト41は、レジストローラ対31から転写紙Pが送り込まれてくる転写紙Pを、その上部張架面に保持する。そして、転写紙Pをその無端移動に伴って転写ニップ内に進入させる。転写ニップで感光体1に密着せしめられた転写紙Pには、上述の転写電界やニップ圧の影響によって感光体1上のトナー像が転写される。
このようにしてトナー像が転写された転写紙Pは、搬送ベルト41の無端移動に伴って転写ニップを出た後、定着装置50に受け渡される。転写紙Pを受け渡した後の搬送ベルト41の表面には、僅かながらトナーが付着している。このトナーは、搬送ベルト駆動ローラ42との間には搬送ベルト41を挟み込む搬送ベルトクリーニング装置44によってクリーニングされる。なお、同図では、搬送ベルトクリーニング装置44として、回転するファーブラシ44aによってトナーをベルトから掻き落とす方式のものを示したが、クリーニングブレードによって掻き落とす方式のものでもよい。
定着装置50は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ51と、これに押圧せしめられる押圧ローラ52とを互いに順方向に回転させて定着ニップを形成している。そして、搬送ベルト41から受け取った転写紙Pをこの定着ニップに挟み込んで、加熱しながら加圧する。この加熱や加圧の影響により、トナーが軟化して転写紙Pにトナー像が定着せしめられる。定着装置50を通過した転写紙Pは、排紙ローラ対60を経て機外へと排出か、あるいは、定着装置50の下方に配設された不図示の紙反転ユニットに送られる。
上述のように、このプリンタ200では、感光体1に非接触の帯電ローラ111による交流印加放電によって感光体1を帯電させている。このような帯電方式を用いると、感光体1が近接放電によって酸化し、化学的劣化が進みやすいという不具合がある。
そこで、このプリンタ200では、感光体1表面が直接放電にさらされないように、ステアリン酸亜鉛などを保護剤としてを感光体1表面に供給する保護剤供給手段150を設けている。図4は、本実施形態のプリンタの主要部の概略構成図である。保護剤供給手段150は、感光体1に接触するよう配置された供給部材としての回転可能なファーブラシ151と、固形のバー状に成型された固形保護剤152と、固形保護剤152をファーブラシ151に押圧する加圧バネ153とを備えている。ファーブラシ151は回転しながら押圧された固形保護剤152を掻き取りながら感光体1上へ塗布することにより、保護剤を感光体1表面へ供給する。また、図4のようにクリーニングブレード2よりも下流で帯電ローラ111よりも上流で保護剤を供給することで、帯電ローラ111の放電領域に達する前に保護剤が感光体1上から部分的に除去されることなく、帯電ローラ111の放電領域を通過する際に均一な保護層を形成された状態となる。よって、近接放電に起因する感光体1表面の劣化を効果的に防止することができる。
次に、保護剤供給手段150に用いられるファーブラシ151および固形保護剤152について説明する。
ファーブラシ151は、芯材にアクリルカーボン製の起毛が無数に植毛されたローラ状ブラシである。図示しない無数の起毛の先端を感光体1に順次摺擦させるように、感光体1との対向部でカウンター方向の表面移動となる図中時計回りに回転駆動される。この回転駆動により、固形保護剤152から掻き取った保護剤粉末を、感光体1の表面に塗布する。
ファーブラシ151を設けずに、固形保護剤152をを感光体1に直接摺擦させると、固形保護剤152の偏摩耗を引き起こしたり、感光体1の表面に保護剤粉末の塗布量不均一化を引き起こしたりする。そこで、ファーブラシ151により、固形保護剤152から保護剤粉末を掻き取り、それを感光体1の表面に塗布するようにしているので、上述した偏摩耗や塗布量不均一化を抑えることができる。
また、ファーブラシ151を用いる場合、その回転数を調整することで、感光体1の表面への保護剤粉末塗布量を容易に調整することが可能になる。
固形保護剤152としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸を固形化したものを用いることができる。また、ステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶紛体を使用すると好適である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が効果があると考えられる。その他にも、各種の脂肪酸塩、ワックス、シリコンオイル等他の物質を保護剤として用いることも可能である。
脂肪酸としてはウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
また、図4に示すように、保護剤供給手段150の下流で帯電ローラ111の上流に、保護剤供給手段150で塗布された保護剤を引伸ばし、より均一な保護層を形成するための引伸ばし部材を設けてもよい。引伸ばし部材としては、クリーニングブレードなどに使用されるブレード状の引伸ばしブレード170を用いる。また、感光体1に対して、引伸ばしブレード170をトレーリング方向に配置することで、カウンター方向に配置する場合に比べて、感光体1への負荷を小さくできる。
次に、本実施形態のプリンタ200に採用される感光体クリーニング装置130について、従来の感光体クリーニング装置と比較しながら説明する。まず、従来のプリンタにおけるクリーニング装置について説明する。図5は、従来の感光体クリーニング装置130におけるホルダー132及びクリーニングブレード2を示す概略図である。同図において、梁部材としてのホルダー132は、図示しない領域で一端側がケーシングに固定されて片持ち支持されている。このホルダー132の自由端側には、クリーニングブレード2がホルダー132の先端から突出するように固定されている。そして、突出している先端のエッジEを、図示しない感光体1に当接させて、感光体1表面の転写残トナーを掻き落とす。クリーニングブレード2は、感光体1との密着性を高めるという目的から、軟性部材としてのポリウレタンゴムから構成されている。よって、先端のエッジEを感光体1に当接させながら押圧されることで、ホルダー132から突出している先端側が図示のように僅かに撓む。従来の粉砕法によるトナーをクリーニングする場合には、比較的弱い押圧力で押圧されるだけで十分であったので、同図に示すような僅かな撓みで済んでいた。
近年、より高解像度の画像の形成を可能にするという目的から、粉砕法によるトナーに代えて、小粒径且つ球形度に優れた重合法によるトナーを用いて画像を形成するプリンタの開発が進められている。重合法によるトナーを用いることで、ドット形状の乱れの少ない高品質画像を形成することができる。しかしながら、トナーが小粒径化し、また球形化すると、クリーニングブレード2を用いた転写残トナーの完全除去が困難となり、クリーニング不良が発生する。これは、感光体1に対するクリーニングブレード2の押し当て位置で、トナーに回転モーメントが発生し、クリーニングブレード2を押し上げてトナーがクリーニングブレード2と感光体1間にもぐり込みやすくなるからである。このため、小粒径化や球形化が進んだトナーを用いる場合には、感光体1に対するクリーニングブレード2の押当て力を強め、トナーのもぐり込みを阻止する必要がある。そして、重合法によるトナーを良好にクリーニングし得る程度の強い押圧力でクリーニングブレード2を感光体1に向けて押圧すると、その先端側を大きく撓ませることになる。
図6は、重合法によるトナーを良好にクリーニングし得る程度の強い押圧力で感光体1に向けて押圧した従来のクリーニングブレード2の先端部を示す拡大図である。感光体1の表面は、同図における右側から左側に向けて移動する。同図のクリーニングブレード2において、符号Eで囲った箇所は、感光体1に当接しているエッジを示している。図示のように、感光体1に当接しているエッジEは、感光体表面移動方向に沿って捲れるようにして、クリーニングブレード2における感光体1との対向面の下に潜り込む。この捲れは、数μm程度の大きさで形成され、粉砕法によるトナーをクリーニングする際の弱い押圧力のときでも出現する。但し、従来は感光体1に当接するブレード箇所が、数μmの大きさで僅かに捲れるエッジEだけであった。しかし、強い押圧力で感光体1に向けて押圧したクリーニングブレード2では、大きく撓むことにより、エッジEだけでなく、図中Bsで囲って示すように、感光体1との対向面をも感光体1に当接させるいわゆる腹当りの状態になる。このように腹当りになった状態では、クリーニングブレード2と感光体1との摩擦力が過剰に高まって、感光体1を回転させるトルクが大きくなり、感光体1を良好に回転駆動させるのが困難になる。
図7は、図6に示した状態のクリーニングブレード2の先端部における圧力分布図である。同図においては、圧力分布線が図中下側に位置するほど、クリーニングブレードに強い圧力がかかっていることを示す。重合法によるトナーを良好にクリーングするには、クリーニングブレード2のエッジEと感光体1との当接部において図中最も長い矢印で示した強さの当接圧力を得ればよい。ところが、従来のクリーニングブレード2では、クリーニングブレード2のエッジEと感光体1との当接部でかかる当接圧力を得ようとすると、同図に示すように、腹当りの部分にも当接圧力が発生しまう。これにより、クリーニングブレード2の感光体1に対する荷重が大きくなり、感光体1の回転トルクを上昇させ、感光体1の良好な回転駆動を妨げる大きな原因になっていることがわかった。
従来、クリーニングブレード2と感光体1との当接部へのトナーのもぐり込みを阻止する力を表す特性値としては、クリーニングブレード2に付与する総荷重をクリーニングブレード2の稜線の長さで割った値である線圧([N/cm])を用いることが一般的であった。この線圧は、具体的には、次のようにして求めた値である。即ち、感光体1とクリーニングブレード2との当接部に厚さ0.1[mm]のシート状センサを挟み込み、そのセンサの出力値(その当接部に働く荷重[g])を感光体軸方向における当接部の長さ([cm])で割った値である。線圧の測定時には、ブレードエッジを捲れさせないようにクリーニングブレード2を感光体1に当接させる。なお、シート状センサは、その内部に互いに直交する2つの方向(行方向、列方向)にそれぞれ配列された多数の電極を有し、その表面がフィルム樹脂で覆われたものである。これらの電極は、感圧抵抗性物質と電荷発生物質とが格子状に設置されたものであり、その格子状の交点に外圧が加わるとその荷重に応じて抵抗値が変化する。この抵抗値の変化は、行方向及び列方向へ流れる電流値の変化となって表れるため、その電流値から総荷重が求まる。
しかしながら、この線圧という特性値では、トナーの当接部へのもぐり込みを阻止する能力を十分に評価できないことがわかった。線圧は、ブレードと感光体との当接部に働く荷重を、その当接部の感光体軸方向長さで割った値であるが、実際には、クリーニングブレード2と感光体1はニップ部を形成して、線ではなく、面で当接しているからである。同一荷重をクリーニングブレード2に付与した場合にも、ゴムブレードの硬度や厚さ、自由長、形状などによって、クリーニングブレード2と感光体1の(ニップ幅)接触面積が変化するため、線圧から求まる単位面積当りの荷重と、実際の当接圧力とが異なる値となる。
例えば、ブレード硬度などのブレード材料特性は同一で、形状が互いに異なる2種類のクリーニングブレードに同一荷重(線圧)を付加した場合であっても、当接圧力と線圧とは異なってくる。
図8は、図5で示したクリーニングブレード2よりもある荷重に対して撓みにくい形状のクリーニングブレード2と、ホルダー132とを示す拡大構成図である。同図において、板状弾性体としてのクリーニングブレード2は、後端側から先端側に向けての領域に部分的に肉厚になる肉厚部2aを有している。クリーニングブレード2は、この肉厚部2aの後端側の側面をホルダー132の先端に密着させる状態でホルダー132の裏面に固定されている。そして、肉厚部2aをホルダー132の先端よりも突出させる状態になっている。
図8で示す形状のクリーニングブレード2では、ホルダー132の先端から突出している箇所が肉厚部2aになっているので、先端側が後端側と同じ厚みになっているブレードに比べて、突出箇所が撓みに難くなる。加えて、先端側が撓もうとすると、肉厚部2aの後端側の側面がホルダー132の先端に強く押し付けられる。このことによっても、先端側が撓みに難くなる。
図9は、感光体1との単位面積あたりにおける当接圧力が重合法によるトナーを良好にクリーニングし得る程度に強くなるように、エッジEを強く感光体1に当接させた図8のクリーニングブレード2の先端部を示す拡大図である。同図に示すように、肉厚部2aを備えたクリーニングブレード2では、肉厚部2aによって先端側の撓みが大きく抑えられることから、図9に示すように、腹当りを起こすことなく、エッジEだけを感光体1に当接させる。参考までに、その圧力分布を図10に示す。感光体1に当接しているエッジに対して集中的に強い圧力がかかっていることがわかる。
図8で示したクリーニングブレード2では、腹当りによる荷重の分散がないので、圧力がクリーニングブレード2先端部分に集中し、大きな圧力ベクトルとなっている。このことから、同一荷重を付加した場合でも、ブレード形状が異なることによって、クリーニングブレード2と感光体1の当接状態(接触面積)が変化し、面圧分布が大きく異なり、クリーニング性も異なってくることがわかる。よって、従来用いられてきた線圧[N/cm]という特性値では、ブレードクリーニングにおけるクリーニング性を正確に表すことができない。線圧[N/cm]を大きくするだけでは必ずしも球形トナーをクリーニングすることが出来ず、むしろ感光体駆動トルクの増加や、破損等が発生してしまうおそれがある。そこで、本発明者らは、新たな特性値として、単位面積あたりの圧力である当接圧力を用いて、クリーニング性を評価することにした。面圧は、クリーニングブレード2を感光体1に押しつける際に付加する総荷重を、クリーニングブレード2と感光体1の接触面積で割った値である。クリーニングブレード2と感光体1との接触面積は、クリーニングブレード2を透明な擬似感光体に押し当てた時の接触面積を測定することで容易に求めることが出来る。
[実験1] 球形トナーをクリーニングする場合に必要な面圧について、図8で示した形状のクリーニングブレード2のエッジEを、様々な当接圧力で感光体1に当接させて、クリーニング性能を調べる実験を行った。実験条件は次に列記する通りである。
・感光体直径:30[mm]
・感光体線速:185[mm/sec]
・感光体の主走査方向における画像形成領域A4の長さ=300[mm]
・感光体の主走査方向における非画像形成領域を含む長さ=340[mm]
・ブレードのホルダー固定箇所の厚みtb:1.7[mm]
・ブレードの肉厚部2aの厚みta:3.5[mm]
・肉厚部2aの長さLd:3.8[mm]
・ブレード先端部の肉薄部分の長さLe:1.2[mm]
・同肉薄部分とテーパー部との合計長さLc:7[mm]
・ブレード全長Lf:11[mm]
・ホルダーの厚さ:1.8[mm]
クリーニング性については、次のようにして測定した。即ち、基準画像をプリントアウトしている最中の実機を一旦停止して、クリーニング後の感光体表面に対して粘着テープを貼付・剥離してクリーニング残トナーを粘着テープに転移させる。そして、この粘着テープの画像濃度(ID)を周知の技術によって測定して残トナーIDとした。この残トナーIDの値が高くなるほど、クリーニング後の感光体表面に多くのクリーニング残トナーが付着している、即ち、クリーニング性が悪くなることを示す。
また、クリーニングブレード2のエッジと感光体1との単位面積あたりの当接圧力については、次のようにして測定した。まず、感光体1と同じ曲率の透明ガラス管を用意して、これを実機にセットする。そして、これにクリーニンググレード2を当接させて、その単位長さ(ドラム軸線方向)あたりにおける加重Fを、I−SCAN加重測定器(ニッタ株式会社製)によって測定する。次に、クリーニングブレード2の裏側を、透明ガラス管を通して撮影する。そして、撮影像に基づいて、クリーニングブレード2と透明ガラス管との当接幅(表面移動方向の長さ)Wを求める。そして、加重Fと当接幅Wとに基づいて、単位面積あたりの当接圧力を求めた。最後に、透明ガラス管を感光体1に交換して、透明ガラス管のときと同じ加重Fが得られるように感光体1にクリーニングブレード2を当接させて、基準画像を出力した。なお、当然ながら、重合法によるトナーを用いて基準画像を出力した。
実験1の結果を次の表1に示す。なお、表1におけるクリーニング性の判定は、残トナーIDに基づいて次の5ランクに分けて行った。
◎(ランク5):完全にクリーニングされた
○(ランク4):わずかにトナーが残留した
△(ランク3):部分的に筋状のクリーニング不良が発生した場合、あるいは全面に若干のトナーが残留している
×(ランク2):全面に筋状あるいは多量のトナーが残留している
表1に示すように、本実験1では、線圧を0.40〜1.20[N/cm]、接触幅(表面移動方向の接触長さ)を5〜90[μm]の間で、それぞれ変動させた。線圧1.20[N/cm]をブレードにかけた場合には、2.0〜12[MPa]の当接圧力の範囲で、良好なクリーニング性(◎or○)が得られた。面圧が24[MPa]と高すぎると、クリーニング不良が発生している。これは、次に説明する理由による。即ち、接触幅が5[μm]と狭いため、感光体精度誤差などから、主走査方向に当接ムラが発生し、部分的に十分な当接圧力が発揮されていない箇所が生じていると考えられる。
0.95[N/cm]の線圧をブレードにかけた場合には、3.17〜9.5[MPa]の当接圧力で良好なクリーニング性が得られている。但し、当接圧力が19[MPa]まで高まると、接触幅が5[μm]と狭くなるために、やはり当接ムラによってクリーニング不良が発生している。また、当接圧力が1.9[MPa]以下であると、圧力不足によるクリーニング不良が発生している。
0.40[N/cm]の線圧をブレードにかけた場合には、2.0〜4.0[MPa]の面圧で良好なクリーニング性が得られている。但し、面圧が8.0[MPa]まで高まると、当接ムラによるクリーニング不良が発生した。また、1.33[MPa]以下の当接において、圧力不足によるクリーニング不良が発生した。
表1の結果から、面圧を2.0[MPa]以上に設定することにより、球形トナーを良好にクリーニングし得ることがわかった。但し、接触幅が10[μm]程度である場合や、面圧が2.0[MPa]ギリギリである場合には、わずかにトナーが残留し(○)、完全なクリーニングとはならなかった。これは、接触面積を小さくするほど、高い面圧を付加することができるが、クリーニングブレード2と感光体1の接触幅を狭くし過ぎると、感光体との接触ムラや、感光体表面の傷、突起物等が原因となってクリーニング不良が発生し易くなるからである。そこで、球形トナーをクリーニングするためには、面圧を2.0[MPa]以上、好ましくは3.0[MPa]以上とし、接触幅を10[μm]以上に設定している。
感光体1の膜削れ、感光体駆動トルクの増加、ブレード磨耗等を抑えるためには、接触幅を10〜40[μm]に設定することが望ましい。さらに、30[μm]以下であることが好ましい。接触幅をこれよりも大きくした場合(例えば100μm)、面圧が2.0[MPa]以上、さらには3.0[MPa]以上であれば、重合法による球形トナーのもぐり込みを阻止し、良好にクリーニングすることができるが可能である。しかし、例えば100μmの当接幅で面圧を2.0[MPa]にするためには2.0[N/cm]の線圧を付加しなければならず、非常に大きな線圧が必要となってしまう。そして、このような高い線圧と接触幅の大きさとの相乗作用により、当接部における摩擦力を過剰に高めてしまう。出来る限り小さな当接圧力でトナーを良好にクリーニングすることが重要である。重合法による球形トナーの上記当接部へのもぐり込みを阻止するためには、感光体1の組付精度や、トナー粒径を考慮すると、感光体1とブレードとの接触幅を10[μm]以上にすることが好ましい。そして、その上限値を40μm以下、好ましくは30μm以下にすることが必要である。このような当接幅に設定することによって、0.20〜1.20[N/cm]の線圧で、かかる接触幅と2.0[MPa]以上の当接圧力とを実現することができる。
次に、本実施形態のプリンタ200で採用したクリーニングブレード2の構成について説明する。クリーニングブレード2としては、従来から用いられてきたブレード先端カット面が90°のクリーニングブレードを用いることも可能であるが、ブレード先端を鈍角形状にしたクリーニングブレードを採用することにより、球形トナーにも対応可能で良好なクリーニング性能を維持することができる。図12は、プリンタ200の感光体クリーニング装置130が備える先端稜線部が鈍角であるブレード形状の説明図である。図12に示すように、支持部材であるホルダー132の片面に弾性ブレードであるクリーニングブレード2の基端を貼り付けたものである。このクリーニングブレード2の先端稜線部21を像担持体である感光体1の周面に押し当ててなる。
図12に示すように、ホルダー132とクリーニングブレード2との段差部から先端稜線部21までの長さをブレード自由長t2とし、クリーニングブレード2の厚さをブレード厚t1する。このとき、クリーニングブレード2は、ブレード自由長t2とブレード厚t1との間に、以下の関係が成り立つ形状である。
1.75≦t2/t1≦3.00
本発明者らが鋭意研究を行った結果、上述の関係式を満たすことにより、支持板であるホルダー132と弾性部材であるクリーニングブレード2との接合部での座屈を防止することができることが分かった。図11は、従来のクリーニングブレードの先端稜線部が直角であるブレード形状の説明図である。このクリーニングブレード2の形状は、例えばブレード自由長t2=7mm、ブレード厚さt1=2mmで、t2/t1=3.5のものがあった。このような形状であると、ホルダー132との接合部でクリーニングブレード2が座屈してしまい、腹当りすることにより、球形トナーをクリーニングする為に必要な面圧を付与することができなかった。一方、ブレード自由長t2とブレード厚t1とが上述の関係式を満たすようにクリーニングブレード2の形状を設定することによって、クリーニングブレード2とホルダー132との接合部での座屈を抑制することが出来る。
また、クリーニングブレード2は、例えば、JISA硬度が60[°]以上80[°]以下のゴムを使用している。硬度を60[°]未満とした場合には、ブレード厚t1とt2が上記関係を満たした場合にも、支持板と弾性体の接合部において、座屈が発生し、十分な面圧を付与できない場合はある。逆に、ゴム硬度が高すぎる場合には、感光体との密着性が悪くなり、部分的に十分な面圧が付加されない場所が発生し、クリーニング不良となる場合がある。さらに、反発弾性を23℃で30%以下のものを用いる。
クリーニングブレード2の先端稜線部21を形成する角度θは、鈍角とする。また、鈍角は、95[°]から140[°]の範囲が好ましい。クリーニングブレード2のトナーを除去する性能と、面圧とについては上で述べたとおりであり、クリーニングブレード2の先端角度を鈍角形状とすると、先端稜線部21が直角、つまりθ=90[°]のクリーニングブレード2に比べて、より低線圧で高面圧を付加することができる。以下、クリーニングブレード2の先端稜線部21を形成する角度θについて、従来のクリーニングブレードと比較しながら詳細に説明する。
従来のクリーニングブレードの先端稜線部は、クリーニングブレード2の長手方向全幅において、クリーニングブレード2の先端面であるカット面とクリーニングブレード2の下面であるエア面とが成す角が90[°]である。これは、ブレード先端面はブレード下面及びブレード上面に対して直角である方がブレードを作成する上で加工しやすいためである。図13に先端稜線部が直角であるクリーニングブレードの概略図を示す。図13(a)はクリーニングブレード2の全体図で、図13(b)はクリーニングブレード2が像担持体である感光体1に当接する先端稜線部21の近傍である図13(a)中の領域Cの拡大図である。
先端稜線部21が直角で図中矢印D方向に表面移動する感光体1に当接すると、感光体1との摩擦力により矢印D方向に引っ張られ、図13(b)に示すように先端稜線部21でのめくれが大きくなってしまう。めくれが大きくなるとクリーニングブレード2と感光体1表面との矢印D方向の当接長さが長くなり、クリーニングブレード2と感光体1表面とが当接する面積が広くなる。クリーニングブレード2から感光体1に対して所定の荷重がかかるように設定しても、クリーニングブレード2と感光体1表面とが当接する面積が広いと、面圧が低下する。面圧が低いと当接部でのトナーのすり抜けを十分に防止することができず、クリーニング不良の原因となる。ここで面圧を高めるためにクリーニングブレード2の感光体1に対する荷重を増加させると、感光体1が表面移動するトルクが大きくなり、駆動系への負担が大きくなるという問題が生じる。
そこで、クリーニングブレード2の先端稜線部の角度を鈍角にすることにより改善する。図14に先端稜線部が鈍角であるクリーニングブレードの概略図を示す。図14(a)はクリーニングブレード2の全体図で、図14(b)は図14(a)中の領域Cの拡大図である。先端稜線部21が鈍角であると感光体1との摩擦力により矢印D方向に引っ張られても、直角である場合に比べて変形しにくく、図14(b)に示すように先端稜線部21でのめくれは小さくなる。めくれが小さくなるとクリーニングブレード2と感光体1表面との矢印D方向の当接長さが短くなり、クリーニングブレード2と感光体1表面とが当接する面積も狭くなる。クリーニングブレード2と感光体1表面とが当接する面積が狭いと、クリーニングブレード2から感光体1に対して先端稜線部21が直角の場合と同じ荷重がかかっていても、先端稜線部21が直角である場合に比べて面圧が高くなる。ブレード先端の形状により面圧を高くすることにより、感光体1に加える荷重に対して、効率よく当接部でのトナーのすり抜けを防止することができ、クリーニング不良の発生を防止することができる。
また、クリーニングブレード2の先端角度を鈍角とする場合、95[°]から140[°]の範囲が好ましい。先端角度が90[°]にあまり近い値であると、鈍角による接触面積の低減が発揮されない。また、クリーニングブレード2は初期当接角度が15[°]〜30[°]の間で設置して装置に組み込まれる。そのため、先端角度を140[°]、初期当接角を30[°]とした場合には、ブレードの先端面と感光体1表面とが形成する角度は10[°]となる。この角度が小さな値となると、ブレード端部と感光体1との間の楔形の空隙にトナーが堆積し、実質的にクリーニングブレード2と感光体1との接触面積が増えた状態となる。これにより、面圧が低下してしまい、その結果、クリーニング不良となることがある。
プリンタ200では、クリーニングブレード2に用いる弾性部材として、温度23[℃]における反発弾性率(反発弾性係数JIS−K−6255)が30%以下であるものを用いている。かかるクリーニングブレード2を用いる理由は2つある。1つ目の理由は、球形トナーを良好にクリーニングするためには、クリーニングブレード先端の振動が少ない方が良いからである。2つ目の理由は、クリーニングブレード2の磨耗に対して、反発弾性率が低い方が良いからである。よって、プリンタ200では、クリーニングブレード2の摩耗を抑えつつ、ブレード先端の振動によるクリーニング性の悪化を抑えることができる。
従来、粉砕トナーをクリーニングする際には、クリーニングブレード2によって、ブレード先端に接触したトナーを跳ね飛ばすという作用があったため、反発弾性率が低い場合には、跳ね飛ばし効果が十分に働かないという問題があった。しかしながら、球形トナーの場合には、トナーを跳ね返す前に、クリーニングブレード2をすり抜けてしまうため、跳ね飛ばし効果は作用しない。むしろ、反発弾性が高く、ブレード先端が感光体に対して微小振動し易い場合には、かえって球形トナーのすりぬけを助長してしまうことが分かっている。
一方、反発弾性が低い方が、クリーニングブレード2の磨耗に対して、有利であることが分かっている。すなわち、繰り返しの作像過程において、クリーニングブレード2は、感光体1との摺擦によって、徐徐に磨耗していく。我々は、クリーニングブレード2の磨耗の発生メカニズムは、クリーニングブレード2自身のスティックスリップ運動の結果、ブレードを構成する高分子(例えばポリウレタンゴム)が引裂かれ、疲労破壊する結果、磨耗が発生すると考えている。このような場合には、クリーニングブレード2先端部が引き千切れ、そこからクリーニング不良が発生する。一方、反発弾性を低くした場合には、ブレード自身のスティックスリップ運動が抑制される為に、繰り返しの作像工程を経た後でも、クリーニングブレード先端部分の累積振動回数が高反発弾性ブレードに比べて少ないため、疲労破壊も抑制される。その結果として、繰り返しの作像工程を経ても、クリーニングブレード磨耗が進行せず、長期にわたってクリーニング性能が維持されることになる。
さらに、この感光体クリーニング装置130は、感光体1上の近接放電領域通過後の劣化した保護剤を研磨して除去する保護剤研磨除去手段を有している。近接放電から保護するために保護剤塗布手段150により保護剤を感光体1上に供給するものでは、近接放電により劣化した保護剤が繰り返しの画像形成の間に感光体1上に堆積してしまう。そこで、図4に示すように、保護剤研磨除去手段として感光体1表面の劣化した保護剤を研磨して除去する研磨ブレード160をクリーニングブレード2の下流に設けている。図15は、研磨ブレード160を感光体1にカウンター方向に当接させた場合の概略構成図である。研磨ブレード160のホルダー161は、図示しない領域で一端側が感光体クリーニング装置130のケーシングに固定されて片持ち支持されている。このホルダー161の自由端側には、研磨ブレード160がホルダー161の先端から突出するように固定されている。そして、突出している研磨ブレード160の先端のエッジを、感光体1の回転方向に対してカウンター方向に当接させて、感光体1表面の劣化した保護剤を削り取って除去する。また、研磨ブレード160は、図16に示すように、感光体の回転方向に対してトレーリング方向に当接させることも可能である。
研磨ブレード160は、弾性材料162に研磨粒子164を含有させてなる研磨粒子含有層163を有している。図17は、研磨ブレード160の研磨ブレード部材162に研磨粒子が含有している様子を模式的に表した図である。研磨ブレード160は、研磨粒子含有層163が感光体1表面に接触するように設置される。ここで、感光体1表面に堆積した保護剤を研磨して除去するために重要なのは、研磨ブレード160の感光体1への接触面が研磨粒子で満たされていることである。そこで、保護材除去手段としての研磨ブレード160は、研磨粒子含有層163の接触面における研磨粒子の体積占有率が50%以上90%以下の範囲とする。接触面における研磨粒子の体積占有率が50%未満では、感光体1表面に接触する研磨粒子164の量が少なく、感光体1上に堆積した劣化した保護剤を効率的に除去することができない。また、体積占有率が90%を超えると表面に出ている研磨粒子164が剥がれ落ちやすいため好ましくない。
また、研磨ブレード部材162と感光体1とが接触する幅は、0.01mm以上5mm以下であることが好ましい。接触する幅が0.01mm未満では、両者の接触する面積が小さいため、研磨ブレード160による十分な研磨効果が得られない。一方、接触する幅が5mmより大きいと、両者の接触面積が大きくなり、面圧が下がるので、十分な研磨効果が得られない。
研磨ブレード160に用いられる弾性材料162としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。この中でも、耐摩耗性の観点から特にウレタンゴムが好ましい。また、弾性材料162としては、ゴム硬度が65度以上100度以下の上記のゴム材料がよい。硬度が65度より小さいとブレードの摩耗の進行が早く、また、硬度が100度より大きいとブレードのエッジが欠けやすくなるからである。より好ましくは、ゴム硬度は65度以上100度以下である。ゴム硬度を85度以上にすることで、研磨ブレード160と感光体1との接触面積を減らし、これにより面圧を高めて研磨力を向上させることができるからである。また、研磨粒子のブレードへのめり込みも防ぐことができ、高い研磨力を維持できる。
次に、研磨粒子164について説明する。弾性材料162に含有する研磨粒子164としては、窒化珪素等の窒化物、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、マイカ、珪酸カルシウム等の珪酸塩、炭酸カルシウム、石膏等の石灰質物質、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化タンタル、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム等の炭化物、酸化セリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物が挙げられる。この中でも、研磨力に優れている酸化セリウムが好ましい。
また、研磨ブレード部材162の研磨粒子含有層163に含有される研磨粒子の含有量は、0.5wt%以上50wt%以下であることが好ましい。研磨粒子の含有量が0.5wt%未満では、感光体1表面に接触して研磨効果を発揮する研磨粒子の量が少なすぎ、感光体上の劣化保護剤の堆積物を十分に除去することができない。また、研磨粒子の含有量が50wt%を超えると、研磨粒子の濃度が高くなり過ぎ、成形が困難になる。また、コストも高くなってしまう。
研磨粒子含有層に含有される研磨粒子は、平均粒径及び種類の異なる複数の粒子を混合して用いるのが良い。このように異なる研磨粒子を混合することで、それぞれの研磨力の違いを利用することができ、劣化した保護剤を効率よく除去することができる。
さらに、研磨粒子含有層は純度80%以上の酸化セリウムを含有することが一層好ましい。酸化セリウムは研磨力に優れているが、通常、天然鉱石を砕いて製造しているため、純度は50%程度と低く、その他の希土類も研磨力を発揮する塩の形にして混合されている。しかしながら、これでは物性のばらつきが大きく、研磨ブレードとしたときの研磨性能も一定にすることができない。そこで、研磨力の高い酸化セリウムのみを抽出した純度80%以上の酸化セリウムが、物性のばらつきのない研磨剤として好適である。これを用いることで、研磨ブレード160の安定した高い研磨力を得ることができる。
研磨粒子の平均粒径は、0.05μm以上100μm以下が好ましい。平均粒径が0.05μm未満では、粒子が細かすぎ、弾性材料の中での均一な分散が困難になったり、研磨ブレードとしての研磨力が十分に得られない。また、平均粒径が100μmを超えると、研磨力が大きすぎるために像坦持体表面上を傷つけることになるため好ましくない。
次に、研磨ブレードの変形例を示す。研磨ブレードでは、弾性材料に研磨粒子164を含有させたが、研磨粒子を用いないものも可能である。例えば、金属材料、樹脂材料、或いは、硬度80〜100度の高硬度な弾性体(例えばポリウレタン)を用いることが可能である。このような材料のものを用いた場合、ブレードに研磨粒子を含有させることがない為、低コストで簡易な研磨ブレードを用いることができる。
また、保護剤研磨除去手段としては、研磨ブレードの他に研磨ローラを用いることができる。図18は、研磨ローラの概略構成図である。研磨ローラ165は、ローラ状に成型した弾性材料166に研磨粒子168を含有させてなる研磨粒子含有層167を有している。研磨ローラ165の直径は、5[mm]〜15[mm]の間で、適宜、感光体1周辺の配置可能なスペースに合わせて決定すればよい。
図19は、研磨ローラを感光体に当接した状態の概略構成図である。図19に示すように、感光体1の回転方向に関してクリーニングブレード2の下流に配置する。研磨ローラ165は回転することによって感光体1表面を研磨して、感光体1上に堆積した劣化した保護剤をを削り取って除去する。回転方向は、感光体1の回転方向に対して、カウンター方向、或いはトレーリング方向にすることができる。
研磨ローラ165に用いられる弾性材料は、研磨ブレード160と同様にフッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。この中でも、耐摩耗性の観点から特にウレタンゴムが好ましい。また、弾性材料としては、ゴム硬度が65度以上100度以下の上記のゴム材料がよい。硬度が65度より小さいとローラの摩耗の進行が早く、また、硬度が100度より大きいとローラと感光体1との当接が不均一になり、研磨が不均一になってしまう。また、研磨粒子は、上記研磨ブレード160と同様の研磨粒子を用いることができ、研磨粒子の体積占有率、含有量の最適値は上記研磨ブレードと同等である。
また、研磨ブレード160や研磨ローラ165は、感光体1上に付着したトナーから脱離した無機微粒子や、しみ出したワックス等の添加剤や、記録紙の紙紛に含まれる炭酸カルシウムを研磨して除去することができる。転写後の感光体1上には、転写残トナー以外に、トナーから脱離した無機微粒子や、しみ出したワックス等の添加剤、あるいは記録紙の紙紛に含まれる炭酸カルシウム等の添加剤が付着する。これらの物質は、フィルミングを起こしたり、核からやがて塊にまで成長したりする。研磨ブレード160や研磨ローラ165は、これらのフィルミングの原因と成る物質をも除去できるので、フィルミングを防止して感光体1の耐久性を向上させることができる。特に、上述のように、研磨粒子含有層に含有される研磨粒子を、平均粒径及び種類の異なる複数の粒子を混合して用いることで、それぞれの研磨力の違いを利用することができる。これにより、感光体1上の劣化した保護剤の堆積物のみでなく、例えば、薄いフィルミングと、微小な付着物質が核となって経時的に成長した塊のような異質のトナー成分の付着物質を、効率よく除去することができる。
このように、本実施形態の感光体クリーニング装置130では、クリーニングブレード2の先端角度を鈍角とすることで、より低線圧で高面圧を付加することができる。よって、感光体1に加える荷重に対して、効率よく当接部でのトナーのすり抜けを防止して、クリーニング不良の発生を防止することができる。また、感光体1に加える荷重を抑えることができるので、フィルミグの原因となるトナー成分の感光体1表面への付着や、劣化保護剤の感光体1表面への堆積を増加させることを防止できる。また、研磨ブレード160や研磨ローラ165を設けることで、劣化した保護剤の堆積物がクリーニングブレード2との間に介在してクリーニング性能やクリーニングブレード2の耐久性に与える悪影響を防止する。このように、クリーニングブレード先端稜線部の形状を規定し、かつ、劣化した保護剤を除去する保護剤研磨除去手段を設ける相乗効果により、経時に渡って安定したクリーニング性能を得ると共にクリーニングブレードの高耐久性を得ることができる。
また、本実施形態のプリンタ200では、球形トナーをクリーニングするために必要な当接圧力を得ると、感光体1の表面を摩耗させ易くなる。そこで、本プリンタにおいては、負帯電性の有機感光体である感光体1として、特殊な表面保護層を設けたものを用いている。図20は、プリンタ200の感光体1を示す模式図である。図20において、感光体1は、直径30[mm]のドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
基層としての導電性支持体1e上には、絶縁層である下引き層1dが設けられている。そして、その上に感光層としての電荷発生層(CGL)1c、電荷輸送層(CTL)1bが設けられている。さらにその上に表面保護層(FR)1aが積層されている。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものを用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したものがある。あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、導電性支持体1eとして用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ、これらは有用に用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上、あるいは下引き層上に塗布し、乾燥することにより形成される。
電荷発生層には、必要に応じて結着樹脂中に上記電荷発生物質を分散させることができる。用いることができる結着樹脂の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.1〜2[μm]である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25[μm]以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5[μm]以上が好ましい。
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体1e上ないし下引き層1d上に塗布、乾燥することによって形成できる。電荷輸送物質を含有させずに、電荷発生物質と結着樹脂とから構成してもよい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに50〜150重量部であればより好ましい。
感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25[μm]程度が適当である。
下引き層1dは一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。また、これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
この他、下引き層1dには、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層1dの膜厚は0〜5[μm]が適当である。
表面保護層1aは、例えば耐磨耗性を向上させるためにアモルファスシリコンで表面コートしたものや、電荷輸送層のさらに表面にアルミナや酸化スズ等を分散させたものを採用することができる。
感光体1の構成はこれまで説明した構成に限定されるものではない。導電性支持体1eの上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層のみを設けた1層構成でもよい。また、導電性支持体の上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層された構成でもよい。また、導電性支持体の上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層を設ける。そして、その上に更に保護層を設けた構成や、導電性支持体の上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とを積層し、その電荷輸送層の上に保護層を設けた構成でもよい。また、導電性支持体の上に電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層とを積層し、その電荷発生層の上に保護層を設けた構成でもよい。
表面保護層1aのバインダー構成として、架橋構造のものを使用している。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成する。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発揮する。
電気的な安定性、耐刷性、寿命の観点から、上述の反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用すること非常に有効である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層としての機能を十分に発現することが可能となる。
電荷輸送能を有する反応性モノマーとしては、同一分子中に電荷輸送性成分と加水分解性の置換基を有する珪素原子とを少なくとも1つずつ以上含有する化合物がある。また、同一分子中に電荷輸送性成分とヒドロキシル基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とカルボキシル基とを含有する化合物もある。さらに、同一分子中に電荷輸送性成分とエポキシ基とを含有する化合物、同一分子中に電荷輸送性成分とイソシアネート基とを含有する化合物等が挙げられる。これら反応性基を有する電荷輸送性材料は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。さらに好ましくは、電荷輸送能を有するモノマーとして、電気的・化学的安定性が高いこと、キャリアの移動度が速いこと等から、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能の重合性モノマー及び重合性オリゴマーを併用することができる。これらの重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
熱または光を用いて正孔輸送性化合物の重合または架橋を行うが、熱により重合反応を行う際には、熱エネルギーのみで重合反応が進行する場合と重合開始剤が必要となる場合がある。より低い温度で効率よく反応を進行させるためには、開始剤を添加することが好ましい。
光により重合させる場合は、光として紫外線を用いることが好ましいが、光エネルギーのみで反応が進行することはごく稀であり、一般には光重合開始剤が併用される。この場合の重合開始剤とは、主には波長400nm以下の紫外線を吸収してラジカルやイオン等の活性種を生成し、重合を開始させるものである。なお、本発明においては、上述した熱及び光重合開始剤を併用することも可能である。
このように形成した網目構造を有する電荷輸送層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
以上のような表面保護層を設けた感光体については、例えば、保護層塗工液、膜厚、作成条件を次に説明するように工夫する点の他は、周知の方法と同様にして製造することができる。即ち、まず、メチルトリメトキシシラン182重量部、ジヒドロキシメチルトリフェニルアミン40重量部、2−プロパノール225重量部、2%酢酸106重量部、及び、アルミニウムトリスアセチルアセトナート1重量部を混合して表面保護層用の塗布液を得る。この塗布液を、電荷輸送層の上に塗布して乾燥させた後、110[℃]の環境下で1時間の加熱硬化処理して、膜厚3[μm]の表面保護層を形成する。
また、例えば、保護層塗工液、膜厚、作成条件を次に説明するように工夫する点の他は、周知の方法と同様にしてもよい。即ち、化1で化学構造式を示した正孔輸送性化合物30重量部、及び化2で化学構造式を示したアクリルモノマーと光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)との混合物0.6重量部を、モノクロロベンゼン50重量部/ジクロロメタン50重量部の混合溶媒中に溶解して、表面保護層用塗料得る。この塗料をスプレーコーティング法により電荷輸送層上に塗布し、メタルハライドランプを用いて500[mW/cm2]の光強度で30秒間硬化させることによって膜厚5μmの表面保護層を形成する。
これまで説明してきたプリンタ200では、重合法によるトナーとして、平均円形度が0.98以上であって、且つ、体積平均粒径が5[μm]のものを用いるようになっている。平均円形度については、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)を用いて測定することが可能である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上記分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、トナー投影形状の外周長をL1(図21)、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ真円の外周長をL2(図22)としたときのL2/L1を求め、その平均値を円形度とする。
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピューターに送って解析するのである。より詳しくは、1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加える。更に、これに被検試料としてのトナーを2〜20[mg]加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。そして、別のビーカーに電解水溶液100〜200[ml]を入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。アパーチャーとしては、100[μm]のものを用い、50,000個のトナー粒子の粒径を測定する。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上32.0[μm]以下のトナー粒子を対象とする。そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、Xは各チャンネルにおける代表径、Vは各チャンネルの代表径における相当体積、fは各チャンネルにおける粒子個数である。
今後、粉砕法がより発展していくことにより、粉砕法によっても、非常に平均円形度の高いトナーを得ることが可能になるかもしれない。その場合、粉砕法によるトナーでも、重合法によるトナーと同様に、クリーニング不良が発生し易くなる。
上述した各実験に用いたトナーは(平均円形度0.98以上、体積平均粒径5μm)では、図23に示すように、粒径2.5〜7.0[μm]の範囲に95[%]のトナー粒子が存在している。この分布状態は、転写残トナー(実際にクリーニングされるトナー)についても同様である。
なお、本発明をプロセスユニット100に適用した例について説明したが、クリーニング手段をプロセスユニットとして構成していない画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
以上、本実施形態によれば、感光体クリーニング装置130のクリーニングブレード2の先端角度を鈍角とすることで、より低線圧で高面圧を付加することができる。よって、感光体1に加える荷重に対して、効率よく当接部でのトナーのすり抜けを防止することができ、クリーニング不良の発生を防止することができる。また、感光体1に加える荷重を抑えることができるので、フィルミグの原因となるトナー成分の感光体1表面への付着を増加させることを防止できる。また、保護剤研磨除去手段を設けることで、劣化した保護剤の堆積物がクリーニングブレード2との間に介在してクリーニング性能やクリーニングブレード2の耐久性に与える悪影響を防止する。このように、クリーニングブレード先端稜線部の形状を規定し、かつ、劣化した保護剤を研磨して除去する保護剤研磨除去手段を設ける相乗効果により、経時に渡って安定したクリーニング性能を得ると共にクリーニングブレード2及び感光体1の高耐久性を得ることができる。
また、クリーニングブレード2の先端稜線部の角度が95°以上、140°以下とすることにより、より確実に感光体1に加える荷重に対して、効率よく当接部でのトナーのすり抜けを防止することができ、クリーニング不良の発生を防止することができる。
また、保護剤研磨除去手段は感光体1上のトナー成分付着物を除去することにより、フィルミングを防止して感光体1の耐久性を向上させることができる。
また、保護剤研磨除去手段として研磨ブレード160を用いることにより、簡易な構成で、優れた除去性能を得ることができる。
また、研磨ブレード160の感光体1との当接面に弾性体に研磨粒子164を含有させてなる研磨剤粒子含有層163を設けることにより、より効果的に感光体1上に堆積した劣化した保護剤を除去することができる。
また、研磨ブレード160を感光体1の回転方向に対してカウンター方向に当接することにより、より効果的に感光体1上に堆積した劣化した保護剤を除去することができる。
また、研磨ブレード160を感光体1の回転方向に対してトレーリング方向に当接することにより、ブレードのめくれを起こり難くすることができる。
また、研磨手段として研磨ローラ165を用いることにより、優れた除去性能を得ることができる。
また、研磨ローラ165の感光体1との当接面に弾性体166に研磨粒子168を含有させてなる研磨剤粒子含有層167を設けることにより、より効果的に感光体1上に堆積した劣化した保護剤を除去することができる。
また、研磨ローラ165を感光体1の回転方向に対してカウンター方向に回転させることにより、より効果的に感光体1上に堆積した劣化した保護剤を除去することができる。
また、研磨ローラ165を感光体1の回転方向に対してトレーリング方向に回転させることにより、感光体1への負荷を減らすことができる。
また、トナーは平均円形度が0.98以上のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。そして、このトナーのクリーニングにクリーニングブレード2を用いることにより、除去が困難であるトナーを良好にクリーニングすることができる。
また、感光体1に、無機化合物からなる微粒子を含有せしめた材料からなる表面保護層を設けることにより、感光体1の耐磨耗性を向上することができる。
また、感光体1に、架橋構造を有するバインダー樹脂からなる表面保護層を設けることにより、感光体1の耐磨耗性を向上することができる。
さらに、バインダー樹脂の構造中に電荷輸送層を設けることにより、感光体1の電気的安定性を高めることができる。
また感光体1と、帯電ローラ111と、クリーニングブレード2と、保護剤供給手段150と、研磨ブレード160または研磨ローラ165とを有するプロセスユニット100が画像形成装置であるプリンタ200本体に対して着脱可能となっている。これにより、経時に渡って安定したクリーニング性能を得ると共にクリーニングブレードの高耐久性を得ることができるとともに、近接放電に起因する感光体1の劣化を防止するとともに、感光体1表面に供給した保護剤が近接放電により劣化してクリーニングブレードに悪影響を与えてトナーすり抜け量を増加することを抑制できるプロセスユニット100を提供することができる。さらに、プロセスユニット100を構成することにより、交換、修理、補給等のメンテナンスを容易とし、かつプリンタ200本体の小型化を図ることができる。