JP5194555B2 - 電子写真感光体及び導電性基体の製造方法、並びに、画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents
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Description
通常、有機感光体は、導電性基体(導電性支持体)上に感光層を形成してなる。感光体のタイプとしては、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた単層の感光層(単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる複数の層からなる感光層(積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが知られている。
有機感光体の有する層は、通常、その生産性の高さから、各種溶媒中に材料を溶解または分散した塗布液を、塗布、乾燥することにより形成される。この際、酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有する下引き層では、酸化チタン粒子とバインダー樹脂は下引き層中において相溶しない状態で存在しているため、当該下引き層形成用塗布液は、酸化チタン粒子を分散した塗布液により塗布形成される。
また、一般的に、酸化チタン粒子は凝集して二次粒子となっており、これを一次粒子に近い形に分散することにより、黒点、色点などの画像欠陥が少なくなることが知られている。
この干渉縞欠陥を防止する方策としては、基体表面を粗面化する方法が有効であり、各種粗面化法が提案されている(特許文献3〜9)。
また、下引き層中に分散された酸化チタン等の金属酸化物粒子は、レーザーやLEDなどによる書き込む光を散乱させる点において干渉縞を緩和させる効果がある。しかし、黒点や色点などの画像欠陥を低減させるために該金属酸化物粒子が一次粒子に近い形に分散されると、下引き層による干渉縞緩和効果が少なくなり、画像上の干渉縞が増加する。さらに、干渉縞を低減させるために基体表面を著しく粗面化すると、黒点、色点、黒すじなどの画像欠陥を増加させる結果となる。
本発明は、前記の電子写真技術の背景を鑑みて創案されたもので、黒点、色点、干渉縞などの画像欠陥が発現し難い高性能の電子写真感光体、及び、それに用いる導電性基体の製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジを提供することを目的とする。
また、該導電性基体表面に微細な溝が形成され、該溝の形状が、該導電性基体表面を平面上に展開した場合に、曲線且つ不連続であることが好ましい(請求項3)。
さらに、該導電性基体表面に形成された溝が、格子状であることが好ましい(請求項4)。
また、該導電性基体の表面のクルトシスRkuが3.5≦Rku≦25であり、且つ、該導電性基体の表面に形成された溝幅Lが0.5μm≦L≦6.0μmであることが好ましい(請求項5)。
このとき、前記導電性基体の表面が、予め、切削加工、しごき加工、研削加工、及び、ホーニング加工のいずれかの加工を施されていることが好ましい(請求項7〜10)。
また、前記可撓性材料としては、ブラシを用いることが好ましく(請求項11)、特に、砥粒を練り込んだ樹脂により形成されたブラシを用いることがより好ましい(請求項12)。
[I−1.導電性基体の表面粗さ]
本発明に係る導電性基体は所定範囲の最大高さ粗さRzを有していて、これにより、干渉縞欠陥を防止できるようになっている。具体的には、本発明に係る導電性基体は、その表面の最大高さ粗さRzが、通常0.8μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.1μm以上、また、通常2μm以下、好ましくは1.8μm以下であり、より好ましくは1.6μm以下である。最大高さ粗さRzが小さすぎると反射光の散乱効果が不十分となる可能性があり、大きすぎると画像黒点等の欠陥が出やすくなることがある。なお、前記の最大高さ粗さRzは、JIS B 0601:2001で規定されている。また、ここでいう導電性基体の表面とは、導電性基体の表面の少なくとも一部をいうが、通常は、導電性基体の画像形成領域をいう。
例えば、導電性基体の軸とほぼ直交する方向に溝を形成しても良い。このような溝は、切削加工により粗面化を行なった場合に形成されることが多い。しかし、この場合、感光体への書き込み光の反射光は基体軸と平行な特定の面内で散乱することになり、干渉縞抑制効果を十分に得られない可能性がある。
即ち、本発明に係る導電性基体の表面のクルトシスRkuは、通常3.5以上、好ましくは4.2以上、より好ましくは4.5以上、また、通常25以下、好ましくは15以下、より好ましくは9以下である。クルトシスRkuは粗さ分布波形の尖りを示すものであり、このクルトシスRkuが前記範囲に収まることにより、画像形成時の画像欠陥を防ぐことが可能であり、且つ、導電性基体の実用上の生産性が良好となる。なお、クルトシスRkuは、JIS B 0601:2001に定められた方法により測定可能である。
なお、溝幅Lは、光学顕微鏡にて倍率400倍で観察される導電性基体表面の任意の20本の溝について、それぞれ任意の5点の溝幅を測定し、得られる合計100ヶ所の溝幅値の算術平均値を溝幅Lとして測定することができる。
本発明の導電性基体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものが使用できる。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性基体などが挙げられる。さらに、例えば、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダー樹脂とともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等も挙げられる。また、例えば、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムなども挙げられる。また、例えば、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトなども挙げられる。
導電性基体を粗面化して、本発明に係る導電性基体を製造する方法は任意である。
一般的な粗面化の方法としては、例えば、旋盤等による切削加工により導電性基体の表面形状を形成し、導電性基体の表面に凹凸を形成する方法がある。この切削加工によって上記の最大高さ粗さRzを実現することが可能である。
前記のエンドレスパイプを成形して製造する際に用いられる成形方法にも制限は無い。成形方法としては、例えば、押出加工、引抜加工、切削加工、しごき加工などが知られており、これらの複数の加工工程を組み合わせて最終的なエンドレスパイプが成形されることが多い。通常、最終の工程として切削加工やしごき加工が行なわれる。中でも、しごき加工による成形は生産性に優れているため、好ましい。しごき加工により導電性基体の成形を行なうようにすれば、切削加工により成形する場合に比べて、導電性基体の製造に要する時間を大幅に短縮することができる。
なお、導電性基体の成形時に行なう加工のうち、しごき加工や切削加工などの成形加工は、前記の事前加工としても作用することになる。
可撓性のほとんど無い砥石のようなものを擦り材として用いた場合、導電性基体の表面に深く傷が入る部位が生じることがある。細かな砥粒を用いることで溝を浅くできるが、この場合には生産性が低下するだけでなく、砥石が目詰まりする可能性がある。導電性基体としてアルミニウム又はその合金が用いられる場合があるが、目詰まりした研削粉は柔らかなアルミニウム又はその合金の表面に転写されやすいことから、異物欠陥となりやすい。また、砥石は接触部位での変形がほとんどないことから、溝長さは短く直線状となることが多い。
図1は、導電性基体の粗面化方法の一例を説明するための模式的な図である。導電性基体1は、内拡把持機構2により回転可能に把持され、内拡把持機構2の回転に伴って軸(以下適宜、「基体軸」という)1Aのまわりに回転されるようになっている。
導電性基体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理を施したものを用いてもよい。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する層である。また、下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限りその他の成分を含有していてもよい。
本発明に係る下引き層は、導電性基体と感光層との間に設けられ、導電性基体と感光層との接着性の改善、導電性基体の汚れや傷のなどの隠蔽、不純物や表面物性の不均質化によるキャリヤ注入の防止、電気特性の不均一性の改良、繰り返し使用による表面電位低下の防止、画質欠陥の原因となる局所的な表面電位変動の防止等の機能の少なくともいずれか一つを有し、光電特性の発現に必須ではない層である。
[II−1−1.金属酸化物粒子の種類]
本発明に係る金属酸化物粒子としては、電子写真感光体に使用可能な如何なる金属酸化物粒子も使用することができる。
金属酸化物粒子を形成する金属酸化物の具体例を挙げると、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物からなる金属酸化物粒子が好ましい。バンドギャップが小さすぎると、導電性基体からのキャリア注入が起こりやすくなり、黒点や色点などの画像欠陥が発生しやすくなる。また、バンドギャップが大きすぎると、電子のトラッピングにより電荷の移動が阻害されて、電気特性が悪化する可能性があるためである。
特に、金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いる場合には、有機珪素化合物により表面処理されていることが好ましい。有機珪素化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のオルガノシラン;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン;ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
また、前記式(i)中、R3は、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。R3の炭素数に制限は無いが、通常1以上、また、通常18以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。R3のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
R1〜R3の炭素数が多くなりすぎると金属酸化物粒子との反応性が低下したり、処理後の金属酸化物粒子の下引き層形成用塗布液中での分散安定性が低下する可能性がある。
酸化チタン粒子の具体的な商品の例としては、表面処理を施していない超微粒子酸化チタン「TTO−55(N)」;Al2O3被覆を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(A)」、「TTO−55(B)」;ステアリン酸で表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(C)」;Al2O3とオルガノシロキサンで表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(S)」;高純度酸化チタン「CR−EL」;硫酸法酸化チタン「R−550」、「R−580」、「R−630」、「R−670」、「R−680」、「R−780」、「A−100」、「A−220」、「W−10」;塩素法酸化チタン「CR−50」、「CR−58」、「CR−60」、「CR−60−2」、「CR−67」;導電性酸化チタン「SN−100P」、「SN−100D」、「ET−300W」;(以上、石原産業株式会社製)等が挙げられる。また、「R−60」、「A−110」、「A−150」などの酸化チタン;をはじめ、Al2O3被覆を施した「SR−1」、「R−GL」、「R−5N」、「R−5N−2」、「R−52N」、「RK−1」、「A−SP」;SiO2、Al2O3被覆を施した「R−GX」、「R−7E」;ZnO、SiO2、Al2O3被覆を施した「R−650」;ZrO2、Al2O3被覆を施した「R−61N」;(以上、堺化学工業株式会社製)等も挙げられる。さらに、SiO2、Al2O3で表面処理された「TR−700」;ZnO、SiO2、Al2O3で表面処理された「TR−840」、「TA−500」の他、「TA−100」、「TA−200」、「TA−300」など表面未処理の酸化チタン;Al2O3で表面処理を施した「TA−400」(以上、富士チタン工業株式会社製);表面処理を施していない「MT−150W」、「MT−500B」;SiO2、Al2O3で表面処理された「MT−100SA」、「MT−500SA」;SiO2、Al2O3とオルガノシロキサンで表面処理された「MT−100SAS」、「MT−500SAS」(テイカ株式会社製)等も挙げられる。
さらに、酸化珪素粒子の具体的な商品の例としては、「200CF」、「R972」(日本アエロジル社製)、「KEP−30」(日本触媒株式会社製)等が挙げられる。
また、酸化スズ粒子の具体的な商品の例としては、「SN−100P」(石原産業株式会社製)等が挙げられる。
さらに、酸化亜鉛粒子の具体的な商品の例としては「MZ−305S」(テイカ株式会社製)等が挙げられる。
本発明に係る金属酸化物粒子については、その粒径分布に関し、以下の要件が成立する。即ち、本発明にかかる下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液(以下適宜、「下引き層測定用分散液」という)中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下である。
以下、この点につき詳しく説明する。
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された体積平均粒子径が、0.1μm以下、好ましくは95nm以下、より好ましくは90nm以下である。また、前記の体積平均粒子径の下限に制限は無いが、通常20nm以上である。上記範囲を満たすことにより、本発明の電子写真感光体は、低温低湿下での露光−帯電繰り返し特性が安定し、得られる画像に黒点、色点などの画像欠陥が生じることを抑制することができる。
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された累積90%粒子径が、0.3μm以下、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。また、前記の累積90%粒子径の下限に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。従来の電子写真感光体では、下引き層に、金属酸化物粒子が凝集することによってなる、下引き層の表裏を貫通できるほど粗大な金属酸化物粒子凝集体が含有され、当該粗大な金属酸化物粒子凝集体によって、画像形成時に欠陥が生じる可能性があった。さらに、帯電手段として接触式のものを用いた場合には、感光層に帯電を行なう際に当該金属酸化物粒子を通って感光層から導電性支持体に電荷が移動し、適切に帯電を行なうことができなくなる可能性もあった。しかし、本発明の電子写真感光体では、累積90%粒子径が非常に小さいため、前記のように欠陥の原因となるような大きな金属酸化物粒子が非常に少なくなる。この結果、本発明の電子写真感光体では、欠陥の発生、及び、適切に帯電できなくなることを抑制でき、高品質な画像形成が可能である。
本発明に係る金属酸化物粒子の前記体積平均粒子径及び前記累積90%粒子径は、下引き層を、メタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した混合溶媒(これが、粒度測定時の分散媒となる)に分散して下引き層測定用分散液を調製し、その下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定することにより得られる値である。
測定上限 :5.9978μm
測定下限 :0.0035μm
チャンネル数 :44
測定時間 :300sec.
粒子透過性 :吸収
粒子屈折率 :N/A(適用しない)
粒子形状 :非球形
密度 :4.20g/cm3(*)
分散媒種類 :メタノール/1−プロパノール=7/3
分散媒屈折率 :1.35
(*)密度の値は二酸化チタン粒子の場合であり、他の粒子の場合は、前記取扱説明書に記載の数値を用いる。
また、動的光散乱による粒度の測定は、25℃で行なうものとする。
本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下である。
なお、この平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission electron microscope:以下適宜「TEM」という)により直接観察される粒子の径の算術平均値によって求めることが可能である。
なお、金属酸化物粒子の屈折率は、各種の刊行物に記載されている文献値を用いることができる。例えば、フィラー活用辞典(フィラー研究会編,大成社,1994)によれば下記表1のようになっている。
本発明の下引き層において使用されるバインダー樹脂としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。通常は、有機溶剤等の溶媒に可溶であって、且つ、下引き層が、感光層形成用の塗布液に用いられる有機溶剤等の溶媒に不溶であるか、溶解性の低く、実質上混合しないものを用いる。
また、R4〜R7で表される有機置換基の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、また、通常1以上である。炭素数が大きすぎると、下引き層形成用塗布液を用意する際に溶媒への溶解性が悪化し、また、溶解ができたとしても下引き層形成用塗布液としての保存安定性が悪化する傾向を示す。
なお、バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した金属酸化物粒子、バインダー樹脂及び溶媒以外の成分を含有していてもよい。例えば、下引き層には、その他の成分として添加剤を含有させてもよい。
〔膜厚〕
下引き層の膜厚は任意であるが、本発明の電子写真感光体の感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下の範囲が好ましい。
本発明に係る下引き層は、その表面形状に制限はないが、通常、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)、面内算術平均粗さ(Ra)、面内最大粗さ(P−V)に特徴を有する。なお、これらの数値は、JIS B 0601:2001の規格における、二乗平均平方根高さ、算術平均高さ、最大高さ、の基準長さを基準面に拡張した数値であり、基準面における高さ方向の値であるZ(x)を用いて、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)はZ(x)の二乗平均平方根を、面内算術平均粗さ(Ra)はZ(x)の絶対値の平均を、面内最大粗さ(P−V)はZ(x)の山高さの最大値と谷深さの最大値との和を、それぞれ表す。
本発明に係る下引き層の面内算術平均粗さ(Ra)は、通常10nm以上、また、通常50nm以下の範囲にある。面内算術平均粗さ(Ra)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
本発明に係る下引き層の面内最大粗さ(P−V)は、通常100nm以上、好ましくは300nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは800nm以下の範囲にある。面内最大粗さ(P−V)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
また、本発明に係る下引き層は、該下引き層を結着しているバインダー樹脂を溶解できる溶媒に分散して分散液(以下適宜、「吸光度測定用分散液」という)とした場合に、通常は、該分散液の吸光度が特定の物性を示すものである。
なお、吸光度の値は、測定する液の固形分濃度に依存する。このため、吸光度の測定を行なう場合、前記分散液中の金属酸化物粒子の濃度が、0.003重量%〜0.0075重量%の範囲となるように分散することが好ましい。
本発明に係る下引き層の正反射率は、通常、本発明に特定の値を示す。本発明に係る下引き層の正反射率とは、導電性基体に対する、導電性基体上の下引き層の正反射率を示している。この下引き層の正反射率は、下引き層の膜厚によって変化するため、ここでは下引き層の膜厚を2μmとした場合の反射率として規定する。
一方、下引き層が含有する金属酸化物粒子の屈折率が2.0未満の場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性基体の波長400nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長400nmの光に対する正反射の比が、通常50%以上である。
特定の単色光が下引き層を通過し、導電性基体上で正反射し、ふたたび下引き層を通過して検出される場合に、光に対して垂直な厚さdLの薄い層を仮定する。
厚さdLの薄い層を通過後の光の強度の減少量−dIは、前記の層を通過する前の光の強度Iと、層の厚さdLとに比例すると考えられ、式で表現すると次のように書くことができる(kは定数)。
式(A)を変形すると次の様になる。
−dI/I=kdL (B)
式(B)の両辺をそれぞれ、I0からIまで、0からLまでの区間で積分すると次の様な式が得られる。なお、I0は入射光の強度を表わす。
log(I0/I)=kL (C)
式(C)を変形すると、
I=I0exp(−kL) (D)
となり、入射光が導電性基体表面に到達するまでの挙動が式(D)で表される。
すると、式(D)に従って導電性基体表面に到達した光は、反射率Rを乗じられた上で正反射し、ふたたび光路長Lを通って下引き層表面に出ていく。すなわち、
I=I0exp(−kL)・R・exp(−kL) (E)
となり、R=I1/I0を代入し、さらに変形することで、
I/I1=exp(−2kL) (F)
という関係式を得ることができる。これが、導電性基体に対する反射率に対する、下引き層に対する反射率の値であり、これを正反射率と定義する。
T(L)=I/I1=exp(−2kL) (G)
が成立する。
一方、知りたい値はT(2)であるため、式(G)にL=2を代入して、
T(2)=I/I1=exp(−4k) (H)
となり、式(G)と式(H)を連立させてkを消去すると、
T(2)=T(L)2/L (I)
となる。
本発明に係る下引き層の形成方法に制限は無い。ただし、通常は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層形成用塗布液を導電性基体の表面に塗布し、乾燥させて、下引き層を得る。
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、下引き層を形成するために用いられるもので、金属酸化物粒子と、バインダー樹脂とを含有する。また、通常、本発明に係る下引き層形成用塗布液は溶媒を含有している。さらに、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、その他の成分を含有していてもよい。
金属酸化物粒子は、下引き層に含有される金属酸化物粒子として説明したものと同様である。
ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の粒径分布に関しては、通常は、以下の要件が成立する。即ち、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径は、それぞれ、上述した下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径と同様である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液中において、金属酸化物粒子は、一次粒子として存在するのが望ましい。しかし、通常は、そのようなことは少なく、凝集して凝集体二次粒子として存在するか、両者が混在する場合がほとんどである。したがって、その状態での粒度分布が如何にあるべきかは非常に重要である。
本発明に係る金属酸化物粒子が下引き層形成用塗布液中で球形の一次粒子として存在するのであれば、これは望ましいことではある。しかし、このような金属酸化物粒子は、実際には実用上得られるものではない。本発明者らは、仮に金属酸化物粒子が凝集していても、累積90%粒子径が十分に小さいものであれば、即ち、具体的には累積90%粒子径が0.3μm以下であれば、下引き層形成用塗布液としてゲル化や粘性変化が少なく、長期保存が可能であり、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が均一となることを見出した。一方、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子が大きすぎると、液中でのゲル化や粘性変化が大きく、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が不均一となるため、その上層(電荷発生層など)の品質にも悪影響を及ぼすことになる可能性がある。
また、測定する際のセルサイズ(光路長)は、10mmのものを用いる。使用するセルは、400nm〜1000nmの範囲において実質的に透明であるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、石英のセルを用いることが好ましく、特には試料セルと標準セルの透過率特性の差が特定範囲内にあるようなマッチドセルを用いることが好ましい。
下引き層形成用塗布液に含まれるバインダー樹脂は、下引き層に含有されるバインダー樹脂として説明したものと同様である。
ただし、下引き層形成用塗布液におけるバインダー樹脂の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で用いる。
本発明に係る下引き層形成用塗布液に用いる溶媒(下引き層用溶媒)としては、本発明に係るバインダー樹脂を溶解させうるものであれば、任意のものを使用することができる。この溶媒としては、通常は有機溶媒を使用する。溶媒の例を挙げると、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはノルマルプロピルアルコール等の炭素数5以下のアルコール類;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド等の含窒素有機溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられる。
下引き層形成用塗布液に含まれるその他の成分は、下引き層に含有されるその他の成分として説明したものと同様である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、保存安定性が高い。保存安定性の指標としては様々なものがあるが、例えば、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、作製時と室温120日保存後の粘度変化率(即ち、120日保存後の粘度と作製時との粘度の差を、作製時の粘度で除した値)が、通常20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。なお、粘度は、E型粘度計(トキメック社製、製品名 ED)を用い、JIS Z 8803に準じた方法で測定できる。
また、本発明に係る下引き層形成用塗布液を用いれば、電子写真感光体を高品質に、且つ、高効率に製造することが可能である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法に制限は無い。ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液は上述したように金属酸化物粒子を含有するものであり、金属酸化物粒子は下引き層形成用塗布液中に分散されて存在する。したがって、本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法は、通常、金属酸化物粒子を分散させる分散工程を有する。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いて分散しても構わない。分散メディアを利用して分散する分散装置の例を挙げると、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物粒子を循環させて分散できるものが好ましい。また、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、例えばサンドミル、スクリーンミル、ギャップミル等の湿式攪拌ボールミルが特に好ましい。なお、前記のこれらのミルは、縦型、横型いずれのものでもよい。また、ミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等任意のものを使用できる。好ましくは、液循環型のサンドミルが用いられる。
なお、これらの分散装置は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
なお、分散メディアは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ここで、スラリーは、少なくとも金属酸化物粒子と分散溶媒とを含有している。
ステータは、内部に中空部を有する筒形(通常は、円筒形状)の容器で、その一端にはスラリーの供給口が形成され、その他端にはスラリーの排出口が形成されている。さらに、内部の中空部には分散メディアが充填され、当該分散メディアによってスラリー中の金属酸化物粒子が分散されるようになっている。また、供給口からはステータ内にスラリーが供給され、ステータ内のスラリーは排出口からステータの外に排出されるようになっている。
なお、セパレータは、前記のロータと一体をなして回転するようにしてもよく、ロータとは別個に独立して回転するようにしても良い。
その上、Oリングが嵌合する環状溝の下側部は、切込みにより下方に向かって拡開し、クリアランスが広がっているため、スラリーや分散メディアが入り込んで噛み込んだり、固化することによる詰まりを生じ難く、メイティングリングのシールリングへの追随が円滑に行なわれてメカニカルシールの機能維持が行なわれる。なお、Oリングが嵌合する嵌合溝の下側部は断面V形をなし、全体が薄肉となる訳ではないから、強度が損なわれることはないし、Oリングの保持機能が損なわれることもない。
図7は、この実施形態の湿式攪拌ボールミルの構成を模式的に表わす縦断面図である。図7において、スラリー(図示省略)は、縦型湿式攪拌ボールミルに供給され、該ミルで分散メディア(図示省略)と共に攪拌されることにより粉砕されたのち、セパレータ14で分散メディアを分離してシャフト15の軸心に形成された排出路19を通って排出され、戻される経路(図示省略)を辿り、循環粉砕されるようになっている。
スリットでの詰まりを解消するため、弁体35が短い周期で上限位置まで上昇する上下動を繰返して噛み込みを解消できるようにしてある。この弁体35の振動は、常時行なっておいてもよいし、スラリー中に粗粒子が多量に含まれる場合に行なってもよく、また詰まりによってスラリーの供給圧が上昇したとき、これに連動して行なわれるようにしてもよい。
なお、本実施形態で例示したような構造を有する湿式撹拌ボールミルとしては、具体的には例えば寿工業株式会社製のウルトラアペックスミルが挙げられる。
分散溶媒としては、特に制限されないが、前記の下引き層形成用塗布液に用いる溶媒を用いれば、分散後に溶媒交換などの工程を経る必要が無くなり好適である。これらの分散溶媒は何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用し、混合溶媒として用いても良い。
また、機械的分散時の温度としては、溶媒(または混合溶媒)の凝固点以上、沸点以下で行なうことが可能であるが、製造時の安全性の面から、通常、10℃以上、200℃以下の範囲で行なわれる。
振動周波数等の超音波処理時の条件には特に制限はないが、通常10kHz以上、好ましくは15kHz以上、また、通常40kHz以下、好ましくは35kHz以下の周波数の発振器により超音波振動を加える。
また、超音波発振機の出力に特に制限はないが、通常100W〜5kWのものが用いられる。
本発明に係る下引き層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することにより、本発明に係る下引き層を形成することができる。本発明に係る下引き層形成用塗布液を塗布する方法に制限は無いが、例えば、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、スパイラル塗布、リング塗布、バーコート塗布、ロールコート塗布、ブレード塗布等が挙げられる。なお、これらの塗布法は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
浸漬塗布法の場合、通常、下引き層形成用塗布液の全固形分濃度は、通常1重量%以上、好ましくは10重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とし、粘度を好ましくは0.1cps以上、また、好ましくは100cps以下の範囲とする。なお、1cps=1×10-3Pa・sである。
感光層の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能である。具体例を挙げると、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた単層の感光層(即ち、単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層してなる複数の層からなる感光層(即ち、積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが挙げられる。一般に光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
本発明で電子写真感光体に用いる電荷発生物質としては、従来から本用途に用いることが提案されている任意の物質を用いることができる。このような物質としては例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料、ピリリウム系顔料、チアピリリウム系顔料、インジゴ系顔料、多環キノン系顔料、スクエアリック酸系顔料などが挙げられる。特にフタロシアニン顔料、またはアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷輸送物質に制限は無い。電荷輸送物質の例を挙げると、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリグリシジルカルバゾール、ポリアセナフチレン等の高分子化合物;ピレン,アントラセン等の多環芳香族化合物;インドール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物;p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、N−メチルカルバゾール−3−カルバルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物;5−(4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン)−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン等のスチリル系化合物;p−トリトリルアミン等のトリアリールアミン系化合物;N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物;ブタジエン系化合物;ジ−(p−ジトリルアミノフェニル)メタン等のトリフェニルメタン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチリル系化合物、ブタジエン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、もしくはこれらが複数結合されたものが好適に用いられる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の電子写真感光体に係る感光層は、光導電性材料を各種バインダー樹脂で結着した形で形成する。感光層用バインダー樹脂としては、電子写真感光体に用いることができる公知の如何なるバインダー樹脂も使用可能である。感光層用バインダー樹脂の具体例を挙げると、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリアクル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体等が用いられる。またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。なお、感光層用バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
・積層型感光体
本発明の電子写真感光体がいわゆる積層型感光体である場合、電荷発生物質を含有する層は、通常、電荷発生層である。ただし、積層型感光体において、本発明の効果を著しく損なわない限り、電荷発生物質が電荷輸送層中に含まれていても構わない。
また、電荷発生層の膜厚は任意であるが、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常2μm以下、好ましくは0.8μm以下が好適である。
本発明の電子写真感光体がいわゆる単層型感光体である場合、後に記載する電荷輸送層と同様の配合割合の感光層用バインダー樹脂と電荷輸送物質とを主成分とするマトリックス中に、前記電荷発生物質が分散される。
単層型の感光層に使用する場合には、電荷発生物質の粒子径は十分小さいことが望ましい。このため、単層型の感光層では、電荷発生物質の体積平均粒子径では、通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下である。
単層型感光層の膜厚は任意であるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下である。
本発明の電子写真感光体がいわゆる積層型感光体である場合、電荷輸送物質を含有する層は、通常、電荷輸送層である。電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する樹脂単独で形成されても良いが、前記電荷輸送物質が感光層用バインダー樹脂中に分散または溶解された構成がより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は任意であるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは27μm以下である。
本発明の電子写真感光体は、上述した下引き層及び感光層以外にも、その他の層を有していてもよい。
例を挙げると、最表面層として従来公知の、熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマーを主体とする表面保護層やオーバーコート層を設けてもよい。
感光体が有する下引き層以外の各層の形成方法に制限は無く、任意の方法を用いることができる。例えば、本発明に係る下引き層形成用塗布液で下引き層を形成する場合のように、層に含有させる物質を溶媒に溶解又は分散させて得られた塗布液(感光層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液など)を、例えば浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、リング塗布方法等の公知の方法を用いて順次塗布し、乾燥させて形成される。この場合、塗布液は、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
なお、塗布液に用いる溶媒の量に制限は無く、塗布液の組成や塗布方法などに応じて、適切な量を用いるようにすれば良い。
本発明の電子写真感光体は、露光光の干渉による縞を防止しながら、黒点、色点、黒すじなどの、画像欠陥を発現させず、良好な画像を得ることができる。また、以下のような利点を得られる場合もある。
即ち、様々な使用環境下でも高い画質の画像を形成することが可能であり、しかも、耐久安定性に優れる。したがって、本発明の電子写真感光体は、画像形成に用いた場合、環境による影響を抑制しながら、高品質の画像を形成することが可能である。
さらに、従来の電子写真感光体では、下引き層に、酸化物粒子が凝集した粗大な金属酸化物粒子が含有され、当該粗大な金属酸化物粒子によって、画像形成時に欠陥が生じる可能性があった。さらに、帯電手段として接触式のものを用いた場合には、感光層に帯電を行なう際に当該金属酸化物粒子を通って感光層から導電性基体に電荷が移動し、適切に帯電を行なうことができなくなる可能性もあった。しかし、本発明の電子写真感光体では、平均粒径が非常に小さく、且つ、良好な粒径分布を有する金属酸化物粒子を用いた下引き層を備えているため、欠陥や、適切に帯電できなくなることを抑制でき、高品質な画像形成が可能である。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図11を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体201の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置203により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体201の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置204で行なう。
現像ローラ244に担持された帯電トナーTが感光体201の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体201の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置205によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体201の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置206で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
[基体1]
最大高さ粗さRzが1.3μmとなるように多結晶ダイヤモンドバイトを用いた切削加工により外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA6063アルミ合金製の基体1を作製した。また、作製した基体1を一部取り置き、取り置いたものを用いて、基体1の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、及び、クルトシスRkuをそれぞれ測定した。具体的な測定方法としては、(株)東京精密社製の表面粗さ測定器「Surfcom 480A」を用い、JIS B0601:1994に従い測定された数値をJIS B0601:2001の規定に読み替えた。結果を表3に示す。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
電荷発生物質として、図12に示すCuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン20重量部と、1,2−ジメトキシエタン280重量部とを混合し、サンドグラインドミルで2時間分散処理を行ない、分散液を作製した。続いてこの分散液と、10重量部のポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)、253重量部の1,2−ジメトキシエタン、85重量部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を混合し、更に234重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合し、超音波分散機処理した後に、孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック社製 マイテックス LC)でろ過し、電荷発生層用塗布液1を作製した。この電荷発生層用塗布液1を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように、浸漬塗布により塗布、乾燥して電荷発生層を形成した。
さらに125℃において20分間乾燥して電荷輸送層を設けて電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を感光体P1とする。
外径φ60mmのPVC製円筒土台に、穴径φ5mm×穴間隔10mmの千鳥状に穴を明け、径φ0.45mm、粒度#500(平均粒径34μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(デュポン社製「タイネックスA」)を長さ25mmとなるよう植えたブラシを用い、外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA6063アルミ合金製の鏡面切削管(Ra0.03 Rz0.2)に対し、基体回転数200rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代10mm、引き上げ速度5mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件で粗面化加工を実施した。ここで、引き上げ速度は、溝の密度がまばらにならない程度に極力速くなるように設定した。
このようにして得られた感光体P2を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
また、取り置いていた基体2の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、及び、クルトシスRkuをそれぞれ実施例1と同様に測定した。さらに、基体2の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、光学顕微鏡にて観察、撮影した基体表面写真(400倍)からそれぞれ測定した。その結果も表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用いた以外は実施例2と同様に粗面化加工を行ない、基体3を得た。
このようにして形成した基体3の一部は表面粗さ及び溝幅測定用として取り置き、別の洗浄の終了した基体3に実施例1と同様に感光層を形成し、感光体P3を得た。
このようにして得られた感光体P3を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
また、実施例2と同様にして、取り置いていた基体3の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、及び、クルトシスRkuをそれぞれ測定した。さらに、基体3の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果も表3に示す。
特開平7−43922号公報に記載されているのと同様にセンタレス研削機を用いてRz1.0umとなるように研削を行なった、外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製研削管を、ブラシ材を、径φ0.3mm、粒度#500(平均粒径34μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(旭化成(株)社製「サングリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数250rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代6mm、引き上げ速度5mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例1と同様にし、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体4を得た。
このようにして得られた感光体P4を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
また、実施例2と同様にして、取り置いていた基体4の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、及び、クルトシスRkuをそれぞれ測定した。さらに、基体4の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果も表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製の鏡面切削管(Ra=0.03μm;Rz=0.2μm)を特開平5−216261号公報の実施例4記載と同様の方法で乾式ホーニング処理を行なった。
この基体を、ブラシ材を、径φ0.3mm、粒度#1000(平均粒径16μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(旭化成(株)社製「サングリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数250rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代6mm、引き上げ速度10mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例1と同様にし、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体5を得た。
このようにして得られた感光体P5を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
また、実施例2と同様にして、取り置いていた基体5の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、及び、クルトシスRkuをそれぞれ測定した。さらに、基体5の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果も表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、ブラシ材を、径φ0.3mm、粒度#1000(平均粒径16μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(旭化成(株)社製「サングリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数300rpm、ブラシ回転数100rpm、当て代4mm、引き上げ速度1mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例1と同様にし、基体表面に図2に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体6を得た。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶
液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様にUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.09μm、累積90%粒子径は0.14μmであった。
この感光体P6の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.09μm、累積90%粒子径は0.14μmであった。
ウルトラアペックスミルで分散する際のロータ周速を12m/秒とした以外は、実施例6と同様にして下引き層形成用塗布液Cを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
このようにして得られた感光体P7を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、ブラシ材を、径φ0.4mm、粒度#800(平均粒径20μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(東レモノフィラメント(株)社製「トレグリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数250rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代6mm、引き上げ速度8mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例1と同様にし、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体7を得た。
前記下引き層上に、実施例1と同様に電荷発生層及び電荷輸送層を形成し、感光体P8を得た。
このようにして得られた感光体P8を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、ブラシ材を、径φ0.45mm、粒度#500(平均粒径340μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(旭化成(株)社製「サングリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数250rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代6mm、引き上げ速度10mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例1と同様にし、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体8を得た。
前記下引き層上に、実施例1と同様に電荷発生層及び電荷輸送層を形成し、感光体P9を得た。
このようにして得られた感光体P9を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ346mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製の基体を用いて実施例2と同様に粗面化を行ない、基体9を得た。
この基体9を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体9の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体9の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
引き上げ速度1.3mm/秒とした以外は実施例10と同様にして基体10を得た。
この基体10を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体10の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体10の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
作製した感光体P11を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio DP1820)のカートリッジに装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
外径φ30mm×長さ388mm×厚さ0.75mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、実施例2と同様に粗面化処理を行ない、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体11を得た。
この基体11を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体11の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体11の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
作製した感光体を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio C262)のカートリッジ(一体型カートリッジとして、2成分トナー、接触帯電ローラ部材、及びブレードクリーニング部材を有する)に装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
外径φ30mm×長さ388mm×厚さ0.75mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、実施例11と同様に粗面化処理を行ない、基体表面に図3に示すような、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体12を得た。
この基体12を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体12の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体12の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
作製した感光体を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio C262)のカートリッジに装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
表面の最大高さ粗さRzが0.6μmとなるように、多結晶ダイヤモンドバイトを用いた切削加工により外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA6063アルミ合金製製の基体13を作製した。
この基体13を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例1と同様にして、基体13の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz及びクルトシスRkuを、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
このようにして得られた感光体P14を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部とを混合し、直径約5mmのアルミナボール(株式会社ニッカトー製 HD)を用いてボールミルで5時間分散して得た分散スラリー液をそのまま用いて、ウルトラアペックスミルを用いて分散しなかった以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液Fを作製した。
この下引き層形成用塗布液Fについて、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
このようにして得られた感光体P15を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、ブラシ材を、径φ0.3mm、粒度#1000(平均粒径16μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(旭化成(株)社製「サングリット」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数200rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代10mm、引き上げ速度5mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例2と同様にし、曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体14を得た。
このようにして得られた感光体P16を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
基体3に、比較例2と同様にして感光層を形成し、感光体P17を得た。
このようにして得られた感光体P17を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ346mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製の基体を用いて実施例8と同様に粗面化を行い、基体15を得た。
この基体15を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体15の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体15の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
作製した感光体を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio DP1820)のカートリッジに装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
外径φ30mm×長さ388mm×厚さ0.75mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用い、実施例8と同様に粗面化処理を行ない、基体16を得た。
この基体16を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例2と同様にして、基体16の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、クルトシスRku、並びに、基体16の表面に形成された溝の溝幅Lの最大値(横溝最大値)及び最小値(横溝最小値)を、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
作製した感光体P19を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio C262)のカートリッジに装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
表面の最大高さ粗さRzが1.4μmとなるように多結晶ダイヤモンドバイトを用いた切削加工により外径φ30mm×長さ357mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA6063アルミ合金製の基体17を作製した。
この基体17を一部取り置き、取り置いたものを用いて、実施例1と同様にして、基体17の面内算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz及びクルトシスRkuを、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。
このようにして得られた感光体P20を用いて、実施例1と同様に画像を形成して目視により画像評価を実施した。その結果を表3に示す。
外径φ30mm×長さ346mm×厚さ1.0mmのJIS H4040に規定されるA3003アルミ合金製のしごき管を用いて、ブラシ材を、径φ0.55mm、粒度#500(平均粒径34μm)のアルミナ砥粒入りナイロン材(デュポン社製「タイネックスA」)とし、粗面化加工条件を、基体回転数250rpm、ブラシ回転数750rpm、当て代6mm、引き上げ速度1.3mm/秒、振り掛け水量1L/分の条件とした以外は実施例2と同様にし、基体表面に曲線且つ不連続で、斜めの溝を形成し、基体18を得た。
作製した感光体P21を、パナソニックコミュニケーション株式会社製複写機(製品名:Workio DP1820)のカートリッジに装着し、画像を形成したところ、良好な画像を得ることができた。
1A 導電性基体の軸
2 内拡把持機構
3 ホイール状ブラシ
3A ホイール状ブラシの軸
4 カップ状ブラシ
4A カップ状ブラシの軸
5 洗浄ブラシ
14 セパレータ
15 シャフト
16 ジャケット
17 ステータ
19 排出路
21 ロータ
24 プーリ
25 ロータリージョイント
26 原料スラリーの供給口
27 スクリーンサポート
28 スクリーン
29 製品スラリー取出し口
31 ディスク
32 ブレード
35 弁体
100 シーリング
101 メイティングリング
102 バネ
103 嵌合溝
104 Oリング
105 シャフト
106 セパレータ
107 スペーサ
108 ロータ
109 ストッパー
110 ネジ
111 排出路
112 孔
113 スペーサ
114 ブレード嵌合溝
115 ディスク
116 ブレード
201 感光体
202 帯電装置(帯電ローラ)
203 露光装置
204 現像装置
205 転写装置
206 クリーニング装置
207 定着装置
241 現像槽
242 アジテータ
243 供給ローラ
244 現像ローラ
245 規制部材
271 上部定着部材(定着ローラ)
272 下部定着部材(定着ローラ)
273 加熱装置
T トナー
P 転写材(用紙、媒体)
Claims (14)
- 表面の最大高さ粗さRzが0.8μm≦Rz≦2μmである導電性基体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成された感光層とを有する電子写真感光体において、
該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、凝集体二次粒子の体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、凝集体二次粒子の累積90%粒子径が0.3μm以下である
ことを特徴とする、電子写真感光体。 - 該導電性基体表面形状が切削加工により形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 該導電性基体表面に微細な溝が形成され、
該溝の形状が、該導電性基体表面を平面上に展開した場合に、曲線且つ不連続である
ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体。 - 該導電性基体表面に形成された溝が、格子状である
ことを特徴とする、請求項3に記載の電子写真感光体。 - 該導電性基体の表面のクルトシスRkuが3.5≦Rku≦25であり、且つ、
該導電性基体の表面に形成された溝幅Lが0.5μm≦L≦6.0μmである
ことを特徴とする、請求項3又は請求項4記載の電子写真感光体。 - 請求項1及び請求項3〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体が備える導電性基体の製造方法であって、
可撓性材料を前記導電性基体表面に接触させ、前記導電性基体表面に対して相対的に移動させる
ことを特徴とする、導電性基体の製造方法。 - 前記導電性基体の表面が、予め切削加工されている
ことを特徴とする、請求項6記載の導電性基体の製造方法。 - 前記導電性基体の表面が、予めしごき加工されている
ことを特徴とする、請求項6又は請求項7記載の導電性基体の製造方法。 - 前記導電性基体の表面が、予め研削加工されている
ことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の導電性基体の製造方法。 - 前記導電性基体の表面が、予めホーニング加工されている
ことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の導電性基体の製造方法。 - 前記可撓性材料としてブラシを用いる
ことを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の導電性基体の製造方法。 - 前記ブラシが、砥粒を練り込んだ樹脂により形成されている
ことを特徴とする、請求項11に記載の導電性基体の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える
ことを特徴とする、画像形成装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写されたトナーを定着させる定着手段、及び、該電子写真感光体に付着した前記トナーを回収するクリーニング手段の少なくとも一つを備える
ことを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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