JP6609116B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、フタロシアニン結晶およびフタロシアニン結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
フタロシアニン顔料は、こうした長波長領域までの光に高い感度を有する電荷発生物質として有効である。特にオキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンは、優れた感度特性を有しており、これまでに様々な結晶形が報告されている。
ところが、フタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体は、優れた感度特性を有しているものの、生成したフォトキャリアが感光層に残存しやすく、一種のメモリーとして、ゴースト現象などの電位変動を起こしやすいという課題があった。
しかしながら、近年のさらなる高画質化に対しては、様々な環境下においてゴースト現象による画質劣化の改善が望まれている。特許文献2には、ジメチルスルホキシドを2.5重量%含有しているフタロシアニン結晶が記載されている。本発明者らの検討の結果、ジメチルスルホキシドの含有量によって、生成したフォトキャリアが感光層に残存しやすく、ゴースト現象などの電位変動を起こしやすい場合があることがわかった。そして、さらにゴースト現象を改善する余地があることがわかった。
更に、本発明の他の目的は、特定量のジメチルスルホキシドを結晶内に含有するフタロシアニン結晶、およびその製造方法を提供することにある。
該感光層が結晶内にジメチルスルホキシドを含有するフタロシアニン結晶を含有し、
該ジメチルスルホキシドの含有量が、該フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.1質量%以上1.7質量%以下であり、
該フタロシアニン結晶が、CuKα線のX線回折によるブラッグ角2θにおいて、
7.5°±0.2°、9.9°±0.2°、25.2°±0.2°および28.3°±0.2°にピークを有し、
9.9°±0.2°に出現しているピーク強度が、9.9°±0.2°に出現しているピークの角度より2.8°広角側における強度に対して2.0倍以上である
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置が提供される。
アシッドペースティング法によってフタロシアニンを製造する工程、
ジメチルスルホキシドを該フタロシアニンに加えて250時間以上ミリング処理をすることにより、該フタロシアニンの結晶変換を行って、フタロシアニン結晶を得る結晶変換工程、および
該フタロシアニン結晶を含有する感光層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該感光層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、支持体、該支持体上に形成された電荷発生層および該電荷発生層上に形成された電荷輸送層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、
アシッドペースティング法によってフタロシアニンを製造する工程、
ジメチルスルホキシドを該フタロシアニンに加えて250時間以上ミリング処理をすることにより、該フタロシアニンの結晶変換を行って、フタロシアニン結晶を得る結晶変換工程、および
該フタロシアニン結晶を含有する電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該電荷発生層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
上記フタロシアニン結晶の製造方法により前記フタロシアニン結晶を製造する工程、および
前記フタロシアニン結晶を含有する電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該電荷発生層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、電荷発生物質として優れた特性を有するフタロシアニン結晶、およびその製造方法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、電荷発生物質として優れた特性を有するフタロシアニン結晶の製造方法、並びに該フタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体の製造方法が提供される。
ジメチルスルホキシドを結晶内に含有するフタロシアニン結晶は、ジメチルスルホキシドにフタロシアニンを加えてミリング処理をすることにより、フタロシアニンの結晶変換を行う結晶変換工程で得られる。ミリング処理に用いるフタロシアニンは、アシッドペースティング法により得られたフタロシアニンであることが好ましい。
ここで行うミリング処理とは、例えば、ガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボールなどの分散剤とともにサンドミル、ボールミルなどのミリング装置を用いて行う処理である。
ミリング処理で用いる分散剤の量は、質量基準でガリウムフタロシアニンの10〜50倍が好ましい。また、変換溶剤としてはジメチルスルホキシドの他に、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤を併用しても良い。溶剤の使用量は、質量基準でフタロシアニンの5〜30倍が好ましい。
ジメチルスルホキシドをフタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.1質量%以上1.7質量%以下含有するフタロシアニン結晶は、ミリング処理時間を従来よりも長時間、結晶変換を行うことにより得られる。具体的には、ミリング処理の時間が250時間以上である。
本発明者らは、結晶変換時間を長くしてゆくとフタロシアニン結晶に取り込まれるジメチルスルホキシドの量が、減少してゆくことを新たに発見した。そして、本発明者らの検討の結果、特定量のジメチルスルホキシドを結晶内に含有するフタロシアニン結晶が、優れたゴースト抑制効果を有することがわかった。
本発明においては、得られたフタロシアニン結晶をNMR測定しデータを解析することにより、フタロシアニン結晶がジメチルスルホキシドを結晶内に含有しているかどうか、さらにジメチルスルホキシドの含有量を決定する。
[粉末X線回折測定]
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT−TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター
[NMR測定]
使用測定器:BRUKER製、商品名:AVANCEIII 500
溶媒:重硫酸(D2SO4)
積算回数:2000
本発明の電子写真感光体は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する。感光層には、電荷発生物質および電荷輸送物質をともに含有する単一層からなる感光層(単層型感光層)や、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる感光層(積層型感光層)がある。中でも、電荷発生層、電荷発生層上に形成された電荷輸送層を有する積層型感光層が好ましい。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタンなどが用いられる。下引き層の膜厚は0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmである。
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物などが挙げられる。
保護層の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましい。
保護層には、導電性粒子や紫外線吸収剤などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が挙げられる。
1は円筒状(ドラム状)の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、像露光手段(不図示)から像露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。像露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、像定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
特開2011−94101号公報に記載の合成例1に続いて実施例1−1と同様、以下のようにヒドロキシガリウムフタロシアニンを製造した。窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部およびα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン顔料を4.65部(収率71%)得た。次に、得られたクロロガリウムフタロシアニン顔料4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、その後、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン)を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン)6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機(商品名:HD−06R、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz、日本バイオコン(株)製)を用いてマイクロ波照射を行い、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを乾燥させた。
この結晶を重硫酸に溶解し、H−NMR測定を行ったところ、フタロシアニン分子由来のピークの他に、ジメチルスルホキシド由来のピークが観測された。ジメチルスルホキシドは液体であり、テトラヒドロフランに相溶することから、ジメチルスルホキシドはフタロシアニン結晶内に含有されていることが分かる。フタロシアニン結晶内へのジメチルスルホキシドの含有量はプロトン比率から換算し、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.93質量%であった。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から2000時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.42部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−1と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.70質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から500時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−1と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.25質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から400時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−1と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.36質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から300時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折チャートを図3に示す。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.54質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から250時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−5と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.67質量%含有されていることが確認された。
実施例1−3において、ミリング処理に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニンの添加量を0.5部から0.25部に変更した以外は、実施例1−3と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.22部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−1と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.25質量%含有されていることが確認された。
実施例1−5において、ミリング処理に用いるジメチルスルホキシドの添加量を9.5部から3部に変更し、N−メチルピロリドンを6.5部加えた。それ以外は、実施例1−5と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.22部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−5と同様であった。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.40質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング装置をボールミルからペイントシェーカに変更し、処理時間を24時間とした以外は実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折パターンは実施例1−1にて得たパターンよりブロードなものであった。得られた結晶の粉末X線回折チャートを図4に示す。ブラッグ角2θにおいて9.9°±0.2°に現れるピークの角度と強度、そのピークから2.8°広角側の強度、その比率を表1に示す。
NMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して1.60質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から48時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。
得られた結晶のNMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して2.06質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング処理時間を1000時間から24時間に変更した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。
得られた結晶のNMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して2.35質量%含有されていることが確認された。
実施例1−1において、ミリング装置をボールミルからペイントシェーカに変更し、処理時間を4時間にした以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.44部得た。
得られた結晶のNMR測定によりジメチルスルホキシドが、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して2.50質量%含有されていることが確認された。
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、
酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、
レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)43部、
シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)0.015部、
シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)3.6部、
を2−メトキシ−1−プロパノール 50部、
およびメタノール 50部からなる混合溶液に20時間、ボールミルで分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体としてのアルミニウムシリンダー(直径24mm)上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
このようにして、円筒状(ドラム状)の実施例2−1の電子写真感光体を作製した。
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、実施例1−2〜1−9で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜2−9の電子写真感光体を作製した。
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を、比較例1−1〜1−3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして比較例2−1〜2−3の電子写真感光体を作製した。
実施例2−1〜2−9および比較例2−1〜2−3の電子写真感光体について、ゴースト画像評価を行った。
評価用の電子写真装置としては、日本ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:Color Laser Jet CP3525dn)を、以下に示す改造を施して用いた。すなわち、前露光は点灯せず、帯電条件と像露光量は可変で作動するようにした。また、シアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着してシアンのプロセスカートリッジのステーションに取り付け、他の色用のプロセスカートリッジをプリンター本体に装着せずとも作動するようにした。
画像の出力に際しては、シアン色用のプロセスカートリッジのみを本体に取り付け、シアントナーのみによる単色画像を出力した。
まず、温度23℃/湿度55%RHの常温常湿環境下で、初期の暗部電位が−500V、明部電位が−100Vになるように帯電条件と像露光量を調整した。電位設定の際のドラム状電子写真感光体の表面電位の測定は、まず、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着する。その後、円筒状の電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
電位設定を行った後、同条件下でゴースト画像評価(初期)を行った。その後、1000枚の繰り返し通紙試験を行い、繰り返し通紙試験直後および繰り返し通紙試験15時間後でのゴースト画像評価を行った。常温常湿環境下における評価結果を表2に示す。
なお、繰り返し通紙試験は、印字率1%のE文字画像をA4サイズの普通紙にシアン単色で印字する条件で行った。
ゴースト画像評価は、1枚目にベタ白画像を出力し、その後ゴーストチャートを4種類各1枚の計4枚出力する。次に、ベタ黒画像を1枚出力した後に再度ゴーストチャートを4種類各1枚の計4枚出力する。この順番で画像出力を行い、計8枚のゴースト画像で評価した。ゴーストチャートは、出力画像書き出し(紙上端10mm)位置から30mmの範囲をベタ白背景に25mm四方のベタ黒の正方形を等間隔、かつ、平行に4つ並べ、出力画像書き出し位置から30mm以降はハーフトーンの印字パターンを4種類出力した。4種類のゴーストチャートをもとに、ランク分けを行った。
(1)横*1ドット、1スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(2)横*2ドット、2スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(3)横*2ドット、3スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(4)桂馬パターンの印字(レーザー露光)パターン。(将棋の桂馬の動きのように6マスに2ドット印字するパターン)
*:横とは、電子写真感光体の表面に照射されるレーザースキャナーの走査方向(上記レーザービームプリンターにおいて出力された用紙では、用紙の出力方向に直交する方向)を指す。
ランク1:いずれのゴーストチャートでもゴーストは見えない。
ランク2:特定のゴーストチャートでゴーストがうっすら見える。
ランク3:いずれのゴーストチャートでもゴーストがうっすら見える。
ランク4:特定のゴーストチャートでゴーストが見える。
ランク5:いずれのゴーストチャートでもゴーストが見える。
ランク6:特定のゴーストチャートでゴーストがはっきり見える。
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (8)
- 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該感光層が、結晶内にジメチルスルホキシドを含有するフタロシアニン結晶を含有し、該ジメチルスルホキシドの含有量が、該フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.1質量%以上1.7質量%以下であり、
該フタロシアニン結晶が、CuKα線のX線回折によるブラッグ角2θにおいて、
7.5°±0.2°、9.9°±0.2°、25.2°±0.2°および28.3°±0.2°にピークを有し、
9.9°±0.2°に出現しているピーク強度が、9.9°±0.2°に出現しているピークの角度より2.8°広角側における強度に対して2.0倍以上である
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記ジメチルスルホキシドの含有量が、前記フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.7質量%以上1.4質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1または2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1または2に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
- 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、
アシッドペースティング法によってフタロシアニンを製造する工程、
ジメチルスルホキシドを該フタロシアニンに加えて250時間以上ミリング処理をすることにより、該フタロシアニンの結晶変換を行って、フタロシアニン結晶を得る結晶変換工程、および
該フタロシアニン結晶を含有する感光層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該感光層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記ミリング処理時間が少なくとも1000時間であり、かつ、前記フタロシアニン結晶中の前記ジメチルスルホキシドの含有量が、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.1質量%以上1.7質量%以下である、請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 支持体、該支持体上に形成された電荷発生層および該電荷発生層上に形成された電荷輸送層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、
アシッドペースティング法によってフタロシアニンを製造する工程、
ジメチルスルホキシドを該フタロシアニンに加えて250時間以上ミリング処理をすることにより、該フタロシアニンの結晶変換を行って、フタロシアニン結晶を得る結晶変換工程、および
該フタロシアニン結晶を含有する電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該電荷発生層を形成する工程、
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記ミリング処理時間が少なくとも1000時間であり、かつ、前記フタロシアニン結晶中の前記ジメチルスルホキシドの含有量が、フタロシアニン結晶中のフタロシアニンに対して0.1質量%以上1.7質量%以下である、請求項7に記載の電子写真感光体の製造方法。
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