JP4415812B2 - 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP4415812B2
JP4415812B2 JP2004278201A JP2004278201A JP4415812B2 JP 4415812 B2 JP4415812 B2 JP 4415812B2 JP 2004278201 A JP2004278201 A JP 2004278201A JP 2004278201 A JP2004278201 A JP 2004278201A JP 4415812 B2 JP4415812 B2 JP 4415812B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrophotographic
hydroxygallium phthalocyanine
photosensitive member
layer
phthalocyanine pigment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004278201A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006091565A (ja
Inventor
昌彦 宮本
由紀子 上條
秀美 額田
和哉 本郷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2004278201A priority Critical patent/JP4415812B2/ja
Publication of JP2006091565A publication Critical patent/JP2006091565A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4415812B2 publication Critical patent/JP4415812B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

本発明は、電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジに関する。
電子写真式画像形成装置は、高速、かつ高印字品質が得られるという利点を有するため、複写機及びレーザビームプリンター等として広く利用されている。これら電子写真式画像形成装置に用いられる電子写真感光体としては、安価で、かつ製造性および廃棄性において優れた利点を有することから、有機光導電材料を用いた有機感光体が広く用いられている。中でも露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体は、感度・帯電性およびその繰り返し安定性等、電子写真特性の点で優れており、種々の提案がなされ、実用化に至っている。さらに、電荷発生層に関しては、安価で製造性および安全性の点で優れた利点を有するフタロシアニン系の顔料が、好適に使用されている。特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電荷発生物質に使用した電子写真感光体は、その高い電荷発生能力により、従来の電子写真感光体と比較して高い感度を有する(例えば、特許文献1参照。)。
従来、一般に電荷発生層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液に電荷発生物質を分散させた分散液を塗布乾燥することで形成されている。そして、この分散液中での電荷発生物質の状態が、電子写真感光体としたときの電気特性や画像特性に大きな影響を与えることが分かっている。分散液中の電荷発生物質が、電子写真感光体としての特性に影響を及ぼす主な要因としては、分散液中での電荷発生物質の分散状態と、電荷発生物質そのものの結晶状態(分子配列)とが挙げられる。分散性に関しては、分散液の分光吸収スペクトルにおいて、電荷発生材料固有の吸収のない波長における吸光度と、任意のピーク波長の吸光度の比により、分散性を評価する方法が提案され、特定のフタロシアニン顔料に対して、好ましい分散性の値が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、特に電荷発生物質がフタロシアニン系顔料の場合、その結晶状態が電気特性に影響を及ぼすため、結晶状態を所望の状態に制御・保持することが重要である。
一般に、フタロシアニン顔料は、その製造方法または処理方法の違いにより、幾つかの結晶型に分かれること、及びその結晶型が異なるとフタロシアニン顔料の光電変換特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシアニン顔料の結晶型については、例えば、無金属フタロシアニン顔料について見ると、α型、β型、π型、X型等の結晶型が知られている。さらにまた、ガリウムフタロシアニン結晶に関しても、その結晶型と電子写真特性について多くの報告がなされており、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体が、極めて高い感度を示すことが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、電子写真式画像形成装置においては、電子写真感光体表面を所定の電位に帯電したのち(帯電工程)、像露光により静電潜像を形成し(露光工程)、その静電潜像を所定の値に荷電付与されたトナーにより現像する工程(現像工程)を経たのち、最終的に紙などの出力媒体に、トナー像を転写して、画像出力を得る。現像工程においては、電子写真感光体表面の静電潜像における画像部と非画像部の、蓄積電荷量の差が大きいほど、現像コントラストが大きくなり、解像度の高い鮮明な画像を得ることができる。蓄積電荷量の現像コントラストを大きくするには、帯電時に、電子写真感光体表面の感光層に大きな電界強度を印加するような帯電電位とすればよい。
しかしながら、従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体の場合、感光層に印加される電界強度が高くなると、結着樹脂中におけるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分散性、およびその結晶状態に起因する、所謂カブリを発生するという問題があった。このカブリは、電子写真感光体の感光層を流れる暗電流によるところが大きい。したがって、従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体を使用した電子写真式画像形成装置では、カブリの発生を抑制し、かつ解像度の高い鮮明な出力画像を得ることが、困難であった。
特開平5−263007号公報 特開平10−97088号公報 Journal of Imaging Science and Technology,Vol.40,No.3,May/June,249(1996)
本発明は、上記従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、高い感度を示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を使用した電子写真式画像形成装置において、カブリの発生を抑え、かつ解像度の高い鮮明な出力画像を得ることが可能な電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来の電子写真式画像形成装置において、電子写真感光体の感光層に印加される電界強度が大きくなると、カブリが発生する現象が、感光層に含まれるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の結晶構造、さらには含有される粗大粒子や粒子形状の不均一性による分散性の低下に起因することを見出した。そして、かかる知見に基づき、さらに検討を重ねた結果、所定の微粒化状態と粒子均一性を有し、かつ分光吸収スペクトルが特定の波長に吸収極大を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、電荷発生材料として使用し、感光層に印加される電界強度を大きく設定することで、上記課題が解決されることを見出し、以下の発明を完成するに至った。
<1> 少なくとも電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備える電子写真式画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が少なくとも、表面が導電性である基体と、該基体上に、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲において810〜839nmに吸収の最大ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を少なくとも含有する感光層と、を有し、
前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する層の分光吸収スペクトルにおいて、600〜700nmの範囲における最大ピークの吸光度が、810〜839nmの範囲における最大ピークの吸光度よりも大きく、
前記感光層に、帯電時に3.5×105〜9.0×105V/cmの範囲の電界強度が印加されることを特徴とする電子写真式画像形成装置。
<2> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料における0.3μm以上の粒径の粒子が、透過型電子顕微鏡観察画像上30μm2当たり1個以下である<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が、粒径が0.3μm以上の粒子を含有しないことを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が、少なくともCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
<5> 前記感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
<6> 前記電子写真感光体が、前記基体上に、少なくとも1層の下引き層を有することを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の電子式画像形成装置。
<7> 前記下引き層は、少なくとも1種以上の金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
<8> 前記電荷輸送層は、下記構造式(A)で示される構成単位を有する重合体又はその共重合体を含有することを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
Figure 0004415812
(R1〜R8は、各々独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表す。nは整数を表す。)
<9> 前記電荷輸送層は、下記構造式(B)で示される構成単位を有する重合体又はその共重合体を含有することを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
Figure 0004415812
(R1〜R8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、Yは、置換若しくは未置換のベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、脂肪族炭化水素基、又は環状炭化水素基を表す。nは整数を表す。)
<10> 前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を、少なくとも1度、中間転写体に転写した後に、画像出力媒体に転写する工程を有することを特徴とする前記<1>〜<9>のいずれかに記載の電子写真式画像形成装置。
<12> 表面が導電性である基体と、該基体上に分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲において810〜839nmに吸収の最大ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を少なくとも含有する感光層とを有し、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する層の分光吸収スペクトルにおいて、600〜700nmの範囲における最大ピークの吸光度が、810〜839nmの範囲における最大ピークの吸光度よりも大きい電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電時に3.5×10 〜9.0×10 V/cmの範囲の電界強度が印加されるよう帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、及び前記電子写真感光体をクリーニングするクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、を備えることを特徴とする、電子写真式画像形成装置本体に脱着自在なプロセスカートリッジ。
<13> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料における0.3μm以上の粒径の粒子が、透過型電子顕微鏡観察画像上30um2当たり1個以下であることを特徴とする前記<12>に記載のプロセスカートリッジ。
<14> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料における0.3μm以上の粒径の粒子が、透過型電子顕微鏡観察画像上30μm2当たり1個以下であることを特徴とする前記<12>又は<13>に記載のプロセスカートリッジ。
<15> 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が、少なくともCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有することを特徴とする前記<12>〜<14>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
<16> 前記感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を有することを特徴とする前記<12>〜<15>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
<17> 前記電子写真感光体が、前記基体上に、少なくとも1層の下引き層を有することを特徴とする前記<12>〜<16>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
<18> 前記下引き層は、少なくとも1種以上の金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする、前記<12>〜<17>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
<19> 前記電荷輸送層は、下記構造式(A)で示される構成単位を有する重合体又はその共重合体を含有することを特徴とする前記<12>〜<18>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
Figure 0004415812
(R1〜R8は、各々独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表す。nは整数を表す。)
<20> 前記電荷輸送層は、下記構造式(B)で示される構成単位を有する重合体又はその共重合体を含有することを特徴とする前記<12>〜<19>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
Figure 0004415812
(R1〜R8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、Yは、置換若しくは未置換のベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、脂肪族炭化水素基、又は環状炭化水素基を表す。nは整数を表す。)
<21> 前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を、少なくとも1度、中間転写体に転写した後に、画像出力媒体に転写する工程を有することを特徴とする前記<12>〜<20>のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
通常、フタロシアニン顔料は、結晶中の分子配列によってフタロシアニン分子間の相互作用が変化し、結果として分子配列の状態が分光吸収スペクトルに現れる。従来、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、840〜870nmに吸収極大を有し、強い分子間相互作用の存在が示唆される。これは、結晶中を電荷が流れ易い状態であることを意味し、暗電流の増大を生じたため、カブリが悪化していたものと推測される。これに対し、本発明の電子写真感光体に用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における吸収極大が810〜839nmに存在しており、従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と比較して、分子間相互作用が小さいことが示唆される。そのため、結晶中を電荷が過剰に流れることがないため、暗電流の増大が抑制されると推察される。したがって、本発明の電子写真式画像形成装置によれば、帯電時に感光層に印加される電界強度を高く設定することで鮮明で高い解像度を得、同時にカブリの発生がない、高品質な出力画像を得ることができると考えられる。
また、さらには、本発明の電子写真式画像形成装置によれば、カブリの発生がない、解像度の高い鮮明な出力画像を、長期間、安定して得られることが分かった。これは、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を感光層にもちいることと、帯電工程において、感光層に印加される電界強度を大きくすることの、相乗効果により発現する特性である。本発明によれば、良好な出力画像を、長期間、安定的に得られる理由については、明確には分からないが、以下のように推定される。
一連の電子写真プロセスにおいては、像露光により、感光層に含有される電荷発生材料で電荷が発生し、電子写真感光体表面、および基体に向かって、それぞれ電荷が移動し、表面電位を打ち消す。しかし、感光層内には、トラップと呼ばれる、電荷を捕獲し移動を阻害するサイトが多数存在する。発生した電荷の一部は、電子写真感光体表面や基体にまで到達することができずに、トラップに捕獲されて、感光層内に蓄積される。その結果、長期間に渡って使用された場合、この蓄積された電荷が、感光層内の電界を乱すことで、カブリが発生したり、露光後の表面電位が使用サイクルに合わせて変動する、サイクル変動と呼ばれる現象を引き起こしたりする。しかるに、本発明の電子写真式画像形成装置においては、帯電時に感光層に印加される電界強度が大きく、電荷を移動させる力が大きいため、トラップに捕獲される電荷量を少なく抑えられていると推察される。結果、長期間に渡って使用された場合であっても、良好な出力画像を安定的に得ることが可能であると考えられる。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、通常、分散処理工程を経ることで、顔料粒子が均一に分散された、感光層用塗布液となる。この分散処理工程において、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、その粒度分布が均一化される。その結果、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する感光層においては、600〜700nmの範囲における最大吸収ピークの方が、810〜839nmにおける最大吸収ピークよりも大きくなると推察される。
また、本発明では、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、粒径が0.3μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。このような条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることで、帯電工程において、高い電界強度が印加される場合においても、カブリの発生を効果的に抑制することが可能となる。
また、さらには、本発明の電子写真感光体に使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、少なくともCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有するものである。
本発明の電子写真式画像形成装置は、少なくとも上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。また、本発明の電子写真式画像形成装置においては、帯電時に電子写真感光体の感光層に、3.5×105〜9.0×105V/cmの範囲の電界強度が印加されることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置、及び電子写真感光体をクリーニングするクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、を備えることを特徴とする。
本発明の電子写真式画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいては、帯電時に電子写真感光体の感光層に印加される電界強度を高く設定することで、カブリの発生することがなく、かつ解像度の高い鮮明な画像を、長期間に渡り安定的に得ることが可能である。
以上説明した通り、本発明によれば、解像度の高い鮮明な画像を、長期間に渡り安定的に得ることが可能な、電子写真式画像形成装置およびプロセスカートリッジが提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1〜4はそれぞれ本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図であり、電子写真感光体1を基体2及び感光層3の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図1〜4に示した電子写真感光体1はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層3には電荷発生層5と電荷輸送層6とが別個に設けられている。
より詳しくは、図1に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光層3が構成されており、図2に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光体3が構成されており、図3に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7がこの順で積層されて感光層3が構成されている。図4に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2に下引き層4、中間層8、電荷発生層5、電荷輸送層6が、この順で積層されて感光層3が構成されている。
図示しないが、感光層3が機能分離型感光体でない場合、すなわち感光層3が単層からなる電子写真感光体1であってもよい。感光層3が単層の場合、上記下引き層4、中間層8、及び保護層7を適宜設けることも可能である。例えば、導電性基体2上に下引き層4及び単層からなる感光層3がこの順で積層されて電子写真感光体1を構成する場合や、導電性基体2上に下引き層4、単層からなる感光層3及び保護層7がこの順で積層される、又は導電性基体2に下引き層4、中間層8、及び単層からなる感光層3がこの順で積層される電子写真感光体1、等であってもよい。
以下、電子写真感光体1の各構成要素について詳述する。
導電性基体2としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基体に蒸着したもの;金属箔を上記基体にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基体に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体2として金属製パイプ基体を用いる場合、当該パイプ基体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基体表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。表面処理としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
下引き層4に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、下引き層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、本発明においては、下引き層4に金属酸化物微粒子を含有せしめることも可能である。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤がより好ましい。
また、下引き層4中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子求引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
下引き層4は、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を基体2上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる下引き層4の厚みは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1〜10μmであることが好ましく、さらに、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合には、15μmを超えることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引き層4の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
中間層8に用いられる材料としては、前記下引き層4に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、中間層8には、前記下引き層4と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、中間層8中には、前記下引き層4と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子求引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
中間層8は、前記下引き層4と同様に、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を基体2上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる中間層8の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、さらに、0.5〜5μmであることがより好ましい。中間層8の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体を、長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
電荷発生層5は、結着樹脂(バインダー樹脂)と、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、所定の結着樹脂中に分散保持されて電荷発生層5を構成する。かかる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましく、さらには、8:2〜3:7の範囲がより好ましい。
電荷発生層5を形成する際には、結着樹脂を所定の有機溶剤に溶解した溶液に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を分散させた塗布液が用いられる。電荷発生層用塗布液の有機溶剤としては、結着樹脂を溶解可能なもの、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等の溶剤が使用可能である。より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を結着樹脂液中に分散する方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。
本発明の電子写真感光体に用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における吸収極大が810〜839nmに存在する。分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における吸収極大が、810〜835nmに存在することが、より好ましい。
図10に、本発明にかかるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルを例示する。
従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、840〜870nmに吸収極大を有し、強い分子間相互作用の存在が示唆される。これは、結晶中を電荷が流れ易い状態であることを意味し、暗電流の増大を生じたため、カブリが悪化していたものと推測される。これに対し、本発明の電子写真感光体に用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における吸収極大が810〜839nmに存在しており、従来のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と比較して、分子間相互作用が小さいことが示唆される。そのため、結晶中を電荷が過剰に流れることがないため、暗電流の増大が抑制されると推察される。したがって、帯電時に感光層に印加される電界強度を高く設定することで、カブリの発生がない、解像度の高い鮮明な出力画像を得ることができると推察される。
また、さらには、本発明の電子写真式画像形成装置によれば、カブリの発生がない、解像度の高い鮮明な出力画像を、長期間、安定して得られる。これは、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を感光層にもちいることと、帯電工程において、感光層に印加される電界強度を大きくすることの、相乗効果により発現する特性である。感光層に印加される電界強度が大きいために、電荷発生材料で発生した電荷が、感光層内部の電荷トラップに捕獲されにくく、感光層内に蓄積される電荷量が少なく抑えられていることによると、考えられる。
また、本発明では、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、粒径が0.3μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。具体的には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料における0.3μm以上の粒径を有する粒子が透過型電子顕微鏡観察画像上30μm2当たり1個以下であることが好ましく、0.2μm以上の粒径を有する粒子が透過型電子顕微鏡観察画像上30μm2当たり1個以下であることがより好ましい。粒径が0.3μm以上の粒子が存在する場合、粒子が粗大化しているか、もしくは粒子の凝集体の形成が生じており、トラップ数が増加するため、カブリを十分には抑制できない。
また、本発明の電子写真感光体の感光層3に、帯電時に印加される電界強度としては、3.5×105〜9.0×105V/cmの範囲が必要であり、さらには、4.0×105〜8.5×105V/cmの範囲であることがより好ましい。電界強度が3.5×105V/cmより小さい場合は、静電潜像をトナーにより現像する時に、十分な現像コントラストが得られない。電界強度が9.0×105V/cmより大きい場合は、感光層を流れる暗電流が大きくなり、カブリが発生してしまう。
また、さらには、本発明の電子写真感光体に使用されるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、少なくともCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有することが好ましい。
図9に、本発明にかかるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のCuKα特性X線におけるブラッグ角度(2θ±0.2°)に対する回折ピークを例示する。
上記分光吸収スペクトル、及びCuKα特性X線に対するブラッグ角度は、結晶構造(状態)、大きさ、粒子サイズ分布、分散状態等、様々な要因によって決定される値である。各因子について上記範囲の値となるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の調製方法について下記に一例を述べるが、当該方法に限定されるものではない。
先ず、o−フタロジニトリルまたは1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法):o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法);、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水または氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法においては、上記のアシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンを溶剤とともに湿式粉砕処理することによって、結晶変換しながら微細化する。
ここで、上記湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状メディアを使用した粉砕装置を用いて行われるが、好ましくは外径0.2〜2.5mmの球形状メディアを用いて行われる。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成し易い傾向にある。また、メディアの外径が0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とを分離し難くなる傾向にある。更に、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の特性を劣化させ易くなる傾向がある。
上記メディアの材質は特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー等が好ましい。
また、上記湿式粉砕処理を行う容器の材質についても特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等が好ましい。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等をライニングしたものであっても良い。
上記メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して50重量部以上であり、好ましくは55〜100重量部である。また、メディアの外径が小さくなると、同じ重量(使用量)でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量とをコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、上記湿式粉砕処理において、前記溶剤の使用量は前記I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン1重量部に対して5〜50重量部であり、好ましくは10〜30重量部である。
また、湿式粉砕処理の温度は、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは5〜80℃であり、特に好ましくは10〜50℃である。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなる傾向にあり、また、温度が高すぎる場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となる傾向にある。
湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類の他に、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して通常1〜200重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
湿式粉砕過程におけるフタロシアニン顔料の微粒化及び結晶変換の進行速度は、湿式粉砕のスケール、攪拌スピード、メディア材質などによって大きく影響されるが、本発明の製造方法においては、以下に述べるような方法により湿式粉砕時間を決定する。
湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら湿式粉砕処理時間を決定し、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に結晶変換されるまで継続することが好ましい。ここで、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターする手法として、例えば、湿式粉砕処理装置より、結晶変換処理中の顔料溶液を少量サンプリングし、アセトン、酢酸エチルなどの溶剤で希釈した溶液を分光光度計を用いて液セル法により測定する方法や、顔料を洗浄・乾燥してBET比表面積を測定する方法があげられる。
このようにして決定される湿式粉砕処理時間は、通常5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲である。処理時間が5時間未満であると、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足が生じやすくなる傾向にある。また、処理時間が500時間を超えると、粉砕ストレスの影響による感度低下、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などが生じやすくなる傾向にある。湿式粉砕処理時間を上記のように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となり、更に、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施した場合には、ロット間の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
上記では、感光層3が電荷発生層5と電荷輸送層6とを有する機能分離型感光体の場合に、電荷発生層5に上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有させるとしているが、感光層3が単層からなる電子写真感光体1の場合には、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は感光層3に含有させればよい。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する感光層3は、分光吸収スペクトルの600〜700nmの範囲における最大ピークの大きさが、810〜839nmの範囲における最大ピークよりも大きいことが肝要である。本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、通常、分散処理工程を経ることで、顔料粒子が均一に分散された、感光層用塗布液となる。この分散処理工程において、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、その粒度分布が均一化される。その結果、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する感光層においては、600〜700nmの範囲における最大吸収ピークの方が、810〜839nmにおける最大吸収ピークよりも大きくなると推察される。
分散処理の方法は、上記感光層において、600〜700nmの範囲における最大吸収ピークと810〜839nmにおける最大吸収ピークの関係を維持しうるものであれば、いかなる公知の方法も用いることが可能である。
感光層の分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmにおける最大吸収ピークの吸光度に対する、600〜700nmの範囲における最大吸収ピークの吸光度の比率((600〜700nmの範囲における最大吸収ピークの吸光度)/(810〜839nmの範囲における最大吸収ピークの吸光度))は、1.01〜1.40が好ましく、1.10〜1.35がより好ましい。
感光層3を形成するための感光層用塗布液は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子を分散した分散液とすることが好ましい。分散の方法は、通常用いられる方法を適用することができる。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、前記吸収ピークの位置が所定の範囲に維持される限りにおいては、分散性を向上させるため、表面処理を施すことが可能である。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるが、これに限定されるものではない。カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、カップリング剤の他に、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物を配合してもよい。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
電荷発生層5には、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の吸収極大の位置および最大粒径、並びに層としての分光吸収スペクトルが所定の範囲に維持される限りにおいては、上記電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。
添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等を用いることができる。
シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上の化合物の混合物もしくは重縮合物として用いてもよい。
電荷輸送層6は、電荷輸送物質及び結着樹脂を含んで構成される。かかる電荷輸送物質としては、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル]−(1−ナフチル)−フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質が挙げられる。また、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質も使用可能である。さらに、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体を用いることもできる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
また、電荷輸送層6の結着樹脂としては、電気絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの中でも、電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で、下記構造式(A)に示すポリカーボネート樹脂、及び下記構造式(B)に示すポリアリレート樹脂が優れ好ましく用いられる。
Figure 0004415812
1〜R8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルキル基、アラルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、また、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表す。nは整数を表す。
Figure 0004415812
1〜R8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルキル基、アラルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はハロゲン原子を表し、また、Xは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、Yは、置換若しくは未置換のベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、脂肪族炭化水素基又は環状炭化水素基を表す。nは整数を表す。
これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
電荷輸送層6は、上記材料を含む電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層5上に塗布し、乾燥させることにより形成される。塗布液に用いる溶剤としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の有機溶剤より任意に選択できるが、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が好適に使用される。また、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層6の厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。
電荷輸送層6には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’,6’’−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメート等がある。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニルキノン、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系や、Cl−、CN−、NO2−等の電子求引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、電荷輸送層6には、磨耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることができる。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン及びそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
また、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
本発明の電子写真感光体には、図3に示したように、必要に応じて保護層7を形成することができる。表面保護層7としては、下記一般式(I)で表される化合物を含んで形成される硬化膜が好ましい。
F−[D−A]b 一般式(I)
一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは2価の基を表し、Aは−SiR1 3-a(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、bは1〜4の整数を表す。ここで、R1は水素、アルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R2は水素、アルキル基、又はトリアルキルシリル基を表す。aは1〜3の整数を表す。
一般式(I)中のA、すなわち−SiR1 3-a(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基は、架橋反応による3次元的なSi−O−Si結合(無機ガラス質ネットワーク)を形成する役割を担っている。
また、一般式(I)中、Fは、光電特性、より具体的には光キャリア輸送特性を有する有機基であり、従来、電荷輸送物質として知られている光機能性化合物の構造をそのまま用いることができる。Fで表される有機基としては、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格等が挙げられる。
Fで表される有機基の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。Fが一般式(II)で表される基であると、特に優れた光電特性と機械特性を示す。
Figure 0004415812
一般式(II)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に置換あるいは未置換のアリール基を表す。Ar5は、置換あるいは未置換のアリール基、又はアリーレン基を表す。Ar1〜Ar4のうちb個は、−D−SiR1 3-a(OR2aで表される基に結合する。kは0又は1を表す。
上記一般式(II)中のAr1〜Ar4としては、下記式(II−1)〜(I−7)のうちのいずれかであることが好ましい。
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
−Ar−Z’s−Ar−Xm (II−7)
式中、R6は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、または炭素数7〜10のアラルキル基を表し、R7〜R9は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、またはハロゲン原子を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Xは一般式(I)中の−D−SiR1 3-a(OR2aを表し、m及びsはそれぞれ0又は1を表し、tはそれぞれ1〜3の整数を表す。
ここで、式(II−7)中のArとしては、下記式(II−8)又は(II−9)で表されるものが好ましい。
Figure 0004415812
Figure 0004415812
式中、R10及びR11はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、またはハロゲン原子を表し、tは1〜3の整数を表す。
また、式(II−7)中のZ’としては、下記式(II−10)〜(II−17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH2q− (II−10)
−(CH2CH2O)r− (II−11)
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
式中、R12及びR13は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、またはハロゲン原子を表し、Wは2価の基を表し、q及びrは各々独立に1〜10の整数を表し、tはそれぞれ1〜3の整数を表す。
上記式(II−16)、(II−17)中のWとしては、下記(II−18)〜(II−26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。
−CH2− (II−18)
−C(CH32− (II−19)
−O− (II−20)
−S− (II−21)
−C(CF32− (II−22)
−Si(CH32− (II−23)
Figure 0004415812
Figure 0004415812
Figure 0004415812
式中、uは0〜3の整数を表す。
また、一般式(II)中、Ar5は、kが0のときはAr1〜Ar4の説明で例示されたアリール基であり、kが1のときは、かかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(I)中、Dで表される2価の基は、光電特性を付与するFと3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合するAとを結びつける働きを担い、且つ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担うものである。Dで表される2価の基としては、具体的には、−Cn2n−、−Cn2n-2−、−Cn2n-4−で表わされる2価の炭化水素基(nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C64−、−N=CH−、−C64−C64−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したもの等が挙げられる。
一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2個以上有することになり、無機ガラス質ネットワークの形成が容易となり、機械的強度が向上する傾向にある。
一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
B−An 一般式(III)
一般式(III)中、Aは−SiR1 3-a(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す。ここで、R1、R2、aは一般式(I)中のR1、R2、aと同様である。Bは、枝分かれを含んでもよい2価以上の炭化水素基、2価以上のフェニル基及び−NH−から選ばれる基の少なくとも1つ、或いはこれらの組み合わせから構成される。nは2以上の整数を表す。
一般式(III)で表される化合物は、A、すなわち−SiR1 3-a(OR2aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この一般式(III)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物との反応又は一般式(III)で表される化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。一般式(III)で表される化合物と一般式(I)で表される化合物とを併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。一般式(III)で表される化合物の好ましい例を表1に示す。
Figure 0004415812
一般式(I)で表される化合物と共に、さらに架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
保護層7には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。
フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有化合物の含有量は、保護層7全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。フッ素含有化合物の含有量が20質量%を超えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
上記化合物を含む保護層7は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の含有量としては、保護層7全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、保護層7には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
保護層7は、上記化合物を含有する塗布液を電荷輸送層6上に塗布し、加熱処理することで形成される。これにより、一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100〜160℃である。
架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、また、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
また、保護層用塗布液の塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
また、塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。
このようにして形成される保護層7の膜厚は、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。
図5は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図5に示す画像形成装置200は、本発明にかかる電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させるコロトロンやスコロトロンなどの帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、本発明においては、除電器214が設けられていない画像形成装置であってもよい。
帯電装置208については、図6に示すように、電子写真感光体207の表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて、感光体表面を帯電させる接触帯電方式であってもよい。
接触型帯電部材としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。導電性部材の形状は、ブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよい。
芯材の材質としては、導電性を有するもの、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもの、例えば、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが使用可能である。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エポキシゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものである。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン 樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、溶融成形法、注入成形法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる際には、導電性部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。
接触型帯電部材の形状としては、ローラー、ブレード、ベルト等のいずれの形状であってもよく、画像形成装置の仕様や形態に合わせて、任意に選択することができる。
本発明の電子写真感光体に用いられる帯電方式には、特に制限はない。しかし、近年は、オゾンの発生量が少なく、環境負荷性の小さい接触帯電方式が好ましく用いられる傾向にある。一般に、接触帯電方式は、スコロトロンやコロトロンなどの非接触式帯電方式と比較して帯電能力が弱く、特に高速応答が必要な画像形成装置においては問題となりやすい。帯電能力が弱い場合、電子写真感光体の感光層中に残留している電荷が、カブリなどの画質欠陥を引き起こす原因となる。しかし、本発明にかかる電子写真感光体によれば、電荷発生層中に存在する、電荷を残留させる要因となる結晶型の崩れたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が少ないため、前記のような画質欠陥が生じにくく、接触式帯電方式との組み合わせで、好適に使用することができる。
露光装置210としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
現像装置211としては、一成分系、ニ成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等を用いることができる。
現像装置211に使用されるトナーの形状については、特に制限はなく、不定形、球形あるいは他の特定の形状のものであっても、使用することができる。しかし、高画質化、エコロジーの観点から球形トナーが好ましく用いられる。球形トナーとは、高転写効率を達成するために、平均形状係数(ML2/A)100〜145、好ましくは100〜140の範囲で表される球形状を有するトナーである。この平均形状係数(ML2/A)が145より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
球形トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球形トナーは、好ましくは体積平均粒子径で2〜12μmの粒子、より好ましくは3〜9μmの粒子を用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
球形トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球形トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球形トナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球形トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
転写装置212としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本発明の画像形成装置は、図5に示したように、イレース光照射装置214をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
なお、本発明でいう被転写媒体500は、電子写真感光体状に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。
図7は本発明の画像形成装置の他の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図7に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ本発明の電子写真感光体である。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基体として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基体に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基体としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基体を用いることが好ましい。この円筒状基体上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
なお、本特許に記載する被転写体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、被転写媒体を指し、また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体を指す。
更に、図8は、本発明の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体207とともに、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を取り付けレール216を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、転写装置212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図8で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を備えているが、これら装置は適宜選択的に組み合わせることが可能である。本発明のプロセルカートリッジでは、電子写真感光体207のほかには、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217からなる群から選択される少なくとも1種を備える。
上述の画像形成装置およびプロセスカートリッジにおいては、長期使用においても高水準の画像品質を、安定的に得ることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されるものではない。
<物性値の測定>
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルの測定]
下記の調製で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1〜4のいずれかの少量を、室温下で、n−酢酸ブチル8mLに超音波にて分散し、測定液を調整した。得られた測定液の分光吸収スペクトルを、分光光度計(日立製作所社製:U−2000)を用いて測定した。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する層の分光吸収スペクトルの測定]
下記の調製で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1〜4のいずれかを含有する層塗布液を、ガラスプレート上に浸漬塗布し、塗膜の分光吸収スペクトル測定用の試料を作製した。塗布液の固形分比は4.0〜5.0質量%とし、引き上げ速度を50〜200mm/minの範囲で適宜調整した。得られた試料について、分光光度計(日立製作所社製:U−2000)を用いて、分光吸収スペクトルを測定した。表2に示す値は、810〜839nmの範囲における最大ピークにおける吸光度に対する600〜700nmの範囲における最大ピークの吸光度の比率((600〜700nmの範囲における最大吸収ピークの吸光度)/(810〜839nmの範囲における最大吸収ピークの吸光度))を示す。
なお、塗膜の分光吸収スペクトルについては、電子写真感光体上であっても、種々の方法により測定可能である。例えば、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層より表面に形成される層が、600〜900nmの範囲に吸収を示さない場合は、電子写真感光体の反射光スペクトルを測定することで、得ることができる。また、あるいは、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層より表面に形成される層が、600〜900nmの範囲に吸収を示す場合であっても、これらの層を溶出させ、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有層からの反射光スペクトルを測定することで得ることができる。
[粒径が0.3μm以上の粒子の有無]
下記の調製で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1〜4のいずれかを、透過型電子顕微鏡で観察して、30μm2の領域当たりの、粒径が0.3μm以上の粒子の数を調べた。
<ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1〜4の調製>
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1の調製]
分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピーク波長(λmax)が827nmに存在するヒドロキシガリウムフタロシアニンを用意した。以下に、具体的な調製方法を示す。
1,3−ジイミノイソインドリン30重量部及び三塩化ガリウム9.1重量部をジメチルスルホキシド230重量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28重量部を得た。
次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10重量部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300部に十分に溶解させた溶液を、25%アンモニア水600重量部とイオン交換水200重量部との混合溶液中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を濾過により採取し、イオン交換水で洗浄した後、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料8重量部を得た。
得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料6重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド90重量部及び外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で48時間湿式粉砕処理した。このとき、結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターし、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)が827nmであることを確認した。
このヒドロキシガリウムフタロシアニンについてCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを示した。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−2の調製]
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1の調製において、湿式粉砕処理時間を48時間から192時間に代えた以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−2を調製した。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−2は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピーク波長(λmax)が、819nmであった。
また、このヒドロキシガリウムフタロシアニンについてCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを示した。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−3の調製]
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1の調製]で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を使用して25℃で48時間撹拌して結晶を得た。次いで、得られた結晶を、アセトンを用いて洗浄し、光を遮断した乾燥機を用いて80℃で24時間加熱乾燥して、5.5重量部のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−3を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−3は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピーク波長(λmax)が、854nmであった。
また、このヒドロキシガリウムフタロシアニンについてCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを示した。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−4の調製]
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1の調製において、外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径5.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外はヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1と同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−4を調製した。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−4は、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピーク波長(λmax)が、845nmであった。
また、このヒドロキシガリウムフタロシアニンについてCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを示した。
(実施例1)
シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(テイカ社製試作品:比表面積値16m2/g、平均粒径70nm)60重量部と硬化剤 ブロック化イソシアネート スミジュール3175)(住友バイエルンウレタン社製):15重量部とブチラール樹脂 BM−1 (積水化学社製) 15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部とメチルエチルケトン:25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部を添加し、下引き層用塗布液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引き層を得た。
次に、上記で調製したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を15重量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部、n−酢酸ブチル300重量部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いて、横型サンドミル100分間分散を行い電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を、下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4重量部と、結着樹脂として下記構造式(A1)で示される繰り返し構造単位を有する、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)6重量部とをテトラヒドロフラン60重量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚21μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
Figure 0004415812
得られた電子写真感光体を富士ゼロックス社製:DocuCentre Color 400CP用のプロセスカートリッジに搭載し、このプロセスカートリッジを接触帯電装置および中間転写装置を有する、フルカラープリンター(富士ゼロックス社製:DocuCentre Color 400CP)を改造した画質試験装置に搭載し、帯電電位を750Vとし、初期および300kCycle後の画質を評価した。なお、帯電〜現像間を280msとなるように、プロセス速度を調整した。結果を表2に示す。なお、表2中の感光層膜厚とは、電荷発生層膜厚と電荷輸送層膜厚とを合わせた厚さである。
(実施例2〜3および比較例1〜4)
実施例1において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を用いたところを、表2に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1〜4のいずれかとし、更に、表2に示す電荷輸送層の膜厚とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(テイカ社製試作品:比表面積値16m2/g、平均粒径70nm)60重量部と硬化剤 ブロック化イソシアネート スミジュール3175)(住友バイエルンウレタン社製) :15重量部とブチラール樹脂 BM−1 (積水化学社製) 15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部とメチルエチルケトン :25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて1.5時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部を添加し、下引き層用塗布液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引き層を得た。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部を溶解させたn−ブチルアルコール170重量部に、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を混合攪拌し、中間層塗布用液を得た。この塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、150℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚1.2μmの中間層を得た。
次に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を15重量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部、n−酢酸ブチル300重量部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いて、横型サンドミル100分間分散を行い電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4重量部と、結着樹脂として下記構造式(A1)で示される繰り返し構造単位を有する、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)6重量部とをテトラヒドロフラン60重量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚21μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
Figure 0004415812
得られた電子写真感光体を、接触帯電装置および中間転写装置を有する、フルカラープリンター(富士ゼロックス社製:DocuCentre Color 400CP)を改造した画質試験装置に搭載し、帯電電位を750Vとし、初期および300kCycle後の画質を評価した。なお、帯電〜現像間を280msとなるように、プロセス速度を調整した。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例4において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を用いたところを、表2に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−2に変更し、更に、表2に示す電荷輸送層の膜厚とした以外は、実施例4と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例4において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を用いたところを、表2に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−2に変更し、電荷輸送層用結着樹脂として、前記構造式(A1)で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万)の代わりに、下記構造式(B1)で示される繰り返し構造単位を有する、ビスフェノールCポリアリレート樹脂(粘度平均分子量4万)6重量部とをテトラヒドロフラン60重量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚16μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
Figure 0004415812
得られた電子写真感光体を、接触帯電装置および中間転写装置を有する、フルカラープリンター(富士ゼロックス社製:DocuCentre Color 400CP)を改造した画質試験装置に搭載し、帯電電位を750Vとし、初期および300kCycle後の画質を評価した。なお、帯電〜現像間を280msとなるように、プロセス速度を調整した。結果を表2に示す。
(比較例5〜8)
実施例4において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1を用いたところを、表2に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料−1,3,4のいずれかに変更し、更に、表2に示す電荷輸送層の膜厚とした以外は、実施例4と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。


Figure 0004415812
実施例1および実施例4では、初期において極僅かなコントラストの低下が見られるものの、問題となるレベルではない。また、300kcycle後においても、良好な出力画像が得られた。実施例2〜3および実施例5〜6においては、初期および300kcycle後のいずれにおいても、良好な出力画像が得られた。これに対し、比較例1〜2および比較例5〜6においては、初期よりカブリが発生し、また300kcycle後においては、カブリがさらに悪化した。比較例3および比較例7においては、初期においてコントラストの低下が、また300kcycle後においては、コントラストの低下と共にカブリの発生が認められた。また、比較例4および比較例8においては、初期では良好な出力画像が得られたが、300kcycle後において強いカブリが発生した。
本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態を示す概略構成図である。 実施例2において使用したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の粉末のX線回折図である。 実施例2において使用したヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の分光吸収スペクトルである。
符号の説明
1…電子写真感光体、2…導電性基体、3…感光層、4…下引き層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…中間層、200、220…画像形成装置、207…電子写真感光体、208…帯電装置、209…電源、210…露光装置、211…現像装置、212…転写装置、213…クリーニング装置、214…除電器、215…定着装置、216…取り付けレール、217…除電露光のための開口部、218…露光のための開口部、300…プロセスカートリッジ、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403 レーザー光源(露光装置)、401a〜401d…電子写真感光体、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d…現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写体トレイ)、412…移送ロール、
413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、500・・・被転写媒体

Claims (4)

  1. 少なくとも電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備える電子写真式画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が少なくとも、表面が導電性である基体と、該基体上に分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲において810〜839nmに吸収の最大ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を少なくとも含有する感光層と、を有し、
    前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する層の分光吸収スペクトルにおいて、600〜700nmの範囲における最大ピークの吸光度が、810〜839nmの範囲における最大ピークの吸光度よりも大きく、
    前記感光層に、帯電時に3.5×105〜9.0×105V/cmの範囲の電界強度が印加されることを特徴とする電子写真式画像形成装置。
  2. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料における0.3μm以上の粒径の粒子が、透過型電子顕微鏡観察画像上30μm2当たり1個以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真式画像形成装置。
  3. 前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を、少なくとも1度、中間転写体に転写した後に、画像出力媒体に転写する工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真式画像形成装置。
  4. 表面が導電性である基体と、該基体上に分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲において810〜839nmに吸収の最大ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を少なくとも含有する感光層とを有し、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する層の分光吸収スペクトルにおいて、600〜700nmの範囲における最大ピークの吸光度が、810〜839nmの範囲における最大ピークの吸光度よりも大きい電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電時に3.5×10 〜9.0×10 V/cmの範囲の電界強度が印加されるよう帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、及び前記電子写真感光体をクリーニングするクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、を備えることを特徴とする、電子写真式画像形成装置本体に脱着自在なプロセスカートリッジ。
JP2004278201A 2004-09-24 2004-09-24 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ Expired - Lifetime JP4415812B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004278201A JP4415812B2 (ja) 2004-09-24 2004-09-24 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004278201A JP4415812B2 (ja) 2004-09-24 2004-09-24 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006091565A JP2006091565A (ja) 2006-04-06
JP4415812B2 true JP4415812B2 (ja) 2010-02-17

Family

ID=36232610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004278201A Expired - Lifetime JP4415812B2 (ja) 2004-09-24 2004-09-24 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4415812B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008015250A (ja) * 2006-07-06 2008-01-24 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2014016609A (ja) * 2012-06-14 2014-01-30 Mitsubishi Chemicals Corp 画像形成装置および電子写真感光体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006091565A (ja) 2006-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4635461B2 (ja) ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びその製造方法、感光層形成用塗布液の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、並びに、画像形成方法
JP4867533B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4456953B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2006221094A (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2007219087A (ja) 帯電装置及び画像形成装置
JP4456951B2 (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2008065171A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2007079493A (ja) ヒドロキシガリウムフタロシアニン混合顔料及びその製造方法、電子写真感光体、電子写真装置並びにプロセスカートリッジ
JP2004126069A (ja) 電子写真用感光体、電子写真用カートリッジおよび画像形成装置
JP2006267957A (ja) 電子写真感光体、複合体、複合体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2007086209A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4019809B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP4483693B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP2010204561A (ja) プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4415812B2 (ja) 電子写真式画像形成装置、およびプロセスカートリッジ
JP4140393B2 (ja) 金属酸化物微粒子を含有する被処理液の分散処理方法、電子写真感光体及びその製造方法、電子写真装置並びにプロセスカートリッジ
JP2005249964A (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2006259387A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を備える電子写真式画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2008040241A (ja) 帯電ロール、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2007206349A (ja) 画像形成方法および画像形成装置
JP2014066756A (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、およびプロセスカートリッジ
JP4591146B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2005331881A (ja) 金属酸化物微粒子を含有する被処理液の分散処理方法、電子写真感光体及びその製造方法、電子写真装置並びにプロセスカートリッジ
JP4442435B2 (ja) 電荷輸送材料、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2007057939A (ja) 電荷発生複合粒子、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070817

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4415812

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131204

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350