JP2006011375A - クリーニングブレードを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

クリーニングブレードを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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昌彦 赤藤
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修 成瀬
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Abstract

【課題】 球形トナーであっても、ブレードクリーニングの不良発生を抑制する。
【解決手段】 本画像形成装置は、表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体1と、この像担持体表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレード2を用いて、像担持体表面に付着した不要トナーを像担持体表面から除去するクリーニング装置とを備えている。このクリーニングブレードは、上記像担持体の表面移動方向に対して上記ブレード先端部がカウンター方向に当接するように配置されている。そして、少なくとも像担持体の表面移動中はブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、かつ、ブレード先端部と像担持体表面との当接部分を不要トナーが通過した直後からブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、感光体等の像担持体上に付着した球形トナーをクリーニングブレードを用いてクリーニングする複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジに関するものである。
この種の画像形成装置としては、転写工程後の像担持体表面に残留した転写残トナーをクリーニングブレードで掻き取ってクリーニングするものが広く知られている。このクリーニングブレードとしては、金属製のもの、ゴムなどの弾性材で形成されたものが知られている。前者のクリーニングブレードは、像担持体表面との当接部分が変形しにくいため、像担持体表面に当接するブレード先端部の加工精度が低い場合や像担持体表面の微小な凹凸がある場合には、ブレード先端部と像担持体表面との間を密着させることができない。そのため。ブレード先端部と像担持体表面との当接部分に微小な隙間が形成されてしまう。このような微小な隙間があると、その隙間を通じてトナーがすり抜け、クリーニング不良が生じやすい。これに対し、後者のクリーニングブレードは、像担持体表面との当接部分が像担持体表面に沿って変形するため、ブレード先端部の加工精度が多少低くても、また像担持体表面に微小な凹凸があっても、像担持体表面と密着することができる。よって、前者のクリーニングブレードに比べて、トナーがすり抜けにくくクリーニング性能に優れていると言える。したがって、クリーニングブレードとしては、ゴムなどの弾性材で形成されたものが広く実用化されている。
また、近年の高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された球形に近いトナー(以下、「球形トナー」という。)を用いた画像形成装置が知られている。この球形トナーは、従来の粉砕トナー(異形トナー)に比べて転写効率が高いなどの特徴があり、近年の高画質化の要求に応えることが可能であることが知られている。しかし、球形トナーは、従来の粉砕トナーをクリーニングするためのクリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。
特許文献1には、形状係数SF−1が100〜140でかつ形状係数SF−2が100〜120である真円度の高い球形トナーを用い、これを像担持体表面移動方向に対してカウンター方向に当接させたクリーニングブレードによってクリーニングする画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、クリーニングブレードと像担持体表面との当接部分で発生するトナーのすり抜けを抑制するために、各種パラメータの数値範囲を規定している。具体的には、クリーニングブレードと像担持体表面との当接部分の線圧を、20[g/cm]超〜60[g/cm]未満としている。また、クリーニングブレードの硬度は50〜80[°]であり、その反発弾性は10〜50[%]である。
また、特許文献2には、保持機構に保持された金属製のクリーニングブレードを像担持体表面に当接し、そのブレード先端部分と保持機構との間に加圧機構を有するクリーニング装置を備えた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、保持機構でクリーニングブレードのブレード先端部を像担持体表面に押しつけるとともに、加圧機構によってそのブレード先端部を補助的に像担持体表面に押しつける。
特開2001−312191号公報 特開平6−289760号公報
ところが、本発明者らによる鋭意研究の結果、上記特許文献1に記載されているように上記線圧が60[g/cm]未満では、上述した球形トナーのすり抜けを十分に阻止できず、クリーニング不良の発生を十分に抑制できないことが判明した。そこで、本発明者らは、球形トナーのすり抜けによるクリーニング不良の発生メカニズムを独自に解明すべく種々の実験を行った。そして、このクリーニング不良の発生メカニズムは次のようなものであるとの結論に達した。以下、そのメカニズムについて説明する。
図18は、感光体ドラム(像担持体)1に対するクリーニングブレード2の配置を説明するための説明図である。このクリーニングブレード2は、感光体ドラム1の表面移動方向Aに対してその先端部分がカウンタ方向となるように感光体ドラム表面に当接している。このときの初期接触角度はθであり、かつ、その食込み量はdである。ここで、「初期接触角」とは、次のように定義されるものである。すなわち、感光体ドラムの軸方向から見て、感光体ドラムが無いとしたときにブレード先端部分(図中二点鎖線)の感光体ドラム表面移動方向Aの下流側側面(以下、単に「下流側側面」という。)2aが位置することになる仮想線Fと、感光体ドラム1の表面との交点Cにおける感光体ドラム表面部分の接線Gをとる。そして、この接線Gと上記仮想線Fとのなす角θを、初期接触角と定義する。また、上記「食込み量」とは、次のように定義されるものである。すなわち、感光体ドラム1の軸方向から見て、上記接線Gと、感光体ドラム1が無いとしたときにブレード先端面の感光体ドラム表面移動方向Aの下流側縁部(以下、単に「下流側縁部」という。)2bが位置することになる仮想点を通る上記接線Gに平行な仮想線Hとの距離dを、食込み量と定義する。このようなクリーニングブレード2の配置を実現する場合、例えば、まず、ブレード先端面の下流側縁部2bを感光体ドラム表面に接触させる。そして、その状態から、感光体ドラム表面に対するクリーニングブレード2の相対的な姿勢を変えないように、その接触点における感光体ドラム表面部分の法線方向に沿ってクリーニングブレード2を感光体ドラム表面側へ移動させて、図18に示す状態にする。
上記クリーニングブレード2は、感光体ドラム表面に当接する先端部とは反対側の端部(後端部)が図示しないケーシングに固定されたブレード支持部材としての金属支持板3に接着されている。このようなクリーニングブレードは、その厚さt1が0.5[mm]以上2.0[mm]以下であり、金属支持板3に接着されていない部分(自由端部分)の長さt2が3.0[mm]以上10.0[mm]以下であるのが一般的である。また、クリーニングブレード2の材料としては、ゴムなどの弾性部材が用られ、硬度が65[°]以上80[°]以下であり、反発弾性が20[%]以上60[%]以下であるポリウレタンでが広く用いられている。
図19は、感光体ドラム1を静止させた状態でクリーニングブレード2を食込み量dで当接させたときのブレード先端部の変形状態を、感光体ドラム軸方向から見た断面図である。このときのブレード先端部は、図示のように、その下流側側面が感光体ドラム表面と接触した状態になる。この状態を「スリップ状態」という。
図20は、図19に示した状態において感光体ドラム1を図中矢印Aの方向へ表面移動させたときのブレード先端部の変形状態を、感光体ドラム軸方向から見た断面図である。感光体ドラム1が図中矢印Aの方向へ表面移動すると、感光体ドラム表面に接触していたブレード先端部の下流側側面部分(ブレード先端面の下流側縁部を含む)が、感光体ドラム表面との摩擦力によって図中矢印Aの方向へ引っ張られる。これにより、ブレード先端面の下流側縁部が移動し、最終的には、図20に示すように、その下流側縁部を含むブレード先端面の一部が感光体ドラム表面に接触した状態となる。この状態を「スティック状態」という。このスティック状態におけるブレード先端面の下流側縁部周囲の弾性変形は、感光体ドラムの表面移動中は、その弾性変形による復元力とその当接部分の動摩擦力とが平衡状態になるところで維持され、感光体ドラムの表面移動停止中は、その弾性変形による復元力よりも大きい当接部分の静止摩擦力によって維持される。したがって、感光体ドラムの表面移動中に当接部分の動摩擦力が変動せず、かつ、当接部分の静止摩擦力がスティック状態におけるブレード先端面の下流側縁部周囲の弾性変形に対する復元力よりも大きい場合には、スティック状態が一定に維持される。
上記スティック状態においては、上記スリップ状態の場合に比べて、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面とが当接している部分の面積が小さい。しかも、スティック状態においては、感光体ドラム表面から受ける摩擦力により、スリップ状態では起きない、ブレード先端面の下流側縁部周囲がブレード先端面の法線方向に圧縮変形する。そして、この圧縮変形に対する復元力は、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接圧を高める向きに働く。このように、スティック状態においては、感光体ドラム表面との当接面積が小さく、かつ、上記圧縮弾性がクリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接圧を高める向きに働くことから、上記スリップ状態の場合に比べて、その当接圧が高い状態になり、トナーのすり抜けが起きにくい。よって、トナーのすり抜けを抑制するためには、クリーニング時に安定してスティック状態を維持することが重要である。
本発明者らは、実験により、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接部分を球形トナーがすり抜ける様子を観察した。この実験では、まず、感光体ドラム表面と同様の摩擦特性を有する透明な表面移動部材の表面にクリーニングブレードを当接させる。そして、この表面移動部材をその表面に球形トナーを付着させた状態で表面移動させ、そのときのクリーニングブレードと表面移動部材との当接部分を、表面移動部材の裏面からカメラで撮影し、球形トナーのすり抜けの様子を観察した。この実験の結果、クリーニングブレード2と表面移動部材との当接部分では、ブレード長手方向において部分的に、球形トナーのすり抜けが発生することが確認された。そして、球形トナーのすり抜けが発生している部分では、スティックスリップ運動が発生していることが確認された。この「スティックスリップ運動」とは、スティック状態時のブレード先端面の下流側縁部が位置する点をゼロ(原点)としたとき、その原点に対して感光体ドラム表面移動方向上流側の領域で、その下流側縁部が原点との距離にして8[μm]以上15[μm]以下の範囲内で往復移動する運動をいう。
本発明者らは、上記実験を含む種々の実験を行った結果、上記スティックスリップ運動が開始されるのは、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接部分を1個又は数個の球形トナーがすり抜けた直後であることを確認した。
図21は、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接部分を球形トナーがすり抜ける様子を模式的に示した説明図である。感光体ドラム1の表面移動に伴って搬送されてきた球形トナーは、クリーニングブレード2との当接部分において一旦はせき止められる。その後、この球形トナーは、表面移動する感光体ドラム1の表面との接触部分に働く摩擦力を駆動源として回転し始める。そして、球形トナーは、その回転力によって球形トナーと接触するクリーニングブレード部分にめり込み、これを変形(めり込み変形)させながら、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接部分を回転しながら進んでいく。その結果、球形トナーは、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部分をすり抜けてしまう。
上述したように、スティック状態におけるクリーニングブレード2は、そのブレード先端面の下流側縁部周囲が図20に示したような弾性変形した状態となっている。この状態において、球形トナーがすり抜けると、その直後は、そのブレード部分のめり込み変形に対する復元力に抗していた、トナーを介した感光体ドラム表面からの抗力が働かなくなる。したがって、その復元力により、めり込み変形したブレード部分がめり込み変形前の形状に戻ろうとして、ブレード先端面の下流側縁部が感光体ドラム表面移動方向上流側へ移動する。その結果、図22に示すように、このブレード部分(図中破線Iで囲んだ領域)は、クリーニングブレード2の下流側側面が感光体ドラム表面と接触したスリップ状態になってしまう。このとき、スリップ状態になったブレード部分Iのブレード長手方向両側部分は、図22に示すようにスティック状態が維持されている。そのため、クリーニングブレード全体の撓みに対する復元力のうちスリップ状態になったブレード部分Iに働くべき力は、その両側のブレード部分に分散してしまう。その結果、スリップ状態になったブレード部分と感光体ドラム表面との当接部分には十分な当接圧が働かなくなる。よって、このスリップ状態になったブレード部分から次々と球形トナーがすり抜けてしまう。その後、このようにスリップ状態になったブレード部分は、感光体ドラム表面やすり抜ける球形トナーとの摩擦力により、ブレード先端面の下流側縁部が感光体ドラム表面移動方向下流側へ移動し、再びスティック状態に戻ろうとする。しかし、ブレード先端面の下流側縁部は、スティック状態まで移動する途中で、すり抜けていく球形トナーが妨げとなって、上記めり込み変形に対する復元力により再び感光体ドラム表面移動方向上流側へ移動しはじめてしまう。したがって、すり抜けていく球形トナーがなくなるまでは、上述したスティックスリップ運動が繰り返されることになる。このように、スティックスリップ運動が発生してしまったブレード部分では、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまい、クリーニング不良が発生する。
また、本発明者らは、上記実験を含む種々の実験を行った結果、クリーニングブレードの材質によっては、上記スティックスリップ運動が発生していない状態であっても、クリーニング不良が発生することがあることを確認した。
この点について説明すると、上述したように、クリーニングブレード2との当接部分において一旦はせき止められた球形トナーは、その回転力によって球形トナーと接触するクリーニングブレード部分をめり込み変形させながら押しのける。そして、最終的に、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部分をすり抜ける。このトナーのすり抜けが起きた直後において、クリーニングブレードの反発弾性が低い場合、後述する実験例1により、スティックスリップ運動の発生を防止することができる。しかし、この場合であっても、クリーニングブレードの硬度が低い場合には、クリーニング不良が発生することがある。詳しくは後述するが、硬度が低くかつ反発弾性が低い場合、トナーのすり抜けが起きた直後のブレード部分は、トナーがすり抜けてめり込み変形した変形箇所の変形度合が大きくかつその復元スピードが遅い。このため、その変形箇所の復元中にこの箇所を次のトナーが通過してしまう。このように復元中にトナーが通過すると、このトナーによって変形箇所の復元が妨げられ、その箇所を更に次のトナーが通過するという事態が生じる。その結果、球形トナーが一旦すり抜けたブレード部分では、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまい、クリーニング不良が発生する。
なお、クリーニングブレードと像担持体表面との当接圧が高くなればなるほど、トナーのすり抜けの抑制効果が高まる。したがって、この当接圧を非常に高く設定できれば、トナーが球形トナーであっても、トナーのすり抜けを完全に阻止することが可能である。しかし、この当接圧を高くしすぎると、像担持体の表面移動に対する負荷が増大して、像担持体を安定して表面移動させることが困難になる。また、この当接圧を高くしすぎると、像担持体表面の削れ量が増大して、像担持体の寿命が短くなる。したがって、この当接圧を高めるにも限界がある。このような当接圧の限界から、トナーが球形トナーの場合、トナーのすり抜けを完全に阻止することは現状では不可能である。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、球形トナーであっても、クリーニングブレードと像担持体表面との当接部分を一度に多くのトナーがすり抜けるのを防止して、クリーニング不良の発生を抑制することができる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体と、該像担持体表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレードを用いて、該像担持体表面に付着した不要トナーを該像担持体表面から除去するクリーニング装置とを備えた画像形成装置において、上記像担持体の表面移動方向に対して上記ブレード先端部がカウンター方向に当接するように上記クリーニングブレードが配置されており、少なくとも該像担持体の表面移動中は該ブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、該ブレード先端部と該像担持体表面との当接部分を上記不要トナーが通過した直後から該ブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記弾性材で形成されたクリーニングブレード部分は、硬度が70[°]以上80[°]以下であり、23[℃]における反発弾性が8[%]以上30[%]以下であり、上記当接部分の線圧は、80[g/cm]以上120[g/cm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記クリーニングブレードの像担持体表面移動方向に配向した2つの側面のうち、像担持体表面移動方向上流側の側面を、像担持体表面移動方向に対して直交する方向にわたって該像担持体表面側へ押圧する押圧手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記押圧手段は、上記像担持体表面移動方向上流側の側面のうち、上記ブレード先端部に対応する部分のみを押圧するものであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記押圧手段で発生した押圧力が、上記ブレード先端部が当接した像担持体表面部分に対してその法線方向から伝わるように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の画像形成装置において、上記押圧手段と上記クリーニングブレードとの押圧箇所に介在し、上記弾性材で形成されたクリーニングブレード部分の反発弾性よりも大きな反発弾性をもつ弾性部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3、4、5又は6の画像形成装置において、上記押圧手段は、固定配置された支持部材に支持された圧電素子と、該圧電素子に印加する電圧を制御する電圧制御手段とから構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項3、4、5又は6の画像形成装置において、上記ブレード先端部とは反対側の後端部で上記クリーニングブレードを支持するブレード支持部材を有し、上記押圧手段は、該ブレード支持部材に固定された厚さ0.1[mm]以上0.5[mm]以下の金属板であって、該金属板の撓みに対する復元力により押圧するものであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、上記像担持体と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体と、該像担持体表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレードを用いて、該像担持体表面に付着した不要トナーを該像担持体表面から除去するクリーニング装置とを少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、上記像担持体の表面移動方向に対して上記ブレード先端部がカウンター方向に当接するように上記クリーニングブレードが配置されているとともに、少なくとも該像担持体の表面移動中は該ブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、かつ、該ブレード先端部と該像担持体表面との当接部分を上記不要トナーが通過した直後から該ブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されていることを特徴とするものである。
上述したとおり、クリーニングブレードと像担持体表面との当接圧を高くするにも限界があることから、トナーが球形トナーの場合にはトナーのすり抜けを完全に阻止することは現状では不可能である。そこで、請求項1乃至10の発明では、ブレード先端部と像担持体表面との当接部分をトナーが通過した直後からブレード先端部におけるトナーがすり抜けた部分(トナー通過部分)が像担持体表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が、8[μm]未満となるようにしている。すなわち、トナーが通過した直後のトナー通過部分が、スリップ状態になる前に、像担持体表面から像担持体表面移動方向下流側に向かう摩擦力を受けて、すぐにスティック状態に戻るようになっている。よって、トナーのすり抜けが発生しても、このトナー通過部分がスリップ状態になることはなく、上述したスティックスリップ運動の発生を防止することができる。また、請求項1乃至10の発明では、トナー通過部分が像担持体表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が8[μm]未満となるには、トナー通過部分がトナー通過直後にすぐに像担持体表面に当接し、像担持体表面から摩擦力を受けなければならない。よって、トナーがすり抜ける際にトナーがめり込んでめり込み変形した変形箇所は、すぐに像担持体表面と当接した状態に戻ることになる。よって、その変形箇所が像担持体表面と当接した状態に戻るまでにこの箇所を次々とトナーが通過してしまう事態を阻止することができる。
以上より、トナーが球形トナーであっても、ブレード先端部のスリップ状態になった部分から一度に多くのトナーがすり抜けてしまう事態を阻止することができる。
以上、請求項1乃至10の発明によれば、球形トナーであっても、クリーニングブレードと像担持体表面との当接部分を一度に多くのトナーがすり抜けてしまう事態を阻止できるので、クリーニング不良の発生を抑制することができるという優れた効果がある。
〔実施形態1〕
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ全体の構成及び動作について説明する。
図2は、本実施形態に係るプリンタ全体の概略構成図である。このプリンタは、図中矢印Aの方向に回転する像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のもので、オイラーベルト法の測定により測定した摩擦係数μが0.3≦μ≦0.6の範囲内のものである。この感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置21と、潜像形成手段としての露光装置22、現像手段としての現像装置23、転写手段としての転写装置24、クリーニング手段としてのクリーニング装置25及び除電手段としての除電装置26が配置されている。また、転写装置24により転写が行われる転写領域に対して、紙などの記録材が搬送される記録材搬送方向(図中矢印Bの方向)の下流側には、記録材上のトナー像を定着させる定着手段としての定着装置が配置されている。
上記帯電装置21は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置21は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させ、又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム表面を所望の極性及び所望の電位に一様帯電する。この帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。なお、帯電装置21としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
上記露光装置22は、帯電装置21によって帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置22は、例えば、発光素子としてLD(Laser Diode)あるいはLED(Light Emitting Diode)を使用し、一様に帯電された感光体ドラム表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、その感光体ドラム表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置22としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
上記現像装置23は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置23は、固定配置された磁界発生手段としてのマグネットローラを内部に有する現像剤担持体としての現像ローラ23aを備えている。この現像ローラ23aは、表面に現像剤を担持しながら回転することによって、現像剤を感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。なお、現像剤としては、キャリアを用いずにトナーのみからなる一成分現像剤を用いてもよい。上記現像ローラには、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ表面の電位と感光体ドラム表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。なお、現像装置23としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。
上記転写装置24は、感光体ドラム1上のトナー像を、図中矢印Bの方向に搬送されてくる記録材P上へ転写するものである。この転写装置24は、転写ローラ等の転写部材を感光体ドラム1の表面に所定の押圧力で接触させ、その転写部材と感光体ドラム1との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで記録材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材に印加することによって形成される転写電界により、感光体ドラム表面上のトナー像を記録材P上へ転写させる。なお、転写部材としては、例えば弾性体からなる転写ローラや転写ベルト、あるいは、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いることができる。なお、転写装置24としては、このような構成に限らず、広く公知のものを利用することができる。このようにしてトナー像が転写された記録材Pは、上記定着装置へ搬送され、ここでトナー像が定着された後、機外へ排出される。
上記クリーニング装置25は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを感光体ドラム1の表面から除去するものである。このクリーニング装置25は、クリーニングブレード2によって感光体ドラム表面上の転写残トナーを掻き取って除去する。クリーニングブレード2の先端に溜まった転写残トナーは、クリーニング装置25の内部に落下する。そして、図示しないトナー搬送機構により廃トナーとして図示しない廃トナーボトルへ搬送され、ここに蓄えられる。このようにして廃トナーボトルに蓄えられた廃トナーは、サービスマンなどにより回収される。なお、クリーニング装置25の内部に落下した転写残トナーを、リサイクルトナーとして現像装置23などに搬送し、再度現像に使用するようにしてもよい。
上記除電装置26は、感光体ドラム表面の残留電荷を除去するものである。残留電荷が除去された感光体ドラム1の表面は、次の画像形成に寄与することになる。なお、この除電装置26は、LEDなどを用いた光除電方式を採用しているが、これに限られるものではない。
ところで、近年、トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置においては、より高精度で高精細な画像を形成すべく、高解像度の要求が高まっている。高解像度を達成する方法としては、粒径が小さく、かつ、球形に近い球形トナーを用いるのが効果的であることが知られている。そこで、本実施形態では、画質向上のために、円形度が0.98以上の球形トナーを使用している。ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上記分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図3(a)に示す実際のトナー投影形状の外周長をL1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図3(b)に示す真円の外周長をL2としたときのL2/L1を求め、その平均値を円形度とした。
球形トナーとしては、従来から広く用いられている粉砕法により形状が歪な異形のトナー(粉砕トナー)を加熱処理等して球形化したものや、重合法により製造されたトナーなどを用いることができ、その製造方法に限定されない。このような球形トナーにおいては、上述したように、上記粉砕トナーを感光体ドラム表面から除去するために用いられていた従来のクリーニングブレードでは、その球形トナーを感光体ドラム表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生するという問題がある。
そこで、まず、トナーが球形トナーであっても、これを感光体ドラム表面から十分に除去し得る新たなクリーニングブレードを開発するにあたり、本発明者らが行った実験について説明する。
上述したように、一度に多くの球形トナーのすり抜けが生じてしまう部分では、ほとんどの場合、クリーニングブレード2がスティックスリップ運動している。よって、このスティックスリップ運動を無くすことができれば、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまう事態の大半を防止でき、クリーニング不良の発生を抑制できる。そして、本発明者らの鋭意研究の結果、種々のクリーニング条件のうち、クリーニングブレード2の反発弾性がスティックスリップ運動に密接に関係することを突き止めた。以下、本発明者らが行った実験について詳しく説明する。
〔実験例1〕
図18は、本実験(以下、本実験を「実験例1」という。)で採用したクリーニングブレード2の配置を説明するための説明図である。本実験のクリーニングブレード2は、初期接触角度θかつ食込み量dで、感光体ドラム1の表面移動方向Aに対してカウンタ方向になるように、その先端部分が感光体ドラム表面に当接している。本実験例1では、固定配置された金属支持板3に材質が異なる12種のクリーニングブレード2をそれぞれ接着し、これらを用いて感光体ドラム1の表面から球形トナーをそれぞれ除去するときのスティックスリップ運動の有無とクリーニング性との関係について確認した。本実験例1の主な実験条件は、初期接触角θが20[°]、食込み量dが1.0[mm]、感光体ドラム1の表面移動速度が100[mm/s]、クリーニングブレード2の厚さt1が2.0[mm]、その自由端部分の長さt2が7.0[mm]、感光体ドラム1の表面に対するクリーニングブレードの線圧が40[g/cm]である。ここで、「線圧」とは、感光体ドラム1とクリーニングブレード2との当接部に厚さ0.1(mm)のシート状センサを挟み込み、そのセンサの出力値(その当接部に働く荷重[g])をその当接部の感光体ドラム軸方向長さ([cm])で割った値をである。この測定時には、ブレード先端部がスティック状態になるようにクリーニングブレード2を感光体ドラム1に当接される。なお、シート状センサは、その内部に互いに直交する2つの方向(行方向、列方向)へそれぞれ配列された多数の電極を有し、その表面がフィルム樹脂で覆われたものである。これらの電極は、感圧抵抗性物質と電荷発生物質とが格子状に設置されたものであり、その格子状の交点に外圧が加わるとその荷重に応じて抵抗値が変化する。この抵抗値の変化は、行方向及び列方向へ流れる電流値の変化となって表れるため、その電流値から総荷重が求まる。
本実験例1の実験条件(クリーニングブレード2の反発弾性及び硬度)及び結果は、下記の表1に示すとおりである。なお、クリーニングの評価は、画像面積率が5%の横帯ベタ画像をA4版横の用紙に対応しいたトナー像を感光体ドラム1の表面に作成し、このトナー像を転写工程を行なわずにそのままクリーニングブレード2によりクリーニングしたときに残留したトナーの量を目視で確認したものである。そして、球形トナーをほぼ完全に除去できた場合を「◎」とし、ほとんどの球形トナーを除去できた場合を「○」とし、感光体ドラム表面にわずかに球形トナーが残存した場合を「△」とし、感光体ドラム表面のほぼ全面に球形トナーが残存した場合を「×」とした。
Figure 2006011375
上記表1に示すように、温度23[℃]における反発弾性が30[%]以下である反発弾性の低いクリーニングブレード2については、その硬度に関係なく、スティックスリップ運動が発生しなかった。逆に、反発弾性が40[%]以上である反発弾性の高いクリーニングブレード2では、硬度に関係なくスティックスリップ運動が発生した。これは、反発弾性が高い場合、球形トナーのすり抜けにより上記めり込み変形した箇所が復元するスピードが速いために、その変形箇所に対応するブレード先端面の下流側縁部が感光体ドラム表面に接触したときの速度が速い。そのため、その下流側縁部が感光体ドラム表面に接触したときの勢いが大きく、その下流側縁部がスリップ状態になるまで感光体ドラム表面に沿って移動してしまうためである。これは、感光体ドラム表面に接触したときのその下流側縁部がもつ運動エネルギー量が、感光体ドラム表面との接触による摩擦で奪われるエネルギー量よりも大きいために起こるものと考えられる。これに対し、反発弾性が低い場合、球形トナーのすり抜けによりめり込み変形した箇所が復元するスピードが遅い。そのため、その変形箇所に対応するブレード先端面の下流側縁部が感光体ドラム表面に接触したときの勢いが小さいため、すなわち、感光体ドラム表面に接触したときのその下流側縁部がもつ運動エネルギー量が、感光体ドラム表面との接触による摩擦で奪われるエネルギー量よりも小さいため、感光体ドラム表面に沿って移動する下流側縁部がスリップ状態になる前に、感光体ドラム表面との間の摩擦力によりスティック状態に戻る。その結果、スティックスリップ運動が発生せず、スティックスリップ運動中に起きていた一度に多くのトナーのすり抜けるという事態が抑制されたものと考えられる。
また、硬度に着目すると、同じ反発弾性であっても、硬度が高いほどクリーニング性が向上するという結果が得られた。なお、この硬度は、JIS−A規格に基づくものである。これは、硬度が低い場合、球形トナーがすり抜けようとするときにこれに接触するブレード部分がめり込み変形しやすい結果、球形トナーがそのブレード部分を押しのけやすいためである。これにより、特に、材質1,4,7のクリーニングブレードのように、反発弾性が低くかつ硬度が低い場合、上述したように、トナーのすり抜けが起きた直後のブレード部分では、トナーがすり抜けてめり込み変形した変形箇所の変形度合が大きくかつその復元スピードが遅い。このため、その変形箇所の復元中にこの箇所を次のトナーが通過してしまう。このように復元中にトナーが通過すると、このトナーによってその変形箇所の復元が妨げられ、その箇所を更に次のトナーが通過するという事態が生じる。その結果、球形トナーが一旦すり抜けたブレード部分では、すり抜けていく球形トナーがなくなるまでは、変形箇所のめり込み変形が維持され、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまい、上記表1に示したようにクリーニング性の評価が「△」となったと考えられる。一方、硬度が高い場合には、球形トナーがすり抜けようとするときにこれに接触するブレード部分がめり込み変形しにくい結果、球形トナーがそのブレード部分を押しのけにくく、一度に多くのトナーのすり抜けるという事態が抑制されたものと考えられる。
以上、本実験例1により、スティックスリップ運動が発生せず、かつ、トナーのすり抜ける際にトナーにより押しのけられてめり込み変形した変形箇所の変形が維持されないことにより、一度に多くのトナーがすり抜ける事態が抑制され、クリーニング不良を防止することができることが判明した。
具体的には、クリーニングブレード2の硬度が70[°]以上80[°]以下であり、かつ、23[℃]における反発弾性が8[%]以上30[%]以下である場合に、クリーニング性の評価が「×」であるクリーニング不良を防止することができることが判明した。
ここで、スティックスリップ運動とは、上記定義のとおり、スティック状態時のブレード先端面の下流側縁部が位置する点をゼロ(原点)としたとき、その原点に対して感光体ドラム表面移動方向上流側の領域で、その下流側縁部が原点との距離にして8[μm]以上15[μm]以下の範囲内で往復移動することである。したがって、スティックスリップ運動しないとは、具体的には、ブレード先端面の下流側縁部が上記原点との距離にして8[μm]未満にとどまることである。
〔実験例2〕
次に、上記実験例1においてクリーニング性が良好(「○」)であった材質2、3、5、6及び9のクリーニングブレード2を用いて、感光体ドラム1の表面から球形トナーをそれぞれ除去するときの、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との線圧と、クリーニング性との関係について確認した実験(以下、本実験を「実験例2」という。)について説明する。本実験例2では、各材質のクリーニングブレード2について、感光体ドラム1との線圧を変化させたときのクリーニング性を評価した。線圧以外の実験条件については、上記実験例1と同じである。また、クリーニング性の評価方法も、上記実験例1と同じである。
本実験例2の実験条件(クリーニングブレード2の反発弾性及び硬度並びに線圧)及び結果は、下記の表1に示すとおりである。
Figure 2006011375
上記表2に示すように、線圧が80[g/cm]以上120[g/cm]以下である場合、いずれのクリーニングブレード2においても、クリーニング性の評価が「◎」であり、球形トナーをほぼ完全にクリーニングすることができた。よって、線圧が80[g/cm]以上120[g/cm]以下という実現可能な範囲において、球形トナーをほぼ完全にクリーニングすることができることが判明した。
〔実験例3〕
次に、初期接触角θがクリーニング性に及ぼす影響について確認した実験(以下、本実験を「実験例3」という。)について説明する。本実験例3の実験条件及び結果は、下記の表3に示すとおりである。本実験例1の主な実験条件は、感光体ドラム1の表面移動速度が100[mm/s]、クリーニングブレード2の厚さt1が2.0[mm]、その自由端部分の長さt2が7.0[mm]、感光体ドラム1の表面に対するクリーニングブレードの線圧が80[g/cm]、クリーニングブレードの反発弾性が25[%]、クリーニングの硬度(JIS−A)が75[°]である。なお、クリーニング性の評価方法は、上記実験例1と同じである。
Figure 2006011375
上記表3に示すように、初期接触角度θが18[°]以上26[°]以下のクリーニングブレードについては、クリーニング性の評価が「◎」であり、球形トナーをほぼ完全にクリーニングすることができた。
一方、初期接触角度θが16[°]以下のクリーニングブレードについては、クリーニング性の評価が「△」であり、わずかに球形トナーが残存した。これは、クリーニングブレード2のブレード先端部における下流側面が感光体ドラム1の表面と接触する、いわゆる腹当たり状態となったためである。このような状態では、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との接触面積が広くなり、ブレード先端面と感光体ドラム表面との当接圧は小さくなる。すなわち、線圧は小さくなる。その結果、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を実現できず、クリーニング性が低下したものと考えられる。
他方、初期接触角度θが28[°]のクリーニングブレードについては、ビビリ音が発生し、クリーニング性が著しく悪化した。これは、感光体ドラムとクリーニングブレードの先端面との当接部分が大きくなり、異常なスティックスリップ運動が発生したためである。また、初期接触角度θが30[°]以上のクリーニングブレードについては、クリーニングブレード2が感光体ドラムの表面移動に巻き込まて、感光体ドラム1の表面を傷つけてしまう事態が発生した。したがって、初期接触角度θが18[°]以上26[°]以下の範囲内であるのが好ましい。
ここで、クリーニングブレード2を備えた一般に広く使用されている従来のクリーニング装置の構成をそのまま使用したのでは、上述した80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を得ることは困難である。そこで、以下、このような高い線圧を得ることができるクリーニング装置25の構成について説明する。
〔構成例1〕
以下、上記クリーニング装置25の一構成例(以下、本構成例を「構成例1」という。)について説明する。
線圧を上げる方法としては、例えば、クリーニングブレード2を支持する金属支持板3を感光体ドラム1に近づける方法が挙げられる。しかし、この方法により線圧を上げようとすると、それにつれて食込み量dが大きくなる。そして、この食込み量dが一定量を超えると、スティック状態であっても、ブレード先端面のほかに、クリーニングブレードの下流側側面も感光体ドラム1の表面に接触する、いわゆる腹当たり状態となる。その結果、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との接触面積が広くなり、ブレード先端面と感光体ドラム表面との当接圧は小さくなる。すなわち、線圧は小さくなる。したがって、食込み量dは、腹当たり状態になるまでしか大きくできず、結果としてクリーニングブレード2の線圧を大きく上げることはできない。そこで、本構成例1では、クリーニングブレード2の感光体ドラム表面移動方向に配向した2つの側面のうちの上流側の側面を、感光体ドラム表面移動方向に対して直交する方向すなわちブレード長手方向にわたって感光体ドラム表面側へ押圧する押圧手段によって、線圧を大きく上げる構成となっている。
図1は、本構成例1におけるクリーニング装置25が有するクリーニングブレード2を感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図である。また、図4は、このクリーニング装置25のクリーニングブレード2の斜視図である。
本構成例1のクリーニングブレード2は、初期接触角度θかつ食込み量dで、感光体ドラム1の表面移動方向Aに対してカウンタ方向になるように、その先端部分が感光体ドラム表面に当接している。このクリーニングブレード2は、反発弾性が8[%]以上30[%]以下であり、その硬度(JIS−A)が70[°]以上80[°]以下であるポリウレタンゴムを素材とした弾性体である。このクリーニングブレード2の厚さt1は、1.0[mm]以上5.0[mm]以下のものが好ましく、初期接触角度θは15[°]以上30[°]以下、食込み量dは0.5[mm]以上2.0[mm]以下であるのが好ましい。本構成例1においては、初期接触角θを20[°]とし、食込み量dを1.0[mm]としている。
本構成例1では、図示のように、厚さ0.1[mm]以上0.5[mm]以下の金属板からなるバックアップ部材4が、クリーニングブレード2の感光体ドラム表面移動方向上流側の側面に対向するように設けられている。このバックアップ部材4の一端部(固定端部)は、クリーニングブレード2を支持する金属支持板3に固定されており、他端部(押圧端部)は、感光体ドラム表面移動方向上流側の側面のうち、ブレード先端部に対応する部分に後述の接合部材5を介して固定されている。そして、このバックアップ部材4は、その押圧端部で、自己の撓みに対する復元力により、ブレード先端部の感光体ドラム表面移動方向上流側の側面部分のみを押圧する。このバックアップ部材4の復元力がブレード先端部に加わることで、食込み量dだけを大きくして線圧を上げる上記方法以上の線圧を実現することができる。
しかも、本構成例1のようにブレード先端部のみ押圧する構成とすることで、バックアップ部材4の撓みに対する復元力を、ブレード先端部と感光体ドラム表面との当接部分に効率よく伝達でき、より大きな線圧を実現することができる。
また、感光体ドラム1の偏心等によって回転中の感光体ドラムには回転振れが生じるし、感光体ドラム1の表面には微少な凹凸やうねりが存在する。このような回転振れ、表面の凹凸やうねりに追従して感光体ドラム表面との密着状態を維持できるように、クリーニングブレード2は、上述したように、ゴム等の弾性材からなり撓んだ状態で感光体ドラム表面に当接するようになっている。しかし、本構成例1においては、ブレード先端部にバックアップ部材の押圧端部が固定されているため、このバックアップ部材が剛体であると、クリーニングブレード2が感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりに追従して変位することができなくなってしまう。そこで、本構成例1においては、バックアップ部材4として、上述したように、厚さ0.1[mm]以上0.5[mm]以下の金属板を用い、これを撓ませた状態で使用している。このような構成とすることで、感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりに追従するようにクリーニングブレード2が変位するのをバックアップ部材4が妨げることがない。なお、バックアップ部材4である金属板の材料としては、SUSまたはリン青銅などを用いることができる。
また、本構成例1において、バックアップ部材4は、クリーニングブレード2の側面に平行に配置されているため、バックアップ部材4の撓みに対する復元力は、クリーニングブレード2の側面(感光体ドラム表面移動方向上流側の側面)のおおよそ法線方向に働く。そして、バックアップ部材4の押圧端部を単純にブレード先端部の側面部分に固定した場合、その復元力は、その側面部分の真反対に位置する側面部分に伝わることになる。しかし、スティック状態において、感光体ドラム表面と当接するのは、図20に示したようにブレード先端面の一部である。よって、バックアップ部材4の復元力は、感光体ドラム表面との当接部分よりも感光体ドラム表面移動方向下流側へズレた部分に伝わってしまう。そこで、本構成例1では、次のようにして、バックアップ部材4の復元力が感光体ドラム表面との当接部分に適正に伝わるようにしている。
図5は、ブレード先端部を感光体ドラム軸方向から見た拡大図である。本構成例1においては、バックアップ部材4とブレード先端部との間に接合部材5が設けられている。この接合部材5及びバックアップ部材4と、接合部材5及びクリーニングブレード2とは、それぞれ接着剤を用いて接合されている。ここで、接合部材5は、図示のようにクリーニングブレード2に設けられた凹部Dに嵌合した状態で接着されている。この凹部Dの底面は、クリーニングブレード2が初期接触角θで感光体ドラム表面に当接した状態にあるとき、その当接部分における感光体ドラム表面と平行となる。そして、接合部材5は、この状態にあるときに、凹部Dの底面に接着される面がこの底面と平行となり、かつ、その面の反対面がバックアップ部材4のクリーニングブレード側の面と平行となるような形状をなしている。このような構成により、バックアップ部材4の撓みに対する復元力のうち、上記当接部分における感光体ドラム表面に平行な成分については、接合部材5を介して凹部Dの感光体ドラム表面移動方向下流側内壁から受ける抗力によって打ち消される。一方、バックアップ部材4の撓みに対する復元力のうち、上記当接部分における感光体ドラム表面の法線方向成分については、接合部材5を介して凹部Dの底面にまっすぐに伝わる。その結果、バックアップ部材4の復元力は、上記当接部分における感光体ドラム表面の法線方向成分だけが、感光体ドラム表面との当接部分に適正に伝わる。したがって、バックアップ部材4の撓みに対する復元力を、ブレード先端部と感光体ドラム表面との当接部分により効率的に伝達でき、更に大きな線圧を実現することができる。
以上、本構成例1によれば、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を得ることができる。
〔構成例2〕
次に、上記クリーニング装置25の他の構成例(以下、本構成例を「構成例2」という。)について説明する。
図6は、本構成例2におけるクリーニング装置25が有するクリーニングブレード2を感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図である。また、図7は、このクリーニング装置25のクリーニングブレード2の斜視図である。
本構成例2の構成は、クリーニングブレード2を押圧する押圧手段の構成が異なる点を除いて、上記構成例1の構成と同様である。具体的に説明すると、本構成例2のバックアップ部材104は、剛体からなる板部材であり、その押圧端部とブレード端部との間には、ブレード長手方向に等間隔で並んだ複数の圧縮バネ6が固定配置されている。すなわち、本構成例2では、バックアップ部材104に支持された複数の圧縮バネ6のバネ弾性によりクリーニングブレード2を押圧する構成となっている。これらの圧縮バネ6は、接着層7を介してクリーニングブレード2に接合されている。各圧縮バネ6としては、その線径が0.5[mm]以上1[mm]以下のコイル状の圧縮バネを用いている。
本構成例2においても、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を得ることができる。
〔構成例3〕
次に、上記クリーニング装置25の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例3」という。)について説明する。
図8は、本構成例3におけるクリーニング装置25が有するクリーニングブレード2を感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図である。
本構成例3の構成は、上記構成例1における接合部材5に代えて弾性部材208を用いている点を除いて、上記構成例1の構成と同様である。具体的に説明すると、この弾性部材208は、クリーニングブレード2の反発弾性よりも大きな反発弾性をもつゴム等の弾性体で形成されている。バックアップ部材4の撓みに対する復元力は、上記構成例1の場合と同様に、弾性部材208を介して、ブレード先端部と感光体ドラム表面との当接部分に効率よく伝達される。そして、本構成例3では、弾性部材が上記のような反発弾性を有することで、感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりに対するクリーニングブレード2の追従性を向上させることができる。
すなわち、感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりによって、感光体ドラム表面がクリーニングブレード2に対して近づこうとすると、クリーニングブレード2はこれに追従して変形して密着状態を維持しようとする。また、感光体ドラム表面がクリーニングブレード2に対して離れようとすると、クリーニングブレード2はこれに追従して復元して密着状態を維持しようとする。ここで、本実施形態では、スティックスリップ運動を防止してクリーニング性の向上を図るべく、クリーニングブレード2として、反発弾性が8[%]以上30[%]以下という低いものを用いている。そのため、上記のような変形に対してもその復元スピードが遅い。よって、感光体ドラム表面がクリーニングブレード2に対して離れようとする際に、クリーニングブレード2の復元が遅れて追従できない場合がある。そこで、本構成例3では、クリーニングブレード2の反発弾性よりも大きな反発弾性をもつ弾性部材208をブレード先端部とバックアップ部材4との間に介在させている。感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりによってクリーニングブレード2が変形し、復元すると、これに追従して弾性部材208も変形し、復元する。よって、クリーニングブレード2が復元する際には、弾性部材208の復元力がクリーニングブレード2に伝わる。したがって、クリーニングブレード2の復元スピードは弾性部材208の復元スピードによって増速される。その結果、感光体ドラム表面がクリーニングブレード2に対して離れようとする際に、クリーニングブレード2の復元が遅れずに追従することができる。
以上、本構成例3によれば、感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりが生じたときに、感光体ドラムの表面に対するクリーニングブレード2の追従性を向上させることができる。
〔構成例4〕
次に、上記クリーニング装置25の更に他の構成例(以下、本構成例を「構成例4」という。)について説明する。
図9は、本構成例4におけるクリーニング装置25が有するクリーニングブレード2を感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図である。
本構成例4の構成は、上記構成例1における接合部材5に代えて圧電素子309を用い、この圧電素子に印加する電圧を制御する電圧制御手段としての電圧制御部310を備えている点を除いて、上記構成例1の構成と同様である。また、本構成例4は、バックアップ部材104が上記構成例2と同様に剛体からなる板部材である点でも、上記構成例1の構成とは異なっている。
上記圧電素子309としては、積層圧電素子を用いるのが好ましい。この積層圧電素子は、素子自体の固有振動数が50〜100KHzと高く、また発生する力が非常に大きいからであるので、クリーニングブレード2の厚みを厚くして高い振動数まで応答が可能な構成が容易となる。この圧電素子309は、電圧制御部310から印加される電圧によって、クリーニングブレード2とバックアップ部材4との間の間隔を広げる向き又は狭める向きに変形する。よって、電圧制御部310により、クリーニングブレード2とバックアップ部材4との間の間隔を広げる向きに圧電素子309を変形させれば、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接圧を高めることができる。このような構成とすることで、必要なときにだけ、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との間に高い当接圧を発生させることができる。その結果、感光体ドラム1の表面をクリーニングする必要があるときだけ電圧制御部310から圧電素子309に所定の電圧を印加して当接圧を高くし、クリーニングが不要なときには電圧制御部310からの電圧を切るか又は上記当接圧を低くする所定の電圧を圧電素子309に印加するかして、当接圧を低くすることができる。このように必要なときにだけ当接圧を高くすることで、クリーニングブレード2の先端部の摩耗及び感光体ドラム表面の膜削れが抑制される。したがって、クリーニングブレード2及び感光体ドラム1を長寿命化することができる。
また、本構成例4の構成によれば、電圧制御部310により、クリーニングブレード2と感光体ドラム表面との当接圧の大きさを、任意のタイミングで調節することができる。したがって、例えば、本クリーニング装置によりクリーニングした直後の感光体ドラム表面上の残留したトナー量を光学センサ等の検知手段により検知し、その検知結果に応じて電圧制御部310により上記当接圧を変えるように電圧を制御してもよい。この場合、例えば、検知したトナー量が規定量よりも多いときには上記当接圧を高めるように電圧制御を行い、検知したトナー量が規定量よりもずっと少ないときには上記当接圧を低くするように電圧制御を行う。これにより、クリーニング不良が起きない最小限必要な当接圧でクリーニングを行うことができ、クリーニング不良を抑制しつつ、クリーニングブレード2及び感光体ドラム1の長寿命化を図ることができる。
なお、上述した構成例1乃至4では、クリーニング装置25に押圧手段を設けて、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を実現する構成について説明したが、このような押圧手段を設けることなく、クリーニングブレードの形状等を工夫することにより、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を実現することも可能である。
〔確認試験〕
次に、上述した構成例1乃至4のクリーニング装置を用いて、球形トナーのクリーニング性を評価した確認試験について説明する。
下記の表4は、本確認試験におけるクリーニング性の評価結果を示すものである。本確認試験では、リコー社製の「imagio NEO 352」を用い、そのクリーニング装置を上記構成例1乃至4のクリーニング装置に代えたものを用いた。なお、比較のため、線圧が低い場合の条件についても評価を行った。このクリーニング性の評価は、上述した実験例の場合と同様である。
なお、本確認試験における構成例1乃至4についての主な試験条件は、初期接触角θが20[°]、食込み量dが1.0[mm]、感光体ドラム1の表面に対するクリーニングブレードの線圧が90[g/cm]、クリーニングブレード2の厚さt1が2.0[mm]、その自由端部分の長さt2が7.0[mm]、クリーニングブレード2の反発弾性が25[%]、クリーニングブレード2の硬度(JIS−A)が75[°]である。
また、比較例1についての主な試験条件は、初期接触角θが20[°]、食込み量dが1.0[mm]、感光体ドラム1の表面に対するクリーニングブレードの線圧が70[g/cm]、クリーニングブレード2の厚さt1が2.0[mm]、その自由端部分の長さt2が7.0[mm]、クリーニングブレード2の反発弾性が25[%]、クリーニングブレード2の硬度(JIS−A)が75[°]である。
また、比較例2についての主な試験条件は、初期接触角θが20[°]、食込み量dが1.0[mm]、感光体ドラム1の表面に対するクリーニングブレードの線圧が125[g/cm]、クリーニングブレード2の厚さt1が2.0[mm]、その自由端部分の長さt2が7.0[mm]、クリーニングブレード2の反発弾性が25[%]、クリーニングブレード2の硬度(JIS−A)が75[°]である。
Figure 2006011375
上記表4に示すように、上記構成例1乃至4については、比較例1に比べて格段にクリーニング性が向上することが確認された。また、上記構成例1乃至4については、耐久性に関しても特に問題なく、長期に渡って安定した画像を出力することができた。なお、比較例2については、1000枚程度で終了したあたりでクリーニングブレードの巻き込みが発生し、装置が停止してしまった。これは、線圧が高すぎたためだと考えられる。そして、本発明者らが種々の実験を行った結果、線圧としては120[g/cm]が上限であることが判明した。
〔実施形態2〕
次に、画像形成装置であるプリンタの他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
本実施形態2のプリンタは、上記感光体ドラム1と上記構成例1乃至4のクリーニング装置25とを一体に支持し、プリンタ本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有するものである。なお、本実施形態2では、感光体ドラム1及びクリーニング装置25のほか、帯電装置21及び現像装置23も一体に支持したプロセスカートリッジであるが、少なくとも、感光体ドラム1及びクリーニング装置25を一体に支持したものであればよい。また、プリンタ本体部分の基本構成は、上記実施形態1と同様である。
図10は、本実施形態2に係るプリンタに着脱可能なプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図である。一般に、プロセスカートリッジは、クリーニング装置25で回収した廃トナーを蓄えるスペースが必要である。本実施形態2では、球形トナーを用いることができるので、転写効率が良く、転写残トナーが少ないことから、従来の粉砕トナーに比べて廃トナーの量を少なく抑えることができる。したがって、プロセスカートリッジ内における廃トナーを蓄えるスペースを小さくでき、コンパクトなプロセスカートリッジを実現できる。また、一般に、このような電子写真方式の画像形成装置は、その構成が複雑で、これを構成する各装置を容易に交換したりすることが困難である場合が多いが、本実施形態2のように交換等が必要な装置について一体に支持したプロセスカートリッジとすることで、その交換等が容易となり、利便性が向上する。
〔実施形態3〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態3」という。)について説明する。本実施形態3のプリンタは、本実施形態2におけるプロセスカートリッジを用いたカラープリンタである。
図11は、本実施形態3に係るプリンタ全体の概略構成図である。このカラープリンタは、本カラープリンタを水平面上に設置したときに、水平方向に長尺な状態となるように、複数のローラ30a,30bに張架された中間転写ベルト27を備えている。この中間転写ベルト27は、図中矢印Dの向きに表面移動する。中間転写ベルト27における水平方向に延在する平面部分には、上述したプロセスカートリッジが4つ並んで配置されている。各プロセスカートリッジは、それぞれ異なる色のトナーを用い、図中左側から順に、イエロー用プロセスカートリッジ28Y、マゼンタ用プロセスカートリッジ28M、シアン用プロセスカートリッジ28C、ブラック用プロセスカートリッジ28Kである。各プロセスカートリッジにおいて感光体ドラム1の表面に形成された各色トナー像は、各感光体ドラム1に中間転写ベルト27を介して対向配置された1次転写装置29Y,29M,29C,29Kによって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上に1次転写される。このとき、ブラック用プロセスカートリッジ28Kから図中左側から向かって、順次、中間転写ベルト27上に各色トナー像が互いに重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト27上には、各色トナー像が互いに重なり合った重ね合わせトナー像が形成される。この重ね合わせトナー像は、中間転写ベルト27の表面移動に伴って2次転写装置32と対向する2次転写領域へ搬送される。また、この2次転写領域には、重ね合わせトナー像の先端がこの領域へ進入するタイミングに合わせて、図中矢印Eの向きに搬送される記録材Pも進入してくる。そして、2次転写装置32によって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上の重ね合わせトナー像は、記録材P上に一括して2次転写される。このようにして重ね合わせトナー像が転写された記録材Pは、図示しない定着装置へ搬送され、ここで重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
なお、本実施形態3のプリンタは、4つのプロセスカートリッジを、中間転写ベルト27の表面移動方向上流側から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に配置しているが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で配置してもよい。
〔実施形態4〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態4」という。)について説明する。本実施形態4のプリンタも、本実施形態2におけるプロセスカートリッジを用いたカラープリンタである。
図12は、本実施形態4に係るプリンタ全体の概略構成図である。このカラープリンタは、上記実施形態3の中間転写ベルト27に代えて、表面に記録材Pを担持した状態で表面移動する記録材搬送ベルト34を用い、各プロセスカートリッジ28Y,28M,28C,28Kの感光体ドラム1上の各色トナーを、直接記録材P上に重なり合うように転写するものである。なお、本実施形態4においても、4つのプロセスカートリッジの配置順序は任意である。
〔実施形態5〕
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態5」という。)について説明する。本実施形態5のプリンタも、本実施形態2におけるプロセスカートリッジを用いたカラープリンタである。
図13は、本実施形態5に係るプリンタ全体の概略構成図である。このカラープリンタは、上記実施形態3の場合と同様に中間転写ベルト27を用いて記録材P上に重ね合わせトナー像を転写するこのであるが、2次転写後の像担持体としての中間転写ベルト27の表面部分に残留した転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置35を備えている。このベルトクリーニング装置35は、上述した構成例1乃至4のクリーニング装置25と同様の構成になっている。このベルトクリーニング装置35は、ローラ30cによって巻き回されている中間転写ベルト27の表面部分にクリーニングブレードが当接するように配置されている。上述した構成例1乃至4のクリーニング装置と同様の構成を有するベルトクリーニング装置35によれば、中間転写ベルト27のようなベルト状の像担持体表面に付着した球形トナーも、高いクリーニング性をもってクリーニングすることが可能である。
なお、上述した実施形態におけるクリーニング装置25のクリーニング対象となる感光体ドラムとして利用可能なものを例示する。
図14は、導電性支持体401上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層402が設けられた感光体ドラムを示す断面図である。
図15は、導電性支持体401上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層403と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層404とが積層された感光体ドラムを示す断面図である。
図16は、導電性支持体401上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層402が設けられ、更に感光層表面にフィラーを含有したフィラー補強電荷輸送層405が設けられた感光体ドラムを示す断面図である。
図17は、導電性支持体401上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層403と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層404とが積層され、更に電荷輸送層上にフィラーを含有したフィラー補強電荷輸送層405が設けられた感光体ドラムを示す断面図である。
尚、図14の単層感光層402及び第15の電荷輸送層404に、フィラーを含有させて機械強度を向上させることも可能である。
導電性支持体401としては、体積抵抗1010[Ω・cm]以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体401として用いることができる。
この他、支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、上記導電性支持体401として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、上記導電性支持体401として良好に用いることができる。
感光層は、電荷発生物質を電荷輸送層に分散させた単層型でも、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型でもよい。
はじめに、図15及び図17に示したように、電荷発生層403と電荷輸送層404を順次積層させた積層型感光体について説明する。
電荷発生層403は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層403に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層403のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
電荷発生層403に併用できる電荷輸送物質には電子輸送物質と正孔輸送物質とがあり、これらは更に低分子型の電荷輸送物質と高分子型の電荷輸送物質がある。以下、高分子型の電荷輸送物質を高分子電荷輸送物質と称する。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表される電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、以下に表される高分子電荷輸送物質を用いることができる。たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開平7−325409号公報に例示されるトリアリールアミン構造を有する重合体等が挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層403は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
電荷発生層403を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、キャスティング法によって電荷発生層403を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層403の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.05〜2[μm]である。
次に、電荷輸送層404について、説明する。
電荷輸送層404は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送層の膜厚は、10〜100[μm]程度が適当であり、解像力が要求される場合、10〜30[μm]程度が適当である。
バインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、また、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送物質として用いることのできる材料は、上述の低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質および高分子電荷輸送物質が挙げられる。低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、この使用量は高分子化合物100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは50〜100重量部程度が好ましい。また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100重量部に対して樹脂成分が0〜500重量部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられる。
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。
電荷輸送層404は、後述のフィラー補強電荷輸送層405を設けない場合であって、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料を電荷輸送層404の表面部位に添加することも可能である。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。また、これらのフィラー材料は単独もしくは2種類以上を混合して用いられる。これらのフィラーは塗工液および塗工膜中の分散性向上を目的として、表面処理剤によるフィラー表面の改質が施されてもよい。
これらのフィラー材料は、電荷輸送物質や結着樹脂、溶媒等とともに適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの一次粒径の平均は、0.01〜0.8[μm]であることが電荷輸送層404の透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
また、これらのフィラーを電荷輸送層全体に含有させることも可能であるが、露光部電位が高くなるような場合があるため、電荷輸送層の最表面側が最もフィラー濃度が高く、支持体側が低くなるようにフィラー濃度傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、フィラー濃度を順次高くしたりするような構成にすることが好ましい。
電荷輸送層404の表面側に含有される無機フィラー層の膜厚(表面からの深さ)は0.5[μm]以上であることが好ましく、より好ましくは2[μm]以上が好ましい。
フィラー補強電荷輸送層405を設ける場合、電荷輸送層404は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送層404の膜厚は、10〜100[μm]程度が適当であり、解像力が要求される場合、10〜30[μm]程度が適当である。この場合の電荷輸送層404に用いることのできるバインダー成分は、例えば、前述の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、また、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送物質として用いることのできる材料も前述の低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質および高分子電荷輸送物質が挙げられる。
また、必要により適当な酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.1〜200重量部、好ましくは、0.1〜30重量部、レベリング剤の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.001〜5重量部程度が適当である。
次に、フィラー補強電荷輸送層405について説明する。
フィラー補強電荷輸送層405とは、少なくとも電荷輸送成分とバインダー樹脂成分とフィラーが含まれ、電荷輸送性と機械的耐性を併せ持つ機能層を指す。フィラー補強電荷輸送層405は、従来型の電荷輸送層に匹敵する高い電荷移動度を示す特徴を有し、これは表面保護層と区別される。また、フィラー補強電荷輸送層405は、積層型感光体における電荷輸送層404を2層以上に機能分離した表面層として用いられる。すなわち、この層はフィラーの含まれない電荷輸送層404との積層で用いられ、単独で用いられる事が無い。このため、フィラーが添加剤として電荷輸送層中に分散された場合の電荷輸送層の単一層と区別される。
フィラー補強電荷輸送層405に用いられるフィラー材料としては、電荷輸送層404の説明に挙げたように、無機材料、特にシリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。また、これらのフィラー材料は単独もしくは2種類以上を混合して用いられる。
これらのフィラーは塗工液および塗工膜中の分散性向上を目的として、前述と同様、表面処理剤によるフィラー表面の改質が施されてもよい。これらのフィラー材料は、電荷輸送物質や結着樹脂、溶媒等とともに適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの一次粒径の平均は、0.01〜0.8[μm]であることが電荷輸送層の透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
フィラー補強電荷輸送層405の膜厚は0.5[μm]以上であることが好まく、より好ましくは2[μm]以上が好ましい。
次に感光層が電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層402の場合について述べる。
単層感光層402は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層404で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層403で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層402は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層402の膜厚は、5〜25[μm]程度が適当である。
感光層が最表面層になるような構成において、感光層表面にフィラーを含有させることも可能である。この場合にも、電荷輸送層404の場合と同様に、感光層全体にフィラーを含有することもできるが、フィラー濃度勾配を設けるか、複数層の感光層の構成とし、フィラー濃度を順次変えた構成にすることは有効な手段である。
感光体においては、導電性支持体401と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜20[μm]が適当であり、好ましくは1〜10[μm]である。
耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(b) パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c) ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。

(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2'チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
次に、感光体ドラムの一製造例について説明するが、これに限られるものではない。
φ30[μm]アルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5[μm]の下引き層、0.2[μm]の電荷発生層、28[μm]の電荷輸送層を形成した。その上に下記の無機フィラー塗工液をジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで2時間粉砕(塊砕)して塗工液とした。この液をスプレーで塗工して1.5[μm]のフィラー補強電荷輸送層を設け電子写真感光体を得た。
使用した下引き層用塗工液は、アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL,大日本インキ化学工業製)が6重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業製)が4重量部、酸化チタン(CR−EL 石原産業社製)が40重量部、メチルエチルケトンが200重量部からなるものである。
使用した電荷発生層用塗工液は、オキソチタニウムフタロシアニン顔料が2重量部、ポリビニルブチラール(UCC:XYHL)が0.2重量部、テトラヒドロフランが50重量部からなるものである。
使用した電荷輸送層用塗工液は、ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製)が12重量部、下記化1に示す構造の低分子電荷輸送物質が10重量部、テトラヒドロフランが100重量部、1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)テトラヒドロフラン溶液が1重量部からなるものである。
Figure 2006011375
使用したフィラー補強電荷輸送層用塗工液は、ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、粘度平均分子量;5万、帝人化成社製)が4重量部、下記化2に示す構造の低分子電荷輸送物質が3重量部、α−アルミナ(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製)が0.7重量部、シクロヘキサノンが280重量部、テトラヒドロフランが80重量部からなるものである。
Figure 2006011375
以上、上述した実施形態のプリンタは、表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体としての感光体ドラム1又は中間転写ベルト27(以下、適宜「感光体ドラム等」という。)と、感光体ドラム等の表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレード2を用いて感光体ドラム等の表面に付着した不要トナーである転写残トナーをその表面から除去するクリーニング装置25,35とを備えている。このプリンタは、感光体ドラム等の表面移動方向に対してブレード先端部がカウンター方向に当接するようにクリーニングブレード2が配置されている。そして、少なくとも感光体ドラム等の表面移動中はブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、ブレード先端部と感光体ドラム等の表面との当接部分を転写残トナーが通過した直後からブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されている。したがって、上述のように、ブレード先端部のスリップ状態になった部分から一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまう事態を阻止することができる。
また、上述した実施形態においては、上記弾性材で形成されたクリーニングブレード部分は、硬度が70[°]以上80[°]以下であり、23[℃]における反発弾性が8[%]以上30[%]以下であり、上記当接部分の線圧は、80[g/cm]以上120[g/cm]以下である。これにより、上述した実験例1及び実験例2で説明したように、球形トナーをほぼ完全にクリーニングすることができる。
また、上述した実施形態においては、上述した構成例1乃至4のように、クリーニングブレード2の感光体ドラム表面移動方向に配向した2つの側面のうち、感光体ドラム表面移動方向上流側の側面を、感光体ドラム表面移動方向に対して直交する方向にわたって感光体ドラム表面側へ押圧する押圧手段としてのバックアップ部材4、圧縮バネ6、圧電素子309及び電圧制御部310を有している。このような押圧手段を用いることで、上述したように80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を実現することができる。
また、上述した実施形態においては、上述した構成例1乃至4のように、上記押圧手段が感光体ドラム表面移動方向上流側の側面のうちブレード先端部に対応する部分のみを押圧するものである。よって、上述したように、押圧手段で発生した押圧力を、ブレード先端部と感光体ドラム表面との当接部分に効率よく伝達でき、より大きな線圧を実現することができる。
また、上述した構成例1で説明したように、上記押圧手段で発生した押圧力が、ブレード先端部の当接した感光体ドラム表面部分に対してその法線方向から伝わるように構成すれば、押圧手段で発生した押圧力を、ブレード先端部と感光体ドラム表面との当接部分により効率よく伝達でき、更に大きな線圧を実現することができる。
また、上述した構成例3では、バックアップ部材4とクリーニングブレード2との押圧箇所に介在し、弾性材で形成されたクリーニングブレード部分の反発弾性よりも大きな反発弾性をもつ弾性部材208を有する。これにより、上述したように、感光体ドラム1の回転振れや表面の凹凸、うねりに対するクリーニングブレード2の追従性を向上させることができる。
また、上述した構成例4では、上記押圧手段が、固定配置された支持部材であるバックアップ部材104に支持された圧電素子309と、この圧電素子309に印加する電圧を制御する電圧制御手段としての電圧制御部310とから構成されている。これにより、上述したように、圧電素子309に印加する電圧を電圧制御部310により適宜制御することで、クリーニングブレード2及び感光体ドラム1を長寿命化することができる。
また、上述した構成例1では、ブレード先端部とは反対側の後端部でクリーニングブレード2を支持するブレード支持部材としての金属支持板3を有し、上記押圧手段が、金属支持板3に固定された厚さ0.1[mm]以上0.5[mm]以下の金属板であってその金属板の撓みに対する復元力により押圧するものである。これにより、簡易な構成で、80[g/cm]以上120[g/cm]以下という高い線圧を実現することができる。
また、上述した実施形態2乃至5のプリンタは、感光体ドラム1とクリーニング装置25とを一体に支持し、プリンタ本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有する。これにより、上述したように、感光体ドラム1やクリーニング装置25を交換する際の利便性が向上する。
実施形態1乃至5に係るプリンタが備えた、構成例1におけるクリーニング装置が有するクリーニングブレードを感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図。 実施形態1に係るプリンタ全体の概略構成図。 (a)及び(b)は、円形度の測定方法を説明するための説明図。 同クリーニングブレードの斜視図。 同クリーニングのブレード先端部を感光体ドラム軸方向から見た拡大図。 構成例2におけるクリーニング装置が有するクリーニングブレードを感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図。 同クリーニングブレードの斜視図。 構成例3におけるクリーニング装置が有するクリーニングブレードを感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図。 構成例4におけるクリーニング装置が有するクリーニングブレードを感光体ドラム軸方向から見たときの拡大図。 実施形態2に係るプリンタに着脱可能なプロセスカートリッジの概略構成を示す断面図。 実施形態3に係るプリンタ全体の概略構成図。 実施形態4に係るプリンタ全体の概略構成図。 実施形態5に係るプリンタ全体の概略構成図。 導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層が設けられた感光体ドラムの例を示す断面図。 導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層された感光体ドラムの例を示す断面図。 導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層が設けられ、更に感光層表面にフィラーを含有したフィラー補強電荷輸送層が設けられた感光体ドラムの例を示す断面図。 導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層され、更に電荷輸送層上にフィラーを含有したフィラー補強電荷輸送層が設けられた感光体ドラムを示す断面図。 従来の、感光体ドラム(像担持体)に対するクリーニングブレードの配置を説明するための説明図。 感光体ドラムを静止させた状態で同クリーニングブレードを食込み量で当接させたときのブレード先端部の変形状態を、感光体ドラム軸方向から見た断面図。 図19に示した状態において感光体ドラム1を図中矢印Aの方向へ表面移動させたときのブレード先端部の変形状態を、感光体ドラム軸方向から見た断面図。 スティック状態の同クリーニングブレードと感光体ドラム表面との当接部分を球形トナーがすり抜ける様子を模式的に示した説明図。 スティック状態からスリップ状態になったクリーニングブレードのブレード先端部分を示す拡大斜視図。
符号の説明
1 感光体ドラム(像担持体)
2 クリーニングブレード
3 金属支持板(ブレード支持部材)
4 バックアップ部材(押圧手段)
5 接合部材
6 圧縮バネ(押圧手段)
7 接着層
25 クリーニング装置
27 中間転写ベルト(像担持体)
28Y,28M,28C,28K プロセスカートリッジ
35 ベルトクリーニング装置
208 弾性部材
309 圧電素子
310 電圧制御部

Claims (10)

  1. 表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体と、
    該像担持体表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレードを用いて、該像担持体表面に付着した不要トナーを該像担持体表面から除去するクリーニング装置とを備えた画像形成装置において、
    上記像担持体の表面移動方向に対して上記ブレード先端部がカウンター方向に当接するように上記クリーニングブレードが配置されており、
    少なくとも該像担持体の表面移動中は該ブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、
    該ブレード先端部と該像担持体表面との当接部分を上記不要トナーが通過した直後から該ブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記弾性材で形成されたクリーニングブレード部分は、硬度が70[°]以上80[°]以下であり、23[℃]における反発弾性が8[%]以上30[%]以下であり、
    上記当接部分の線圧は、80[g/cm]以上120[g/cm]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2の画像形成装置において、
    上記クリーニングブレードの像担持体表面移動方向に配向した2つの側面のうち、像担持体表面移動方向上流側の側面を、像担持体表面移動方向に対して直交する方向にわたって該像担持体表面側へ押圧する押圧手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3の画像形成装置において、
    上記押圧手段は、上記像担持体表面移動方向上流側の側面のうち、上記ブレード先端部に対応する部分のみを押圧するものであることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4の画像形成装置において、
    上記押圧手段で発生した押圧力が、上記ブレード先端部が当接した像担持体表面部分に対してその法線方向から伝わるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項4又は5の画像形成装置において、
    上記押圧手段と上記クリーニングブレードとの押圧箇所に介在し、上記弾性材で形成されたクリーニングブレード部分の反発弾性よりも大きな反発弾性をもつ弾性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項3、4、5又は6の画像形成装置において、
    上記押圧手段は、固定配置された支持部材に支持された圧電素子と、該圧電素子に印加する電圧を制御する電圧制御手段とから構成されていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項3、4、5又は6の画像形成装置において、
    上記ブレード先端部とは反対側の後端部で上記クリーニングブレードを支持するブレード支持部材を有し、
    上記押圧手段は、該ブレード支持部材に固定された厚さ0.1[mm]以上0.5[mm]以下の金属板であって、該金属板の撓みに対する復元力により押圧するものであることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の画像形成装置において、
    上記像担持体と上記クリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 表面にトナー像を担持して表面移動する像担持体と、該像担持体表面と当接するブレード先端部が弾性材で形成されたクリーニングブレードを用いて、該像担持体表面に付着した不要トナーを該像担持体表面から除去するクリーニング装置とを少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、
    上記像担持体の表面移動方向に対して上記ブレード先端部がカウンター方向に当接するように上記クリーニングブレードが配置されているとともに、少なくとも該像担持体の表面移動中は該ブレード先端部がスティック状態となるように構成されており、かつ、該ブレード先端部と該像担持体表面との当接部分を上記不要トナーが通過した直後から該ブレード先端部のトナー通過部分が該像担持体の表面移動方向と反対側へ移動する移動距離が8[μm]未満となるように、構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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JP2010122255A (ja) * 2008-11-17 2010-06-03 Ricoh Co Ltd クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2010145747A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2014142578A (ja) * 2012-12-28 2014-08-07 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

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