JP6562810B2 - ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法、及び該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法、及び該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法、及び該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体の製造方法に関する。
光導電体としての機能に優れるフタロシアニン顔料は、電子写真感光体、太陽電池、センサー、スイッチング素子などの材料に用いられている。これらフタロシアニン顔料は、その結晶形が違う場合は勿論のこと、結晶を製造する過程が違う場合にも異なる感度特性を示すことが知られている。 特許文献1には、ガリウムフタロシアニン結晶をアシッドペースティング処理して高い感度を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法が記載されている。
特開2000−344778号公報
上記の通り、フタロシアニン顔料は、光導電体としての機能に優れるが、その用途によっては、市場の要求に伴い、更に高いレベルの感度を有することが求められている。特に、フタロシアニン顔料の中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、例えば、電子写真感光体の電荷発生物質として用いられているが、近年の電子写真装置の高速化(プロセススピードの高速化)に伴い、これまで以上の高いレベルの感度を有することが求められている。
一方で、電荷発生物質の感度を高めると、電荷の発生量が多くなるため、電荷が感光層中に滞留しやすく、その結果として、最終的に得られる画像にゴースト現象が発生しやすい。このゴースト現象は、常温常湿環境下だけでなく、より厳しい条件である低温低湿環境下での電子写真感光体の使用においても、発生が抑制されることが好ましい。
したがって、本発明の目的は、高いレベルの感度を有し、かつ、ゴースト現象の発生が抑制されるようなヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、感度が高く、かつ、低温低湿環境下での使用においても、ゴースト現象の発生が抑制された画像を出力可能な電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法において、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物を、1℃以上30℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、分散液を得る第1の湿式ミリング処理工程と、
該分散液を、40℃以上60℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得る第2の湿式ミリング処理工程と、
を有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法、に関する。
また、本発明は、支持体および感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層が、上記製造方法で得られたCuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法、に関する。
本発明によれば、高いレベルの感度を有し、かつ、ゴースト現象の発生が抑制されるようなヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、感度が高く、かつ、低温低湿環境下での使用においても、ゴースト現象の発生が抑制された画像を出力可能な電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 実施例1−2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 実施例1−3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 実施例1−18で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 比較例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
本発明は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を製造する方法において、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物を、1℃以上30℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、分散液を得る第1の湿式ミリング処理工程と、
該分散液を、40℃以上60℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得る第2の湿式ミリング処理工程と、
を有することを特徴とする。
本発明の溶剤中で湿式ミリング処理されるヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物としては、ガリウムフタロシアニン分子のガリウム原子に軸配位子としてヒドロキシ基を有するものである。また、フタロシアニン環にハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
さらに、アシッドペースティング法により処理した低結晶性のヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物が、本発明が有効に作用し好ましい。
本発明の溶剤中で行われる湿式ミリング処理について説明する。
ここで行う湿式ミリング処理とは、例えば、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、スチールビーズなどを分散メディアとして用い、サンドミル、ボールミルなどのミリング装置を用いて行う処理である。
また、分散メディアとしては、ガラスビーズまたはジルコニアビーズで、且つ平均粒径が0.3mm以上1.2mm以下の球状であることがより好ましい。
また、使用される分散メディアの量は、質量基準でヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の10倍以上50倍以下が好ましい。
本発明の湿式ミリング処理に用いられる溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤などが挙げられる。中でも、プロトン性極性溶剤が本発明の効果の点で好ましい。さらに、N-メチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミドまたはN-プロピルホルムアミドであることが特に好ましい。
また、溶剤の使用量は、質量基準でヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物の5〜30倍が好ましい。
また、本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が、前記プロトン性極性溶剤を結晶内に含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がより好ましく、さらには、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有されるプロトン性極性溶剤の含有量が、該ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶中のヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して0.5質量%以上1.7質量%以下であることが、本発明の効果の面で特に好ましい。
本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物を、1℃以上30℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、分散液を得る第1の湿式ミリング工程は、1℃以上30℃以下の範囲で湿式ミリング処理することである。好ましい湿式ミリング処理時間は、室温の温度により多少左右されるが、15時間以上250時間以下であることが、ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物が、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に十分結晶変換されるのに必要な所要時間であり好ましく、常温(15℃以上25℃以下)では、20時間以上100時間以下が好ましい。
本発明の前記分散液を、40℃以上60℃以下の温度において湿式ミリング処理を行うことは、40℃以上60℃以下の温度で湿式ミリング処理する第2の湿式ミリング処理工程であり、そのミリング処理を行う時間は、3時間以上100時間以下であることが、配向性、結晶性および粒径などの面から、本発明が非常に有効に作用し好ましい。
また、本発明の前記第1の湿式ミリング処理工程及び前記第2の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を合計で、20時間以上200時間以下行うことが好ましく、さらには、前記第2の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を行う時間が、前記第1の湿式ミリング処理工程及び前記第2の湿式ミリング処理工程における湿式ミリング処理を行う時間の合計に対して10%以上50%以下であることがより好ましい。
本発明の第2の湿式ミリング処理工程後に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を分散液から取り出すために、ろ過、乾燥することにより本発明のCuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得ることができる。
また、本発明の第2の湿式ミリング処理工程後に、分散液をさらに昇温させて湿式ミリング処理工程を短時間追加してもよく、また、逆に降温させたのち1℃以上30℃以下の温度でミリング処理工程を追加してもよい。
また、湿式ミリング処理工程中の最高温度が60℃以下であることが、本発明の効果の面で好ましい。
また、本発明の第1の湿式ミリング処理工程および第2の湿式ミリング処理工程の少なくとも何れかにおいて、湿式ミリング処理を、窒素またはアルゴンで置換された環境下で行なうことが、本発明の効果の面で好ましい。
本発明の得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がプロトン性極性溶剤を結晶内に含有しているかどうかについて、本発明においては、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶をX線回折測定、およびNMR測定のデータを解析することにより決定した。
本発明のフタロシアニン結晶のX線回折およびNMRの測定は、次の条件で行ったものである。
[粉末X線回折測定]
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT−TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロメーター:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター
[NMR測定]
使用測定器:BRUKER製、AVANCEIII 500
溶媒:重硫酸(DSO
積算回数:2000
本発明で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、光導電体としての機能に優れ、電子写真感光体以外にも、太陽電池、センサー、スイッチング素子などに適用することができる。
次に、本発明で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を電子写真感光体における電荷発生物質として適用する場合を説明する。
感光層には、電荷発生物質および電荷輸送物質をともに含有する単一層からなる感光層(単層型感光層)や、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる感光層(積層型感光層)がある。なお、電荷発生層と電荷輸送層の積層関係は逆であってもよい。
本発明に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金および白金を用いることができる。その他にはアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム、酸化スズおよび酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着法によって被膜形成された層を有するプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂およびポリフッ化エチレン)、導電性粒子(例えば、アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子、カーボンブラック、銀粒子など)を結着樹脂とともにプラスチックまたは前記支持体の上に被覆した支持体、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体や、導電性ポリマーを有するプラスチックなどを用いることができる。
本発明においては、支持体および感光層の間にはバリア機能と接着機能とを持つ下引き層(バリア層、中間層とも呼ばれる。)を設けることもできる。
下引き層の材料としてはポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタン、にかわ、酸化アルミニウムおよびゼラチンなどが用いられる。その膜厚は0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。
単層型感光層を形成する場合、本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の電荷発生物質と電荷輸送物質を結着樹脂溶液中に混合して、この混合液を支持体上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
積層型感光層を形成する場合、電荷発生層は、本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を結着樹脂溶液中に分散させて得られた電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、蒸着によって電荷発生層を形成することもできる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させて得られた電荷輸送層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物などが挙げられる。
各層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザールなどの樹脂が用いられる。
感光層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
感光層が単層型である場合、膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
感光層が積層型である場合、電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
感光層が積層型である場合、電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。また、電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
感光層が単層型である場合、電荷発生物質の含有量は、感光層の全質量に対して3質量%以上30質量%以下であることが好ましい。また、電荷輸送物質の含有量は、感光層の全質量に対して30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を電荷発生物質として用いる場合、他の電荷発生物質と混合して用いることもできる。この場合、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の含有率は、全電荷発生物質に対して50質量%以上が好ましい。
感光層上には、必要に応じて保護層を設けてもよい。保護層はポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZ、変性ポリカーボネートなど)、ナイロン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂を有機溶剤によって溶解させて得られた保護層用塗布液を感光層上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
保護層の膜厚は、0.05μm以上20μm以下であることが好ましい。
保護層には、導電性粒子や紫外線吸収剤などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が挙げられる。
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
1は円筒状(ドラム状)の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、像露光手段(不図示)から像露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。像露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、像定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、トナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することもできる。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例および比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計(Fischerscope、フィッシャーインスツルメント社製)で求め、または、単位面積当たりの質量から比重換算で求めた。
〔合成例1〕
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部およびα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度60℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(60℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は60ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度130℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン顔料を4.47部(収率68%)得た。
〔合成例2〕
合成例1で得られたクロロガリウムフタロシアニン顔料4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)を得た(アシッドペースティング法。)。
次に、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機(商品名:HD−06R、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz、日本バイオコン(株)製)を用いて以下のように乾燥させた。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスより取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフ、乾燥機の内壁の温度は50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0kPa以上10.0kPa以下に調整した。
まず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。
第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0kPa以上10.0kPa以下)に調整した後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程をさらに1回繰り返した(計2回)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。
さらに第3工程として、第2工程でのマイクロ波を1.2kWから0.8kWに代えた以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程をさらに1回繰り返した(計2回)。
さらに第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0kPa以上10.0kPa以下)に復圧した後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程をさらに7回繰り返した(計8回)。
以上、合計3時間の乾燥により、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を1.52kg得た。
〔実施例1−1〕
合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン0.5部、および、N−メチルホルムアミド10部を、平均粒径0.8mmのガラスビーズ20部とともにボールミルで湿式ミリング処理を23℃下で24時間行った。次に、ミリング装置ごと50℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を114時間行った。この際、容器は規格びん(製品コード:PS−6、柏洋硝子株式会社製)を用い、容器が1分間に120回転する条件で湿式ミリング処理を行った。この分散液からヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶をN−メチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図2に示す。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)において、7.5°、および28.4°にピークを示す結晶であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.2質量%含有されていることが確認された。N−メチルホルムアミドは上記洗浄溶媒であるテトラヒドロフランに溶解することから、本実施例においてN−メチルホルムアミドはヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有されていることが分かる。
〔実施例1−2〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から114時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から3時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図3に示す。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)において、7.5°、および28.3°にピークを示す結晶であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.8質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−3〕
実施例1−2において、50℃での湿式ミリング処理を3時間から22時間に代えた以外は、実施例1−2と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図4に示す。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)において、7.5°、および28.3°にピークを示す結晶であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.7質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−4〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から48時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から24時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.7質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−5〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から72時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から48時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.6質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−6〕
実施例1−5において、湿式ミリング処理時の分散液の入った容器を窒素で置換した以外は、実施例1−5と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.7質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−7〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から114時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から34時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を16時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図2と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−8〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から95時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から5時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.6質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−9〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から95時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から24時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−10〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から95時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から48時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.1質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−11〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理24時間を、10℃での湿式ミリング処理7時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理時間を114時間から22時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが2.3質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−12〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から3時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理114時間を40℃での湿式ミリング処理100時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.6質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−13〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から3時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理114時間を60℃での湿式ミリング処理5.5時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが2.2質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−14〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から96時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理114時間を、60℃での湿式ミリング処理5時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図4と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.3質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−15〕
実施例1−1において、23℃での湿式ミリング処理を24時間から96時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理114時間を、60℃での湿式ミリング処理27時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を24時間追加した以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.1質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−16〕
実施例1−7において、N−メチルホルムアミド10部をN−n−プロピルホルムアミド10部に代えた以外は、実施例1−7と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図2と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−n−プロピルホルムアミドが1.2質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−17〕
実施例1−7において、N−メチルホルムアミド10部をN−ビニルホルムアミド10部に代えた以外は、実施例1−7と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図2と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−ビニルホルムアミドが1.2質量%含有されていることが確認された。
〔実施例1−18〕
実施例1−1において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に変更し、50℃での湿式ミリング処理を114時間から6.5時間に代えた以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図5に示す。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)において、7.5°、および28.4°にピークを示す結晶であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが1.7質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−1〕
実施例1−1において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に変更し、23℃での湿式ミリング処理を24時間から48時間に変更し、50℃での湿式ミリング処理を行わなかった以外は、実施例1−1と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図6に示す。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)において、7.4°、および28.3°にピークを示す結晶であった。
また、NMR測定により、本比較例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−2〕
実施例1−18において、23℃での湿式ミリング処理を行わなかった以外は、実施例1−18と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図5と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが1.8質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−3〕
比較例1−2において、50℃での湿式ミリング処理6.5時間を90℃での湿式ミリング処理1時間に変更した以外は、比較例1−2と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図5と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが1.5質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−4〕
比較例1−2において、N,N−ジメチルホルムアミド10部をN−メチルホルムアミド10部に変更し、50℃での湿式ミリング処理を6.5時間から24時間に変更した以外は、比較例1−2と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが2.0質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−5〕
比較例1−4において、50℃での湿式ミリング処理を24時間から7時間に変更し、続いて、ミリング装置ごと23℃の環境試験室に投入し、同様に湿式ミリング処理を89時間追加した以外は、比較例1−4と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図2と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが1.7質量%含有されていることが確認された。
〔比較例1−6〕
比較例1−5において、50℃での湿式ミリング処理を7時間から36時間に変更し、続いて、23℃での湿式ミリング処理を89時間から16時間に代えた以外は、比較例1−5と同様に処理し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図は、図3と同様であった。
また、NMR測定により、本実施例で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に、プロトン比率から換算し、N−メチルホルムアミドが2.0質量%含有されていることが確認された。
Figure 0006562810
〔実施例2−1〕
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール 50部、メタノール 50部からなる溶液を20時間、ボールミルで分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体としてのアルミニウムシリンダー(直径24mm、長さ262mm)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を前記導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
次に、実施例1−1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、および、シクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1時間分散処理し、これに酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式で示される化合物(電荷輸送物質)8部、および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン70部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
Figure 0006562810
この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間110℃で乾燥させることによって、膜厚が23μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、円筒状(ドラム状)の実施例2−1の電子写真感光体を作製した。
〔実施例2−2〜2−18〕
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を実施例1−2〜1−18で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜2−18の電子写真感光体を作製した。
〔比較例2−1〜2−6〕
実施例2−1において、電荷発生層用塗布液を調製する際のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を比較例1−1〜1−6で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶に変更した。それ以外は、実施例2−1と同様にして比較例2−1〜2−6の電子写真感光体を作製した。
〔実施例2−1〜2−18および比較例2−1〜2−6の評価〕
実施例2−1〜2−18および比較例2−1〜2−6で作製した電子写真感光体について、得られる画像におけるゴースト現象の抑制効果の評価を行った。
(ゴースト現象の抑制効果の評価)
評価用の電子写真装置として、日本ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:Color Laser Jet CP3525dn)を、前露光は点灯せず、帯電条件と像露光量は可変で作動するように改造を施して用いた。また、シアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着してシアンのプロセスカートリッジのステーションに取り付け、他の色用のプロセスカートリッジをプリンター本体に装着せずとも作動するようにした。
画像の出力に際しては、シアン色用のプロセスカートリッジのみを本体に取り付け、シアントナーのみによる単色画像を出力した。
まず、常温常湿(温度23℃、相対湿度:55%)環境下で、初期の暗部電位が−500V、明部電位が−100Vになるように帯電条件と像露光量を調整した。電位設定の際のドラム状電子写真感光体の表面電位の測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、円筒状の電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
その後、同条件下でゴースト画像評価を行った。その後、1000枚の通紙耐久試験を行い、耐久試験直後および耐久試験15時間後でのゴースト画像評価を行った。常温常湿環境下における評価結果を表1に示す。
次に、電子写真感光体を評価用の電子写真装置とともに低温低湿(温度15℃、相対湿度:10%)環境下で3日間放置した後、ゴースト画像評価を行った。そして、同条件下で1000枚の通紙耐久試験を行い、耐久試験直後および耐久試験15時間後でのゴースト画像評価を行った。低温低湿環境下における評価結果を表1に合わせて示す。
なお、通紙耐久試験は、印字率1%でE文字画像をA4サイズの普通紙にシアン単色で印字する条件で行った。
また、ゴースト画像評価は以下のように行った。
ゴースト画像評価は、1枚目にベタ白画像を出力し、その後ゴーストチャートを4種各1枚の計4枚出力し、次に、ベタ黒画像を1枚出力した後に再度ゴーストチャートを4種各1枚の計4枚出力する、という順番で行い、計8枚のゴースト画像で評価した。ゴーストチャートは、プリント画像書き出し(紙上端10mm)位置から30mmの範囲をべた白背景に25mm四方のべた黒の正方形を等間隔、かつ、平行に4つ並べ、プリント画像書き出し位置から30mm以降はハーフトーンの印字パターンを4種類出力し、ランク分けを行った。
4種類のゴーストチャートとは、プリント書き出し位置から30mm以降のハーフトーンパターンのみ異なるチャートで、ハーフトーンは以下の4種類である。
(1)横1ドット、1スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(2)横2ドット、2スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(3)横2ドット、3スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(4)桂馬パターンの印字(レーザー露光)パターン。(将棋の桂馬の動きのように6マスに2ドット印字するパターン)
*:横とは、レーザースキャナーの走査方向(出力された用紙では水平方向)を指す。
ゴースト画像のランク分けは以下のように行った。なお、ランク4、5、6は、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
ランク1:いずれのゴーストチャートでもゴーストは見えない。
ランク2:特定のゴーストチャートでゴーストがうっすら見える。
ランク3:いずれのゴーストチャートでもゴーストがうっすら見える。
ランク4:特定のゴーストチャートでゴーストが見える。
ランク5:いずれのゴーストチャートでもゴーストが見える。
ランク6:特定のゴーストチャートでゴーストがはっきり見える。
Figure 0006562810
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (15)

  1. ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法において、
    ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物を、1℃以上30℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、分散液を得る第1の湿式ミリング処理工程と、
    該分散液を、40℃以上60℃以下の温度において湿式ミリング処理を行い、CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を得る第2の湿式ミリング処理工程と、
    を有することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  2. 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物が、アシッドペースティング法により得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物である請求項1に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  3. 前記第1の湿式ミリング処理工程において、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズまたはスチールビーズを分散メディアとして用いる請求項1または2に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  4. 前記分散メディアが、ガラスビーズまたはジルコニアビーズであり、且つ、平均粒径が0.3mm以上1.2mm以下の球状である請求項3に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  5. 前記第1の湿式ミリング処理工程において用いる溶剤が、プロトン性極性溶剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  6. 前記プロトン性極性溶剤が、前記CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶内に含有される請求項5に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  7. 前記結晶内に含有されるプロトン性極性溶剤の含有量が、前記CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ)において、7.4°±0.3および28.3°±0.3°にピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の含有量に対して、0.5質量%以上1.7質量%以下である請求項6に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  8. 前記プロトン性極性溶剤が、N−メチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドまたはN−プロピルホルムアミドである請求項5〜7のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  9. 前記第2の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を、3時間以上100時間以下行う請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  10. 前記第1の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を、15時間以上250時間以下行う請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  11. 前記第1の湿式ミリング処理工程及び前記第2の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を合計で、20時間以上200時間以下行う請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  12. 前記第2の湿式ミリング処理工程において、湿式ミリング処理を行う時間が、前記第1の湿式ミリング処理工程及び前記第2の湿式ミリング処理工程における湿式ミリング処理を行う時間の合計に対して10%以上50%以下である請求項11に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  13. 製造方法を通して、60℃以下の環境に保たれている請求項1〜12のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  14. 前記第1の湿式ミリング処理工程および前記第2の湿式ミリング処理工程の少なくとも何れかにおいて、湿式ミリング処理を、窒素またはアルゴンで置換された環境下で行う請求項1〜13のいずれか1項に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の製造方法。
  15. 支持体および感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記感光層が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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