JP2007334338A - 電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】高い感度を持ち、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難い電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体において、下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径を0.1μm以下し、累積90%粒子径を0.3μm以下すると共に、感光層中にエステル結合を有するバインダー樹脂を含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、下引き層を有する電子写真感光体並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジに関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜、単に「感光体」という)については、その光導電材料として、無機系の光導電材料に比し、無公害、製造が容易等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した有機感光体が開発されている。
通常、有機感光体は、導電性支持体上に感光層を形成してなる。感光体のタイプとしては、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた単層の感光層(単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる複数の層からなる感光層(積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが知られている。
有機感光体では、感光体の使用環境の変化や繰り返し使用による電気特性等の変化により、当該感光体を用いて形成された画像に様々な欠陥が見られることがある。これを改善する技術の一つとして、安定して良好な画像を形成するために、導電性基板と感光層との間にバインダー樹脂と酸化チタン粒子とを有する下引き層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
有機感光体の有する層は、通常、その生産性の高さから、各種溶媒中に材料を溶解または分散した塗布液を、塗布、乾燥することにより形成される。この際、酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有する下引き層では、酸化チタン粒子とバインダー樹脂は下引き層中において相溶しない状態で存在しているため、当該下引き層形成用塗布液は、酸化チタン粒子を分散した塗布液により形成される。
従来、このような塗布液は、酸化チタン粒子を長時間に亘り、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミルなどの公知の機械的な粉砕装置で有機溶媒中にて湿式分散することにより製造するのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。そして、下引き層形成用塗布液中の酸化チタン粒子を分散メディアを用いて分散する場合、分散メディアの材質をチタニアまたはジルコニアにすることにより、低温低湿条件下でも帯電露光繰り返し特性の優れた電子写真感光体を提供することができることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用される。この際、感光体は繰り返し使用されるため、様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れたりすることや、除電光、外部からの光等によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。さらに、感光体を帯電させるために電子写真感光体に接触している帯電ローラーや帯電ブラシ、余分なトナーを除去するためのクリーニングブレード、画像を転写するための転写ローラー、現像剤、紙等との接触等による感光層表面の摩耗、傷の発生、膜の剥がれなどによる機械的劣化も挙げられる。特に、このような感光層表面に生じる損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため、感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。
表面保護層等の機能層を設けない一般的な感光体の場合、感光層がこのような負荷を受ける。感光層は、通常、バインダー樹脂と光導電性物質とからなり、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂である。しかし、光導電性物質のドープ量が相当多いため、感光層に十分な機械強度を持たせるには至っていない。
また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性が良いことも要求される。
また、電子写真感光体を構成する各層は、通常、支持体上に光導電性物質、バインダー樹脂等を含有する塗布液を、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等により塗布して形成される。これらの層形成方法では、層に含有させる物質を溶剤に溶解させて得られる塗布溶液として、塗布する等の公知の方法が適用されている。そして多くの工程では、予め塗布溶液を調整し、それを保存することが行われている。
感光層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(特許文献3〜特許文献6参照)。
一方、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いた電子写真用感光体は、ポリカーボネートを用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献7参照)。
また、特定構造の二価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、電子写真用感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性が向上し、さらに、電子写真用感光体の機械的強度、耐磨耗性が改良されることが報告されている(特許文献8及び特許文献9参照)。
特開平11−202519号公報 特開平6−273962号公報 特開昭50−098332号公報 特開昭59−071057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平03−063653号公報 特開昭56−135844号公報 特開平03−006567号公報 特開平10−288845号公報
上述したように、感光体は、使用時に様々なストレスを受けて劣化する。特に、転写によって感光体が繰り返しプラスの帯電されることによって画像濃度の変化が生じる、いわゆる転写メモリーは、高画質化の要求が高まるに伴い、重要視されている(例えば、特開平7−295268号公報、特開2003−316035号公報を参照)。
ところで、近年、複写機、プリンターは共にモノクロからフルカラー化に向かっている。このフルカラー画像形成方法には主としてタンデム方式、4サイクル方式があり、また、印刷媒体への転写方式としては、直接転写方式、転写ドラム方式、中間転写方式、多重現像一括転写方式などがある。これらの中でタンデム方式、即ち、各色画像を各別の画像形成ユニットで形成し、逐次転写していくカラー画像形成装置は、使用可能な記録材の種類が豊富であり、フルカラーの品質も高く、高速度でフルカラー画像を得ることができることから、優れた画像形成方法である。中でも、高速でフルカラー画像ができる特質は、他の方式では得難い利点である。
ところが、タンデム方式の場合は、高速である反面、各色画像を複数の画像形成ユニットで形成し、逐次転写していく方式を採用している。このため、タンデム方式では画像形成ユニットが後になるほど非転写媒体(中間転写媒体または記録材)に転写されたトナー像の厚みが厚くなり、電子写真感光体上に形成されたトナー層を転写するためには、より大きな転写電圧を印可することが多かった。この結果、上記逆極性を負荷された場合の感光層への電荷の注入がより顕著となり、部位によって画像上の濃淡がより明瞭に生じる場合があった。
一方で、近年の電子写真プロセスの高速化に伴い、電子写真感光体の特性として高感度化が望まれており、そのためには電荷発生材料の最適化が要求される。また、感光層全体としては、前述のような転写の影響を受け難い感光体を構築することも望まれる。
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたもので、高い感度を持ち、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難い電子写真感光体、並びに、それを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行なった結果、特定の下引き層と特定のバインダー樹脂を有する感光層とを組み合わせて電子写真感光体に用いることにより、感光体のその他諸特性に悪影響を与えることなく、高い感度を示し、かつ電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難い電子写真感光体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体において、該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、該感光層中に、エステル結合を有するバインダー樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体に存する(請求項1)。
このとき、前記のエステル結合を有するバインダー樹脂が、ポリカーボネート又はポリエステルであることが好ましい(請求項2)。
また、前記ポリエステルは、ポリアリレートであることが好ましい(請求項3)。
さらに、前記のエステル結合を有するバインダー樹脂が、界面重合法により製造されたものであることも好ましい(請求項4)。
本発明の別の要旨は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置に存する(請求項5)。
本発明の更に別の要旨は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段、及び、該電子写真感光体に付着した前記トナーを回収するクリーニング手段の少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジに存する(請求項6)。
本発明によれば、高い感度を有し、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難い電子写真感光体、並びに、それを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成された感光層とを有して構成されたものである。また、本発明の電子写真感光体においては、下引き層として所定の粒径分布を有する金属酸化物粒子を含むものを用いると共に、感光層がエステル結合を有するバインダー樹脂(以下適宜、「エステル含有樹脂」という)を含有するようにしている。
[I.導電性支持体]
導電性支持体に特に制限は無いが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。
また、導電性支持体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでもよい。
さらに、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理を施してから用いてもよい。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、これらの酸性浴のうちでも特に硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/L、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/L、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対しては、封孔処理を行なうことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行なわれればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、或いは、主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/Lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25℃以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下の範囲が好ましい。また、同様の観点から、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上、また、通常6.5以下、好ましくは6.0以下の範囲で処理するのが好ましい。pH調節剤としては、例えば、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。また、処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するために、例えばフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に含有させておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
一方、前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、例えば、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液などを用いることが出来るが、特に酢酸ニッケル水溶液を用いることが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/Lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下の範囲で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理することが好ましい。ここで、pH調節剤としては、例えばアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。また、処理時間は通常10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために、例えば酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に含有させてもよい。更に、実質上塩類を含有しない高温水または高温水蒸気により処理しても構わない。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。
陽極酸化被膜の平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とすることがある。この場合、生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなることがある。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
導電性支持体の表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
[II.下引き層]
下引き層は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する層である。また、下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限りその他の成分を含有していてもよい。
本発明に係る下引き層は、導電性支持体と感光層との間に設けられ、導電性支持体と感光層との接着性の改善、導電性支持体の汚れや傷などの隠蔽、不純物や表面物性の不均質化によるキャリヤ注入の防止、電気特性の不均一性の改良、繰り返し使用による表面電位低下の防止、画質欠陥の原因となる局所的な表面電位変動の防止等の機能の少なくともいずれか一つを有し、光電特性の発現に必須ではない層である。
[II−1.金属酸化物粒子]
[II−1−1.金属酸化物粒子の種類]
本発明に係る金属酸化物粒子としては、電子写真感光体に使用可能な如何なる金属酸化物粒子も使用することができる。
金属酸化物粒子を形成する金属酸化物の具体例を挙げると、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物からなる金属酸化物粒子が好ましい。バンドギャップが小さすぎると、導電性支持体からのキャリア注入が起こりやすくなり、黒点や色点などの画像欠陥が発生しやすくなる。また、バンドギャップが大きすぎると、電子のトラッピングにより電荷の移動が阻害されて、電気特性が悪化する可能性があるためである。
なお、金属酸化物粒子は、一種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、金属酸化物粒子は、1種の金属酸化物のみから形成されているものを用いてもよく、2種以上の金属酸化物を任意の組み合わせ及び比率で併用して形成されているものでも良い。
前記の金属酸化物粒子を形成する金属酸化物の中でも、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素及び酸化亜鉛が好ましく、酸化チタン及び酸化アルミニウムがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
また、金属酸化物粒子の結晶型は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば、金属酸化物として酸化チタンを用いた金属酸化物粒子(即ち、酸化チタン粒子)の結晶型に制限は無く、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、酸化チタン粒子の結晶型は、前記の結晶状態の異なるものから、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
さらに、金属酸化物粒子は、その表面に種々の表面処理を行なってもよい。例えば、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、有機珪素化合物等の有機物などの処理剤による処理を施していてもよい。
特に、金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いる場合には、有機珪素化合物により表面処理されていることが好ましい。有機珪素化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のオルガノシラン;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン;ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
また、金属酸化物粒子は、特に、下記式(i)の構造で表されるシラン処理剤で処理することが好ましい。このシラン処理剤は、金属酸化物粒子との反応性も良く良好な処理剤である。
Figure 2007334338
前記式(i)中、R1及びR2は、それぞれ独立してアルキル基を表す。R1及びR2の炭素数に制限は無いが、通常1以上、また、通常18以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。R1及びR2のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基などが挙げられる。
また、前記式(i)中、R3は、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。R3の炭素数に制限は無いが、通常1以上、また、通常18以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。R3のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
1〜R3の炭素数が多くなりすぎると金属酸化物粒子との反応性が低下したり、処理後の金属酸化物粒子の下引き層形成用塗布液中での分散安定性が低下する可能性がある。
なお、これらの表面処理された金属酸化物粒子の最表面は、通常、前記のような処理剤で処理されている。この際、上述した表面処理は、1つの表面処理のみを行なってもよく、2つ以上の表面処理を任意の組み合わせで行なってもよい。例えば、前記の式(i)で表わされるシラン処理剤による表面処理のその前に酸化アルミニウム、酸化珪素または酸化ジルコニウム等の処理剤などで処理されていても構わない。また、異なる表面処理を施された金属酸化物粒子を、任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明に係る金属酸化物粒子のうち、商品化されているものの例を挙げる。ただし、本発明に係る金属酸化物粒子は、以下に例示される商品に限定されるものではない。
酸化チタン粒子の具体的な商品の例としては、表面処理を施していない超微粒子酸化チタン「TTO−55(N)」;Al23被覆を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(A)」、「TTO−55(B)」;ステアリン酸で表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(C)」;Al23とオルガノシロキサンで表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(S)」;高純度酸化チタン「CR−EL」;硫酸法酸化チタン「R−550」、「R−580」、「R−630」、「R−670」、「R−680」、「R−780」、「A−100」、「A−220」、「W−10」;塩素法酸化チタン「CR−50」、「CR−58」、「CR−60」、「CR−60−2」、「CR−67」;導電性酸化チタン「SN−100P」、「SN−100D」、「ET−300W」;(以上、石原産業株式会社製)等が挙げられる。また、「R−60」、「A−110」、「A−150」などの酸化チタン;をはじめ、Al23被覆を施した「SR−1」、「R−GL」、「R−5N」、「R−5N−2」、「R−52N」、「RK−1」、「A−SP」;SiO2、Al23被覆を施した「R−GX」、「R−7E」;ZnO、SiO2、Al23被覆を施した「R−650」;ZrO2、Al23被覆を施した「R−61N」;(以上、堺化学工業株式会社製)等も挙げられる。さらに、SiO2、Al23で表面処理された「TR−700」;ZnO、SiO2、Al23で表面処理された「TR−840」、「TA−500」の他、「TA−100」、「TA−200」、「TA−300」など表面未処理の酸化チタン;Al23で表面処理を施した「TA−400」(以上、富士チタン工業株式会社製);表面処理を施していない「MT−150W」、「MT−500B」;SiO2、Al23で表面処理された「MT−100SA」、「MT−500SA」;SiO2、Al23とオルガノシロキサンで表面処理された「MT−100SAS」、「MT−500SAS」(テイカ株式会社製)等も挙げられる。
また、酸化アルミニウム粒子の具体的な商品の例としては、「Aluminium Oxide C」(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
さらに、酸化珪素粒子の具体的な商品の例としては、「200CF」、「R972」(日本アエロジル社製)、「KEP−30」(日本触媒株式会社製)等が挙げられる。
また、酸化スズ粒子の具体的な商品の例としては、「SN−100P」(石原産業株式会社製)等が挙げられる。
さらに、酸化亜鉛粒子の具体的な商品の例としては「MZ−305S」(テイカ株式会社製)等が挙げられる。
[II−1−2.金属酸化物粒子の物性]
本発明に係る金属酸化物粒子については、その粒径分布に関し、以下の要件が成立する。即ち、本発明にかかる下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液(以下適宜、「下引き層測定用分散液」という)中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下である。
以下、この点につき詳しく説明する。
〔金属酸化物粒子の体積平均粒子径について〕
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された体積平均粒子径が、0.1μm以下、好ましくは95nm以下、より好ましくは90nm以下である。また、前記の体積平均粒子径の下限に制限は無いが、通常20nm以上である。上記範囲を満たすことにより、本発明の電子写真感光体は、低温低湿下での露光−帯電繰り返し特性が安定し、得られる画像に黒点、色点などの画像欠陥が生じることを抑制することができる。
〔金属酸化物粒子の累積90%粒子径について〕
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された累積90%粒子径が、0.3μm以下、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。また、前記の累積90%粒子径の下限に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。従来の電子写真感光体では、下引き層に、金属酸化物粒子が凝集することによってなる、下引き層の表裏を貫通できるほど粗大な金属酸化物粒子凝集体が含有され、当該粗大な金属酸化物粒子凝集体によって、画像形成時に欠陥が生じる可能性があった。さらに、帯電手段として接触式のものを用いた場合には、感光層に帯電を行なう際に当該金属酸化物粒子を通って感光層から導電性支持体に電荷が移動し、適切に帯電を行なうことができなくなる可能性もあった。しかし、本発明の電子写真感光体では、累積90%粒子径が非常に小さいため、前記のように欠陥の原因となるような大きな金属酸化物粒子が非常に少なくなる。この結果、本発明の電子写真感光体では、欠陥の発生、及び、適切に帯電できなくなることを抑制でき、高品質な画像形成が可能である。
〔体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定方法〕
本発明に係る金属酸化物粒子の前記体積平均粒子径及び前記累積90%粒子径は、下引き層を、メタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した混合溶媒(これが、粒度測定時の分散媒となる)に分散して下引き層測定用分散液を調製し、その下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定することにより得られる値である。
動的光散乱法は、微小に分散された粒子のブラウン運動の速さを、粒子にレーザー光を照射してその速度に応じた位相の異なる光の散乱(ドップラーシフト)を検出して粒度分布を求めるものである。下引き層測定用分散液中における金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の値は、下引き層測定用分散液中で金属酸化物粒子が安定に分散しているときの値であり、下引き層形成後の下引き層内での粒径を意味していない。実際の測定では、前記の体積平均粒子径及び累積90%粒子径については、具体的には、動的光散乱方式粒度分析計(日機装社製、MICROTRAC UPA model:9340−UPA、以下UPAと略す)を用いて、以下の設定にて行なうものとする。具体的な測定操作は、上記粒度分析計の取扱説明書(日機装社製、書類No.T15−490A00、改訂No.E)に基づいて行なう。
・動的光散乱方式粒度分析計の設定
測定上限 :5.9978μm
測定下限 :0.0035μm
チャンネル数 :44
測定時間 :300sec.
粒子透過性 :吸収
粒子屈折率 :N/A(適用しない)
粒子形状 :非球形
密度 :4.20g/cm3(*)
分散媒種類 :メタノール/1−プロパノール=7/3
分散媒屈折率 :1.35
(*)密度の値は二酸化チタン粒子の場合であり、他の粒子の場合は、前記取扱説明書に記載の数値を用いる。
なお、分散媒であるメタノールと1−プロパノールとの混合溶媒(重量比:メタノール/1−プロパノール=7/3;屈折率=1.35)の使用量は、試料である下引き層測定用分散液のサンプル濃度指数(SIGNAL LEVEL)が0.6〜0.8になる量とする。
また、動的光散乱による粒度の測定は、25℃で行なうものとする。
本発明に係る金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径とは、上記のように動的光散乱法により粒度分布を測定した場合に、金属酸化物粒子の全体積を100%として、上述した動的光散乱法により小粒径側から体積粒度分布の累積カーブを求めた時、その累積カーブが50%となる点の粒子径を体積平均粒子径(中心径:Median径)とし、累積カーブが90%となる点の粒子径を累積90%粒子径とする。
〔その他の物性〕
本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下である。
なお、この平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission electron microscope:以下適宜「TEM」という)により直接観察される粒子の径の算術平均値によって求めることが可能である。
また、本発明に係る金属酸化物粒子の屈折率にも制限はなく、電子写真感光体に用いることのできるものであれば、どのようなものも使用可能である。本発明に係る金属酸化物粒子の屈折率は、通常1.3以上、好ましくは1.4以上、また、通常3.0以下、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。
なお、金属酸化物粒子の屈折率は、各種の刊行物に記載されている文献値を用いることができる。例えば、フィラー活用辞典(フィラー研究会編,大成社,1994)によれば下記表1のようになっている。
Figure 2007334338
本発明の下引き層において、金属酸化物粒子とバインダー樹脂との使用比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の下引き層においては、バインダー樹脂1重量部に対して、金属酸化物粒子は、通常0.5重量部以上、好ましくは0.7重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、また、通常4重量部以下、好ましくは3.8重量部以下、より好ましくは3.5重量部以下の範囲で用いる。金属酸化物粒子がバインダー樹脂に対して少なすぎると得られる電子写真感光体の電気特性が悪化し、特に残留電位が上昇する可能性があり、多すぎると該電子写真感光体を用いて形成される画像に黒点や色点などの画像欠陥が増加する可能性がある。
[II−2.バインダー樹脂]
本発明の下引き層において使用されるバインダー樹脂としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。通常は、有機溶剤等の溶媒に可溶であって、且つ、下引き層が、感光層形成用の塗布液に用いられる有機溶剤等の溶媒に不溶であるか、溶解性の低く、実質上混合しないものを用いる。
このようなバインダー樹脂としては、例えば、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できる。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等のポリアミド樹脂は、良好な分散性および塗布性を示し好ましい。
ポリアミド樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロン;N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチル変性ナイロンのようにナイロンを化学的に変性させたタイプ等のアルコール可溶性ナイロン樹脂などを挙げることができる。具体的な商品としては、例えば「CM4000」「CM8000」(以上、東レ製)、「F−30K」「MF−30」「EF−30T」(以上、ナガセケムテック株式会社製)等が挙げられる。
これらポリアミド樹脂の中でも、下記式(ii)で表されるジアミンに対応するジアミン成分(以下適宜、「式(ii)に対応するジアミン成分」という)を構成成分として含む共重合ポリアミド樹脂が特に好ましく用いられる。
Figure 2007334338
前記式(ii)において、R4〜R7は、水素原子または有機置換基を表す。m、nはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。なお、置換基が複数ある場合、それらの置換基は互いに同じでも良く、異なっていてもよい。
4〜R7で表される有機置換基として好適なものの例を挙げると、ヘテロ原子を含んでいても構わない炭化水素基が挙げられる。この中でも好ましいものとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基が挙げられ、更に好ましくはアルキル基、またはアルコキシ基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
また、R4〜R7で表される有機置換基の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、また、通常1以上である。炭素数が大きすぎると、下引き層形成用塗布液を用意する際に溶媒への溶解性が悪化し、また、溶解ができたとしても下引き層形成用塗布液としての保存安定性が悪化する傾向を示す。
前記式(ii)に対応するジアミン成分を構成成分として含む共重合ポリアミド樹脂は、式(ii)に対応するジアミン成分以外の構成成分(以下適宜、単に「その他のポリアミド構成成分」という)を構成単位として含んでいてもよい。その他のポリアミド構成成分としては、例えば、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム類;1,4−ブタンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−アイコサンジカルボン酸等のジカルボン酸類;1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等のジアミン類;ピペラジン等などが挙げられる。この際、前記の共重合ポリアミド樹脂は、その構成成分を、例えば、二元、三元、四元等に共重合させたものが挙げられる。
前記式(ii)に対応するジアミン成分を構成成分として含む共重合ポリアミド樹脂がその他のポリアミド構成成分を構成単位として含む場合、全構成成分中に占める式(ii)に対応するジアミン成分の割合に制限は無いが、通常5mol%以上、好ましくは10mol%以上、より好ましくは15mol%以上、また、通常40mol%以下、好ましくは30mol%以下である。式(ii)に対応するジアミン成分が多すぎると下引き層形成用塗布液の安定性が悪くなる可能性があり、少なすぎると高温高湿度条件での電気特性の変化が大きくなり、電気特性の環境変化に対する安定性が悪くなる可能性がある。
前記の共重合ポリアミド樹脂の具体例を以下に示す。但し、具体例中、共重合比率はモノマーの仕込み比率(モル比率)を表す。
Figure 2007334338
前記の共重合ポリアミドの製造方法には特に制限はなく、通常のポリアミドの重縮合方法が適宜適用される。例えば溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の重縮合方法が適宜適用できる。また、重合に際して、例えば、酢酸や安息香酸等の一塩基酸;ヘキシルアミン、アニリン等の一酸塩基などを、分子量調節剤として重合系に含有させてもよい。
なお、バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明に係るバインダー樹脂の数平均分子量にも制限は無い。例えば、バインダー樹脂として共重合ポリアミドを使用する場合、共重合ポリアミドの数平均分子量は、通常10000以上、好ましくは15000以上、また、通常50000以下、好ましくは35000以下である。数平均分子量が小さすぎても、大きすぎても下引き層の均一性を保つことが難しくなりやすい。
[II−3.その他の成分]
本発明の下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した金属酸化物粒子及びバインダー樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、下引き層には、その他の成分として添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、例えば、亜リン酸ソーダ、次亜リン酸ソーダ、亜リン酸、次亜リン酸やヒンダードフェノールに代表される熱安定剤、その他の重合添加剤、酸化防止剤などが挙げられる。なお、添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[II−4.下引き層の物性]
〔膜厚〕
下引き層の膜厚は任意であるが、本発明の電子写真感光体の感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下の範囲が好ましい。
〔表面粗さ〕
本発明に係る下引き層は、その表面形状に制限はないが、通常、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)、面内算術平均粗さ(Ra)、面内最大粗さ(P−V)に特徴を有する。なお、これらの数値は、JIS B 0601:2001の規格における、二乗平均平方根高さ、算術平均高さ、最大高さ、の基準長さを基準面に拡張した数値であり、基準面における高さ方向の値であるZ(x)を用いて、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)はZ(x)の二乗平均平方根を、面内算術平均粗さ(Ra)はZ(x)の絶対値の平均を、面内最大粗さ(P−V)はZ(x)の山高さの最大値と谷深さの最大値との和を、それぞれ表す。
本発明に係る下引き層の面内2乗平均平方根粗さ(RMS)は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下の範囲にある。面内2乗平均平方根粗さ(RMS)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
本発明に係る下引き層の面内算術平均粗さ(Ra)は、通常10nm以上、また、通常50nm以下の範囲にある。面内算術平均粗さ(Ra)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
本発明に係る下引き層の面内最大粗さ(P−V)は、通常100nm以上、好ましくは300nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは800nm以下の範囲にある。面内最大粗さ(P−V)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
なお、前記の表面形状に関する指標(RMS、Ra、P−V)の数値は、基準面内の凹凸を高精度に測定することが可能な表面形状分析装置により測定されれば、どのような表面形状分析装置により測定されても構わないが、光干渉顕微鏡を用いて高精度位相シフト検出法と干渉縞の次数計数を組み合わせて、試料表面の凹凸を検出する方法により測定することが好ましい。より具体的には、株式会社菱化システムのMicromapを用いて、干渉縞アドレッシング方式により、Waveモードで測定することが好ましい。
〔分散液とした場合の吸光度〕
また、本発明に係る下引き層は、該下引き層を結着しているバインダー樹脂を溶解できる溶媒に分散して分散液(以下適宜、「吸光度測定用分散液」という)とした場合に、通常は、該分散液の吸光度が特定の物性を示すものである。
吸光度測定用分散液の吸光度は、通常知られる分光光度計(absorption spectrophotometer)により測定することができる。吸光度を測定する際のセルサイズ、試料濃度などの条件は、使用する金属酸化物粒子の粒子径、屈折率などの物性により変化するため、通常、測定しようとする波長領域(本発明においては、400nm〜1000nm)において、検出器の測定限界を超えないように適宜試料濃度を調整する。
また、測定する際のセルサイズ(光路長)は、10mmの物を用いる。使用するセルは、400nm〜1000nmの範囲において実質的に透明であるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、石英のセルを用いることが好ましく、特には試料セルと標準セルの透過率特性の差が特定範囲内にあるようなマッチドセルを用いることが好ましい。
本発明に係る下引き層を分散して吸光度測定用分散液とする際には、下引き層を結着するバインダー樹脂については実質上溶解せず、下引き層の上に形成されている感光層などを溶解できる溶媒により下引き層上の層を溶解除去した後、下引き層を結着するバインダー樹脂を溶媒に溶解することによって吸光度測定用分散液とすることができる。この際、下引き層を溶解できる溶媒としては、400nm〜1000nmの波長領域において大きな光吸収を持たない溶媒を使用すればよい。
下引き層を溶解できる溶媒の具体例を挙げると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類が用いられ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノールが用いられる。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
特に、本発明に係る下引き層を、メタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒で分散した吸光度測定用分散液の、波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差(吸光度差)は、以下の通りである。即ち、前記の吸光度差は、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上の場合には、通常0.3(Abs)以下、好ましくは0.2(Abs)以下である。また、金属酸化物粒子の屈折率が2.0未満の場合には、通常0.02(Abs)以下、好ましくは0.01(Abs)以下である。
なお、吸光度の値は、測定する液の固形分濃度に依存する。このため、吸光度の測定を行なう場合、前記分散液中の金属酸化物粒子の濃度が、0.003重量%〜0.0075重量%の範囲となるように分散することが好ましい。
〔下引き層の正反射率〕
本発明に係る下引き層の正反射率は、通常、本発明に特定の値を示す。本発明に係る下引き層の正反射率とは、導電性支持体に対する、導電性支持体上の下引き層の正反射率を示している。この下引き層の正反射率は、下引き層の膜厚によって変化するため、ここでは下引き層の膜厚を2μmとした場合の反射率として規定する。
本発明に係る下引き層は、下引き層が含有する金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上の場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長480nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長480nmの光に対する正反射の比が、通常50%以上である。
一方、下引き層が含有する金属酸化物粒子の屈折率が2.0未満の場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長400nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長400nmの光に対する正反射の比が、通常50%以上である。
ここで、該下引き層が、複数種の屈折率2.0以上の金属酸化物粒子を含有する場合でも、複数種の屈折率2.0未満の金属酸化物粒子を含有する場合でも、上記と同様の正反射であるものが好ましい。また、該下引き層が、屈折率2.0以上の金属酸化物粒子、および屈折率2.0未満の金属酸化物粒子を同時に含んでいる場合では、屈折率2.0以上の金属酸化物粒子を含有する場合と同様に、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長480nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長480nmの光に対する正反射の比が、上記の範囲(50%以上)であることが好ましい。
以上、下引き層の膜厚が2μmである場合について詳しく説明したが、本発明に係る電子写真感光体においては、下引き層の膜厚が2μmであることに限定されず、任意の膜厚であってかまわない。下引き層の膜厚が2μm以外の厚さの場合には、当該下引き層を形成する際に用いた下引き層形成用塗布液(後述する)を用いて、該電子写真感光体と同等の導電性支持体上に、膜厚2μmの下引き層を塗布形成してその下引き層について正反射率を測定することができる。また、別の方法としては、当該電子写真感光体の下引き層の正反射率を測定し、その膜厚が2μmである場合に換算する方法がある。
以下、その換算方法について説明する。
特定の単色光が下引き層を通過し、導電性支持体上で正反射し、ふたたび下引き層を通過して検出される場合に、光に対して垂直な厚さdLの薄い層を仮定する。
厚さdLの薄い層を通過後の光の強度の減少量−dIは、前記の層を通過する前の光の強度Iと、層の厚さdLとに比例すると考えられ、式で表現すると次のように書くことができる(kは定数)。
−dI=kIdL (A)
式(A)を変形すると次の様になる。
−dI/I=kdL (B)
式(B)の両辺をそれぞれ、I0からIまで、0からLまでの区間で積分すると次の様な式が得られる。なお、I0は入射光の強度を表わす。
log(I0/I)=kL (C)
式(C)は、溶液系に於いてLambertの法則と呼ばれるものと同じであり、本発明に於ける反射率の測定にも適用することができる。
式(C)を変形すると、
I=I0exp(−kL) (D)
となり、入射光が導電性支持体表面に到達するまでの挙動が式(D)で表される。
一方、正反射率は、入射光の導電性支持体に対する反射光を分母とするため、素管表面での反射率R=I1/I0を考える。ここで、I1は反射光の強度を表わす。
すると、式(D)に従って導電性支持体表面に到達した光は、反射率Rを乗じられた上で正反射し、ふたたび光路長Lを通って下引き層表面に出ていく。すなわち、
I=I0exp(−kL)・R・exp(−kL) (E)
となり、R=I1/I0を代入し、さらに変形することで、
I/I1=exp(−2kL) (F)
という関係式を得ることができる。これが、導電性支持体に対する反射率に対する、下引き層に対する反射率の値であり、これを正反射率と定義する。
さて、上述の通り、2μmの下引き層に於いて光路長は往復で4μmになるが、任意の導電性支持体上の下引き層の反射率Tは、下引き層の膜厚L(このとき光路長2Lとなる)の関数であり、T(L)と表される。式(F)から、
T(L)=I/I1=exp(−2kL) (G)
が成立する。
一方、知りたい値はT(2)であるため、式(G)にL=2を代入して、
T(2)=I/I1=exp(−4k) (H)
となり、式(G)と式(H)を連立させてkを消去すると、
T(2)=T(L)2/L (I)
となる。
即ち、下引き層の膜厚がL(μm)であるとき、該下引き層の反射率T(L)を測定することで、下引き層が2μmである場合の反射率T(2)を相当の確度で見積もることができる。下引き層の膜厚Lの値は、粗さ計などの任意の膜厚計測装置で計測することができる。
[III.下引き層の形成方法]
本発明に係る下引き層の形成方法に制限は無い。ただし、通常は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層形成用塗布液を導電性支持体の表面に塗布し、乾燥させて、下引き層を得る。
[III−1.下引き層形成用塗布液]
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、下引き層を形成するために用いられるもので、金属酸化物粒子と、バインダー樹脂とを含有する。また、通常、本発明に係る下引き層形成用塗布液は溶媒を含有している。さらに、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、その他の成分を含有していてもよい。
[III−1−1.金属酸化物粒子]
金属酸化物粒子は、下引き層に含有される金属酸化物粒子として説明したものと同様である。
ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の粒径分布に関しては、通常は、以下の要件が成立する。即ち、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径は、それぞれ、上述した下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径と同様である。
よって、本発明に係る下引き層形成用塗布液においては、金属酸化物粒子の体積平均粒子径が、通常0.1μm以下である(〔金属酸化物粒子の体積平均粒子径について〕を参照)。
本発明に係る下引き層形成用塗布液中において、金属酸化物粒子は、一次粒子として存在するのが望ましい。しかし、通常は、そのようなことは少なく、凝集して凝集体二次粒子として存在するか、両者が混在する場合がほとんどである。したがって、その状態での粒度分布が如何にあるべきかは非常に重要である。
そこで、本発明に係る下引き層形成用塗布液においては、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径を前記のような範囲(0.1μm以下)とすることにより、下引き層形成用塗布液中での沈殿や粘性変化を少なくするようにした。これにより、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が均一とすることができる。一方、金属酸化物粒子の体積平均粒子径が大きくなりすぎる場合(0.1μmを超える場合)は、逆に、下引き層形成用塗布液中での沈殿や粘性変化が大きくなり、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が不均一となるため、その上層(電荷発生層など)の品質にも悪影響を及ぼす可能性がある。
また、本発明に係る下引き層形成用塗布液においては、金属酸化物粒子の累積90%粒子径が、通常0.3μm以下である(〔金属酸化物粒子の累積90%粒子径について〕参照)。
本発明に係る金属酸化物粒子が下引き層形成用塗布液中で球形の一次粒子として存在するのであれば、これは望ましいことではある。しかし、このような金属酸化物粒子は、実際には実用上得られるものではない。本発明者らは、仮に金属酸化物粒子が凝集していても、累積90%粒子径が十分に小さいものであれば、即ち、具体的には累積90%粒子径が0.3μm以下であれば、下引き層形成用塗布液としてゲル化や粘性変化が少なく、長期保存が可能であり、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が均一となることを見出した。一方、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子が大きすぎると、液中でのゲル化や粘性変化が大きく、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が不均一となるため、その上層(電荷発生層など)の品質にも悪影響を及ぼすことになる可能性がある。
なお、前記の下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定方法は、下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子を測定するものではなく、下引き層形成用塗布液を直接測定するものであり、以下の点で、上述した下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定方法とは異なる。なお、以下の点以外では、前記の下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定方法は、下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定方法と同様である。
即ち、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の測定の際には、分散媒種類は、下引き層形成用塗布液に用いた溶媒となり、分散媒屈折率は、下引き層形成用塗布液に用いた溶媒の屈折率を採用する。また、下引き層形成用塗布液が濃すぎて、その濃度が測定装置の測定可能範囲外となっている場合には、下引き層形成用塗布液をメタノールと1−プロパノールとの混合溶媒(重量比:メタノール/1−プロパノール=7/3;屈折率=1.35)で希釈し、当該下引き層形成用塗布液の濃度を測定装置が測定可能な範囲に収めるようにする。例えば、上記のUPAの場合、測定に適したサンプル濃度指数(SIGNAL LEVEL)が0.6〜0.8になるように、メタノールと1−プロパノールとの混合溶媒で下引き層形成用塗布液を希釈する。このように希釈を行なったとしても、下引き層形成用塗布液中における金属酸化物粒子の体積粒子径は変化しないものと考えられるため、前記の希釈を行なった結果測定された体積平均粒子径及び累積90%粒子径は、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径として取り扱うものとする。
また、本発明に係る下引き層形成用塗布液の吸光度は、通常知られる分光光度計(absorption spectrophotometer)により測定することができる。吸光度を測定する際のセルサイズ、試料濃度などの条件は、使用する金属酸化物粒子の粒子径、屈折率などの物性により変化するため、通常、測定しようとする波長領域(本発明においては、400nm〜1000nm)において、検出器の測定限界を超えないように適宜試料濃度を調整する。本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び累積90%粒子径を測定する場合には、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の量が、0.0075重量%〜0.012重量%となるように試料濃度を調整する。試料濃度を調製するための溶媒には、通常、下引き層形成用塗布液の溶媒として用いられている溶媒が用いられるが、下引き層形成用塗布液の溶媒及びバインダー樹脂と相溶性があり、混合した場合に濁りなどを生じず、400nm〜1000nmの波長領域において大きな光吸収を持たないものであればどのようなものでも使用することができる。具体例を挙げれば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などが用いられる。
また、測定する際のセルサイズ(光路長)は、10mmのものを用いる。使用するセルは、400nm〜1000nmの範囲において実質的に透明であるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、石英のセルを用いることが好ましく、特には試料セルと標準セルの透過率特性の差が特定範囲内にあるようなマッチドセルを用いることが好ましい。
本発明の下引き層形成用塗布液を、メタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液の、波長400nmの光に対する吸光度と波長1000nmの光に対する吸光度との差は、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以上の場合には1.0(Abs)以下であることが好ましく、金属酸化物粒子の屈折率が2.0以下の場合には0.02(Abs)以下であることが好ましい。
[III−1−2.バインダー樹脂]
下引き層形成用塗布液に含まれるバインダー樹脂は、下引き層に含有されるバインダー樹脂として説明したものと同様である。
ただし、下引き層形成用塗布液におけるバインダー樹脂の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で用いる。
[III−1−3.溶媒]
本発明に係る下引き層形成用塗布液に用いる溶媒(下引き層用溶媒)としては、本発明に係るバインダー樹脂を溶解させうるものであれば、任意のものを使用することができる。この溶媒としては、通常は有機溶媒を使用する。溶媒の例を挙げると、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはノルマルプロピルアルコール等の炭素数5以下のアルコール類;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド等の含窒素有機溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられる。
また、前記溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに、単独では本発明に係るバインダー樹脂を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒(例えば、上記例示の有機溶媒など)との混合溶媒とすることでバインダー樹脂を溶解可能であれば、使用することができる。一般に、混合溶媒を用いた方が塗布ムラを少なくすることができる。
本発明に係る下引き層形成用塗布液において、溶媒と、金属酸化物粒子、バインダー樹脂などの固形分との量比は、下引き層形成用塗布液の塗布方法により異なり、適用する塗布方法において均一な塗膜が形成されるように適宜変更して用いればよい。具体的な範囲を示すと、下引き層形成用塗布液中の固形分の濃度は、通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは25重量%以下であることが、下引き層形成用塗布液の安定性及び塗布性の面から、好ましい。
[III−1−4.その他の成分]
下引き層形成用塗布液に含まれるその他の成分は、下引き層に含有されるその他の成分として説明したものと同様である。
[III−1−5.下引き層形成用塗布液の利点]
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、保存安定性が高い。保存安定性の指標としては様々なものがあるが、例えば、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、作製時と室温120日保存後の粘度変化率(即ち、120日保存後の粘度と作製時との粘度の差を、作製時の粘度で除した値)が、通常20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。なお、粘度は、E型粘度計(トキメック社製、製品名 ED)を用い、JIS Z 8803に準じた方法で測定できる。
また、本発明に係る下引き層形成用塗布液を用いれば、電子写真感光体を高品質に、且つ、高効率に製造することが可能である。
[III−2.下引き層形成用塗布液の製造方法]
本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法に制限は無い。ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液は上述したように金属酸化物粒子を含有するものであり、金属酸化物粒子は下引き層形成用塗布液中に分散されて存在する。したがって、本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法は、通常、金属酸化物粒子を分散させる分散工程を有する。
金属酸化物粒子を分散させるには、例えば、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミルなどの公知の機械的な粉砕装置(分散装置)で、溶媒(以下適宜、分散時に使用する溶媒を「分散溶媒」という)中にて湿式分散すれば良い。この分散工程により、本発明に係る金属酸化物粒子は分散し、上述した所定の粒径分布を有するようになるものと考えられる。また、分散溶媒は、下引き層形成用塗布液に用いる溶媒を使用してもよく、それ以外の溶媒を使用してもよい。ただし、分散溶媒として下引き層形成用塗布液に用いる溶媒以外の溶媒を用いる場合は、分散後に金属酸化物粒子と下引き層形成用塗布液に用いる溶媒とを混合したり溶媒交換したりすることになるが、この際には、金属酸化物粒子が凝集して所定の粒径分布を有さなくならないようにしながら、前記の混合や溶媒交換などをすることが好ましい。
湿式分散の手法の中でも、特に、分散メディアを利用して分散するものが好ましい。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いて分散しても構わない。分散メディアを利用して分散する分散装置の例を挙げると、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物粒子を循環させて分散できるものが好ましい。また、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、例えばサンドミル、スクリーンミル、ギャップミル等の湿式攪拌ボールミルが特に好ましい。なお、前記のこれらのミルは、縦型、横型いずれのものでもよい。また、ミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等任意のものを使用できる。好ましくは、液循環型のサンドミルが用いられる。
なお、これらの分散装置は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
また、分散メディアを利用して分散を行なう際、所定の平均粒子径を有する分散メディアを使用することにより、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒子径及び前記の累積90%粒子径を上述した範囲内に収めることができる。
即ち、本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法において、湿式攪拌ボールミル中で金属酸化物粒子の分散を行なう場合には、当該湿式攪拌ボールミルの分散メディアとして、平均粒子径が、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下の分散メディアを使用する。小さな粒径の分散メディアの方が短時間で均一な分散液を与える傾向があるが、過度に粒径が小さくなると分散メディアの質量が小さくなりすぎて効率よい分散ができなくなる可能性がある。
また、前記のような平均粒子径を有する分散メディアを使用することが、前記の製造方法により、下引き層形成用塗布液中における金属酸化物粒子の体積平均粒粒子径及び累積90%粒子径を所望の範囲に収めることができる一因であると考えられる。したがって、湿式攪拌ボールミル中で上記の平均粒子径を有する分散メディアを用いて分散された金属酸化物粒子を用いて製造した下引き層形成用塗布液は、本発明に係る下引き層形成用塗布液の要件を良好に満たすのである。
分散メディアは通常、真球に近い形状をしているため、例えば、JIS Z 8801:2000等に記載のふるいによりふるい分けする方法や、画像解析により測定することにより平均粒子径を求めることができ、アルキメデス法により密度を測定することができる。具体的には例えば、(株)ニレコ製のLUZEX50等に代表される画像解析装置により、分散メディアの平均粒子径と真球度を測定することが可能である。
分散メディアの密度に制限は無いが、通常5.5g/cm3以上のものが用いられ、好ましくは5.9g/cm3以上、より好ましくは6.0g/cm3以上のものが用いられる。一般に、より高密度の分散メディアを使用して分散した方が短時間で均一な分散液を与える傾向がある。分散メディアの真球度としては、1.08以下のものが好ましく、より好ましくは1.07以下の真球度を持つ分散メディアを用いる。
分散メディアの材質としては、前記のスラリーが含有する分散溶媒に不溶、且つ、比重が前記スラリーより大きなものであって、スラリーと反応したり、スラリーを変質させたりしないものであれば、公知の如何なる分散メディアも使用することができる。その例としては、クローム球(玉軸受用鋼球)、カーボン球(炭素鋼球)等のスチール球;ステンレス球;窒化珪素球、炭化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミック球;窒化チタン、炭窒化チタン等の膜でコーティングされた球などが挙げられる。これらの中でもセラミック球が好ましく、特にはジルコニア焼成ボールが好ましい。より具体的には、特許第3400836号公報に記載のジルコニア焼成ビーズを用いることが特に好ましい。
なお、分散メディアは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、前記湿式攪拌ボールミルの中でも、特に、筒形のステータと、ステータの一端に設けられるスラリーの供給口と、ステータの他端に設けられるスラリーの排出口と、ステータ内に充填される分散メディア、及び、供給口より供給されるスラリーを攪拌混合するロータと、排出口に連結すると共に、回転可能に設けられ、遠心力の作用により分散メディアとスラリーとを分離し、スラリーを排出口より排出するためのセパレータとを備えるものを用いることが好ましい。
ここで、スラリーは、少なくとも金属酸化物粒子と分散溶媒とを含有している。
以下、この湿式攪拌ボールミルの構成につき、詳しく説明する。
ステータは、内部に中空部を有する筒形(通常は、円筒形)の容器で、その一端にはスラリーの供給口が形成され、その他端にはスラリーの排出口が形成されている。さらに、内部の中空部には分散メディアが充填され、当該分散メディアによってスラリー中の金属酸化物粒子が分散されるようになっている。また、供給口からはステータ内にスラリーが供給され、ステータ内のスラリーは排出口からステータの外に排出されるようになっている。
また、ロータは、ステータの内部に設けられ、前記の分散メディアとスラリーとを攪拌混合するものである。なお、ロータのタイプとしては、例えば、ピン、ディスク、アニューラタイプなどがあるが、いずれのタイプのロータを用いても良い。
さらに、セパレータは、分散メディアとスラリーとを分離するものである。このセパレータは、ステータの排出口に連結するように設けられている。そして、ステータ内のスラリー及び分散メディアを分離し、スラリーをステータの排出口からステータの外部に送出するように構成されている。
また、ここで用いているセパレータは回転可能に設けられたものであり、望ましくはインペラタイプのものであって、セパレータの回転により生じる遠心力の作用によって分散メディアとスラリーとが分離されるようになっている。
なお、セパレータは、前記のロータと一体をなして回転するようにしてもよく、ロータとは別個に独立して回転するようにしても良い。
また、湿式攪拌ボールミルは、前記のセパレータの回転軸となるシャフトを備えていることが好ましい。さらに、このシャフトの軸心には、排出口と通ずる中空な排出路が形成されていることが好ましい。即ち、湿式攪拌ボールミルを、少なくとも、円筒形のステータと、ステータの一端に設けられるスラリーの供給口と、ステータの他端に設けられるスラリーの排出口と、ステータ内に充填される分散メディア、及び、供給口より供給されるスラリーを攪拌混合するロータと、排出口に連結すると共に、回転可能に設けられ、遠心力の作用により分散メディアとスラリーとを分離し、スラリーを排出口より排出するインペラタイプのセパレータと、セパレータの回転軸となるシャフトとを備えるように構成し、更に、シャフトの軸心に、排出口と通ずる中空な排出路が形成されていることが好ましい。
シャフトに形成された前記の排出路は、セパレータの回転中心と、ステータの排出口とを連通している。このため、前記の排出路を通って、セパレータによって分散メディアから分離されたスラリーが排出口に送り出され、排出口からステータの外部に排出されるようになっている。この際、前記の排出路はシャフトの軸心を通るが、軸心では遠心力が作用しないため、スラリーは運動エネルギーを有しない状態で排出される。このために運動エネルギーが無駄に放出されず、無駄な動力が消費されなくなる。
このような湿式攪拌ボールミルは、横向きでもよいが、分散メディアの充填率を多くするために縦向きとすることが好ましい。この際、排出口はミル上端に設けられることが好ましい。さらに、この際には、セパレータも分散メディア充填レベルより上方に設けるのが望ましい。
排出口をミル上端に設ける場合には、供給口はミル底部に設けられることになる。この場合、より好ましい態様としては、供給口を、弁座と、弁座に昇降可能に嵌合し、弁座のエッジと線接触が可能なV形、台形或いはコーン状の弁体とにより構成する。これにより、弁座のエッジと弁体との間に分散メディアが通過し得ないような環状のスリットを形成することができるようになる。したがって、供給口において、スラリーは供給されるが、分散メディアの落ち込みは防止できるようになる。また、弁体を上昇させることによりスリットを広げて分散メディアを排出させたり、或いは弁体を降下させることによりスリットを閉じてミルを密閉させることが可能である。更にスリットは弁体と弁座のエッジで形成されるため、スラリー中の粗粒子(金属酸化物粒子)が噛み込み難く、噛み込んでも上下に抜け出し易く詰まりを生じにくい。
また、弁体を振動手段により上下に振動させるようにすれば、スリットに噛み込んだ粗粒子をスリットより抜け出させることができるうえ、噛み込み自体が生じ難くなる。しかも弁体の振動によりスラリーに剪断力が加わって粘度が低下し、上記スリットへのスラリー通過量(即ち、供給量)を増加させることができる。弁体を振動させる振動手段に制限は無いが、例えば、バイブレータなどの機械的手段のほか、弁体と一体をなすピストンに作用する圧縮空気の圧力を変動させる手段、例えば往復動型の圧縮機、圧縮空気の吸排を切換える電磁切換弁等を用いることができる。
このような湿式攪拌ボールミルには、また、底部に分散メディアを分離するスクリーンと、スラリーの取出し口を設け、分散終了後、湿式攪拌ボールミル内に残留するスラリーを取り出せるようにするのが望ましい。
また、湿式攪拌ボールミルを縦置きにして、シャフトをステータの上端に軸支すると共に、ステータ上端のシャフトを支承する軸承部に、Oリングと、メイティングリングを有するメカニカルシールとを設け、更に、軸承部にOリングが嵌合する環状溝を形成して当該環状溝にOリングを装着するようにした場合には、当該環状溝の下側部に、下方に向かって拡開するテーパ状の切込みを形成することが好ましい。即ち、湿式攪拌ボールミルを、円筒形の縦型のステータと、ステータの底部に設けられるスラリーの供給口と、ステータの上端に設けられるスラリーの排出口と、ステータの上端に軸支され、モータ等の駆動手段によって回転駆動されるシャフトと、シャフトに固定され、ステータ内に充填される分散メディア及び供給口より供給されたスラリーを攪拌混合するピン、ディスク或いはアニューラタイプのロータと、排出口近くに設けられ、スラリーより分散メディアを分離するセパレータと、ステータ上端のシャフトを支承する軸承部に設けられるメカニカルシールとを備えて構成すると共に、メカニカルシールのメイティングリングと接触するOリングが嵌合する環状溝の下側部に下方に向かって拡開するテーパ状の切込みを形成することが好ましい。
前記の湿式攪拌ボールミルによれば、メカニカルシールを分散メディアやスラリーが運動エネルギーを殆ど有しない軸心部で、しかもそれらの液面レベルより上方のステータ上端に設けることにより、メカニカルシールのメイティングリングとOリング嵌合溝下側部との間に分散メディアやスラリーが入り込むのを大幅に減らすことができる。
その上、Oリングが嵌合する環状溝の下側部は、切込みにより下方に向かって拡開し、クリアランスが広がっているため、スラリーや分散メディアが入り込んで噛み込んだり、固化することによる詰まりを生じ難く、メイティングリングのシールリングへの追随が円滑に行なわれてメカニカルシールの機能維持が行なわれる。なお、Oリングが嵌合する嵌合溝の下側部は断面V形をなし、全体が薄肉となる訳ではないから、強度が損なわれることはないし、Oリングの保持機能が損なわれることもない。
また、特に、前記のセパレータは、対向する内側面にブレードの嵌合溝を備えた二枚のディスクと、前記嵌合溝に嵌合してディスク間に介在するブレードと、ブレードを介在させた前記ディスクを両側より挟持する支持手段とを備えて構成することが好ましい。即ち、前記湿式攪拌ボールミルとして、筒形のステータと、前記ステータの一端に設けられるスラリーの供給口と、前記ステータの他端に設けられる前記スラリーの排出口と、前記ステータ内に充填される前記分散メディア、及び、前記供給口より供給されるスラリーを攪拌混合するロータと、前記排出口に連結すると共に、前記ステータ内に回転可能に設けられ、遠心力の作用により前記分散メディアと前記スラリーとを分離し、前記スラリーを前記排出口より排出するためのセパレータとを備えて構成すると共に、前記セパレータに、対向する内側面にブレードの嵌合溝を備えた二枚のディスクと、前記嵌合溝に嵌合して前記ディスク間に介在する前記ブレードと、前記ブレードを介在させた前記ディスクを両側より挟持する支持手段とを備えさせることが好ましい。この際、好ましい態様において、支持手段は、段付軸をなすシャフトの段と、シャフトに嵌合してディスクを押さえる円筒状の押え手段とより構成され、シャフトの段と押え手段とでブレードを介在させたディスクを両側より挟み込んで支持するように構成される。このような湿式攪拌ボールミルにより、下引き層中の金属酸化物粒子が容易に前記の体積平均粒子径及び累積90%粒子径の範囲に収まることができるようになる。また、ここで、セパレータはインペラタイプの構成が好ましい。
以下、上述した縦型の湿式攪拌ボールミルの構成をより具体的に説明するため、湿式攪拌ボールミルの一実施形態を示して説明を行なう。ただし、本発明の下引き層用塗布液を製造するために使用される攪拌装置は、ここで例示するものに限定されない。
図1は、この実施形態の湿式攪拌ボールミルの構成を模式的に表わす縦断面図である。図1において、スラリー(図示省略)は、縦型湿式攪拌ボールミルに供給され、該ミルで分散メディア(図示省略)と共に攪拌されることにより粉砕されたのち、セパレータ14で分散メディアを分離してシャフト15の軸心に形成された排出路19を通って排出され、戻される経路(図示省略)を辿り、循環粉砕されるようになっている。
縦型湿式攪拌ボールミルは、図1に詳細に示されるように、縦向きの円筒形で、かつミル冷却のための冷却水が通されるジャケット16を備えたステータ17と、ステータ17の軸心に位置してステータ17の上部において回転可能に軸承されると共に、軸承部に図2(後述する)に示すメカニカルシールを備え、かつ上側部の軸心を中空な排出路19としたシャフト15と、シャフト15の下端部に径方向に突設されるピンないしディスク状のロータ21と、シャフト15の上部に固着され、駆動力を伝達するプーリ24と、シャフト15の上端の開口端に装着されるロータリージョイント25と、ステータ17内の上部近くにおいてシャフト15に固着されるメディア分離のためのセパレータ14と、ステータ17の底部にシャフト15の軸端に対向して設けられるスラリーの供給口26と、ステータ17の底部の偏心位置に設けられるスラリー取出し口29に設置される格子状のスクリーンサポート27上に取着され、分散メディアを分離するスクリーン28とからなっている。
セパレータ14は、シャフト15に一定の間隔を存して固着される一対のディスク31と、両ディスク31を連結するブレード32とよりなってインペラを構成し、シャフト15と共に回転してディスク31の間に入り込んだ分散メディアとスラリーに遠心力を付与し、その比重差により分散メディアを径方向外方に飛ばす一方、スラリーをシャフト15の軸心の排出路19を通って排出させるようになっている。
スラリーの供給口26は、ステータ17の底部に形成される弁座に昇降可能に嵌合する逆台形状の弁体35と、ステータ17の底部より下向きに突出する有底の円筒体36よりなり、スラリーの供給により弁体35が押し上げられると、弁座との間に環状のスリット(図示せず)が形成され、これよりスラリーがステータ17の内に供給されるようになっている。
原料供給時の弁体35は、円筒体36内に送り込まれたスラリーの供給圧によりミル内の圧力に抗して上昇し、弁座との間にスリットを形成するようになっている。
スリットでの詰まりを解消するため、弁体35が短い周期で上限位置まで上昇する上下動を繰返して噛み込みを解消できるようにしてある。この弁体35の振動は、常時行なっておいてもよいし、スラリー中に粗粒子が多量に含まれる場合に行なってもよく、また詰まりによってスラリーの供給圧が上昇したとき、これに連動して行なわれるようにしてもよい。
メカニカルシールは、図2に詳細に示されるように、シャフト15に固定されるシールリング100にステータ側のメイティングリング101をバネ102の作用により圧着し、ステータ17とメイティングリング101とのシールは、ステータ側の嵌合溝103に嵌合するOリング104によって行なうようになっているもので、図2において、Oリング嵌合溝103の下側部には、下向きに拡開するテーパ状の切込み(図示せず)が入れられ、嵌合溝103の下側部とメイティングリング101との間のクリアランス最小部分の長さaが狭く、メディアやスラリーが入り込んで固化し、メイティングリング101の動きが阻害されてシールリング100との間のシールが損なわれることのないようにしてある。
上記実施形態では、ロータ21とセパレータ14は同じシャフト15に固定されているが、別の実施形態では同軸上に配置した別々のシャフトに固定され、別個に回転駆動される。ロータとセパレータとを同じシャフトに取り付けた上記図示する実施形態においては、駆動装置が一つですむため構造が簡単になるのに対し、ロータとシャフトとを別々のシャフトに取り付けて、別々の駆動装置によって回転駆動させるようにした後者の実施形態では、ロータとセパレータとをそれぞれ最適な回転数で駆動させることができる。
図3に示すボールミルは、シャフト105を段付軸とし、シャフト下端よりセパレータ106を嵌挿し、ついでスペーサ107とディスクないしピン状のロータ108とを交互に嵌挿したのち、シャフト下端にストッパー109をネジ110により止着し、シャフト105の段105aとストッパー109とによりセパレータ106、スペーサ107及びロータ108を挟み込んで連結し固定したもので、セパレータ106は図4に示すように、内側に対向する面にそれぞれブレード嵌合溝114を形成した一対のディスク115と、両ディスク間に介在してブレード嵌合溝114に嵌合させたブレード116と、両ディスク115を一定の間隔に維持し、排出路111に通ずる孔112を形成した環状のスペーサ113とよりなってインペラを構成している。
なお、本実施形態で例示したような構造を有する湿式撹拌ボールミルとしては、具体的には例えば寿工業株式会社製のウルトラアペックスミルが挙げられる。
本実施形態の湿式攪拌ボールミルは以上のように構成されているので、スラリーの分散を行なう際には、以下のような手順により行なう。即ち、本実施形態の湿式攪拌ボールミルのステータ17内に分散メディア(図示せず)を充填し、外部動力により駆動されてロータ21及びセパレータ14が回転駆動される一方、スラリーが一定量、供給口26に送られる。これにより、弁座のエッジと弁体35との間に形成されるスリット(図示せず)を通してステータ7の内にスラリーが供給される。
ロータ21の回転によりステータ7内のスラリーと分散メディアとが攪拌混合されてスラリーの粉砕が行なわれる。また、セパレータ14の回転により、セパレータ14内に入り込んだ分散メディアとスラリーとが比重差により分離され、比重の重い分散メディアが径方向外方に飛ばされるのに対し、比重の軽いスラリーがシャフト15の軸心に形成された排出路19を通して排出され、原料タンクに戻される。粉砕がある程度進行した段階でスラリーの粒度を適宜測定し、所望粒度に達すると、一旦原料ポンプを停止し、ついでミルの運転を停止し、粉砕を終了する。
また、湿式攪拌ボールミルを用いて金属酸化物粒子を分散させる場合、湿式攪拌ボールミル内に充填する分散メディアの充填率に制限は無く、金属酸化物粒子を所望の粒度分布を有するようになるまで分散を行なうことができれば、任意である。ただし、前記のような縦型湿式攪拌ボールミルを用いて金属酸化物粒子を分散させる場合には、湿式攪拌ボールミル内に充填される分散メディアの充填率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
金属酸化物粒子を分散させるのに適用される湿式攪拌ボールミルは、セパレータがスクリーンやスリット機構であってもよいが、前記のように、インペラタイプのものが望ましく、縦型であることが好ましい。湿式攪拌ボールミルは縦向きにし、セパレータをミル上部に設けることが望まれるが、特に分散メディアの充填率を上記の範囲に設定すると、粉砕が最も効率的に行なわれるうえ、セパレータをメディア充填レベルより上方に位置させることが可能となり、分散メディアがセパレータに乗って排出されるのを防止することができる効果もある。
また、金属酸化物粒子を分散するのに適用される湿式攪拌ボールミルの運転条件は、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の体積平均粒粒子径及び累積90%粒子径、下引き層形成用塗布液の安定性、該下引き層形成用塗布液を塗布形成してなる下引き層の表面形状、該下引き層形成用塗布液を塗布形成してなる下引き層を有する電子写真感光体の特性に影響する。特にスラリー供給速度と、ロータの回転速度が影響の大きいものとして挙げられる。
スラリーの供給速度は、湿式攪拌ボールミル中にスラリーが滞留する時間が関係するため、ミルの容積およびその形状の影響を受けるが、通常用いられるステータの場合、湿式攪拌ボールミル容積1リットル(以下、Lと略記することがある)あたり、通常20kg/時間以上、好ましくは30kg/時間以上、また、通常80kg/時間以下、好ましくは70kg/時間以下の範囲である。
また、ロータの回転速度は、ロータの形状やステータとの間隙などのパラメータの影響を受けるが、通常用いられるステータ及びロータの場合、ロータ先端部の周速は、通常5m/秒以上、好ましくは8m/秒以上、より好ましくは10m/秒以上、また、通常20m/秒以下、好ましくは15m/秒以下、より好ましくは12m/秒以下の範囲である。
さらに、分散メディアの使用量に制限は無い。ただし、分散メディアは、通常、スラリーに対し、容積比で、1〜5倍用いる。分散メディア以外に、分散後に容易に除去することのできる分散助剤を併用して実施することも可能である。分散助剤の例としては、食塩、ぼう硝等が挙げられる。
また、金属酸化物粒子の分散は、分散溶媒の共存下湿式で行なうことが好ましい。また、金属酸化物粒子を適切に分散することができることができる限り、分散溶媒以外の成分を共存させてもよい。このような共存させても良い成分としては、例えば、バインダー樹脂や各種添加剤などが挙げられる。
分散溶媒としては、特に制限されないが、前記の下引き層形成用塗布液に用いる溶媒を用いれば、分散後に溶媒交換などの工程を経る必要が無くなり好適である。これらの分散溶媒は何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用し、混合溶媒として用いても良い。
分散溶媒の使用量は、生産性の観点から、分散対象となる金属酸化物1重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常500重量部以下、好ましくは100重量部以下の範囲である。
また、機械的分散時の温度としては、溶媒(または混合溶媒)の凝固点以上、沸点以下で行なうことが可能であるが、製造時の安全性の面から、通常、10℃以上、200℃以下の範囲で行なわれる。
分散メディアを用いた分散処理後、スラリーから分散メディアを分離・除去し、更に、超音波処理を施すことが好ましい。超音波処理は、金属酸化物粒子に超音波振動を加えるものである。
振動周波数等の超音波処理時の条件には特に制限はないが、通常10kHz以上、好ましくは15kHz以上、また、通常40kHz以下、好ましくは35kHz以下の周波数の発振器により超音波振動を加える。
また、超音波発振機の出力に特に制限はないが、通常100W〜5kWのものが用いられる。
さらに、通常、多量のスラリーを大出力の超音波発振機による超音波で処理するよりも、少量のスラリーを小出力の超音波発振機による超音波で処理する方が分散効率が良い。そのため、一度に処理するスラリーの量は、通常1L以上、好ましくは5L以上、より好ましくは10L以上、また、通常50L以下、好ましくは30L以下、より好ましくは20L以下である。また、この場合の超音波発振機の出力は、好ましくは200W以上、より好ましくは300W以上、更に好ましくは500W以上、また、好ましくは3kW以下、より好ましくは2kW以下、更に好ましくは1.5kW以下である。
金属酸化物粒子に超音波振動を加える方法に特に制限はないが、例えば、スラリーを納めた容器中に超音波発振機を直接浸漬する方法、スラリーを納めた容器外壁に超音波発振機を接触させる方法、超音波発振機により振動を加えた液体の中にスラリーを納めた容器を浸漬する方法などが挙げられる。これらの方法の中でも、超音波発振機により振動を加えた液体の中にスラリーを納めた容器を浸漬する方法が好適に用いられる。
前記の場合、超音波発振機により振動を加える液体に制限は無いが、例えば、水;メタノール等のアルコール類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;シリコーンオイルなどの油脂類が挙げられる。中でも、製造上の安全性、コスト、洗浄性などを勘案すれば、水を用いることが好ましい。
超音波発振機により振動を加えた液体の中にスラリーを納めた容器を浸漬する方法では、該液体の温度により超音波処理の効率が変化するため、該液体の温度を一定に保つことが好ましい。加えた超音波振動により振動を加えた液体の温度が上昇することがある。該液体の温度は、通常5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、また、通常60℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下の温度範囲において超音波処理することが好ましい。
超音波処理する際にスラリーを納める容器に制限は無い。例えば、電子写真感光体用の感光層を形成するのに用いられる下引き層形成用塗布液を入れるのに通常用いられる容器であればどのような容器を使用することも可能である。具体例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の容器や、ガラス製容器、金属製の缶などが挙げられる。これらの中では金属製の缶が好ましく、特に、JIS Z 1602 に規定される、18リットル金属製缶が好適に用いられる。有機溶媒に侵され難く、衝撃に強いからである。
また、分散後のスラリーや、超音波処理後のスラリーは、粗大な粒子を除去するために、必要に応じて濾過した後使用される。この場合の濾過メディアとしては、通常濾過するために用いられる、セルロース繊維、樹脂繊維、ガラス繊維など、何れの濾過材を用いても構わない。濾過メディアの形態としては、濾過面積が大きく効率がよいことなどの理由により、芯材に各種繊維を巻き付けた、いわゆるワインドフィルターが好ましい。芯材としては従前公知の何れの芯材も用いることができるが、ステンレスの芯材、ポリプロピレンなどの、前記スラリーやスラリーが含有する溶媒に溶解しない樹脂製の芯材等が挙げられる。
このようにして得られたスラリーは、必要に応じて更に溶媒、バインダー樹脂(結着剤)、その他の成分(助剤等)などを含有させて、下引き層形成用塗布液とする。なお、金属酸化物粒子は、前記の分散又は超音波処理の工程前、工程中及び工程後のいずれかにおいて、下引き層形成用塗布液用の溶媒及びバインダー樹脂、並びに、必要に応じて用いられるその他の成分と混合すればよい。したがって、金属酸化物粒子と、溶媒、バインダー樹脂、その他の成分などとの混合は、必ずしも分散や超音波処理の後に行なわなくてもよい。
以上、説明した本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法によれば、本発明に係る下引き層形成用塗布液を効率よく生産できる上に、より保存安定性が高い下引き層形成用塗布液を得ることができる。したがって、より高品質の電子写真感光体を効率よく得ることができる。
[III−3.下引き層の形成]
本発明に係る下引き層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより、本発明に係る下引き層を形成することができる。本発明に係る下引き層形成用塗布液を塗布する方法に制限は無いが、例えば、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、スパイラル塗布、リング塗布、バーコート塗布、ロールコート塗布、ブレード塗布等が挙げられる。なお、これらの塗布法は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
スプレー塗布法としては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等がある。また、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると、回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、即ち、円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することを実施することが好ましい。これにより、総合的に高い付着効率で下引き層の膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
浸漬塗布法の場合、通常、下引き層形成用塗布液の全固形分濃度は、通常1重量%以上、好ましくは10重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とし、粘度を好ましくは0.1cps以上、また、好ましくは100cps以下の範囲とする。なお、1cps=1×10-3Pa・sである。
塗布後、塗布膜を乾燥するが、必要且つ充分な乾燥が行なわれる様に乾燥温度、時間を調整することが好ましい。乾燥温度は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは170℃以下、より好ましくは140℃以下の範囲である。乾燥方法に制限は無く、例えば、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機などを用いることができる。
[IV.感光層]
感光層の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能である。具体例を挙げると、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた単層の感光層(即ち、単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層してなる複数の層からなる感光層(即ち、積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが挙げられる。一般に光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
本発明の電子写真感光体の有する感光層は、公知のいずれの形態であっても構わないが、感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性など総合的に勘案して、積層型の感光体が好ましい。特に、導電性支持体上に下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層した順積層型感光体がより好ましい。
また、本発明に係る感光層は、エステル結合を有するバインダー樹脂(エステル含有樹脂)を含有するものである。
[IV−1.エステル結合を有するバインダー樹脂]
本発明に係る感光層は、エステル含有樹脂を含有する。エステル含有樹脂は、エステル結合を有するバインダー樹脂であり、エステル結合を含有する樹脂であれば任意のものを用いることができる。
エステル含有樹脂の例を挙げると、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネートなどが挙げられる。また、ポリエステル樹脂の中でも、ポリアリレート樹脂が好ましい。特に、エステル含有樹脂の中でも、下記例示〔Example1〕にて構造を示すモノマーに対応したビスフェノール成分又はビフェノール成分を含むものは、感度、残留電位の点から好ましい。
即ち、下記例示〔Example1〕にて示す構造を有するモノマーに対応したビスフェノール成分又はビフェノール成分を含むエステル含有樹脂は、本発明の電子写真感光体の感度、残留電位の点から好ましい。特に、これらのビスフェノール成分又はビフェノール成分を含むエステル含有樹脂の中でも、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましく、特に、移動度の面からポリカーボネート樹脂がより好ましい。
なお、以下に示す例示物は、あくまで例示であり、本発明は以下に例示される構造に限定されるものではない。
Figure 2007334338
中でも、エステル含有樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合には、下記例示〔Example2〕にて示す構造を有するビスフェノール誘導体に対応したビスフェノール成分を含有するポリカーボネート樹脂が、その効果を特に顕著に発揮できるため、好ましい。
Figure 2007334338
一方、感光層の機械的特性向上のためには、エステル含有樹脂として、ポリエステル樹脂を使用することが好ましく、特に、ポリアリレート樹脂を使用することがより好ましい。また、この場合、当該ポリエステル樹脂又はポリアリレート樹脂は、下記例示〔Example3〕にて示す構造を有するモノマーに対応したビスフェノール成分を含有するものが、好ましい。
Figure 2007334338
また、前記の例示〔Example3〕にて示した構造を有するモノマーに対応したビスフェノール成分を含むエステル含有樹脂を使用する場合、それに対応する酸成分としては、下記例示〔Example4〕にて示す構造を有するモノマーに対応した酸成分を含有するものが、より好ましい。なお、以下の例示のうち、テレフタル酸に対応する成分とイソフタル酸に対応する成分とを併用する場合には、テレフタル酸に対応する成分のモル比が多くなるようにすることが好ましい。
Figure 2007334338
また、例示したビスフェノール成分、ビフェノール成分、酸成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。したがって、エステル含有樹脂の一分子中に、例示した成分が2種以上含まれていても良い。
さらに、本発明に係るエステル含有樹脂は、上記のビスフェノール成分、ビフェノール成分、酸成分以外の成分を含んでいても良い。
本発明に係るエステル含有樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3万以上、また、通常20万以下、好ましくは10万以下、より好ましくは6万以下である。エステル含有樹脂の粘度平均分子量が小さすぎると感光層の機械的強度が低下することがあり、大きすぎると感光層を塗布液によって塗布形成することが困難になることがある。
なお、エステル含有樹脂の粘度平均分子量は、以下の方法で測定し、算出したものとして定義される。
即ち、測定対象であるエステル含有樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=(t/t0)−1
b=100×ηsp/C C=6.00
η=b/a
Mv=3207×η1.205
また、本発明に係るエステル含有樹脂中に含まれるエステル結合の量も任意である。ただし、エステル含有樹脂分子中のエステル結合(−COO−)の割合(重量比)は、通常1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、また、通常60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下である。エステル含有樹脂のエステル結合が少なすぎると本発明の効果が小さくなることがあり、多すぎると電子写真感光体の電気特性が悪化することがある。
なお、エステル含有樹脂のエステル結合の割合は、1H−NMR分析などにより測定できる。
本発明に係るエステル含有樹脂の製造方法に制限はないが、界面重合法により製造することが好ましい。界面重合法とは、互いに混ざり合わない2つ以上の溶媒(例えば、有機溶媒−水溶媒)の界面で進行される重縮合反応を利用する重合法である。界面重合法により製造されたエステル含有樹脂を使用することにより、電子写真感光体の電気特性が優れたものになる。
界面重合法の例を挙げると、ジカルボン酸塩化物を有機溶媒に、グリコール成分をアルカリ水等に溶かして、常温で両液を混合させて、2相にわけ、その界面で、重縮合反応を進ませて、バインダー樹脂を生成させる方法が挙げられる。また、他の2成分の例としては、ホスゲンとグリコール水溶液との組み合わせなどが挙げられる。また、例えば、ポリカーボネートオリゴマーを界面重合で縮合する場合のように、2成分をそれぞれ2相に分けるのではなく、界面を重合の場として利用する場合もある。
反応溶媒に制限はなく、界面重合を進行させることができる限り任意であるが、通常は、有機相と水相の二相を使用する。この際、好適なものの例を挙げると、有機相としてはメチレンクロライドが挙げられ、水相としてはアルカリ性水溶液が挙げられる。なお、有機相及び水相は、それぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
また、反応時には、触媒(通常は、縮合触媒)を使用することは好ましい。反応で使用する触媒の量に制限は無いが、ジオールに対して、通常0.005mol%以上、好ましくは0.03mol%以上、また、通常0.1mol%以下、好ましくは0.08mol%以下である。触媒量が多すぎると重縮合後の洗浄工程で触媒の抽出除去に多大の労力を要することがある。
反応温度は、界面重合が進行する限り任意であるが、通常10℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。反応温度が高すぎると、副反応の制御ができないことある。一方、反応温度が低すぎると、反応制御上は好ましい状況ではあるが、冷凍負荷が増大して、その分コストアップとなることがある。
反応時間は反応温度によっても左右されるが、通常0.5分以上、好ましくは1分以上、また、通常10時間以下、好ましくは4時間以下である。
また、有機相及び水相それぞれの相中でのモノマー、オリゴマー及び生成するエステル含有樹脂の濃度は任意である。ただし、有機相中のモノマー、オリゴマー及びエステル含有樹脂の濃度は、得られる生成物(エステル含有樹脂を含む組成物)が可溶な範囲となるようにすることが好ましい。生成したエステル含有樹脂を有機相に溶解させ、回収するためである。具体的には、有機相中におけるモノマー、オリゴマー及びエステル含有樹脂の濃度は、通常5〜40重量%である。
さらに、有機相と水相との割合も、界面重合が進行する限り制限は無い。ただし、有機相の割合は、水相に対して、通常0.2倍以上、好ましくは0.5倍以上、より好ましくは0.8倍以上、また、通常3倍以下、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.5倍以下の容積比である。有機相と水相との割合を前記の範囲に収めることにより、重合度を制御することが容易になる。
また、溶媒の使用量にも制限は無い。ただし、重縮合によって得られる有機相中の生成樹脂(エステル含有樹脂)の濃度が、通常5重量%以上、好ましくは8重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下となるように、溶媒の量が調整することが望ましい。有機相中の生成樹脂の濃度が小さすぎると重合反応が遅くなり生産性が悪くなることがあり、大きすぎると重合が不均一になることがある。
通常は、有機相中の生成樹脂の濃度が上記の適切な範囲となるように有機相の量を決め、当該有機相の量に対して適切な比率の水相の量を決め、両者を混合等により接触させる。その後、重縮合条件を整えるために必要に応じて触媒を含有させ、界面重縮合法に従い、所期の重縮合を完結させる。なお、重合させるモノマーやオリゴマーは、任意の段階で有機相又は水相に含有させればよい。
また、エステル含有樹脂の原料に関していえば、本発明に係るエステル含有樹脂は、芳香族ジオールを原料とするバインダー樹脂であることが好ましい。この際、特に好ましい芳香族ジオール化合物としては、例えば、下記式(iii)で表されるものが挙げられる。
Figure 2007334338
ただし、式(iii)において、Xは
Figure 2007334338
又は単結合を表わし、Ra1及びRa2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は、ハロゲン化アルキル基を表わし、Zは4〜20の置換又は非置換の炭素環を表わし、Y1〜Y8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は、ハロゲン化アルキル基を表わす。
前記の式(iii)で表わされる芳香族ジオール化合物を原料として用いることにより、電子写真感光体の電気特性を良好にすることができる。
[IV−2.電荷発生層]
電荷発生層は、電荷発生物質を含有する層である。電荷発生物質としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に用いることができる。
電荷発生物質の例を挙げると、セレニウム及びその合金、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料などの、各種光導電材料が挙げられる。中でも、特に有機顔料、更にはフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
このうち、フタロシアニン顔料の具体例を挙げると、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型などが挙げられる。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン、(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニン顔料のうち、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体などが特に好ましい。
特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するものが、好ましい。
なお、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルは、通常、固体の粉末X線回折測定に用いられる方法に従って測定することができる。
オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、更に、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.8°に明瞭な回折ピークを有するものが好ましい。
特に、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°、9.6°、又は、9.5及び9.7°等にピークを有するものは好ましい。即ち、前記のオキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°に主たる明瞭な回折ピークを有するか、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°に明瞭な回折ピークを有するか、または、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°及び9.7°それぞれに明瞭な回折ピークを有することが好ましい。
ただし、前記のオキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.3°には明瞭な回折ピークを有さないものが好ましい。
また、前記オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5重量%以下であることが好ましい。なお、前記の塩素含有量は元素分析から求められる。
さらに、前記オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式(1)で表される塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの割合が、下記式(2)で表される無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で、通常0.070以下、好ましくは0.060以下、より好ましくは0.055以下である。さらに、製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、前記割合は0.02以上が好ましく、また、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、前記割合は0.03以下が好ましい。なお、クロル置換量は、特開2001−115054号公報に記載の手法に基づいて、測定できる。
Figure 2007334338
前記のオキシチタニウムフタロシアニンの粒子径は、製法、結晶変換方法などによって大きく異なるが、1次粒子径として、分散性を考慮すると500nm以下が好ましく、塗布成膜性の面からは300nm以下であることが好ましい。
また、前記のオキシチタニウムフタロシアニンは、塩素原子以外に、例えば、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基などの置換基で置換されていても構わない。または、スルホン基等の置換基で置換された、各種オキシチタニウムフタロシアニン誘導体を含有しても構わない。
前記のオキシチタニウムフタロシアニンの製造方法に制限は無いが、例えば、フタロニトリルとハロゲン化チタンとを原料としてジクロロチタニウムフタロシアニンを合成したのち、該ジクロロチタニウムフタロシアニンを加水分解し精製することによりオキシチタニウムフタロシアニン組成物中間体を製造し、得られたオキシチタニウムフタロシアニン組成物中間体を非晶質化して得られた非晶質化オキシチタニウムフタロシアニン組成物を、溶媒中で結晶化(結晶変換)することにより製造することができる。
以下、この製造方法について説明する。
ハロゲン化チタンは、オキシチタニウムフタロシアニンが得られる限り任意であるが、中でも、チタン塩化物が好ましい。チタン塩化物としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン等が挙げられるが、特に四塩化チタンが好ましい。四塩化チタンを用いると、得られるオキシチタニウムフタロシアニン組成物に含まれる塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの含有量を、容易に制御することができる。
なお、ハロゲン化チタンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
フタロニトリルとハロゲン化チタンとを原料としてジクロロチタニウムフタロシアニンを合成する際、反応温度は反応が進行する限り任意であるが、通常150℃以上、好ましくは180℃以上である。さらに、ハロゲン化チタンとしてチタン塩化物を使用する場合には、塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの含有量を制御するために、より好ましくは190℃以上であって、通常300℃以下、好ましく250℃以下、より好ましくは230℃以下で行なわれる。
通常、チタン塩化物は、フタロニトリルと反応溶媒との混合体に対して混合される。この際のチタン塩化物は、その沸点以下であれば直接混合してもよく、沸点150℃以上の高沸点溶媒と混合してから混合してもよい。
例えば、反応溶媒としてジアリールアルカンを用い、フタロニトリルと四塩化チタンとを用いてオキシチタニウムフタロシアニンを製造する場合には、四塩化チタンを100℃以下の低温と180℃以上の高温とで分割してフタロニトリルに混合することにより、オキシチタニウムフタロシアニンの製造を適切に行なうことができる。
得られたジクロロチタニウムフタロシアニンの加熱加水分解処理を行ない、精製を行なった後、得られたオキシチタニウムフタロシアニン組成物中間体の非晶化を行なう。非晶化の方法に制限は無いが、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインドミル等の公知の機械的粉砕装置による粉砕、または濃硫酸に溶解した後に冷水中などで固体として得るいわゆるアシッドペースト法などにより、非晶質化する。中でも、暗減衰を鑑みると、機械的粉砕が好ましく、感度、環境依存の観点からは、アシッドペースト法が好ましい。
得られた非晶質オキシチタニウムフタロシアニン組成物を、公知の溶媒を用いて結晶化させることによりオキシチタニウムフタロシアニンを含む組成物(オキシチタニウムフタロシアニン組成物)を得る。この際に使用する溶媒としては、例えば、オルトジクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン系芳香族炭化水素溶媒;クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素溶媒;メチルナフタレン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等のアルコール;エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;テルピノレン、ピネン等のモノテルペン系炭化水素溶媒;流動パラフィンなどが好適に用いられる。中でも、オルトジクロロベンゼン、トルエン、メチルナフタレン、酢酸エチル、ブチルエーテル、ピネン、などが好ましい。
なお、結晶化に用いる溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、前記のフタロシアニン顔料は混晶状態でも良い。ここでのフタロシアニン顔料ないしは結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン顔料の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理の例としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に摩砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
また、アゾ顔料のうち、好適なものの例を挙げると、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などが挙げられる。
以下、好ましいアゾ顔料の例を示す。なお、下記の構造式において、Cp1、Cp2及びCp3は、それぞれ独立に、カップラーを表わす。
Figure 2007334338
なお、カップラーCp1、Cp2及びCp3としては、好ましくは、以下構造を示す。
Figure 2007334338
また、電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電荷発生層において、電荷発生物質はバインダー樹脂で結着した状態で電荷発生層を形成する。本発明においては、電荷発生層に用いるバインダー樹脂として、本発明に係るエステル含有樹脂を用いる。ただし、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明に係るエステル含有樹脂と共に、以下に例示するようなその他のバインダー樹脂を併用しても良い。また、電荷輸送層にエステル含有樹脂が含まれている場合には、電荷発生層に用いるバインダー樹脂として、エステル含有樹脂以外の樹脂のみを用いてもよい。
電荷発生層に使用しうるエステル含有樹脂以外のバインダー樹脂の例を挙げると、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。
なお、電荷発生層において、バインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。したがって、電荷発生層において、本発明に係るエステル含有樹脂及びその他のバインダー樹脂は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電荷発生層のバインダー樹脂として、本発明に係るエステル含有樹脂とその他の樹脂とを併用する場合、電荷発生層のバインダー樹脂全体に占めるエステル含有樹脂の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常60重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。エステル含有樹脂が少なすぎると、感光体の電気特性が悪化する可能性がある。なお、上限は、100重量%である。
さらに、電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との使用割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、電荷発生物質の量が、電荷発生層内のバインダー樹脂100重量部に対して、通常10重量部以上、好ましくは30重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下となるようにすることが望ましい。電荷発生物質の量が少なすぎると充分な感度が得られないことがあり、多すぎると電荷発生物質が凝集して電荷発生層の形成時に用いる塗布液の安定性が低化することがある。
電荷発生層の膜厚には制限は無いが、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常4μm以下、好ましくは0.6μm以下が好適である。
また、電荷発生物質は、その形成時には感光層形成用塗布液中に分散されるが、当該分散の方法に制限は無く、例えば、超音波分散法、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等が挙げられる。この際、電荷発生物質の粒径を、通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
また、電荷発生層には、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有していてもよい。例えば、電荷発生層は、添加剤を含有させても良い。これらの添加剤は、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために用いられるものである。その例を挙げると、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤、増感剤、染料、顔料、界面活性剤などが挙げられる。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[IV−3.電荷輸送層]
電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有する層である。本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送物質として、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の電荷輸送物質を任意に用いることができる。
中でも、電荷輸送物質としては、下記式(I)で表わされる所定の電荷輸送物質(以下適宜、「式(I)の電荷輸送物質」という)を含有することが好ましい。
Figure 2007334338
(式(I)において、Ar1〜Ar6は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族残基、または、置換基を有しても良い脂肪族残基を表し、Xは有機残基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に有機基を表し、n1〜n6は0〜2の整数を表す。)
式(I)において、Ar1〜Ar6は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族残基、または、置換基を有しても良い脂肪族残基を表す。ここで、Ar1〜Ar6の価数は式(I)で表わされる構造が成立できる価数であり、具体的には、Ar2〜Ar5は1価又は2価の基であり、Ar1及びAr6は2価の基である。
Ar1〜Ar6となる芳香族残基の例を挙げると、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェナントレン、フルオレン等の芳香族炭化水素残基;チオフェン、ピロール、カルバゾール、イミダゾール等の芳香族複素環残基などが挙げられる。
また、Ar1〜Ar6となる芳香族残基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは10以下である。炭素数が大きすぎると、式(I)で表わされるアリールアミン化合物の安定性が低くなり、酸化性ガスにより分解することがあるため、耐オゾン性が低くなる可能性がある。また、画像形成時にメモリによるゴースト現象が起こりやすくなる可能性がある。また、下限は、電気特性の観点から、通常5以上、好ましくは6以上である。
上記の観点から、上述した芳香族残基の中でも、Ar1〜Ar6としては、芳香族炭化水素残基が好ましく、ベンゼン残基がより好ましい。特に、Ar1〜Ar6はいずれもベンゼン残基であることが特に好ましい。
一方、Ar1〜Ar6となる脂肪族残基の例を挙げると、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、イソブタン等の分岐又は直鎖アルキル等の飽和脂肪族残基;エチレン、ブチレン等のアルケン類等の不飽和脂肪族残基などが挙げられる。
また、Ar1〜Ar6となる脂肪族残基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは10以下である。特に、飽和脂肪族残基の場合は炭素数6以下が好ましく、不飽和脂肪族残基の場合は炭素数2以上が好ましい。
また、Ar1〜Ar6が有する置換基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。この置換基の例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、インデニル基、ナフチル基、アセナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基等のアリール基;インドリル基、キノリル基、カルバゾリル基等の複素環基などが挙げられる。また、これら置換基は、連結基または直接結合により環を形成しても良い。
前記の置換基は、導入することにより、式(I)の電荷輸送物質の分子内電荷を調節し、電荷移動度を増大させる効果がある一方で、嵩が大きくなりすぎると、分子内の共役面の歪み、分子間立体反発によってかえって電荷移動度を下げることがある。このため、前記置換基の炭素数は、通常1以上、また、通常6以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である。
さらに、前記の置換基は、1個で置換してもよく、2個以上で置換しても良い。また、前記の置換基は、1種のみが置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していても良い。ただし、複数の置換基を有すると式(I)の電荷輸送物質の結晶析出を抑制する効果があるため好ましいが、置換基が多すぎると分子内の共役面の歪み、分子間立体反発によってかえって電荷移動度を下げることがある。このため、好ましくは、Ar1〜Ar6が有する置換基の数は、一つの環につき、通常2個以下である。
さらに、Ar1〜Ar6が有する置換基としては、式(I)の電荷輸送物質の感光層中における安定性を向上させ、電気特性を向上させるため、立体的に嵩高くないものが好ましい。これらの観点から、Ar1〜Ar6が有する置換基のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、メトキシ基などが挙げられる。
特に、Ar1〜Ar4が、ベンゼン残基である場合は、置換基を有することは好ましい。この場合、好ましい置換基の例としてはアルキル基が挙げられ、中でも、特に好ましいものの例としてはメチル基が挙げられる。
また、Ar5又はAr6がベンゼン残基である場合、好ましい置換基の例としてはメチル基、メトキシ基が挙げられる。
さらには、式(I)において、Ar1〜Ar4の少なくとも1つは、フルオレン構造を有することが好ましい。この際、当該フルオレン構造としては、その骨格内の少なくとも一部にフルオレン構造を有していればよい。これにより、電荷の移動度が高く、高速応答性に優れ、しかも残留電位が低い電子写真感光体を得ることができる。
式(I)において、Xは、置換基を有していてもよい有機残基を表わす。ここで、Xの価数は式(I)で表わされる構造が成立できる価数であり、具体的には、2価又は3価である。また、式(I)においてn5が2である場合(即ち、Xが2個ある場合)、Xは同
じでもよく、異なっていても良い。
Xの例を挙げると、置換基を有しても良い、芳香族残基;飽和脂肪族残基;複素環残基;エーテル構造を有する有機基;ジビニル構造等を有する有機残基;などが挙げられる。
Xとなる有機残基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常、1以上、15以下である。中でも、Xとしては、芳香族残基又は飽和脂肪族残基が好ましい。Xが芳香族残基である場合、当該芳香族残基の炭素数は、好ましくは6以上、また、好ましくは14以下、より好ましくは10以下である。より具体的には、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が好ましい。一方、Xが飽和脂肪族残基である場合、当該飽和脂肪族残基の炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
また、Xは、置換基を有していてもよい。Xが有する置換基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。この置換基の例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、インデニル基、ナフチル基、アセナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基等のアリール基;インドリル基、キノリル基、カルバゾリル基等の複素環基などが挙げられる。中でも、アリール基が好ましく、特に、フェニル基が好ましい。これらの使用により、感光体の電気特性が良好になるためである。また、電荷の移動度を高めるためには、アルキル基が好ましく、特にはメチル基又はエチル基が好ましい。また、これら置換基は、連結基または直接結合により環を形成しても良い。
また、Xが有する置換基の炭素数も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。この観点から、Xが有する置換基のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、メトキシ基などが挙げられる。
さらに、Xが有する置換基は、1個で置換してもよく、2個以上で置換しても良い。また、前記の置換基は、1種のみが置換していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で置換していても良い。ただし、複数の置換基を有すると式(I)の電荷輸送物質の結晶析出を抑制する効果があるため好ましいが、置換基が多すぎると分子内の共役面の歪み、分子間立体反発によってかえって電荷移動度を下げることがある。このため、好ましくは、Xが有する置換基の数は、一つの環につき、通常2個以下である。
式(I)において、R1〜R4は、それぞれ独立に、有機基を表わす。R1〜R4の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30以下、好ましくは20以下である。
また、R1〜R4となる有機基は、ヒドラゾン構造及びスチルベン構造の少なくとも一方を有していることが好ましい。この場合、特に、R1〜R4が有するヒドラゾン構造の窒素原子には、水素原子が直接共役結合していないことが好ましく、また、前記の窒素原子には炭素が結合していることが好ましい。
前記式(I)において、n1は、0〜2の整数を表わし、好ましくは1を表わす。
また、前記式(I)において、n2は0〜2の整数を表わし、好ましくは0又は1を表わす。
さらに、前記式(I)において、n3及びn4は、それぞれ独立に0〜2の整数を表わす。
また、前記式(I)において、n5及びn6は、0〜2の整数を表す。なお、n5が0の場合はXは直接結合(直結)を表わす(即ち、Ar5とAr6とは直接結合される)。また、n6が0である場合は、n5は0であることが好ましい。
5及びn6がともに1である場合、Xはアルキリデン基、アリーレン基、若しくは、エーテル構造を有する基であることが好ましい。
アルキリデン基の例としては、フェニルメチリデン基、2−メチルプロピリデン基、2−メチルブチリデン基、シクロヘキシリデン基などが好ましいものとして挙げられる。また、アリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基などが好ましいものとして挙げられる。さらに、エーテル構造を有する基の例としては、−O−CH2−O−などが好ましいものとして挙げられる。
また、前記式(I)において、n5及びn6がともに0である場合は、Ar5は、ベンゼン残基又はフルオレン残基であることが好ましい。中でも、Ar5がベンゼン残基である場合は、当該ベンゼン残基には、アルキル基、アルコキシ基などの有機基が置換することが好ましく、中でも、メチル基、メトキシ基が置換することが好ましい。特に、当該有機基は、窒素原子のp位に置換することは好ましい。
さらに、前記式(I)において、n6が2である場合、Xは、ベンゼン残基であることが好ましい。
前記式(I)において、n1〜n6の具体的な組合せの例を、表2に示す。
Figure 2007334338
以下、式(I)の電荷輸送物質の好適な構造の具体例を示す。なお、以下に例示する式(I)の電荷輸送物質の構造式において、Rは水素原子又は任意の置換基を表わす。ただし、Rはそれぞれ同じでもよく、異なっていても良い。また、Rとなる前記置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基等の有機基が好ましく、特に、メチル基、フェニル基がより好ましい。また、nは0〜2の整数を表わす。
Figure 2007334338
Figure 2007334338
Figure 2007334338
Figure 2007334338
Figure 2007334338
また、式(I)の電荷輸送物質以外の電荷輸送物質を用いても良い。そのような電荷輸送物質の例を挙げると、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物;テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物;ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質;カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物;アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの;あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質などが挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
なお、電荷輸送物質は、何れか1種を用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電荷輸送層において、電荷輸送物質はバインダー樹脂で結着した状態で電荷輸送層を形成する。バインダー樹脂は、膜強度確保のため使用されるものである。
本発明においては、電荷輸送層に用いるバインダー樹脂として、本発明に係るエステル含有樹脂を用いる。ただし、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明に係るエステル含有樹脂と共に、以下に例示するようなその他のバインダー樹脂を併用しても良い。また、電荷発生層にエステル含有樹脂が含まれている場合には、電荷輸送層に用いるバインダー樹脂として、エステル含有樹脂以外の樹脂のみを用いてもよい。
電荷輸送層に使用しうるエステル含有樹脂以外のバインダー樹脂の例を挙げると、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。なお、これら樹脂は珪素試薬などで修飾されていてもよい。
また、電荷輸送層において、バインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。したがって、電荷輸送層において、本発明に係るエステル含有樹脂及びその他のバインダー樹脂は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、電荷輸送層のバインダー樹脂として、本発明に係るエステル含有樹脂とその他の樹脂とを併用する場合、電荷輸送層のバインダー樹脂全体に占めるエステル含有樹脂の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常60重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。本発明に係るアリールアミン化合物が少なすぎると感光体の耐メモリ性が低下し、ゴースト現象が発現しやすくなる可能性がある。なお、上限は100重量%である。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、電荷輸送物質は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常20重量部以上であり、また、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下であり、さらに、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点から好ましくは120重量部以下であり、さらに、耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
また、電荷輸送層の膜厚にも制限は無いが、通常5μm以上、長寿命、画像安定性の観点から10μm以上が好ましく、また、通常50μm以下、長寿命、画像安定性の観点からは45μm以下が好ましく、高解像度の観点からは30μm以下がより好ましい。
さらに、電荷発生層は、電荷輸送層と同様に、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有していてもよい。例えば、添加剤を含有していてもよい。
[IV−4.単層型感光層]
単層型感光層は、上記のような配合比の電荷輸送層中に、前出の電荷発生物質が分散されて構成される。
単層型の感光層においては、電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用割合は、電荷輸送層について説明したものと同様である。したがって、単層型感光層には、本発明に係るエステル含有樹脂が含有されることになる。
また、電荷発生物質の種類も、上述した通りである。ただし、この場合、電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが望ましい。具体的には、通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下である
さらに、感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られない可能性があり、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害がある。よって、単層型感光層内の電荷発生物質の量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下とする。
また、単層型感光層の膜厚は任意であるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
さらに、単層型感光層にも、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有していてもよい。例えば、電荷発生層と同様に、添加剤を含有させても良い。
[IV−5.感光層の形成方法]
感光層を構成する各層(電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光層)の形成方法に制限は無いが、通常は、各層を構成する材料を含有する塗布液(電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液、単層型感光層用塗布液)を、下引き層上に、公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
例えば、電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂とその他の成分とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には下引き層上に、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
また、例えば、電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂とその他の成分とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
さらに、単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とその他の成分とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
この際、バインダー樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒(又は分散媒)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。その例を挙げると、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;グリセリン、エチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、分岐、及び環状ケトン系溶媒;ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物;リグロイン等の鉱油;水などが挙げられる。中でも、下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
層形成用の塗布液は、単層型感光体及び電荷輸送層用の塗布液の場合には、固形分濃度を、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲で使用するのが好ましい。さらに、前記塗布液の粘度は、通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とするのが好ましい。
一方、電荷発生層用の塗布液の場合には、固形分濃度を、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で使用することが好ましい。さらに、塗布液の粘度は、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲で使用されることが好ましい。
塗布液の塗布方法に制限は無いが、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥方法に制限は無いが、室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、または送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
[V.その他の層]
本発明の電子写真感光体には、下引き層及び感光層以外の層を形成しても良い。
例えば、感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は例えば、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
前記の導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。なお、導電性材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、保護層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができる。また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。なお、このバインダー樹脂も、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、上記保護層は電気抵抗が109〜1014Ω・cmとなるように構成することが
好ましい。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となることがあり、一方、109Ω・cmより低くなると画像のボケ、解像度の低下が生じることがある。
また、保護層は、像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
なお、これらの下引き層及び感光層以外の層の形成方法に制限は無いが、通常は、上述した感光層と同様に、各層を構成する材料を含有する塗布液を、公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
[VI.本発明の電子写真感光体の利点]
本発明の電子写真感光体は、高い感度を持ち、かつ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難いという利点を有する。特に、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難いため、電子写真プロセスを経た後においても感光体の諸特性が大きく悪化することは抑制される。したがって、本発明の電子写真感光体は、繰返しの使用による疲労劣化が少なく、電気特性の安定性に優れ、特に画質の安定性に優れる。
[VII.画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図5を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図5に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置(帯電手段)2、露光装置(露光手段;像露光手段)3、現像装置(現像手段)4及び転写装置(転写手段)5を備えて構成され、更に、必要に応じてクリーニング装置(クリーニング手段)6及び定着装置(定着手段)7が設けられる。
また、本発明の画像形成装置では、感光体1として、上述した本発明の電子写真感光体を備えている。即ち、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える画像形成装置において、該電子写真感光体として、導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体であって、該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、該感光層中に、エステル結合を有するバインダー樹脂(本発明に係るエステル含有樹脂)を含有するものを備えているのである。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図5ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。本発明の効果を有効に活用するには、帯電装置は、電気写真感光体1に対して接触配置することが好ましい。図5では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に対し露光(像露光)を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED(発光ダイオード)などが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜600nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中でも波長350nm〜600nmの短波長の単色光などで露光することが好ましく、より好ましくは波長380nm〜500nmの単色光で露光することである。
現像装置4は前記の静電潜像を現像するものである。その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図5では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、またはこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、またはこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト状の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を転写材(被転写体,用紙,媒体)Pに転写するものである。本発明においては、転写装置5が転写材を介して感光体に接触配置される場合に効果的である。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図5では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどの公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、感光体1は、上記のように帯電装置2と組み合わせてカートリッジとして構成する場合、さらに、現像装置4を備えて構成することが好ましい。さらに、前記の感光体1に加えて、必要に応じて、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(電子写真カートリッジ)として構成し、この電子写真カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。即ち、本発明の電子写真カートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段、及び、該電子写真感光体に付着した前記トナーを回収するクリーニング手段の少なくとも一つとを備えた電子写真カートリッジであって、該電子写真感光体として、導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体であって、該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、該感光層中に、エステル結合を有するバインダー樹脂(本発明に係るエステル含有樹脂)を含有するものを備えていることが好ましい。
この場合、上記実施形態で説明したカートリッジと同様に、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
本発明の画像形成装置及び電気写真カートリッジによれば、繰り返しの使用を行なっても安定して高品質の画像を形成することができる。即ち、本発明に係る電子写真感光体が、高い感度を有し、且つ、電子写真プロセスに於ける転写の影響を受け難いという利点を有するため、本発明の画像形成装置及び電気写真カートリッジは、繰返しの使用による疲労劣化が少なく、高画質の画像形成を安定して行なうことができる。
また、従来は、転写装置5が転写材を介して感光体に接触配置される場合には画像の品質劣化が生じやすかったが、本発明の画像形成装置及び電気写真カートリッジはそのような品質劣化が生じる可能性が小さいため、効果的である。
以下、本発明について、実施例及び比較例を示して更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例の説明において「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
[実施例1]
[下引き層用塗布液]
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
前記酸化チタン分散液と、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、および、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、出力1200Wの超音波発振器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比が3/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の重量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18.0重量%の下引き層形成用塗布液Aを得た。
この下引き層形成用塗布液Aについて、前記のUPAを用いて測定した粒度分布を表3に示す。
Figure 2007334338
この下引き層形成用塗布液Aを、陽極酸化されていないアルミニウムシリンダー(外径30mm、長さ351mm、厚さ1.0mm)に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように下引き層を設けた。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を前記のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.09μm、累積90%粒子径は0.12μmであった。
次に、電荷発生物質として、D型オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。
続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)を、1,2−ジメトキシエタン253部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液(電荷発生材)を調製した。
この分散液(電荷発生材)に、下引き層を設けた前記アルミニウムシリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.3μm(0.3g/m2)となるように電荷発生層を作製した。
次に、電荷輸送物質として下記化合物(CT−1)50部と、
Figure 2007334338
バインダー樹脂として下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(化合物(P−1):粘度平均分子量約30,000;m:n=1:1;特願2002−3828の実施例5に記載の手法に従って重合)100部と、
Figure 2007334338
下記構造を有する酸化防止剤8部と、
Figure 2007334338
レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名 KF96 信越化学工業(株))0.05部とを、テトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒640部に溶解させた液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるように浸漬塗布し、積層型感光層を有する感光体ドラムE1を得た。
得られた感光体E1の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を前記のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.11μmであった。
[実施例2]
バインダー樹脂として、化合物(P−1)を用いるかわりに、下記化合物(化合物(P−2):粘度平均分子量約40,000;特願2002−3828の実施例3に記載の手法に従って重合)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E2を得た。
Figure 2007334338
[実施例3]
バインダー樹脂として、化合物(P−1)を用いるかわりに、下記化合物(化合物(P−3):粘度平均分子量約30,000;m:n=3:7;特願2002−3828の実施例4に記載の手法に従って重合)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E3を得た。
Figure 2007334338
[実施例4]
バインダー樹脂として、化合物(P−1)を用いるかわりに、下記化合物(化合物(P−4):粘度平均分子量約30,000;m:n=3:7;特開平10−288845公報の実施例1に準じて重合)を用い、電荷輸送剤を50部用いる代わりに、70部用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E4を得た。
Figure 2007334338
[実施例5]
バインダー樹脂として、化合物(P−1)を用いるかわりに、下記化合物(化合物(P−5):粘度平均分子量約30,000;特開2006−53549号公報の製造例10に記載の手法に従って重合)を用い、電荷輸送剤を50部用いる代わりに、70部用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E5を得た。
Figure 2007334338
[実施例6]
ウルトラアペックスミルで分散する際の分散メディアとして、直径約50μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用いた以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液Bを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表3に示す。
下引き層形成用塗布液Bを、陽極酸化されていないアルミニウムシリンダー(外径30mm、長さ351mm、厚さ1.0mm)に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように下引き層を設けた。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様にUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.12μmであった。
得られた下引き層の上に実施例1と同様にして電荷発生層および電荷輸送層を形成し、感光体E6を得た。
得られた感光体E6の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.11μmであった。
[実施例7]
ウルトラアペックスミルで分散する際のロータ周速を、12m/秒とした以外は、実施例5と同様にして下引き層形成用塗布液Cを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表3に示す。
下引き層形成用塗布液Cを用いた他は実施例1と同様にして感光体E7を得た。
[実施例8]
バインダー樹脂として、界面重合で重合された化合物(P−1)を用いるかわりに、溶融重合により重合された化合物(P−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体P1を得た。
[実施例9]
バインダー樹脂として、界面重合で重合された化合物(P−5)を用いるかわりに、溶液重合により重合された化合物(P−5)を用いた以外は、実施例5と同様にして感光体P2を得た。
[比較例1]
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランをボールミルにて混合して得られたスラリーを乾燥後、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとなし、該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸(組成モル%:60/15/5/15/5)からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液Dを作製した。
この下引き層形成用塗布液Dを用いて、実施例1と同様にアルミニウムシリンダーに浸漬塗布して下引き層を設けた。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.11μm、累積90%粒子径は0.20μmであった。
次いで、上記下引き層形成用塗布液Dを使用した以外は、実施例1と同様に、感光体P3を得た。
得られた感光体P3の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.11μm、累積90%粒子径は0.18μmであった。
[電気特性の評価]
実施例および比較例において作製した電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm2)。また、該露光光を1.0μJ/cm2の強度で照射したときの100ms後の露光後表面電位(VL1)を測定した(−V)。
さらに、上記プロセスの電位測定と除電の間に、転写をシミュレートする目的で、プラス極性のコロトロン帯電器を装着した。1サイクル/sのスピードでドラムを回転させ、除電光はオフとし、マイナス、プラスの帯電のサイクルを4000回繰り返した。その後、ふたたび除電光をオンし、VL1と同様にして露光後表面電位(VL2)を測定した(−V)。ここで、マイナス帯電はスコロトロンで初期表面電位を−700Vに帯電させる条件とし、プラス帯電は出力一定7kVでコロトロン帯電とした。
ΔVL=VL2−VL1を計測することで、プラス帯電の繰り返しが電子写真感光体特性に与える影響の大きさを評価した。
これらの結果を表4にまとめた。なお、表4の下引き層の欄において、「α」は前記の下引き層形成用分散液A、B又はCを表わし、「β」は下引き用分散液Dを表わす。
Figure 2007334338
Figure 2007334338
表4の結果から、本発明の感光体はいずれも良好な感度を有し、優れた電気特性を有していることが分かる。また、本発明に係る下引き層を用いた場合、同様のバインダー樹脂を使用しているもの同士を比較してみると、本発明の感光体が、プラス帯電の繰り返しの影響を受け難いことがわかる。
[画像評価]
実施例および比較例で得られた電子写真感光体E1、E2をそれぞれ、A3印刷対応である市販のタンデム型カラープリンター(沖データ社製 Microline3050c)のシアンドラムカートリッジ(一体型カートリッジとして、接触帯電ローラ部材、ブレードクリーニング部材、及び現像部材を有する)に装着し、上記プリンターに装着した。まず、温度35℃、湿度80%の条件下、印刷のメディアタイプをOHPに設定し、縦送りで、三菱化学メディア社製A4版OHPフィルムMC502にシアン色の画像を100枚印刷した。次に、A3紙にシアンのベタ画像を印刷し、画像評価を行なった。
A3紙に印刷されたベタ画像のOHPの通紙エリア(感光体がOHPシートを通して転写によるダメージを受けた部分)とOHPの非通紙エリア(感光体が直接転写によるダメージを受けた部分)の濃度差を確認したところ、実施例の感光体E1、E2では目視で濃度差が確認されなかった。本発明の感光体に限り、良好な画像を得ることができることが確認された。
本発明は産業上の任意の分野において用いることができ、特に、電子写真方式のプリンター、ファクシミリ、複写機などに好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る湿式攪拌ボールミルの構成を模式的に表わす縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る湿式攪拌ボールミルで使用されるメカニカルシールを模式的に表わす拡大縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る湿式攪拌ボールミルの別の例を模式的に表わす縦断面図である。 図3に示す湿式攪拌ボールミルのセパレータを模式的に表わす横断面図である。 本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
14 セパレータ
15 シャフト
16 ジャケット
17 ステータ
19 排出路
21 ロータ
24 プーリ
25 ロータリージョイント
26 原料スラリーの供給口
27 スクリーンサポート
28 スクリーン
29 製品スラリー取出し口
31 ディスク
32 ブレード
35 弁体
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
100 シーリング
101 メイティングリング
102 バネ
103 嵌合溝
104 Oリング
105 シャフト
106 セパレータ
107 スペーサ
108 ロータ
109 ストッパー
110 ネジ
111 排出路
112 孔
113 スペーサ
114 ブレード嵌合溝
115 ディスク
116 ブレード
T トナー
P 転写材(用紙、媒体)

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体において、
    該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、
    該感光層中に、エステル結合を有するバインダー樹脂を含有する
    ことを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 前記のエステル結合を有するバインダー樹脂が、ポリカーボネート又はポリエステルである
    ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリエステルが、ポリアリレートである
    ことを特徴とする、請求項2記載の電子写真感光体。
  4. 前記のエステル結合を有するバインダー樹脂が、界面重合法により製造されたものである
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、
    前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
    前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える
    ことを特徴とする、画像形成装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段、及び、該電子写真感光体に付着した前記トナーを回収するクリーニング手段の少なくとも一つとを備える
    ことを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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