JP4470456B2 - 画像形成装置及び画像形成ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成ユニットに関する。
プリンタや複写機やファクシミリ等の印字ヘッドとして、LEDを光源に用いたLEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)が用いられており、近年では、LPHに自己走査型LED(SLED:Self−scanning LED)を適用したものが提案されている(特許文献1参照)。
SLEDは、選択的に発光点をオン・オフさせるスイッチに相当する部分として、サイリスタ構造を適用し、このサイリスタ構造の適用により、前記スイッチ部を発光点と同一のチップ上に配置することが可能な発光光源アレイである。
このSLEDは、スイッチのオン・オフタイミングを二本の信号線によって、選択的に発光させることができるため、データ線を共通化することができ、配線が簡素化できる特徴がある。
特開平2−263668号公報
しかし、SLEDは自己走査型であるがために、1ドット当たりの各発光点の発光時間は、1チップ当たりの発光点数分の1以下に制限される特徴がある。例えば、1チップに256点の発光点を形成し、自己走査により順次発光させる場合は、連続的に発光できるLEDに比較すると、その発光時間は256分の1以下になってしまう。このように、SLEDは、他のLEDよりも1ドット当たりの発光時間が短いために、1ドット当たりの発光量が少ないという欠点がある。そのため、プロセス速度の速い電子写真画像形成装置や、感光体表面の進行方向に対する画像解像度が高い電子写真画像形成装置においては、感光体の露光後の電位が十分に下げられず、光量が不足することがあった。
また、LEDでは発光素子間の発光量やプロファイルの差によるハーフトーンでの縦筋の発生を抑制するために、各発光素子の発光量を点灯時間により制御している。しかし、使用環境が変わると、特に低温低湿環境では縦筋が発生するという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、発光量の少ないSLEDにおいても光量不足を生ずることなく使用できると共に、各発光素子(LED)の光量補正後においても環境変動時に発生する縦筋状の濃度ムラの発生を抑制した安定な画層形成装置を提供することにある。本発明の目的はまた、このような画像形成が可能な画像形成ユニットを提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明は、導電性支持体及び該支持体上に配置された感光層を備える電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光手段と、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、トナー像を被転写体に転写するための転写手段と、を備える画像形成装置であって、上記露光手段は、複数の自己走査型LED(SLED)が配列した発光素子アレイであり、上記感光層は、電荷発生材料として、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する、画像形成装置を提供する。
本発明の画像形成装置は、画像データに応じて光ビームを走査するSLEDを備えたものであり、電荷発生材料として上記化合物を採用したことから、発光量の少ないSLEDにおいても光量不足を生ずることなく使用できると共に、各発光素子(LED)の光量補正後においても環境変動時に発生する縦筋状の濃度ムラの発生が抑制され、安定な画層形成が可能となる。
この画像形成装置において、上記露光手段は、複数の自己走査型LEDを備える発光素子ユニットを、隣接する前記発光素子ユニットが一部重なるように千鳥型に配列したものであるとよい。このように発光素子ユニットを千鳥型に配列することで、発光素子ユニット同士の継ぎ目の画像への悪影響を防止することができる。
画像形成装置において使用するヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
画像形成装置において使用するヒドロキシガリウムフタロシアニンとして特に好ましいものは、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンであり、このヒドロキシガリウムフタロシアニンは(1)〜(3)の少なくとも1つの特性を更に具備するものであることが好ましい。
(1)平均粒径が0.20μm以下であり、BET比表面積が45m/g以上。
(2)CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有する。
(3)25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%。
このようなヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを、外径0.1〜3.0mmの球形状のメディアを使用した粉砕装置により、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン1重量部に対して前記メディアが50重量部以上になるようにして湿式粉砕処理することにより結晶変換させて得られたものが好適である。
画像形成装置において使用するクロロガリウムフタロシアニンについては、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンが好ましく、トリスアゾ顔料は、下記一般式(1)〜(4)のうちのいずれかで表されるトリスアゾ系顔料がよい。
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はシアノ基を表し、Arはカップラー残基を表す。]
上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン及びトリスアゾ顔料を用いることで、発光量の少ないSLEDにおいても光量不足が特に生じ難く、各発光素子(LED)の光量補正後においても環境変動時に発生する縦筋状の濃度ムラの発生が顕著に抑制され、非常に安定な画層形成が可能となる。また、電子写真感光体を回転させる態様において、感光層の線速度を早くすることができると同時に電子写真特性の安定した画像欠陥の少ない画像形成が可能になる。
このような特性を更に効果的に発揮させ得ることから、感光層は、導電性支持体上に形成された電荷発生層と該電荷発生層上に形成された電荷輸送層とからなり、電荷発生層は前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有するのがよい。
また、前記電子写真感光体は、ドラム形状の導電性支持体の曲面上に感光層が形成されてなるものであり、電子写真感光体は、ドラム形状の中心軸を中心に、感光層表面の線速度が100mm/秒以上になるように回転するものが好ましい。感光層表面の線速度が100mm/秒以上であると、感光体の単位面積当たりの露光量が少なくなることで高感度な電子写真感光が可能となり、結果として画像形成装置の高速化を図ることができるようになる。
画像形成装置においては、電子写真感光体の回転方向における感光層の画像解像度が1200ドット/インチ以上であるのが好ましい。画像解像度が1200ドット/インチ以上であると、LEDの有効な点灯時間が減少し、感光体の単位面積あたりの露光量が減少することで高感度な電子写真感光が可能となり、結果として電子写真装置の高解像度化及び高画質化を図ることができるようになる。
本発明はまた、導電性支持体及び該支持体上に配置された感光層を備える電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び電子写真感光体上に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を備える画像形成ユニットであって、上記露光手段は、複数の自己走査型LEDが配列した発光素子アレイであり、上記感光層は、電荷発生材料として、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する、画像形成ユニットを提供する。
この画像形成ユニットにおいて、発光素子アレイは、複数の自己走査型LEDを備える発光素子ユニットを、隣接する前記発光素子ユニットが一部重なるように配列した発光素子アレイとすることができ、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン及びトリスアゾ顔料、並びに感光層は上記と同様の種類又は構成のものが採用できる。
発光量の少ないSLEDにおいても光量不足を生ずることなく使用できると共に、各発光素子(LED)の光量補正後においても環境変動時に発生する縦筋状の濃度ムラの発生を抑制した安定な画層形成装置、並びに、このような画像形成が可能な画像形成ユニットが提供される。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成概略図である。図1に示す画像形成装置100は、ケーシング102で覆われており、その上面は排出トレイ部104を兼用している。
ケーシング102内には、その中央部に感光体ドラム(電子写真感光体)106が配設されている。感光体ドラム106の周囲には、直上部やや右寄りから反時計回りに、感光体ドラム106の表面を一様に帯電するための帯電部108、自己走査型LED(SLED)が配列した露光部110、CMYKの各色のトナータンク112を装備し、回転することで、順次各色のトナーロール114を感光体ドラム106と対応させることが可能なロータリ現像部116、複数のローラ120に巻き掛けられて図1の矢印A方向に駆動する一次転写体として中間転写ベルト122、クリーニング部124、が配設されている。
感光体ドラム106は、図1の矢印B方向に回転することで、前記帯電部108、露光部110、ロータリ現像部116、中間転写ベルト122、クリーニング部124の各工程でそれぞれの処理がなされる。
中間転写ベルト122の下端部は、画像形成用紙126の搬送経路の一部となっており、この下端部において、画像形成用紙126は、中間転写ベルト122とローラ118との間に挟持搬送されるようになっている。
画像形成用紙126の搬送経路には、複数のローラ118が配設され、給紙トレイ128に積み重ねられた最上層の画像形成用紙126が枚葉装置130によって取り出され、中間転写ベルト122の下端部で接触しながら搬送され、定着部132を介して前記排出トレイ部104へ送り出されるようになっている。
なお、中間転写ベルト122の搬送路の一部に対向する位置には、濃度センサ134が設けられ、例えばテスト用パッチ(色、濃度の見本)の濃度を検出するようになっている。
図2は露光部の斜視図である。図2に示す露光部110は、感光体ドラム106の軸線方向に沿って複数のSLED150が配列された発光素子ユニット152をさらに複数個直列に配列することで構成された発光素子アレイである。この露光部110は同一のケーシング154内に収められた駆動回路156(図4参照)によって点灯制御される。
なお、露光部110は図2と異なる構成のものであってもよい。例えば、図3に示す露光部110のように、複数のSLED150を備える発光素子ユニットを、隣接する発光素子ユニット152が一部重なるように千鳥型に配列した発光素子アレイとしてもよい。
図4は、露光部110を構成するSLED単体における駆動回路図であり、図5は露光部110の駆動回路図である。図4に示されるように、サイリスタ10がオフのとき、トリガをハイレベルとすると、電流Itrが点Pへ流れ、同時に点PからトランジスタQのベースへ電流Ib2が流れる(Itr≒Ib2)。これにより、トランジスタQがオンし、このトラジスタQのコレクタ電流が流れる。すなわち、トランジスタQのベース電流Ib1が流れることになり、トランジスタQもオンとなる。
トランジスタQがオンとなると、トランジスタQのコレクタ電流Ic1が流れ、点Pの電圧が上昇し、電流Itrが流れなくなる。しかし、トランジスタQのコレクタ電流Ic1がトランジスタQのベースへ流れるため(電流Ib2)、トランジスタQはオン状態が維持される。
これにより、トリガがローレベルとなっても、トランジスタQ及びトランジスタQはオン状態を維持する。この状態で電圧VEEが保持され、LEDは点灯可能であり、パルス幅変調を行うことで、所定の光量を得ることができる。
なお、サイリスタ10をオフするには、トランジスタQがオンでも、トランジスタQにベース電流が流れないようにする。すなわち、サイリスタ10の自己保持状態のとき、電圧VEEを0Vにすると、点Pの電圧がハイインピーダンスとなり、寄生容量に貯まった電荷が高抵抗12を通じて放電され、この結果トランジスタQ及びトランジスタQはオフとなる。
図5に示す駆動回路156は、基本的には図4に示した単体の駆動回路の組み合わせであるため、サイリスタ10等の詳細についての説明はここでは省略する。
SLEDを点灯させるトリガとしては、電圧Vが抵抗158を介して点P1(点Pに続く数字は、複数配列されたLEDの順番を示す)に印加されるようになっている。この点P1を含め全ての段の点P(1〜N(Nは正の整数))は、それぞれ抵抗160を介して、ベース線161に接続されている。ベース線161は、初段で所定の電圧を維持し、各段に行くに従い、所定電位(Vf)ずつ低下する電位(Φga)とされるようになっている。
また、点P(1〜N)は、SLED150のアノード側に接続されている。なお、SLED150のカソード側は後述する階調信号線163に接続されている。
ここでΦgaは、図6に示されるように、濃度センサ134からの検出信号に基づいて、APC(オートパワーコントロール)162によるに光量指示値を受けて定電流駆動されるようになっている(定電流駆動回路)。すなわち、光量指示値は、DAコンバータ164でアナログ値に変換され、抵抗166を介して第1のコンパレータ168のマイナス側入力端に接続されている。この第1のコンパレータ168のプラス側入力端はアース(GND)されている。また、第1のコンパレータ168の出力端とマイナス側入力端とは抵抗170を介して接続されている。これにより、第1のコンパレータ168の出力は、光量指示値によって変化し、所定の電圧となる。
ここで、この出力電圧を第2のコンパレータ172のプラス側入力端に接続し、マイナス側入力端を抵抗174を介して基準の電圧源VSSと接続し、さらに、第2のコンパレータ172の出力端をMOS型トランジスタ176へ接続することで、このMOS型トランジスタ176には、一定の電流が流れることになる。
なお、図6では、Φgaの駆動回路を、定電流駆動回路178としたが、図7に示されるように、定電圧駆動回路180であってもよい。回路構成は図6の第1のコンパレータ168の出力を用いればよいため、同一の符号を付して構成の説明を省略する。
図5に示されるように、奇数段のトランジスタQのエミッタは第1の制御線(V1)182に接続され、偶数段のトランジスタQのエミッタは第2の制御線(V2)184に接続されている。また、各段の点P(1〜からN)は、SLED150の一端に接続され、このSLEDの他端は各段の階調信号となるパルス波を出力する階調信号線163に接続されている。この階調信号線163がローレベル(L)のときに、前記点P(1〜N)が所定の電位となっていれば、LEDは点灯する。
図8は、階調信号線163に送られるパルス波形の生成回路図である。図8に示す生成回路200において、画像処理部202(例えば、記録媒体や通信回線等から送られてきた様々な形式の画像を本実施の形態の画像形成装置100に対応する形式に変換処理する)から出力される階調信号(12ビット)は積算器204に入力される。この積算器204には、補正データ保持部206に保持された補正データ(4ビット)も入力されており、各SLEDの発光点むら等が補正される。積算器で補正データが加味された補正階調信号はDAコンバータ208によってアナログ信号に変換され(濃度信号)、コンパレータ210のプラス側入力端へ入力される。
一方、タイミング生成部212から出力される制御信号線V1(Φ1)、V2(Φ2)には、それぞれ分岐線182A、184Aに接続され、これらの分岐線182A、184AはOR回路186へ入力する。このため、OR回路186の出力は、V1及びV2の何れか一方がアクティブのとき(ここで、ローレベル)出力がアクティブとなる。このアクティブとなった時期に同期して三角波発生回路188では、三角波が生成され、コンパレータ210のマイナス側入力端に入力されるようになっている。
この動作が図9のタイミングチャートに示されている。すなわち、V1(Φ1)、V2(Φ2)のORをとった信号に応じて三角波が形成される。このとき、各三角波間には、スペースaが生じ、これが、奇数LED及び偶数LEDの点灯タイミングにおいて、それぞれ順次1個ずつ点灯させるためのインタバルとなる。この三角波に濃度信号を重ね合わせ、三角波における濃度信号より高いレベルの範囲が実際の点灯時間となり、階調信号線163に送るパルス波形を生成することができる。
次に、電子写真感光体の好適な実施形態について詳述する。
図10〜図13は、それぞれ第1〜第4実施形態に係る電子写真感光体の断面を示す模式図である。図10に示す電子写真感光体は、導電性支持体3上に電荷発生層1が設けられ、その上に電荷輸送層2が設けられている。図11に示す電子写真感光体は、導電性支持体3と電荷発生層1との間に下引層4が設けられている他は図10の電子写真感光体と同様の構成を有しており、図12に示す電子写真感光体は、電荷輸送層2上に保護層5が設けられている他は図10の電子写真感光体と同様の構成を有している。図13に示す電子写真感光体は、導電性支持体3と電荷発生層1との間に下引層4が設けられている他は図12の電子写真感光体と同様の構成を有している。
なお、第1〜第4実施形態において電荷発生層1及び電荷輸送層2により感光層が形成される。感光層は、第1〜第4実施形態のように、電荷発生材料を含む層と電荷輸送材料を含む層とが隣接するように形成して、いわゆる機能分離型感光層とすることができるが、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一層に含むようにして、いわゆる単層型感光層としてもよい。
次に、電子写真感光体の各要素について詳述する。
導電性支持体3としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケルなどの金属ドラム;シート、紙、プラスチック又はガラス等の基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;上記基体上に酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したもの;上記基体上に金属箔をラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、上記基体上に塗布することによって導電処理したものなどが挙げられる。導電性支持体3の形状としては、ドラム状の他、シート状、プレート状などのいずれであってもよい。
導電性支持体3として金属パイプ基材を用いる場合、当該基材の表面は、素管のままであってもよく、また、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの処理を施してもよい。基材表面を粗面化することにより可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
下引層4は、積層構造からなる感光層の帯電の際に、導電性支持体3から感光層への電荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性支持体3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を有するものである。また、下引層4は、場合により、導電性支持体3の光の反射防止作用等を示す。
下引層4の材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。また、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも上層(例えば電荷発生層1)形成用塗布液に含まれる溶剤に不溶な樹脂、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。さらに、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
下引層4中には、感光体特性向上のために、導電性物質を含有させることができる。導電性物質としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物等が挙げられるが、所望の感光体特性が得られるのであれば、公知のいかなるものでも使用することができる。
これらの金属酸化物には表面処理を施すことができる。表面処理を施すことで、抵抗値の制御、分散性制御、感光体特性向上を図ることができる。表面処理剤としては、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でもシランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ない、画質特性に優れるなど性能上優れている。
シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物の例としては前述した例と同じ物質があげられる。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法により表面処理を施す場合、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、シランカップリング剤を直接又は有機溶媒に溶解させて滴下し、それらの混合物を乾燥空気や窒素ガスと共に噴霧させることによって、均一な表面処理が行われる。シランカップリング剤の滴下及び混合物の噴霧は溶剤の沸点以下の温度で行うことが好ましい。滴下又は噴霧を溶剤の沸点以上の温度で行うと、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的に凝集して均一な処理ができにくくなる。
このようにして表面処理された金属酸化物粒子について、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法としては、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散した後、溶剤除去することで均一に処理される。溶剤は蒸留により留去することが好ましい。なお、ろ過による除去方法では未反応のシランカップリング剤が流出しやすく、所望の特性を得るためのシランカップリング剤量をコントロールしにくいため、好ましくない。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては金属酸化物微粒子含有水分除去法として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いることもできる。
下引層4中の金属酸化物微粒子に対するシランカップリング剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であればいかなる量でも用いることができる。また、下引層4中に用いられる金像酸化物微粒子と樹脂との割合は、所望の電子写真特性が得られる割合であれば任意に設定できる。
下引層4中には、光散乱性の向上などの目的により、各種の有機もしくは無機微粉末を混合することができる。かかる微粉末の好ましい例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機顔料やテフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが挙げられる。これらの微粉末の粒径は0.01〜2μmであることが好ましい。微粉末は必要に応じて添加される成分であるが、その添加量は、下引層4に含まれる固形分に対して、重量比で10〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることが好ましい。
また、下引層4の形成に用いられる塗布液には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いることができる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料等が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するに際し、前述の導電性物質や光散乱物質などの微粉末を混入させる場合には、樹脂成分を溶解した溶液中に微粉末を添加して分散処理を行うことが好ましい。微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。
また、下引層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
下引層4の膜厚は、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜30μmである。
電荷発生層1は、電荷発生材料及び結着樹脂を含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、及びトリスアゾ系顔料から選ばれる少なくとも1種である。これらの電荷発生物質を用いることにより、電子写真感光体の感度及びその環境安定性が十分に高められるため、発光量の少ないSLEDにおいても光量不足を生ずることなく使用できると共に、各発光素子(LED)の光量補正後においても環境変動時に発生する縦筋状の濃度ムラの発生が抑制され、安定な画層形成が可能となる。これらの電荷発生材料の中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、及びトリスアゾ系顔料から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、以下に示す電荷発生材料を用いることが特に好ましい。
(i)CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、
(ii)CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、
(iii)一般式(1)で表されるトリスアゾ顔料、
(iv)一般式(2)で表されるトリスアゾ顔料、
(v)一般式(3)で表されるトリスアゾ顔料、
(vi)一般式(4)で表されるトリスアゾ顔料。
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はシアノ基を表す。
また、Arはカップラー残基を表す。カップラー残基の好ましい例としては、下記一般式(5)〜(11)で表される基が挙げられる。
Figure 0004470456
[上記式(5)中、Xは−OH、−N(R)(R)又は−NHSO−Rを表し(R及びRは水素原子、アシル基又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、Rは置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表す)、Yは水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルホン基、ベンズイミダゾリル基、置換若しくは未置換のスルファモイル基、置換若しくは未置換のアロファノイル基又は−CON(R)(Y)を表し(Rは水素原子、アルキル基若しくはその置換対又はフェニル基若しくはその置換体を表し、Yは炭化水素環基若しくはその置換体、複素環基若しくはその置換体又は−N=C(R)(R)を表し(Rは炭化水素環基若しくはその置換体、複素環基若しくはその置換体又はスチリル基若しくはその置換体を表し、Rは水素原子、アルキル基若しくはその置換体又はフェニル基若しくはその置換体を表すか、あるいはR及びRはそれらに結合する炭素原子と共に環を形成してもよい)、Zは炭化水素環基若しくはその置換体又は複素環基若しくはその置換体を表す。]
Figure 0004470456
[式中、Rは置換又は未置換の炭化水素基を表す。]
Figure 0004470456
[式中、Rは置換又は未置換の炭化水素基を表す。]
Figure 0004470456
[式中、R10はアルキル基、カルバモイル基、カルボキシル基又はそのエステルを表し、Arは置換又は未置換の芳香族炭化水素基を表す。]
Figure 0004470456
[式中、Xは2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基を表す。]
Figure 0004470456
[式中、Xは2価の芳香族炭化水素基又は2価の複素環基を表す。]
Figure 0004470456
[式中、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、R13は水素原子又はハロゲン原子を表す。]
本発明に用いる電荷発生材料の製造方法としては、公知の方法で製造される顔料結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕する方法や、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行う方法などが挙げられる。
上記の処理において使用される溶剤としては、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、上記溶剤の2種以上の混合溶剤、上記溶剤と水との混合溶剤などが挙げられる。溶剤の使用量は、顔料結晶1重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。処理温度は、好ましくは0℃〜溶剤の沸点の範囲、より好ましくは10〜60℃の範囲である。
また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤の使用量は、顔料結晶に対する重量比で、好ましくは0.5〜20倍、より好ましくは1〜10倍である。
また、公知の方法で製造される顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用される。溶解温度は、好ましくは−20〜100 ℃、より好ましくは0〜60℃である。硫酸の量は、顔料結晶に対する重量比で、好ましくは1〜100倍、より好ましくは3〜50倍である。硫酸に溶解した顔料結晶を析出させる溶剤としては、水、又は水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。かかる溶剤の使用量は任意である。また、顔料結晶を析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
本発明の電荷発生材料として特に好ましいものは、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(以下場合により「ヒドロキシガリウムフタロシアニン1」という。)であり、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンとは異なるものである。また、810〜835nmの範囲に最大ピーク波長を有するものは、より優れた分散性が得られるため好ましい。このように、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニンよりも短波長側にシフトさせることにより、顔料粒子の結晶配列が好適に制御された微細なヒドロキシガリウムフタロシアニンとなり、電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とを得ることができる。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン1は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが好ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが好ましく、0.01〜0.15μmであることがより好ましく、一方、BET比表面積が45m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、55〜120m/gであることが特に好ましい。
平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成されており、電子写真感光体の材料として用いた場合の分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じやすい傾向にある。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン1は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが好ましい。
更に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%であることが好ましく、2.5〜3.8%であることがより好ましい。なお、熱重量減少率は熱天秤等により測定することができる。
上記熱重量減少率が4.0%を超えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1に含有される不純物が電子写真感光体に影響を及ぼし、感度特性、繰り返し使用時における電位の安定性や画像品質の低下が生じる傾向にある。また、2.0%未満であると、感度の低下が生じる傾向にある。これは、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1が結晶中に微量含有する溶剤分子との相互作用によって増感作用を示すことに起因する。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン1は、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを湿式粉砕処理することによって結晶変換するヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法である。この場合、湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状のメディアを使用した粉砕装置により、メディアの使用量をヒドロキシガリウムフタロシアニンの1重量部に対して50重量部以上として行い、湿式粉砕処理の時間を、粉砕過程の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンの吸収波長を測定することにより決定することが好ましい。そして、湿式粉砕処理において、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンが、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するものとなるように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら湿式粉砕処理時間を決定することが好ましい。
かかる製造方法において原料として使用される、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)6.9°、13.2〜14.2°、16.5°、26.0°及び26.4°、又は、7.0°、13.4°、16.6°、26.0°及び26.7°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(以下、「I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン」という)は、従来公知の方法によって得ることができる。以下にその一例を示す。
先ず、o−フタロジニトリル又は1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水又は氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン1の製造方法においては、上記のアシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンを溶剤とともに湿式粉砕処理して結晶変換する。
ここで、上記湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状メディアを使用した粉砕装置を用いて行われるが、好ましくは外径0.2〜2.5mmの球形状メディアを用いて行われる。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成しやすい傾向にある。また、メディアの外径が0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニン1とを分離し難くなる傾向にある。更に、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニン1の特性を劣化させ易くなる傾向がある。
上記メディアの材質は特に制限されないが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1中に混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー等が好ましい。
また、上記湿式粉砕処理を行う容器は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1中にその一部が混入した場合にも画質欠陥を発生し難いものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等が好ましい。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド等をライニングしたものであっても良い。
上記メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、I型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの1重量部に対して50重量部以上であり、好ましくは55〜100重量部である。また、メディアの外径が小さくなると、同じ重量(使用量)でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量とをコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、湿式粉砕処理の温度は、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは5〜80℃であり、特に好ましくは10〜50℃である。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなる傾向にあり、また、温度が高すぎる場合には、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となる傾向にある。
湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類の他に、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの1重量部に対して通常1〜200重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
上述したヒドロキシガリウムフタロシアニン1の製造方法において、結晶変換の進行スピードは、湿式粉砕処理の工程のスケール、攪拌スピード、メディア材質などに大きく影響されるが、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンが600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら湿式粉砕処理時間を決定し、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン1に結晶変換されるまで継続することが好ましい。ここで、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターする手法として具体的には、例えば、湿式粉砕処理装置より結晶変換処理中の顔料溶液を少量サンプリングし、アセトン、酢酸エチルなどの溶剤で希釈した溶液を分光光度計を用いて液セル法により測定する方法が挙げられる。
このようにして決定される湿式粉砕処理時間は、通常5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲である。処理時間が5時間未満であると、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足が生じやすくなる傾向にある。また、処理時間が500時間を超えると、粉砕ストレスの影響による感度低下、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などが生じやすくなる傾向にある。湿式粉砕処理時間を上記のように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となり、更に、複数ロットの繰り返し湿式粉砕処理を実施した場合には、ロット間の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン1の製造方法においては、湿式粉砕処理後、更に溶剤による洗浄及び/又は加熱乾燥を行うことが好ましい。このような、溶剤による洗浄や加熱乾燥によって、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの不純物濃度をコントロールすることができ、特に、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%であるヒドロキシガリウムフタロシアニンを効率的に且つ確実に得ることが可能となる。
溶剤による洗浄処理により不純物濃度をコントロールする場合、使用する溶剤としては、例えば、水、エタノール、メタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤、及びこれらの混合溶剤等、並びに二酸化炭素や窒素等の超臨界流体等が挙げられる。また、洗浄方法としては、公知の方法を特に制限なく使用することができるが、洗浄効率の観点から、セラミックフィルター、超音波洗浄器、ソックスレー抽出器、又は流路径が10〜1000μmのマイクロミキサー等を使用する洗浄方法が効果的である。
また、加熱乾燥により不純物濃度をコントロールする場合、加熱乾燥の温度としては、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜180℃である。加熱温度が50℃未満であると、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの諸特性に影響を及ぼす不純物を完全に除去することが困難となる傾向にあり、200℃を越えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの感度が著しく低下する傾向にある。また、加熱乾燥の処理時間は、処理するヒドロキシガリウムフタロシアニンの重量に応じて適宜調節することが好ましい。
加熱乾燥によりヒドロキシガリウムフタロシアニンの不純物を効率良く除去するためには、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの加熱乾燥を減圧下で行うことが好ましい。減圧下で加熱乾燥を行う場合には、加熱乾燥の温度を常圧下で行う場合よりも低温にすることができるという利点がある。このときの加熱乾燥の温度は、減圧の程度にもよるが、50℃〜200℃の範囲であることが好ましい。
また、加熱乾燥は不活性気体の存在下で行うことが好ましい。不活性気体としては、周期律表第0族のヘリウム、ネオン、アルゴン等、及び窒素等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を混合して使用することができる。これら不活性気体の存在下で加熱乾燥を行うことにより、空気中の酸素によりヒドロキシガリウムフタロシアニンが酸化されるのを防止し、高温での加熱乾燥が可能となるという利点がある。また、加熱乾燥は光を遮断した状態で行うことも好ましい。これにより、加熱乾燥の際にヒドロキシガリウムフタロシアニンが光疲労するのを防止することができる。
以上説明した、いずれの電荷発生材料についても、電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物などを用いることができる。
カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
また、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。
また、有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
また、有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
電荷発生層1に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層1は、例えば、上記特定の電荷発生材料及び結着樹脂を所定溶剤に加えた塗布液を用いて形成される。電荷発生層用塗布液を調製する際には、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の分散方法を用いることができる。この分散の際、電荷発生材料の平均粒径を、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、分散後に分散時に混入した異物、分散不良な粗大粒子などを除去し、良好な電子写真感光体を得るために、遠心分離処理やフィルタリング処理を実施することができる。
遠心分離処理やフィルタリング処理は所望の電子写真感光体特性が得られる条件であれば、いかなる条件でも実施することができるが、必要な電荷発生材料を除去してしまわないように注意する必要がある。
さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
さらに、電荷発生層の電気特性の向上、画質の向上などのために、電荷発生層形成用塗布液に種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
電荷輸送層2は、例えば電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成される。電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4,4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル]−(1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質;あるいは上記化合物と同様の構造を有する基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層2に用いられる結着樹脂としては特に制限されないが、電気絶縁性を示しフィルム形成可能な樹脂が好ましい。このような結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシーメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が、電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れており、好ましく用いられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(重量比)は任意に設定可能であるが、好ましくは70:30〜40:60である。
電荷輸送層2は、電荷輸送物質及び結着樹脂を所定溶剤に加えた塗布液を、電荷発生層1上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送層2の膜厚は、電気特性低下、膜強度低下の抑制の点から、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜35μmである。
電荷輸送層2の電荷移動度は、高速での使用、筋状濃度ムラを抑制する点から速い方が好ましく、好ましくは1.0×10−6cm/V・s以上、より好ましくは5.0×10−6cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0×10−5cm/V・s以上である。
さらに、本発明の電子写真感光体には電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル-3-オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチルジチオカルバメートなどがある。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。本発明の電子写真感光体に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
本発明の電子写真感光体には、必要に応じて、保護層5を設けることもできる。保護層5を設けることにより、積層構造からなる電子写真感光体では帯電時の電荷輸送層2の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善したりすることができる。この保護層5は、例えば導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて構成される。
保護層5に用いる導電性材料としては、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物を混合したもの、あるいは被覆したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層5に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられ、これらは必要に応じて架橋して使用することも出来る。さらに電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂を保護層として使用することもできる。電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜の場合、電荷輸送性化合物として公知の材料であればいかなるものでも使用可能であるが、例えば特開平10−95787号公報、特開平10−251277号公報、特開平11−32716号公報、特開平11−38656号公報、特開平11−236391号公報に示された化合物等が挙げられるがこれに限定されるものではない。電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜の具体例としては一般式(I)として表すことができる。
F−[D−SiR14 3−a(OR15 (I)
[一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは2価の基を表し、R14は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R15は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは1〜4の整数を表す。]
一般式(I)中、Fは、光電特性、より具体的には光キャリア輸送特性を有する有機基であり、従来、電荷輸送物質として知られている光機能性化合物の構造をそのまま用いることができる。Fで表される有機基としては、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、及びキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格等が挙げられる。
一般式(I)中、−SiR14 3−a(OR15で表される基は、互いに架橋反応することにより、3次元的な Si−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成するためのものである。
一般式(I)中、Dで表される2価の基は、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。具体的には、−C2n−、−C2n−2−、−C2n−4−で表される2価の炭化水素基(nは好ましくは2〜15である)、−COO−、−S−、−O−、−CH−C−、−N=H−、−C−C−、およびこれらの組み合わせや置換基を導入したものなどが挙げられる。
Fで表される有機基の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。Fが一般式(II)で表される基であると、特に優れた光電特性と機械特性を示す。
Figure 0004470456
[一般式(II) 中、Ar〜Arは、それぞれ独立に置換あるいは未置換のアリール基を表し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、kは0又は1を表し、Ar〜Arのうちb個は−D−SiR14 3−a(OR15で表される基に結合する結合手を有する。]
上記一般式(II)中のAr〜Arとしては、下記式(II−1)〜(II−7)のうちのいずれかであることが好ましい。
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
−Ar−Z’−Ar−X (II−7)
[式中、R16は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R17〜R19はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Xは一般式(I)中の−D−SiR14 3−a(OR15を表し、tは1〜3の整数を表す。]
ここで、式(II−7)中のArとしては、下記式(II−8)又は(II−9)で表されるものが好ましい。
Figure 0004470456
Figure 0004470456
[式中、R20及びR21はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基又は未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1〜3の整数を表す。]
また、式(II−7)中のZ’としては、下記式(II−10)〜(II−17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH− (II−10)
−(CHCHO)− (II−11)
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
[式中、R22及びR23はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基又は未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1〜10の整数を表し、tはそれぞれ1〜3の整数を表す。]
上記式(II−16)、(II−17)中のWとしては、下記(II−18)〜(II−26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。
−CH− (II−18)
−C(CH− (II−19)
−O− (II−20)
−S− (II−21)
−C(CF− (II−22)
−Si(CH− (II−23)
Figure 0004470456
Figure 0004470456
Figure 0004470456
[式中、uは0〜3の整数を表す。]
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr〜Arの説明で例示されたアリール基であり、kが1のときはかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(I)中、Dで表される2価の基は、光電特性を付与するFと3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合するAとを結びつける働きを担い、且つ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという役割を担うものである。Dで表される2価の基としては、具体的には、−C2n−、−C2n−2−、−C2n−4−で表わされる2価の炭化水素基(nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH−C−、−N=CH−、−C−C−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したもの等が挙げられる。
一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2個以上有することになり、無機ガラス質ネットワークの形成が容易となり、機械的強度が向上する傾向にある。
一般式(I)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
B(−SiR14 3−a(OR15 (III)
[一般式(III)中、R14、R15、aは一般式(I)中のR14、R15、aと同一の定義内容を表す。Bは、n価の炭化水素基及び−NH−から選ばれる1種又はこれらの2種以上の組み合わせから構成されるn価の基を表し、nは2以上の整数を表す。]
一般式(III)中のBは、前述の通り、n価の炭化水素基及び−NH−から選ばれる基又はこれらの2種以上の組み合わせから構成されるn価の基を表す。Bがn価の炭化水素基である場合又は当該炭化水素基を含んで構成される場合、当該炭化水素基は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基のいずれであってもよい。また、当該炭化水素基が有するアルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。さらに、当該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
一般式(III)で表される化合物は、−SiR14 3−a(OR15で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。一般式 (III)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物との反応又は一般式(III)で表される化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。一般式(III)で表される化合物と一般式(I)で表される化合物とを併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。一般式(III)で表される化合物の好ましい例を表1に示す。
Figure 0004470456
一般式(I)で示される化合物は単独で使用しても良いし、膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、一般式(III)で示される化合物や、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP-85、X-40-9740、X-40-2239 (以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)などを用いることができる。また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシランなどの含フッ素化合物を加えてもよい。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)で示される化合物1重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは、1〜20重量部で使用される。反応温度および時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは、10〜50℃の温度で行うことが好ましい。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分〜100時間の範囲で行うことが好ましい。
コーティング液調整のために、系に不溶な固体触媒として以下のような触媒を用い、あらかじめ加水分解することができる。
陽イオン交換樹脂:アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)など
陰イオン交換樹脂:アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)など
プロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体:Zr(O3 PCH2 CH2 SO3 H)2 ,Th(O3 PCH2 CH2 COOH)2 など
プロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン:スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなど
ヘテロポリ酸:コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸など
イソポリ酸:ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸など
単元系金属酸化物:シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなど
複合系金属酸化物:シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類など
粘土鉱物:酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなど
金属硫酸塩:LiSO4 ,MgSO4 など
金属リン酸塩:リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなど
金属硝酸塩:LiNO3 ,Mn(NO3 2 など
アミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体:シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体など
アミノ基を含有するポリオルガノシロキサン:アミノ変性シリコーン樹脂など。
これらの触媒のうち、少なくとも1種を用いて加水分解縮合反応を行わせる。これらの触媒は、固定床中に設置し反応を流通式に行うこともできるし、バッチ式に行うこともできる。触媒の使用量は、特に限定されないが、加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20重量%が好ましい。
加水分解縮合させる際の水の添加量は特に限定されないが、生成物の保存安定性やさらに重合に供する際のゲル化抑制に影響するため、好ましくは一般式(I)で示される化合物の加水分解性基をすべて加水分解するに必要な理論量に対して30〜500%、さらに好ましくは50〜300%の範囲の割合で使用することが好ましい。水の量が500%よりも多い場合、生成物の保存安定性が悪くなったり、析出しやすくなる。一方、水の量が30%より少ない場合、未反応の化合物が増大してコーティング液を塗布、硬化時に相分離を起こしたり、強度低下を起こしやすい。
さらに、硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜10重量%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
電子写真感光体の保護層5には、帯電器で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。電子写真感光体の表面の機械的強度を高めてその寿命を長くすると、電子写真感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来よりも強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(例えば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の平均分子量は2,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましい。平均分子量が2,000未満であると所望の効果が得られにくい傾向にある。また、平均分子量が100,000を超えると、溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。樹脂の添加量は1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。樹脂の添加量が1重量%未満の場合は所望の効果が得られにくい傾向にあり、また、40重量%を超えると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる傾向にある。
また、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種微粒子を添加することもできる。微粒子は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径1〜100nm、好ましくは10〜30nmの酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、最表面層の全固形分を基準として0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、平均粒子径1〜500nm、好ましくは10〜100nmの、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。本発明の電子写真感光体における最表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1〜30重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
また、その他の微粒子としては、四弗化エチレン、三弗化エチレン、六弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーとを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類、等の環状のシロキサン等が挙げられる。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
なお、単層型感光層は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して構成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、好ましくは10〜85重量%、より好ましくは20〜50重量%である。単層型感光層8には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(I)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
次に、本発明の画像形成ユニット(プロセスカートリッジ)について説明する。
図14は、本発明の画像形成ユニットの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。画像形成ユニット300は、電子写真感光体307とともに、帯電装置308、現像装置311、中間転写体320(中間転写装置)、クリーニング装置313、露光のための開口部318、及び、除電露光のための開口部317を取り付けレール316を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。また、画像形成ユニット300は、転写装置312の転写方式が、トナー像を中間転写体320を介して被転写媒体500に転写する中間転写方式を採用する構成を有している。なお、電子写真感光体307は、上述した電子写真感光体の構成を有するものである。
そして、この画像形成ユニット300は、転写装置312と、定着装置315と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
なお、本発明の画像形成ユニットにおいて、帯電装置308(帯電用部材)は、帯電ロール、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電チューブ等による接触帯電方式を採用することができる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、或いはローラ状等何れでもよいが、特にローラ状部材が好ましい。通常、ローラ状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。更に必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
上述した本発明の画像形成ユニットに使用される現像装置311について具体的に説明すると、現像装置311としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。また、トナーとしては、機械的な粉砕方や化学重合で作られる。トナーの形状としては不定形なものから球形のものが挙げられる。
画像形成ユニットに使用される中間転写装置320について具体的に説明すると、中間転写装置320としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、上記転写帯電器の他、剥離帯電器等を併用することもできる。
画像形成ユニットに使用されるクリーニング装置313について具体的に説明すると、クリーニング装置313としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。例えば、ウレタン製のブレードやクリーニングブラシ等が挙げられる。
画像形成ユニットに使用される除電装置(光除電装置)について具体的に説明すると、光除電装置としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、電子写真感光体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。本実施形態においては、開口部317からこのような光除電装置からの光を取り込み、感光体を除電する。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1)
ED管アルミニウム基体の外周面をD50が30μmの球状のアルミナ微粉末を用いて液体ホーニング処理し、中心線平均粗さRaが0.18μmに粗面化された30mmφの導電性基体を得た。
次に、4重量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を溶解したn−ブチルアルコール170重量部に、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部および有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を添加、混合撹拌して下引層形成用の塗布液を得た。得られた塗布液を、浸漬塗布装置を用いて上記基体の外周面に塗布し、室温で5分間風乾を行った後、支持体を10分間で50℃に昇温し、50℃、85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れて、20分間加湿硬化促進処理を行った。その後、熱風乾燥機に入れて170℃で10分間乾燥を行い膜厚1.0ミクロンの下引層を形成した。
次に、下記式(12)で表され、CuKα先を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4重量部、バインダー樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製))1重量部、n−酢酸ブチル120重量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0004470456
次に、電荷輸送材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン5重量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)5重量部、テトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を混合して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、120℃で40分の乾燥を行うことにより膜厚28μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
このようにして得られた電子写真感光体を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、露光装置としては、発光波長が780nm、走査線数が1200dpiのものを用いた。
参考例2)
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、下記式(13)で表され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンを用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
Figure 0004470456
参考例3)
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、下記式(14)で表されるトリスアゾ系顔料を用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
Figure 0004470456
参考例4)
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、下記式(15)で表されるトリスアゾ系顔料を用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
Figure 0004470456
(比較例1)
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりにCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも27.3°の位置に回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
(比較例2)
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりにx型無金属フタロシアニンを用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
参考例5)
先ず、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基体を用意した。次に、酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100重量部及びトルエン500重量部の混合物を攪拌し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.5重量部を添加してさらに2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
このようにして表面処理が施された酸化亜鉛60重量部を、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部及びブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15重量部と共にメチルエチルケトン85重量部に溶解して溶液とした。この溶液38重量部をメチルエチルケトン25重量部と混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部と光散乱付与のため、平均粒径4.5μmのシリコーン樹脂ボール(GE東芝シリコーン(株)製、トスパール145)3.5重量部を添加、攪拌し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて上記基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引層を得た。
次に、上記式(12)で表され、CuKα先を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4重量部、バインダー樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製))1重量部、n−酢酸ブチル120重量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン5重量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)5重量部、テトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を混合して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、120℃で40分の乾燥を行うことにより膜厚28μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
参考例6)
電荷発生物質として、参考例5におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、上記式(13)で表され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンを用いたこと以外は参考例5と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
参考例7)
電荷発生物質として、参考例5におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、上記式(14)で表されるトリスアゾ系顔料を用いたこと以外は参考例5と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
参考例8)
電荷発生物質として、参考例5におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、下記式(15)で表されるトリスアゾ系顔料を用いたこと以外は参考例5と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
[比較例3]
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりにCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも27.3°の位置に回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンを用いたこと以外は参考例5と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
[比較例4]
電荷発生物質として、参考例5におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりにx型無金属フタロシアニンを用いたこと以外は参考例5と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。
(画質の評価)
参考例1〜8及び比較例1〜4の各画像形成装置について、22℃、50%RHの条件において感光体の回転方向に発生する筋状濃度ムラが発生しないように、SLEDの各発光点の露光量の調整を行った。次に10℃、15%RHでプリント試験を行い、筋状濃度ムラの発生の有無を調べた。得られた結果を表2に示す。表2中、Aは筋状濃度ムラの発生が全くないか極軽微なもの、Bは筋状濃度ムラの発生が軽微なもの、Cは筋状濃度ムラの発生が顕著なものを意味する。
Figure 0004470456
[ヒドロキシガリウムフタロシアニン1を用いた実施例]
(合成例1)
1,3−ジイミノイソインドリン30重量部及び三塩化ガリウム9.1重量部をジメチルスルホキシド230重量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させて赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキシドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28重量部を得た。
次に、得られたI型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶10重量部を60℃に加熱した硫酸(濃度97%)300部に十分に溶解させた溶液を、25%アンモニア水600重量部とイオン交換水200重量部との混合溶液中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を濾過により採取し、イオン交換水で洗浄した後、乾燥してI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン8重量部を得た。
このようにして得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンについて、X線回折スペクトルの測定を行った。その結果を図15に示す。なお、本実施例におけるX線回折スペクトルの測定は、粉末法によりCuKα特性X線を用いて、以下の条件で行った。
使用測定器:理学電機社製X線回折装置Miniflex
X線管球:Cu
管電流:15mA
スキャン速度:5.0deg./min
サンプリング間隔:0.02deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):35deg.
ステップ角度(2θ):0.02deg.
(製造例1)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン6重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド90重量部及び外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部とともに、ガラス製ボールミルを使用して25℃で48時間湿式粉砕処理した。このとき、結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターし、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)が827nmであることを確認した。
次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図16に、分光吸収スペクトルを図21に、透過型電子顕微鏡写真を図28に、それぞれ示す。
なお、分光吸収スペクトルの測定は、日立製作所社製のU−2000型分光光度計を用い、測定液は、室温で酢酸n−ブチル8mLにヒドロキシガリウムフタロシアニン0.6gを分散させて調製した。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの粒形状態は、透過型電子顕微鏡(H−9000、日立製作所社製)を用いて観察した。
(製造例2)
湿式粉砕処理時間を48時間から96時間に代えた以外は製造例1と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は825nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図17に、分光吸収スペクトルを図22に、透過型電子顕微鏡写真を図29に、それぞれ示す。
(製造例3)
湿式粉砕処理時間を48時間から192時間に代えた以外は製造例1と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は819であった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図18に、分光吸収スペクトルを図23に、透過型電子顕微鏡写真を図30に、それぞれ示す。
(製造例4)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径2.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は827nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例5)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径0.3mmのガラス製球形状メディア400重量部を用い、N,N−ジメチルホルムアミドの使用量を90重量部から120重量部に代えた以外は製造例1と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は826nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例6)
製造例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター(UF巻セラミックフィルター、日本ガイシ社製)上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、80℃で24時間加熱乾燥した後、光を遮断した真空乾燥機(DP61型、ヤマト科学社製)を用いて、110℃、0.01mmHgの減圧下で2時間加熱乾燥し、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は823nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例7)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径1.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は製造例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、80℃で24時間加熱乾燥した後、光を遮断した真空乾燥機(DP61型、ヤマト科学社製)を用いて、110℃、−0.98kPaの減圧下で2時間加熱乾燥し、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は818nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルを図24に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルは、製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例8)
光を遮断した真空乾燥機による加熱乾燥の温度を110℃から150℃に代えた以外は製造例7と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は821nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例9)
外径1.0mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径3.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は製造例7と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は835nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例10)
光を遮断した真空乾燥機による加熱乾燥の温度を110℃から220℃に代えた以外は製造例7と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は823nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例1とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例11)
1,3?ジイミノイソインドリン30重量部および三塩化ガリウム9.1重量部をキノリン230重量部中に添加し、200℃において3時間反応させた後、生成物を濾別した。次いで、この生成物をアセトン、メタノールで洗浄し、得られた湿ケーキを乾燥してクロロガリウムフタロシアニン結晶28重量部を得た。このクロロガリウムフタロシアニン結晶3重量部を濃硫酸(濃度97%)60重量部に0℃にて溶解した溶液を、5℃の蒸留水450重量部中に滴下してヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を析出させた。この結晶を蒸留水、希アンモニア水で洗浄した後、乾燥して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を自動乳鉢にて5.5時間粉砕し、非晶質のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン5.0重量部をジメチルホルムアミド150重量部及び直径1mmのガラスビーズ300重量部と共にミリング処理し、結晶変換の進行度合いを湿式粉砕処理液の吸収波長測定によってモニターし、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)の経時変化を250時間まで追跡した。その結果を図33に示す。図33に示したグラフより、処理時間が150時間のときに最大ピーク波長(λMAX)が最小値(824nm)を示すことが確認された。また、処理時間150時間のときのヒドロキシガリウムフタロシアニンをメタノールで洗浄し、乾燥して、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニンを得た。
(製造例12)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を使用して25℃で48時間撹拌した。撹拌後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は846nmであった。
次いで、得られた結晶をアセトンを用いて洗浄し、乾燥して、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図19に、分光吸収スペクトルを図25に、透過型電子顕微鏡写真を図31に、それぞれ示す。
(製造例13)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径5.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は845nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図20に、分光吸収スペクトルを図26に、透過型電子顕微鏡写真を図32に、それぞれ示す。
(製造例14)
外径0.9mmのガラス製球形状メディア350重量部に代えて外径5.0mmのガラス製球形状メディア350重量部を用いた以外は製造例1と同様にして湿式粉砕処理を行った後、得られた結晶をポアサイズ1.0μmのセラミックフィルター上で、アセトン300重量部を用いて洗浄した。次いで、光を遮断した乾燥機(DFB型、入江商会社製)を用いて、60℃で24時間加熱乾燥し、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。なお、湿式粉砕処理において結晶変換の進行度合いをモニターしたときの、湿式粉砕処理後のヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は842nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトル、及び分光吸収スペクトルは、それぞれ製造例13とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例15)
合成例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン5重量部を、N,N−ジメチルホルムアミド80重量部とともに、撹拌装置を有するガラス製撹拌槽を使用して25℃で48時間撹拌して結晶を得た。次いで、得られた結晶を、アセトンを用いて洗浄し、光を遮断した乾燥機を用いて80℃で24時間加熱乾燥して、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たすヒドロキシガリウムフタロシアニン5.5重量部を得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)は858nmであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルを図27に示す。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折スペクトルは、製造例13とほぼ同様のスペクトルを示した。
(製造例16)
製造例11と同一条件で結晶変換処理を24時間行った後、メタノールで洗浄し、乾燥して、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン0.4重量部を得た。
(製造例17)
製造例11と同一条件で結晶変換処理を48時間行った後、メタノールで洗浄し、乾燥して、製造例1と同様のX線回折スペクトルにおける回折ピークの条件を満たす目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン0.4重量部を得た。
製造例1〜17で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの、分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長(λMAX)、BET式の比表面積測定器(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて測定したBET比表面積、及び、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)により測定した平均粒径をそれぞれ表3に示す。
更に、製造例6〜10及び製造例14〜15で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンの25℃から400℃まで昇温したときの重量減少率を、熱天秤(スタンドアロン熱重量測定装置TGA−50、島津製作所社製)により測定した結果をそれぞれ表3に示す。
Figure 0004470456
(実施例1〜11及び参考例9〜14
電荷発生物質として、参考例1におけるヒドロキシガリウムフタロシアニンの代わりに、製造例1〜17で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いたこと以外は参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製し、さらに画像形成装置を作製した。なお、製造例1〜17で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いたものが、それぞれ実施例1〜11及び参考例9〜14に該当する。
(画質の評価)
実施例1〜11及び参考例9〜14の各画像形成装置について、22℃、50%RHの条件において感光体の回転方向に発生する筋状濃度ムラが発生しないように、SLEDの各発光点の露光量の調整を行った。次に10℃、15%RHでプリント試験を行い、筋状濃度ムラの発生の有無を調べた。その結果、実施例1〜11及び参考例9〜14の全てにおいて、筋状濃度ムラの発生が全くないか極軽微であった。しかし、分光吸収スペクトルが、810〜839nmに吸収極大を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた電子写真感光体は、優れた電子写真特性を有し、分散性が良好で、細線の太りや細り、かぶりなどの現象を生じることなく良好な画質が得られたのに対して、840nm以上に吸収極大を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた電子写真感光体は、暗減衰や帯電性などの電気特性に問題があり、電荷発生層における電荷発生材料の分散性が不十分となりやすく、その結果、電子写真画像形成装置においてかぶりが生じやすかった。
実施形態に係る画像形成装置の構成概略図である。 実施形態に係る露光部の斜視図である。 他の実施形態に係る露光部の斜視図である。 SLED単体における駆動回路図である。 露光部の駆動回路図である。 定電流駆動回路図である。 定電圧駆動回路である。 パルス波形の生成回路図である。 図8のタイミングチャートである。 第1実施形態に係る電子写真感光体の断面を示す模式図である。 第2実施形態に係る電子写真感光体の断面を示す模式図である。 第3実施形態に係る電子写真感光体の断面を示す模式図である。 第4実施形態に係る電子写真感光体の断面を示す模式図である。 実施形態に係る画像形成ユニットの断面図である。 合成例において合成したI型ヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例1において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例2において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例3において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例12において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例13において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図である。 製造例1において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例2において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例3において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例7において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例12において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例13において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例15において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルである。 製造例1において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真である。 製造例2において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真である。 製造例3において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真である。 製造例12において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真である。 製造例13において作製したヒドロキシガリウムフタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真である。 製造例11においてヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶変換時の最大ピーク波長λMAXの経時変化を示したグラフである。
符号の説明
1・・・電荷発生層、2・・・電荷輸送層、3・・・導電性支持体、4・・・下引層4、5・・・保護層、10・・・サイリスタ、100・・・画像形成装置、102,154・・・ケーシング、104・・・排出トレイ部、106・・・感光体ドラム、108・・・帯電部、110・・・露光部、112・・・トナータンク、114・・・トナーロール、116・・・ロータリ現像部、118,120・・・ローラ、122・・・中間転写ベルト、124・・・クリーニング部、126・・・画像形成用紙、128・・・給紙トレイ、130・・・枚葉装置、132・・・定着部、134・・・濃度センサ、150・・・SLED、152・・・発光素子ユニット、162・・・APC、163・・・階調信号線、164,208・・・DAコンバータ、166,174・・・抵抗、168・・・第1のコンパレータ、172・・・第2のコンパレータ、176・・・MOS型トランジスタ、178・・・定電流駆動回路、180・・・定電圧駆動回路、182・・・第1の制御線、184・・・第2の制御線、186・・・OR回路、188・・・三角波発生回路、200・・・生成回路、202・・・画像処理部、204・・・積算器、206・・・補正データ保持部、210・・・コンパレータ、300・・・画像形成ユニット、307・・・電子写真感光体、308・・・帯電装置、311・・・現像装置、312・・・転写装置、313・・・クリーニング装置、317・・・除電露光のための開口部、318・・・露光のための開口部、320・・・中間転写体、500・・・被転写体。

Claims (8)

  1. 導電性支持体及び該支持体上に配置された感光層を備える電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写するための転写手段と、を備える画像形成装置であって、
    前記露光手段は、複数の自己走査型LEDが配列した発光素子アレイであり、
    前記感光層は、電荷発生材料として、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する、画像形成装置。
  2. 前記露光手段は、複数の自己走査型LEDを備える発光素子ユニットを、隣接する前記発光素子ユニットが一部重なるように配列した発光素子アレイである、請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンである、請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、平均粒径が0.20μm以下であり、BET比表面積が45m/g以上のヒドロキシガリウムフタロシアニンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0〜4.0%のヒドロキシガリウムフタロシアニンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記感光層は、前記導電性支持体上に形成された電荷発生層と該電荷発生層上に形成された電荷輸送層とからなり、前記電荷発生層は前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 導電性支持体及び該支持体上に配置された感光層を備える電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    を備える画像形成ユニットであって、
    前記露光手段は、複数の自己走査型LEDが配列した発光素子アレイであり、
    前記感光層は、電荷発生材料として、600〜900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810〜839nmの範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する、画像形成ユニット。
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