JP2007334340A - 電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体において、下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下となるようにすると共に、感光層中にX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.0°から29.0°に一本以上の主たる明瞭な回折ピークを有する結晶型フタロシアニンを含有させる。
【選択図】なし
Description
通常、有機感光体は、導電性支持体上に感光層を形成してなる。感光体のタイプとしては、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた単層の感光層(単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる複数の層からなる感光層(積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが知られている。
有機感光体の有する層は、通常、その生産性の高さから、各種溶媒中に材料を溶解または分散した塗布液を、塗布、乾燥することにより形成される。この際、酸化チタン粒子とバインダー樹脂とを含有する下引き層では、酸化チタン粒子とバインダー樹脂は下引き層中において相溶しない状態で存在しているため、当該下引き層形成用塗布液は、酸化チタン粒子を分散した塗布液により形成される。
さらに、D型のオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線による薄膜X線回折スペクトルは、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.8°に、強い回折ピークを示すことが知られている(例えば、特許文献5〜7を参照)。
オキシチタニウムフタロシアニンは、製造の際、チタン塩化物を使用したり、塩素化有機化合物を用いることがある。この結果として、得られるオキシチタニウムフタロシアニン結晶に、塩素が含有されることがある(例えば、特許文献8を参照)。
該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.0°から29.0°に一本以上の主たる明瞭な回折ピークを有する結晶型フタロシアニンを含有することを特徴とする、電子写真感光体に存する(請求項1)。
また、本発明の電子写真感光体は、該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°に、明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有することが好ましい(請求項3)。
また、本発明の電子写真感光体は、該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°及び9.7°それぞれに、明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有することも好ましい(請求項5)。
また、該オキシチタニウムフタロシアニン中における塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの含有量は、無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で0.070以下であることが好ましい(請求項7)
導電性支持体に特に制限は無いが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。
また、導電性支持体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでもよい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、これらの酸性浴のうちでも特に硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/L、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/L、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
下引き層は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する層である。また、下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限りその他の成分を含有していてもよい。
本発明に係る下引き層は、導電性支持体と感光層との間に設けられ、導電性支持体と感光層との接着性の改善、導電性支持体の汚れや傷などの隠蔽、不純物や表面物性の不均質化によるキャリヤ注入の防止、電気特性の不均一性の改良、繰り返し使用による表面電位低下の防止、画質欠陥の原因となる局所的な表面電位変動の防止等の機能の少なくともいずれか一つを有し、光電特性の発現に必須ではない層である。
[II−1−1.金属酸化物粒子の種類]
本発明に係る金属酸化物粒子としては、電子写真感光体に使用可能な如何なる金属酸化物粒子も使用することができる。
金属酸化物粒子を形成する金属酸化物の具体例を挙げると、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物からなる金属酸化物粒子が好ましい。バンドギャップが小さすぎると、導電性支持体からのキャリア注入が起こりやすくなり、黒点や色点などの画像欠陥が発生しやすくなる。また、バンドギャップが大きすぎると、電子のトラッピングにより電荷の移動が阻害されて、電気特性が悪化する可能性があるためである。
特に、金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いる場合には、有機珪素化合物により表面処理されていることが好ましい。有機珪素化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のオルガノシラン;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン;ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
また、前記式(i)中、R3は、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。R3の炭素数に制限は無いが、通常1以上、また、通常18以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。R3のうち好適なものの例を挙げると、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
R1〜R3の炭素数が多くなりすぎると金属酸化物粒子との反応性が低下したり、処理後の金属酸化物粒子の下引き層形成用塗布液中での分散安定性が低下する可能性がある。
酸化チタン粒子の具体的な商品の例としては、表面処理を施していない超微粒子酸化チタン「TTO−55(N)」;Al2O3被覆を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(A)」、「TTO−55(B)」;ステアリン酸で表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(C)」;Al2O3とオルガノシロキサンで表面処理を施した超微粒子酸化チタン「TTO−55(S)」;高純度酸化チタン「CR−EL」;硫酸法酸化チタン「R−550」、「R−580」、「R−630」、「R−670」、「R−680」、「R−780」、「A−100」、「A−220」、「W−10」;塩素法酸化チタン「CR−50」、「CR−58」、「CR−60」、「CR−60−2」、「CR−67」;導電性酸化チタン「SN−100P」、「SN−100D」、「ET−300W」;(以上、石原産業株式会社製)等が挙げられる。また、「R−60」、「A−110」、「A−150」などの酸化チタン;をはじめ、Al2O3被覆を施した「SR−1」、「R−GL」、「R−5N」、「R−5N−2」、「R−52N」、「RK−1」、「A−SP」;SiO2、Al2O3被覆を施した「R−GX」、「R−7E」;ZnO、SiO2、Al2O3被覆を施した「R−650」;ZrO2、Al2O3被覆を施した「R−61N」;(以上、堺化学工業株式会社製)等も挙げられる。さらに、SiO2、Al2O3で表面処理された「TR−700」;ZnO、SiO2、Al2O3で表面処理された「TR−840」、「TA−500」の他、「TA−100」、「TA−200」、「TA−300」など表面未処理の酸化チタン;Al2O3で表面処理を施した「TA−400」(以上、富士チタン工業株式会社製);表面処理を施していない「MT−150W」、「MT−500B」;SiO2、Al2O3で表面処理された「MT−100SA」、「MT−500SA」;SiO2、Al2O3とオルガノシロキサンで表面処理された「MT−100SAS」、「MT−500SAS」(テイカ株式会社製)等も挙げられる。
さらに、酸化珪素粒子の具体的な商品の例としては、「200CF」、「R972」(日本アエロジル社製)、「KEP−30」(日本触媒株式会社製)等が挙げられる。
また、酸化スズ粒子の具体的な商品の例としては、「SN−100P」(石原産業株式会社製)等が挙げられる。
さらに、酸化亜鉛粒子の具体的な商品の例としては「MZ−305S」(テイカ株式会社製)等が挙げられる。
本発明に係る金属酸化物粒子については、その粒径分布に関し、以下の要件が成立する。即ち、本発明にかかる下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液(以下適宜、「下引き層測定用分散液」という)中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下である。
以下、この点につき詳しく説明する。
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された体積平均粒子径が、0.1μm以下、好ましくは95nm以下、より好ましくは90nm以下である。また、前記の体積平均粒子径の下限に制限は無いが、通常20nm以上である。上記範囲を満たすことにより、本発明の電子写真感光体は、低温低湿下での露光−帯電繰り返し特性が安定し、得られる画像に黒点、色点などの画像欠陥が生じることを抑制することができる。
本発明に係る金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された累積90%粒子径が、0.3μm以下、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。また、前記の累積90%粒子径の下限に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。従来の電子写真感光体では、下引き層に、金属酸化物粒子が凝集することによってなる、下引き層の表裏を貫通できるほど大きい金属酸化物粒子凝集体が含有され、当該大きな金属酸化物粒子凝集体によって、画像形成時に欠陥が生じる可能性があった。さらに、帯電手段として接触式のものを用いた場合には、感光層に帯電を行なう際に当該金属酸化物粒子を通って感光層から導電性支持体に電荷が移動し、適切に帯電を行なうことができなくなる可能性もあった。しかし、本発明の電子写真感光体では、累積90%粒子径が非常に小さいため、前記のように欠陥の原因となるような大きな金属酸化物粒子が非常に少なくなる。この結果、本発明の電子写真感光体では、欠陥の発生、及び、適切に帯電できなくなることを抑制でき、高品質な画像形成が可能である。
本発明に係る金属酸化物粒子の前記体積平均粒子径及び前記累積90%粒子径は、下引き層を、メタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した混合溶媒(これが、粒度測定時の分散媒となる)に分散して下引き層測定用分散液を調製し、その下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を動的光散乱法で測定することにより得られる値である。
測定上限 :5.9978μm
測定下限 :0.0035μm
チャンネル数 :44
測定時間 :300sec.
粒子透過性 :吸収
粒子屈折率 :N/A(適用しない)
粒子形状 :非球形
密度 :4.20g/cm3(*)
分散媒種類 :メタノール/1−プロパノール=7/3
分散媒屈折率 :1.35
(*)密度の値は二酸化チタン粒子の場合であり、他の粒子の場合は、前記取扱説明書に記載の数値を用いる。
また、動的光散乱による粒度の測定は、25℃で行なうものとする。
本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明に係る金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下である。
なお、この平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission electron microscope:以下適宜「TEM」という)により直接観察される粒子の径の算術平均値によって求めることが可能である。
なお、金属酸化物粒子の屈折率は、各種の刊行物に記載されている文献値を用いることができる。例えば、フィラー活用辞典(フィラー研究会編,大成社,1994)によれば下記表1のようになっている。
本発明の下引き層において使用されるバインダー樹脂としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。通常は、有機溶剤等の溶媒に可溶であって、且つ、下引き層が、感光層形成用の塗布液に用いられる有機溶剤等の溶媒に不溶であるか、溶解性の低く、実質上混合しないものを用いる。
また、R4〜R7で表される有機置換基の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、また、通常1以上である。炭素数が大きすぎると、下引き層形成用塗布液を用意する際に溶媒への溶解性が悪化し、また、溶解ができたとしても下引き層形成用塗布液としての保存安定性が悪化する傾向を示す。
なお、バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の下引き層は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した金属酸化物粒子及びバインダー樹脂以外の成分を含有していてもよい。例えば、下引き層には、その他の成分として添加剤を含有させてもよい。
〔膜厚〕
下引き層の膜厚は任意であるが、本発明の電子写真感光体の感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下の範囲が好ましい。
本発明に係る下引き層は、その表面形状に制限はないが、通常、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)、面内算術平均粗さ(Ra)、面内最大粗さ(P−V)に特徴を有する。なお、これらの数値は、JIS B 0601:2001の規格における、二乗平均平方根高さ、算術平均高さ、最大高さ、の基準長さを基準面に拡張した数値であり、基準面における高さ方向の値であるZ(x)を用いて、面内2乗平均平方根粗さ(RMS)はZ(x)の二乗平均平方根を、面内算術平均粗さ(Ra)はZ(x)の絶対値の平均を、面内最大粗さ(P−V)はZ(x)の山高さの最大値と谷深さの最大値との和を、それぞれ表す。
本発明に係る下引き層の面内算術平均粗さ(Ra)は、通常10nm以上、また、通常50nm以下の範囲にある。面内算術平均粗さ(Ra)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
本発明に係る下引き層の面内最大粗さ(P−V)は、通常100nm以上、好ましくは300nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは800nm以下の範囲にある。面内最大粗さ(P−V)が小さすぎると上層との接着性が悪化する可能性があり、大きすぎると上層の塗布膜厚均一性の悪化を招く可能性がある。
また、本発明に係る下引き層は、該下引き層を結着しているバインダー樹脂を溶解できる溶媒に分散して分散液(以下適宜、「吸光度測定用分散液」という)とした場合に、通常は、該分散液の吸光度が特定の物性を示すものである。
なお、吸光度の値は、測定する液の固形分濃度に依存する。このため、吸光度及び吸光度の測定を行なう場合、前記分散液中の金属酸化物粒子の濃度が、0.003重量%〜0.0075重量%の範囲となるように分散することが好ましい。
本発明に係る下引き層の正反射率は、通常、本発明に特定の値を示す。本発明に係る下引き層の正反射率とは、導電性支持体に対する、導電性支持体上の下引き層の正反射率を示している。この下引き層の正反射率は、下引き層の膜厚によって変化するため、ここでは下引き層の膜厚を2μmとした場合の反射率として規定する。
一方、下引き層が含有する金属酸化物粒子の屈折率が2.0未満の場合には、該下引き層が2μmである場合に換算した、該導電性支持体の波長400nmの光に対する正反射に対する、該下引き層の波長400nmの光に対する正反射の比が、通常50%以上である。
特定の単色光が下引き層を通過し、導電性支持体上で正反射し、ふたたび下引き層を通過して検出される場合に、光に対して垂直な厚さdLの薄い層を仮定する。
厚さdLの薄い層を通過後の光の強度の減少量−dIは、前記の層を通過する前の光の強度Iと、層の厚さdLとに比例すると考えられ、式で表現すると次のように書くことができる(kは定数)。
式(A)を変形すると次の様になる。
−dI/I=kdL (B)
式(B)の両辺をそれぞれ、I0からIまで、0からLまでの区間で積分すると次の様
な式が得られる。なお、I0は入射光の強度を表わす。
log(I0/I)=kL (C)
式(C)を変形すると、
I=I0exp(−kL) (D)
となり、入射光が導電性支持体表面に到達するまでの挙動が式(D)で表される。
すると、式(D)に従って導電性支持体表面に到達した光は、反射率Rを乗じられた上で正反射し、ふたたび光路長Lを通って下引き層表面に出ていく。すなわち、
I=I0exp(−kL)・R・exp(−kL) (E)
となり、R=I1/I0を代入し、さらに変形することで、
I/I1=exp(−2kL) (F)
という関係式を得ることができる。これが、導電性支持体に対する反射率に対する、下引き層に対する反射率の値であり、これを正反射率と定義する。
T(L)=I/I1=exp(−2kL) (G)
が成立する。
一方、知りたい値はT(2)であるため、式(G)にL=2を代入して、
T(2)=I/I1=exp(−4k) (H)
となり、式(G)と式(H)を連立させてkを消去すると、
T(2)=T(L)2/L (I)
となる。
本発明に係る下引き層の形成方法に制限は無い。ただし、通常は、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層形成用塗布液を導電性支持体の表面に塗布し、乾燥させて、下引き層を得る。
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、下引き層を形成するために用いられるもので、金属酸化物粒子と、バインダー樹脂とを含有する。また、通常、本発明に係る下引き層形成用塗布液は溶媒を含有している。さらに、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、その他の成分を含有していてもよい。
金属酸化物粒子は、下引き層に含有される金属酸化物粒子として説明したものと同様である。
ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の粒径分布に関しては、通常は、以下の要件が成立する。即ち、本発明に係る下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径は、それぞれ、上述した下引き層測定用分散液中の金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径及び累積90%粒子径と同様である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液中において、金属酸化物粒子は、一次粒子として存在するのが望ましい。しかし、通常は、そのようなことは少なく、凝集して凝集体二次粒子として存在するか、両者が混在する場合がほとんどである。したがって、その状態での粒度分布が如何にあるべきかは非常に重要である。
本発明に係る金属酸化物粒子が下引き層形成用塗布液中で球形の一次粒子として存在するのであれば、これは望ましいことではある。しかし、このような金属酸化物粒子は、実際には実用上得られるものではない。本発明者らは、仮に金属酸化物粒子が凝集していても、累積90%粒子径が十分に小さいものであれば、即ち、具体的には累積90%粒子径が0.3μm以下であれば、下引き層形成用塗布液としてゲル化や粘性変化が少なく、長期保存が可能であり、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が均一となることを見出した。一方、下引き層形成用塗布液中の金属酸化物粒子が大きすぎると、液中でのゲル化や粘性変化が大きく、結果として下引き層形成後の膜厚及び表面性が不均一となるため、その上層(電荷発生層など)の品質にも悪影響を及ぼすことになる可能性がある。
また、測定する際のセルサイズ(光路長)は、10mmのものを用いる。使用するセルは、400nm〜1000nmの範囲において実質的に透明であるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、石英のセルを用いることが好ましく、特には試料セルと標準セルの透過率特性の差が特定範囲内にあるようなマッチドセルを用いることが好ましい。
下引き層形成用塗布液に含まれるバインダー樹脂は、下引き層に含有されるバインダー樹脂として説明したものと同様である。
ただし、下引き層形成用塗布液におけるバインダー樹脂の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で用いる。
本発明に係る下引き層形成用塗布液に用いる溶媒(下引き層用溶媒)としては、本発明に係るバインダー樹脂を溶解させうるものであれば、任意のものを使用することができる。この溶媒としては、通常は有機溶媒を使用する。溶媒の例を挙げると、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはノルマルプロピルアルコール等の炭素数5以下のアルコール類;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド等の含窒素有機溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられる。
下引き層形成用塗布液に含まれるその他の成分は、下引き層に含有されるその他の成分として説明したものと同様である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液は、保存安定性が高い。保存安定性の指標としては様々なものがあるが、例えば、本発明に係る下引き層形成用塗布液は、作製時と室温120日保存後の粘度変化率(即ち、120日保存後の粘度と作製時との粘度の差を、作製時の粘度で除した値)が、通常20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。なお、粘度は、E型粘度計(トキメック社製、製品名 ED)を用い、JIS Z 8803に準じた方法で測定できる。
また、本発明に係る下引き層形成用塗布液を用いれば、電子写真感光体を高品質に、且つ、高効率に製造することが可能である。
本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法に制限は無い。ただし、本発明に係る下引き層形成用塗布液は上述したように金属酸化物粒子を含有するものであり、金属酸化物粒子は下引き層形成用塗布液中に分散されて存在する。したがって、本発明に係る下引き層形成用塗布液の製造方法は、通常、金属酸化物粒子を分散させる分散工程を有する。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いて分散しても構わない。分散メディアを利用して分散する分散装置の例を挙げると、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物粒子を循環させて分散できるものが好ましい。また、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、例えばサンドミル、スクリーンミル、ギャップミル等の湿式攪拌ボールミルが特に好ましい。なお、前記のこれらのミルは、縦型、横型いずれのものでもよい。また、ミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等任意のものを使用できる。好ましくは、液循環型のサンドミルが用いられる。
なお、これらの分散装置は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
なお、分散メディアは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ここで、スラリーは、少なくとも金属酸化物粒子と分散溶媒とを含有している。
ステータは、内部に中空部を有する筒形(通常は、円筒形状)の容器で、その一端にはスラリーの供給口が形成され、その他端にはスラリーの排出口が形成されている。さらに、内部の中空部には分散メディアが充填され、当該分散メディアによってスラリー中の金属酸化物粒子が分散されるようになっている。また、供給口からはステータ内にスラリーが供給され、ステータ内のスラリーは排出口からステータの外に排出されるようになっている。
なお、セパレータは、前記のロータと一体をなして回転するようにしてもよく、ロータとは別個に独立して回転するようにしても良い。
その上、Oリングが嵌合する環状溝の下側部は、切込みにより下方に向かって拡開し、クリアランスが広がっているため、スラリーや分散メディアが入り込んで噛み込んだり、固化することによる詰まりを生じ難く、メイティングリングのシールリングへの追随が円滑に行なわれてメカニカルシールの機能維持が行なわれる。なお、Oリングが嵌合する嵌合溝の下側部は断面V形をなし、全体が薄肉となる訳ではないから、強度が損なわれることはないし、Oリングの保持機能が損なわれることもない。
図1は、この実施形態の湿式攪拌ボールミルの構成を模式的に表わす縦断面図である。図1において、スラリー(図示省略)は、縦型湿式攪拌ボールミルに供給され、該ミルで分散メディア(図示省略)と共に攪拌されることにより粉砕されたのち、セパレータ14で分散メディアを分離してシャフト15の軸心に形成された排出路19を通って排出され、戻される経路(図示省略)を辿り、循環粉砕されるようになっている。
スリットでの詰まりを解消するため、弁体35が短い周期で上限位置まで上昇する上下動を繰返して噛み込みを解消できるようにしてある。この弁体35の振動は、常時行なっておいてもよいし、スラリー中に粗粒子が多量に含まれる場合に行なってもよく、また詰まりによってスラリーの供給圧が上昇したとき、これに連動して行なわれるようにしてもよい。
なお、本実施形態で例示したような構造を有する湿式撹拌ボールミルとしては、具体的には例えば寿工業株式会社製のウルトラアペックスミルが挙げられる。
分散溶媒としては、特に制限されないが、前記の下引き層形成用塗布液に用いる溶媒を用いれば、分散後に溶媒交換などの工程を経る必要が無くなり好適である。これらの分散溶媒は何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用し、混合溶媒として用いても良い。
また、機械的分散時の温度としては、溶媒(または混合溶媒)の凝固点以上、沸点以下で行なうことが可能であるが、製造時の安全性の面から、通常、10℃以上、200℃以下の範囲で行なわれる。
振動周波数等の超音波処理時の条件には特に制限はないが、通常10kHz以上、好ましくは15kHz以上、また、通常40kHz以下、好ましくは35kHz以下の周波数の発振器により超音波振動を加える。
また、超音波発振機の出力に特に制限はないが、通常100W〜5kWのものが用いられる。
本発明に係る下引き層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより、本発明に係る下引き層を形成することができる。本発明に係る下引き層形成用塗布液を塗布する方法に制限は無いが、例えば、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、スパイラル塗布、リング塗布、バーコート塗布、ロールコート塗布、ブレード塗布等が挙げられる。なお、これらの塗布法は1種のみで実施しても良く、2種以上を任意に組み合わせて実施しても良い。
浸漬塗布法の場合、通常、下引き層形成用塗布液の全固形分濃度は、通常1重量%以上、好ましくは10重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とし、粘度を好ましくは0.1cps以上、また、好ましくは100cps以下の範囲とする。なお、1cps=1×10-3Pa・sである。
感光層の構成は、公知の電子写真感光体に適用可能な如何なる構成も採用することが可能である。具体例を挙げると、光導電性材料をバインダー樹脂中に溶解又は分散させた単層の感光層(即ち、単層型感光層)を有する、いわゆる単層型感光体;電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層してなる複数の層からなる感光層(即ち、積層型感光層)を有する、いわゆる積層型感光体などが挙げられる。一般に光導電性材料は、単層型でも積層型でも、機能としては同等の性能を示すことが知られている。
本発明に係る感光層は、CuKα特性X線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.0°から29.0°に一本以上の主たる明瞭な回折ピークを有する結晶型フタロシアニン(以下適宜、「本発明に係る結晶型フタロシアニン」という)を含有する。この本発明に係る結晶型フタロシアニンは、感光層において、電荷発生物質として機能するものである。
以下、本発明に係る結晶型フタロシアニンの中でも好適な例であるオキシチタニウムフタロシアニン及びヒドロキシガリウムフタロシアニンについて、それぞれ説明する。
本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するものである。即ち、本発明の感光体は、感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有することが好ましいのである。これにより、感光体を高感度にすることができる。
なお、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルは、通常固体の粉末X線回折測定に用いられる方法に従って測定することができる。
本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの製造時において、D型化結晶変換用溶媒(即ち、当該オキシチタニウムフタロシアニンの結晶型をD型に変換する工程で使用する溶媒)として、ハロゲン化有機化合物を用いない場合、前記の本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの塩素含有量の好適な範囲は以下の通りである。
また、例えば、前記の非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合には、本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの塩素含有量は、0.8重量%以下が好ましい。また、下限値は、通常0.2重量%以上、好ましくは0.3重量%以上である。
本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの製造時において、D型化結晶変換用溶媒として、ハロゲン化有機化合物を用いる場合、前記の本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの塩素含有量の好適な範囲は以下の通りである。
また、例えば、前記の非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合、本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの塩素含有量は、1.4重量%以下が好ましく、より好ましくは1.3重量%以下である。また、下限値は、通常0.4重量%以上、好ましくは0.6重量%以上である。
また、本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンは、塩素原子以外に、例えば、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基などの置換基で置換されていても構わない。または、スルホン基等の置換基で置換された、各種オキシチタニウムフタロシアニン誘導体を含有しても構わない。
本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニンの製造方法に制限は無いが、例えば、フタロニトリルとハロゲン化チタンとを原料としてジクロロチタニウムフタロシアニンを合成したのち、該ジクロロチタニウムフタロシアニンを加水分解し精製することによりオキシチタニウムフタロシアニン組成物中間体を製造し、得られたオキシチタニウムフタロシアニン組成物中間体を非晶質化して得られた非晶質化オキシチタニウムフタロシアニン組成物を、溶媒中で結晶化(結晶変換)することにより製造することができる。
以下、この製造方法について説明する。
なお、ハロゲン化チタンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、結晶化に用いる溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニンは、好ましくは、CuKαのX線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)28.1°に、主たる明瞭な回折ピークを有するものである。
さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの塩素含有量にも制限は無いが、通常0.1重量%以下であり、好ましくは塩素を実質上含まないことが好ましい。
本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法に制限は無いが、例えば、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンを処理して含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る工程と、前記含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを凍結乾燥して低結晶性ヒドロキシガリウムフタロシアニンとする工程と、前記低結晶性ヒドロキシガリウムフタロシアニンをミリング処理する工程とを有する方法により製造することができる。また、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンを処理して含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る工程においては、酸ペーストを用いることは、好ましい。
以下、この製造方法について説明する。
得られた低結晶のヒドロキシガリウムフタロシアニンを、例えば、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、ホルムアミド等のアミド系溶剤を分散剤として用いてミリング処理を行なうことにより、本発明の結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが得られる。
ハロゲン化ガリウムフタロシアニンの製造方法は任意であり、例えば、特開平6−93203号公報に記載されている方法によっても得られる。
電荷発生層は、電荷発生物質を含有する層である。本発明で電子写真感光体に用いる電荷発生物質としては、本発明に係る結晶型フタロシアニンを用いる。
また、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明に係る結晶型フタロシアニン以外の電荷発生物質(以下適宜、「併用できる電荷発生物質」という)を本発明に係る結晶型フタロシアニンと併用することも可能である。
以下、好ましいアゾ顔料の例を示す。なお、下記の構造式において、Cp1、Cp2及びCp3は、それぞれ独立に、カップラーを表わす。
電荷発生層に使用しうるバインダー樹脂の例を挙げると、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。
なお、電荷発生層において、バインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有する層である。電荷輸送物質としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の物質を使用することが可能である。
電荷輸送物質の例を挙げると、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。
ここで、電荷発生層のバインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。また、バインダー樹脂は、珪素試薬などで修飾されていてもよい。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、電荷輸送物質は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常20重量部以上であり、また、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40重量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下であり、さらに、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点から好ましくは120重量部以下であり、さらに、耐刷性の観点からは100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80重量部以下がとりわけ好ましい。
さらに、電荷発生層は、電荷輸送層と同様に、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有していてもよい。例えば、添加剤を含有していてもよい。
単層型感光層は、上記のような配合比の電荷輸送層中に、前出の電荷発生物質が分散されて構成される。
また、電荷発生物質の種類も、上述した通りである。ただし、この場合、電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが望ましい。具体的には、通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下である。
さらに、感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られない可能性があり、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害がある。よって、単層型感光層内の電荷発生物質の量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下とする。
さらに、単層型感光層にも、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有していてもよい。例えば、電荷発生層と同様に、添加剤を含有させても良い。
感光層を構成する各層(電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光層)の形成方法に制限は無いが、通常は、各層を構成する材料を含有する塗布液(電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液、単層型感光層用塗布液)を、下引き層上に、公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
また、例えば、電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂とその他の成分とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
さらに、単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とその他の成分とを溶媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の電子写真感光体には、下引き層及び感光層以外の層を形成しても良い。
例えば、感光体の最表面層には、感光層の損耗を防止したり、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は例えば、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。なお、導電性材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、保護層は、像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
本発明の電子写真感光体は、電気特性に優れる。具体的には、高感度で、残留電位が低い。また、通常は、暗減衰に優れ、繰返し使用後の暗減衰の増加が少なく、電子写真感光体を繰り返し使用しても電気特性が安定しているという利点も得られる。
したがって、本発明の電子写真感光体を用いて画像形成を行なえば、初期及び耐刷後において、黒点やかぶりなどが少ない高画質な画像形成を行なうことができると共に、画質の安定性も良好である。。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図5を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、従来は、転写装置5が転写材を介して感光体に接触配置される場合には画像の品質劣化が生じやすかったが、本発明の画像形成装置及び電気写真カートリッジはそのような品質劣化が生じる可能性が小さいため、効果的である。
[製造例1]
窒素雰囲気下、フタロニトリル66.6gをジフェニルメタン353mL中に懸濁し、40℃で四塩化チタン15.0gとジフェニルメタン25mLの混合液を添加した。約1時間かけて205〜210℃まで昇温後、四塩化チタン10.0gとジフェニルメタン16mLの混合液を滴下し、205〜210℃で5時間反応させた。生成物を130〜140℃で熱濾過後、N−メチルピロリドン(以下適宜、「NMP」という)、n−ブタノールで順次洗浄した。次いで、n−ブタノール600mL中にて加熱還流した後、NMP、水、メタノール懸洗を行ない、乾燥してB型オキシチタニウムフタロシアニン47.0gを得た。
マススペクトルではm/z:576に無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピーク、m/z:610に塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピークが観察され、無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピーク強度に対する塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピーク強度比を測定したところ、0.027であった。また、元素分析により、塩素含有量を調べたところ、0.65重量%であった。
窒素雰囲気下、フタロニトリル66.6gを1−クロロナフタレン436mL中に溶解し、200℃で四塩化チタン25.0gと1−クロロナフタレン21mLの混合液を滴下した。205〜210℃で5時間反応させた後、生成物を130〜140℃で熱濾過した。次いで、n−ブタノール580mL中にて加熱還流した後、水、NMP、メタノール懸洗を行ない、乾燥してB型オキシチタニウムフタロシアニン48.7gを得た。
該オキシチタニウムフタロシアニンのマススペクトルにおいて、m/z:576の無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度に対する、m/z:610の塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度比は、0.056であった。また、元素分析により、塩素含有量を調べたところ、1.41重量%であった。
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gとスルホラン;200mLを混合し、チタニウムテトライソプロポキシド;17.0gを加え、窒素雰囲気下に140℃で2時間反応させた。放冷した後析出物を濾取し、クロロホルムで洗浄、2%−塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後25.5g(88.8%)のチタニルフタロシアニンを得た。
該オキシチタニウムフタロシアニンのマススペクトルにおいて、m/z:576の無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度に対する、m/z:610の塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度比は、検出限界以下(0.0003以下)であった。また、元素分析により、塩素含有量を調べたところ、検出限界以下(0.01重量%以下)であった。
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gとスルホラン;200mLを混合し、チタニウムテトライソプロポキシド;17.0gを加え、窒素雰囲気下に140℃で2時間反応させた。放冷した後析出物を濾取し、クロロホルムで洗浄、2%−塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後25.5g(88.8%)のチタニルフタロシアニンを得た。
該オキシチタニウムフタロシアニンのマススペクトルにおいて、m/z:576の無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度に対する、m/z:610の塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度比は、検出限界以下(0.0003以下)であった。また、元素分析により、塩素含有量を調べたところ、検出限界以下(0.01重量%以下)であった。
25℃で四塩化チタン5.0gと1−クロロナフタレン16mLの混合液を添加し、200℃での滴下量を四塩化チタン20.0gと1−クロロナフタレン25mLの混合液にした以外は製造例2と同様に行ない、B型オキシチタニウムフタロシアニン49gを得た。このB型オキシチタニウムフタロシアニン30gを、溶媒としてテトラヒドロフラン(以下適宜、「THF」という)を使用する以外は、製造例2と同様の結晶変換操作により処理したところ、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークが観察された(26.3°、28.6°のピークも同時に存在する)、オキシチタニウムフタロシアニン28gを得た。
また、得られたオキシチタニウムフタロシアニン組成物のマススペクトルでは、m/z:576の無置換オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度に対する、m/z:610の塩素化オキシチタニウムフタロシアニンのピークの強度比は、0.075であった。また、元素分析により、塩素含有量を調べたところ、0.81重量%であった。
窒素雰囲気下、フタロニトリル66.6gを1−クロロナフタレン436mL中に溶解し、200℃で四塩化チタン25.0gと1−クロロナフタレン21mLの混合液を滴下した。205〜210℃で5時間反応させた後、生成物を130〜140℃で熱濾過した。次いで、n−ブタノール580mL中にて加熱還流した後、水、NMP、メタノール懸洗をおこない、乾燥してB型オキシチタニウムフタロシアニン48.7gを得た。
特開昭62−67094号公報に開示されている製造例に従い、チタニルフタロシアニンA型を得た。
[製造例6]
フタロニトリル73g、三塩化ガリウム25g、α−クロロナフタレン400mLを窒素雰囲気下200℃で4時間反応させた後、130℃で生成物をろ過した。得られた生成物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて130℃で1時間分散洗浄した後、ろ過し、メタノールで洗浄後乾燥し、クロロガリウムフタロシアニンを30g得た。
該フタロシアニンのマススペクトルにおいて、m/z:598を確認した。
[下引き層用塗布液]
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
この下引き層形成用塗布液Aについて、前記のUPAを用いて測定した粒度分布を表2に示す。
液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を前記のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.09μm、累積90%粒子径は0.12μmであった。
続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)を、1,2−ジメトキシエタン253部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して、分散液(電荷発生材)を調製した。
。
次に、電荷輸送物質として下記化合物CT−1を50部と、
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例2で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E2を得た。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例3で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E3を得た。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例4で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E4を得た。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例5で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E5を得た。
ウルトラアペックスミルで分散する際の分散メディアとして、直径約50μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を用いた以外は、実施例1と同様にして下引き層形成用塗布液Bを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.11μmであった。
得られた感光体E6の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.12μmであった。
ウルトラアペックスミルで分散する際のロータ周速を、12m/秒とした以外は、実施例6と同様にして下引き層形成用塗布液Cを作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。結果を表2に示す。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.11μmであった。
得られた感光体E7の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.08μm、累積90%粒子径は0.11μmであった。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例6で製造したフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体E8を得た。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、比較製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体P1を得た。
電荷発生物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、比較製造例2で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体P2を得た。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランをボールミルにて混合して得られたスラリーを乾燥後、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとなし、該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸(組成モル%75/9.5/3/9.5/3)からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の下引き用形成用塗布液Dを作製した。
この下引き層94.2cm2を、メタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.11μm、累積90%粒子径は0.20μmであった。
得られた感光体P3の感光層94.2cm2を、テトラヒドロフラン100cm3に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して溶解除去した後、同部分をメタノール70g、1−プロパノール30gの混合溶液に浸漬し、出力600Wの超音波発振器により5分間超音波処理して下引き層分散液を得て、該分散液中の金属酸化物粒子の粒度分布を実施例1と同様のUPAで測定したところ、体積平均粒子径は0.11μm、累積90%粒子径は0.18μmであった。
電荷輸送物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例3で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、比較例3と同様にして感光体P4を得た。
電荷輸送物質として、製造例1で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いるかわりに、製造例4で製造したオキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、比較例3と同様にして感光体P5を得た。
実施例及び比較例において作製した電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
また、この、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を1万回繰り返した後、同様に電気特性を測定した。これらの結果を表3にまとめた。
実施例及び比較例で得られた電子写真感光体(感度が0.15μJ/cm2を超える感
光体を選択)にギヤを装着し、A4毎分33枚出力のモノクロページプリンタ(ヒューレットパッカード社製「LaserJet4200」)のドラムカートリッジ(一体型カートリッジとして、接触帯電ローラ部材、ブレードクリーニング部材、及び現像部材を有する)に搭載し、市場からリサイクルトナーを購入、取り付けた後に画像をプリントアウトし、画像形成評価試験を行なった。
続けて、5%印字画像を、連続1万枚プリントアウトした直後の画像についても評価した。
結果を表4に示す。なお、表4において、「○」は各欄に対応する欠陥が全く観察されなかったことを表わし「△」は各欄に対応する欠陥が使用上許容できる範囲で観察されたことを表わし、「×」は各欄に対応する欠陥が使用上許容できない程度に観察されたことを表わす。なお、「−」で繋がれているものは、それらの中間であることを表わす。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
14 セパレータ
15 シャフト
16 ジャケット
17 ステータ
19 排出路
21 ロータ
24 プーリ
25 ロータリージョイント
26 原料スラリーの供給口
27 スクリーンサポート
28 スクリーン
29 製品スラリー取出し口
31 ディスク
32 ブレード
35 弁体
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
100 シーリング
101 メイティングリング
102 バネ
103 嵌合溝
104 Oリング
105 シャフト
106 セパレータ
107 スペーサ
108 ロータ
109 ストッパー
110 ネジ
111 排出路
112 孔
113 スペーサ
114 ブレード嵌合溝
115 ディスク
116 ブレード
T トナー
P 転写材(用紙、媒体)
Claims (9)
- 導電性支持体上に、金属酸化物粒子及びバインダー樹脂を含有する下引き層と、該下引き層上に形成される感光層とを有する電子写真感光体において、
該下引き層をメタノールと1−プロパノールとを7:3の重量比で混合した溶媒に分散した液中の該金属酸化物粒子の動的光散乱法により測定される、体積平均粒子径が0.1μm以下であって、且つ、累積90%粒子径が0.3μm以下であり、
該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.0°から29.0°に一本以上の主たる明瞭な回折ピークを有する結晶型フタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、電子写真感光体。 - 該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体。 - 該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°に、明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、請求項2記載の電子写真感光体。 - 該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°に、明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、請求項2記載の電子写真感光体。 - 該感光層中に、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°及び9.7°それぞれに、明瞭な回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
ことを特徴とする、請求項2記載の電子写真感光体。 - 該オキシチタニウムフタロシアニンの塩素含有量が1.5重量%以下である
ことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 該オキシチタニウムフタロシアニン中における塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの含有量が、無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で0.070以下である
ことを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える
ことを特徴とする、画像形成装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、被転写体に転写されたトナーを定着させる定着手段、及び、該電子写真感光体に付着したトナーを回収するクリーニング手段の少なくとも一つとを備える
ことを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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