JP4498863B2 - 画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
電子写真装置の小型化を図るために、電子写真プロセスの改良が多く成されているが、帯電プロセスにおいては、近接放電による帯電方式が多く採用される傾向がある。これは、被帯電体表面に帯電部材を接触させたり、非接触で近傍に帯電部材を配置させたりすることで近接放電を発生させ、被帯電体表面の帯電を行う方式である。本方式を用いれば、大がかりな帯電装置を必要としないために、装置の小型化には非常に有効である。
しかし近接放電による帯電方式は被帯電体表面近傍に放電が集中するため、被帯電体表面を劣化させることが分かった。特にその傾向は直流電圧に交流電圧を重畳して帯電部材に印加する場合に大きく、被帯電体表面層材料の化学的劣化によりその層厚を減少させることが報告されている。近接放電による被帯電体表面の劣化は機械的摺擦とは違い、像担持体への当接部材がない場合においても発生する。このため、近接放電に対する耐久性を有する被帯電体もしくは被帯電体表面の保護技術の開発が強く望まれている。
図1は、近接放電による被帯電体表面の劣化状態を調べるために、被帯電体表面に帯電部材のみを非接触状態で近接配置し、連続約150時間の帯電実験を行ったときの、被帯電体表面の膜厚の変化を測定した結果である。
実験に使用した被帯電体は電荷輸送層にポリカーボネートを用いた有機感光体であり、被帯電体に対して当接する部材を全て取り除き、直流電圧に交流電圧を重畳した交番電圧が印加された非接触帯電ローラを用いて帯電を行った。この結果、被帯電体表面の膜の削れ量が次第に多くなり、被帯電体の膜厚が次第に減少している事実がわかった。膜厚減少のメカニズムについては今のところ検討中で明らかになってはいないが、膜厚が減少した被帯電体を分析したところ、被帯電体を構成するポリカーボネートが分解されたと考えられるカルボン酸などが検出された。このような物質が検出されたことから、被帯電体の膜厚減少のメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。
近接放電を行うと、被帯電体1表面の放電領域では放電により発生した粒子(オゾン、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが被帯電体1表面の電荷輸送層1a に照射される。このエネルギーが被帯電体1表面を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、図2(a)に示すように、電荷輸送層1aは、樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度の低下、樹脂の蒸発等の化学的劣化を生じる。このような近接放電による被帯電体の化学的劣化によって、被帯電体1表面の電荷輸送層1aは次第にその膜厚を減少させてしまうと考えられる。
なお上記近接放電による被帯電体表面の膜厚減少は放電で生じる粒子のエネルギーによって発生すると考えられるため、ポリカーボネートに限らず他の材質の被帯電体を用いた場合においても発生すると考えられる。
特許文献4〜7には、被帯電体表面の低摩擦化や、被帯電体表面への異物の付着防止を目的として、被帯電体表面にステアリン酸亜鉛を塗布する手段を備えた画像形成装置が記載されている。しかしながら、本発明の主要な構成の一つである、被帯電体の表面の電荷輸送層に含まれるポリアリレート骨格を有する樹脂と、保護物質供給手段との組み合わせについては何ら開示していない。
また本発明は、前記画像形成装置に用いられる画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
この構成によれば、被帯電体の耐摩耗性およびクリーニング性が高く、被帯電体を繰り返し使用しても画質劣化が発生しにくく、耐摩耗性と画質安定性に優れ、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置が提供される。また、上記保護物質が偏りなく被帯電体上に塗布することが可能であると同時に、近接放電により劣化した保護物質が被帯電体凹部に捕捉され、被帯電体上に長期に亘り残存することによって、被帯電体の電気特性に影響を及ぼすことがなく、長期に亘って高画質の画像を安定的に出力可能な画像形成装置が提供される。
この構成によれば、被帯電体自体が表面エネルギー小さいために、保護物質が塗布が容易であり、保護物質の部分的な塗布不良を解消することができる画像形成装置が提供される。
請求項3〜4に記載の構成によれば、帯電手段を具備した画像形成装置いずれを適用しても、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置が提供される。
また、本発明に関わる画像形成装置においては、上記被帯電体表面の少なくとも放電領域に付着した脂肪酸金属塩に含まれる金属元素の元素割合(%)が、XPSによる測定で
1.52×10-4×{Vpp−2×Vth}×f/v [%]
以上であることが好ましい。(ただしVppは帯電部材に印加する交流成分の振幅[V]、fは帯電部材に印加する交流成分の周波数[Hz]、vは帯電部材と対向する被帯電体表面の移動速度[mm/sec]、Vthは放電開始電圧[V]である。また、Vthの値は、帯電部材表面と被帯電体表面との最近接距離をGp[μm]、被帯電体の膜厚をd[μm]、被帯電体の比誘電率をεopc、被帯電体と帯電部材の間の空間における比誘電率をεairとしたとき、312+6.2×(d/εopc+Gp/εair)+√(7737.6×d/ε)である。)。
これによれば、上記で示した保護物質(ステアリン酸亜鉛)の保護効果が十分に発現することが可能な画像形成装置が提供される。
この構成によれば、保護物質供給源として上記のものを適用しても、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置が提供される。
請求項6〜8に記載の構成によれば、被帯電体表面への保護物質が効率よく最適な量を安定的に塗布することが可能な画像形成装置が提供される。
この構成によれば、被帯電体の耐摩耗性およびクリーニング性が高く、被帯電体を繰り返し使用しても画質劣化が発生しにくく、耐摩耗性と画質安定性に優れ、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置用プロセスカートリッジが提供される。
この構成によれば、上記記載の効果により、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置用プロセスカートリッジが提供される。
これにより、近接放電に起因する被帯電体表面の化学的劣化を抑制し、化学的な表面層の摩耗を抑えるとともに、機械的摺擦による摩耗も抑制することが可能となる。さらにポリアリレート樹脂の特性である球形トナーの高クリーニング性もあいまって、高画質画像を長期に亘って安定に出力可能な画像形成装置をなしえることを突き止め、本発明を完成するに至った。
まず、保護物質が放電による被帯電体の劣化を抑制する作用を果たすことを示す実験結果について説明する。
図3(a)は、被帯電体上に保護物質を存在させることによって、近接放電による被帯電体劣化が抑制されることを確かめるための実験装置の概略構成図である。図3(b)は、被帯電体表面を保護物質存在部Aと非存在部Bとに分けた状態の説明図である。
この実験を行うために、予め帯電ローラ2aと保護物質塗布装置30以外の部材を全て取り払い、保護物質塗布装置30は被帯電体1の軸方向半分の表面領域に、塗布用部材としてのファーブラシ31によって保護物質32を塗布するよう構成した。そして、被帯電体1と共に帯電ローラ2aと保護物質塗布装置30の駆動を継続して行い、被帯電体表面の劣化状態を調べた。実験条件は以下の通りである。
Vpp(交流電圧のピークツーピーク電圧値)=2 .12 [kV ]
f(交流電圧の周波数)=877 .2 [Hz ]
直流電圧値=−660 [V]
・被帯電体表面の移動速度v=125 [mm/s]
・保護物質:ステアリン酸亜鉛
・ファーブラシ31の線速=216[mm/sec]
図4は、上記実験を200時間の継続して行った結果を示したグラフである。
保護物質32がない領域Bでは、時間の経過とともに膜削れ量が増加していき、200時間経過後には膜厚が約2.5[μm]減少した。これに対して、保護物質32のある領域Aでは、膜厚の減少は8分の1以下に抑制されていた。さらに、200時間経過後に実験に使用した被帯電体表面を目視観察したところ、保護物質32のない領域Bでは、被帯電体表面が白く変色し変質していたのに対して、保護物質32のある領域Aでは、新品の被帯電体1と同様に鏡面を保っていた。
以上の実験結果から、保護物質32が存在することによって、放電による被帯電体表面の劣化が抑制されることが明らかになった。
被帯電体表面に形成される傷が繰り返し使用によって成長してくると、傷の内部に保護物質が入り込み、保護物質が被帯電体表面に残存しやすくなってくる。これらの保護物質が被帯電体表面に過剰に存在するようになると、それらが大気中の水分を吸収したり、異物を取り込み易くなることにより、画像の一部に画像流れや地汚れ等の画像欠陥の発生を引き起こすことになり、被帯電体の化学的劣化を抑制できても画質安定性が低下し、長寿命化は達成できないことになる。従って、近接放電による化学的劣化を抑制し、かつ画像欠陥の副作用を回避して画質安定性を高めるためには、必要量の保護物質を被帯電体表面に均一に塗布するとともに、局所的に過剰に蓄積させないようにするのが好ましい。
また、保護物質の塗布によって被帯電体表面の化学的劣化が抑制されるのは、保護物質によって放電エネルギーが吸収されているためであり、代わりに塗布された保護物質が放電劣化していることになる。保護物質が放電劣化してくると、被帯電体表面の化学的劣化を抑制する効果が低減するだけでなく、それ自身がべたつき感を増し、被帯電体表面に異物を引き寄せ、フィルミングやトナー融着を誘発する恐れがあった。特に、被帯電体表面に形成された傷に劣化した保護物質が存在すると、被帯電体を摩耗させない限りそれを除去することが不可能であるため、フィルミングやトナー融着から画像欠陥を引き起こすことになる。
従って、被帯電体表面に塗布し放電によって劣化した保護物質は直ちに除去し、それらは被帯電体表面に長く残存させずに、常に新しい保護物質を被帯電体表面に供給することが、高画質を維持する上で好ましい。
最近では球形トナーや小粒径トナーが使用されていることが増加している。これらのトナーは高画質を提供するには不可欠の要素であるが、これにより転写プロセス後の残留トナーのクリーニングが難しくなると言った問題も生じている。このため、使用する被帯電体の摩擦係数を低く維持したり、クリーニングに有効な材料を選択するなどの材料面での工夫や、クリーニングプロセスを改善するなどのプロセス面での工夫を行うのが好ましい。
本発明で使用するポリアリレート樹脂は、球形トナーのクリーニング性に優れるとともに、その構造上結晶性が高いことから、従来から使用されているポリカーボネート樹脂と比較して、硬度が増す傾向がある。そのため、機械的摺擦による摩耗や微細な傷が付きにくく、この材料にステアリン酸亜鉛のような保護物質を塗布することによって、保護物質が近接放電による放電エネルギーから被帯電体を保護することにより、化学的劣化を抑制するとともに、機械的摺擦による摩耗や傷を抑制することができ、さらに傷内部に残留する保護物質もしくは放電エネルギーを吸収したために化学的に劣化した保護物質が過剰に残存することがなくなる。また、保護物質自体が表面エネルギーの低い材料を選択することにより、被帯電体の表面抵抗を落とすことができ、被帯電体に当接して設置される部材による摩耗を抑制する効果も見込むことができる。結果、安定的に高画質画像の提供が可能な画像形成装置を成すことが可能となった。
一方、図示しない給紙部からは記録媒体としての転写紙が被帯電体1に向けて給送される。この転写紙には、被帯電体1に対向配置されている転写装置5によって被帯電体1上のトナー像が転写紙上に転写される。トナー像が転写された転写紙は、被帯電体1から分離した後、転写材搬送経路10に沿って定着装置6に搬送されて、トナー像が定着される。転写紙にトナー像を転写した後の被帯電体1上に残留している残留トナーとしての転写残トナーは、クリーニングブレード8を有するクリーニング装置7によって被帯電体1上から除去される。また、転写残トナーが除去された後の被帯電体表面の残留電荷は、除電装置9により除去される。このようにして、被帯電体1は繰り返し使用される。尚、本実施形態の画像形成装置は、塗布装置30を有しているが、これについては後ほど詳述する。
本発明は接触帯電方式にも適用できるが、接触帯電方式においては被帯電体表面との接触性を向上させ、かつ被帯電体に機械的ストレスを与えない弾性部材を用いる事が好ましい。しかし弾性部材を用いた場合には帯電ニップ幅が広くなり、これによって帯電ローラ側に保護物質が付着しやすくなることがある。よって、高耐久化の為には、非接触帯電方式を採用する方が有利である。本実施形態においては、被帯電体表面における少なくとも画像形成領域に対して所定の帯電ギャップをもって対向するよう帯電ローラ2aを配置した非接触帯電方式を採用した。
帯電ローラ2aは軸部21aとローラ部21bとからなる。ローラ部21bは軸部21aの回転によって回動可能であり、被帯電体1表面のうち画像が形成される画像形成領域11に対向する部分は被帯電体1と非接触である。帯電ローラは、その長手方向(軸方向)の寸法が画像形成領域よりも少し長く設定されており、その長手方向の両端部にスペーサ22を設けている。これら2つのスペーサを被帯電体表面両端部の非画像形成領域12に当接させることによって、被帯電体1と帯電ローラとの間に微小なギャップ14を形成している。この微小なギャップ14は、帯電ローラと被帯電体1との最近接部における距離が1〜100μmに維持できるよう構成している。このギャップ14のより好ましい範囲は、10〜80μm、さらに好ましくは30〜65μmであり、本実施形態の装置では、50μmに設定した。また、軸部21aをスプリングからなる加圧バネ15によって被帯電体側に加圧している。これにより、微小なギャップ14を精度よく維持することができる。また、帯電ローラはスペーサ22を介して被帯電体表面に連れ回って回転する。
帯電ローラ2aには帯電用の電源を接続している。これにより、被帯電体表面と帯電ローラ表面との間の微小な空隙での近接放電により、被帯電体表面を均一に帯電する。印可電圧としては直流電圧もしくは交流電圧を単独で使用してもよいし、これを合わせて使用してもよい。印加電圧として直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を使用すると、微小ギャップ変動による帯電電位のばらつきなどの影響が抑制されて均一な帯電が可能となるため、好ましくは直流電圧と交流電圧を重畳して使用するのがよい。本実施形態においては直流成分である直流電圧に交流成分である交流電圧を重畳した交番電圧を用いている。
帯電ローラ2aは円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、芯金の外周面上に形成された抵抗調整層を有する。帯電ローラ2aの表面は硬質であることが望ましい。ローラ部材としてはゴム部材も使用できるが、ゴム部材のように変形しやすい部材であると被帯電体1との微小ギャップ14の均一な維持が困難となり、作像条件によっては帯電ローラ2aの中央部のみが被帯電体表面に突発的に接触する可能性がある。帯電ローラ2aが被帯電体表面に局所的/突発的に接触する事によって生じる保護物質の乱れに対応することは困難であるため、非接触帯電方式を使用する場合にはたわみが少ない硬質の部材が望ましい。
表面が硬質な帯電ローラ2aの具体例としては、例えば、抵抗調整層を樹脂、具体的には高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびその共重合体等)により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化皮膜処理されたものが挙げられる。また硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行われるが、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成することにより行われてもよい。本実施形態では、帯電ローラ2aをφ10mm(直径10mm)で形成した。
本実施形態の被帯電体1は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有し、電荷輸送層が表面層である電子写真装置用感光体であって、電荷輸送層が構成成分としてポリアリレート樹脂を含有することを特徴としている。
被帯電体表面に保護物質を塗布することによって、近接放電による被帯電体表面の化学的劣化を抑制することが可能となるが、保護物質が過剰に塗布されたり、塗布量が不均一であった場合には、それらの保護物質が大気中の水分を吸水したり、異物を取り込みやすくなることにより、画像の一部もしくは全面に画像流れや地汚れ等の画像欠陥が発生する副作用を引き起こす。また、放電によって劣化した保護物質は、異物を取り込みやすくなり、それによってフィルミング等、画像欠陥の影響が増大する場合もある。従って、被帯電体表面に塗布した保護物質は、被帯電体表面に均一に塗布するとともに、保護物質の放電による劣化が進行する前に均一に除去し、被帯電体表面に必要以上の保護物質を残存させないようにすることが、画質への副作用を軽減し、画質安定性を高める上で好ましい。
また最近の高画質化の要求をうけて、被帯電体に対しては球形トナーのクリーニング性についても求められる。クリーニング性が乏しい被帯電体を使用した場合、転写部で紙などの被転写体に転移しなかったトナーがクリーニングしきれずに、次のプロセスの転写部において転写されるために、意図しない部分に点状画像が形成されることになる。そのため、被帯電体には球形トナーのクリーニング性を有する特性を持たせるのが好ましい。
本発明においては、被帯電体の表面層に球形トナーのクリーニング性に優れるポリアリレート樹脂を適用することにより、転写プロセスで被転写体に転写できなかったトナーがクリーニング部で確実に除去される。これによって、点状画像欠陥を大幅に改善することができるとともに、保護物質の効果により、近接放電による化学的劣化を抑制できるため、膜厚減少による静電容量の低下や表面酸化物の吸水作用による画像の劣化が少ない画像形成装置を実現することができる。
被帯電体表面粗さは、保護物質の均一塗布や劣化した保護物質の均一除去に影響する。被帯電体表面の十点平均粗さRzが1.0μm以下であることにより、保護物質を被帯電体表面全体に均一に塗布することが可能となり、被帯電体全体に亘って近接放電による影響を抑制することが可能となる。また、クリーニングブレード等を用いてクリーニングを行う場合、被帯電体表面から劣化した保護物質を除去する上でもその効率に優れており、保護物質による画質劣化の副作用を最小限にすることができる。
本発明の表面粗さRzは、JIS B0601−1982規格に準じて測定された十点平均粗さであり、本発明ではサーフコム1400D(東京精密製)を用いて測定した。
被帯電体表面の摩擦係数は、被帯電体表面に塗布される保護物質の塗布量に影響する。摩擦係数が0.3よりも低い場合には、保護物質を被帯電体に塗布しても付着しにくくなるために、本発明の近接放電に対する保護効果を得にくくなる。特に、保護物質の中でもステアリン酸亜鉛のような潤滑性物質はこの傾向が非常に強い。被帯電体表面の摩擦係数が、0.3以上であることにより、被帯電体表面に必要量の保護物質を安定的に付着させることが可能であり、本発明の効果を発現させることが容易である。
本発明の摩擦係数は、オイラーベルト法を用いて測定を行った。図7には測定装置の概略図を示した。円筒形の感光体被帯電体表面の外周1/4部分に、紙すき方向が長手方向になるように3cm幅の短冊状に切断したPPC用紙(リコー製タイプ6200)を接触させ、その一方(下端)に荷重(100g)を与え、もう一方にはフォースゲージを接続し、フォースゲージを一定速度で移動させ、用紙が動き始めた際の力(ピーク値)をフォースゲージで読み取り、下式より算出した。
μs=2/π×ln(F/W)
μs:静止摩擦係数
F:フォースゲージ読み取り値
W:荷重(100g)
被帯電体表面に水を一滴付着させたときの接触角は、表面の付着性を示す指標となる。接触角が100°以上の場合には、撥水性が高いため、保護物質が被帯電体表面に塗布されにくくなる。特に、保護物質の中でもステアリン酸亜鉛のような潤滑性物質はこの傾向が強く、本発明の近接放電に対する保護効果を得ることが困難となる。接触角が100°未満であることによって、ステアリン酸亜鉛を始めとする保護物質を被帯電体表面に付着させることが可能となり、本発明の効果を十分に得ることが可能となる。
接触角の測定は、協和界面化学社製、FACE Contact Angle Meter Model CA-Wによって測定を行ったが、これに限定されるものではない。被帯電体を固定し、被帯電体の頂点にイオン交換水を滴下し、それを5回繰り返して測定し、その平均値を算出した。なお、接触角と前述の摩擦係数とは、必ずしも同じ傾向を示すとは限らない。摩擦係数が0.3以上でも、接触角は100°以上を示す場合もある。本発明においては、摩擦係数が0.3以上、もしくは接触角が100°未満のどちらか一方でも効果は得られるが、摩擦係数は0.3以上でかつ接触角が100°未満である方がより好ましい。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
バインダー樹脂としては、一般に使用されているポリアリレート樹脂を用いている。ポリアリレート樹脂の繰り返し単位の一例を下記に示すがこれに限定されるものではない。
また、この分子内部の部分的なガラス化により、分子内密度を高めかつ非晶質部分と結晶質部分を同一分子内に併せ持つため、塗膜形成時に発生する分子内応力を緩和することができ、それによりソルベントクラックの要因となる薬品が進入しても、内部応力を維持し、クラックが生じにくい膜を形成することができる。
本発明に用いられるポリアリレート樹脂は一般的に用いられているものを使用することができる。合成方法としては、下記式で示されるビスフェノールをジカルボン酸成分とアルカリ下で溶媒/水系中で拡販することにより界面重合を行うことによって合成できる。
ジカルボン酸成分としては、3-tertブチルイソフタル酸塩化物、テレフタル酸塩化物、若しくはイソフタル酸塩化物等を単独、もしくは混合して使用することができる。機械的摺擦による摩耗を低減させることを目的とした場合、テレフタル酸塩化物を単独若しくは混合して使用することにより、分子の剛直性が増大し、樹脂の機械的強度が向上するために好ましい。また、イソフタル酸塩化物は重合対を溶解する溶剤によっては溶解度向上のために用いられる。
3-tertブチルイソフタル酸塩化物は全ジカルボン酸成分中に5〜100mol%、好ましくは5〜60mol%存在するように調整した場合、機械的強度を保持した上で、被帯電体として必要とされる電気的特性を十分に保有するものを作製することができる。また、テレフタル酸塩化物およびイソフタル酸塩化物の量については、その重合体の溶解性を考慮して決定される。ただし、いずれかの塩化物が70mol%を超えると合成した重合体の溶解性が極端に低下し、被帯電体作製時の塗工液の保存性低下や作製時の固形分濃度の管理幅の減少など、ハンドリングの面で問題になることがあるので注意を要する。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でもバインダー樹脂との併用も可能である。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜5質量部、好ましくは、0〜1質量部が適当である。この範囲内であれば電荷輸送層成膜時に層表面が良好な平滑性を示し、使用上問題とならないが、この範囲を超えて使用すると、レベリング剤が表面にブリードすることにより、見た目上被帯電体表面の曇り、斑点状欠陥が生じることがある。これにより画像形成時にトナー流れ等による画像欠陥が生じるおそれがあり、好ましくない。また、本発明記載のように保護物質を被帯電体表面にと付する場合は、レベリング剤のブリードアウトにより表面の摩擦係数の低下および水接触角の上昇を引き起こし、保護物質の均一塗布を阻害し、発明の効果が十分に発現しないおそれがある。
電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましく、25μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒および塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%が好ましい。
帯電に近接放電を用いた場合、被帯電体表面の構成材料は分解され、劣化が生じることが分かった。この劣化は被帯電体表面を近接放電に直接さらすために生じるものであって、被帯電体表面への当接部材がない場合においても生じることがわかった。即ち、近接放電による被帯電体表面劣化は、機械的摺擦とは別のメカニズムで発生するものであると言える。そこで、本実施形態においては、近接放電による被帯電体表面劣化を防止するための保護物質供給手段を設けている。以下に、その具体的な構成について詳細を説明する。
本実施形態の画像形成装置には、図5に示すように保護物質32を被帯電体表面に供給するための保護物質供給手段として、保護物質塗布装置30を設けている。この保護物質塗布装置30は、保護物質塗布用部材としてのファーブラシ31、保護物質32、保護物質32をファーブラシ31方向に押圧するための加圧バネ33を有している。保護物質32はバー状に成型された固形体状の保護物質32である。具体的には保護物質32は、保護物質を溶融固化することにより所望の形状、すなわち被帯電体1の軸方向における画像形成領域以上の長さを付与するのが好ましい。ファーブラシ31は被帯電体1表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって保護物質32をいったんブラシに汲み上げ、被帯電体1表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して被帯電体1表面に塗布する。このとき、ファーブラシ31の回転速度を、被帯電体1の回転速度と異なるように設定すれば、保護物質32を効率よく、最適な量でもって被帯電体1に供給することができる。
また、経時で保護物質32がファーブラシ31に掻き削られて減少してもファーブラシ31との接触が維持されるように、加圧バネ33によって所定の圧力で保護物質32がファーブラシ31側に押圧されている。これによって、保護物質32とファーブラシ31との接触の度合いが調整され、微量の保護物質32でも常に均一にファーブラシ31に汲み上げられる。なお、ファーブラシ31と被帯電体1との接触の度合いを制御してもよい。
尚、保護物質32はトナーに内添あるいは外添するなどして被帯電体1表面に移行させる方法もあるが、その場合には画像濃度や画像パターンによって被帯電体表面上の保護物質32の存在量が変化し、保護物質の塗布量の調整が難しく、本発明の効果を十分発揮できないなど、過剰塗布によって画像欠陥の副作用を引き起こす恐れがある。本実施形態では、被帯電体表面に保護物質32を直接塗布するために、画像濃度や画像パターンなど種々の条件によって変化することなく、被帯電体表面に安定して保護物質を分布させることができる。但し、本実施形態は一例であって、保護物質が被帯電体表面に適切な状態で存在していれば、保護物質を被帯電体表面に移行させる手段は塗布に限らず、如何なる手段を有してもよい。
(実験1)
帯電ローラに印加する交流電圧のピークツーピーク電圧値Vppを2.2[kV]、2.6[kV]、3.0[kV]と変化させ、交流電圧の周波数fは1350[Hz]に固定し、直流電圧は−600[V]とし、被帯電体表面の移動速度vは113[mm/s]とした場合における被帯電体の膜厚減少量を比較した。その結果を図8にプロットした。
図8から、被帯電体膜厚はVppの増加に伴い直線的に減少していることがわかる。ここで、Vppが約1.9[kV]のときに膜厚減少が0となっていることが特徴である。この点について本発明者らは次のように考えている。
交流電圧を印加した時、帯電部材に印加する電圧が所定の値以上にならないと帯電部材表面と被帯電体表面との間で放電が開始されない事が知られている。従って、非接触帯電の場合では、帯電部材表面と被帯電表面との最近接距離をGp[μm]としたときに、帯電部材に印加される電圧が以下に示される値以上になると帯電部材表面と被帯電体表面との間で放電が開始されると考えられる。以下、この値を放電開始電圧Vthと記す。
+√(7737.6×d/ε)[V]
d[μm]:被帯電体の膜厚
εopc:被帯電体の比誘電率
εair:被帯電体と帯電部材の間の空間における比誘電率
帯電ローラに印加する交流電圧の周波数fを500[Hz]、900[Hz]、1400[Hz]、2000[Hz]、4000[Hz]と変化させ、交流電圧のピークツーピーク電圧値Vppは2.2[kV]に固定し、直流電圧は−600[V]とし、被帯電体表面の移動速度vは104[mm/s]とした場合における被帯電体表面の膜厚減少量を比較した。これらの結果を図9にプロットした。
図9から、周波数fの増加により被帯電体膜厚の減少は明らかに直線的に増加している。このことは、被帯電体膜厚の減少は帯電条件、具体的にはVppやfに依存することを示唆している。
そこで、被帯電体膜厚の減少が、Vpp−2×Vthに比例し、またfに比例し、被帯電体の移動速度が遅いと同じ帯電条件でも単位面積あたりに照射される放電エネルギーが大きいと予測されることから、被帯電体表面の移動速度vに反比例すると考えた。そこで、被帯電体表面の放電による劣化を防止するために必要な保護物質の量を求めるために、Vppおよびf、さらに保護物質の塗布量を変化させながら被帯電体表面の劣化の状況について調べた。その結果を表1に示す。
次にステアリン酸亜鉛の分子式が[CH3(CH2)16COO]2Znである事から、1のZnに対し36のC、4のO、70のHが存在する。このうちHはXPSでは検出されないので、XPSにより検出されるステアリン酸亜鉛の元素割合はZnの元素割合の41倍となる。
表1の結果から、XとZnの元素割合との関係をプロットした。その結果を図10に示す。この結果をもとに、被帯電体表面劣化が生じていることを示す白濁発生境界線を求めると、放電による被帯電体表面の劣化(白濁)を防止するために必要なステアリン酸亜鉛の量は元素割合で
1.52×10−4×{Vpp−2×Vth}×f/v [%]
Vpp[V]:帯電部材に印加する交流電圧のピークツーピーク電圧
f[Hz]:帯電部材に印加する交流電圧の周波数
v[mm/s]:被帯電体表面の移動速度
以上であることが分かる。
さらに、膜厚減少が認められた境界を表す直線を求めると、放電による被帯電体表面の膜厚減少を防止するために必要なステアリン酸亜鉛の量は元素割合で
2.22×10−4×{Vpp−2×Vth}×f/v [%]
以上であることが分かる。
こうして得られたZn元素の含有割合に基づいて、XPSで測定される保護物質全体の元素割合を算出すると、元素割合が
6.23×10−3×{Vpp−2×Vth}×f/v [%]
以上であれば、被帯電体の劣化(白濁)が防止でき、
9.10×10−3×{Vpp−2×Vth}×f/v [%]
以上であれば、膜厚の減少もほとんど発生しないと考えることができ、被帯電体の劣化を抑制するために必要な保護物質の定量化を実現することができた。
すなわち、近接放電によって被帯電体1の帯電を行う場合、被帯電体表面の放電領域では放電により発生した粒子(例えば電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが被帯電体表面層に照射される。このエネルギーが被帯電体表面を構成する材料の分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、表面層は樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度の低下などが生じ、これらの化学的劣化が被帯電体膜厚の減少を促進させたものと考えられる。
一方で、被帯電体表面に保護物質が存在すると、放電によって発生した粒子のエネルギーが直接照射されるのは被帯電体ではなく保護物質であるため、保護物質自身が放電により発生した粒子のエネルギーを吸収する。結果、被帯電体自身は放電によって発生した粒子の直接照射を免れることになり、これらの化学的劣化が緩和されたと考えられる。図3において、被帯電体1の保護物質がない領域Bにおける被帯電体表面は、被帯電体を構成する樹脂の分子鎖が切断あるいは分解されたことを示す結果が表面分析から明らかにされたが、保護物質のある領域Aでは被帯電体表面において樹脂の分子鎖の切断や分解を示す分析結果は得られておらず、このことから保護物質によって被帯電体表面の化学的劣化が回避できたことが示された。そして、この保護物質のある領域A では、保護物質として供給したステアリン酸亜鉛が化学的に変質あるいは分解していることが分析の結果から示された。
その中でも、保護物質としてはステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶粉体を使用すると好適である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が低摩擦係数化に有効となるが、放電からの被帯電体の表面保護から見た場合においても、せん断力を受けて均一に被帯電体表面を覆っていくラメラ結晶の特性は少量の保護物質によって効率よく被帯電体表面を被覆することができることから、本発明の保護物質として非常に適している。また、脂肪酸塩の中でも脂肪酸金属塩は、金属元素がXPSによって測定される特徴的な元素となりやすく、塗布量などの条件を設定する上で測定が行いやすいということもメリットの一つである。脂肪酸の一例としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
また、本発明のように放電による劣化から被帯電体表面を保護する事を目的とした場合、クリーニング装置による保護物質の除去にも注意が必要である。保護物質塗布装置30の設置位置としては、クリーニング装置と帯電装置との間に設ける事が好ましい。
より具体的には、第一のテーブルとして、ファーブラシの回転速度と、上記XPSによる測定の結果得られるZnの元素割合とが対応させられたテーブルを有している。また第二のテーブルは、帯電ローラ周囲の環境が変化する事によって放電開始電圧が変化した場合でも確実に交流電圧による放電を発生させるために、温湿度値と放電に必要なVppの値とを対応させたテーブルとなっている。
さらに帯電条件に応じて必要な保護部材の量を算出するために、コンピュータは、帯電条件から1.52×10−4×{Vpp−2×Vth}×f/v[%]、または2.22×10−4×{Vpp−2×Vth}×f/v[%]の式に従って必要なステアリン酸亜鉛の元素割合を算出できる。
以上のような構成において、本実施形態の画像形成装置は、画像形成開始指令が入力されるとまず温湿度検出器によって温度および湿度(環境条件)を検出し、検出された温度および湿度から第二のテーブルによって帯電条件(Vpp値)を求め、帯電条件に基づいてコンピュータを用いて必要なZnの元素割合を算出し、算出されたZnの元素割合に基づいて第一のテーブルからファーブラシの回転速度を求める。こうして得られた帯電条件(Vpp値)に応じて塗布制御部が最適な回転速度でファーブラシを回転させ、また帯電制御部は帯電部材に印加する電圧を制御しつつ帯電を開始させる。
このような制御によって、環境に応じて帯電条件が変化した場合においても、最適な保護物質を被帯電体表面に供給して被帯電体の劣化を防止させる事が可能となる。
なお、1.52×10−4×{Vpp−2×Vth}×f/v[%]の式に従って必要なステアリン酸亜鉛の元素割合を算出する場合には、被帯電体の膜厚が減少していることを加味してVthを算出する必要がある。そこでコントローラはさらに、累積放電時間を記憶するための記憶手段と累積放電時間から被帯電体の膜厚を導くための第3のテーブルを持ち、第3のテーブルによって累積放電時間に対応した被帯電体膜厚を導き出してVthを計算する。
<塗工液の作製>
(ポリアリレート樹脂の合成例)
前記式(1−2)に示される構造を有するポリアリレート樹脂の合成例を示す。
試薬1として、イオン交換水中に水酸化ナトリウム110g、p−t−ブチルフェノール0.025mol、化2において、R1およびR3がCH3、R2およびR4がHであるビスフェノールC型モノマー1.0molを溶解させ、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド0.007molを添加し溶解させた。試薬2として、テレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドを質量比率で50:50で混合したもの0.64molをジクロロメタン1リットルに溶解させた。
次に、試薬1を20℃に保った反応槽に移し、攪拌しながら試薬2をゆっくりと添加させることで、界面重合を行った。反応が終了後、試薬2の有機相を分離しイオン交換水で十分に洗浄した。さらに、これにメタノールを摘果することによりポリマーを沈殿させてポリアリレート樹脂を得た。
他の構造を有するポリアリレート樹脂も同様の方法で合成することが可能である。
下記材料を下記比率で配合することにより、下引き層用塗工液を得た。
・アルキッド樹脂 6質量部
(ベッコゾール 1307−60−EL, 大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 4質量部
(スーパーベッカミン G−821−60, 大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 40質量部
・メチルエチルケトン 50質量部
下記材料を下記比率で配合することにより、電荷発生層用塗工液を得た。
・下記構造式のビスアゾ顔料 2.5質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL,UCC製) 0.5質量部
・シクロヘキサノン 200質量部
・メチルエチルケトン 80質量部
・塗工液1〜3
ポリアリレート樹脂として表2記載の3種類の材料を使用して電荷輸送層用塗工液を作製した。電荷輸送層用塗工液のその他の材料として、下記の比率で配合した。
・下記構造式の電荷輸送物質 7質量部
・モノクロロベンゼン 50質量部
・ジクロロメタン 50質量部
電荷輸送層用塗工液4として、ポリカーボネート樹脂を使用して下記の配合通りに作製した。
・ビスフェノールAポリカーボネート 10質量部
(パンライト K−1300,帝人化成製)
・上記構造式の電荷輸送物質 7質量部
・テトラヒドロフラン 100質量部
(感光体の作製方法1(感光体1〜3))
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、上記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液をディップコートにて塗布し、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層を形成した。ついで、上記電荷輸送層用塗工液1〜3を同様の方法により20μmの電荷輸送層を形成した。これにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真装置用感光体を得た。
作製方法1と同様の方法で、下引き層および電荷発生層を形成した。ついで、上記電荷輸送層塗工液1〜3に、その固形分に対して、0.6質量部の1%シリコーンオイルのモノクロロベンゼン溶液(KF−50−100CS, 信越化学工業製)を添加した塗工液を用いて、ディップコートにて塗布することにより導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真装置用感光体を得た。
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に下引き層、電荷発生層をディップコートにより、この順で塗工、乾燥した。ついで、電荷輸送層用塗工液1〜3をスプレー塗工により積層し、乾燥することによって導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真装置用感光体を得た。
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液をディップコートにて塗布し、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層を形成した。ついで、上記電荷輸送層用塗工液4を用いて同様の方法により20μmの電荷輸送層を形成することにより、導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる電子写真装置用感光体を得た。
表面粗さ測定は、サーフコム1400D(東京精密製)を用い、表面粗さRz(十点平均粗さ、JIS B0601−1982規格)を評価長さ2.5mm、基準長さ0.5mmに対し測定した。測定箇所は軸方向のドラムの両端から80mmとドラム中央の3点、周方向90度の4通り、合計12点を測定しその平均値をドラムの表面粗さRzとした。
摩擦係数は、図7に示した装置を用い、オイラーベルト法にて測定を行った。前述のとおり感光体表面の外周1/4部分に、紙すき方向が長手方向になるように3cm幅の短冊状に切断したPPC用紙(リコー製タイプ6200)を接触させ、その一方(下端)に100gの荷重を与え、もう一方にはフォースゲージを接続し、フォースゲージを一定速度で移動させ、用紙が動き始めた際の力(ピーク値)をフォースゲージで読み取り、下式より算出した。
μs=2/π×ln(F/W)
μs:静止摩擦係数
F:フォースゲージ読み取り値
W:荷重(100g)
各感光体の表面粗さおよび摩擦係数の測定結果を表3に示す。
(実施例1〜6および比較例1〜11)
これらの電子写真装置用感光体を電子写真装置用プロセスカートリッジに被帯電体として装着し、画像露光光源波長が655nmの半導体レーザーを搭載したリコー製フルカラープリンタImagio270改造機にセットした。電子写真装置用プロセスカートリッジは、クリーニングブレードと帯電との間に保護物質塗布装置を設けたものと保護物質塗布装置を設けない通常のものと両方用意した。保護物質塗布装置を備えたプロセスカートリッジは、図3に示したように、保護物質塗布用部材としてファーブラシをブラシ端が被帯電体表面に接触するように固定し、さらにステアリン酸亜鉛を被帯電体の軸方向の長さと合致するように溶融固化したバー状の保護物質固形物を、これもファーブラシのブラシ端に接触するように固定し、ファーブラシが回転することにより保護物質が被帯電体表面の放電領域に供給されるように改造した。その際、ファーブラシと保護物質固形物との接触の有無を任意に制御できるようにし、それによって保護物質塗布量を制御した。トナーとしてはImagioトナータイプ27(非球形トナー)を使用した。
また、帯電ローラの両端には50μm厚のギャップテープを貼り付け、帯電ローラと被帯電体とが接触しないようにし、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加した。ここでは、帯電部材に印加する交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約1.9[kV]、周波数fは約900[Hz]、直流電圧は−750[V]、現像バイアスを−500[V]、被帯電体の移動速度は125[mm/sec]に設定した。
感光体サンプルはそれぞれ2本ずつ作製し、保護物質塗布装置を具備したプロセスカートリッジと、保護物質塗布装置を具備していない通常のプロセスカートリッジの両方にそれぞれ被帯電体として搭載し、同一の現像剤を充填した上で、各々を上記プリンタのシアンステーションもしくはマゼンタステーションにセットし、上記の同一条件下で2万枚の通紙試験を実施した。2万枚印刷後に摩耗量測定および画像評価を行い、さらに被帯電体の表面観察を行って傷やフィルミングの状態についても判定し、保護物質を塗布した場合と塗布しない場合で比較検討を行った。それらの結果を表4に示す。
上記方法で作成した感光体1および感光体10を電子写真装置用プロセスカートリッジに被帯電体として装着し、使用するトナーをのぞいては前記と同じ方法で摩耗量測定および画像評価を行った。さらに被帯電体の表面観察を行って傷やフィルミングの状態についても判定し、保護物質を塗布した場合と塗布しない場合で比較検討を行った。トナーとしては懸濁重合法により球形トナーを下記の通り作製した。スチレン30質量部にカーボンブラック15質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.25質量部を加え、窒素置換後80℃で6時間加熱した。冷却後、スチレン92質量部、メタクリル酸nブチル53質量部を加え、均一に溶解した。このカーボンブラック分散液に耐電制御剤を加え、ボールミルで24時間分散した。この分散液を40質量部採取し、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部を添加した油相に、水相(イオン交換水50質量部に部分けんかPVAを3.3質量部溶解させたもの)を添加し、ホモミキサーで5000rpmの条件で10分間分散した。この後、水溶性ニグロシンを含有したイオン交換水107質量部で希釈した。こうして得られた分散液を60℃の窒素雰囲気で8時間重合させた。この後、分離・洗浄・乾燥を行い、体積平均粒径8.0μmの球形トナー粒子を得た。こうして得られたトナーをキャリアと混合(トナー濃度4質量部)して用いて評価した結果を表5に示す。
また、従来から使用されているポリカーボネート樹脂に保護物質を適用した場合と比較して、ポリアリレート樹脂に保護物質を適用した場合には、保護物質の効果により機械的摺擦および化学的劣化による摩耗量を抑えることが可能であり、さらにポリアリレート樹脂自身が良好なクリーニング性を有することから、長期に亘って良質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができた。
2 帯電装置
2a 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
7 クリーニング装置
8 クリーニングブレード
14 ギャップ
21a 軸部
21b ローラ部
31 ファーブラシ
32 保護物質
Claims (10)
- 少なくとも、被帯電体と、前記被帯電体に対して近接して設けられた帯電部材を有するとともに前記帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した交番電圧を印加することによって生じる放電を利用して前記被帯電体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電させられた前記被帯電体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段と、を有する画像形成装置において、
前記被帯電体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層をこの順に有し、前記電荷輸送層が前記被帯電体の表面層を構成するとともに、前記電荷輸送層が構成成分として下記構造式(1−1)、(1−2)及び(1−3)より選ばれる1種以上のポリアリレート骨格を有する樹脂を含有し、
前記表面層の表面粗さRzが0.11〜0.21μmであり、かつ、
前記被帯電体表面の少なくとも放電領域にステアリン酸亜鉛を付着させる保護物質供給手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記被帯電体表面の摩擦係数が、オイラーベルト法による測定において、0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材と被帯電体との最近接距離が、画像形成領域において1〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材の表面層が、樹脂材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記保護物質供給手段により前記被帯電体上に塗布される前記ステアリン酸亜鉛が、溶融固化された一つの固形体を成し、かつ前記被帯電体の軸方向における画像形成領域以上の長さを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記保護物質供給手段が、前記被帯電体並びにステアリン酸亜鉛と直接接触し、かつ自ら回転することによって被帯電体表面にステアリン酸亜鉛を塗布するための保護物質塗布用部材を有し、かつ前記保護物質塗布用部材の回転速度が、前記被帯電体の回転速度と異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記保護物質塗布用部材と前記ステアリン酸亜鉛、もしくは前記保護物質塗布用部材と前記被帯電体との接触の度合いを制御することによって、前記被帯電体へのステアリン酸亜鉛の塗布量を調整できるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材周囲の環境状態を検出する検出器と、検出された環境状態に基づいて前記被帯電体表面へのステアリン酸亜鉛の供給量を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 被帯電体と、前記被帯電体に対して近接して設けられた帯電部材を有するとともに前記帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した交番電圧を印加することによって生じる放電を利用して前記被帯電体を帯電させる帯電手段、前記帯電手段によって帯電させられた前記被帯電体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段、前記潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像手段、および前記被帯電体表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段からなる群から選択される少なくとも一つの手段と、を有する画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、
前記被帯電体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層をこの順に有し、前記電荷輸送層が前記被帯電体の表面層を構成するとともに、該電荷輸送層が構成成分として下記構造式(1−1)、(1−2)及び(1−3)より選ばれる1種以上のポリアリレート骨格を有する樹脂を含有し、
前記表面層の表面粗さRzが0.11〜0.21μmであり、かつ、
前記被帯電体表面の少なくとも放電領域にステアリン酸亜鉛を付着させる保護物質供給手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置に用いられる画像形成装置用プロセスカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置本体と脱着自在であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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