JP2013242389A - 無端ベルト - Google Patents

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輝佳 金原
Satoshi Endo
里志 遠藤
Keisuke Tokoro
圭輔 所
Masanori Ishida
政典 石田
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Abstract

【課題】ベルト表面の柔軟性に優れ、かつ、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定している無端ベルトを提供する。
【解決手段】無端ベルト1は、筒状に形成された樹脂製の基層2と、基層2の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層3とを有する。ゴム弾性層3の表面は、ベルト表面とされており、JIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度が50%以上である。ゴム弾性層3は、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物の硬化物よりなり、上記液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50が0.1〜1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内であるとよい。無端ベルト1は、電子写真方式の画像形成装置に好適に用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無端ベルトに関する。
従来、様々な分野において、無端ベルトが使用されている。例えば、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、印刷機等の画像形成装置の分野では、複数の感光体によって色別に形成した各トナー像をベルト表面に一次転写して各色のトナー像を重ね合わせ、これを用紙等の転写材に二次転写するための中間転写ベルトとして、無端ベルトが用いられている。他にも、転写材(紙)に転写されたトナーを加熱により溶融固着させて画像を形成するための定着ベルトとして、無端ベルトが用いられている。
上記無端ベルトとしては、樹脂製の基層単体からなる無端ベルトが広く知られている。最近では、上記基層の表面にゴム弾性層を積層した無端ベルトも提案されるようになっている。
例えば、特許文献1には、基層の表面に、無機フィラーが配合されたゴム材料よりなるゴム弾性層が設けられてなる電子写真機器用無端ベルトが開示されている。
特開2011−197660号公報
しかしながら、従来知られる無端ベルトは、以下の点で改良の余地がある。
すなわち、基層単体からなる無端ベルトは、ベルト表面の柔軟性に劣る。そのため、これを画像形成装置に用いた場合、良好な画像形成を行う上で不利である。具体的には、例えば、ベルト表面の柔軟性に劣る無端ベルトを中間転写ベルトに用いた場合には、二次転写性が悪いため、良好な画像を形成し難くなる。
また、基層表面にゴム弾性層を積層した無端ベルトは、ゴム弾性層中に配合される無機フィラーによりその表面が荒れやすい。そのため、これを画像形成装置に用いた場合にはベルト表面の凹凸にトナーが捕捉されて汚れやすい上、ベルト表面に付着したトナーを掻き取り難くなる。その結果、ベルト表面のクリーニング性が低下するなどの不都合に繋がる。したがって、ゴム弾性層の表面に樹脂等からなる表層をさらに積層するなどの処置が必要となる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、ベルト表面の柔軟性に優れ、かつ、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定している無端ベルトを提供することにある。
本発明の一態様は、筒状に形成された樹脂製の基層と、該基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有しており、
上記ゴム弾性層の表面がベルト表面であり、かつ、上記表面におけるJIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする無端ベルトにある(請求項1)。
本発明の他の態様は、筒状に形成された樹脂製の基層と、該基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有する無端ベルトの製造方法であって、
上記基層の外周に、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物を塗工し、硬化させてゴム弾性層を形成する工程を有しており、
上記液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内であることを特徴とする無端ベルトの製造方法にある(請求項6)。
上記無端ベルトは、筒状に形成された樹脂製の基層と、基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有しており、ゴム弾性層の表面がベルト表面とされている。このゴム弾性層はゴムを含有しているので、そのゴム弾性によってベルト表面の柔軟性に優れる。また、上記無端ベルトは、ゴム弾性層の表面におけるJIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度が50%以上である。そのため、ゴム弾性層がフィラーを含有していても、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定している。
また、上記無端ベルトの製造方法は、筒状に形成された樹脂製の基層と、該基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有する無端ベルトの製造方法であって、上記基層の外周に、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物を塗工し、硬化させてゴム弾性層を形成する工程を有している。そして、この工程で用いる上記液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50は0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90は上記50%粒径d50の2倍以内である。そのため、形成されるゴム弾性層の表面におけるJIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度を50%以上とすることができる。そのため、上記無端ベルトを容易に得ることができる。
よって、これら本発明によれば、ベルト表面の柔軟性に優れ、かつ、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定している無端ベルトを提供することができる。
実施例の無端ベルトを模式的に示した説明図である。 図1のII−II断面図である。
上記無端ベルトについて説明する。なお、後述する無端ベルトの製造方法の説明も適宜参照することができる。
上記無端ベルト(シームレスベルト)は、筒状に形成された樹脂製の基層と、基層の外周に積層され、ゴム(エラストマーを含む、以下省略)とフィラーとを含有するゴム弾性層とを有している。上記無端ベルトは、好ましくは、基層の外周面に沿ってゴム弾性層が積層された二層構造とすることができる。なお、上記無端ベルトは、ゴム弾性層がベルト表面と一致しておれば、その用途等に応じて、基層とゴム弾性層との間に導電層等の他の層を介在させることも可能である。この場合には、例えば、後述の電子写真方式の画像形成装置における定着ベルト等として用いることができる。
上記無端ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に用いることができる(請求項5)。この場合、上記画像形成装置としては、例えば、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等を例示することができる。
上記無端ベルトは、具体的には、例えば、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる中間転写ベルトとして用いることができる。なお、中間転写ベルトは、潜像担持体に担持されたトナー像をベルト表面に一次転写させた後、このトナー像をベルト表面から用紙等の転写材へ二次転写させるために、画像形成装置に組み込まれる無端ベルトである。
この場合には、ベルト表面の柔軟性に優れるので、凹凸紙や厚紙、粗悪紙等といった様々な表面状態の紙種に対して、一次転写されたトナーを効率良く二次転写することが可能な中間転写ベルトが得られる。また、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定しているので、ベルト表面の凹凸にトナーが捕捉され難い上、ベルト表面に付着したトナーを掻き取りやすくなり、クリーニング性に優れた中間転写ベルトが得られる。
さらに、上記無端ベルトを中間転写ベルトとして用いた場合には、以下の利点も有する。すなわち、クリーニング性の向上により、クリーニングブレード等のクリーニング部材によるクリーニング機構を簡易にすることが可能となる。また、クリーニング性の向上により、クリーニングによるベルト表面の摩耗を低減しやすく、耐久性の向上に有利である。また、ベルト表面粗さが比較的均一であるため、転写時のトナーの飛び散り(転写チリ)が少なくなり、画質向上に寄与することが可能となる。また、長期にわたって画像ムラを抑制しやすくなる。また、ゴム弾性層表面が十分な光沢度を有しているので、ゴム弾性層表面の反射光をセンサにて検出してベルト位置の制御を行いやすくなる。また、ベルト表面の光沢を利用することができるので、ベルト位置の制御システムを小型化しやすくなり、その分、画像形成装置の小型化に寄与することができる。
基層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記基層に用いられる樹脂は、好ましくは、ポリイミドおよびポリアミドイミドから選択される1種または2種以上を含んでいるとよい(請求項4)。この場合には、基層の剛性が高くなるため、無端ベルトの耐久性を向上させることができる。
基層は、導電性を付与するため、導電剤を含むことができる。導電剤は、電子導電剤、イオン導電剤のいずれであってもよく、双方を含むこともできる。好ましくは、電子導電剤であるとよい。
電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系材料、アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末、導電性酸化亜鉛(c−ZnO)、導電性酸化チタン(c−TiO)、導電性酸化鉄(c−Fe)、導電性酸化錫(c−SnO)等の導電性金属酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、上記イオン導電剤は、後述するゴム弾性層の説明にて記載されるものを用いることができる。
基層は、導電剤以外にも、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レべリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、基層の筒径、厚みは、用途(例えば、画像形成装置の機種、大きさ等)に応じて適宜決定することができる。基層の筒径は、例えば、120〜1000mm程度とすることができる。基層の厚みは、例えば、30〜200μm程度、好ましくは40〜130μm程度、より好ましくは60〜90μm程度とすることができる。
ゴム弾性層に用いられるゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、ゴム弾性層は、上記ゴム以外にも、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)などを含むことができる。
ゴム弾性層に用いられるフィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系材料、アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末;酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物;重リン酸アルミニウム、亜リン酸ナトリウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム、シリカ、クレーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記フィラーは、例えば、難燃剤、補強剤、導電剤などとしてゴム材料に配合されうるものである。
ゴム弾性層は、ゴム弾性層の補強性向上による耐摩耗性の向上、ゴム表面の安定性向上、難燃性の向上などの観点から、ゴムを含むポリマー成分100質量部に対し、フィラーを、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上含有することができる。また、十分な20度鏡面光沢度を確保しやすい、生産性向上などの観点から、フィラーを、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下含有することができる。
ゴム弾性層は、導電性を付与するため、導電剤を含むことができる。導電剤は、イオン導電剤、電子導電剤のいずれであってもよく、双方を含むこともできる。好ましくは、イオン導電剤であるとよい。
イオン導電剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート、イオン液体などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
ゴム弾性層は、イオン導電剤以外にも、架橋剤、難燃剤、レべリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、ゴム弾性層の厚みは、柔軟性、難燃性、耐摩耗性、用途などを考慮して決定することができる。ゴム弾性層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、さらにより好ましくは60μm以上とすることができる。一方、ゴム弾性層の厚みは、好ましくは1000μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下、さらにより好ましくは220μm以下とすることができる。
ここで、上記無端ベルトにおいて、ゴム弾性層の表面は、JIS Z8741に準拠して測定される20度(入射角θ=20°)鏡面光沢度が50%以上である。上記にいう「20度鏡面光沢度」は、ゴム弾性層における軸方向の中央部およびその両側の3点について測定される20度鏡面光沢度の値の平均値である。また、上記測定には、日本電色工業(株)製の光沢計「PG−IIM」を用いる。
ゴム弾性層表面の20度鏡面光沢度は、上記効果が得やすくなる観点から、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上であるとよい。また、ゴム弾性層表面の20度鏡面光沢度は、その値が高いほど好ましいため、その上限値は特に限定されるものではないが、生産性などの観点から、例えば、150%以下、好ましくは120%以下とすることができる。
ゴム弾性層は、具体的には、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物の硬化物よりなり、液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内であるとよい(請求項2)。上記液状組成物に含まれる粒状物は、固体状のものであり、典型的にはゴム弾性層中の配合材料の一つである上記フィラーであるが、上記フィラー以外にも液状組成物中に析出した固体状の塩等も含みうる。これら粒状物の粒径がゴム弾性層表面の光沢に関係するからである。
なお、上記にいう「50%粒径d50」とは、液状組成物に含まれる粒状物について、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径を意味する。同様に、上記にいう「90%粒径d90」とは、液状組成物に含まれる粒状物について、上記粒度分布測定装置により体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが90%となる点の粒径を意味する。上記粒度分布測定装置としては、日機装(株)製、「マイクロトラックMT3300EX II」を用いる。
上記の場合には、ゴム弾性層に含まれるフィラー等の粒状物の種類や粒径調整前の径が異なっていても、粒径調整することによって50%以上の20度鏡面光沢度を安定して発現させやすくなる。そのため、上記効果を得やすくなる。これは、ゴム弾性層の表面における表面粗さが小さい状態で、ゴム弾性層の表面に粒度の揃ったフィラー等の粒状物を配列させることが可能となるためであると考えられる。
50%粒径d50は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上とすることができる。フィラーによる補強性が大きくなり、ゴム弾性層の耐摩耗性を向上させやすくなるからである。また、液状組成物に含まれるフィラー等の粒状物の粒径調整のための時間が比較的短くて済み、無端ベルトの生産性に優れる、低コスト化に寄与できるなどの利点もあるからである。50%粒径d50は、好ましくは1.05μm以下、より好ましくは1μm以下とすることができる。ゴム弾性層の表面粗さを均一にしやすくなり、ゴム弾性層表面における上記20度鏡面光沢度にムラが生じ難くなるなどの利点があるからである。
一方、90%粒径d90は、50%粒径d50の、好ましくは2倍以内、より好ましくは1.5倍以内とすることができる。液状組成物に含まれるフィラー等の粒状物の粒径を揃えることにより、20度鏡面光沢度の安定性の向上に寄与しやすくなるからである。
なお、90%粒径d90は、好ましくは2.2μm以下、より好ましくは1.65μm以下とすることができる。50%以上の20度鏡面光沢度を確保しやすくなるからである。また、上記90%粒径d90は、分散性能や分散時間などの観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上とすることができる。液状組成物に含まれるフィラー等の粒状物の粒径調整のための時間が比較的短くて済み、無端ベルトの生産性に優れるなどの利点があるからである。
また、ゴム弾性層は、JIS B0601:1994に準拠して測定される十点平均粗さRzが、好ましくは4μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下であるとよい。50%以上の20度鏡面光沢度を確保しやすくなるなどの利点があるからである。また、上記十点平均粗さRzは、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.5μm以上であるとよい。液状組成物に含まれるフィラー等の粒状物の粒径調整のための時間が比較的短くて済み、無端ベルトの生産性に優れるなどの利点があるからである。なお、上記Rzは、ゴム弾性層における軸方向の中央部およびその両側の3点について測定されるRzの平均値である。
ゴム弾性層の表面は、光照射処理または表面処理液により表面処理が施されているとよい(請求項3)。この場合には、ゴム弾性層表面の摩擦係数を低下させやすくなる。そのため、ゴム弾性層表面に接触した粉状物質が離れやすくなり、粉状物質に対する離型性を付与することができる。したがって、この無端ベルトを、例えば、中間転写ベルトや定着ベルトに用いた場合に、粉状物質であるトナーがゴム弾性層表面に固着し難くなり、ベルト表面のクリーニング性をより一層向上させるのに有利である。
上記光照射処理としては、例えば、紫外線照射処理などを好適なものとして例示することができる。
上記表面処理液としては、例えば、含塩素化合物、含フッ素化合物、およびイソシアネートから選択される1種または2種以上を含む表面処理液などを好適なものとして例示することができる。より具体的には、例えば、一般式:X(OCl)n[但し、Xは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子またはアルキル基を表し、nは正の整数]で表される含塩素化合物および分子内に−CONCl−構造を有する含塩素化合物から選択される1種または2種以上を含有する表面処理液や、これらの表面処理液にさらにBFを含有させた表面処理液、イソシアネートを含む表面処理液などを例示することができる。これらはゴム弾性層の材質に合わせて適宜最適なものを選択することができる。
なお、上記一般式におけるアルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウムやカルシウムなどを、アルキル基としてはメチル基、エチル基、第三級ブチル基、トリフルオロメチル基などを例示することができる。
また、上記一般式で表される化合物としては、具体的には、例えば、メチルハイポクロライド、エチルハイポクロライド、第三級ブチルハイポクロライド、トリフルオロメチルハイポクロライド等のアルキルハイポクロライド、次亜塩素酸、さらに次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩などを例示することができる。また、上記分子内に−CONCl−構造を有する塩素化合物としては、具体的には、例えば、N−クロロスクシンイミドやN−クロロフタルイミド等の酸イミドハロゲン化合物、トリクロロイソシアヌル酸やジクロロイソシアヌル酸等のイソシアヌル酸ハライド、ジクロロジメチルヒダントイン等のハロゲン化ヒダントインなどを例示することができる。また、上記イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)などを例示することができる。
なお、表面処理液は、水やトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、第三級ブタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等の適用な溶媒に上記化合物を溶解もしくは分散することにより液状に調製することができる。
また、含塩素化合物、含フッ素化合物を含む表面処理液による表面処理は、例えば、大気雰囲気中、室温下、反応時間20〜60秒程度の条件にて、ゴム弾性層表面に表面処理液を接触させることにより行うことができる。また、イソシアネートを含む表面処理液による表面処理は、例えば、大気雰囲気中、室温下にてゴム弾性層表面に表面処理液を接触させた後、60〜150℃程度の温度で0.5〜2時間程度加熱することにより行うことができる。
上記無端ベルトの表面抵抗率ρsは、1×10〜1×1013Ω/□程度とすることができる。また、上記無端ベルト1本内における表面抵抗率のバラツキは、1.5桁以内とすることができる。また、上記無端ベルトの体積抵抗率ρVは、1×10〜1×1013Ω/cm程度とすることができる。なお、上記抵抗率は、それぞれ、無端ベルトにおける軸方向の中央部およびその両側の3箇所、周方向に等間隔で4箇所の合計12点について測定した値の平均値である。
次に、上記無端ベルトの製造方法について説明する。なお、上述の無端ベルトの説明を適宜参照することができる。
上記無端ベルトの製造方法において、液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50、90%粒径d90を上記範囲内とするには、上述したゴムおよびフィラーと、任意に配合される配合材料とを、バンバリミキサー、三本ロール、ミキシングロール等の混練機により十分混練した後、これを適当な溶媒に分散、溶解させて液状とし、さらにビーズミル、ジェットミル等の粉砕・分散機にて機械分散することなどによって調製することができる。上記機械分散処理は、連続式であってもバッチ式であってもよい。また、循環用容器や循環用ポンプ等を有する循環装置を同時に使用するなどして処理を繰り返し行うこともできる。なお、上記ビーズミルとは、金属製、金属酸化物(ジルコニアやアルミナ等)製、ガラス製などのビーズにシェアをかけ、そのビーズ同士がこすれる際に発生する応力(せん断力)で物質をすりつぶす機構を有する装置のことである。このようなビーズミルとしては、具体的には、例えば、アシザワ・ファインテック(株)製のスターミルナノゲッター、スターミルZRS、スターミルLMZ、アジテータミルLMK、(株)井上製作所製のスパイクミル、マイティーミル、マイティーミル マークII、キーミル、寿工業(株)製のアペックスミル、スーパーアペックスミル、ウルトラアペックスミル、アイメックス(株)製のサンドグラインダー(SLG)、レディーミル(RMV−03)、ナノレディーミル(RMV−03)、ウルトラビズコミル(UVM)、三井鉱山(株)製のSCミル、MSCミル、ファインミル、(株)ユーロテック性のアニュラーギャップ型ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製のダイノーミルECM、DYNO−MILL NPM−NANO Performance Mill、三菱重工業(株)製のファインミル、日本アイリッヒ製のMicroMediaP1などを用いることができる。
また、液状組成物の塗工は、ディスペンサーコート法(ノズルコート法)、ディッピング法、ロールコート法、リングコート法などの各種の塗工方法によることができる。液状組成物の塗工は、好ましくは、ディスペンサーコート法によるとよい(請求項7)。この場合には、ゴム弾性層の厚みや電気抵抗分布を均一にしやすいなどの利点があるからである。
なお、塗工した液状組成物は、乾燥により固化させることによって硬くしたり、熱処理により架橋等を生じさせることによって硬くしたりすることが可能であり、含まれるゴム種等を考慮して適宜最適な方法を用いて硬化させることができる。
実施例に係る無端ベルトおよびその製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。
図1、図2に示すように、実施例に係る無端ベルト1は、筒状に形成された樹脂製の基層2と、基層2の外周に積層されたゴム弾性層3とを有している。無端ベルト1は、具体的には、基層2の外周面に沿ってゴム弾性層3が積層された二層構造を有している。なお、本例において、基層2は、具体的には、電子導電剤を含有するポリアミドイミドまたは電子導電剤を含有するポリイミドから形成されており、電子導電性を有している。
ゴム弾性層3は、ゴムとフィラーとを含有している。本例において、ゴム弾性層3は、具体的には、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物の硬化物より形成されている。上記ゴムは、具体的には、炭素−炭素二重結合を分子内に有しており、ゴム弾性層3中では架橋されている。また、上記フィラーとしては、金属水酸化物、リン酸塩、炭素系材料等の無機系フィラーを用いている。本例において、ゴム弾性層3は、さらにイオン導電剤を含有しており、イオン導電性を有している。
ここで、無端ベルト1は、ゴム弾性層3の表面がベルト表面とされている。そして、このゴム弾性層3の表面は、JIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度が50%以上である。上記特定の20度鏡面光沢度は、ゴムとフィラーとを含有し、かつ、含まれる粒状物の50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が50%粒径d50の2倍以内である液状組成物を用いてゴム弾性層3を形成することによって確保されている。
ゴム弾性層3の表面は、光照射処理または表面処理液による表面処理が施されている。本例において、光照射処理は、具体的には、紫外線照射処理である。また、表面処理液には、含塩素化合物を含む表面処理液、含フッ素化合物を含む表面処理液、イソシアネートを含む表面処理液のいずれかを用いている。
また、実施例に係る無端ベルトの製造方法は、上記液状組成物を塗工し、硬化させてゴム弾性層を形成する工程を有している。本例では、上記液状組成物の塗工には、ディスペンサーコート法を用いている。
無端ベルト1は、電子写真方式を採用するプリンター、複写機、複合機、POD(Print On Demand)装置等に組み込んで用いられる。無端ベルト1は、具体的には、上記画像形成装置における中間転写ベルトとして用いられる。
以下、異なる構成を有する無端ベルトの試料を複数作製し、各種物性値の測定および評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<PAI系基層形成用材料の調製>
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)[日本ポリウレタン工業(株)製、「ミリオネートMT」]22質量部と、トリジンジイソシアネート(TODI)[日本曹達(株)製、「TODI/R203」]29質量部と、無水トリメリット酸[三菱ガス化学(株)製、「TMA」]36質量部と、α、ω−ポリブタジエンジカルボン酸[日本曹達(株)製、「C−1000」]20質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)250質量部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後に反応を停止し、ポリアミドイミド溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。
次いで、このポリアミドイミド溶液に、後述の表1に示されるように、ポリアミドイミド100質量部に対し、電子導電剤としてのカーボンブラック[三菱化学(株)製、「#2300」]を15質量部配合し、羽撹拌にて混合した後、ボールミルを用いて分散させた。これにより、試料1〜4、6〜11の作製に用いるための液状のPAI系基層形成用材料を調製した。PAI系基層形成用材料の粘度は、10,000mPa・s程度(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
<PI系基層形成用材料の調製>
後述の表1に示されるように、ポリイミド(PI)[新日本理化(株)製、「リカコート EN−20」]100質量部と、電子導電剤としてのカーボンブラック[[三菱化学(株)製、「#2300」]15質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)800質量部とを分散、混合した。これにより、試料5の作製に用いるための液状のPI系基層形成用材料を調製した。なお、PI系基層形成用材料の粘度は、10,000mPa・s程度(25℃、B型粘度計の測定値)に調整した。
<液状組成物の調製>
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)[日本ゼオン(株)製、「ニポールDN101」]と、架橋剤(フェノール樹脂系)[住友ベークライト(株)製、「スミライトレジンPR−11078」]と、以下のフィラー(1)〜(3)のいずれか一つまたはこれらの組み合わせと、イオン導電剤(TBAHS)[和光純薬工業(株)製]と、有機系添加剤(フォスファゼン誘導体)[(株)伏見製薬所、「ラビトルFP−110」]とを、後述の表1に示す配合割合(質量部)にて配合し、バンバリミキサーを用いて十分に混練した。次いで、得られたゴム混練物を、溶媒(シクロヘキサノン)に分散、溶解させて液状とし、さらに、後述の表1に示す以下の分散方法のいずれかによる分散を行った。なお、シクロヘキサノンの質量割合(溶媒比率)は、75%程度とした。これにより各液状組成物を調製した。なお、各液状組成物について、粒度分布測定装置[日機装(株)製、マイクロトラックMT3300EX II]を用いて、上述の50%粒径d50、90%粒径d90を併せて測定した。
−フィラー−
・フィラー(1)(水酸化アルミニウム)[ナバルテック社製、「APYRAL60D」]
・フィラー(2)(重リン酸アルミニウム)[米山化学工業(株)製]
・フィラー(3)(カーボンブラック)[電気化学工業(株)製、「デンカブラック」]
−分散方法−
分散方法(1)
分散方法(1)は、ビーズミルによる分散である。上記ビーズミルとしては、(株)井上製作所製、「マイティーミル マークII MHGII−1.5」を使用した。具体的には、上記液状としたゴム混練物を、1mmのビーズを90%の容積率で充填させたベッセル(容器)に送り、循環装置を用いた連続処理方式にて、処理回数(パス回数)50パス同じ分散処理を繰り返した。
分散方法(2)
分散方法(2)は、ホモジナイザーによる分散である。上記ホモジナイザーとしては、[KINEMATICA社製、「ポリトロンPT10−35GT」]を使用した。具体的には、上記液状としたゴム混練物1Lにつき、回転数20000rpmで120分間バッチ処理を行った。なお、上記ホモジナイザーにおける2枚の回転ディスクの間隔(処理対象が通過する隙間)は最短を選択した。
分散方法(3)
分散方法(3)は、羽撹拌(ディスパー)による分散である。上記羽撹拌としては、[新東科学(株)製、撹拌翼「HEIDON」(かい十字R)]を使用した。具体的には、上記液状としたゴム混練物1Lにつき、撹拌翼の回転数500rpmにて120分間バッチ処理を行った。なお、撹拌翼の大きさは、ベッセル(容器)内側の直径の80%程度とした。
<表面処理液の調製>
次亜塩素酸tert−ブチル:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、Cl含有表面処理液(固形分:2%)を調製した。また、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体:2質量部と、酢酸エチル:9.8質量部と、ターシャリーブチルアルコール(TBA):88.2質量部とを混合し、F含有表面処理液(固形分:2%)を調製した。また、上記Cl含有表面処理液とF含有表面処理液とを質量比1:1の割合で混合することにより、Cl・F含有表面処理液を調製した。また、濃度50質量%となるように酢酸エチルにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を溶解することにより、イソシアネート含有表面処理液を調製した。
<無端ベルト試料の作製>
基体として、アルミニウム製の円筒状金型を準備した。また、2つのノズルを有するディスペンサ(液体定量吐出装置)を準備した。このディスペンサのノズルは、内径φ=1mmのニードルノズルである。次いで、上記調製したPAI系またはPI系の基層形成用材料とゴム弾性層形成用の液状組成物とを、それぞれ別のエアー加圧タンクに収容し、金型の外周面とノズルとのクリアランスを1mmとして、金型およびノズルをセットした。次いで、金型を垂直にした状態で、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、基層形成用材料を吐出するノズルを、1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに0.4MPaの圧力をかけて基層形成用材料をノズルに圧送し、ノズルから基層形成用材料を吐出させ、金型の外周面上にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。次いで、形成された全体塗膜に対して、2時間で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持するという条件にて熱処理を施した。これにより、金型の外周面上に、電子導電性を有するポリアミドイミド製またはポリイミド製の筒状の基層(厚み80μm、筒径φ320mm)を形成した。
次に、上記基層が形成された金型を、回転数60rpmで軸中心に回転させながら、液状組成物を吐出するノズルを、1mm/secの移動速度で軸方向下方に移動させるとともに、エアー加圧タンクに1.5MPaの圧力をかけて液状組成物をノズルに圧送し、ノズルから液状組成物を吐出させ、金型の外周面上にある基層表面にらせん状に塗工し、らせん状塗膜の連続体からなる全体塗膜を形成した。次いで、形成された全体塗膜に対して、2時間で170℃まで昇温し、170℃で30分間保持するという条件にて熱処理(架橋処理)を施した。これにより、筒状の基層の外周面に沿って、ゴム弾性層(厚み200μm)を積層した。
次に、ゴム弾性層の表面に、後述の表1に示すように下記の表面処理(1)〜(4)のいずれかを施した。
すなわち、表1に示すように、試料1〜試料5、試料9〜試料11の作製時には、次の手順に従って表面処理(1)を実施した。
−表面処理(1)−
周速570〜590mm/secでベルトを回転させながら、紫外線照射機[アイグラフィックス(株)製、「UB031−2A/BM」(水銀ランプ形式)]を用いて、照射強度120mW/cm、照射時間60秒、光源とゴム弾性層表面との距離40mmという条件にて、ゴム弾性層表面に紫外線を照射した。
また、表1に示すように、試料6の作製時には、次の手順に従って表面処理(2)を実施した。
−表面処理(2)−
大気雰囲気中、室温下にて、反応時間30秒となるように、ゴム弾性層の表面に、Cl・F含有表面処理液をローラー塗工した後、水で洗浄し、エアブローにより水滴を除去した。
また、表1に示すように、試料7の作製時には、次の手順に従って表面処理(3)を実施した。
−表面処理(3)−
大気雰囲気中、室温下にて、反応時間30秒となるように、ゴム弾性層の表面に、Cl含有表面処理液をローラー塗工した後、水で洗浄し、エアブローにより水滴を除去した。
また、表1に示すように、試料8の作製時には、次の手順に従って表面処理(4)を実施した。
−表面処理(4)−
大気雰囲気中、室温下にて、ゴム弾性層の表面に、イソシアネート含有表面処理液を塗工時間30秒程度でローラー塗工した後、80℃に保持されたオーブンで1時間加熱した。
次に、上記表面処理を施した後、基層の一端縁と金型の外周面との間に高圧エアーを吹き込むことにより、無端ベルトと金型とを分離した。以上のようにして、試料1〜試料111の無端ベルトを作製した。
<20度鏡面光沢度>
JIS Z8741に準拠し、光沢計(日本電色工業(株)製、「PG−IIM」)を用いて、作製した無端ベルトのゴム弾性層表面における20度鏡面光沢度を測定した。なお、上記測定は、筒軸方向の中央部およびその両側(一方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置、他方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置)の3点について行い、得られた測定値の平均値を、試料の20度鏡面光沢度とした。
<十点平均粗さRz>
JIS B0601:1994に準拠し、表面粗さ・輪郭形状測定機((株)東京精密製、「サーフコム1400G」)を用いて、作製した無端ベルトのゴム弾性層表面における十点平均粗さRzを測定した。なお、上記測定は、筒軸方向の中央部およびその両側(一方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置、他方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置)の3点について行い、得られた測定値の平均値を、試料の十点平均粗さRzとした。
<接触角>
接触角計(協和界面科学(株)製、「DM−501」)を用いて、作製した無端ベルトのゴム弾性層表面における水、ジヨウドメタン、ドデカンの接触角および表面エネルギーを測定した。なお、上記測定は、筒軸方向の中央部およびその両側(一方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置、他方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置)の3点について行い、得られた測定値のそれぞれの平均値を、試料の各接触角とした。
<摩擦係数>
静・動摩擦係数測定器(協和界面科学(株)製、「Triboster TS−501」)のステージ上に固定した試料のベルト表面(つまり、ゴム弾性層表面)に、接触子(ステンレス製の線接触圧子を使用、当接10mm)による垂直荷重W100gを加え、この状態でステージを移動速度2.5mm/秒で水平方向に10mm移動させた。これにより試料と接触子との間に生じた摩擦力Fから、試料のゴム弾性層表面における摩擦係数(F/W)として、静摩擦係数μsおよび動摩擦係数μkを算出した。なお、上記測定は、筒軸方向の中央部およびその両側(一方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置、他方の筒開口から中央部側へ100mm程度の位置)の3点について行い、得られた測定値の平均値を、各摩擦係数とした。
<二次転写性>
各無端ベルトを、電子写真方式を採用するデジタルフルカラー複合機((株)リコー製、「ImagioMP C5001」)の中間転写ベルトとして組み込み、10℃×10%RHの環境下にて、黒ベタパターンにて両面画像出力(テストパターン印刷、A4紙)を行った。得られた裏面側の画像にて白点抜けの異常が見られなかった場合を二次転写性に優れるとして「A」、白点抜けが僅かに見られたが、許容範囲内であった場合を二次転写性が良好であるとして「B」、白点抜けの異常が見られた場合を二次転写性が悪いとして「C」と評価した。
<クリーニング性>
白色光度計(有限会社東京電色製、「TC−6D S/A」)を用い、各無端ベルトのベルト表面の初期白色度を測定した。次いで、各無端ベルトを、電子写真方式を採用するデジタルフルカラー複合機((株)リコー製、「ImagioMP C5001」)の中間転写ベルトとして組み込み、32℃×85%RHの環境下にて、5%濃度の画像出力(テストパターン印刷)をA4紙で2万枚行った。その後、各無端ベルトを複合機から取り外し、再度、ベルト表面の耐久後白色度を測定した。そして、耐久後白色度と初期白色度との差を算出し、この差が0〜0.3以下であった場合をクリーニング性に優れるとして「A」、上記差が0.3超〜0.6以下の範囲内であった場合をクリーニング性が良好であるとして「B」、上記差が0.6超であった場合をクリーニング性が悪いとして「C」と評価した。
表1に、作製した無端ベルト試料の詳細な配合割合(単位:質量部)、ゴム弾性層の形成に用いた液状組成物の詳細、表面処理の種類、無端ベルトの表面物性、評価結果等をまとめて示す。
Figure 2013242389
表1によれば、以下のことがわかる。
すなわち、試料9の無端ベルトは、ゴム弾性層表面における20度鏡面光沢度が23%と規定の50%を大きく下回る。そのため、ベルト表面(ゴム弾性層表面)の表面粗さの指標であるRzが過大である。それ故、中間転写ベルトに用いた場合に、ベルト表面の凹凸にトナーが捕捉されてベルト表面が汚れやすく、クリーニング性が悪い。また、ゴム弾性層表面の荒れによって転写性が悪くなり、二次転写性にも劣る。なお、上記20度鏡面光沢度が50%を大きく下回ったのは、分散に用いた装置の分散性能が低かったため、液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50および90%粒径d90を所定の範囲にすることができなかったためである。このことから、通常のゴム練りおよび溶解だけではフィラー等の粒状物の粒径を揃えることは難しく、ゴム弾性層表面の20度鏡面光沢度を50%以上と飛躍的に大きくすることは困難であるといえる。
試料10の無端ベルトは、ゴム弾性層表面における20度鏡面光沢度が44%であり、試料9の無端ベルトよりは光沢度が大きいものの、上記と同様に規定の50%を下回っている。そのため、ベルト表面の表面粗さを比較的小さな値で安定させることが困難であり、クリーニング性に劣る。なお、上記20度鏡面光沢度が50%を下回ったのは、上記と同様に、分散に用いた装置の分散性能が低かったためである。
試料11の無端ベルトは、ゴム弾性層中にフィラーが全く含まれていないので、ゴム表面の微小な収縮やしわが生じ、ゴム弾性層表面における20度鏡面光沢度が5%と極めて低い。そのため、ベルト表面の表面粗さを比較的小さな値で安定させることが困難であり、クリーニング性に劣る。
これらに対し、試料1〜試料8の無端ベルトは、筒状に形成された樹脂製の基層と、基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有しており、ゴム弾性層の表面がベルト表面とされている。このゴム弾性層はゴムを含有しているので、そのゴム弾性によってベルト表面の柔軟性に優れる。また、ゴム弾性層の表面における20度鏡面光沢度が50%以上であるため、ゴム弾性層がフィラーを含有していても、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定している。よって、中間転写ベルトとして用いた場合に、柔軟なベルト表面によって二次転写性を向上させることができる。また、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定しているので、ベルト表面の凹凸にトナーが捕捉され難く、クリーニング性に優れる。さらに、ベルト表面の表面粗さが比較的小さな値で安定しており、均一な表面性を有することは、二次転写性の向上に有利に働いたものと考えられる。
また、試料1〜試料8の無端ベルトの作製では、ゴム弾性層の形成時に、50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内である粒状物を含む液状組成物を用いている。そのため、形成されるゴム弾性層の表面における20度鏡面光沢度を50%以上としやすいことがわかる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 無端ベルト
2 基層
3 ゴム弾性層

Claims (7)

  1. 筒状に形成された樹脂製の基層と、該基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有しており、
    上記ゴム弾性層の表面がベルト表面であり、かつ、上記表面におけるJIS Z8741に準拠して測定される20度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする無端ベルト。
  2. 請求項1に記載の無端ベルトであって、
    上記ゴム弾性層は、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物の硬化物よりなり、
    上記液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内であることを特徴とする無端ベルト。
  3. 請求項1または2に記載の無端ベルトであって、
    上記ゴム弾性層の表面は、光照射処理または表面処理液による表面処理が施されていることを特徴とする無端ベルト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルトであって、
    上記基層の樹脂は、ポリイミドおよびポリアミドイミドから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする無端ベルト。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端ベルトであって、
    電子写真方式の画像形成装置に用いられることを特徴とする無端ベルト。
  6. 筒状に形成された樹脂製の基層と、該基層の外周に積層され、ゴムとフィラーとを含有するゴム弾性層とを有する無端ベルトの製造方法であって、
    上記基層の外周に、ゴムとフィラーとを含有する液状組成物を塗工し、硬化させてゴム弾性層を形成する工程を有しており、
    上記液状組成物に含まれる粒状物の50%粒径d50が0.05〜1.1μmの範囲内にあり、90%粒径d90が上記50%粒径d50の2倍以内であることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載の無端ベルトの製造方法であって、
    上記液状組成物の塗工は、ディスペンサーコート法によることを特徴とする無端ベルトの製造方法。
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