以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
(ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、818〜835nmの範囲に最大ピーク波長を有するものであり、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものである。また、818〜835nmの範囲に最大ピーク波長を有するものは、より優れた分散性が得られるため好ましい。このように、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせることにより、顔料粒子の結晶配列が好適に制御された微細なヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料となり、電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とを得ることができる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径は、0.20μm以下であることが好ましく、0.01〜0.15μmであることがより好ましく、0.01〜0.1μmであることが更に好ましく、0.01〜0.08μmであることが特に好ましく、且つ、BET比表面積は、45m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましく、55〜120m2/gであることが特に好ましい。
平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成されており、電子写真感光体の材料として用いた場合の分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じやすい傾向にある。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、粒径が大きい粗大粒子を含有しないことが好ましい。具体的には、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、一次粒子径の最大値が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。一次粒子径の最大値が0.3μmを超える場合は、粒子が粗大化しているか、もしくは粒子の凝集体が形成されていることとなり、電子写真感光体の材料として用いた場合の分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じやすい傾向にある。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが好ましい。
更に、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%であることが好ましく、2.5〜3.8%であることがより好ましい。なお、熱重量減少率は熱天秤等により測定することができる。
上記熱重量減少率が4.0%を超えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に含有される不純物が電子写真感光体に影響を及ぼし、感度特性、繰り返し使用時における電位の安定性や画像品質の低下が生じる傾向にある。また、2.0%未満であると、感度の低下が生じる傾向にある。これは、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が結晶中に微量含有する溶剤分子との相互作用によって増感作用を示すことに起因する。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、上記最大ピーク波長が上記条件を満たすように維持される限りにおいては、分散性を向上させる観点から、表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては特に限定されないが、例えば、カップリング剤等を用いることができる。
上記カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、カップリング剤の他に、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等の有機ジルコニウム化合物を用いることができる。更に、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物を用いることができる。
以上説明した本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、顔料、染料、電子写真感光体、光ディスク、太陽電池、センサー、脱臭剤、抗菌剤、非線形光学材料などの種々の用途に利用することができる。中でも、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合には、感光体の最適な感度や優れた光電特性を得ることができる点、および感光層に含まれる結着樹脂中への分散性に優れているので画質特性に優れる点で特に有効である。
(ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法)
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を湿式粉砕処理することによって結晶変換するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法であって、前記湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状のメディアを使用した粉砕装置により、前記メディアの使用量を前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して50重量部以上として行い、前記湿式粉砕処理の時間を、粉砕過程の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の吸収波長を測定することにより決定することを特徴とする方法であり、前記湿式粉砕処理において、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて818〜835nmの範囲に最大ピーク波長を有するものとなるように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら湿式粉砕処理時間を決定することが好ましい。
かかる製造方法において原料として使用される、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(以下、「I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料」という)は、従来公知の方法によって得ることができる。以下にその一例を示す。
先ず、o−フタロジニトリル又は1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水又は氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法においては、上記のアシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を溶剤とともに湿式粉砕処理して結晶変換する。
ここで、上記湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状メディアを使用した粉砕装置を用いて行われるが、好ましくは外径0.2〜2.5mmの球形状メディアを用いて行われる。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成しやすい傾向にある。また、メディアの外径が0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とを分離し難くなる傾向にある。更に、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の特性を劣化させ易くなる傾向がある。
上記メディアの材質は特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー等が好ましい。
また、上記湿式粉砕処理を行う容器の材質についても特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等が好ましい。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等をライニングしたものであっても良い。
上記メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して50重量部以上であり、好ましくは55〜100重量部である。また、メディアの外径が小さくなると、同じ重量(使用量)でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量とをコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法においては、これらの湿式粉砕処理の条件を適宜調節することにより、得られる本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の平均粒径、BET比表面積及び一次粒子径の最大値を制御することができる。
また、湿式粉砕処理の温度は、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは5〜80℃であり、特に好ましくは10〜50℃である。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなる傾向にあり、また、温度が高すぎる場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となる傾向にある。
湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類の他に、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して通常1〜200重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法において、結晶変換の進行スピードは、湿式粉砕処理の工程のスケール、攪拌スピード、メディア材質などに大きく影響されるが、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて818〜835nmの範囲に最大ピーク波長を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら湿式粉砕処理時間を決定し、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に結晶変換されるまで継続することが好ましい。ここで、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターする手法として具体的には、例えば、湿式粉砕処理装置より結晶変換処理中の顔料溶液を少量サンプリングし、アセトン、酢酸エチルなどの溶剤で希釈した溶液を分光光度計を用いて液セル法により測定する方法が挙げられる。
このようにして決定される湿式粉砕処理時間は、通常5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲である。処理時間が5時間未満であると、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足が生じやすくなる傾向にある。また、処理時間が500時間を超えると、粉砕ストレスの影響による感度低下、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などが生じやすくなる傾向にある。湿式粉砕処理時間を上記のように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となり、更に、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施した場合には、ロット間の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法においては、前記湿式粉砕処理後、更に溶剤による洗浄及び/又は加熱乾燥を行うことが好ましい。このような、溶剤による洗浄や加熱乾燥によって、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の不純物濃度をコントロールすることができ、特に、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%であるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を効率的に且つ確実に得ることが可能となる。
溶剤による洗浄処理により不純物濃度をコントロールする場合、使用する溶剤としては、例えば、水、エタノール、メタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤、及びこれらの混合溶剤等、並びに二酸化炭素や窒素等の超臨界流体等が挙げられる。また、洗浄方法としては、公知の方法を特に制限なく使用することができるが、洗浄効率の観点から、セラミックフィルター、超音波洗浄器、ソックスレー抽出器、又は流路径が10〜1000μmのマイクロミキサー等を使用する洗浄方法が効果的である。
また、加熱乾燥により不純物濃度をコントロールする場合、加熱乾燥の温度としては、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜180℃である。加熱温度が50℃未満であると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の諸特性に影響を及ぼす不純物を完全に除去することが困難となる傾向にあり、200℃を越えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の感度が著しく低下する傾向にある。また、加熱乾燥の処理時間は、処理するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の重量に応じて適宜調節することが好ましい。
加熱乾燥によりヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の不純物を効率良く除去するためには、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの加熱乾燥を減圧下で行うことが好ましい。減圧下で加熱乾燥を行う場合には、加熱乾燥の温度を常圧下で行う場合よりも低温にすることができるという利点がある。このときの加熱乾燥の温度は、減圧の程度にもよるが、50℃〜200℃の範囲であることが好ましい。
また、加熱乾燥は不活性気体の存在下で行うことが好ましい。不活性気体としては、周期律表第0族のヘリウム、ネオン、アルゴン等、及び窒素等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して使用することができる。これら不活性気体の存在下で加熱乾燥を行うことにより、空気中の酸素によりヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が酸化されるのを防止し、高温での加熱乾燥が可能となるという利点がある。また、加熱乾燥は光を遮断した状態で行うことも好ましい。これにより、加熱乾燥の際にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が光疲労するのを防止することができる。
(電子写真感光体)
図1(a)は、本発明の電子写真感光体の第一実施形態を示す模式断面図である。図1(a)に示す電子写真感光体100は、電荷発生材料を含有する層(電荷発生層1)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層2)とに機能が分離された積層型感光層6を備えるものであり、導電性支持体3上に電荷発生層1、電荷輸送層2が順次積層された構造を有している。そして、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、電荷発生材料として電荷発生層1に含有される。
以下、電子写真感光体100の各構成要素について詳述する。
導電性支持体3としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製のもの;ポリマー製シート、紙、プラスチック、ガラス等の基体上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することで導電処理したもの;酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を上記基体上に蒸着することで導電処理したもの;金属箔を上記基体上にラミネートすることで導電処理したもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、上記基体上に塗布することで導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性支持体3の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
導電性支持体3として金属パイプ基材を用いる場合、その表面は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの表面処理により基材表面を粗面化しておくことが好ましい。このように、基材表面を粗面化することにより、レーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に発生し得る感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
電荷発生層1は、電荷発生材料としての本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂とを含有するものである。
上記結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル単独重合体又は共重合体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリブタジエン、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びこれらの部分架橋硬化物等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の光導電性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生層1における本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂との配合比(重量比)は、好ましくは10:1〜1:10であり、より好ましくは8:2〜2:8である。本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の配合量が結着樹脂の配合量の10倍を超えると、電子写真感光体の製造工程において使用される分散液中の顔料の分散性が不十分となる傾向にあり、他方、結着樹脂の配合量の1/10未満であると、電子写真感光体の感度が不十分となる傾向にある。
また、電荷発生層1は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料以外の他の電荷発生材料を含有していてもよい。ここで、電荷発生層1に用いられる他の電荷発生材料としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、縮環芳香族系顔料等を用いることができるが、金属含有又は無金属のフタロシアニンを用いることが好ましく、中でも、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料以外のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ジクロロスズフタロシアニン顔料又はオキシチタニルフタロシアニン顔料を用いることが特に好ましい。また、これらの他の電荷発生材料の配合量は、電荷発生層中に含まれる物質全量を基準として50重量%以下であることが好ましい。
更に、電荷発生層1には、電気特性や画質等を向上するために、種々の添加剤を添加することができる。この添加物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。
ここで、シランカップリング剤としては、先に説明したものと同様のものを使用することができる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の化合物の混合物もしくは重縮合物として用いてもよい。
また、電荷発生層1上に電荷輸送層2などの他の層を更に成膜する場合には、その塗工液に使用される溶剤によって電荷発生層1が溶解あるいは膨潤することのないように、電荷発生層1の結着樹脂と、電荷発生層1の上に塗布される塗布液の溶剤と、の組み合わせを適宜選択することが好ましい。また、電荷発生層1の結着樹脂と後述する電荷輸送層2の結着樹脂とは、互いの屈折率同士が近いものを組み合わせて使用することが好ましく、具体的には、互いの屈折率の差が1以下であることが好ましい。このように屈折率の近い結着樹脂を組み合わせて用いると、電荷発生層1と電荷輸送層2との界面での光の反射が抑制され、干渉縞防止効果が向上する傾向にある。
また、電荷発生層1は、その分光吸収スペクトルが、818〜835nmの範囲に吸収ピーク波長を有するものであることが好ましい。更に、電荷発生層1は、その分光吸収スペクトルにおいて、600〜700nmの範囲に吸収ピーク波長を有し、その600〜700nmの範囲における最大ピークが、810〜850nmの範囲における最大ピークよりも大きいことが好ましい。電子写真感光体100を構成する電荷発生層1が、上記条件を満たしていることにより、本発明の効果をより十分に得ることができる。
電荷発生層1は、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料および結着樹脂を所定の溶剤に加え、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて混合、分散させることにより得られる塗工液を、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などにより塗布し、乾燥することによって得ることができる。ここで、電荷発生層1の塗工液に用いる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。このようにして得られる電荷発生層1の膜厚は、良好な電気特性と画質とを得る観点から、0.05〜5μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。電荷発生層1の膜厚が0.05μm未満であると、感度が低下する傾向にあり、膜厚が5μmを超えると、帯電性の不良などの弊害が生じやすくなる傾向がある。
電荷発生層1は、本発明の感光層形成用塗布液の製造方法により製造された感光層形成用塗布液を用いて形成されていることが好ましい。以下、本発明の感光層形成用塗布液の製造方法の好適な一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、感光層形成用塗布液として電荷発生層形成用塗布液を製造する場合について説明する。
本発明の感光層形成用塗布液(電荷発生層形成用塗布液)の製造方法は、分散室の容積に対して20〜50体積%の分散メディアが充填された分散処理装置を準備し、分散室に本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂と有機溶剤との混合物を導入して分散処理し、分散液を得る第1の分散処理工程を備えることを特徴とする方法である。
ここで、上記混合物を構成する顔料は、下記一般式(3)で表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いる。
このようなヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の中でも、本発明の電荷発生層形成用塗布液の製造方法においては、先に説明した本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電荷発生材料として用いる。
また、本発明の電荷発生層形成用塗布液の製造方法において用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の平均粒径は、0.10μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、且つ、BET法による比表面積値は、45m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましく、55m2/g以上であることが特に好ましい。平均粒径が0.10μmを超える場合又は比表面積値が45m2/g未満である場合には、顔料粒子が粗大化しているか、もしくは顔料粒子の強固な凝集体が形成されていると考えられ、それにより電気特性の低下や、かぶり、黒点、ゴースト等の画質欠陥が生じやすくなる傾向がある。
更に、本発明の電荷発生層形成用塗布液の製造方法において用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、粒径が大きい粗大粒子を含有しないことが好ましい。具体的には、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、一次粒子径の最大値が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。一次粒子径の最大値が0.3μmを超える場合は、顔料粒子が粗大化しているか、もしくは顔料粒子の強固な凝集体が形成されていると考えられ、それにより電気特性の低下や、かぶり、黒点、ゴースト等の画質欠陥が生じやすくなる傾向がある。
また、上記混合物を構成する結着樹脂は、良好な分散性と所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、従来公知の結着樹脂を特に制限なく用いることができ、例えば、先の電荷発生層1の説明において例示した結着樹脂を用いることができる。
また、上記混合物において、顔料と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましい。顔料の配合量が結着樹脂の配合量の10倍を超えると、電荷発生層形成用塗布液中の顔料の分散性が不十分となる傾向にあり、結着樹脂の配合量の1/10倍未満であると、電子写真感光体の感度が不十分となる傾向にある。
更に、上記混合物を構成する有機溶剤としては、例えば、先の電荷発生層1の説明において例示した溶剤を用いることができる。
以上のような顔料、結着樹脂及び有機溶剤を含む混合物を、分散メディアが上記の充填率で充填された分散処理装置により分散処理する。これにより、分散時において、顔料に過度の分散シェアが加わることを十分に抑制し、それによって結晶転移の発生を十分に抑制しつつ、顔料を十分に小粒径化することができる。したがって、画質欠陥の発生を十分に抑制することができ、且つ、良好な電気特性を有する電子写真感光体を形成可能な電荷発生層形成用塗布液を得ることができる。
上記分散メディアの材質は特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料分散液中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、例えばガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー等が好ましい。
また、上記分散室の材質は特に制限されないが、分散中にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料分散液中に混入しにくいもの、あるいは混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、例えばステインレス鋼、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、各種セラミックス、各種硬質樹脂等が好ましい。
また、本発明の電荷発生層形成用塗布液の製造方法は、分散メディアが充填された分散室を含む循環経路を有する分散処理装置を準備し、本発明の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂と有機溶剤との混合物を、下記式(A)で表される条件を満たすように循環経路内を循環させて分散処理し、分散液を得る第2の分散処理工程を備えることを特徴とする方法であってもよい。
0.3≦(VC/VO)≦1.6 ・・・(A)
[式中、VOは分散室の容積(ml)を示し、VCは混合物の循環流量(ml/min)を示す。]
上記式(A)で表される条件を満たすように分散処理工程を行うことにより、混合物の分散時において、顔料に過度の分散シェアが加わって結晶型が変化することを十分に抑制しつつ、顔料を十分に小粒径化することが可能となる。これにより、画質欠陥の発生を十分に抑制することができ、良好な電気特性を有する電子写真感光体を形成することが可能な感光層形成用塗布液を得ることができる。
また、上記第2の分散処理工程において、上記分散室の容積に対する上記分散メディアの充填率を20〜50体積%とすることが好ましい。これにより、分散時において、顔料に過度の分散シェアが加わることをより十分に抑制し、それによって結晶転移の発生をより十分に抑制しつつ、顔料をより十分に小粒径化することができる。これにより、画質欠陥の発生をより十分に抑制することができ、且つ、良好な電気特性を有する電子写真感光体をより確実に形成可能な電荷発生層形成用塗布液を得ることができる。
また、本発明の電荷発生層形成用塗布液の製造方法は、上記第1又は第2の分散処理工程で得られる分散液を遠心分離する遠心分離工程を更に備える方法であることが好ましい。
分散処理工程後に遠心分離工程を行うことにより、分散処理工程において分散室及び分散メディアの摩耗片が混入したり、分散不良の粗大粒子が残存した場合であっても、これらを効率よく除去することが可能となり、かぶりや黒点、ゴースト等の画質欠陥の発生をより十分に抑制することができる電子写真感光体をより確実に形成することが可能な感光層形成用塗布液を得ることができる。
以上説明した分散処理工程及び必要に応じて行われる遠心分離工程を経て電荷発生層形成用塗布液を製造することができる。そして、得られた塗布液は、例えば、先の電荷発生層1の説明において例示した塗布法により導電性支持体3上に塗布し、乾燥することによって、電荷発生層1を形成することができる。
電荷輸送層2は電荷輸送材料と結着樹脂とを含有するものである。電荷輸送層2に使用される電荷輸送材料としては、電荷を輸送する機能を有するものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質等が挙げられる。更に、電荷輸送材料としては、以上例示した化合物の基本構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等も使用することができる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層2に使用される結着樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用することができるが、電気絶縁性のフィルムを形成することが可能な樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂。シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れているので好ましく用いられる。
更に、これらの中でも、電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度に優れることから、上記一般式(1)で表される構成単位を有するポリカーボネート樹脂、及び、上記一般式(2)で表される構成単位を有するポリアリレート樹脂が好ましく用いられる。
また、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(重量比)は電気特性低下、膜強度低下に考慮しつつ任意に設定することができる。
更に、電荷輸送層2の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、10〜45μmであることがより好ましく、10〜40μmであることが更に好ましく、10〜35μmであることが特に好ましい。
また、電荷輸送層2には、磨耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることができる。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン及びそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。
電荷輸送層2中に固形潤滑剤を分散させると、電荷輸送層2表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散させると、電荷輸送層2の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のため、フッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。
電荷輸送層2中に上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
また、電荷輸送層2には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送層2の形成用の塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送層2の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
更に、感光層6(電荷発生層1、電荷輸送層2等)中には、電子写真装置内で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは、光や熱によって感光体が劣化することを防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を添加することができる。
ここで、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
これらの有機硫黄系酸化防止剤及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
また、光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系等の誘導体が挙げられる。
ここで、ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5’,6”−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメート等を用いてもよい。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、感光層6(電荷発生層1、電荷輸送層2等)中に少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。かかる電子受容性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニルキノン、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系や、Cl−、CN−、NO2−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
図1(b)は、本発明の電子写真感光体の第二実施形態を示す模式断面図である。図1(b)に示す電子写真感光体110は、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構造を有するものである。
この下引層4は、感光層6の帯電時において、導電性支持体3から感光層6への電荷の注入を防止する機能を有する。また、下引層4は、感光層6を導電性支持体3に対して一体的に接着保持させる接着層としても機能する。更に、この下引層4は、導電性支持体3の光反射を防止する機能を有する。
下引層4は、結着樹脂、有機あるいは無機の粉末、電子輸送性物質等から任意に選択された材料により構成される。ここで、結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。そして、これらの化合物は単独で、あるいは複数の化合物の混合物として、あるいは重縮合物として用いることができる。更にこれらの中でも、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れているため好ましい。
ここで、シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物及びアルミニウムキレート化合物としては、それぞれ先に説明したものと同様のものを使用することができる。
下引層4中には、電気特性の向上や光散乱性の向上などの目的により、各種の有機化合物の微粉末もしくは無機化合物の微粉末を添加することができる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やテフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。添加微粉末の粒径は0.01〜2μmのものが用いられる。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分の総量を基準として10〜90重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。
下引層4中には、これらの微粉末の中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物微粒子を添加することが好ましい。このような金属酸化物微粒子を添加することにより、電子写真感光体特性を向上させることができる傾向がある。
かかる金属酸化物微粒子の平均1次粒径は、0.5μm以下であることが好ましい。また、下引層4は、リーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが好ましく、そのため金属酸化物微粒子としては、102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有するものを用いることが好ましい。金属酸化物微粒子の比抵抗が102Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性が得られない傾向があり、1011Ω・cmを超えると、残留電位上昇を引き起こす傾向がある。また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。
また、金属酸化物微粒子には表面処理を施すこともできる。金属酸化物微粒子を表面処理する際は、例えば加水分解性有機金属化合物を使用することができる。加水分解性有機金属化合物としては、所望の感光体特性を得られるものであれば特に制限されないが、例えば、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。ここで、シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物及びアルミニウムキレート化合物としては、それぞれ先に説明したものと同様のものを使用することができる。
金属酸化物微粒子に対する表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であり、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。乾式法により表面処理を施す場合には、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させた加水分解性有機金属化合物を滴下し、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましい。溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、加水分解性有機金属化合物が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくくなる傾向がある。また、添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。乾式法においては金属酸化物微粒子を加水分解性有機金属化合物による表面処理前に加熱乾燥して表面吸着水を除去することができる。この表面吸着水を処理前に除去することによって、金属酸化物微粒子表面に均一に加水分解性有機金属化合物を吸着させることができる。金属酸化物微粒子はせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら加熱乾燥することも可能である。
湿式法により表面処理を施す場合には、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、加水分解性有機金属化合物溶液を添加し攪拌あるいは分散した後、溶剤を除去することで均一に処理される。溶剤の除去は、例えば蒸留により留去することで行われる。ろ過による除去方法では未反応の加水分解性有機金属化合物が流出しやすく、所望の特性を得るための加水分解性有機金属化合物量をコントロールしにくくなる傾向がある。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においても、金属酸化物微粒子を加水分解性有機金属化合物により表面処理する前に表面吸着水を除去することができる。この表面吸着水除去方法としては、乾式法と同様に加熱乾燥による除去の他に、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等を用いることができる。なお、金属酸化物微粒子に対する加水分解性有機金属化合物の量は所望の電気特性を得られる範囲に任意に設定できる。
また、下引層4中には、先に説明した電子輸送性物質、電子輸送性顔料等を含有させることも低残留電位化や環境安定性の観点から有効である。下引層4中に含有させる電子輸送性顔料としては、例えば、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料及び多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましい。この電子輸送性顔料は、多すぎると下引層4の強度が低下し、塗膜欠陥が生じやすくなる傾向があるため、下引層4の固形分の総量を基準として95重量%以下、好ましくは90重量%以下となるように添加される。
更に、下引層4の膜厚は0.01〜30μmであることが好ましく、0.05〜25μmであることがより好ましい。下引層4が上述した金属酸化物微粒子を含有しない場合には、下引層4の膜厚は0.1〜10μmであることが更に好ましく、0.5〜5.0μmであることが特に好ましい。一方、下引層4が金属酸化物微粒子を含有する場合には、下引層4の膜厚は15μm以上であることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引層4の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体100における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)の発生をより確実に防止することができる傾向がある。また、より長期間にわたって安定した画像品質を得ることが可能となる傾向がある。また、下引層4は、ビッカース強度が35以上とされていることが好ましい。
更に、下引層4には、上記の金属酸化物微粒子以外の微粒子を更に添加することもできる。この微粒子としては、シリコーン微粒子、テフロン(登録商標)微粒子架橋型PMMA樹脂粒子等の様々な樹脂微粒子を用いることができる。下引層4に含有される樹脂微粒子の量や粒径は、所望の表面粗さや電気特性が得られる範囲において任意に設定できるが、0.5〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。また、この樹脂粒子は異なる粒子径のものを2種以上混合して用いることができる。
また、表面粗さ調整のために下引層4を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。
また、下引層4を形成するための塗布液を調製する際に、微粉末状の物質を添加する場合には、樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散処理が行われる。この分散処理方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。
ここで、塗布液を調製する際に使用する溶剤としては、樹脂成分を溶解可能であり、電子輸送性顔料を添加する場合には、これを混合又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば特に制限されない。このような溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
この下引層4は導電性支持体3上に下引層4を形成するための塗布液を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。このときの塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
図1(c)は、本発明の電子写真感光体の第三実施形態を示す模式断面図である。図1(c)に示す電子写真感光体120は、感光層6上に保護層5を備えること以外は図1(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有するものである。
保護層5は、電子写真感光体120の帯電時の電荷輸送層2の化学的変化を防止したり、感光層6の機械的強度を更に改善する為に用いられる。
この保護層5は、例えば、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させた塗布液を感光層6上に塗布することにより形成される。この導電性材料は特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、あるいは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
保護層5に使用する結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
また、保護層5としては、下記一般式(4)で表される化合物を含んで形成される硬化膜が好ましい。
F−[D−SiR11 3−a(OR12)a]b ・・・(4)
[式中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を示し、Dは2価の基を示し、R11は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、R12は水素原子、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を示す。]
一般式(4)中の−SiR11 3−a(OR12)aは、加水分解性基を有する置換ケイ素基であり、架橋反応による3次元的なSi−O−Si結合(無機ガラス質ネットワーク)を形成する役割を担っている。
また、一般式(4)中、Fは、光電特性、より具体的には光キャリア輸送特性を有する有機基であり、従来、電荷輸送物質として知られている光機能性化合物の構造をそのまま用いることができる。Fで表される有機基としては、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格等が挙げられる。
Fで表される有機基の好ましい例としては、下記一般式(5)で表される基が挙げられる。Fが下記一般式(5)で表される基であると、特に優れた光電特性と機械特性を示す。
[式中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar5は、置換若しくは未置換のアリール基、又はアリーレン基を示し、kは0又は1を示し、Ar1〜Ar4のうちb個は、D−SiR11 3−a(OR12)aで表される基に結合する結合手を有する。]
上記一般式(5)中のAr1〜Ar4としては、下記式(5−1)〜(5−7)のうちのいずれかであることが好ましい。
−Ar−Zs−Ar−Xm ・・・(5−7)
[式中、R21は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、R22〜R24はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、XはY−SiR11 3−a(OR12)aを示し、m及びsはそれぞれ独立に、0又は1を示し、tは1〜3の整数を示す。]
ここで、上記Yとして具体的には、−CpH2p−、−CpH2p−2−、−CpH2p−4−で表わされる2価の炭化水素基(pは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−N=CH−、及び、下記式(5−8)〜(5−11)で表される2価の基が好ましい。
[式中、R25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はハロゲン原子を示し、tは1〜3の整数を示し、y及びzはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。]
また、上記一般式(5−7)中のArとしては、上記式(5−9)又は(5−10)で表されるものが好ましい。
また、式(5−7)中のZとしては、下記式(5−12)〜(5−19)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH2)q− ・・・(5−12)
−(CH2CH2O)r− ・・・(5−13)
[式中、R27及びR28はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又はハロゲン原子を示し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ独立に、1〜10の整数を表し、tは1〜3の整数を表す。]
上記一般式(5−18)〜(5−19)中のWとしては、下記一般式(5−20)〜(5−28)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。
−CH2− ・・・(5−20)
−C(CH3)2− ・・・(5−21)
−O− ・・・(5−22)
−S− ・・・(5−23)
−C(CF3)2− ・・・(5−24)
−Si(CH3)2− ・・・(5−25)
[式中、uは0〜3の整数を示す。]
また、上記一般式(5)中、Ar5は、kが0のときはAr1〜Ar4の説明で例示されたアリール基であり、kが1のときはかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
上記一般式(4)中、Dで表される2価の基は、光電特性を付与するFと3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合する−SiR11 3−a(OR12)aとを結びつける働きを担い、且つ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担うものである。
Dで表される2価の基としては、具体的には、−CpH2p−、−CpH2p−2−、−CpH2p−4−で表わされる2価の炭化水素基(pは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−C6H4−C6H4−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したもの等が挙げられる。
上記一般式(4)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、上記一般式(4)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2個以上有することになり、無機ガラス質ネットワークの形成が容易となり、機械的強度が向上する傾向にある。
なお、上記一般式(4)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記一般式(4)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度を更に向上させる目的で、下記一般式(6)で表される化合物を併用してもよい。
B(−SiR11 3−a(OR12)a)g ・・・(6)
[式中、R11、R12、aは一般式(4)中のR11、R12、aと同一の定義内容を示し、Bは、枝分かれを含んでもよいg価の炭化水素基、g価のフェニル基、又は−NH−、或いはこれらの2種以上の組み合わせから構成されるg価の基を示し、gは2以上の整数を示す。]
上記一般式(6)で表される化合物は、−SiR11 3−a(OR12)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この一般式(6)で表される化合物は、上記一般式(4)で表される化合物との反応又は上記一般式(4)で表される化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。上記一般式(6)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。
上記一般式(6)で表される化合物としては、下記一般式(6−1)〜(6−5)で表されるものが好ましい。なお、式(6−1)〜(6−5)中、T1及びT2はそれぞれ独立に、枝分かれしていてもよい2価又は3価の炭化水素基を示す。また、Aは、−SiR11 3−a(OR12)aで表される加水分解性を有する置換ケイ素基を示す。h、i、jはそれぞれ独立に1〜3の整数を表す。また、式(6−1)〜(6−5)で表される化合物は、分子内のAの数が2以上となるように選ばれる。
上記一般式(6)で表される化合物の好ましい例を表1に示す。なお、表1中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示す。
また、上記一般式(4)で表される化合物と共に、更に架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤等を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−4101007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、保護層5には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。
フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、上記一般式(4)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成することが望ましい。そのようなフッ素含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有化合物の含有量は、保護層5全量を基準として20重量%以下とすることが好ましい。フッ素含有化合物の含有量が20重量%を超えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
上記化合物を含む保護層5は十分な耐酸化性を有しているが、更に強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の含有量としては、保護層5全量を基準として15重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
ここで、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、保護層5には公知の塗膜形成に用いられる添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知の添加剤を添加することができる。
保護層5は、上記化合物を含有する塗布液を電荷輸送層6上に塗布し、加熱処理することで形成することができる。これにより、上記一般式(4)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、保護層5が形成される感光層6等、下層に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100〜160℃である。
架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、また、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
保護層5を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
また、保護層5を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等の通常の有機溶剤を用いることができる。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができるが、この塗布液が塗布される感光層6を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
以上説明した構成を有する保護層5の膜厚は、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることが更に好ましい。
本発明の電子写真感光体において、より高解像度を得る観点から、電荷発生層より上層の機能層の膜厚は50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。機能層が薄膜の場合は上述した下引層4と高強度な保護層5の組み合わせが特に有効に用いられる。
以上、本発明の電子写真感光体の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の電子写真感光体は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図2(a)に示す電子写真感光体130のように、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備え、更に感光層6上に保護層5を備えるものであってもよい。
また、上記の実施形態の電子写真感光体100、110、及び120においては、感光層6が積層構造を有している場合について説明したが、例えば、図2(b)に示す電子写真感光体140のように、感光層6が単層構造を有するものであってもよい。なお、この場合にも、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備えていてもよく、感光層6上に保護層5を備えていてもよく、下引層4及び保護層5の両方を備えていてもよい。
更に、図25に示す電子写真感光体150のように、感光層6と下引層4との間に中間層30を備えるものであってもよい。この中間層30に用いられる材料としては、下引層4に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、中間層30には、下引層4と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
更に、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、中間層30中には、下引層4と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95重量%以下、好ましくは90重量%以下で使用される。
中間層30は、下引層4と同様に、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を下引層4上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。中間層30を形成するための塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
このようにして得られる中間層30の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。中間層30の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体を長期間にわたって連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
以上説明した本発明の電子写真感光体は、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリなどの電子写真装置や、このような電子写真装置に備えられるプロセスカートリッジに搭載することができる。また本発明の電子写真感光体は一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わせて用いることができる。また本発明の電子写真感光体は帯電ローラーや帯電ブラシを用いた接触帯電方式の電子写真装置に搭載されて、電流リークの発生が少ない良好な特性が得られる。
(電子写真装置及びプロセスカートリッジ)
図3及び図4は、それぞれ本発明の電子写真装置の好適な一実施施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
図3に示す電子写真装置200は、本発明の電子写真感光体7と、電子写感光体7をコロナ放電方式により帯電させる帯電手段8と、帯電手段8に接続された電源9と、帯電手段8により帯電される電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する露光手段10と、露光手段10により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段11と、現像手段11により形成されたトナー像を被転写体20に転写する転写手段12と、クリーニング手段13と、除電器14と、定着装置15とを備える。
また、図4に示す電子写真装置210は、本発明の電子写真感光体7を接触方式により帯電させる帯電手段8を備えていること以外は、図3に示した電子写真装置200と同様の構成を有する。特に、直流電圧に交流電圧を重畳した接触式の帯電手段を採用する電子写真装置においては、優れた耐摩耗性を有するため、好ましく使用できる。なお、この場合には、除電器14が設けられていないものもある。
ここで、帯電手段8としては、例えばローラー状、ブラシ状、ブレード状、フィルム状又はピン電極状の導電性又は半導電性の帯電部材を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの非接触型帯電器などが用いられる。
ここで、接触型帯電器における帯電部材としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。
芯材の材質としては、導電性を有するもの、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもの、例えば、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが使用可能である。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エポキシゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物を用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
抵抗層および保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものが挙げられる。結着樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、溶融成形法、注入成形法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる際には、導電性部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる帯電方式には、特に制限はない。しかし、近年は、オゾンの発生量が少なく、環境負荷性の小さい接触帯電方式が好ましく用いられる傾向にある。一般に、接触帯電方式は、スコロトロンやコロトロンなどの非接触式帯電方式と比較して帯電能力が弱く、特に高速応答が必要な画像形成装置においては問題となりやすい。帯電能力が弱い場合、電子写真感光体の感光層中に残留している電荷が、かぶりなどの画質欠陥を引き起こす原因となる。しかし、本発明の電子写真感光体によれば、電荷発生層中に存在する、電荷を残留させる要因となる結晶型の崩れたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が少ないため、上記のような画質欠陥が生じにくく、接触式帯電方式との組み合わせで、好適に使用することができる。
この帯電手段8は、当該帯電手段8による帯電、露光手段10による露光、現像手段11による現像及び転写手段12による転写を含む電子写真プロセスの1回目における帯電電位よりも、該電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときの帯電電位が小さくなるように、帯電電位を調整制御する機能を有する手段であることが好ましい。以下、図面を用いて電子写真感光体表面の帯電電位を上記のように調整制御する具体的な方法について説明する。
図3に示す電子写真装置200において、帯電手段8には電源9が接続されており、さらに電源9には帯電電位制御装置(図示せず)が電気的に接続され、帯電電位制御装置には電子写真感光体の回転回数を計測する計測装置(図示せず)が電気的に接続されている。帯電電位制御装置は、電源9から帯電手段8を介して感光層に印加される電場を制御するもので、これにより電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときに感光層表面の帯電電位を低下させることができる。
図26は、電子写真プロセスの1回目における帯電電位よりも、該電子写真プロセスが所定回数繰り返されたとき帯電電位が小さくなるように調整制御する方法の一例を示す工程図である。まず、ステップS1において、計測装置により、電子写真プロセスの繰り返し数の指標となる電子写真感光体7の回転回数が計測される。次に、ステップS2において、計測された回転回数に関するデータ信号が計測装置から帯電電位制御装置に送られて電子写真プロセスの繰り返し数に換算される。帯電電位制御装置には、電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときの感光層の膜厚と、当該膜厚を有する感光層に所定の電場が印加されたときの帯電電位と、の相関に関するデータが予め入力されており、換算された電子写真プロセスの繰り返し数に基づき当該繰り返し数における感光層の膜厚が見積もられる。そして、見積もられた膜厚を有する感光層に電場を印加したときにその帯電電位が低下するように、感光層に印加されるべき電場が決定される。さらに、ステップS3において、決定された電場に関する制御信号が電源9に送られ、かかる制御信号に基づく電場が帯電ロールを介して感光層に印加される。このようにして、電子写真プロセスの繰り返し数の増加に伴い感光層の帯電電位を低下させることができる。
なお、上記方法は電子写真感光体7の回転回数を電子写真プロセスの繰り返し数に換算する工程を含むが、かかる換算工程は必ずしも必要ではない。すなわち、電子写真感光体7が所定回数回転したときの感光層の膜厚と、当該膜厚を有する感光層に所定の電場が印加されたときの帯電電位と、の相関に関するデータを帯電電位制御装置に予め入力しておき、計測装置で計測された電子写真感光体7の回転回数から直接的に当該回転回数における感光層の膜厚を見積もってもよい。
また、感光層の膜厚(又は磨耗量)を見積もる工程を設けずに、電子写真感光体の径及び回転回数から直接的に感光層に印加される電場を決定してもよい。すなわち、電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときに帯電電位を低下させるために電子写真感光体に印加されるべき電場についての理論曲線を、電子写真感光体7の径及び回転回数の関数として予め求めておき、かかる理論曲線に従って電場を低下させることで、電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときに感光層の帯電電位を低下させることができる。
なお、本発明における電場の低減スケジュールは、電子写真プロセスの1回目における帯電電位よりも、該電子写真プロセスが所定回数繰り返されたとき帯電電位が小さくなるようにすることが可能であれば特に制限されず、例えば図27(a)に示すように電子写真プロセスの増加に伴い連続的に電場を低下させてもよく、また、図28(b)に示すように段階的に電場を低下させてもよい。
このように電子写真プロセスを所定回数繰り返したときの感光層の膜厚と、当該膜厚を有する感光層に所定の電場を印加したときの帯電電位と、の相関に基づいて、帯電の際に感光層に印加される電場を制御することにより、電子写真プロセスの繰り返し数の増加に伴い感光層表面の帯電電位を低下させる操作が有効に実施されるため、かぶり等の画質欠陥の発生を確実に抑制することができ、長期にわたって良好な画像品質を得ることができる。
露光手段10としては、前記電子写真感光体表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッターなどの光源を所望の像様に露光できる光学系装置などが用いられる。
現像手段11としては、一成分系、二成分系などの正規又は反転現像剤を用いた従来公知の現像手段などが用いられる。
現像手段11に使用されるトナーの形状については特に制限はなく、不定形、球形あるいは他の特定の形状のものであっても使用することができる。これらの中でも、高画質化、エコロジーの観点から球形トナーが好ましく用いられる。球形トナーとは、高転写効率を達成するために、平均形状係数(ML2/A)100〜145、好ましくは100〜140の範囲で表される球形状を有するトナーである。この平均形状係数(ML2/A)が145より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう傾向にある。
球形トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球形トナーは、好ましくは2〜12μmの粒子、より好ましくは3〜9μmの粒子を用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
球形トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用いることができ、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
また、小径無機微粒子については、表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球形トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば混練粉砕法、混練粉砕法によって得られた粒子を、機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等が挙げられる。また、上記方法で得られた球形トナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球形トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
この露光手段10は、静止状態の電子写真感光体7を起動させてから該電子写真感光体が1回転する間に、該電子写真感光体7上に静電潜像を形成する手段であることが好ましい。これにより、空回転の時間を省略してFCOTを十分に短縮することができるとともに、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いていることにより、ゴーストの発生が十分に抑制された良好な画像品質を得ることができる。
転写手段12としては、ベルト、ローラー、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などが用いられる。
クリーニング手段13は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は、次の画像形成プロセス(電子写真プロセス)に繰り返し供される。
クリーニング手段13としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としては、ウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
除電器14は、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象を防止するためのものであり、これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、画像品質をより高めることができる。
なお、図3及び4には示していないが、本発明の電子写真装置は中間転写手段を備えるものであってもよい。本発明にかかる中間転写手段としては、導電性支持体上にゴム、エラストマー、樹脂などを含む弾性層と少なくとも1層の被服層とが積層された構造を有するものを使用することができ、その材料としては使用される材料は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素樹脂等の樹脂に対して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させたもの等が挙げられる。また、前記中間転写手段の形状としては、ローラー状、ベルト状などが挙げられる。
図28は本発明の画像形成装置の他の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図28に示す画像形成装置220は、中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ本発明の電子写真感光体である。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは、所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
更に、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は、駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。
中間転写体をベルト状とする場合、その基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。更に、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
中間転写ベルト409の製造方法として、例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトを製造する場合には、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
一般に、中間転写体を用いる場合、中間転写体を通して電子写真感光体表面に電位が印加されるため、感光層中に存在する残留電荷に影響を及ぼし、電子写真プロセスにおける次サイクルで、ゴースト(前サイクルでの画像が、次サイクルに残像として現れる減少)などの画質欠陥を生じやすい。しかし、本発明の電子写真感光体によれば、電荷発生層中に存在する、電荷を残留させる要因となる結晶型の崩れたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が少ないため、上記のような画質欠陥が生じにくく、中間転写体との組み合わせで、好適に使用することができる。
なお、本発明における被転写体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、被転写体とは、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、この被転写媒体を指し、また、中間転写体を用いる場合には、この中間転写体を指す。
図5は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、本発明の電子写真感光体7とともに、帯電手段8、現像手段11、クリーニング手段13、露光のための開口部18、及び除電器14を、取り付けレール16を用いて組み合わせて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ300は、転写手段12と、定着装置15と、図示しない他の構成部分とからなる電子写真装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成するものである。
また、図29は、本発明のプロセスカートリッジの他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図29において、プロセスカートリッジ310は、本発明の電子写真感光体7とともに、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ310は、転写手段212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる電子写真装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成するものである。
以上説明した本発明の電子写真装置及びプロセスカートリッジにおいては、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体を備えているため、画質欠陥を生じることなく長期間にわたって安定した画像品質を得ることできる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、電子写真感光体上に静電潜像を形成させる露光工程と、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を被転写体に転写する転写工程と、を含むことを特徴とする方法である。
ここで、帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程のそれぞれは、上述した本発明の電子写真装置200における、帯電手段8による帯電、露光手段10による露光、現像手段11による現像及び転写手段12による転写を行う工程である。そして、かかる画像形成方法によれば、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を使用した電子写真感光体を用いていることにより、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ、それによって、かぶりや黒点・白点などの画質欠陥を生じることなく安定した画質の画像を長期間にわたって形成することができる。
また、本発明の画像形成方法は、上記帯電工程において、当該帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を含む電子写真プロセスの1回目における帯電電位よりも、該電子写真プロセスが所定回数繰り返されたときの帯電電位が小さくなるように、帯電電位を調整制御して、電子写真感光体表面を帯電させることを特徴とする方法であることが好ましい。
かかる帯電工程は、先に図26及び27を用いて説明した方法により行うことができる。そして、帯電工程を上記のように行うことにより、感光層に印加される電界強度を所定の範囲に設定することが可能となり、濃度低下等の画質欠陥を生じることなく安定した画質の画像をより長期間にわたって形成することができる。
更に、本発明の画像形成方法において、上記露光工程は、静止状態の電子写真感光体を起動させてから該電子写真感光体が1回転する間に、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する工程であることが好ましい。
露光工程を上記のように行うことにより、空回転の時間を省略してFCOTを十分に短縮することができるとともに、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いていることにより、ゴーストの発生が十分に抑制された良好な画像品質を得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において電子写真プロセスを行う場合、特に断らない限りは、像露光は電子写真感光体を数回、空回転させた後に行う。
(合成例1)
〔I型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの合成〕
1,3−ジイミノイソインドリン30重量部及び三塩化ガリウム9.1重量部をジメチルスルホキシド230重量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28重量部を得た。
次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10重量部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300部に十分に溶解させた溶液を、25%アンモニア水600重量部とイオン交換水200重量部との混合溶液中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を濾過により採取し、イオン交換水で洗浄した後、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料8重量部を得た。
このようにして得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料について、X線回折スペクトルの測定を行った。その結果を図6に示す。なお、本実施例におけるX線回折スペクトルの測定は、粉末法によりCuKα特性X線を用いて、以下の条件で行った。
使用測定器:理学電機社製X線回折装置Miniflex
X線管球:Cu
管電流:15mA
スキャン速度:5.0deg./min
サンプリング間隔:0.02deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):35deg.
ステップ角度(2θ):0.02deg.
(実施例1)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料6重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド90重量部及び外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で48時間湿式粉砕処理した。このとき、結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターし、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)が827nmであることを確認した。
次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図7に、分光吸収スペクトルを図12に、透過型電子顕微鏡写真を図19に、それぞれ示す。
なお、分光吸収スペクトルの測定は、アセトン溶媒を用いた液セル法により、日立製作所社製のU−2000型分光光度計を使用して行った。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の粒形状態は、透過型電子顕微鏡(H−9000、日立製作所社製)を用いて観察した。
(実施例2)
湿式粉砕処理時間を48時間から96時間に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は825nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを図8に、分光吸収スペクトルを図13に、透過型電子顕微鏡写真を図20に、それぞれ示す。
(実施例3)
湿式粉砕処理時間を48時間から192時間に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は819nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを図9に、分光吸収スペクトルを図14に、透過型電子顕微鏡写真を図21に、それぞれ示す。
(実施例4)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径2.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は827nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例5)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径0.3mmのガラス製球形状メディア400重量部を用い、N,N−ジメチルホルムアミドの使用量を90重量部から120重量部に代えた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は826nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例6)
実施例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター(UF巻セラミックフィルター、日本ガイシ社製)上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、80℃で24時間加熱乾燥した後、光を遮断した真空乾燥機(DP61型、ヤマト科学社製)を用いて、110℃、0.01mmHgの減圧下で2時間加熱乾燥し、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は823nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例7)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径1.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は実施例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、80℃で24時間加熱乾燥した後、光を遮断した真空乾燥機(DP61型、ヤマト科学社製)を用いて、110℃、−0.98kPaの減圧下で2時間加熱乾燥し、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は818nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルを図15に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルは、実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例8)
光を遮断した真空乾燥機による加熱乾燥の温度を110℃から150℃に代えた以外は実施例7と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は821nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例9)
外径1.0mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径3.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は実施例7と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は835nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例10)
光を遮断した真空乾燥機による加熱乾燥の温度を110℃から220℃に代えた以外は実施例7と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は823nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ実施例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(比較例1)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を使用して25℃で48時間撹拌した。撹拌後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は846nmであった。
次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図10に、分光吸収スペクトルを図16に、透過型電子顕微鏡写真を図22に、それぞれ示す。
(比較例2)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径5.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は845nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを図11に、分光吸収スペクトルを図17に、透過型電子顕微鏡写真を図23に、それぞれ示す。
(比較例3)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径5.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は実施例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、60℃で24時間加熱乾燥し、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は842nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ比較例2とほぼ同様のスペクトルを示した。
(比較例4)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を使用して25℃で48時間撹拌して結晶を得た。次いで、得られた結晶を、アセトンを用いて洗浄し、光を遮断した乾燥機を用いて80℃で24時間加熱乾燥して、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は858nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルを図18に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルは、比較例2とほぼ同様のスペクトルを示した。
(実施例11)
1,3−ジイミノイソインドリン30重量部および三塩化ガリウム9.1重量部をキノリン230重量部中に添加し、200℃において3時間反応させた後、生成物を濾別した。次いで、この生成物をアセトン、メタノールで洗浄し、得られた湿ケーキを乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶28重量部を得た。このクロロガリウムフタロシアニン結晶3重量部を濃硫酸(濃度97%)60重量部に0℃にて溶解した溶液を、5℃の蒸留水450重量部中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を蒸留水、希アンモニア水で洗浄した後、乾燥して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を自動乳鉢にて5.5時間粉砕し、非晶質のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5.0重量部をジメチルホルムアミド150重量部及び直径1mmのガラスビーズ300重量部と共にミリング処理し、結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)の経時変化を250時間まで追跡した。その結果を図24に示す。図24に示したグラフより、処理時間が150時間のときに最大ピーク波長(λMAX)が最小値(824nm)を示すことが確認された。また、処理時間150時間のときのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をメタノールで洗浄し、乾燥して、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を得た。
(比較例5)
実施例11と同一条件で結晶変換処理を24時間行った後、メタノールで洗浄し、乾燥して、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.4重量部を得た。
(比較例6)
実施例11と同一条件で結晶変換処理を48時間行った後、メタノールで洗浄し、乾燥して、実施例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.4重量部を得た。
実施例1〜11及び比較例1〜6で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の、アセトン溶媒を用いた液セル法により、分光光度計(U−2000型分光光度計:日立製作所社製)を使用して測定した分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)、BET式の比表面積測定器(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて窒素置換法により測定したBET比表面積、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)により測定した平均粒径、及び、透過型電子顕微鏡による観察により測定した一次粒子径の最大値をそれぞれ表2に示す。
更に、実施例6〜10及び比較例3〜4で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の25℃から400℃まで昇温したときの重量減少率を、熱天秤(スタンドアロン熱重量測定装置TGA−50、島津製作所社製)により測定した結果をそれぞれ表2に示す。
(実施例12)
〔電子写真感光体シートの作製〕
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25重量部を添加して、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行い、表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
上記表面処理酸化亜鉛顔料60重量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)3.4重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行って、膜厚25μmの下引層を得た。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)1重量部を酢酸n−ブチル100重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部とを混合し、外径1mmのガラスビーズ150重量部とともに5時間サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、結着樹脂として粘度平均分子量が3万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部、テトラヒドロフラン80重量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で40分間加熱乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体シートを作製した。
〔電子写真感光体ドラムの作製〕
84mmφ×347mm、肉厚1mmのアルミニウムパイプを研磨剤(アルミナビーズCB−A30S、平均粒径D50=30μm、昭和タイタニウム社製)を用いて液体ホーニング処理することにより粗面化し、中心線平均粗さRaが0.18μmとなるように粗面化したものを導電性支持体として用い、上記電子写真感光体シートの作製と同様の手順で、下引層、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成し、目的の電子写真感光体ドラムを作製した。
(実施例13〜22)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例2〜11のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた以外はそれぞれ実施例12と同様にして、実施例13〜22の電子写真感光体(電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラム)を作製した。
(比較例7〜12)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜6のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた以外はそれぞれ実施例8と同様にして、比較例7〜12の電子写真感光体(電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真感光体の電子写真特性評価試験〕
(1)使用初期の特性評価
実施例12〜22、及び比較例7〜12の電子写真感光体シートの電子写真特性を評価するために、以下の手順で電子写真特性の測定を行った。先ず、20mmφの小面積マスクを使用し、20℃、50%RHの環境下において、静電複写紙試験装置(EPA8200、川口電機社製)を用いて−5.0kVのコロナ放電により感光体を負帯電させた。次いで、干渉フィルターを用いて780nmに分光したハロゲンランプ光を感光体表面上において5.0μW/cm2となるように調整して照射した。このときの初期表面電位V0[V]、表面電位がV0の1/2になるまでの半減露光量E1/2[μJ/cm2]、及び、表面電位V0を計測してから1秒後の表面電位をV1として、{(V0−V1)/V0}×100で求められる暗減衰率(DDR)[%]をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
(2)繰り返し特性の評価
上記帯電、露光および除電の操作を1万回繰り返し、そのときの表面電位V0[V]、表面電位がV0の1/2になるまでの半減露光量E1/2[μJ/cm2]および暗減衰率(DDR)[%]をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
(3)画質評価試験
実施例12〜22、及び比較例7〜12の電子写真感光体ドラムを、図4に示す構成を有するフルカラー・レーザープリンター(DocuPrint C620、富士ゼロックス社製)に装着して画像品質を評価し、細線の太りや細り、かぶりや黒点・白点等の画質欠陥がないかどうかを確認した。その結果を表3に示す。なお、上記のフルカラー・レーザープリンターにおいては、帯電装置としてローラー帯電器(BCR)、露光装置として780nmの半導体レーザを使用したROS、現像方式として2成分系反転現像方式、転写装置としてローラー帯電器(BTR)、転写装置としてベルト中間転写方式を採用した。
(4)電荷発生材料の分散性評価
実施例12〜22、及び比較例7〜12で用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分散性の評価を行うために、ガラスプレート上に実施例12〜22、及び比較例7〜12における電荷発生層形成用塗布液をそれぞれ用いて電荷発生層を形成し、顕微鏡を用いてその分散状態を観察した。その結果を表3に示す。なお、表3中、「良好」とは電荷発生層中に凝集体が見られなかったことを意味し、「不良」とは凝集体が観察されたり塗膜表面がざらついていたことを意味する。
表2〜3に示したように、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた実施例12〜22の電子写真感光体は、比較例7〜12の電子写真感光体と比較して、優れた電子写真特性を有し、分散性が良好で、細線の太りや細り、かぶりや黒点・白点等の現象を生じることなく良好な画質が得られることが確認された。
(実施例23)
〔電子写真感光体の作製〕
シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)60重量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行って、膜厚20μmの下引層を得た。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部を酢酸n−ブチル300重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15重量部とを混合し、分散室の容積に対して30体積%の外径1mmのガラスビーズとともに100分間横型サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、及び結着樹脂として下記一般式(7)で表される粘度平均分子量が4万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部を、テトラヒドロフラン60重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分間加熱乾燥して、膜厚33μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真装置の作製〕
得られた電子写真感光体を、図4に示す構成を有するフルカラープリンター(DocuCenter Color 400CP、富士ゼロックス社製)を改造した装置に搭載して電子写真装置を作製した。
ここで、電子写真装置における接触帯電手段は、電子写真プロセスの1回目における帯電電位よりも、該電子写真プロセスが所定回数繰り返されたとき帯電電位が小さくなるように調整制御する機能を有する手段である。具体的には、接触帯電手段は、電子写真プロセスの1回目における感光体表面の帯電電位を720Vとし、その後、電子写真プロセス1千回当たり0.2Vずつ帯電電位を低下させるように調整制御する手段であり、感光体表面の帯電電位をVH[V]、電子写真プロセスの繰り返し回数をα[千回]としたときに下記式(B)で表される条件に従って帯電電位の制御を行うものである。なお、下記式(B)は、電子写真プロセスの繰り返し回数と感光層の膜厚との関係、及び、感光層の膜厚が減少したときの電界強度が所定の範囲に維持されるような帯電電位を予め求め、これに基づいて決定したものである。
VH=720−α×0.2 ・・・(B)
(実施例24〜26)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例23と同様にして、実施例24〜26の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例13〜15)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例23と同様にして、比較例13〜15の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例27〜29)
接触帯電手段として、上記式(B)に従った帯電電位の制御を行わず、帯電電位を720V一定とするものを用いた以外は実施例23〜25と同様にして、実施例27〜29の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例30)
〔電子写真感光体の作製〕
シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)60重量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて1.5時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行って、膜厚18μmの下引層を得た。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部をn−ブチルアルコール170重量部に溶解させ、そこへ有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を加えて混合攪拌し、中間層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、150℃で1時間加熱乾燥して膜厚1.2μmの中間層を形成した。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部を酢酸n−ブチル300重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15重量部とを混合し、分散室の容積に対して30体積%の外径1mmのガラスビーズとともに100分間横型サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記中間層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、及び結着樹脂として上記一般式(7)で表される粘度平均分子量が4万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部を、テトラヒドロフラン60重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分間加熱乾燥して、膜厚33μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真装置の作製〕
上記のようにして作製した電子写真感光体を用いた以外は実施例23と同様にして、実施例30の電子写真装置を作製した。
(実施例31〜33)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例30と同様にして、実施例31〜33の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例16〜18)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例30と同様にして、比較例16〜18の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例34)
電荷発生層形成用塗布液を調製する際に用いる結着樹脂として、上記一般式(7)で表されるビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部の代わりに、下記一般式(8)で表されるビスフェノールCポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:4万)6重量部を用いた以外は実施例30と同様にして、実施例34の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例35〜36)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜4のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例34と同様にして、実施例35〜36の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例19〜21)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例34と同様にして、比較例19〜21の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
〔実施例23〜36及び比較例13〜21の電子写真感光体及び電子写真装置の特性評価試験〕
(1)電荷発生層の分光吸収スペクトル測定
実施例23〜36及び比較例13〜21で用いた電荷発生層形成用塗布液の構成材料のうち、酢酸n−ブチルの量を調節して、固形分量が4.0〜5.0重量%である塗布液を調製した。この塗布液をガラスプレート上に浸漬塗布し、分光吸収スペクトル測定用の電荷発生層を作製した。ここで、引き上げ速度は50〜200mm/minの範囲とした。得られた電荷発生層について、分光光度計(U−2000、日立製作所社製)を用いて、分光吸収スペクトルを測定した。そして、得られた分光吸収スペクトルから、600〜700nmの波長範囲における最大ピークと810〜850nmの波長範囲における最大ピークとの比(600〜700nmの波長範囲における最大ピーク/810〜850nmの波長範囲における最大ピーク)で表されるピーク比を求めた。その結果を表4に示す。なお、使用したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大ピーク波長(λMAX)についても表4に示す。
なお、塗膜の分光吸収スペクトルについては、電子写真感光体上であっても、種々の方法により測定可能である。例えば、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層より表面に形成される層が、600〜900nmの範囲に吸収を示さない場合は、電子写真感光体の反射光スペクトルを測定することで、得ることができる。また、あるいは、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層より表面に形成される層が、600〜900nmの範囲に吸収を示す場合であっても、これらの層を溶出させ、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層からの反射光スペクトルを測定することで、得ることができる。
(2)使用初期の特性評価
実施例23〜36及び比較例13〜21の電子写真装置を用いて電子写真プロセスを1回行った。このとき、帯電後の感光体表面の帯電電位(VH)、露光後の感光体表面の帯電電位(VL)を測定した。その結果を表4に示す。
(3)繰り返し特性の評価
実施例23〜36及び比較例13〜21の電子写真装置を用いて電子写真プロセスを60万回繰り返した。60万回目の電子写真プロセスにおいて、帯電後の感光体表面の帯電電位(VH)、露光後の感光体表面の帯電電位(VL)、及び感光層の膜厚を測定した。また、形成した画像の画質(濃度低下の有無)を評価した。その結果を表4に示す。
(実施例37)
〔電子写真感光体の作製〕
シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)60重量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行って、膜厚20μmの下引層を得た。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部を酢酸n−ブチル300重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15重量部とを混合し、分散室の容積に対して30体積%の外径1mmのガラスビーズとともに100分間横型サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、及び結着樹脂として上記一般式(7)で表される粘度平均分子量が4万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部を、テトラヒドロフラン60重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分間加熱乾燥して、膜厚33μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真装置の作製〕
得られた電子写真感光体を、図4に示す構成を有するフルカラープリンター(DocuCenter Color 400CP、富士ゼロックス社製)を改造した装置に搭載して電子写真装置を作製した。
ここで、電子写真装置における露光手段は、静止状態の前記電子写真感光体を起動させてから該電子写真感光体が1回転する間に、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する手段である。
(実施例38〜40)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例37と同様にして、実施例38〜40の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例22〜24)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例23と同様にして、比較例13〜15の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例41)
〔電子写真感光体の作製〕
シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)60重量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて1.5時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行って、膜厚18μmの下引層を得た。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部をn−ブチルアルコール170重量部に溶解させ、そこへ有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を加えて混合攪拌し、中間層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、150℃で1時間加熱乾燥して膜厚1.2μmの中間層を形成した。
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部を酢酸n−ブチル300重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15重量部とを混合し、分散室の容積に対して30体積%の外径1mmのガラスビーズとともに100分間横型サンドミルで分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記中間層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、及び結着樹脂として上記一般式(7)で表される粘度平均分子量が4万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部を、テトラヒドロフラン60重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分間加熱乾燥して、膜厚33μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真装置の作製〕
上記のようにして作製した電子写真感光体を用いた以外は実施例37と同様にして、実施例41の電子写真装置を作製した。
(実施例42〜44)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例41と同様にして、実施例42〜44の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例25〜27)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例41と同様にして、比較例25〜27の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例45)
電荷発生層形成用塗布液を調製する際に用いる結着樹脂として、上記一般式(7)で表されるビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部の代わりに、上記一般式(8)で表されるビスフェノールCポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:4万)6重量部を用いた以外は実施例41と同様にして、実施例45の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例46〜47)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例3〜4のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例45と同様にして、実施例46〜47の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例28〜30)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに比較例1〜2、5のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料をそれぞれ用いた以外は実施例45と同様にして、比較例28〜30の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
〔実施例37〜47及び比較例22〜30の電子写真装置の特性評価試験〕
(1)画質評価
実施例37〜47及び比較例22〜30の電子写真装置を用い、静止状態の電子写真感光体を起動させ、空回転を行わずに1回転目から電子写真感光体上に静電潜像を形成し、1枚目、2枚目及び3枚目の画像の画質を評価した。その結果を表5に示す。なお、使用したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大ピーク波長(λMAX)についても表5に示す。
(実施例48)
〔感光層形成用塗布液の作製〕
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部を酢酸n−ブチル300重量部に溶解させた溶液と、実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15重量部とを混合し、混合液を得た。次いで、容量1400mlの分散室内に外径1mmのガラスビーズが充填率40体積%で充填された横型サンドミルを用い、上記混合液を流量1400ml/分で循環させながら100分間分散することで、分散液を得た。このとき、(VC/VO)の値は1であった。そして、得られた分散液を、遠心分離機(SCR20BB、HITACHI社製)を用い、回転速度8,300rpmにて30分間遠心沈降処理を行い、電荷発生層形成用塗布液を得た。
〔電子写真感光体の作製〕
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部をn−ブチルアルコール170重量部に溶解させ、そこへ有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を加えて混合攪拌し、下引層形成用塗布液を調製した。この塗布液を、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚1.2μmの下引層を得た。
次に、上記電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に浸漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部、及び結着樹脂として上記一般式(7)で表される粘度平均分子量が4万のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂6重量部を、テトラヒドロフラン60重量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、130℃で40分間加熱乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム)を作製した。
〔電子写真装置の作製〕
得られた電子写真感光体を、図4に示す構成を有するフルカラープリンター(DocuCenter C2220、富士ゼロックス社製)に搭載して電子写真装置を作製した。
(実施例49)
電荷発生材料として実施例1のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりに実施例2のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用い、電荷発生層形成用塗布液を作製する際に、横型サンドミルにおけるガラスビーズの充填率、及び、混合液の循環流量を表6に示す値とした以外は実施例48と同様にして、実施例49の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例50)
電荷発生材料として実施例48で作成したヒドロキシガリウムフタロシアニン分散液に遠心沈降処理を行わないまま電荷発生層塗布液とした以外は実施例48と同様にして、実施例50の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(実施例51〜54)
電荷発生層形成用塗布液を作製する際に、横型サンドミルにおけるガラスビーズの充填率、及び、混合液の循環流量を表6に示す値とした以外は実施例48と同様にして、実施例51〜54の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
(比較例31〜33)
電荷発生層形成用塗布液を作製する際に、横型サンドミルにおけるガラスビーズの充填率、及び、混合液の循環流量を表6に示す値とした以外は実施例48と同様にして、比較例31〜33の電子写真感光体及び電子写真装置を作製した。
〔ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の物性測定〕
実施例48〜54及び比較例31〜32で用いた使用したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大ピーク波長(λMAX)を表6に示す。
〔実施例48〜54及び比較例31〜33の電子写真感光体及び電子写真装置の特性評価試験〕
(1)電子写真感光体の特性評価
実施例48〜54及び比較例31〜33の電子写真装置を用い、常温常湿下(20℃、40%RH)で下記工程(A)〜(C)を行った。
(A):グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で電子写真感光体を帯電させる帯電工程、
(B):(A)の1秒後に波長780nmの半導体レーザを用いて10.0erg/cm2の光を照射して放電させる露光工程、
(C):工程(A)の3秒後に50.0erg/cm2の赤色LED光を照射して除電する除電工程。
このとき、レーザープリンター改造スキャナー(富士ゼロックス製、XP−15を改造したもの)を用いて、(A)での帯電電位VH、及び、(B)での帯電電位VLを測定した。なお、このVH及びVLは、初期(1回目)及び10万回繰り返し後に測定した。その結果を表7に示す。
(2)画像品質評価
実施例48〜54及び比較例31〜33の電子写真装置を用い、上記工程(A)〜(C)を行った際の初期及び10万回繰り返し後の画像品質を、高温高湿下(28℃、85%RH)で画像を出力して評価した。なお、画質は、かぶり及びゴーストの画質欠陥の発生の有無について評価した。その結果を表7に示す。
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体、4…下引層、5…保護層、6…感光層、7…電子写真感光体、8…帯電手段、9…電源、10…露光手段、11…現像手段、12…転写手段、13…クリーニング手段、14…除電器、15…定着装置、16…取り付けレール、18…露光のための開口部、20…被転写体、30…中間層、100,110,120,130,140…電子写真感光体、200,210,220…電子写真装置、208…帯電装置、209…電源、210…露光装置、211…現像装置、212…転写装置、213…クリーニング装置、214…除電器、215…定着装置、216…取り付けレール、217…除電露光のための開口部、218…露光のための開口部、300…プロセスカートリッジ、500・・・被転写媒体。