JP4836842B2 - 電子写真感光体、その製造方法及びそれを利用した画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、その製造方法及びそれを利用した画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、解像度と光感度が高く、また残留電位も低く、耐摩耗性に優れ、高画質画像を安定に維持できる、高画質化と高耐久化を両立した電子写真感光体並びにその製造方法に関する。また、本発明は、それらの感光体を使用した画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式によるレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置は、画像品質やその安定性が向上し、広く普及されている。最近では、これらの高速化、小型化、フルカラー化が急速に進行しており、それらに用いられる電子写真感光体の高耐久化の重要性が急速に高まるとともに、高光感度化、静電特性の安定化が要求されている。
これらの画像形成装置に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び環境安定性等の理由から一般に広く応用されている。これらの電子写真感光体の層構成としては、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型の感光体に大別され、静電特性の安定性や耐久性の面から後者が広く用いられている。
積層型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面に達し、帯電により与えられた表面電荷を中和する一方、未光照射部分の表面電荷は残ることにより静電潜像を形成する。
有機系の感光体は、無機系の感光体に比べて、繰り返し使用により摩耗しやすいことが課題として認識されている。表面の感光層の摩耗が進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化等が生じ、それによって地汚れの増加や画像濃度の低下等の画質劣化が促進されることになるため、有機系感光体の高耐久化が強く望まれていた。さらに、近年の画像形成装置の小型化、フルカラー化の進行に伴って、感光体の小径化の必要性が高まっている。特に、最近では、フルカラー画像形成装置の高速化を実現するために、4色の現像部に対応した4本の感光体を内包した、タンデム方式の画像形成装置の需要が飛躍的に高まっており、その傾向は一段と強くなっている。感光体の小径化により、感光体の高耐久化に対する要求度は一層高くなっており、有機系材料を用いたこれらの感光体の高耐久化が、今後より一層重要かつ早期に解決すべき課題として認識されている。
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層にフィラーや微粒子を分散させたり、保護層を架橋させたり、表面の潤滑性を高めたりする方法が広く知られている。これらの方法により、感光体表面の耐摩耗性が向上し、繰り返し使用経時における地汚れの発生を抑制することが可能となり、感光体の耐久性は向上することが確認されている。しかし、保護層を設けたことによって、繰り返し使用における残留電位が著しく上昇したり、解像度が低下し画質低下を引き起こしたりするなど、耐摩耗性が向上されたにも関わらず、感光体の耐久性は満足されていないのが実情である。
これらの解像度低下や残留電位を引き起こす理由としては、様々なものが考えられるが、その一つに保護層中を電荷が輸送する際に、電荷が横方向に拡散したり、またホッピング移動がスムーズに行われず、電荷がトラップされることなどが考えられる。これらは、耐摩耗性を高めるために含有させた材料、例えばフィラーや未架橋残基等が大きく影響しており、耐摩耗性と残留電位や解像度等との両立を難しくさせる要因となっている。
また、電荷輸送物質の含有量が高くなるほど、残留電位は低減されるが、耐摩耗性も低下することからわかるように、感光体の耐摩耗性と残留電位や解像度に影響される高画質化とはトレードオフの関係にあり、これらを両立することは難しく、これが感光体の高耐久化が未だ満足されていない原因である。つまり、感光体の耐摩耗性を高めると同時に、電荷のトラップを低減し、かつ電荷の移動過程で電荷が横方向に拡散するのを抑える必要があり、これにより本当の意味での感光体の高耐久化が実現されることになる。本発明者らは、これらの課題を解決するために、保護層に含有される電荷輸送物質の配向性に注目した。電荷輸送物質の配向性を制御することを目的とした従来技術としては、以下のものが挙げられる。
電荷輸送性を有する液晶材料(特許文献1〜8)、有機磁性体(特許文献9)、ポリシラン(特許文献10、11)を電荷輸送物質として用い、それらの配向性を制御することで解像度や光感度を向上させたものなどがある。配向させる手段としては、磁場、電場、ラビング処理、蒸着など様々である。参考までに、我々の提案発明に係る特許文献8には、円盤状分子からなり、ネマチック相、スメクチック相、柱状相(カラムナー相)、ラメラ相等をとり得るディスコティック液晶性化合物の円盤状分子平面(ディスク面)を導電性基体面に平行に配向させた電子写真感光体が提案され、また、ディスコティック液晶については、S.チャンドラセカール著、木村初男、山下護共訳、「液晶の物理学」(吉岡書店、物理学叢書72)や竹中俊介著、季刊化学総説No.22,1994年「液晶の化学−5.ディスコティック液晶分子のデザインと合成」に詳しく、また、ディスコティック液晶の光導電性については、清水洋著、高分子、44巻3月号132〜135ページに記載されており、D.Adam et al.,Phys. Rev.Lett.,70,457(1993)、及びD.Adam et at.,Nature,371,141(1994)は、ディスコティック液晶性化合物が、柱状相において、高い光導電性を有することを報告しており、特開平5−201142号公報、ドイツ特許DE4126496号公報、欧州特許EP0527376A1号公報および特開平6−263782号公報は、ディスコティック液晶性化合物の光導電性について開示しており、また、N.Boden et al.,J.Chem.Phys.,98,5920(1993)には、ディスコティック液晶性化合物にルイス酸をドープした系について、この系がもとのディスコティック液晶性化合物単体と同様に柱状相からなる液晶状態を形成すること、および磁場で配向させた系は、柱状相および結晶相(K相)の双方で高い(1000倍以上の)電気伝導度の異方性を有することが報告されており、D.Goldfarb et al.,J.Physique 42,1303(1981)には、ディスコティック液晶性化合物の配向を磁場による制御法、既ち、2T以上の磁場中で等方相直下の温度に1〜2時間保ち(アニールし)、その後所望の温度まで徐冷して配給制御することが報告されている旨記載されており、さらに、同特許文献8では、ディスコティック液晶性化合物の配向には、磁場の使用が最も効果的であると考えられる旨記載されている。
しかし、これらの従来技術に用いられている電荷輸送物質は、電子写真特性を満足させ得るものではなく、実用化されていないのが実状である。
また、電子写真感光体分野において、上記のような目的以外に、耐摩耗性を向上させる目的で表面層に含まれる磁性材料を配向させる技術(特許文献12、13)や、下引き層の平滑性向上のために下引き層内の磁性粉末を磁場により配向させる技術(特許文献14)が公知である。しかし、これらの技術は、耐摩耗性や下引き層の平滑性向上に効果が得られても、感光体の高画質化に必要不可欠な解像度、感度、残留電位、移動度等の特性に対して効果が得られるものではなく、むしろそれらの特性が犠牲にされているのが実情である。
特開平9−132777号公報 特開2001−348351号公報 特開2001−302578号公報 特開2000−347432号公報 特開平11−305464号公報 特開平11−087064号公報 特開2003−073382号公報 特開平11−338171号公報 特許第3045764号公報 特開平10−133404号公報 特開平09−114114号公報 特開平10−020536号公報 特公平05−049233号公報 特開昭61−124952号公報
本発明が解決しようとする課題は、電荷が保護層中をホッピング移動する際の電荷の広がりや電荷の停滞を抑制し、耐摩耗性が高いだけでなく解像度や光感度が高く、残留電位も低い、高画質化と高耐久化を両立した電子写真感光体、並びにその製造方法を提供することである。また、それらの感光体を用いることにより、高速印刷やフルカラー印刷、あるいはそれらの両立が可能で、かつ感光体の小径化に伴う装置の小型化並びに高画質化並びに高耐久化を実現した画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある
本発明では、このような課題を解決する手段として、トリアリールアミン構造を含む電荷輸送物質を含有した保護層に磁場配向処理を施すことで、電荷輸送物質の配向性を制御し、電荷のホッピング移動をスムーズかつ横方向への拡散を抑制し、光感度や解像度の向上、残留電位の低減を実現したものである。
これは近年の磁場技術の進展に伴い、より強磁場が実現されるようになってきたこと、また磁場処理の際の実験条件を鋭意検討し、実現された。
即ち、上記課題は、本発明の(1)「導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、該保護層に少なくとも下記式(A)で表わされるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質が含有されており、該保護層を塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することを特徴とする電子写真感光体の製造方法;
Figure 0004836842
(Ar1、Ar2、Ar3は置換または無置換のアリール基もしくは置換または無置換のアリーレン基を表す。またAr1、Ar2、Ar3は隣り合う基と複素環を形成してもよい。またAr1、Ar2、Ar3は炭素数が1〜4のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基を置換基として有してもよく、これらはC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。)」、
(2)「前記保護層がフィラーを含有していることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(3)「前記フィラーが金属酸化物であることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(4)「前記金属酸化物が酸化チタン、シリカ、アルミナから選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記第(3)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(5)「前記フィラーがフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(6)「前記保護層が架橋性膜であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(7)「前記架橋性膜が少なくとも式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する重合性化合物を架橋することにより形成されたものであることを特徴とする前記第(6)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(8)「前記架橋性膜が、式(A)で示されるトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとを架橋することにより形成されたものであることを特徴とする前記第(6)項または第(7)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(9)「前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(10)「前記保護層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(11)「前記電荷輸送物質が高分子電荷輸送物質であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(12)「前記高分子電荷輸送物質が前記式(A)で表わされるトリアリールアミン構造を主鎖及び/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする前記第(10)項または第(11)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(13)「前記保護層の塗工後、加熱乾燥を終了するまで磁場を印加することを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(14)「前記保護層の塗工後、光エネルギー照射及び/または熱エネルギー照射及び加熱乾燥を終了するまで磁場を印加することを特徴とする前記第(6)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(15)「前記感光層が前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(14)項の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(16)「前記感光層の塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することを特徴とする前記第(15)項に記載の電子写真感光体の製造方法」、
(17)「前記第(1)項乃至第(16)項の何れかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体」、
(18)「前記第(17)項に記載の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置」、
(19)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有する画像形成装置において、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を有するタンデム方式の画像形成装置であって、該電子写真感光体が前記第(17)項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置」、
(20)「前記第(17)項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段が一体となり、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ」により達成される。
本発明によれば、導電性支持体上に、少なくとも感光層と保護層を有する電子写真感光体において、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を含有する保護層に、塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することで電荷輸送物質の配向性が高まることを見出し、更なる解像度の向上や残留電位の低減が実現され、優れた電子写真感光体を製造することが可能となった。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
前述のとおり、本発明では、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を含有した保護層に、塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することで、光感度や解像度や残留電位といった特性が改善されることを見出した。これはトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の配向性が高まったため、電荷がホッピング移動する際の電荷の広がりや電荷の停滞が抑制されたためであると考えられる。
また、従来の保護層に磁場配向を行なわない感光体においては、耐摩耗性を高めるために含有させた材料、例えばフィラーや、架橋型保護層の場合は未架橋残基等の影響で、保護層中の電荷輸送性に悪影響をもたらすことや、耐摩耗性向上の観点から保護層に十分な電荷輸送物質を含有出来ないなどの制限があり、保護層を設けることで、耐摩耗性は向上しても、解像度低下、残留電位上昇などの問題が生じていた。すなわち保護層を設けることによって耐摩耗性が向上しても静電特性は満足させ得ることが出来ていないのが実状であり、耐摩耗性と静電的安定性の両立が困難であった。本発明によれば、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を保護層に含有させ、これに磁場配向処理を行うことで、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の機能を効率よく発揮できるように分子配置し、耐摩耗性に加え静電特性にも優れた感光体を作製することが可能となった。
以下、物質の磁性について説明する。
一般的に磁性体を有するものとしては、遷移金属元素や希土類元素が挙げられる。これらは3d軌道、あるいは4d軌道が完全に満たされておらず、それらの軌道中に存在する不対電子が自転運動しながら軌道運動している。この運動に伴うスピン角運動量と軌道角運動量がもたらす磁気モーメントが、原子やイオンにおける磁石としての性質を発現している。
自然界に存在するほとんどの有機化合物は、磁性の起源となる不対電子を持たないことから、顕著な磁気的性質は示さないと考えられていた。しかし、有機分子であっても不対電子スピンを持たせれば、磁気的性質を持たせることが可能であると考えられる。
本発明においては、有機分子であるトリアリールアミンに対して磁場を印加した場合、感光体特性が変化することを見出した。トリアリールアミンはπ電子が非局在化していることから良好な電荷輸送性を示すという特徴がある。また有機分子における磁性は、N原子などのP軌道中にある電子スピン、特に非局在性が高いπ電子スピンが担っていると考えられる。ただ、π電子の非局在性が高い分子であっても、一般的に1分子が有する磁性では、磁場に対して効果があるとは考えにくく、磁場に対して配向性を示すためには、ある程度のドメインを形成している必要があると考えられる。
トリアリールアミン構造を有する分子は、π電子が非局在化していることと、分子がある程度のドメインを形成していることから磁場を印加することで配向性が高まる効果があったと考えられる。
以下製造方法について詳しく説明する。
塗工中及び/または塗工後において磁場を印加するタイミングとしては、塗工開始以降、どのタイミングで磁場を印加してもよいが、塗工中あるいは塗工直後において溶媒を多く含んだ状態の方が、トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質が動きやすい状態にあるため、配向性を高める上でより好ましい。この場合、塗工開始から磁場を印加することが好ましいが、塗工直後の膜が固化していない段階から磁場を印加しても十分に効果が得られる。ここで固化とは、ほとんどの溶媒が蒸発し分子の流動性がない状態をいい、具体的には指頭で押しても塗膜に痕跡の残らない状態になることを言う。また、磁場は保護層に含まれる溶媒が蒸発して膜が固化するまで印加することが好ましく、配向状態を安定に維持させる上で有効である。したがって、塗工終了後磁場を印加した状態でそのまま加熱乾燥させることで高い効果を維持することができる。また、保護層に含まれる溶媒量がわずかであっても、保護層を加熱することによってトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の配向性が若干変化する場合があるので、塗工終了後磁場を印加した状態で加熱乾燥させ、加熱乾燥を終了するまで磁場を印加することが好ましい。ここで、加熱乾燥が終了した時点とは、加熱をやめた以降であればどの時点でもよく、加熱をやめた後にいつ磁場印加を停止しても効果はあるが、そのまま室温に冷却されるまで磁場を印加し続けることが、配向性を安定に維持させる上ではより好ましい。また、膜が固化する前に磁場印加を停止したり、膜が固化した後に磁場を印加した場合には、効果は認められるものの配向性がやや低下する傾向が見られる。本発明においては、塗工開始から、塗工後加熱乾燥し、その後室温に冷却されるまで磁場を印加することが配向させる上で最も好ましいが、少なくとも塗工直後の膜が固化していない段階から、加熱乾燥して膜が固化するまで磁場を印加することが好ましく、いずれも高い効果が得られる。
一方、架橋型保護層の場合は、磁場印加した状態で熱エネルギーあるいは光エネルギーを与え膜を架橋させることが可能であり、電荷輸送物質が配向した状態を維持する上で最も好ましく、有効な方法である。この場合も、塗工中から磁場を印加することが好ましいが、塗工後膜が固化していない状態から磁場を印加しても十分な効果を得ることが出来る。また、架橋型保護層の場合は、その後熱や光エネルギーを与えることによって架橋反応させるため、架橋反応が終了するまで磁場を印加し続けることが好ましい。これにより、配向した状態を半永久的に維持させることができ、高耐久化と高画質化の両立を実現する上で非常に有効かつ有用な方法である。
効果を発揮する磁場の強度は配向制御する対象物質の配向のし易さによっても異なるため、特に規定はしないが、前記式(A)で表わされるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質に用いた場合、5テスラ以上、より好ましくは10テスラ以上であれば十分な効果を発揮し、磁場強度は大きいほど好ましい。
磁場を印加する方向は基体に対して垂直方向と平行方向が考えられ、分子構造によってどちらも選択できるが、本発明に挙げた電荷輸送物質に対しては垂直方向に印加するほうがより好ましい。例えば低分子電荷輸送物質が分散されている保護層における電荷輸送は、電荷輸送物質分子内の電荷移動と、電荷輸送物質間の電荷移動があるが、後者の方が圧倒的に速度は遅いと考えられる。よって、電荷輸送層を電荷が横切る際、できるだけ、電荷輸送物質間の電荷移動を少なくすることが理想的であり、そのためには、電荷輸送物質分子内で電荷が移動する方向が、電荷輸送層の深さ方向と平行であるように、電荷輸送物質を配向させる必要がある。本発明に挙げた電荷輸送物質に対しては、磁場を基体に対して垂直方向に印加した場合に、このように電荷輸送物質が配向するため、大きな効果が現れたと考えられる。
架橋型保護層や高分子電荷輸送物質型保護層といった低分子電荷輸送物質を分散した保護層以外においても同様であり、前記式(A)で表されるような、電荷輸送機能を有するトリアリールアミン構造を有する部分が架橋膜中もしくは高分子中で、配向して存在していることで、電荷輸送機能の向上が実現される。
本発明の感光体を図面に沿って説明する。
本発明において、保護層の下に形成される感光層は積層型でも単層型でもどちらでもよい。図1は導電性支持体(1)上に、電荷発生物質を有する電荷発生層(2)と、電荷輸送物質を有する電荷輸送層(3)と、本発明における保護層(4)が積層された構成となっている。図2は導電性支持体(1)上に、電荷発生物質を電荷輸送物質を有する単層の感光層(5)と本発明における保護層(4)が積層された構成となっている。また、図3に示すように必要に応じて、導電性支持体上に下引き層(6)を設けても良い。
まず本発明における保護層について説明する。保護層としては、前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を有するのであれば、フィラーを含有させたフィラー分散型、架橋性膜からなる架橋型、電荷輸送成分とバインダー成分とを重合させた高分子電荷輸送物質型、など、従来公知のいずれの保護層を用いても良い。
まず、フィラー分散型保護層について説明する。
感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加されるフィラー材料には、有機性フィラー及び無機性フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが耐摩耗性あるいは高画質化に対し有利である。さらに、金属酸化物の使用は塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。
さらに、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーのほうが好ましい。導電性フィラーを感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。特に、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以上であることが解像度の点から好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。一方、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以下で導電性を示すフィラーもしくは比抵抗が比較的低いフィラーとしては、酸化錫、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。但し、フィラーが同じ材質であっても、フィラーの比抵抗は異なる場合があるため、フィラーの種類によって完全に分類されるものではなく、フィラーの比抵抗によって決めることが重要である。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能であり、それによって表面の抵抗を制御することも可能である。
なお、フィラーの比抵抗の測定は、粉体用抵抗測定装置を用いて行った。セルの中に金属酸化物粉体を入れ電極で挟み、荷重をかけて厚さ約2mmになるように金属酸化物粉体量を調整し、その後電極間に電圧を印加し、その時に流れる電流を測定することによって比抵抗を求めた。電極の接触面積は約2.6cm、荷重は約1kgとし、電圧印加後60秒後の電流値を読み取り比抵抗を求めた。
また、フィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から十分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。従って、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。従って、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。従って、本発明においては、等電点におけるpHが5以上を示すフィラーと酸価が10〜700(mgKOH/g)の湿潤分散剤とを組み合わせることにより、フィラーへの吸着力がより一層高まり、分散性及びその安定性を著しく高める効果があったと考えられる。
等電点におけるpHが5以上を示す金属酸化物としては、前述のフィラーの中でも酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられ、特に酸化チタン<ジルコニア<アルミナの順に塩基性が高くなることから、アルミナを用いることがより好ましい。さらに、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。また、本発明においては、フィラーを2種以上混合して使用することが可能である。その場合、等電点におけるpHが5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合して用いることも可能である。なお、pHが5以下の酸性を示すフィラーとしてはシリカ等が挙げられる。
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。フィラーの分散性の低下は、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下及び偏摩耗の増加をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなり、これよりも大きい場合にはフィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化あるいは異常画像が発生したりする場合もある。
また、フィラーの添加量としては、フィラーが含有される層に含まれる全固形分に対して、0.1重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜30重量%である。フィラーの添加量がこれよりも少ないと、要求される耐摩耗性が得られず、またフィラーの添加量がこれよりも多い場合には、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下等、画質劣化の影響が増大する傾向がある。さらに、フィラーの含有量が多すぎる場合には、フィラー間の相互作用が増大し分散性を悪化させる傾向が見られたり、フィラーが脱離しやすくなって耐摩耗性が逆に低下したりする場合がある。
これらのフィラーが含有されることによって、耐摩耗性は向上するが、残留電位上昇の影響が増加する。この残留電位上昇を抑制するために、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物を添加することが有効である。酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。なお、本発明における酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
これらの酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。しかし、この場合、残留電位低減効果は認められるものの、場合によって分散安定性が不十分であったり、画像ボケが発生しやすくなったりする場合が見られることがある。一方、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、またはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果が高いことから、有効に用いられる。
つまり、残留電位を低減させ、同時にフィラーの分散性及びその安定性をより高めるためには、疎水基である炭化水素に親水基を一つ以上含む酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物、特にこれらの湿潤分散剤の添加が特に有効である。残留電位の低減は、これらの化合物が酸価を有することと、フィラーへの吸着性にあると考えられる。フィラーの添加による残留電位の上昇は、フィラー表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、このフィラーの極性基にこれらの湿潤分散剤の親水基(カルボキシル基等)が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。一方、フィラーの分散性を向上させるためには、フィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつフィラー間の相互作用を減少させ安定性を高めることが必要である。上記の構造を有する湿潤分散剤は、一つの分子中に親水基と疎水基を併せ持つ界面活性剤的な構造、つまり、親水基がフィラー表面の電荷トラップサイトでもある極性基に吸着し、疎水基がバインダー樹脂等と親和性を保持されることにより、フィラーへの濡れ性が向上する。さらに、フィラーに吸着した上記の分子は、電気的反発あるいは立体障害を生じさせ、フィラー同士の接触を防止することにより、分散の安定化が向上することになる。このように、フィラーへの濡れ性を向上させる湿潤剤の効果と、フィラーの安定性を向上させる分散剤の効果のどちらかが欠けると、分散性が不十分であったり、分散効率が低下したり、分散してもすぐに凝集を引き起こしたりすることになるため、双方の効果を併せ持つことが分散性向上に対し特に有効となる。上記構造を有することによって、フィラーへの濡れ性と分散安定性の双方の効果を得ることが可能なこれらの添加剤を、湿潤分散剤として定義する。これらの湿潤分散剤は、フィラーへの吸着性が優れている上、立体障害が得られやすい構造であることから分散安定性にも優れており、特に有効に用いることができる。
一般に親水基としては、−SONa、−COOK、−COONa、−COO−、−COOH、−OH、−O−、−CHCHO−、第4級アンモニウム塩基等が挙げられるが、本発明においては湿潤分散剤の親水基が特にカルボキシル基−COOHであることによって、高い分散性を有する上に感光体の静電特性や画質に悪影響を与えないことから特に有効に用いられる。カルボキシル基等の親水基は、炭化水素等の疎水性を有する有機分子構造中に一つ有することによって効果が得られるが、その中でも多数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸はアニオン性が高くなることによってフィラーの分散安定性が増すとともに、分散効率が著しく向上する傾向が見られる。また、ポリカルボン酸の場合にはカルボキシル基同士で親和性が生ずることによって、フィラーの沈降を抑制する効果が得られる場合がある。さらに、カルボキシル基等の親水基は、少なくとも分子の末端に有することによって、フィラーと吸着しやすくなることから、本構成においてはより好ましい。それらが分子の末端に結合されていることにより、フィラーの沈降抑制効果が高まる場合も見られる。このようなポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤としては、BYKケミー社の「BYK−P104」、あるいはそれと類似の構造を有する化合物が挙げられ、特に好適に用いることができる。加えて、このように上記湿潤分散剤のフィラーへの吸着性を高めることは、フィラーの分散性や残留電位に与える効果だけでなく、耐摩耗性に対しても有効である。それは、フィラーとバインダー樹脂とは前述のとおり親和性が低いので接着力が小さく、フィラーが脱離し易い傾向があった。上記湿潤分散剤の添加によって、フィラーとバインダー樹脂との親和性を高めることによって、フィラーの脱離を抑制することにつながり、さらなる耐摩耗性の向上が実現されることになる。
前述の酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物、特にそれらの湿潤分散剤の分子量としては、数平均分子量で300〜30000のオリゴマーあるいはポリマーが好ましく、より好ましくは400〜10000である。これよりも分子量が小さいとフィラーに吸着した場合の立体障害が小さくなり、フィラー間の相互作用が増大することにより分散性やその安定性が低下する傾向がある。一方、これよりも分子量が大きくなった場合には、湿潤性や吸着性が劣ってくる傾向があり、分子量が非常に大きい場合には一つのポリマーに複数のフィラーが吸着することになり、それによって逆に凝集を引き起こす傾向が見られる。
有機化合物の酸価としては、10〜700mgKOH/gが好ましいが、より好ましくは30〜400mgKOH/gである。酸価が必要以上に高いと抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果はこれら酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
これらの酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。すなわち、前記酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物の含有量をA(g)、前記酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物の酸価をB(mgKOH/g)、前記フィラーの含有量をC(g)としたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式を満たすことが好ましいが、必要最小量に設定することがより好ましい。
Figure 0004836842
の好ましい範囲としては、0.8≦(A×B/C)≦15、より好ましい範囲としては、1.5≦(A×B/C)≦8である。添加量を必要以上に多くすると逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れる場合があり、添加量が少なすぎると分散不良や残留電位低減効果が不十分となる場合がある。
フィラー分散型保護層に含有されるバインダー樹脂には、電荷輸送層で用いられるバインダー樹脂をすべて使用することが可能であるが、バインダー樹脂によってもフィラー分散性が影響されるため、分散性に悪影響を与えないことが重要である。前述の等電点が塩基性を示すフィラーに対しては、酸性のバインダー樹脂を用いた方が、また等電点が酸性を示すフィラーに対しては、塩基性のバインダー樹脂を用いたほうがフィラーの分散性が向上する傾向が見られる。さらに、同じフィラーが含有されていてもバインダー樹脂によって耐摩耗性が大きく影響される場合がある。このように、バインダー樹脂はフィラー分散性、残留電位、耐摩耗性、解像度等に大きな影響を及ぼす。
使用可能なバインダー樹脂の一例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル酸やメタクリル酸を用いた各種共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂あるいは共重合体等が挙げられ、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂も好適に用いられる。これらのバインダー樹脂の中でもポリカーボネート、ポリアリレートが特に有効に使用することができる。
フィラー分散型保護層に含有される電荷輸送物質は、前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有するものである。トリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質であればいずれのものの場合も、磁場印加による効果が見られるが、下記式(B)〜(E)に表されるような、スチルベン化合物、ジスチリルベンゼン化合物、ベンジジン化合物、アミノビフェニル化合物などが特に有効に用いられる。
Figure 0004836842
(上式中、aは0または1の整数である。上式中、Ar、Arは置換または無置換のアリール基、Arは置換または無置換のアリーレン基を表わす。またAr1、Ar2、Ar3は炭素数が1〜4のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基を置換基として有してもよく、これらはC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。R1、R2、R3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1、R2、R3はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R30は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R30は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R30はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R28は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R28は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R28はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R19は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R19は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R19はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
上記式(B)〜(E)で表される化合物の一部を以下に例示するが、これに限られるものではない。
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
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Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
これら電荷輸送物質は、従来公知であり、例えば、式(B)のスチルベン化合物は特公平03−39306号公報、特公昭63−19867号公報などに記載されている。式(C)のジスチリルベンゼン化合物は特開昭50−16538号公報、特許第2552695号公報に、式(D)のベンジジン化合物は特公昭58−32372号公報等に、式(E)のアミノビフェニル化合物は特許第2753582号公報に、記載されている。
フィラー分散型保護層の膜厚は、0.1〜10μm程度が適当であり、好ましくは2〜6μmである。膜厚が極度に薄い場合には十分な耐久性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には残留電位上昇の影響が増大したり、解像度が幾分低下したりする場合がある。
本発明におけるフィラー分散型保護層には、必要に応じて可塑剤、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤等の添加物を添加することが可能である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画像安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。
ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。
ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも下記構造式で表わされる1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。特に、本発明においては、感光体の最表面にフィラーが添加されているが、オゾンあるいはNOxガス雰囲気下においては、これらの活性ガス成分がフィラーに吸着しやすくなるため、画像ボケの影響がフィラーのない場合に比べて、やや増加する傾向が見られていた。しかし、ヒンダードフェノール構造及びヒンダードアミン構造の両構造を有する上記の酸化防止剤をフィラーとともに添加することによって、それによる画像ボケの影響を抑制することが可能となった。従って、本発明においては、これらの酸化防止剤を組み合わせて用いることによって、さらなる高画質化が実現されることになる。
また、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量は、含有されるフィラーに対して、0.1重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましく、1重量%〜15重量%がより好ましい。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量が、この範囲よりも少なくなると長期繰り返し使用により付着するコロナ生成物やオゾン等の活性ガスによる劣化を抑制する効果が低下し、この範囲を上回ると耐摩耗性が低下したり、残留電位上昇の影響が増加したりする場合がある。
前述のフィラー材料は、少なくとも有機溶剤及び酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、シェイカー、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。この中でも、フィラーと酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。分散液の作製に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層(37)で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、フィラーの分散時には粘度が高い溶剤の使用が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性やその安定性、塗膜品質等に対して非常に有効となる。また磁場印加処理を塗工後に行う場合、揮発性の低い溶媒を用い、指触乾燥までの時間が長い方が好ましいと考えられる。
使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ、ガラス等すべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点から特にアルミナを使用することがより好ましい。ジルコニアなどのメディアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。さらに、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、摩耗量は大幅に低減できる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対して悪影響が少ない。従って、分散に使用するメディアにはアルミナを使用することがより好ましく、フィラーにアルミナを用いた場合にはその効果は非常に大きい。
酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物は、バインダー樹脂と混合する以前にフィラー及び有機溶剤とともに分散を行うことによって、塗工液中のフィラーの凝集、さらにはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することからより好ましい。一方、バインダー樹脂や電荷輸送物質あるいは酸化防止剤等は、分散前に添加することも可能ではあるが、その場合分散性が若干低下する場合が見られる。従って、それらが有機溶剤に溶解された状態で、フィラー、有機溶剤及び酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物で既に分散したミルベースに混合させることが好ましい。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法やスプレー塗工法などが用いられるが、膜厚制御やフィラーの分散性維持などからスプレー塗工法を用いるのが好ましい。また、フィラー分散型保護層の必要膜厚を一度で塗工してフィラー分散型保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。
次に架橋型保護層について説明する。
架橋型保護層は、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送機能を有しない重合性化合物を重合させるものと、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を連鎖重合させるもの、また重合性化合物を重合させたものの中に電荷輸送物質を分散させたものがある。ここでいう重合とは、ラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合、異性化重合などのことをいう。
重合性官能基とは上記反応形態が可能な官能基であればいずれのものでも良い。不飽和重合は、C=C、C≡C、C=N、C≡Nなどが重合する反応である。その中でもC=Cが主である。開環重合は、炭素環やオクソ環や窒素へテロ環などのひずみを有する不安定な環状構造が開環すると同時に重合を繰り返し、鎖状高分子を生成する反応であり、イオンが活性種として作用するものが大半である。
重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送性を有しない重合性モノマーを重合させた架橋型保護層について、具体的に説明する。
電荷輸送性を有しない重合性モノマーの官能基としては、いくつのものでも効果は認められるが、3個以上の官能基を有する重合性モノマーの方が架橋密度の向上により耐摩耗性が著しく高くなるため好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーが有効である。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(10)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0004836842
(ただし、式中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式(11)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0004836842
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12及びR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
また、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型保護層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有するものである。また、官能基はいくつのものでも使用可能であるが、1官能のものが静電特性の安定性や膜質の点から好ましい。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造を有し、中でも下記一般式(1)又は一般式(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0004836842
Figure 0004836842
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換または無置換のアリール基、Ar、Arは置換または無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、上記一般式(1)、一般式(2)で表されるものの具体例を示す。
前記一般式(1)、一般式(2)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)下記の一般式で表される基
Figure 0004836842
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、下記一般式で表される。
Figure 0004836842

ここで、Rは水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0004836842

(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、下記の一般式で表される化合物を表す。)
Figure 0004836842

上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)する。主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、トリアリールアミン構造は鎖部分から懸下していると考えられ、磁場配向処理を行わない従来の場合においては、秩序性を持たず様々な方向に懸下していると考えられる。よって本発明において、このような保護層に対して磁場印加処理することにより、無秩序に並んだトリアリールアミン構造を配向させることで、電荷のホッピング移動が改善され本発明のような効果が得られたと考えられる。また、主鎖または架橋鎖中に存在するトリアリールアミン構造は鎖から懸下していると考えられるため、立体的位置取りに融通性ある状態であると考えられる。よって架橋後に磁場を印加しても効果は得られるが、架橋前から磁場を印加した方がトリアリールアミン構造を有するラジカル重合成化合物の自由度が高いため、より配向しやすく、より高い効果が得られると考えられる。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
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Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における前記1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(化18中の例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
Figure 0004836842
また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋型保護層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
以上に説明したように、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送性を有しない重合性モノマーを重合させた架橋型保護層については、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を架橋したものが特に有効であるが、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを用いることも可能であり、材料によっては非常に有効な場合がある。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。

2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
次に重合性基を有する電荷輸送性化合物を連鎖重合させる架橋型保護層について説明する。
この場合の電荷輸送性化合物は、前述したような重合性基を有していれば良く、またそれが同一分子内に2以上有することが好ましい。以下に、連鎖重合性官能基を2つ以上有する電荷輸送性化合物の具体例を下記式に示す。
Figure 0004836842
上記式中、P、Pは、それぞれ独立に、連鎖重合性官能基を示す。Rは、2価の基を示す。Aは、正孔輸送性基を示し、本発明においてはトリアリールアミン構造を示す。下付文字のa、b、dは、それぞれ独立に、0以上の整数を示す。ただし、a+b×dは2以上である。また、aが2以上の場合は、a個のPは同一であっても異なっていてもよく、bが2以上の場合は、b個の[R−(P)d]は同一であっても異なっていてもよく、dが2以上の場合は、d個のPは同一であっても異なっていてもよい。
上記式中のRの2価の基としては、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、−CR411=CR412−(R411、R412は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を示す。)、−CO−、−SO−、−SO−、酸素原子、硫黄原子など、また、これらを組み合わせたものが挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子や、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基や、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基などのアリール基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基、チエニル基などのアラルキル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基や、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリールオキシ基や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(p−トリル)アミノ基などの置換アミノ基や、スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基や、ニトロ基や、シアノ基や、水酸基などが挙げられる。
以下に、連鎖重合性官能基を2つ以上有する正孔輸送性化合物の好適な例(化合物例)を挙げる。
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
Figure 0004836842
これらの連鎖重合性官能基の例示化合物は例えば特開2000−66424号公報に記載の方法で合成することが出来る。
またそれ以外の架橋型保護層としては、電荷輸送機能を有しない重合性モノマーを重合させたものの中にトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を分散させたものでも用いることが出来るが、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送機能を有しない重合性化合物を重合させるもの、もしくは、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を連鎖重合させるものを用いる方が、静電特性上より好ましい。
前述したこれらの架橋型保護層は必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の架橋型保護層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上を目的として添加される)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋型保護層は、必要に応じて溶媒を用いて塗布される。
このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、かかる架橋型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え架橋させ、架橋型保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、可視光、紫外光、電子線、放射線などがある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。
本発明の架橋型保護層の膜厚は、1μm以上、10μm以下が好ましく、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。
次に高分子電荷輸送物質型保護層の一例について説明する。
高分子電荷輸送物質型保護層は、保護層にバインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を併せ持った高分子電荷輸送物質を用いる方法である。これらの高分子電荷輸送物質から構成される保護層は、電荷輸送層に多く用いられるようなバインダー樹脂中に低分子電荷輸送物質を分散したものよりも、耐摩耗性に優れている。しかし一方で、電荷輸送機能を有する部位が多くなると、耐摩耗性が低下するため、やはり耐摩耗性と電荷輸送性はトレードオフの関係にある。本発明においては、高分子電荷輸送物質は主としてバインダー樹脂として使用されるが、前述の各種バインダー樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。
本発明における高分子電荷輸送物質としては、トリアリールアミン構造を主鎖及び/または側鎖に含むポリカーボネートが有効に用いられる。中でも、下記式(I)〜(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
Figure 0004836842

[式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表す。
Figure 0004836842
(式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または、
Figure 0004836842

(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
Figure 0004836842

(式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842
(式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリーレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリーレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリーレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
Figure 0004836842

(式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
Figure 0004836842
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これら主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質はバインダー樹脂としての役割を持つことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
またこれらの高分子電荷輸送物質型保護層には、低分子電荷輸送物質が含有されていても良く、低分子電荷輸送物質がトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質であるとなお良い。
これらの高分子電荷輸送物質を含む保護層は、浸漬塗工法、スプレー塗工法など、公知の方法で形成することが可能であるが、膜厚の均一性などからスプレー塗工法が最も適している。高分子電荷輸送物質を含む保護層の膜厚は、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上、6μm以下がより好ましい。これらの保護層中には各種可塑剤やレベリング剤、滑剤、酸化防止剤等を添加してもよく、それらを混合して添加してもよい。高分子電荷輸送物質型保護層の場合にも同様に、塗工中または塗工後、若しくは塗工中から塗工後にかけて磁場を印加する。磁場を印加するタイミングとしては、塗工中から磁場を印加し、塗工後の乾燥過程が終了するまで磁場を印加することが好ましい。
このように、本発明の保護層に含有される電荷輸送物質は、分子分散されている場合はもちろん、架橋されていたり、高分子電荷輸送物質として含有されていても、電荷輸送性構造を有するユニット中に式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する場合であれば、本発明の範疇に含まれる。
またこれらの保護層を設ける場合、保護層中の電荷輸送物質の酸化電位Eox(OL)が、保護層の下層となる感光層もしくは電荷輸送層中の電荷輸送物質の酸化電位Eox(CTL)と同等もしくはそれ以下であることが電荷注入性の観点から好ましく、Eox(CTL) − Eox(OL) > −0.1であればより好ましい。
次に感光層について説明する。
まず積層構成の感光層について説明する。
積層構成の感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が順次
積層されることによって構成されている。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発
生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対
称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、チタニルフタロシアニン、銅フタロシア
ニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシア
ニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロ
ロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、
スクエアリウム顔料等が挙げられ有効に用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2
種以上混合してもよい。
必要に応じて電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの公知の分散方法を用いて分散し、これを導電性支持体上もしくは下引き層や中間層上に塗布し、乾燥することにより形成される。バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前あるいは分散後のどちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の形成用塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
上記塗工液を用いて電荷発生層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。本発明における電荷発生層の乾燥温度としては、50℃以上160℃以下が好ましく、80℃以上140℃以下がより好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加することも可能であり有用である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。これらの中でも、下記構造式(A)に示されるトリアリールアミン構造を含む化合物が、残留電位低減や感度劣化を抑制する上で特に有効である。
Figure 0004836842
(Ar1、Ar2、Ar3は置換または無置換のアリール基もしくは置換または無置換のアリーレン基を表す。またAr1、Ar2、Ar3は隣り合う基と複素環を形成してもよい。またAr1、Ar2、Ar3は炭素数が1〜4のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基を置換基として有してもよく、これらはC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。)
上記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質の中でも、下記式(B)〜(E)に表されるような、スチルベン化合物、ジスチリルベンゼン化合物、ベンジジン化合物、アミノビフェニル化合物などが特に有効に用いられる。
Figure 0004836842
(上式中、aは0または1の整数である。上式中、Ar、Arは置換または無置換のアリール基、Arは置換または無置換のアリーレン基を表わす。またAr1、Ar2、Ar3は炭素数が1〜4のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基を置換基として有してもよく、これらはC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。R1、R2、R3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1、R2、R3はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R30は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R30は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R30はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R28は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R28は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R28はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
Figure 0004836842
(上式R1〜R19は水素原子、置換または無置換のアルキル基、もしくは、置換または無置換の芳香族炭化水素基を示す。R1〜R19は隣り合う置換基と結合して複素環を形成してもよい。また、R1〜R19はC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または、−CH=CH−を介してC原子と結合してもよい。)
これらの化合物としては、フィラー分散型保護層に用いられる電荷輸送物質として例示されたものなどを用いることが出来る。
また、上記式(A)〜(E)で表される電荷輸送物質を電荷輸送層に用いる場合、保護層の場合と同様に、電荷輸送層の塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することでよりよい静電特性を実現することが出来る。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が用いられる。これらは、単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
電荷輸送層の膜厚は、解像度、応答性、電荷保持性などの点から10μm以上、50μm以下が好ましく、15μm以上、30μm以下がより好ましい。
次に感光層が単層構成の場合について述べる。上述した電荷発生物質、電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散及び/もしくは溶解させ、電荷発生機能及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光体である。感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどの従来公知の方法を用いて塗工して形成できる。また本発明においては、感光層の塗工中及び/または塗工後に磁場を印加する。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。単層の感光層に用いられる電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、有機溶剤及び各種添加剤等に関しては、前述の電荷発生層及び電荷輸送層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。また、感光層の膜厚は5〜40μmが適当であり、10〜30μmがより好ましい。
単層型感光層の場合も、積層型感光層と同様に、電荷輸送物質に前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を用いる場合、感光層の塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することが好ましい。
本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層との間に下引き層を設けることができる。これら下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜10μmが適当であり、2〜6μmがより好ましい。
本発明の感光体において、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。ま
たエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。感光体(21)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ(23)、転写前チャージャ(26)、転写チャージャ(29)、分離チャージャ(30)、クリーニング前チャージャ(32)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、本発明による耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラの汚染を軽減させる必要があった。
そこで、図5のごとく帯電ローラを感光体に対してギャップを介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電ローラに付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能であり、本発明においても有効に用いることが可能である。この場合、感光体と帯電ローラとのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電ローラを非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体の帯電が不安定になる場合がある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電ローラの汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体と組み合わせて使用することにより、さらなる高耐久化及び高画質化が実現される。
画像露光部(24)、除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図4に示されるように転写チャージャ(29)と分離チャージャ(30)を併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化あるいは高画質化においてより好ましい。本発明における高耐久性を有する感光体は、前述のとおり耐摩耗性が高い故にリフェイスしにくく、感光体表面に付着した汚染物質を除去しにくい傾向がある。感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。従って、上記の理由により感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。しかし、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題となっていた。本発明における感光体は、高耐久性を有するだけでなく、ドラムヒーターなしでも画像ボケが発生しにくいことから中間転写方式の画像形成装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
現像ユニット(25)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(28)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(33)あるいはブレード(34)により、感光体より除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、ブレードと併用して行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されたりすると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のためにフィラーを含有させた層を最表面に形成された感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては非常に有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
本発明による感光体は、高い摩耗性を有する上に電荷の輸送性を高め、高光感度を実現したことから小径感光体に適用でき、また繰り
返し使用による摩耗変動量を少なくすることが可能となる。従って、上記の感光体がより有効に用いられる画像形成装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行なう、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図6は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図6において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、感光体は本発明の感光体である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図6に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
なお、図6の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図6において帯電部材は感光体と当接しているが、図5に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10−200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、保護層を形成することによって高い耐摩耗性を有する上に、高光感度が実現されたことにより小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示すものが挙げられる。感光体(101)は図1〜図3に示される本発明の電子写真感光体である。
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例により制約を受けるものではない。なお、部は、全て重量部である。
(実施例1)
まず直径30mmのアルミニウムシリンダ上に下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行ない、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、27μmの電荷輸送層を形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は130℃で各々20分間乾燥を行った。
(下引き層用塗工液)
酸化チタンCR−EL(石原産業社製) 50部
アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50 14部
(固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂L−145−60 8部
(固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製)
2−ブタノン 120部
(電荷発生層用塗工液)
図8に示すX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン 8部
ポリビニルブチラールBX−1(積水化学工業社製) 5部
2−ブタノン 400部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0004836842

シリコーンオイル(KF−50、信越化学製) 0.002部
テトラヒドロフラン 80部
電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液をスプレー塗工によって5μmの保護層を塗布した。その後保護層が固化する前に、図9、図10に示される磁場印加装置にて、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を10テスラで20分間印加し、磁場を印加したままヒータ(86)にて基体側から150℃20分加熱乾燥を行った。その後、磁場印加装置から取り出し、磁場を印加せずに室温に戻るまで自然冷却した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、
「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 3部
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、 酸価約180mgKOH/g、
固形分約50%、「BYK-P104」 BYKケミー製) 0.03部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0004836842

ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製) 10部
テトラヒドロフラン 230部
シクロヘキサノン 70部
(実施例2)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例3)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例4)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例5)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例6)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例7)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にし
て感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例8)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例9)
実施例1において、保護層用塗工液に含有される「α−アルミナ」及びその添加量を、下記のとおり変更し、さらに湿潤分散剤を無添加にした以外は、すべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
シリカ(「KMPX100」信越シリコーン製) 2部
(実施例10)
実施例1において、保護層用塗工液に含有される「α−アルミナ」及びその添加量を、下記のとおり変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
酸化チタン(「CR-97」石原産業製) 3部
(実施例11)
実施例1において、保護層用塗工液に含有される「α−アルミナ」及びその添加量を、下記のとおり変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
球形シリコーン微粒子(「トスパール105」東芝シリコーン製) 3部
(実施例12)
実施例1において、保護層用塗工液に含有される「α−アルミナ」及びその添加量を、下記のとおり変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
フッ素樹脂微粒子(「ルブロンL2」ダイキン) 3部
湿潤分散剤(「GF300 東亜合成社製 固形分25%) 0.03部
(実施例13)
実施例1において、保護層の塗工後、保護層が固化する前に磁場印加を開始し、10テスラで20分間印加した後、磁場印加を停止してヒータ(86)にて基体側から150℃20分加熱乾燥を行い、その後、装置から取り出し、室温に戻るまで自然冷却することに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例14)
実施例1において、保護層の塗工後、保護層が固化する前に磁場印加を開始し、10テスラで20分間印加し、磁場を印加したままヒータ(86)にて基体側から150℃20分加熱乾燥を行い、その後、加熱を停止し、磁場を印加したまま室温に戻るまで自然冷却することに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例15)
実施例1において、保護層用塗工液を下記のとおりに変更し、電荷輸送層塗工後に下記組成の保護層用塗工液をスプレー塗工によって保護層を塗布した。その後固化する前に、図9、図10に示される磁場印加装置にて、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を10テスラで20分間印加し、その後磁場を印加したままメタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を架橋させ、さらにその後磁場を印加したままヒータ(86)で基体側から130℃で20分間加熱乾燥した。その後磁場印加装置から取り出し、室温になるまで自然冷却した。保護層の厚みは6.0μmとした。それ以外はすべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
下記化学式で表される1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物
10部
Figure 0004836842

光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(実施例16)
実施例15において、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、下記組成に変更した以外は、すべて実施例15と同様にして、電子写真感光体を作製した。
下記化学式で表される1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物
9部
Figure 0004836842

下記化学式で表される2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物
1部
Figure 0004836842
(実施例17)
実施例15において、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記化学式のものに変更した以外は、実施例15と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例18)
実施例15において、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記化学式のものに変更した以外は、実施例15と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例19)
実施例15において、保護層の塗工後、保護層が固化する前に、磁場印加を開始し10テスラで20分間磁場印加した後、磁場を印加したまま光照射を行うことによって塗布膜を架橋させ、さらにその後ヒータ(86)で基体側から加熱乾燥し、その後加熱を停止し、磁場を印加したまま、室温になるまで自然冷却することに変更した以外は実施例15と同様にして、感光体を作製した。
(実施例20)
実施例1において、保護層を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
下記式に示される電荷輸送物質 60部
Figure 0004836842

モノクロロベンゼン 30部
ジクロロメタン 30部
上記組成の保護層用塗工液を図11に示す製造装置にて、10テスラで磁場印加を行いながら浸漬塗工により電荷輸送層の上に塗工し、塗工後10テスラで20分間磁場を印加したまま静置した。その後磁場を印加したまま加速電圧150kV、照射線量4mradの条件で電子線を感光体に放射し、100℃で10分間加熱処理を行った。その後、図11に示す製造装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。保護層の膜厚は6.0μmとした。
(実施例21)
実施例20において保護層の電荷輸送物質を下記式のものに変更した以外は、実施例20と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例22)
実施例20において保護層の電荷輸送物質を下記式のものに変更した以外は、実施例20と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(実施例23)
実施例20において、保護層の塗工中から10テスラで磁場を印加し、塗工後10テスラで20分磁場を印加したまま静置し、その後磁場を印加したまま電子線放射と加熱処理を行った後、装置から感光体を取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却することに変更した以外は、実施例20と同様にして感光体を作製した
(実施例24)
実施例20において、保護層の塗工後、保護層が固化する前に10テスラで磁場印加を開始し、塗工後10テスラで20分磁場を印加したまま静置し、その後磁場を印加したまま電子線放射と加熱処理を行った後、磁場を印加したまま室温まで自然冷却することに変更した以外は、実施例20と同様にして感光体を作製した。
(実施例25)
実施例1において、保護層用塗工液を下記組成の保護層用塗工液に変更し、保護層の乾燥条件を130℃20分に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
下記構造式の高分子電荷輸送物質
(重量平均分子量175000) 15部
Figure 0004836842
テトラヒドロフラン 230部
シクロヘキサノン 70部
(実施例26)
実施例25において、高分子電荷輸送物質を下記式のものに変更した以外は、実施例25と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(重量平均分子量210000)
(実施例27)
実施例25において、保護層用塗工液を下記組成の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例25と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
下記構造式の高分子電荷輸送物質 15部
Figure 0004836842
(重量平均分子量175000)
下記構造式の電荷輸送物質 3部
Figure 0004836842

テトラヒドロフラン 230部
シクロヘキサノン 70部
(実施例28)
実施例1において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例29)
実施例1において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、加熱を停止し、磁場を印加したまま室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例30)
実施例1において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬した後、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した。引き上げ後は図11に示すような状態で、磁場を印加したまま20分間静置した。その後、磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、室温まで自然冷却する間、磁場を印加しつづけた。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例31)
実施例3において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例3と同様にして感光体を作製した。
(実施例32)
実施例5において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例5と同様にして感光体を作製した。
(実施例33)
実施例7において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例7と同様にして感光体を作製した。
(実施例34)
実施例15において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例15と同様にして感光体を作製した。
(実施例35)
実施例20において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例20と同様にして感光体を作製した。
(実施例36)
実施例25において、電荷輸送層の塗工を図11に示す製造装置にて、電荷輸送層用塗工液に下引き層と電荷発生層を塗工したアルミニウムシリンダーを電荷輸送層用塗工液に浸漬し、アルミニウムシリンダーを引き上げ、電荷輸送層を塗工した後、図11に示すような状態で、電荷輸送層が固化する前に磁場印加を開始し、アルミニウムシリンダーの内側から外側に向かって、すなわちアルミ基板に対して垂直方向に磁場を印加しながら20分間静置した。その後磁場を印加したまま、ヒーター(86)にて基体内部から加熱することで110℃にて60分乾燥を行なったのち、感光体を装置から取り出し、磁場を印加せずに室温まで自然冷却した。磁場の強度は10テスラにて行なった。それ以外は実施例25と同様にして感光体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(比較例2)
比較例1において、磁場を印加しないこと以外は比較例1と同様にして感光体を作製した。
(比較例3)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(比較例4)
比較例3において、磁場を印加しないこと以外は比較例3と同様にして感光体を作製した。
(比較例5)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(比較例6)
比較例5において、磁場を印加しないこと以外は比較例5と同様にして感光体を作製した。
(比較例7)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(比較例8)
比較例7において、磁場を印加しないこと以外は比較例7と同様にして感光体を作製した。
(比較例9)
実施例1において、保護層の電荷輸送物質を下記化学式のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0004836842
(比較例10)
比較例9において、磁場を印加しないこと以外は比較例9と同様にして感光体を作製した。
(比較例11)
実施例1において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(比較例12)
実施例2において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例2と同様にして感光体を作製した。
(比較例13)
実施例3において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例3と同様にして感光体を作製した。
(比較例14)
実施例4において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例4と同様にして感光体を作製した。
(比較例15)
実施例5において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例5と同様にして感光体を作製した。
(比較例16)
実施例6において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例6と同様にして感光体を作製した。
(比較例17)
実施例7において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例7と同様にして感光体を作製した。
(比較例18)
実施例8において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例8と同様にして感光体を作製した。
(比較例19)
実施例9において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例9と同様にして感光体を作製した。
(比較例20)
実施例10において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例10と同様にして感光体を作製した。
(比較例21)
実施例11において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例11と同様にして感光体を作製した。
(比較例22)
実施例12において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例12と同様にして感光体を作製した。
(比較例23)
実施例15において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例15と同様にして感光体を作製した。
(比較例24)
実施例16において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例16と同様にして感光体を作製した。
(比較例25)
実施例17において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例17と同様にして感光体を作製した。
(比較例26)
実施例18において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例18と同様にして感光体を作製した。
(比較例27)
実施例20において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例20と同様にして感光体を作製した。
(比較例28)
実施例21において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例21と同様にして感光体を作製した。
(比較例29)
実施例22において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例22と同様にして感光体を作製した。
(比較例30)
実施例25において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例25と同様にして感光体を作製した。
(比較例31)
実施例26において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例26と同様にして感光体を作製した。
(比較例32)
実施例27において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例27と同様にして感光体を作製した。
(比較例33)
実施例28において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例28と同様にして感光体を作製した。
(比較例34)
実施例31において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例31と同様にして感光体を作製した。
(比較例35)
実施例32において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例32と同様にして感光体を作製した。
(比較例36)
実施例33において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例33と同様にして感光体を作製した。
(比較例37)
実施例34において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例34と同様にして感光体を作製した。
(比較例38)
実施例35において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例35と同様にして感光体を作製した。
(比較例39)
実施例36において、保護層に磁場を印加しないこと以外は実施例36と同様にして感光体を作製した。
(評価方法及び評価結果)
以上のようにして作製された電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラ及び画像露光光源を780nmの半導体レーザーを用いたデジタル複写機imagioNeo271改造機(リコー社製)で、初期における露光後の電位(VL)の測定及び画像品質の評価を行なった。その後、トータル5万枚の印刷を行ない、印刷後における露光後の電位(VL)の測定、及び解像度の評価を行なった。また解像度評価は、感光体に帯電、露光をした後に、現像すなわち静電潜像の上にトナーが付着した段階で、複写機を停止し、感光体を取り出して、感光体に付着したトナーを拡大観察し、トナーの散りなどからドット再現性を評価した。拡大観察とはレーザー顕微鏡にて観察した。評価機はこの評価を行うために、現像後に感光体の回転を直ちに停止し、感光体を取り出せるように改造したものである。結果を表4に示す。
(ドット再現性)
◎・・・ドット径が小さく、またドットの密度も高く、静電潜像に対し忠実に現像されている。
○・・・ドット径がやや大きくなったが、チリが少なく、高い解像度を維持している。
△・・・チリが増加し、ドット径はより増大し、解像度が若干低下したと認められる。
×・・・チリが広範囲に広がり、ドットの密度が減少しており、解像度が明らかに低下したことが判断できる。
Figure 0004836842
Figure 0004836842
本発明に用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図である。 本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。 本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。 本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための図である。 本発明の別の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための図である。 本発明の別の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジを説明するための図である。 実施例で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 実施例で用いた電荷輸送層に磁場配向処理を施す装置の断面概略図である。 実施例で用いた電荷輸送層に磁場配向処理を施す装置の上面概略図である。 実施例で用いた電荷輸送層に磁場配向処理を施す装置の断面概略図である。
符号の説明
(図1〜3について)
(1) 導電性支持体
(2) 電荷発生層
(3) 電荷輸送層
(4) 保護層
(5) 感光層
(6) 下引き層

(図4について)
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電ローラ
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャ
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャ
30 分離チャージャ
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャ
33 ファーブラシ
34 クリーニングブレード

(図6について)
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストラー
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置

(図7について)
101 感光体
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット

(図9、10、11について)
81、82 マグネット
83 感光体
84 電荷輸送層用塗工液
85 昇降機
86 ヒーター

Claims (20)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、該保護層に少なくとも下記式(A)で表わされるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質が含有されており、該保護層を塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004836842
    (Ar1、Ar2、Ar3は置換または無置換のアリール基もしくは置換または無置換のアリーレン基を表す。またAr1、Ar2、Ar3は隣り合う基と複素環を形成してもよい。またAr1、Ar2、Ar3は炭素数が1〜4のアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基を置換基として有してもよく、これらはC原子と直接結合してもよいし、アルキレン基、ヘテロ原子、または-CH=CH-を介してC原子と結合してもよい。)
  2. 前記保護層がフィラーを含有していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記フィラーが金属酸化物であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記金属酸化物が酸化チタン、シリカ、アルミナから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記フィラーがフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記保護層が架橋性膜であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記架橋性膜が少なくとも式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する重合性化合物を架橋することにより形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記架橋性膜が、式(A)で示されるトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとを架橋することにより形成されたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記保護層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記電荷輸送物質が高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記高分子電荷輸送物質が前記式(A)で表わされるトリアリールアミン構造を主鎖及び/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする請求項10または11に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記保護層の塗工後、加熱乾燥を終了するまで磁場を印加することを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記保護層の塗工後、光エネルギー照射及び/または熱エネルギー照射及び加熱乾燥を終了するまで磁場を印加することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 前記感光層が前記式(A)で表されるトリアリールアミン構造を有する電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  16. 前記感光層の塗工中及び/または塗工後に磁場を印加することを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体の製造方法。
  17. 請求項1乃至16の何れかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  18. 請求項17に記載の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
  19. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有する画像形成装置において、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を有するタンデム方式の画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項17に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  20. 請求項17に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段が一体となり、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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