JPH09302252A - ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びそれを用いた電子写真感光体

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JPH09302252A
JPH09302252A JP8122899A JP12289996A JPH09302252A JP H09302252 A JPH09302252 A JP H09302252A JP 8122899 A JP8122899 A JP 8122899A JP 12289996 A JP12289996 A JP 12289996A JP H09302252 A JPH09302252 A JP H09302252A
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hydroxygallium phthalocyanine
solvent
hydroxygallium
phthalocyanine
phthalocyanine crystal
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JP8122899A
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Kazuya Hongo
和哉 本郷
Hitoshi Takimoto
整 滝本
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度であり、高感度で暗減衰が低いという
優れた電子写真特性を有する材料として有用なヒドロキ
シガリウムフタロシアニン結晶及びその結晶を用いる電
子写真感光体を提供する。 【解決手段】 1,3−ジイミノイソインドリンを、溶
剤洗浄又は再結晶により精製した後、乾燥させることな
く三塩化ガリウムと共に、有機溶剤中で加熱縮合させて
クロロガリウムフタロシアニンを合成し、該クロロガリ
ウムフタロシアニンをアシッドペースティング処理して
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとし、次いで該ヒド
ロキシガリウムフタロシアニンを溶剤処理することによ
り得られるCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2
θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、1
6.3°、18.6°、22.1°、24.1°、2
5.1°及び28.3°に強い回折ピークを有するヒド
ロキシガリウムフタロシアニン結晶である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン結晶及びそれを感光層中に含有する電
子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体における光導電物
質としては、種々の無機系および有機系の光導電物質が
知られている。有機系光導電物質は、それを電子写真感
光体に使用した場合、膜の透明性、良好な成膜性及び可
撓性を有し、無公害であり、比較的低コストである等の
利点を有しているため、従来から種々のものが提案され
ている。また、従来の有機光導電物質について、その感
光波長領域を、近赤外線の半導体レーザーの波長域にま
で伸長することにより、レーザープリンター、デジタル
複写機、FAX等のデジタル記録用の感光体として使用
する要求が高まっており、これまでに半導体レーザー用
の有機光導電物質として幾つかのものが提案されてい
る。特に、フタロシアニン化合物については、その結晶
型と電子写真特性について多くの報告がなされている。
【0003】一般に、フタロシアニン化合物は、その製
造方法または処理方法の相違によって幾つかの結晶型に
分かれること及びその結晶型が異なるとフタロシアニン
化合物の光電変換特性に大きな影響を及ぼすことが知ら
れている。フタロシアニン化合物の結晶型については、
例えば、無金属フタロシアニンについてみると、α、
β、ε、γ、τおよびx等の結晶型が知られているが、
これらは光感度の点で未だ十分ではなく、繰り返し特性
や環境安定性についても満足なものは得られていない。
一方、ガリウムフタロシアニンに関しても、その結晶型
と電子写真特性について多くの報告がなされており、特
開平5−263007号公報及び特開平7−53892
号公報には、特定のブラッグ角度に回折ピークを有する
高感度のヒドロキシガリウムフタロシアニン及びそれを
用いた電子写真感光体は、光感度、繰り返し特性及び環
境安定性に優れていることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、高感度なものほ
ど暗減衰が増加する傾向があり、感度特性と暗減衰特性
を両立させた結晶を得ることは難しく、電子写真特性の
バラツキが大きいという問題があり、さらにその改善が
望まれていた。
【0005】本発明は、従来技術における上記のような
問題点を解消するためになされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、高感度でありながら暗減衰の低
い、優れた電子写真特性を有する材料として有用な高純
度のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、感度特性、暗
減衰特性、繰り返し特性および環境安定性に優れた電子
写真感光体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、1,3−ジイミノイソインドリンを精製処理
した後、これを湿潤状態で三塩化ガリウムとともに有機
溶剤中に入れて、加熱縮合させることによりクロロガリ
ウムフタロシアニンを合成し、これをアシッドペーステ
ィング処理して生成するヒドロキシガリウムフタロシア
ニンを、溶剤処理することにより得られた特定の結晶型
を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が優れ
た特性を示すことを確認し、このヒドロキシガリウムフ
タロシアニン結晶を電子写真感光体の感光層に含有させ
ることにより、上記した目的が達成できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明のヒドロキシガリウムフ
タロシアニン結晶は、1,3−ジイミノイソインドリン
を、溶剤洗浄または再結晶により精製した後、乾燥させ
ることなく三塩化ガリウムとともに有機溶剤中で加熱縮
合させてクロロガリウムフタロシアニンを合成し、得ら
れたクロロガリウムフタロシアニンをアシッドペーステ
ィング処理してヒドロキシガリウムフタロシアニンと
し、次いで得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン
を溶剤処理することにより結晶変換されて得られること
を特徴とする。このヒドロキシガリウムフタロシアニン
結晶は、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ
±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、1
6.3°、18.6°、22.1°、24.1°、2
5.1°および28.3°に強い回折ピークを有するも
のである。上記1,3−ジイミノイソインドリンとして
は、ナトリウムアルコキシドまたは金属ナトリウムの存
在下、o−フタロジニトリルとアンモニアとを有機溶剤
中で反応させることにより合成されたものを用いること
が好ましい。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
上に設けた感光層が上記ヒドロキシガリウムフタロシア
ニン結晶を含有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。先ず、本発明のヒドロキシガリウム
フタロシアニン結晶は、次のようにして製造することが
できる。本発明において、ヒドロキシガリウムフタロシ
アニン結晶の製造原料として使用する1,3−ジイミノ
イソインドリンとしては、公知の方法により合成したも
のを用いることができるが、特に、純度や収率の点で、
ナトリウムアルコキシドまたは金属ナトリウムの存在
下、o−フタロジニトリルとアンモニアガスを有機溶剤
中で反応させることによって合成したものを用いること
が好ましい。この合成に使用する有機溶剤としては、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコ
ール系溶剤が好ましい。また、ナトリウムアルコキシド
としては、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエト
キシドを用いることが好ましい。
【0009】次に、上記の方法により得られた1,3−
ジイミノイソインドリンは、溶剤洗浄または再結晶によ
り精製される。このときの溶剤洗浄または再結晶に使用
できる溶剤としては、上記アルコール系溶剤またはヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤の
ほかに、クロロガリウムフタロシアニンを合成する際に
用いられる有機溶剤も使用可能である。溶剤洗浄の方法
としては、得られた1,3−ジイミノイソインドリンを
上記溶剤に添加して十分に撹拌混合し、不純物を液相に
移行させて濾過等により除去する方法が採用され、ま
た、セラミック・フィルター等を用いた洗浄方法も使用
することができる。再結晶の方法としては、1,3−ジ
イミノイソインドリンを前述の適当な溶剤に加熱して溶
解させ、不溶性の不純物を濾過した後、濾液を冷却して
再び結晶を析出させる方法等が採用される。
【0010】このようにして精製された1,3−ジイミ
ノイソインドリンは、クロロガリウムフタロシアンンを
合成する際に使用する有機溶剤により溶剤を置換した
後、遠心分離または濾過処理によって固形分が10重量
%〜98重量%のスラリー状又はウエット・ケーキ状と
なるようにする。本発明においては、このようにして得
られたスラリー状又はウエット・ケーキ状の1,3−ジ
イミノイソインドリンを、密閉して保管することによ
り、保管中の1,3−ジイミノイソインドリンの分解や
変色を防止し、その純度を長期間保持させることができ
る。
【0011】次に、上記スラリー状又はウエット・ケー
キ状の精製した1,3−ジイミノイソインドリンは、乾
燥させることなく三塩化ガリウムともに有機溶剤中で加
熱縮合させることによってクロロガリウムフタロシアニ
ンを合成する。このとき使用する有機溶剤としては、α
−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、メトキシ
ナフタレン、ジフェニルエタン、エチレングリコール、
ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジメチル
スルホキシド、ジクロロベンゼン、ジクロロトルエン等
の反応不活性な高沸点の溶媒が望ましい。この加熱縮合
の温度としては、130〜220℃、好ましくは140
〜180℃の範囲が選択される。このようにして、図1
に示すようなCuKα特性X線に対するブラッグ角度
(2θ±0.2°)の27.1°に強い回折ピークを有
するクロロガリウムフタロシアニンを製造することがで
きる。上記の条件で得られたクロロガリウムフタロシア
ニンは、高純度で結晶が大きく、かつ、整然と配向し
て、格子欠陥の少ないクロロガリウムフタロシアニン結
晶となっており、これを原料として得られる本発明のヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、高純度で格子
欠陥が少ない状態を維持しているため、良好な感度およ
び暗減衰特性を示すと考えられる。
【0012】本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン結晶は、上記クロロガリウムフタロシアニンを、硫
酸、トリフルオロ酢酸等の酸に溶解させた後、アンモニ
ア水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液ま
たは冷水中に再析出させるというアシッドペースティン
グ処理を行ってヒドロキシガリウムフタロシアニンを得
た後、これを溶剤処理することにより結晶型が変換され
て製造される。
【0013】上記溶剤処理に使用できる溶剤としては、
一般的な有機系溶剤および無機系溶剤が挙げられるが、
特に良好な溶剤としては、アミド類(N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メ
チルピロリドン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸n
−ブチル、酢酸i−アミル等)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、ジメチル
スルホキシド等があげられる。この溶剤処理条件として
は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1部に対し、溶
剤1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲が適
当であり、処理温度としては0〜150℃、好ましくは
10〜100℃の範囲が選択される。また、この溶剤処
理は、適当な容器中で放置または撹拌しながら行っても
よいし、また、ボールミル、サンドミル、コボールミ
ル、ダイノーミル、アトライター、ニーダー等を用いて
湿式粉砕してもよい。
【0014】上記の溶剤処理を行うことにより、結晶性
が良好であって粒径の整った、CuKα特性X線に対す
るブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9
°、12.5°、16.3°、18.6°、22.1
°、24.1°、25.1°および28.3°に強い回
折ピークを有する本発明のヒドロキシガリウムフタロシ
アニン結晶を得ることができる。また、こうして製造さ
れたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、95%
以上の高純度のものであり、極めて高い光感度を有する
ものである。
【0015】次に、本発明のヒドロキシガリウムフタロ
シアニン結晶を電子写真感光体における光導電物質とし
て使用する場合について説明する。本発明において、ヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、電子写真感光
体の感光層が単層構造のもの、あるいは電荷発生層と電
荷輸送層とに機能分離された積層構造のもの、等の何如
なるものにも適用することができる。導電性支持体とし
ては、従来から使用されているものであれば、何如なる
ものを用いてもよい。また、導電性支持体の表面は、必
要に応じて、画質に影響のない範囲で各種の処理を行う
ことができる。例えば、表面の陽極酸化処理、液体ホー
ニング等による粗面化処理、薬品処理、着色処理などを
行うことができる。
【0016】積層型感光体の場合には、導電性支持体上
に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが積層された感
光層が設けられるが、その積層の順序はいずれが基体側
にあってもよい。電荷発生層は、本発明のヒドロキシガ
リウムフタアロシアニン結晶と適当な結着樹脂から構成
される。また、電荷発生材料としては、ヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン結晶の他に、他の公知の電荷発生材
料を併用してもよい。さらに、結着樹脂としては、公知
のものを適宜使用することができる。電荷発生材料と結
着樹脂の配合(重量)比は、40:1〜1:4の範囲で
あり、好ましくは20:1〜1:2の範囲である。電荷
発生材料の比率が高すぎる場合には、塗布溶液の安定性
が低下し、また低すぎる場合には、感度が低下するの
で、上記の範囲に設定することが好ましい。
【0017】電荷発生材料の分散に使用される溶剤とし
ては、結着樹脂を溶解するものを適当に選択することが
できる。また、分散手段としては、サンドミル、コロイ
ドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高
圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロー
ルミル等の方法が利用できる。塗布方法としては、ブレ
ードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ス
プレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコ
ーティング法、カーテンコーティング法等の方法を用い
ることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μ
mの範囲であり、好ましくは0.03〜2μmの範囲で
ある。
【0018】電荷輸送層は、電荷輸送材料と成膜性樹脂
より構成され、電荷輸送材料としては公知のものが適宜
使用できる。成膜性樹脂に用いるものとしては、例え
ば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレ
ン、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、ポリスルホン、ポリメタクリル酸エステル、スチレ
ン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリオレフィン等
があげれらる。電荷輸送材料と成膜性樹脂の配合比(重
量)は、5:1〜1:5の範囲、好ましくは3:1〜
1:3の範囲である。電荷輸送材料の比率が高すぎる場
合には、電荷輸送層の機械的強度が低下し、一方、低す
ぎる場合には、感度が低下するので、上記の範囲に設定
することが好ましい。また、電荷輸送材料が成膜性を有
する場合には、上記成膜樹脂を省くこともできる。電荷
輸送層は、上記電荷輸送材料と成膜樹脂とを適当な溶剤
に溶解し、塗布することにより形成されるが、これらの
塗布方法としては、電荷発生層について述べたと同様の
方法を用いることができる。電荷輸送層の膜厚は、5〜
50μmの範囲、好ましくは10〜40μmの範囲にな
るように形成することが好ましい。
【0019】本発明の電子写真感光体において、感光層
が単層構造である場合には、感光層はヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン結晶及び電荷輸送材料が成膜性樹脂に
分散された光導電層より形成される。この場合、電荷輸
送材料としては、公知のものが適宜使用でき、また、成
膜性樹脂としては、上記したものと同様なものを使用す
ることができるから、感光層は上記したいずれかの方法
によって形成することができる。電荷輸送材料と成膜性
樹脂との配合比(重量)は、1:20〜5:1に設定す
ることが好ましく、また、ヒドロキシガリウムフタロシ
アニン結晶と電荷輸送材料との配合比(重量)は、1:
10〜10:1に設定することが好ましい。
【0020】また、本発明の電子写真感光体は、必要に
応じて、感光層と基体の間に下引き層を設けてもよい。
下引き層は、基体からの不必要な電荷の注入を阻止する
ために有効なものであり、感光体の帯電性を向上させる
作用を有している。さらに、感光層と基体との接着性を
も向上させる作用を有している。さらに、本発明の電子
写真感光体は、耐刷性等を向上させるために、感光層の
上に保護層を設けてもよい。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、「部」は、すべて「重量部」を意味す
る。 合成例1(1,3−ジイミノイソインドリンの合成) o−フタロジニトリル38部およびナトリウムメトキシ
ド41部をメタノール900部に加え、アンモニアガス
を吹き込みながら室温で1時間撹拌し、さらに60℃に
おいて4時間加熱撹拌して反応させた後、得られた生成
物を瀘別して1,3−ジイミノイソインドリンの粗結晶
47部を得た。この粗結晶をメタノール200部に加え
て、40℃で溶解させてから不溶性の不純物を濾過した
後、濾液を冷却して再び結晶を析出させた。このように
して精製した1,3−ジイミノイソインドリンの結晶を
瀘別した後、ジメチルスルホキシドで洗浄して固形分が
88重量%のウエット・ケーキ状1,3−ジイミノイソ
インドリン45部を得た。この1,3−ジイミノイソイ
ンドリンをメタノールに溶解して、固形分の純度を高速
液体クロマトグラフィー(HP1050、Hewlet
t Packard社製、使用カラム:Excelpa
k SIL−C18/5B)を用いて測定したところ、
その純度は99.6%であった。
【0022】実施例1 合成例1で得られたウエット・ケーキ状の1,3−ジイ
ミノイソインドリン35部、三塩化ガリウム9.1部を
ジメチルスルホキシド230部中に入れ、155℃にお
いて4時間反応させた後、生成物を瀘別し、イオン交換
水で洗浄し、次いで、湿ケーキを乾燥させた後、クロロ
ガリウムフタロシアニンの結晶28部を得た。このクロ
ロガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図を図1に示
す。このクロロガリウムフタロシアニンをジメチルスル
ホキシドに溶解させて、高速液体クロマトグラフィーを
用いて測定したところ、その純度は99.1%であっ
た。
【0023】次に、上記方法で得られたクロロガリウム
フタロシアニン3部を濃硫酸90部に溶解させた後、こ
の溶解溶液を25%アンモニア水180部と蒸留水60
部の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、この析出した
ヒドロキシガリウムフタロシアニンを蒸留水で十分に洗
浄し、乾燥させてヒドロキシガリウムフタロシアニン
2.6部を得た。さらに、得られたヒドロキシガリウム
フタロシアニン2部をN,N−ジメチルホルムアミド3
8部とともに、ボールミルで24時間湿式粉砕処理を行
った後、酢酸n−ブチルを用いて洗浄し、真空乾燥機に
おいて60℃で48時間乾燥させることによりヒドロキ
シガリウムフタロシアニン結晶1.9部を得た。得られ
たヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回
折図を図2に示す。このヒドロキシガリウムフタロシア
ニン結晶をジメチルスルホキシドに溶解させて、高速液
体クロマトグラフィーを用いて測定したところ、その純
度は99.3%であった。
【0024】比較例1 o−フタロジニトリル31.8部、ガリウムメトキシド
10.0部をエチレングリコール150部中に入れ、窒
素雰囲気下、200℃において24時間反応させた後、
生成物を瀘別し、N,N−ジメチルホルムアミドおよび
メタノールで順次洗浄し、真空乾燥機を用いて60℃で
乾燥することによりガリウムフタロシアニン25.1部
を得た。このガリウムフタロシアニンの粉末X線回折図
を図3に示す。このガリウムフタロシアニンの純度を測
定したところ、90.1%であった。次に、実施例1に
おいて用いたクロロガリウムフタロシアニンに代えて、
上記のガリウムフタロシアニンを使用したこと以外は、
実施例1とすべて同様にしてヒドロキシガリウムフタロ
シアニン結晶を得た。得られたヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン結晶の粉末X線回折図は図2と同様であっ
た。また、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン
結晶の純度は91.0%であった。
【0025】実施例2 まず、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積
水化学工業社製)8部をn−ブチルアルコール152部
に加え、攪拌溶解し、5重量%のポリビニルブチラール
溶液を調整した。次に、トリブトキシジルコニウム・ア
セチルアセトネートの50%トルエン溶液(ZC54
0、松本交商社製)100部、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン(A1100、日本ユニカー社製)10
部およびn−ブチルアルコール130部を混合した溶液
を、上記のポリビニルブチラール溶液中に加え、スター
ラーで攪拌し、下引き層形成用の塗布液を調整した。こ
の塗布液を40φ×319mmのアルミニウムパイプ上
に浸漬塗布し、150℃において10分間加熱乾燥し、
厚さ1.0μmの下引き層を形成した。
【0026】一方、ポリビニルブチラール(エスレック
BM−S、積水化学工業社製)1部を、予め酢酸n−ブ
チル49部に溶解した溶液に、実施例1で得られたヒド
ロキシガリウムフタロシアニン結晶1部を加え、20時
間サンドミルで分散させた後、酢酸n−ブチルで希釈
し、固形分濃度3.0重量%の電荷発生層(CGL)を
形成用塗布液を調整した。得られた塗布液を上記した下
引き層の上にリング塗布機を用いて塗布し、100℃に
おいて10分間加熱乾燥し、厚さ0.20μmのCGL
を形成した。次に、そのCGLの上には、電荷輸送層
(CTL)を形成した。すなわち、N,N′−ビス−
(p−トリル)−N,N′−ビス−(p−エチルフェニ
ル)−3,3′−ジメチルベンジジン4部を電荷輸送材
料とし、ポリカーボネートZ樹脂6部と共に、モノクロ
ロベンゼン40部に溶解させ、得られた溶液を浸漬塗布
装置によって、上記CGL上に塗布し、115℃におい
て60分間加熱乾燥し、厚さ18μmのCTLを形成さ
せることにより電子写真感光体を作製した。
【0027】比較例2 実施例2において、実施例1で得られたヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン結晶に代えて、比較例1で得られた
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を使用したこと
以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し
た。
【0028】上記実施例2および比較例2で得られた電
子写真感光体を評価するために、レーザープリンター
(XP−15:富士ゼロックス社製)を用いて、以下の
測定を行った。この操作は、20℃、50%RHの環境
下において、グリッド印加電圧−600Vのスコロトロ
ン帯電器で帯電し(A)、780nmの半導体レーザー
を用いて、1秒後に7.0mJ/m2 の光を照射して放
電を行い(B)、さらに、3秒後に50mJ/m2 の赤
色LED光を照射して除電を行う(C)というプロセス
によって、各部の電位を測定した。
【0029】この場合、電子写真感光体としては、
(A)の電位VH は、高いほど感光体の受容電位が高い
ために、コントラストを高くすることが可能であり、
(B)の電位VL は、低いほど高感度であり、また、
(C)VRPの電位は、低いほど残留電位が少なく、画像
メモリーやカブリが少ない感光体であると評価すること
ができる。上記の測定を、10℃、15%RHおよび3
0℃,85%RHの環境下において、それぞれの環境に
おける各電位の変動を調べることにより、環境安定性を
評価した。また、10,000回の繰り返し帯電・露光
後の各部の電位の測定も行った。さらに、グリッド印加
電圧−600Vのスコロトロン帯電器で帯電した直後の
電位(V0 )と1秒後の電位(V1 )を測定し、暗減衰
(V0 −V1 )を求めた。これらの結果を表1に示す。
【0030】
【表1】 表1に見られるように、本発明のヒドロキシガリウムフ
タロシアニン結晶を感光層に含有させた電子写真感光体
は、良好な帯電性、高い光感度および低い残留電位を示
し、暗減衰特性、繰り返し特性、環境安定性、繰り返し
耐久性に優れていることを示している。
【0031】
【発明の効果】本発明のヒドロキシガリウムフタロシア
ニン結晶は、高純度であり、高感度を有しながら、暗減
衰が低いという優れた電気的特性を有する材料であり、
このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を感光層に
含有させた電子写真感光体は、高感度であり、良好な帯
電性、光感度および低い残留電位を示し、暗減衰特性、
繰り返し特性および環境安定性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたクロロガリウムフタロシ
アニンの粉末X線回折図を示す。
【図2】 実施例1で得られたヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図3】 比較例1で得られたガリウムフタロシアニン
の粉末X線回折図を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−ジイミノイソインドリンを、溶
    剤洗浄または再結晶により精製した後、乾燥させること
    なく三塩化ガリウムとともに、有機溶剤中で加熱縮合さ
    せてクロロガリウムフタロシアニンを合成し、得られた
    クロロガリウムフタロシアニンをアシッドペースティン
    グ処理してヒドロキシガリウムフタロシアニンとし、次
    いで得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンを溶剤
    処理することにより結晶変換されて得られる、CuKα
    特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の
    7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.
    6°、22.1°、24.1°、25.1°および2
    8.3°に強い回折ピークを有することを特徴とするヒ
    ドロキシガリウムフタロシアニン結晶。
  2. 【請求項2】 1,3−ジイミノイソインドリンが、ナ
    トリウムアルコキシドまたは金属ナトリウムの存在下、
    o−フタロジニトリルとアンモニアとを有機溶剤中で反
    応させることにより合成されたものであることを特徴と
    する請求項1記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン
    結晶。
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に感光層を設けた電子写
    真感光体において、該感光層が、請求項1または2記載
    のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有するこ
    とを特徴とする電子写真感光体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005154713A (ja) * 2003-11-06 2005-06-16 Fuji Xerox Co Ltd ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びその製造方法、感光層形成用塗布液の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、並びに、画像形成方法
JP2013014677A (ja) * 2011-07-04 2013-01-24 Ricoh Co Ltd 複合顔料およびそれを用いた電子写真感光体、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ

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