JPH10130525A - クロロガリウムフタロシアニン結晶、その製造方法及びそれを用いる電子写真感光体 - Google Patents

クロロガリウムフタロシアニン結晶、その製造方法及びそれを用いる電子写真感光体

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JPH10130525A
JPH10130525A JP29146896A JP29146896A JPH10130525A JP H10130525 A JPH10130525 A JP H10130525A JP 29146896 A JP29146896 A JP 29146896A JP 29146896 A JP29146896 A JP 29146896A JP H10130525 A JPH10130525 A JP H10130525A
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chlorogallium phthalocyanine
phthalocyanine crystal
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Hitoshi Takimoto
整 滝本
Kazuya Hongo
和哉 本郷
Koichi Sugiyama
航一 杉山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度を変えることなく、安全かつ簡便に、ク
ロロガリウムフタロシアニン結晶を得る製造方法及びそ
の結晶を感光層に用いた電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 I型クロロガリウムフタロシアニン結晶
を乾式粉砕処理することにより結晶変換させた後、ジメ
チルスルキシドと水の混合溶剤を用いて湿式処理を行う
クロロガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロロガリウムフ
タロシアニン結晶、その製造方法及びその結晶を感光層
中に含有する電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体の光導電物質としては、
種々の無機系及び有機系の光導電物質が知られている。
なかでも、有機系光導電物質は、電子写真感光体に使用
した場合、形成される被膜の透明性、成膜性及び可撓性
が良好であり、しかも無公害であって比較的安価である
等の利点を有しているため、従来から数多く研究され、
提案されている。また、従来の有機光導電物質につい
て、その感光波長領域を近赤外線の半導体レーザーの波
長領域にまで伸ばすことにより、レーザープリンタ、デ
ジタル複写機及びFAX等のデジタル記録用の感光体と
して使用する要求が高まっており、現在、これに適応で
きる半導体レーザー用の有機光導電物質が幾つか提案さ
れている。これらの有機光導電物質の中で、フタロシア
ニン化合物には、その結晶型と電子写真特性について多
数の報告がある。
【0003】一般に、フタロシアニン化合物は、その製
造方法または処理方法の相違により、幾つかの結晶型に
分かれること及びその結晶型が異なるとフタロシアニン
化合物の光電変換特性に大きな影響を及ぼすことが知ら
れている。フタロシアニン化合物の結晶型については、
例えば、無金属フタロシアニンには、α、β、ε、π、
τ、x等の結晶型が知られているが、これらは光感度が
不十分であり、繰り返し特性や環境安定性についても満
足なものは得られていない。
【0004】また、クロロガリウムフタロシアニンに関
しては、その結晶型と電子写真特性について多くの報告
があり、特開平5−194523号公報及び特開平5−
98181号公報には、特定のブラッグ角度に回折ピー
クを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶とそれを
光導電物質として使用した電子写真感光体が記載されて
いる。上記したクロロガリウムフタロシアニン結晶の製
造方法としては、1,3−ジイミノイソインドリンを三
塩化ガリウムと有機溶剤中で加熱縮合させることにより
得られるI型クロロガリウムフタロシアニン結晶を、乾
式粉砕した後、ジメチルスルホキシド等の適当な有機溶
剤中でボールミル等のメディアを入れて湿式処理する方
法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電子写真感
光体が有する感度は、感光層に使用されている光導電物
質によってほぼ一義的に決まるため、露光光源が必要と
する感度と必ずしも一致するものではなく、このような
不一致があると、画像上に形成される文字の太りや細り
の発生及び解像度低下等の問題を起こす場合があり、高
品質な画像を得るための感光体設計に制約を設けること
となる。そこで、感光体の光感度を変えるために、感光
体の各層に用いる結着樹脂や有機溶剤を種々変更する等
の方法が知られているが、結着樹脂及び有機溶剤は、感
光体の構成上使用できるものが限られているため、それ
らにより実際に感光体の感度を要求に応じて変えること
は困難である。
【0006】従来、光導電物質を用いて所望の感度に合
わせたものとして、特開平5−173345号公報に
は、異なる結晶型を有するフタロシアニンを混合すると
ともに、その混合比を変化させて感光体の感度を調節す
る方法、また、特開平8−67829号公報には、中心
金属の異なる複数のフタロシアニン、例えば、チタニル
フタロシアニンとバナジルフタロシアニンとを混合して
感光体の感度を調節する方法がそれぞれ記載されてい
る。しかしながら、これらの感光体は、繰り返し使用し
た場合、電位変動が大きかったり、あるいは環境により
特性が大きく変化する等の問題があり、実際には満足で
きるものではなかった。そこで、様々な感度を有するも
のへの要望に応じられるように、光導電物質について、
その感度制御因子を把握することが望まれている。
【0007】また、上記したクロロガリウムフタロシア
ニンの結晶変換工程において、ジメチルスルホキシドを
溶媒として湿式処理する場合、ジメチルスルホキシド
は、毒性が低く、かつ熱的にも化学的にも比較的安定で
あって、溶媒として使用し易いという利点を有するが、
18℃以下になると凝固してしまうので、特に冬期に使
用すると結晶変換に不具合を生じ易いという問題があ
る。さらに、湿式処理においてボールミル等のメディア
を使用すると、メディアとスラリーを分離する際に多量
の溶剤が必要となり、特に、その湿式処理をスケールア
ップした場合には、多大の労力を要するという問題があ
る。
【0008】本発明は、従来技術における上記のような
問題点を解決するためになされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、特定のクロロガリウムフタロシア
ニン結晶について、その結晶が有する感度を変えること
なく、安全に、かつ簡便にクロロガリウムフタロシアニ
ン結晶を得るための製造方法を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、その製造方法で得られたクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶を感光層に用いた電子写
真感光体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特定の結
晶型を有するクロロガリウムフタロシアニン結晶を乾式
粉砕処理によって結晶変換した後、特定の混合溶媒を用
いて湿式処理を行うことにより、得られる特定のクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶の感度が制御できることを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
のクロロガリウムフタロシアニン結晶の製造方法は、I
型クロロガリウムフタロシアニン結晶を乾式粉砕処理す
ることにより結晶変換させた後、ジメチルスルキシドと
水の混合溶剤を用いて湿式処理することを特徴とする。
この湿式処理は、メデイアを用いることなく、攪拌によ
り行うことが好ましい。また、本発明の電子写真感光体
は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体にお
いて、該感光層が、上記のクロロガリウムフタロシアニ
ン結晶を含有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、本発明に用いられるI型クロ
ロガリウムフタロシアニン結晶は、1,3−ジイミノイ
ソインドリンを三塩化ガリウムと有機溶剤中で加熱縮合
させることにより製造される。この際に使用する有機溶
剤としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタ
レン、メトキシナフタレン、ジフェニルエタン、エチレ
ングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホ
ラン、ジメチルスルホキシド、ジクロロベンゼン、ジク
ロロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶媒が望まし
い。また、その加熱縮合温度は、130〜220℃、好
ましくは140〜180℃の範囲が選択される。
【0011】次に、上記の方法で得られたI型クロロガ
リウムフタロシアニン結晶は、粉砕処理されると高感度
なクロロガリウムフタロシアニン結晶に変換される。本
発明における粉砕処理は、I型クロロガリウムフタロシ
アニン結晶を乾式粉砕した後に湿式処理を行うものであ
る。本発明における乾式粉砕には、振動ミル、自動乳
鉢、サンドミル、ダイノーミル、スエコミル、コボール
ミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミル等の
装置を使用し、その粉砕時間を調整することにより、乾
式粉砕後のクロロガリウムフタロシアニン結晶の平均粒
径が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下になる
ように処理することが好ましい。この乾式粉砕処理によ
り結晶型が変換されて、CuKα特性X線に対するブラ
ッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、
25.5°及び28.3°にブロードで弱い回折ピーク
を有するクロロガリウムフタロシアニン結晶が得られ
る。
【0012】本発明における湿式処理は、ボールミル等
のメデイア(媒体)を用いない溶媒中で行うことを特徴
としている。この湿式処理に使用する溶剤としては、ジ
メチルスルホキシドと水の混合溶剤であることが必要で
ある。この混合溶媒を用いると、溶剤の融点を降下させ
ることにより湿式処理における凍結防止を行うことがで
きる。その湿式処理において、ジメチルスルホキシドに
対する水の重量比は、10/1〜1/100の範囲内で
所望の感度のものが得られるように調整することが好ま
しい。水の比率は、多くなるにつれて感度が低くなり、
また、結晶変換に要する時間も多くなる。一方、水を含
まないジメチルスルホキシド単独溶剤では、前記したと
おり融点(18℃)が高いために、18℃以下の温度に
なると凝固してしまい、湿式処理に不具合が生じ易い。
クロロガリウムフタロシアニン結晶と溶剤の使用割合
は、特に制限されるものではないが、それらが良好に接
触できるように1:5〜1:100の範囲にすることが
好ましい。また、この湿式処理は、攪拌しながら行うこ
とが好ましい。
【0013】本発明においては、上記したジメチルスル
ホキシドと水の混合溶剤を用いて湿式粉砕処理すること
により結晶型が変換されて、CuKα特性X線に対する
ブラッグ角度(2θ±0.2°)の少なくとも7.4
°、16.6°、25.5°及び28.3°にシャープ
で強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニ
ン結晶が得られる。また、本発明における湿式粉砕処理
及び洗浄に用いる水は、精製水であり、純水、蒸留水ま
たはイオン交換水等であって、伝導度が10.0μS/
cm以下のものであり、好ましくは1.0μS/cm以
下のものである。
【0014】次に、本発明により得られるクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶を電子写真感光体の光導電材料と
して使用する場合について説明する。本発明の電子写真
感光体において、クロロガリウムフタロシアニン結晶
は、感光層が単層構造のもの、あるいは電荷発生層と電
荷輸送層とに機能分離された積層構造のもの等の如何な
る層構造からなるものにも適用することができる。
【0015】導電性基体としては、従来から使用されて
いるものであれば、如何なるものを用いてもよい。ま
た、導電性基体の表面は、必要に応じて、画質に影響を
及ぼさない範囲で各種の処理、例えば、表面の陽極酸化
処理、液体ホーニング等による粗面化処理、薬品処理、
着色処理等を行ったものも用いることができる。積層型
感光体の場合には、導電性基体上に少なくとも電荷発生
層と電荷輸送層とが積層された感光層が設けられるが、
その積層の順序はいずれが基体側にあってもよい。
【0016】電荷発生層は、本発明により得られるクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶及び適当な結着樹脂溶液
を用いて形成される。また、電荷発生材料としては、ク
ロロガリウムフタロシアニン結晶のほかに、他の公知の
電荷発生材料を併用してもよい。さらに、結着樹脂とし
ては、公知のものを適宜使用できる。電荷発生材料と結
着樹脂の配合(重量)比は、40:1〜1:4、好まし
くは20:1〜1:2である。電荷発生材料の配合割合
が高すぎると塗布溶液の安定性が低下し、一方、低すぎ
と感度が低下するので、上記の範囲に設定することが好
ましい。電荷発生材料の分散に使用される溶剤として
は、結着樹脂を溶解するものを適宜選択することができ
る。
【0017】電荷発生材料を結着樹脂溶液中に分散させ
る手段としては、サンドミル、コロイドミル、アトライ
ター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザ
ー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等の方法
が利用できる。また、得られた塗布液の塗布方法として
は、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティン
グ法、スプレーコーティング法、浸漬塗布コーティング
法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法等
が用いられる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm
の範囲、好ましくは0.03〜2μmの範囲である。
【0018】電荷輸送層は、電荷輸送材料及び適当な結
着樹脂溶液を用いて形成される。その電荷輸送材料とし
ては、公知のものが適宜使用できる。また、結着樹脂と
しては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリ共重合体、ポ
リスルホン、ポリメタクリル酢エステル、スチレン−メ
タクリル酢エステル共重合体、ポオレフィン等が用いら
れる。電荷輸送材料と結着樹脂の配合(重量)比は、
5:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3である。電
荷輸送材料の配合割合が高すぎると電荷輸送層の機械的
強度が低下し、一方、低すぎると感度が低下するので、
上記の範囲に設定することが好ましい。また、電荷輸送
材料自体が成膜性を有するものを用いる場合には、上記
の結着樹脂を省くこともできる。
【0019】電荷輸送層は、上記電荷輸送材料と結着樹
脂とを適当な溶剤に溶解させて、これを塗布することに
よって形成されるが、これらの塗布方法は、電荷発生層
について述べたと同様の方法が用いられる。電荷輸送層
の膜厚は、5〜50μmの範囲、好ましくは10〜40
μmの範囲になるように形成することが好ましい。本発
明の電子写真感光体における感光層が、単層構造の場合
には、感光層はクロロガリウムフタロシアニン結晶と電
荷輸送材料が結着樹脂に分散された光導電層より形成さ
れる。この電荷輸送材料としては、公知のものが適宜使
用でき、また、結着樹脂としては、上記したものと同様
なものを使用することができるから、感光層は上記した
いずれかの方法によって形成することができる。その
際、電荷輸送材料と成膜性樹脂との配合(重量)比は、
1:20〜5:1に設定することが好ましく、また、ク
ロロガリウムフタロシアニン結晶と電荷輸送材料との配
合(重量)比は、1:10〜10:1に設定することが
好ましい。また、本発明の電子写真感光体には、必要に
応じて、感光層と基体の間に下引き層を設けてもよい。
下引き層は、基体からの不必要な電荷の注入を阻止する
ために有効なものであり、また、感光体の帯電性を向上
させる作用を有し、さらに、感光層と基体との接着性を
向上させる作用をも有している。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、「部」は「重量部」を意味する。 合成例1(I型クロロガリウムフタロシアニン結晶の合
成) 1,3−ジイミノイソインドリン30部、三塩化ガリウ
ム9.1部をジメチルスルホキシド230部中に入れ、
160℃において4時間反応させた後、得られた生成物
をろ別し、ジメチルスルホキシドで洗浄し、次いでイオ
ン交換水で洗浄し、その後、生成した湿ケーキを60℃
において48時間真空乾燥させることにより、クロロガ
リウムフタロシアニン結晶28部を得た。得られたクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図1
に示す。この結晶は、CuKα特性X線に対するブラッ
グ角度(2θ±0.2°)の少なくとも27.1°に強
い回折ピークを有するI型クロロガリウムフタロシアニ
ン結晶であった。
【0021】実施例1 合成例1で得られたI型クロロガリウムフタロシアニン
結晶5部を、12mmφのアルミナ製ビーズ50部とと
もにアルミナ製ポットに入れた。これを振動ミル(MB
−1型、中央化工機社製)に装着して100時間乾燥粉
砕させることによりクロロガリウムフタロシアニン結晶
4.5部を得た。得られたクロロガリウムフタロシアニ
ン結晶(結晶A)の粉末X線回折図を図2に示す。次
に、得られた結晶A3部を、90重量%のジメチルスル
ホキシド水溶液40部中に入れ、室温において24時間
攪拌し、イオン交換水で洗浄した後、ろ別し、60℃に
おいて48時間真空乾燥させることにより、クロロガリ
ウムフタロシアニン結晶4部を得た。得られたクロロガ
リウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を図3に示
す。このクロロガリウムフタロシアニン結晶は、CuK
α特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の
少なくとも7.4°、16.6°、25.5°及び2
8.3°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタ
ロシアニン結晶であった。
【0022】実施例2 実施例1と同様に乾燥粉砕して得たクロロガリウムフタ
ロシアニン結晶(結晶A)3部を、80重量%のジメチ
ルスルホキシド水溶液40部中に入れ、室温において2
4時間攪拌し、イオン交換水で洗浄した後、ろ別し、6
0℃において48時間真空乾燥させることによりクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶4部を得た。得られたクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図は、図
3と同一のスペクトルを示した。
【0023】実施例3 実施例1と同様に乾燥粉砕して得たクロロガリウムフタ
ロシアニン結晶(結晶A)3部を、65重量%のジメチ
ルスルホキシド水溶液40部中に入れ、室温において2
4時間攪拌し、イオン交換水で洗浄した後、ろ別し、6
0℃において48時間真空乾燥させることによりクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶4部を得た。得られたクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図は、図
3と同一のスペクトルを示した。
【0024】比較例1 実施例1と同様に乾燥粉砕して得たクロロガリウムフタ
ロシアニン結晶(結晶A)3部を、5mmφのガラスビ
ーズ60部とともにジメチルスルホキシド40部中に入
れ、室温において24時間ボールミリングし、イオン交
換水で洗浄した後、ろ別し、60℃において48時間真
空乾燥させることにより、クロロガリウムフタロシアニ
ン結晶4部を得た。得られたクロロガリウムフタロシア
ニン結晶の粉末X線回折図は、図3と同一のスペクトル
を示した。
【0025】実施例A まず、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM
−1,積水化学工業社製)8部をn−ブチルアルコール
152部に加えて攪拌溶解させ、5重量%のポリビニル
ブチラール溶液を作成した。また、トリブトキシジルコ
ニウム・アセチルアセトネートの50%トルエン溶液
(商品名:ZC540,松本交商社製)100部、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A110
0、日本ユニカー社製)10部及びn−ブチルアルコー
ル130部を混合した溶液を、上記のポリビニルブチラ
ール溶液中に加えてスターラーで攪拌し、下引き層形成
用の塗布液を調整した。この塗布液を40φ×319m
mのアルミニウムパイプ上に浸漬塗布し、150℃にお
いて10分間加熱乾燥させて膜厚1.0μmの下引き層
を形成した。
【0026】次に、ポリビニルブチラール(商品名:エ
スレックBM−S、積水化学工業社製)1部を予め酢酸
n−ブチル49部に溶解した溶液に、実施例1で得たク
ロロガリウムフタロシアニン結晶1部を添加し、5時間
サンドミルで分散させて後、酢酸n−ブチルで希釈し、
固形分濃度3.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調
整した。得られた塗布液を、上記した下引き層の上にリ
ング塗布機によって塗布し、100℃において10分間
加熱乾燥させて膜厚0.20μmの電荷発生層を形成し
た。なお、分散後の上記クロロガリウムフタロシアニン
結晶は、粉末X線回折により分散前の結晶型と変化して
いないことを確認した。次に、得られた電荷発生層の上
に電荷輸送層を形成させた。即ち、N.N′−ビス−
(p−トリル)−N,N′−ビス−(p−エチルフェニ
ル)−3,3′−ジメチルベンジジン4部を電荷輸送材
料とし、ポリカーボネートZ樹脂6部とともにモノクロ
ロベンゼン40部に溶解させ、得られた溶液を浸漬塗布
装置によって、上記電荷発生層上に塗布し、115℃で
60分加熱乾燥させて膜厚18μmの電荷輸送層を形成
させることにより、電子写真感光体を作製した。
【0027】実施例B 実施例Aにおいて、電荷発生材料として使用する実施例
1で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶に代えて、
実施例2で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶を使
用したこと以外は、実施例Aとすべて同様にして電子写
真感光体を作製した。 実施例C 実施例Aにおいて、電荷発生材料として使用する実施例
1で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶に代えて、
実施例3で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶を使
用したこと以外は、実施例Aとすべて同様にして電子写
真感光体を作製した。
【0028】比較例A 実施例Aにおいて、電荷発生材料として使用する実施例
1で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶に代えて、
比較例1で得たクロロガリウムフタロシアニン結晶を使
用したこと以外は、実施例Aとすべて同様にして電子写
真感光体を作製した。
【0029】上記各実施例及び比較例で得られた電子写
真感光体を評価するために、レーザプリンタ(XP−1
1:富士ゼロックス社製)を用いて、以下の測定を行っ
た。この操作は、20℃における50%RHの環境下、
グリッド印加電圧−600Vのスコロトロン帯電器で帯
電し(A)、780nmの半導体レーザーを用いて、1
秒後に7.0mJ/m2 の光を照射して放電を行い
(B)、さらに、3秒後に50mJ/m2 の赤色LED
光を照射して除電を行う(C)というプロセスによっ
て、各部の電位を測定した。この場合、(A)の電位V
H は高い程、感光体の受容電位が高いために、コントラ
ストを高くすることが可能であり、(B)の電位VL は
低い程高感度であり、(C)VRPの電位は低い程残留電
位が少なく、画像メモリーやカブリが少ない感光体であ
ると評価することができる。また、10,000回の繰
り返し帯電・露光後の各部の電位の測定も行った。これ
らの結果を表1に示す。なお、各実施例及び比較例で使
用した溶剤の融点も併せて示した。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、実施例A〜Cに
より作製された電子写真感光体は、本発明の製造方法で
得られたクロロガリウムフタロシアニン結晶を感光層に
使用することにより、高感度で良好な電子写真特性を示
した。また、これらは、10000回の繰り返し複写後
における電気特性も安定していた。また、実施例A〜C
の電子写真感光体は、それぞれ感度に差異があり、湿式
工程に用いるジメチルスルホキシド水溶液溶剤中のジメ
チルスルホキシド濃度を低くする程、VL 値(絶対値)
が高くなることから感度調整が可能であることが理解で
きる。さらに、比較例Aに使用したジメチルスルホキシ
ド溶剤は融点が18℃であるために、冬期の湿式処理に
おいては凍結してクロロガリウムフタロシアニン結晶の
作成を中断することとなったのに対し、ジメチルスルホ
キシド水溶液を使用したときには凝固点降下するために
凍結は起こらなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明のクロロガリウムフタロシアニン
結晶の製造方法は、湿式処理温度を下げることにより凍
結を防止できるとともに、湿式処理溶剤中のジメチルス
ルホキシドと水の混合比率を変えることにより感度を調
整できるものであり、安全かつ簡便に行うことが可能で
ある。また、本発明のクロロガリウムフタロシアニン結
晶を感光層に含有させた電子写真感光体は、上記のよう
に優れた電気特性及び画像品質を示すとともに、繰り返
し安定性の良好な電子写真特性を示すという優れた効果
を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたI型クロロガリウムフタ
ロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図2】 実施例1の前段工程で得られたクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。
【図3】 実施例1の後段工程で得られたクロロガリウ
ムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 I型クロロガリウムフタロシアニン結晶
    を乾式粉砕処理することにより結晶変換させた後、ジメ
    チルスルキシドと水の混合溶剤を用いて湿式処理するこ
    とを特徴とするクロロガリウムフタロシアニン結晶の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 混合溶剤が、ジメチルスルホキシドに対
    する水の重量比を10/1〜1/100とすることを特
    徴とする請求項1記載のクロロガリウムフタロシアニン
    結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 湿式処理は、メディアを用いることなく
    撹拌により行うことを特徴とする請求項1又は2記載の
    クロロガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法により得られるCuKα特性X線に対するブラッ
    グ角度(2θ±0.2°)の少なくとも7.4°、1
    6.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピーク
    を有するクロロガリウムフタロシアニン結晶。
  5. 【請求項5】 導電性基体上に感光層を設けた電子写真
    感光体において、該感光層が、請求項4記載のクロロガ
    リウムフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする
    電子写真感光体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6492080B1 (en) * 2001-03-23 2002-12-10 Xerox Corporation Process for tuning photoreceptor sensitivity
JP2008276235A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Xerox Corp 電子写真画像形成部材

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