JP2016161713A - 電子写真感光体およびその製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 長波長の光に対して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。【解決手段】 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有し、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。さらに、本発明は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶およびヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法に関する。
現在、電子写真分野における像露光手段としてよく用いられている半導体レーザーの発振波長は、650〜820nmと長波長であり、これらの長波長の光に高い感度を有する電子写真感光体の開発が進められている。
フタロシアニン顔料は、こうした長波長領域までの光に高い感度を有する電荷発生物質として有効である。特にオキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンは、優れた感度特性を有しており、これまでに様々な結晶形が報告されている。
特許文献1には、フタロシアニン顔料のアシッドペースティング工程時に特定の有機電子アクセプターを添加することにより、増感効果が得られることが報告されている。
また、特許文献2には、極性有機溶剤を含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が記載されている。具体的には、特許文献2は、N,N−ジメチルホルムアミドの如き極性有機溶剤を変換溶剤として用いることによって、該変換溶剤分子が結晶内に取り込まれた、高い感度特性を有する結晶を得たことを開示している。
特開2001−40237号公報 特開平7−331107号公報
本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る製造方法は、添加物(有機電子アクセプター)が化学変化することの懸念、および、所望の結晶形への変換が困難である場合があるという課題があった。また、特許文献2に係る結晶は高い感度特性を示すことを確認した。しかしながら、近年の、電子写真装置の高速化(プロセススピードの高速化)に伴って、本発明者らは、より高い感度を有する電荷発生物質が必要であり、また、、電荷発生物質として、感度がより一層改善されたヒドロキシガリウムフタロシアニンがが必要であると、の認識を得た。
そこで、本発明の目的は、長波長の光に対して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、長波長の光に対して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶および該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することにある。
本発明は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該感光層がN−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有し、
該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
また、本発明は、N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であって、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である。
また、本発明は、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を製造するためのヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法であって、N−メチルホルムアミドをヒドロキシガリウムフタロシアニンに加えてミリング処理をすることにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶変換を行う工程を有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法である。
また、本発明は、支持体、該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体を製造するための電子写真感光体の製造方法であって、
上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法により、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を形成する工程、
該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する感光層用塗布液を調製する工程、及び、
該感光層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて感光層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、長波長の光に対して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
さらに、本発明によれば、長波長の光に対して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶および該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 実施例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶のH−NMRスペクトルを示す図である。 比較例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶のH−NMRスペクトルを示す図である。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、上記のとおり、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する。
そして、該感光層はN−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する。さらに、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
〔ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶〕
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、ガリウム原子に軸配位子としてヒドロキシ基を有するものである。
さらに、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有することが長波長の光に対してより高い感度が得られるため、好ましい。
前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される前記N−メチルホルムアミドの含有量は、1.8質量%以上、2.0質量%以下であることが重要である。N−メチルホルムアミドの含有量が、上記範囲内であると、長波長の光に対して高い感度が得られる。さらに、N−メチルホルムアミドの含有量は、1.8質量%以上1.9質量%以下であることがより好ましい。
N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法について説明する。
N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、N−メチルホルムアミドをヒドロキシガリウムフタロシアニンに加えてミリング処理をすることにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶変換を行う工程(結晶変換工程)を経ることによって得られる。より高感度のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得るために、ミリング処理に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、アシッドペースティング法により得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンであることが好ましい。
ここで行うミリング処理とは、例えば、サンドミル、ボールミルなどのミリング装置を用いて行う処理である。
そこに必要に応じてガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボールといった分散剤を加えてもよい。ミリング処理で用いる分散剤の量は、質量基準でヒドロキシガリウムフタロシアニンの10〜50倍であることが好ましい。また、変換溶剤としてはN−メチルホルムアミドの他に、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミドなどのアミド系溶剤、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤などを併用しても良い。溶剤の使用量は、質量基準でヒドロキシガリウムフタロシアニンの5〜30倍であることが好ましい。
上記ミリング処理は、120時間以上で行なわれることが好ましい。
本発明者らは、ミリング処理時間を長くしてゆくとヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に取り込まれるN−メチルホルムアミドの量が、減少することを新たに発見した。そして、本発明者らの検討の結果、特定量のN−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が、優れた感度を有することがわかった。
本発明においては、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶をNMR測定しデータを解析することにより、N−メチルホルムアミドの結晶中への含有量を決定した。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶のX線回折およびNMR測定は、次の条件で行ったものである。
[粉末X線回折測定]
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT−TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター
[NMR測定(H−NMR測定)]
使用測定器:BRUKER製、AVANCEIII 500
測定核種:
溶媒:重硫酸(DSO
積算回数:2000
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、光導電体としての機能に優れ、電子写真感光体以外にも、太陽電池、センサー、スイッチング素子などに適用することができる。
次に、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を電子写真感光体における電荷発生物質として適用する場合について説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する。
感光層には、電荷発生物質および電荷輸送物質をともに含有する単一層からなる感光層(単層型感光層)や、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる感光層(積層型感光層)がある。中でも、電荷発生層、電荷発生層上に形成された電荷輸送層を有する積層型感光層が電荷発生層の機能が効率的に発揮できるため好ましい。
図3の(a)および(b)は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図3の(a)および(b)中、101は支持体であり、102は下引き層であり、103は感光層であり、104は電荷発生層、105は電荷輸送層である。
〔支持体〕
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金および白金などの金属製、合金製の支持体を用いることができる。他にはアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム、酸化スズおよび酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着法によって被膜形成された層を有するプラスチック製支持体がある。また、導電性粒子を結着樹脂とともにプラスチックまたは前記支持体の上に被覆した支持体がある。また、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体、導電性ポリマーを有するプラスチック製支持体などを用いることができる。導電性粒子としては、アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子、カーボンブラック、銀粒子などが挙げられる。
〔導電層〕
支持体と後述の下引き層との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の隠蔽(被覆)などを目的として、導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子、結着樹脂、および、溶剤を分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
導電性粒子としては、例えば、アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子、カーボンブラック、銀粒子が挙げられる。結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂が挙げられる。導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
〔下引き層〕
本発明の電子写真感光体においては、支持体および感光層の間にはバリア機能と接着機能とを持つ下引き層(バリア層、中間層とも呼ばれる。)を設けることもできる。下引き層は、結着樹脂、および溶剤を混合することによって得られる下引き層用塗布液の塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることによって下引き層を形成することができる。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタンなどが用いられる。その膜厚は0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmである。
〔感光層〕
単層型感光層を形成する場合、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を電荷発生物質として用い、電荷輸送物質と共に結着樹脂溶液中に混合して、感光層用塗布液を調製する。この感光層用塗布液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって感光層を形成することができる。
積層型感光層を形成する場合には、電荷発生層は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を結着樹脂溶液中に分散させて得られた電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、蒸着によって電荷発生層を形成することもできる。
積層型感光層を形成する場合、電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させて得られた電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させて形成することができる。
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物などが挙げられる。
単層型感光層、電荷発生層、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザールなどの樹脂が用いられる。
感光層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
感光層が単層型である場合、膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
感光層が積層型である場合、電荷発生層の膜厚は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
感光層が積層型である場合、電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して20〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。また、電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
感光層が単層型である場合、電荷発生物質の含有量は、感光層の全質量に対して3〜30質量%であることが好ましい。また、電荷輸送物質の含有量は、感光層の全質量に対して30〜70質量%であることが好ましい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を電荷発生物質として用いる場合、他の電荷発生物質と混合して用いることもできる。この場合、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の含有率は、全電荷発生物質に対して50質量%以上が好ましい。
〔保護層〕
感光層上には、必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層は結着樹脂を有機溶剤に溶解させて得られた保護層用塗布液を感光層上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。保護層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZ、変性ポリカーボネートなど)、ナイロン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどが挙げられる。
保護層の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましい。
保護層には、導電性粒子や紫外線吸収剤などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が挙げられる。
<プロセスカートリッジおよび電子写真装置>
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図1において、円筒状(ドラム状)の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、像露光手段(不図示)から像露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。像露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、像定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、トナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することもできる。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などから、複数のものを選択し、容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成してもよい。このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9を電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。以下に示す「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。なお、実施例および比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計(Fischerscope、フィッシャーインスツルメント社製)で求め、または、単位面積当たりの質量から比重換算で求めた。
<ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の合成>
以下のようにヒドロキシガリウムフタロシアニンを製造した。
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部およびα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン顔料を4.65部(収率71%)得た。
次に、得られたクロロガリウムフタロシアニン顔料4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、その後、固形分23%の含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。得られた含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機(商品名:HD−06R、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz、日本バイオコン(株)製)を用いて以下のように乾燥させた。
前記含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスより取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフ、乾燥機の内壁の温度は50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0〜10.0kPaに調整した。
まず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。
第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に調整した後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程をさらに1回繰り返した(計2回)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。
さらに第3工程として、第2工程でのマイクロ波を1.2kWから0.8kWに代えた以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程をさらに1回繰り返した(計2回)。
さらに第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に復圧した後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程をさらに7回繰り返した(計8回)。
以上、合計3時間で、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を1.52kg得た。
<実施例1−1〜1−3、および、比較例1−1〜1−5>
〔実施例1−1〕
上記<ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の合成>で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.5部、N−メチルホルムアミド(製品コード:F0059、東京化成工業(株)製)9.5部を、直径0.8mmのガラスビーズ15部とともにボールミルでミリング処理を室温(23℃)下で120時間行った。この際、容器は規格びん(製品コード:PS−6、柏洋硝子製)を用い、容器が1分間に60回転する条件で行った。こうして得られた分散液にテトラヒドロフランを30部添加した後、濾過器によって濾過し、さらに濾過器に残った濾取物をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。そして、洗浄された濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図2に示す。
図2から明らかなように、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有することがわかる。この結晶を重硫酸に溶解し、H−NMR測定を行ったところ、フタロシアニン分子由来のピークの他に、N−メチルホルムアミド由来のピークが観測された。N−メチルホルムアミドは液体であり、テトラヒドロフランに相溶することから、N−メチルホルムアミドはヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有されていることが分かる。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内へのN−メチルホルムアミドの含有量はプロトン比率から換算し、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して2.0質量%であった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶のH−NMRスペクトルを図4に示す。
〔実施例1−2〕
実施例1−1において、ミリング処理時間を140時間に変更した以外は実施例1−1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。得られた結晶の粉末X線回折スペクトルは図2と同様でCuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有していた。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN−メチルホルムアミドがヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.9質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−3〕
実施例1−1において、ミリング処理時間を180時間に変更した以外は実施例1−1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。得られた結晶の粉末X線回折スペクトルは図2と同様でCuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有していた。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN−メチルホルムアミドがヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−1〕
実施例1−1において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.5部、N−メチルホルムアミド9.5部、直径0.8mmのガラスビーズ15部に代えて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1.25部、N,N−ジメチルホルムアミド(製品コード:D0722、東京化成工業(株)製)9.5部、直径5mmのガラスビーズ25部を用い、ミリング処理時間を48時間とした以外は、実施例1−1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
上記の通り、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造工程においては、N−メチルホルムアミドは用いていない。従って、本比較例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内にはN−メチルホルムアミドは含まれていない。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN,N−ジメチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶のH−NMRスペクトルを図5に示す。
〔比較例1−2〕
実施例1−1において、N−メチルホルムアミドに代えてN,N−ジメチルホルムアミド(製品コード:D0722、東京化成工業(株)製)を用い、ミリング処理時間を100時間とした以外は実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
本比較例で得たヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造工程においては、N−メチルホルムアミドは用いていない。従って、本比較例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内にはN−メチルホルムアミドは含まれていない。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN,N−ジメチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−3〕
実施例1−1において、N−メチルホルムアミドに代えてジメチルスルホキシド(製品コード:D0798、東京化成工業(株)製)を用いた以外は実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。
本比較例で得たヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造工程においては、N−メチルホルムアミドは用いていない。従って、本比較例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内にはN−メチルホルムアミドは含まれていない。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN,N−ジメチルスルホキシドが2.4質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−4〕
上記<ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の合成>で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料7部、N,N−ジメチルホルムアミド(製品コード:D0722、東京化成工業(株)製)210部を、直径1.0mmのガラスビーズ300部とともにサンドミルでミリング処理を室温(23℃)下で5時間行った。こうして得られた分散液にテトラヒドロフランを420部添加した後、濾過器によって濾過し、さらに濾過器に残った濾取物をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。そして、洗浄された濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を5.2部得た。
本比較例で得たヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造工程においては、N−メチルホルムアミドは用いていない。従って本比較例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内にはN−メチルホルムアミドは含まれていない。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN,N−ジメチルホルムアミドが2.4質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−5〕
実施例1−1において、ミリング処理時間を100時間とした以外は実施例1−1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得た。実施例1−1と同様にしてH−NMR測定を行ったところ、結晶内にはN−メチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。
<実施例2−1〜2−3、および、比較例2−1〜2−5>
〔実施例2−1〕
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル(株)製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、メタノール50部からなる溶液を20時間、ボールミルで分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体としてのアルミニウムシリンダー(直径24mm、導電性支持体)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
次に、実施例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、シクロヘキサノン200部、および、直径1mmのガラスビーズ400部をサンドミルに入れ、4時間分散処理した。この分散液に、シクロヘキサノン100部、酢酸エチル300部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(4)で示される化合物(電荷輸送物質)8部、および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン80部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間110℃で乾燥させることによって、膜厚が16μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、円筒状(ドラム状)の実施例2−1の電子写真感光体を作製した。
〔実施例2−2〜2−3〕
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例1−2〜1−3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶にそれぞれ変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜2−3の電子写真感光体をそれぞれ作製した。
〔比較例2−1〜2−5〕
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、比較例1−1〜1−5で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶にそれぞれ変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして比較例2−1〜2−5の電子写真感光体をそれぞれ作製した。
〔実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−5の評価〕
実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−5の電子写真感光体について、感度の評価を行った。
評価用の電子写真装置としては、日本ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:Color Laser Jet M451dn)を、以下に示す改造を施して用いた。まず、帯電条件と像露光量は可変で作動するようにした。また、シアン色用のプロセスカートリッジに上記作製した電子写真感光体を装着してシアン色用のプロセスカートリッジのステーションに取り付けた。他の色(マゼンタ、イエロー、ブラック)用のプロセスカートリッジをプリンター本体に装着せずとも作動するようにした。また、像露光光の波長は790nmとした。
まず、温度23℃/湿度55%RHの常温常湿環境下で、比較例2−2の電子写真感光体を装着したプロセスカートリッジを用いた際に暗部電位が−600V、明部電位が−150Vになるように帯電条件と像露光量を調整した。電位設定の際の円筒状の電子写真感光体の表面電位の測定は、次のとおりとした。まず、プロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着する。その後、円筒状の電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して、測定した。
上記の帯電条件及び像露光量の条件の下、実施例2−1〜2−3および比較例2−1、2−3〜2−5の電子写真感光体を装着したプロセスカートリッジを用いて明部電位をそれぞれ測定した。この明部電位の値が0Vに近いほど、暗部電位と明部電位の差が大きく、電子写真感光体が高感度であることを意味している。明部電位の値が−115Vより正である、すなわち、0Vに近いとき、本発明の効果が得られていると判断した。評価結果を表1に示す。
表1の実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−5から明らかなように、N−メチルホルムアミドをヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して1.8質量%以上2.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を感光層に含有する電子写真感光体は、長波長の光に対して高い感度を有する。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
101 支持体
102 下引き層
103 感光層
104 電荷発生層
105 電荷輸送層

Claims (11)

  1. 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該感光層が、N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有し、
    該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて、7.4°±0.3°および28.3°±0.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して1.8質量%以上1.9質量%以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  6. N−メチルホルムアミドを結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であって、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される該N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して1.8質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶。
  7. 結晶中にN−メチルホルムアミドを含有し、該N−メチルホルムアミドの含有量が、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して1.8質量%以上1.9質量%以下である請求項6に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶。
  8. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて、7.4°±0.3°および28.3°±0.3°に強いピークを有する請求項6または7に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を製造するためのヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法であって、
    N−メチルホルムアミドをヒドロキシガリウムフタロシアニンに加えてミリング処理をすることにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶変換を行う工程を有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  10. 前記N−メチルホルムアミドとミリング処理されるヒドロキシガリウムフタロシアニンが、アシッドペースティング法により得られたものである請求項9に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  11. 支持体、該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体を製造するための電子写真感光体の製造方法であって、
    請求項9または10に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法によって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を形成する工程、
    該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する感光層用塗布液を調製する工程、及び、
    該感光層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該感光層を形成する工程、
    を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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