以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10には、像保持体としての感光体12が設けられている。感光体12は、図示を省略するモータにより、所定方向(図1中の矢印A方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
感光体12の周辺には、帯電装置15、露光装置16、及び現像装置18が、感光体12の回転方向に沿って順に配設されている。
帯電装置15は、感光体12表面を所定の帯電電位に帯電する。帯電装置15は、感光体12表面に接触または非接触で設けられ、感光体12の表面を所定の帯電電位に帯電するための帯電ロール14、及び帯電ロール14に電圧を帯電印加するための電源28を含んで構成されている。電源28は、帯電ロール14に電圧印加可能に接続されている。電源28印加された電圧によって、帯電ロール14は、感光体12表面を所定の帯電電位に帯電させる。帯電ロール14としては、コロトロン帯電器やスコロトロン帯電器が挙げられる。
露光装置16は、帯電装置15により帯電された感光体12の表面に、形成する対象となる画像の画像データに基づいて変調したレーザ光Lを照射して、感光体12上に画像データの画像に応じた静電潜像を形成する。
現像装置18内には、少なくともトナーを含む現像剤が貯留されている。この現像剤としては、例えば、二成分現像剤を用いることができる。二成分現像剤としては、トナーとキャリアとを含む公知の二成分現像剤を適用することができる。トナーは、現像装置18内の図示を省略する撹拌機構により撹拌されることで、所定の電荷量に帯電された状態で貯留されている。二成分現像剤としては、重合法により得られる体積平均粒子径3〜9μmのトナー粒子を含有することが好ましい。
また、現像装置18は、感光体12上に形成された静電潜像をトナーにより現像するための現像ロール18Aを含んで構成されている。現像ロール18Aは、現像装置18内に貯留された二成分現像剤を表面に保持して現像装置18内から感光体12表面へと供給する。感光体12上に供給された二成分現像剤の内のトナーは、感光体12上の静電潜像に静電力により付着する。これにより、感光体12上の静電潜像は、現像ロール18Aから供給されたトナーによって現像されて、感光体12上には、静電潜像に応じたトナー像が形成される。
感光体12周辺の、現像ロール18Aの配設位置より感光体12の回転方向下流側には、転写ロール20が設けられている。転写ロール20は感光体12との間で記録媒体Pを挟持搬送する。転写ロール20には、転写ロール20内部に設けられた第2の電極21を介して転写ロール20に電圧を印加するための転写用電源30が電圧印加可能に接続されている。
転写用電源30から、感光体12上に形成されたトナー像を構成するトナーと逆極性の所定強度の転写電圧が印加されると、感光体12と転写ロール20との間に、感光体12上のトナー像を構成する各トナーを静電力により感光体12から転写ロール20側へと移動させる電界強度の電界が形成される。
記録媒体Pは、図示を省略する用紙貯留部に貯留されており、この用紙貯留部から図示を省略する複数の搬送ローラによって搬送経路34にそって所定の搬送方向(図1中矢印B方向)へと搬送されて、感光体12と転写ロール20との対向領域(図1中、対向領域32)に到る。対向領域32に到った記録媒体Pには、転写ロール20に転写電圧が印加されることにより対向領域32に形成された電界によって、感光体12上のトナー像を構成するトナーが移動する。この感光体12表面から記録媒体Pへのトナーの移動により、記録媒体P上にトナー像が転写される。
記録媒体Pの搬送経路34の、上記対向領域32より搬送方向下流側には、定着装置26が設けられている。定着装置26は、記録媒体P上に転写されたトナー像を熱または熱及び圧力によって記録媒体Pに定着する。
すなわち、搬送経路34にそって搬送されて感光体12と転写ロール20との対向領域32を通過することによりトナー像を転写された記録媒体Pは、図示を省略する搬送ローラによってさらに搬送経路34に沿って定着装置26の設置位置に到ると、記録媒体P上のトナー像の定着が行われる。トナー像を定着された、すなわち画像形成された記録媒体Pは、図示を省略する複数の搬送ローラによって画像形成装置10の外部へと排出される。
感光体12の回転方向(図1中矢印A方向)の転写ロール20との対向領域32より、感光体12の回転方向下流側には、クリーニング装置22及び除電装置24が感光体12の回転方向に沿って順に配設されている。
クリーニング装置22は、感光体12上の残留トナーや紙粉等の付着物を除去する。クリーニング装置22は、感光体12に対して線圧10〜150g/cmで接触するブレード部材を有することが好ましい。除電装置24は、感光体12上の残存電荷を除去して電位を均一にする。
トナー像を記録媒体Pに転写した感光体12は、回転によってクリーニング装置22によって付着物を除去された後に、除電装置24によって残存電荷を除去された後に、再度帯電装置15によって帯電される。
また、画像形成装置10には、画像形成装置10内の温度を測定するための温度検知部36、及び画像形成装置10内の湿度を測定するための湿度検知部38が設けられている。温度検知部36及び湿度検知部38の設置位置は、画像形成装置10の筐体(図示省略)の内壁に設置してもよいが、感光体12と転写ロール20との対向領域により近い位置に設置されることが好ましい。
温度検知部36及び湿度検知部38は、各々後述するCPU52に信号授受可能に接続されている。
対向領域32には、搬送経路34上を搬送される記録媒体Pを検出するための記録媒体検出部56が設けられている。
記録媒体検出部56は、例えば、搬送経路34上に光を照射する光照射部と、光照射部から照射された光の搬送経路34または搬送経路34上の記録媒体Pによる反射光を検出するための検出部と、を含んで構成されており、該検出部に入射される反射光の強度の変化により記録媒体Pの搬送経路34上の有無を検出する。
なお、記録媒体検出部56の設置位置は、搬送経路34上の対向領域32に限られるものではなく、対向領域32より記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられていればよい。
また、画像形成装置10には、画像形成装置10を制御するためのシステム制御部40が設けられている。システム制御部40は、画像形成装置10内の各種デバイスや上記露光装置16等に信号授受可能に接続されており、画像形成装置10全体を制御する。
本実施の形態の画像形成装置10は、転写ロール20に印加する転写電圧を調整するための転写電圧調整部42を含んで構成されている。
転写電圧調整部42は、電流検知部46、A/Dコンバータ48、パルス幅変調信号ジェネレータ50を含んで構成されている。また、転写電圧調整部42は、CPU52、及びメモリ54がデータやコマンドの授受が可能なようにバス57で接続されたマイクロコンピュータを含んで構成されている。
CPU52には、パルス幅変調信号ジェネレータ50が信号授受可能に接続されると共に、A/Dコンバータ48が信号授受可能に接続されている。
電流検知部46は、感光体12の内部に設けられた第1の電極44と、転写ロール20の内部に設けられ転写用電源30に電気的に接続された第2の電極21と、の間に、転写用電源30を介して直列に電気的に接続されている。
なお、第1の電極44は、感光体12内部の、感光体12と転写ロール20との対向領域32を介して第2の電極21に対向する位置に設けられ、且つ感光体12の内壁に接触して設けられていればよい。同様に、第2の電極21は、転写ロール20の内部の、上記対向領域32を介して第1の電極44に対向する位置に設けられていれば良い。
このため、電流検知部46は、転写用電源30から第2の電極21を介して転写ロール20に転写電圧が印加されたときに、転写ロール20と感光体12との間に流れる電流の電流値、すなわち、第1の電極44と第2の電極21との間に流れる電流の電流値を検出可能に設けられている。
電流検知部46は、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/Dコンバータ48に信号授受可能に接続されている。電流検知部46から出力された電流値検出結果は、A/Dコンバータ48によって電流値を示すアナログ信号からデジタル信号に変換されて、CPU52に出力される。
パルス幅変調信号ジェネレータ50には、CPU52から、転写電圧の電圧値及び転写電圧の継続印加時間を示す信号が入力される。パルス幅変調信号ジェネレータ50は、入力された転写電圧の電圧値及び転写電圧の継続印加時間を示す信号を、矩形波によって示されるパルス幅変調信号に変換して、転写用電源30に出力する。詳細には、パルス幅変調信号ジェネレータ50は、入力された転写電圧の電圧値に対応する、立ち上がり前と立ち上がり後との電位差を有し、且つ入力された継続印加時間に対応するパルス幅の矩形波のパルス幅変調信号を、転写用電源30に出力する。
転写用電源30は、入力されたパルス幅変調信号に基づいて、該パルス幅変調信号によって示される矩形波の立ち上がり前と立ち上がり後との電位差に応じた電圧値の転写電圧を、該パルス幅変調信号のパルス幅に応じた時間、第2の電極21に継続印加する。第2の電極21への転写電圧の印加により、対向領域32には、転写電圧に応じた強度の電界が、該転写電圧の継続印加時間に応じた時間継続して形成される。
メモリ54は、後述する図6及び図8に示す処理ルーチンや、上記記録媒体検出部56と対向領域32との距離を示す距離情報、搬送経路34上の記録媒体Pの搬送速度を示す搬送速度情報、転写電圧テーブル(詳細後述)、及び各種データを予め記憶すると共に、各種データを記憶する。
メモリ54内に、上記記録媒体検出部56と対向領域32との距離を示す距離情報と、搬送経路34上の記録媒体Pの搬送速度を示す搬送速度情報が記憶されているので、CPU52では、これらの情報に基づいて、記録媒体検出部56で検出された記録媒体Pまたは記録媒体Pの特定の位置(例えば、記録媒体Pの搬送方向上流側端部)が対向領域32に到る時期を得ることが可能に構成されている。
上記「転写電圧テーブル」とは、記録媒体Pの抵抗値を示す抵抗値情報と、転写ロール20に印加する転写電圧の電圧値を示す電圧値情報と、を予め対応づけて記憶したものである。
この転写電圧テーブルに格納されている電圧値情報の電圧値は、感光体12上のトナー像を対向領域32に位置する記録媒体Pへ転写するために、対向領域32に予め定められた強度の電界を形成するために転写ロール20に印加する転写電圧の電圧値を示している。
この予め定められた強度の電界とは、例えば、感光体12上に所定の濃度のトナー像(例えば、100%の濃度のトナー像)が形成されたときに、このトナー像を構成するトナーの全てを対向領域32に位置する記録媒体Pに静電力によって移動させて、該トナー像を記録媒体Pに転写可能な強度の電界であり、各画像形成装置10や各画像形成装置10の設置環境等により予め定められる。
なお、この転写電圧テーブルに予め格納される転写電圧の電圧値情報、及び抵抗値情報は、画像形成装置10において、抵抗値の異なる複数種の記録媒体Pを対向領域32に位置させて、上記予め定められた強度の電界を対向領域32に形成するために転写ロール20に印加した電圧値を測定し、この測定した電圧値の電圧値情報を記録媒体Pの抵抗値に対応して予め記憶するようにすればよい。
なお、本実施の形態で用いる「抵抗」とは、体積抵抗を示している。
なお、上記転写テーブル作成時の記録媒体Pの抵抗値は、後述する図6に示す処理ルーチンのステップ100からステップ128の処理を実行することにより測定すればよい。
なお、メモリ54には、上記転写電圧テーブルに換えて、温湿度対応転写電圧テーブルを記憶するようにしてもよい。
温湿度対応転写電圧テーブルは、抵抗値情報と、電圧値情報と、温度情報と、湿度情報と、を予め対応づけて記憶したものである。
記録媒体Pや、感光体12及び転写ロール20各々の抵抗は、環境温度や環境湿度の変動によって変動する場合がある。このため、温湿度対応転写電圧テーブルは、画像形成処理の対象となる記録媒体Pの抵抗値を示す抵抗値情報と、転写ロール20に印加する転写電圧の電圧値を示す電圧値情報と、画像形成装置10内の温度を示す温度情報と、画像形成装置内の湿度を示す湿度情報と、を予め対応づけて記憶したものである。
この温湿度対応転写電圧テーブルに格納されている各電圧値情報は、対応する温度情報の温度及び対応する湿度情報の湿度の環境下において、対応する抵抗値情報の抵抗値の記録媒体Pが対向領域32に置かれているときに、上記予め定められた強度の電界を該対向領域32に形成するために転写ロール20に印加する転写電圧の電圧値を示す情報である。
この予め定められた強度の電界とは、上記転写電圧テーブルと同様に定められる。
この温湿度対応転写電圧テーブルに示される、抵抗値情報、温度情報、及び湿度情報に対応する転写電圧の電圧値情報は、画像形成装置10において、予め対向領域32に記録媒体Pを置くと共に感光体12と転写ロール20との間で挟持した状態とし、画像形成装置10内の環境温度及び環境湿度を変動させて、上記予め定められた強度の電界を対向領域32に形成するために転写ロール20に印加する電圧を予め測定し、予めメモリ54に記憶すればよい。そして、この測定を、抵抗値の異なる記録媒体Pにおいて行い、測定結果をメモリ54に記憶すればよい。
また、メモリ54には、基準電圧値情報が予め記憶されている。
基準電圧値情報は、詳細は後述するが、画像形成装置10において画像形成対象となる記録媒体Pの抵抗を測定するときに転写ロール20に印加する電圧(以下、基準電圧と称する)の電圧値を示している。また、メモリ54には、この基準電圧値情報に対応して、基準電圧を転写ロール20に印加する継続印加時間を示す基準電圧印加時間情報を記憶している。
ここで、本実施の形態の画像形成装置10で用いられる感光体12の構成について、詳細に説明する。
図2に示すように、感光体12は、導電性支持体60と、この基材上に形成された下引き層62と、この下引き層62の上に形成された感光層63と、から構成されている。さらに感光層63は、図3の感光体12B及び図5の感光体12Dに示すように、電荷発生層65と電荷輸送層66との2層構造であってもよい。また、感光層63は、図4に示す感光体12C及び図5に示す感光体12Dに示すように、感光層63上に保護層64を設けても電子写真方式の画像形成装置10に用いられる感光体12としての機能を持たせることができる。
上記導電性支持体60としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケルなどの金属ドラム;ガラス、プラスチック等の筒状基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル-クロム、ステンレス鋼、胴-インジウム等の金属を蒸着したものや、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したもの;上記基体に金属箔をラミネートしたもの、またはカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、それを塗布することによって導電処理したもの等が用いられる。
ここで、「導電性」とは、絶縁性で無い限り抵抗を有する場合を含む概念とする。
下引き層62には、28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗が108〜1013Ω・cmであり、かつ15℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗の500倍以下であればいかなるものでも用いることができるが、シランカップリングされた金属酸化物粒子を含有することが特に好ましい。用いられる金属酸化物粒子としては酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫の単体、あるいはこれらを組み合わせて使用する。特に、酸化亜鉛、酸化チタンは電子移動性が高く、良好な電子写真特性が現れるので好んで使用される。
なお、本実施の形態では、下引き層62の体積抵抗は、導電性支持体に対する対向電極としてφ1mmの金電極を用い、この金電極と導電性支持体間の下引き層に106V/mの電界を形成する電圧を印可してから10秒後の電流値を測定し、印加電圧と電流値とから抵抗を算出する。この算出した抵抗を、この対向電極の電極面積に対向電極間距離を乗算した乗算結果で割った値を、本願の体積抵抗とした。
上記シランカップリングされた金属酸化物粒子を用いる場合、下引き層62が上記体積抵抗を得るためには、102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗が必要である。中でも該抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粒子を用いるのが好ましい。
下引き層62に含まれる上記金属酸化物粒子の粉体抵抗値が102Ωcm未満であると、下引き層62について上記体積抵抗の範囲を得る事が出来ず、この金属酸化物粒子の粉体抵抗値が1011Ωcmより大きいと、感光体12が画像形成装置10に搭載されたときに感光体12上の残留電位の上昇が起こりやすくなる場合がある。
また、金属酸化物微粒子は表面処理の異なるものあるいは粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いることもできる。また、金属酸化物微粒子としては、比表面積が10m2/g以上のものが好ましく用いられる。比表面積値が10m2/g以下のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい欠点がある。
金属酸化物粒子はシランカップリング剤で表面処理を施すことが特に好ましい。シランカップリング剤で表面処理を施すことで所望の体積抵抗を調整することができる。さらにはアミノ基を有するシランカップリング剤は下引き層62に良好なブロッキング性を与えるために好ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては所望の感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用いることができるが、具体的例としてはγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用することもできる。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いることができるシランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法にて表面処理を施す場合には金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒に溶解させたシランカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって略均一に処理される。添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましい。溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、略均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的にかたまってしまい略均一な処理ができにくい欠点があり、好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法としては、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで略均一に処理される。溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては表面処理剤を添加する前に金属酸化物微粒子含有水分を除去することもでき、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いることもできる。
下引き層62中の金属酸化物微粒子に対するシランカップリング剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定できる。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-2-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ-N-ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
下引き層62中には体積抵抗を制御するために、特開昭47-30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料等の電子受容性物質を上記の金属酸化物粒子と共に混合/分散して使用することが好ましい。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷受容性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。
混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等をもちいる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、樹脂を溶解し、また、無機金属化合物および電子受容性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
さらには、導電性支持体60の光の反射防止作用のために、粒経1.0μm以上の樹脂粒子を分散して使用することもできる。この場合上記樹脂粒子は下引き層62の光透過率決定後に混合/分散することができる。
感光体12の下引き層62の膜厚は一般的には、0.1〜40μm、が適当であるが、10〜40μmが好んで使用される。また、下引き層62を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
上記のように下引き層62を形成することができるが、28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が108〜1013Ω・cmであり、かつ10℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗の500倍以下であることが重要である。
なぜならば感光層63のみでは、磨耗、傷等により局所的に、感光体12自体が、上述のような、28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗が108〜1013Ω・cmであり、かつ15℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印可したときの体積抵抗の500倍以下という条件を維持できなくなるからである。
感光体12の体積抵抗が維持できなくなると、最適転写電圧の決定が困難であり、画像濃度の低下、がさつき等を十分に防止することができなくなる。よって、磨耗、傷等の影響を受けない下引き層の体積抵抗を上記のように制御することが重要となる。
電荷発生層65は、既知の電荷発生材料および結着樹脂から構成される。
電荷発生材料は、金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。本発明に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、例えば特開平5−263007及び、特開平5−279591に公開されているような、公知の方法で製造される。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。ちなみに本発明で実施した前記の分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことが確認されている。さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、本発明で用いる電荷発生層65の厚みは一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。また、電荷発生層65を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。さらに、顔料の分散安定性や、光感度を増す目的、あるいは、電気特性を安定化させる目的で、顔料を処理したものを用いても良い。
電荷輸送層66としては、公知の技術によって形成されたものを使用できる。それらの電荷輸送層66は、下引き層62、感光層63を積層して感光体12として構成したときに、28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が109〜1014Ω・cmであり、かつ10℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗の500倍以下となるように所望の電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独または2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、モビリティーの観点から、以下の構造のものが好ましい。
(式(A)中、R1は、水素原子またはメチル基を示す。また、nは1または2の整数を意味する。Ar1及びAr2は置換又は未置換のアリール基を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、または炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(式(B)中R2、R2’は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、を表わす。R3、R3’、R4、R4’は、同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R5)=C(R6)(R7)、−CH=CH−CH=C(Ar’)2を表す。R5、R6、R7は、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。Ar’は、置換または未置換のアリール基を表す。mおよびnは0〜2の整数である。)
(式(C)中、R8は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、または、―CH=CH−CH=C(Ar’’)2を表す。Ar’’は、置換又は未置換のアリール基を表す。R9、R10は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。)
さらに電荷輸送層66に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂や、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8-176293号公報や特開平8-208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8-176293号公報や特開平8-208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層66は、さらに、フッ素系樹脂を含有することができる。フッ素系樹脂を含有する電荷輸送層66におけるフッ素系樹脂の電荷輸送層66中含量は、電荷輸送層66を構成する材料全量に対し、0.1〜40wt%が適当であり、特に、1〜30wt%が好ましい。電荷輸送層66におけるフッ素系樹脂の含有亮が、1wt%未満では、フッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40wt%を越えると、光通過性が低下し、かつ、感光体12として画像形成装置10に搭載したときに、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
本発明で用いるフッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
前記フッ素系樹脂の一次粒径は0.05〜1μmが良く、更に好ましくは0.1〜0.5μmが好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。また、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
本発明で使用する電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。
電荷輸送層66は、上に示した電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層66の形成に使用される溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
電荷輸送層66中にフッ素系樹脂を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル、衝突式メディアレス分散機、貫通式メディアレス分散機等の方法を用いることができる。
電荷輸送層66を形成する塗布液の分散例としては、溶媒に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料などの溶液中にフッ素系樹脂粒子を分散する方法が挙げられる。
電荷輸送層66を形成する塗工液を製造する工程では、塗工液の温度を0℃〜50℃の範囲に制御することが好ましい。
塗工液製造工程での塗工液の温度を0℃〜50℃に調整する方法として、水で冷やす、風で冷やす、冷媒で冷やす、製造工程の室温を調節する、温水で暖める、熱風で温める、ヒーターで暖める、発熱しにくい材料で塗工液製造設備を作る、放熱しやすい材料で塗工液製造設備を作る、蓄熱しやすい材料で塗工液製造設備を作るなどの方法が利用できる。
塗工液前混合方法として、スターラー、攪拌羽による攪拌、ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、等の方法が利用できる。分散方法として、サンドミル、アトライター、ボールミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ロールミル等の方法が利用できる。
また、本発明において分散液の分散安定性を向上させるため、および塗膜形成時の凝集を防止するために分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。さらに電荷輸送層66を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2-ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
感光体12に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、フタル酸等をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、15〜40μmであることが好ましい。
画像形成装置10で用いる感光体12は、上記のように、導電性支持体60上に、下引き層62、及び感光層63を順に積層、または感光層63を電荷発生層65と電荷輸送層66との2層構造で構成する、または感光層63上に保護層64を設けた構成とすることにより、感光体12として構成したときに、28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が109〜1014Ω・cmであり、かつ10℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗の500倍以下であることが必要であり、上記体積抵抗を得るために、下引き層62、及び感光層63を組み合わせることができる。
次に、画像形成装置10のCPU52で実行される処理を説明する。
なお、本実施の形態の画像形成装置10では、画像形成装置10本体を制御するシステム制御部40の制御によって感光体12が回転を始めると、システム制御部40からCPU52へ感光体12の回転開始を示す回転開始信号が出力され、画像形成処理終了時には、画像形成処理終了を示す信号がCPU52へ出力されるものとする。
また、システム制御部40では、CPU52へ感光体12の回転開始を示す回転開始信号を出力するときには、記録媒体Pを順次搬送経路34上を搬送して記録媒体Pに画像を形成する画像形成処理を開始するものとして説明する。
画像形成装置10のシステム制御部40から感光体12の回転開始信号が入力されると、CPU52では、図6に示す処理ルーチンが実行されてステップ100へ進む。
ステップ100では、記録媒体検出部56によって、搬送経路34上の対向領域32に記録媒体Pが存在するか否かを判別する。ステップ100の判断は、記録媒体検出部56からの入力信号を判別することによって判断可能である。
ステップ100で否定されて、搬送経路34上の対向領域32に記録媒体Pが存在しない場合には、ステップ102へ進み、メモリ54から基準電圧値の基準電圧値情報と、基準電圧値情報に対応する基準電圧印加時間情報を読み取る。
次のステップ104では、上記ステップ102で読み取った基準電圧値情報と、基準電圧印加時間情報と、を、パルス幅変調信号ジェネレータへ出力する。
CPU52から基準電圧値情報と基準電圧印加時間情報とを入力されたパルス幅変調信号ジェネレータ50は、立ち上がり前後の電位差が入力された基準電圧情報の電圧値に等しく、且つパルス幅が上記基準電圧印加時間情報の時間と等しい矩形状のパルス幅変調信号を転写用電源30へ出力する。
パルス幅変調信号を入力された転写用電源30は、入力されたパルス幅変調信号の立ち上がり前後の電圧差に応じた電圧値の電圧を、パルス幅変調信号のパルス幅に応じた時間継続して第2の電極21を介して転写ロール20へ印加する。
このように、ステップ104の処理によって、転写用電源30から転写ロール20へ、基準電圧が印加される。
次のステップ106では、感光体12と転写ロール20との間に流れる電流の電流値を読み取る。
ステップ106の処理は、電流検知部46からA/Dコンバータ48を介してデジタル信号として入力された電流値検出結果を読み取ることによって可能である。
なお、上記基準電圧印加時間情報は、CPU52において、上記ステップ104の処理が行われてからステップ106の処理が終了するまでの時間を予め定めるようにすればよい。
次のステップ108では、上記ステップ102で読み取った基準電圧値と、上記ステップ106で読み取った電流値から第1の抵抗値を算出する。第1の抵抗値の算出は、単純なオームの法則を適用すれが良い。
このステップ108で算出した第1の抵抗値は、感光体12と転写ロール20との間に基準電圧値の基準電圧を印加したときに流れる電流値に基づいて算出された抵抗値であって、感光体12と転写ロール20との間の対向領域32に記録媒体Pが存在しないときの第1の電極44と第2の電極21との間(図1中C参照)の抵抗値である。
次にステップ110では、上記ステップ108で算出した第1の抵抗値を示す第1の抵抗値情報を、メモリ54に記憶した後に、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ100で肯定されて、記録媒体検出部56によって感光体12と転写ロール20との対向領域32に記録媒体Pが存在することが判別された場合には、ステップ112へ進み、CPU52内の図示を省略するタイマーによるカウントをスタートした後に、ステップ116へ進む。
ステップ116では、メモリ54から基準電圧値の基準電圧値情報と、基準電圧値情報に対応する基準電圧印加時間情報を読み取る。
次のステップ120では、上記ステップ116で読み取った基準電圧値情報と、基準電圧印加時間情報と、を、パルス幅変調信号ジェネレータ50へ出力する。
CPU52から基準電圧値情報と基準電圧印加時間情報とを入力されたパルス幅変調信号ジェネレータ50は、立ち上がり前後の電位差が入力された基準電圧情報の電圧値に等しく、且つパルス幅が上記基準電圧印加時間情報の時間と等しい矩形状のパルス幅変調信号を転写用電源30へ出力する。
パルス幅変調信号を入力された転写用電源30は、入力されたパルス幅変調信号の立ち上がり前後の電位差に応じた電圧値の電圧を、パルス幅変調信号のパルス幅に応じた時間継続して第2の電極21を介して転写ロール20へ印加する。
このように、ステップ120の処理によって、転写用電源30から転写ロール20へ、基準電圧が印加される。
次のステップ122では、感光体12と転写ロール20との間に記録媒体Pを介して流れる電流の電流値を読み取る。すなわち、ステップ122では、対向領域32に記録媒体Pが位置していることから、感光体12と転写ロール20との間に記録媒体Pが存在するときの第1の電極44と第2の電極21との間に流れる電流の電流値を読み取ることができる。
ステップ122の処理は、電流検知部46からA/Dコンバータ48を介してデジタル信号として入力された電流値検出結果を読み取ることによって可能である。
次のステップ124では、上記ステップ122で読み取った電流値に基づいて、第2の抵抗値を算出する。
この第2の抵抗値の算出は第一の抵抗値と同様の方法で算出できる。すなわち、電圧値及び電流値が既知となっているので、単純なオームの法則を適用すれが良い。
このステップ124で算出した第2の抵抗値は、感光体12と転写ロール20との間に記録媒体Pが存在する状態において、第1の電極44と第2の電極21との間に基準電圧値の基準電圧を印加したときに流れる電流値に基づいて算出された抵抗値である。
次のステップ126では、上記ステップ110でメモリ54に記憶した第1の抵抗値情報を読み取る。次のステップ128では、上記ステップ124で算出した記録媒体Pを含む抵抗値である第2の抵抗値から、上記ステップ126で読み取った記録媒体Pを含まない抵抗値である第1の抵抗値を減算することにより、対向領域32に位置する、すなわち画像形成対象となる記録媒体Pの抵抗値を算出する。
次のステップ130では、メモリ54に記憶されている転写電圧テーブルから、上記ステップ128で算出した記録媒体Pの抵抗値に対応する転写電圧を読み取る。
次にステップ132では、上記ステップ112でタイマースタートしてから所定時間T1が経過するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ134へ進む。
この所定時間T1は、予めメモリ54に記憶されており、記録媒体検出部56の設置位置において記録媒体Pが記録媒体検出部56によって検知されてから記録媒体Pが搬送されて、記録媒体Pの画像形成可能な領域(図7(A)の画像形成領域72参照)が感光体12からトナー像を転写されうる位置まで搬送されるまでの時間を示している。
すなわち、図7(A)に示すように、記録媒体Pの画像形成対象となる画像形成領域72以外の非画像形成領域70の内の、記録媒体Pの搬送方向最下流側端部である非画像形成領域70Aが記録媒体検出部56によって検知されたときにステップ112のタイマーカウントスタート処理が実行されて、ステップ116からステップ130の処理が行われると同時に、記録媒体Pが搬送されて記録媒体Pの画像形成領域72が感光体12からトナー像を転写される位置(対向領域32)まで搬送されるまでの時間を時間T1として予め記憶すればよい。
このようにすれば、記録媒体Pの画像形成領域72が感光体12からトナー像を転写される位置に到ったときに、上記ステップ128の処理で算出した記録媒体Pの抵抗に応じた転写電圧を、記録媒体Pの画像形成領域72に印加することができる。
次のステップ134では、上記ステップ130で読み取った転写電圧の転写電圧情報と、転写電圧印加時間情報と、を、パルス幅変調信号ジェネレータへ出力する。
この転写電圧印加時間情報は、例えば、記録媒体Pの搬送速度と、画像形成対象となる記録媒体Pの搬送方向長さを示すサイズ情報と、に基づいて、記録媒体Pの画像形成領域72が対向領域32に到ってから対向領域32を通過し終わるまでの時間を予め記憶するようにすればよい。なお、記録媒体Pのサイズ情報は、例えば、システム制御部40から入力されるようにすればよい。
CPU52から転写電圧値情報と転写電圧印加時間情報とを入力されたパルス幅変調信号ジェネレータ50は、立ち上がり前後の電位差が入力された転写電圧情報の電圧であり、且つパルス幅が上記転写電圧印加時間情報の時間と等しい矩形状のパルス幅変調信号を転写用電源30へ出力する。
パルス幅変調信号を入力された転写用電源30は、入力されたパルス幅変調信号の立ち上がり前後の電位差に応じた電圧値の電圧を、パルス幅変調信号のパルス幅に応じた時間継続して第2の電極21を介して転写ロール20へ印加する。
このように、ステップ104の処理によって、記録媒体Pの抵抗に応じた転写電圧が、転写用電源30から転写ロール20へ上記転写電圧印加時間継続して印加される。
また、上記転写電圧印加時間は、上記のように、記録媒体Pの画像形成領域72が対向領域32に到ってから対向領域32を通過し終わるまでの時間であることから、記録媒体Pの画像形成領域72全域に、上記ステップ128の処理で算出した記録媒体Pの抵抗に応じた転写電圧を印加することができる。
次にステップ136では、上記ステップ112でカウントスタートしたタイマーをリセットした後に、ステップ138へ進み、システム制御部40から画像形成処理終了を示す画像形成処理終了信号が入力されたか否かを判別し、肯定されると、本ルーチンを終了し、否定されると、ステップ140へ進む。
ステップ140では、記録媒体検出部56から、次の画像形成対象となる記録媒体Pの先端部(すなわち、記録媒体Pの搬送経路34の搬送方向下流側端部)の検知を示す検知信号が入力されるまで否定判断を繰り返し、肯定されると、上記ステップ112へ戻る。
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10によれば、画像形成対象となる記録媒体Pの抵抗値を測定し、測定した抵抗値に基づいて、感光体12上のトナー像を記録媒体Pに転写するための予め定められた強度の電界を対向領域32に形成するように、転写ロール20に印加する電圧の電圧値を調整する。
このため、感光体12と転写ロール20との間に挟持搬送される記録媒体Pの抵抗値が変動した場合であっても、感光体12上のトナー像を記録媒体Pに転写するための略一定の強度の電界を感光体12と転写ロール20との間に形成することができる。
従って、感光体12上に形成されたトナー像の記録媒体Pへの転写性の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態の画像形成装置10によれば、記録媒体Pの抵抗値の算出を、感光体12の内部に設けられた第1の電極44と、転写ロール20の内部に設けられ転写ロール20に転写電圧を印加するための第2の電極21と、の間に基準電圧を印加したときに第1の電極44と第2の電極21との間に流れる電流の電流値から算出した抵抗値(第1の抵抗値)と、感光体12と転写ロール20との間に記録媒体Pが位置するときに第1の電極44と第2の電極21とに基準電圧を印加したときに第1の電極44と第2の電極21との間に流れる電流の電流値から算出した抵抗値(第2の抵抗値)と、から算出する。
このため、画像形成対象となる記録媒体Pの抵抗を測定するための特別な機構を用いることなく、記録媒体Pの抵抗を測定することができるとともに、感光体12上のトナー像を記録媒体Pに転写する環境下で記録媒体Pの抵抗を測定することができる。このため、転写時の記録媒体Pの抵抗変動によるトナー像の転写性の低下を抑制することができる。
なお、上記処理ルーチンでは、図7(A)に示すように、記録媒体Pの非画像形成領域70の内の、記録媒体Pの搬送方向下流側端部の非画像形成領域70Aの抵抗値を測定し、この測定した抵抗値に対応する転写電圧を転写電圧テーブルから読み取って、読み取った転写電圧を記録媒体Pの画像形成領域72全域に印加する場合を説明したが、記録媒体P内の複数箇所の抵抗値に基づいて、同一記録媒体P内で複数回転写電圧を調整するようにしてもよい。
この場合には、例えば、図7(B)に示すように、記録媒体検出部56で検知された記録媒体Pの非画像形成領域70の搬送方向下流側端部の非画像形成領域70Aの抵抗値に基づいて、該非画像形成領域70Aに連続する画像形成領域721に、非画像形成領域70Aの抵抗値に応じた転写電圧を印加する。さらに、記録媒体検出部56で検知された非画像形成領域70Aより記録媒体Pの搬送方向上流側の非画像形成領域70B1の抵抗値に基づいて、該非画像形成領域70B1より記録媒体Pの搬送方向上流側に連続する画像形成領域722に、非画像形成領域70B1の抵抗値に応じた転写電圧を印加する。
なお、記録媒体Pの非画像形成領域70A、70B1〜70Bnの位置の判別は、記録媒体Pのサイズ情報、搬送速度を示す情報、記録媒体検出部56による搬送方向上流側端部の検知結果などに基づいて、判別するようにすればよい。
このようにすれば、同一の記録媒体P内で複数回抵抗値を測定し、測定結果に応じて感光体12と転写ロール20との間に予め定めた強度の電界を形成するための転写電圧を転写ロール20に印加することができる。このため、同一の記録媒体P内で抵抗値に変動が生じている場合であっても、記録媒体P内の各抵抗値に応じた最適な転写電圧を、記録媒体Pの各抵抗値を示す領域に印加することができる。このため、記録媒体Pの抵抗変動による転写性の低下を抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、転写ロール20に印加する転写電圧は、上記ステップ130の処理において、ステップ128で算出した記録媒体の抵抗値に対応する転写電圧を転写電圧テーブルから読み取る場合を説明したが、メモリ54に転写電圧テーブルに換えて上記温湿度対応転写電圧テーブルを記憶するようにし、この温湿度対応転写電圧テーブルから転写電圧を定めても良い。
この場合には、上記ステップ122の電流値情報読取処理の後に、温度検知部36及び湿度検知部38各々から温度情報及び湿度情報を読み取るようにし、上記ステップ130の処理において、上記ステップ128で算出した記録媒体の抵抗値の抵抗値情報と、上記読み取った温度情報と、湿度情報と、に対応する電圧値情報を、温湿度対応転写でテーブルから転写ロール20に印加する転写電圧を示す転写電圧情報として読み取るようにすればよい。
このようにすれば、記録媒体P、感光体12、及び転写ロール20の抵抗が、環境温度や環境湿度の変動によって変動した場合であっても、常に感光体12と転写ロール20との間に目的とする強度の電界を形成することができる。
従って、記録媒体Pの抵抗値の変動、環境温度の変動、環境湿度の変動による記録媒体Pへの転写性の低下を抑制することができ、安定した画質の画像を形成することができる。
また、本実施の形態の画像形成装置10の感光体12は、上述のように、感光体12に28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が109〜1014Ω・cmであり、かつ10℃、15%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで106V/mの電界を形成する電圧を印加したときの体積抵抗の500倍以下である。このため、28℃85%RHのような高温高湿環境下、及び10℃15%RHの低温低湿環境下の双方において、感光体12による環境安定性を向上させることができるので、環境温度及び環境湿度の変動による画質劣化を抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、記録媒体Pの抵抗に応じた転写電圧を記録媒体Pに印加する場合を説明したが、さらに、複数の記録媒体Pが所定間隔を介して搬送経路34上を搬送されるときに、記録媒体Pと記録媒体Pとの間の領域が対向領域32に位置する場合に転写ロール20に印加する電圧をさらに調整するようにしてもよい。
この場合には、図6に示すステップ136のタイマリセット処理終了後で且つステップ138の画像形成処理終了信号入力の判別処理前に、図8に示す処理ルーチンを実行するようにすればよい。
なお、この場合には、メモリ54に、予め、第2の電極21と第1の電極44との間の抵抗値に対応する用紙間電圧値を示す用紙間電圧値情報を記憶すればよい。
この「用紙間電圧値」とは、記録媒体Pが搬送経路34上を搬送されて対向領域32に到って該記録媒体Pが対向領域32を通過してから、次の記録媒体Pが対向領域32に到るまでの間に転写ロール20に印加する電圧の値を示している。
この用紙間電圧値は、電圧印加により感光体12が劣化することのない程度の電圧値であり、且つ帯電装置15によって帯電された感光体12上の電位が転写ロール20から印加された電圧により変動することなく、且つ絶対値が0(ゼロ)ではない電圧値である。すなわち、転写電圧テーブルや温湿度対応転写電圧テーブルに示される転写電圧の電圧値よりは小さい電圧値である。
この場合には、CPU52では、上記ステップ134の処理において転写電圧情報をパルス幅変調信号ジェネレータ50へ出力することによって記録媒体Pの体積抵抗に対応する転写電圧の印加が開始されて、上記ステップ136においてタイマーをリセットした後に、図8に示すステップ200へ進み、メモリ54から第1の抵抗値を示す第1の抵抗値情報を読み取り、次のステップ202において、読み取った第1の抵抗値情報に対応する用紙間電圧を示す用紙間電圧情報を読み取る。
次のステップ204では、図6に示す上記ステップ100で検知された記録媒体Pの搬送方向上流側端部(図7(B)中、非画像形成領域70Bn)が検知されるまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ206へ進む。
ステップ204の判断は、記録媒体検出部56から入力される検知信号が、用紙検知信号から用紙未検知信号へと遷移したタイミングを判別することによって判断可能である。
ステップ206では、上記ステップ202で読み取った用紙間電圧情報と、該用紙間電圧情報の印加時間を示す用紙間電圧印加時間情報と、をパルス幅変調信号ジェネレータ50に出力した後に、本ルーチンを終了し、図6のステップ138へ進めばよい。この用紙間電圧印加時間は、予め記録媒体Pの搬送速度に基づいて、記録媒体Pが対向領域32を通過し終わってから次の記録媒体Pが対向領域32に到るまでの時間を、メモリ54に記憶しておけばよい。
ステップ206の処理によって、記録媒体Pが対向領域32を通過してから、次の記録媒体Pが対向領域32に到るまでの間は、上記ステップ202で読み取った用紙間電圧を転写ロール20に印加することができるので、消費電力の低下を図ることができるとともに、感光体12や転写ロール20に過剰な電圧が加わることによる劣化を抑制することができる。
なお、本発明の画像形成装置10の内の、少なくとも転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、転写ロール20を、画像形成装置10に対して着脱可能に設けたプロセスカートリッジとして構成してもよい。さらに、このプロセスカートリッジには、転写用電源30を含み、更に帯電装置15、露光装置16、現像装置18、感光体12、及びクリーニング装置22の内の少なくとも1つを含むようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、画像形成装置10には、1つの感光体12と転写ロール20が設けられている場合を説明したが、複数の感光体12を備えた所謂タンデム型の画像形成装置であってもよい。
タンデム型の画像形成装置である場合には、図9に示すように、画像形成装置90は、各々異なる色のトナー像を記録媒体P上に転写するための画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11dを含んで構成されている。
なお、これらの画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11dを総称する場合には、画像形成ユニット11と称して説明する。
画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11dは、各々、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dを含んで構成されている。
感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dは、記録媒体Pを搬送するための用紙搬送ベルト81の搬送方向に沿って並列に配置されている。
画像形成ユニット11aは、帯電装置15a、露光装置16a、現像装置18a、転写ロール20a、及びクリーニング装置22aを含んで構成されている。
これらの帯電装置15a、露光装置16a、及び現像装置18aは、感光体12aの回転方向に沿って順に配設されている。感光体12a周辺の、現像ロール18Aの配設位置より感光体12aの回転方向下流側には、転写ロール20aが設けられている。
転写ロール20aには、図1に示す画像形成装置10と同様に、転写ロール20a内部に設けられた第2の電極(図示省略、図1の第2の電極21に相当)を介して転写ロール20aに電圧を印加するための転写用電源(図示省略)が電圧印加可能に接続されている。感光体12aの回転方向(図9中矢印A方向)の転写ロール20aとの対向領域32より下流側には、クリーニング装置22及び除電装置24が感光体12の回転方向に沿って順に配設されている。
画像形成ユニット11bは、帯電装置15b、露光装置16b、現像装置18b、転写ロール20b、及びクリーニング装置22bを含んで構成されている。画像形成ユニット11cは、帯電装置15c、露光装置16c、現像装置18c、転写ロール20c、及びクリーニング装置22cを含んで構成されている。画像形成ユニット11dは、帯電装置15d、露光装置16d、現像装置18d、転写ロール20d、及びクリーニング装置22dを含んで構成されている。
各々の転写ロール20b、転写ロール20c、及び転写ロール20の内部には、図1に示す画像形成装置10の転写ロール20と同様に、第2の電極(図示省略、図1の第2の電極21に相当)を介して転写ロール20b、転写ロール20c、及び転写ロール20d各々に電圧を印加するための転写用電源(図示省略)が電圧印加可能に接続されている。
これらの感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dは、各々上記感光体12と同一構成であるため、詳細な説明を省略する。同様に、帯電装置15a、帯電装置15b、帯電装置15c、及び帯電装置15dは、上記帯電装置15と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。同様に、露光装置16a、露光装置16b、露光装置16c、露光装置16dは、上記露光装置16と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。また、現像装置18a、現像装置18b、現像装置18c、及び現像装置18dは、現像装置18と同様に構成され、転写ロール20a、転写ロール20b、転写ロール20c、及び転写ロール20dは、転写ロール20と同様に構成され、クリーニング装置22a、クリーニング装置22b、クリーニング装置22c、クリーニング装置22dは、クリーニング装置22と同様に構成されているため詳細な説明を省略する。
なお、現像装置18a、現像装置18b、現像装置18c、及び現像装置18dには、互いに異なる色として、各々、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナーを含む現像剤が貯留されているものとするが、現像装置内に貯留されるトナーの色は、このような色及び順序に限られるものではない。
用紙搬送ベルト81は、各感光体12aと転写ロール20aとの間、感光体12bと転写ロール20bとの間、感光体12cと転写ロール20cとの間、感光体12dと転写ロール20dとの間を介して、複数のロール208、ロール209、ロール210、及びロール207によって所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dと同じ周速度で張架搬送される。
用紙搬送ベルト81は、その体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmであることが好ましく、1×109〜1×1012Ωcmであることがより好ましい。この体積抵抗率が1×108Ωcm未満である場合には、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dから用紙搬送ベルト81上の転写媒体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。
一方、体積抵抗率が1×1013Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、転写電界で記録媒体Pが対向領域32に位置しないときの用紙搬送ベルト81、及び記録媒体Pの表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。体積抵抗率を上記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。さらには、上述した第1の抵抗値及び第2の抵抗値を正確かつ安定的に検出することができる。
なお、この用紙搬送ベルト81の体積抵抗は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911に従って測定することができる。具体的には、例えば、図10に示す円形電極を用いて測定することができる。図10は、体積抵抗を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図10に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に用紙搬送ベルト81を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(3)により、用紙搬送ベルト81の体積抵抗ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは用紙搬送ベルト81の厚さを示す。
式(3) ρv=19.6×(V/I)×t
画像形成装置90には、記録媒体Pを貯留するための用紙トレイ213が設けられている。用紙トレイ213内の記録媒体Pは、複数の搬送ローラによって用紙トレイ213内から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送ベルト81上に供給される。用紙搬送ベルト81上に供給された記録媒体Pは、さらに用紙搬送ベルト81の搬送に伴って搬送されて、各感光体12aと転写ロール20aとの間、感光体12bと転写ロール20bとの間、感光体12cと転写ロール20cとの間、感光体12dと転写ロール20dとの間を順次搬送された後に、定着装置26を経由した後に、画像形成装置90の外部へと排出される。
これにより、記録媒体P上には、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12d上に形成された各色トナー像が重畳転写されて、カラートナー像が形成された後に、定着装置26によって定着されてカラー画像が形成される。
このような画像形成装置90の少なくとも記録媒体Pの搬送方向の最も上流側に設けられた画像形成ユニット11aに、図1に示す記録媒体検出部56、温度検知部36、湿度検知部38、第1の電極44、及び転写電圧調整部42を設けて、画像形成ユニット11aにおいて図6に示す処理ルーチンを実行するようにすればよい。
なお、この図1に示す記録媒体検出部56、温度検知部36、湿度検知部38、第1の電極44、及び転写電圧調整部42を設ける画像形成ユニットは、記録媒体Pの搬送方向の最も上流側の画像形成ユニットを含めば複数であっても良く、画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11dの全てであってもよい。
なお、この場合には、画像形成ユニットによって、対向領域32に形成するべき電界の強度が異なることから、各画像形成ユニット11のメモリ54に記憶する転写電圧テーブルに示される値は、各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d毎に、各画像形成ユニット11内の対向領域32に所定の電界強度の電界が形成されるような転写電圧の電圧値情報を予め記憶するようにすればよい。そして、この所定の電界強度の電界として、各画像形成ユニット11において、感光体上のトナー像を記録媒体P側に転写しうる強度の転写電界を定めればよい。
このようにして、各画像形成ユニット11のCPU52で上記図6に示す処理ルーチン、または上記図6及び図8に示す処理ルーチンを実行するようにすれば、記録媒体Pの抵抗値の変動によるトナー像の転写性の低下を抑制することができる。
なお、画像形成装置90の解像度は1200dpi(1インチ当りのドット数)以上に設定しても良い。画像形成装置90は、上述のように、環境安定性に優れた感光体を備えているため、温度や湿度等が変化する環境下で、1200dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、画像濃度の不均一性、がさつき等を十分に防止することができる。さらに、画像形成装置90の解像度は2000dpi以上に設定しても良い。この場合、温度や湿度等が変化する環境下で、2000dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、画像濃度の不均一性、がさつき等を十分に防止することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されるものではない。また、以下において特に指定のない場合「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
−感光体の作製−
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛60質量部とアリザリン(シグマアルドリッチジャパン製)0.3質量部と硬化剤ブロック化イソシアネート スミジュール3175(住友バイエルンウレタン社製) 13.5質量部とブチラール樹脂 BM-1 (積水化学社製) 15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン :25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて分散をおこなった。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子トスパール145(GE東芝シリコーン社製):4.0質量部を添加し、下引き層塗布用液を得た。
この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、24分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引き層を得た。この下引き層について、対向電極としてφ1mmの金電極を用い、106V/mの電界を形成する電圧を金電極と導電性支持体であるアルミニウム基材との間の下引き層に印可してから10秒後の電流値を測定し、この電流値から体積抵抗を求めた。測定は、高温高湿(28℃、85%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)の2条件で行った。結果を表1に示す。
次に、下引き層上に感光層を形成した。電荷発生物質としてヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーハ゛イト社製)10部、n-酢酸ブチル200部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、常温で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N'-シ゛フェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-[1、1']ヒ゛フェニル-4,4'-シ゛アミン4部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6質量部とをテトラフドロフラン80質量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、135℃、25分の乾燥を行うことにより膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体の体積抵抗について、対向電極としてφ1mmの金電極を用い、106V/mの電界を形成する電圧を対向電極と導電性支持体であるアルミニウム基材との間に印可してから10秒後の電流値を測定し、この電流値から体積抵抗を求めた。測定は、高温高湿(28℃、85%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)の2条件で行った。結果を表1に示す。
画像形成装置として、富士ゼロックス(株)製 DocuCentre Color a450を用い、この画像形成装置を、図9に示すように、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12d各々から直接記録媒体Pにトナー像を転写するように改造した。
そして、感光体12a、感光体12b、感光体12c、及び感光体12dとして、上記作製した感光体を搭載した。
さらに、各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けた。
詳細には、画像形成ユニット11aにおいては、第2の電極21(図1参照)を転写ロール20aの内部に設けると共に、第1の電極44(図1参照)を感光体12aの内部に対向するように設けて、第1の電極44(図1参照)を転写用電源(図1参照)、及び転写電圧調整部42(図1参照)の電流検知部46(図1参照)を介して第2の電極21(図1参照)に接続した。さらに、転写電圧調整部42(図1参照)のパルス幅変調信号ジェネレータ50(図1参照)を転写用電源(図1参照)に信号授受可能に接続した。また、温度検知部36及び湿度検知部38(図1参照)各々は、転写ロール20aの周辺に設置した。さらに、転写電圧調整部42のCPU52(図1参照)を、画像形成装置90全体を制御するためのシステム制御部89に信号授受可能に接続し、画像形成処理終了を示す画像形成処理終了信号入力可能に構成した。
同様に、画像形成ユニット11bにおいては、第2の電極21(図1参照)を転写ロール20bの内部に設けると共に、第1の電極44(図1参照)を感光体12bの内部に対向するように設けて、第1の電極44(図1参照)を転写用電源(図1参照)、及び転写電圧調整部42の電流検知部46(図1参照)を介して第2の電極21(図1参照)に接続した。さらに、転写電圧調整部42のパルス幅変調信号ジェネレータ50(図1参照)を転写用電源(図1参照)に信号授受可能に接続した。また、温度検知部36及び湿度検知部38(図1参照)各々は、転写ロール20bの周辺に設置した。さらに、転写電圧調整部42のCPU52(図1参照)を、画像形成装置90全体を制御するためのシステム制御部89に信号授受可能に接続し、画像形成処理終了を示す画像形成処理終了信号入力可能に構成した。
同様に、画像形成ユニット11cにおいては、第2の電極21(図1参照)を転写ロール20cの内部に設けると共に、第1の電極44(図1参照)を感光体12cの内部に対向するように設けて、第1の電極44(図1参照)を転写用電源(図1参照)、及び転写電圧調整部42の電流検知部46(図1参照)を介して第2の電極21(図1参照)に接続した。さらに、転写電圧調整部42のパルス幅変調信号ジェネレータ50(図1参照)を転写用電源(図1参照)に信号授受可能に接続した。また、温度検知部36及び湿度検知部38(図1参照)各々は、転写ロール20cの周辺に設置した。さらに、転写電圧調整部42のCPU52(図1参照)を、画像形成装置90全体を制御するためのシステム制御部89に信号授受可能に接続し、画像形成処理終了を示す画像形成処理終了信号入力可能に構成した。
さらに、画像形成ユニット11dにおいては、第2の電極21(図1参照)を転写ロール20dの内部に設けると共に、第1の電極44(図1参照)を感光体12dの内部に対向するように設けて、第1の電極44(図1参照)を転写用電源(図1参照)、及び転写電圧調整部42の電流検知部46(図1参照)を介して第2の電極21(図1参照)に接続した。さらに、転写電圧調整部42のパルス幅変調信号ジェネレータ50(図1参照)を転写用電源30(図1参照)に信号授受可能に接続した。また、温度検知部36及び湿度検知部38(図1参照)各々は、転写ロール20dの周辺に設置した。さらに、転写電圧調整部42のCPU52(図1参照)を、画像形成装置90全体を制御するためのシステム制御部89に信号授受可能に接続し、画像形成処理終了を示す画像形成処理終了信号入力可能に構成した。
さらに、各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に設けた転写電圧調整部42のメモリ54(図1参照)には、温湿度対応転写電圧テーブルを予め各々記憶すると共に、上記図6に示す処理ルーチンを予め記憶した。
なお、この各画像形成ユニット11a〜画像形成ユニット11d各々のメモリ54に記憶した温湿度対応転写電圧テーブルには、各画像形成ユニットにおいて、環境温度、環境湿度、及び記録媒体の抵抗を変動させたときにおいても、各画像形成ユニット11内の対向領域32に所定強度(感光体上のトナー像を記録媒体Pに転写するための強度)の電界を形成するために転写ロール20a〜転写ロール20d各々に印加するべき転写電圧を予め測定して、温度情報、湿度情報、及び記録媒体の抵抗値情報に対応づけて記憶した。
上記のように構成した画像形成装置を、高温高湿(28℃、85%RH)環境下に24時間放置した後に、上記図6に示す処理ルーチンを実行し、50%の濃度のY色、M色、C色、K色の200mm×60mmサイズの画像を順次重畳転写した画像を10000枚の記録媒体に連続形成した。
さらに、低温低湿(10℃、15%RH)環境下に24時間放置した後に、50%の濃度のY色、M色、C色、K色の画像を順次重畳転写した画像を10000枚の記録媒体に連続形成した。
なお、記録媒体としては、富士ゼロックス社製、商品名C2紙、サイズA4を用いた。
上記高温高湿下、及び低温低湿下で形成された画像について、1枚目、10枚目、100枚目、1000枚目、10000枚目の画像について濃度均一性、がさつきを目視評価した。
評価結果を表1に示した。
(画質 濃度不均一性及びがさつき)
1:濃度が不均一及びがさつきは見られない。
2:実用上気にならないレベルで濃度不均一及び同がさつきが見られる。
3:場合によっては気になるレベルで濃度不均一及びがさつきが見られる。
4:実用上問題となる濃度不均一及び同がさつきがみられる。
なお、本目視評価は、上記採取した画像を用いた10人の被験者テストによるものであり、上記「実質上気にならないレベル」とは、濃度不均一あるいはがさつきが見られるとの回答が5%以下であった場合の状態を示している。また、「場合によっては気になるレベル」とは、具体的には、同回答が10%以下であった場合の状態を示している。さらに、「実質上問題となる」とは、具体的には同回答が20%以上であった場合の状態を示している。
さらに、上記高温高湿下、及び低温低湿下で形成された画像について、1枚目、10枚目、100枚目、1000枚目、10000枚目の画像を形成した後の感光体表面の未転写トナー量の測定を行った。
評価結果を表1に示した。
なお、未転写トナー量の測定は、感光体12a〜感光体12d各々から記録媒P体にトナー像が転写されたと同時に画像形成装置の電源を切り、感光体12a〜感光体12d上に残ったトナーをメンディングテープで取り除き、トナーを付着させる前後におけるメンディングテープの濃度変化から未転写トナー量を測定した。濃度測定にはX−Rite社製、商品名X−Rite404を用いた。
(未転写トナー量評価)
1:濃度変化量0.01D未満。(未転写トナーほとんど無し)
2:濃度変化量0.01D以上0.02D未満。(未転写トナー若干有り)
3:濃度変化量0.02D以上0.03D未満。(未転写トナー有り)
4:0.03D以上。(未転写トナー過剰)
(実施例2)
実施例1で作製した感光体において前記表面処理を施した酸化亜鉛を80質量部とした以外は実施例1と同様に感光体を作製した。このようにして得られた下引き層及び感光体の体積抵抗を実施例1に記載の方法で測定した。
また、実施例1で用いた感光体に換えて、実施例2で作製した感光体を、実施例1で持ちたい画像形成装置に搭載して、実施例1と同様に、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、上記図6に示す処理ルーチンを実行して実施例1と同様にして画像形成処理を行い、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1で作製した感光体において、前記表面処理を施した酸化亜鉛を50質量部以外は実施例1と同様に感光体を作製した。このようにして得られた下引き層及び感光体の体積抵抗を実施例1に記載の方法で測定した。
また、実施例1で用いた感光体に換えて、実施例3で作製した感光体を、実施例1で持ちたい画像形成装置に搭載して、実施例1と同様に、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、上記図6に示す処理ルーチンを実行して実施例1と同様にして画像形成処理を行い、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1で作製した感光体において、アリザリン(シグマアルドリッチジャパン製)1.0質量部とした以外は同様に感光体を作製した。このようにして得られた下引き層及び感光体の体積抵抗を実施例1に記載の方法で測定した。
また、実施例1で用いた感光体に換えて、実施例4で作製した感光体を、実施例1で持ちたい画像形成装置に搭載して、実施例1と同様に、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、上記図6に示す処理ルーチンを実行して実施例1と同様にして画像形成処理を行い、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1で作製した感光体において、N,N'-シ゛フェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-[1、1']ヒ゛フェニル-4,4'-シ゛アミン10部とした以外は同様に電子写真感光体を作製した。このようにして得られた下引き層及び感光体の体積抵抗を実施例1に記載の方法で測定した。
また、実施例1で用いた感光体に換えて、実施例5で作製した感光体を、実施例1で持ちたい画像形成装置に搭載して、実施例1と同様に、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、上記図6に示す処理ルーチンを実行して実施例1と同様にして画像形成処理を行い、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例1で作製した感光体において、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量8万)6質量部とした以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。このようにして得られた下引き層及び感光体の体積抵抗を実施例1に記載の方法で測定した。
また、実施例1で用いた感光体に換えて、実施例6で作製した感光体を、実施例1で持ちたい画像形成装置に搭載して、実施例1と同様に、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、及び低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、上記図6に示す処理ルーチンを実行して実施例1と同様にして画像形成処理を行い、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例1と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例1と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例2において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例2と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例2と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例3において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例3と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例3と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例4において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例4と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例4と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例5)
実施例5において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製 DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例5と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例5と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例6)
実施例6において、画像形成装置として用いた富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color a450の各画像形成ユニット11a、画像形成ユニット11b、画像形成ユニット11c、及び画像形成ユニット11d各々に、図1に示す第2の電極21、第1の電極44、転写電圧調整部42、記録媒体検出部56、温度検知部36、及び湿度検知部38を設けず、さらに該画像形成装置を制御するためのシステム制御部89による制御によって、実施例6と同様にして画像形成処理を行った以外は、実施例6と同様にして濃度均一性、がさつき、及び未転写トナー量を評価した。評価結果を表1に示した。
表1に示すように、本発明の画像形成装置によれば、高温高湿環境下及び低温低湿環境下の双方において、濃度不均一性やがさつきはみられず、且つ未転写トナー量についても実質上問題の無い量であった。一方、転写電圧調整部42を設けなかった比較例1〜比較例6では、実施例1〜実施例6に比べて濃度不均一性およびがさつきの双方に劣ると共に、未転写トナー量も実施例1〜実施例6に比べて多かった。
このことから、実施例1〜実施例6で用いた本発明の画像形成装置によれば、感光体上のトナー像の転写性の低下を抑制することができるとともに、画質劣化を抑制することができる、といえる。