JP4945348B2 - 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
これらの有機感光体は、層構成別に分類することができ、例えば、〔1〕ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂やPVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体を導電性支持体上に設ける均質単層型、〔2〕フタロシアニンやペリレン等の顔料を樹脂中に分散させたものを導電性支持体上に設けた分散単層型、〔3〕導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層(CGL)と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(CTL)とを積層し機能分離した積層型、に大きく分類できる。これらの中でも、耐摩耗性や高感度化に対して有利であることから、積層型が主流となっている。
この方法によれば、確かに電荷輸送物質の紫外線吸収による劣化に伴う不具合を解消できる効果が期待できる。しかしながら、紫外線に比べて可視光線はエネルギーが低く、硬化反応が十分に進まない可能性がある。また、電荷輸送物質は特に光重合性モノマーと硬化するような官能基を有していないため、電荷輸送物質が硬化阻害を引き起こす可能性は否定できず、十分な耐久性を実現できる方法とは判断できない。
感光体の高耐久化が求められる中で、単層型感光体は多くのメリットを有しているにもかかわらず、これまでの技術対応では耐久性に乏しく、感光体の開発は多層化の方向で進められている。しかし、多層化による不具合も多く見られ、耐摩耗性は向上できても静電特性や画質安定性において満足されていないのが実情である。
すなわち、単層型感光体において耐摩耗性を高めることができれば、高画質化と高耐久化の両立が実現され、生産性や地球環境に対するメリットも得られることから、それを実現できる方法が熱望されていた。
前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法により解決される。
該電子写真感光体が〔11〕に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置により解決される。
すなわち、電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーと、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体が接触することにより、これら電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種が注入されるため、耐摩耗性に優れ、かつ静電特性が安定した感光層が形成される。それにより、長期繰り返し使用しても摩耗による画質劣化が少なく、高画質画像を安定に出力できる。
また、電荷発生物質が含有された状態で硬化反応に必要な高エネルギー(例えば、紫外線等の高エネルギー光)に曝されることがないので変質することがなく、残留電位上昇や感度低下などが防止される。加えて、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に接触されることにより感光層に残存する溶媒が除去されるため、残留溶媒による特性劣化や変動を低減させる効果も得られる。
また、電荷発生物質が最表面層に含有されているため、電荷発生物質によって発生した電荷の移動時における横拡散の影響が少なく、原稿に忠実な画像を形成することができ、それを繰り返し使用しても安定に出力可能である。更に、単層型感光層としたことで、生産性向上、低コスト化が図られ、加えて、超臨界流体及び/または亜臨界流体により製造する方法としたことで、製造効率を向上し、廃棄物質の削減や省資源化により地球環境への負荷低減を可能にした。
本発明の電子写真感光体によれば、従来困難であった機械的耐久性と静電的耐久性の両立を単層型感光体で実現し、これにより高耐久化、小型化、高速化に対応することができ、長期繰り返し使用においても摩耗による画質劣化が少なく、高精細な高画質画像を安定して出力することが可能である。
本発明の画像形成装置によれば、繰り返し画像形成を行っても異常画像発生が少なく、いつでも高画質画像を安定に出力可能である。特に、本発明のタンデム方式の画像形成装置によれば、フルカラーで高精細の画像が出力でき、感光層の膜厚や静電特性の経時変化が少ないため、繰り返し使用しても色再現性に優れる。
本発明のプロセスカートリッジによれば、高安定な画像出力が可能で、しかも取扱いが良好であり、メンテナンス性が向上すると共に、コストダウンにつながる。
前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とするものである。
そして、単層型の感光層を有する感光体構成でありながら、繰り返し使用しても高精細、高画質な画像を安定して出力することが可能で、高耐久な感光体が実現された。また、機械的耐久性及び静電的耐久性の両立に加え、感光体の生産性の改善や生産コストの低減、地球環境への負荷低減をも実現した感光体を製造することが可能となった。以下、詳しく説明する。
また、本発明においては、感光層自体を硬化させるため、表面に保護層を形成する必要がない。このため、感光層と保護層を有する感光体の場合のように、感光層と保護層との界面に電荷がトラップされることがなく、静電特性の高安定化や異常画像の発生防止に優れている。さらに、感光層に残留する溶剤は静電特性に影響を及ぼすが、本発明においては超臨界流体及び/又は亜臨界流体に接触させることによって残留溶剤を除去することが可能であり、静電特性の安定化に対する効果の一つに挙げられる。
はじめに、超臨界流体もしくは亜臨界流体について説明する。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体の特徴としては、気体と液体の両方の性質、すなわち高温下にあることによって分子が大きな運動エネルギーを有する気体的性質と、高圧下にあることによって分子同士が集まって安定化する液体的性質を併せ持っていることである。従って、拡散性や浸透性に優れ、かつ物質を溶解する能力が非常に高い特徴を有する。また、溶解性は温度や圧力の調整によって制御することが可能である。
例えば、二酸化炭素の臨界圧力は7.53MPaであり、圧力がそれ以上であれば、臨界温度31℃に満たなくても密度の急激な上昇を示すことが実験で確認できている。この結果から見ると、圧力が7.53MPa以上であり、密度が少なくとも0.7(g/cm3)以上であれば臨界温度に達していなくても亜臨界状態であると判断できる。但し、これは二酸化炭素等の常温常圧において気体の場合に限る。
また、前記超臨界流体及び前記亜臨界流体に有機溶媒をエントレーナーとして混合することができる。これにより注入する物質の溶解性を制御することが可能となり、物質の適用範囲を広げることができる。前記エントレーナーとしては、超臨界流体及び/または亜臨界流体に溶解させたい溶質に対して親和性の高い溶媒を選択することが好ましい。一例としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒などが用いられるが、特に制限はない。
超臨界流体及び/又は亜臨界流体を閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界流体もしくは亜臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式などの方式があり、いずれも使用可能である。
図1は、本発明における電子写真感光体の一例を示す概略断面図であり、導電性支持体(1)上に感光層(2)が形成された感光体である。
図2は、図1の導電性支持体と感光層との間に下引き層〔あるいは中間層〕(3)を形成した電子写真感光体の別例を示す概略断面図である。
図1、図2の感光層(2)は、導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化反応させた硬化層に、電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させることにより形成されるものである。
上記電子写真感光体の構成層について以下説明する。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
本発明においては、これらの中でもアルミニウムからなる円筒状の導電性支持体が最も好適に用いられる。アルミニウムは、純アルミニウムあるいはアルミニウム合金のいずれも含まれる。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が適している。
このように作製される陽極酸化皮膜は多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況にある。このため、作製後に陽極酸化皮膜の物性値が変化する等の経時変化が起こりうる。これを回避するため、陽極酸化皮膜をさらに封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法等がある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。
封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した過剰な金属塩等を除去することが主な目的である。これが、支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残存してしまうため、地汚れの発生を促進することになる。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、多段階の洗浄を行う方が好ましい。この際、最終の洗浄液は可能な限り脱イオン化されたものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的な接触洗浄を施すことが好ましい。
以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が適している。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位上昇や光応答性が低下する恐れがある。
前述のように、本発明の感光層は単層型の感光層である。電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化層に、電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して注入させる製造方法により形成される。以降、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物は、硬化反応させるための官能基を有しており、それによって硬化樹脂膜が形成されることから、硬化前の反応性化合物がモノマーやオリゴマーあっても、それらを総称して硬化性バインダー樹脂と表現する場合がある。以下に、前記感光層について説明する。
感光層を形成する際、はじめに導電性支持体上に少なくとも電荷輸送性構造を有さない反応性化合物、すなわち、反応性モノマーあるいはオリゴマー等と電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする層を形成し、これを十分に硬化反応させて硬化層を形成する。ここで、硬化とは、一般に複数の官能基を有する低分子化合物の分子間反応や高分子化合物が、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
硬化性バインダー樹脂としては、熱によって重合する熱硬化性樹脂、紫外線や可視光線等の光によって重合する光硬化性樹脂、電子性によって重合する電子線硬化性樹脂等があり、必要に応じて硬化剤や触媒、重合開始剤等と組み合わせて用いられる。
電荷輸送性構造、すなわちホール輸送性構造あるいは電子輸送性構造が化合物中に一つであっても、あるいは複数であってもよく、複数の方が電荷輸送性に優れるためより好ましい。また、電荷輸送性構造を有する反応性化合物の分子中に、ホール輸送性構造と電子輸送性構造が共に含まれたバイポーラー性を有するものであってもよく有効である。
アクリル樹脂は耐摩耗性に優れ、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して電荷発生物質や電荷輸送物質の注入性に優れるため好ましい。アクリル樹脂を硬化させるためには、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性官能基を有するモノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が用いられる。ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば、適宜選択して使用することができる。例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基、などが挙げられる。
(a)1−置換エチレン官能基:
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(1)で表される官能基が挙げられる。
(b)1,1−置換エチレン官能基:
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(2)で表される官能基が挙げられる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以降、EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以降、PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以降、ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用してもよい。
本発明における電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えば前述のトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等のホール輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造のいずれか、もしくは両方を有しており、かつラジカル重合性官能基を有する化合物である。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は、例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
〔2〕アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基(−OR2)であり、R2は〔2〕で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕下記の一般式(5)で表される基が挙げられる。
具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
前記ビニレン基としては、下記一般式(6)又は一般式(7)で示される基等が挙げられる。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(8)で示される構造の化合物が挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン、等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、等のアゾ系開始剤が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、前記光重合開始剤と組み合わせて使用してもよい。前記重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。前記重合開始剤の含有量としては、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
ウレタン樹脂は、高い耐摩耗性が得られ、かつ静電特性も良好であり、膜質も優れており、感光体の高耐久化と高画質化に対し有効である。ウレタン樹脂は、一例として活性水素成分であるポリオールと、硬化剤である多価イソシアネートとを組み合わせることによって形成できる。
本発明に使用するアミド結合を有するイソシアネートとしてはHDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−ビウレット体等公知のものが例示でき、単独もしくは混合して使用することができる。イソシアネートのNCO基数とポリオールのOH基数の比(NCO/OH比)は、1.0〜1.5程度が望ましい。
硬化性シロキサン樹脂もまた耐摩耗性に優れ、超臨界流体及び/又は亜臨界流体によって電荷発生物質や電荷輸送物質の注入性に優れることから有効に使用できる。
硬化性シロキサン樹脂とは予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)3次元網目構造を形成し、硬化しうる樹脂である。一般的には、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させて3次元網目構造とし、シロキサン樹脂からなる硬化樹脂層を形成する。例えば、アルコキシシランからなる組成物、又はアルコキシシランとコロイダルシリカからなる組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成して硬化層とする。
水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物における加水分解性基とは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。中でも好ましくは、−ORで表される加水分解性基がよく、Rがアルコキシ基を形成する原子団であり、炭素数が1〜6であることが好ましい。
レゾール型は、アルコール類およびケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、ノボラック型は、一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
超臨界流体及び/または亜臨界流体に電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有させ、これを前述の硬化樹脂層に接触させることによって、電荷発生物質及び電荷輸送物質を硬化樹脂層中に注入させるが、これらの電荷発生物質及び電荷輸送物質について、以下説明する。
本発明に用いられる電荷発生物質は、従来公知の材料を用いることが可能である。
例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料(一例として特開昭54−22834号公報、特開昭61−151659号公報等)、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料(一例として特開昭48−34189号公報、特開昭57−14874号公報等)、その他ペリレン系顔料(一例として特開昭53−98825号公報、特開昭63−266457号公報)、ペリノン系顔料、キノン系縮合多環化合物(一例として特開昭61−48861号公報)、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、スクエアリウム顔料(一例として特開昭49−105536号公報、特開昭58−21416号公報)、シアニン及びアゾメチン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等が挙げられる。また、アゾ顔料の中でも、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報)等も好適に用いられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷輸送物質は、ホールを輸送するホール輸送物質と電子を輸送する電子輸送物質とに大別され、単層型感光層はその両方の機能が求められる。但し、前述したように本発明の硬化層は、前記電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーやオリゴマー等の硬化性バインダー樹脂と電荷輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化されたものであるため、既に電荷輸送機能が備わっている。
従って、それとは逆極性の電荷を輸送させる物質を注入すればよい。例えば、硬化性バインダー樹脂とホール輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化樹脂層であれば、超臨界流体及び/または亜臨界流体によって電荷発生物質と電子輸送物質を注入すればいいし、硬化性バインダー樹脂と電子輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化層であれば、超臨界流体及び/または亜臨界流体によって電荷発生物質とホール輸送物質を注入すればよい。但し、例えば、硬化性バインダー樹脂とホール輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化層であっても、ホール輸送機能を補うために電子輸送物質とともにホール輸送物質を注入することも可能であり、静電特性上有効となる場合がある。
ホール輸送物質としては、電子供与性を示す物質が用いられ、従来公知の材料をすべて適用することが可能である。例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらのホール輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
これらの中でもトリアリールアミン誘導体、特にトリフェニルアミン誘導体は、静電特性の高安定化に有効なだけでなく、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に含有させて硬化層へ注入する場合の注入性に優れていることから、特に有効に用いられる。
本発明におけるトリフェニルアミン誘導体は、ホール輸送物質に少なくとも下記一般式(13)に示されるトリフェニルアミン構造を含む化合物である。
本発明の感光体は、感光層に電荷発生物質や電荷輸送物質以外の物質を含有させることも可能であり、静電特性の安定化に対して有効である。これらの添加剤の一例としては、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤や金属酸化物等の無機微粒子、フッ素樹脂もしくはシリコーン樹脂等の有機微粒子等の各種フィラーや抵抗制御剤等が挙げられ、これに限定されるものではない。
酸化防止剤は、主に帯電によって発生するオゾンガスやNOxガスによって起こる帯電低下の影響を抑制する目的等で使用される。一例として下記のものが挙げられる。
(a)フェノール系化合物:
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類:
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類:
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類:
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(e)有機燐化合物類:
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
(a)リン酸エステル系可塑剤:
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤:
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤:
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤:
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体:
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤:
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤:
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤:
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤:
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤:
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体:
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体:
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他:
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
(a)炭化水素系化合物:
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物:
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物:
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物:
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物:
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん:
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス:
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他:
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
(a)ベンゾフェノン系:
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系:
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系:
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系:
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系):
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン):
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
本発明の感光体は、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができ、有効である。前記のように導電性支持体上に陽極酸化処理を施していない場合、下引き層の形成は特に有効である。
下引き層は結着樹脂(バインダー樹脂)を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層が積層されることを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する架橋型樹脂等が挙げられ、特に熱硬化樹脂が好ましい。これらの中でもアルコール可溶性樹脂が、基板からの電荷注入の抑制に優れており、かつ残留電位に及ぼす影響が少ないため好適に用いられる。中でもメトキシメチル化ナイロンは静電特性の環境依存性が少なく、良好に用いられる。下引き層をこれらの樹脂のみで構成する場合には、電荷を輸送させる機能を有していないため膜厚を薄くする必要がある。好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下であり、これにより帯電低下や地汚れを抑制でき、残留電位に及ぼす影響は小さくできる。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性基体上に電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー等)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする樹脂膜の形成工程と、そのようにして形成された樹脂膜を硬化反応させて硬化樹脂層とする硬化工程と、該硬化層に電荷発生物質、必要に応じてホール輸送物質及び/または電子輸送物質、添加剤等を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程と、により形成されることを特徴とする。
すなわち、導電性支持体上に(必要により下引き層を設け、その上に)、電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする塗工液を用いて塗工、形成し、形成された膜を硬化反応させて3次元網目構造からなる硬化樹脂層を形成し、その後に電荷発生物質や電荷輸送物質等を含有する超臨界流体及び/または亜臨界流体と接触させ注入する手順となる。
導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする層を塗工する方法は、従来公知の方法を用いることが可能である。例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等が挙げられ、特に浸漬塗工法やスプレーコートがより好ましい。
有機溶剤は、材料の溶解性や塗工液の粘度、固形分に併せて適宜選択することができ、一般に用いられる溶剤が挙げられる。一例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系、などが挙げられ、単独でもこれらを二種以上混合してもよい。
熱のエネルギーを付与する方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い、塗工表面側又は支持体側から加熱する方法が挙げられる。熱硬化の場合、使用する溶剤や触媒の有無等によって異なるが、加熱温度としては80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上160℃以下がより好ましい。低温すぎると反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがある。また高温すぎると、硬化反応が不均一に進行したり、層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。前記硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も好ましい。
一方、1000mW/cm2以上の強い照射光を用いることで重合反応の進行速度が大幅に速くなり、より均一な硬化層を形成することが可能となるが、反応の進行が不均一となり、局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる場合もある。ドラム温度は50℃を越えないように制御するのがより好ましい。
電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。
放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。ただし、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。 電子線を照射する場合の照射条件としては、加速電圧は250KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また電子線の吸収線量は1×103〜1×106Gyであることが好ましく、更には5×103〜5×105Gyが好ましい。吸収線量が1×103Gyに満たないと表面層を十分に硬化し難くなり、1×106Gyを超えると感度や残留電位の特性が悪化し易くなり注意が必要である。
次に図面を用いて、本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図3は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図3において、感光体(21)は、図1乃至図2に記載された構成の感光体である。
感光体(21)は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。感光体(21)は、帯電部材(23)による帯電工程、露光手段(24)による露光工程、現像手段(25)による現像工程、転写手段(29)による転写工程、クリーニング手段(33)(34)によるクリーニング工程、除電ランプ(22)による除電工程等を経て転写紙(28)等に画像が形成される。その他、必要に応じて転写前チャージャー(26)、分離チャージャー(30)、分離爪(31)、クリーニング前チャージャー(32)等が備えられる。但し、本発明はこれに限定されず、公知の手段がすべて使用可能である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。
ここで、上記プロセスカートリッジは、感光体〔ドラム〕(101)を内蔵し、帯電手段〔接触帯電装置〕(102)、露光手段〔像露光〕(103)、現像手段〔現像装置〕(104)、クリーニング手段〔クリーニングユニット〕(107)を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。図中、105は記録媒体〔転写体〕、106は転写手段〔接触転写装置〕である。感光体〔ドラム〕(101)は、図1又は図2に示される感光体である。
まず、本発明に用いた電荷輸送性構造を有する化合物の合成例について示す。本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば、特許第3164426号公報記載の方法により合成される。下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の合成:
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物[下記構造式(A)]113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
上記により、下記構造式(B)で示されるヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。得られた化合物の融点は64.0〜66.0℃であり、元素分析結果は下記表5に示すように計算値と良く一致した。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物[構造式(B)]82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にしてトリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。得られた化合物の融点は117.5〜119.0℃であり、元素分析結果は下記表6に示すように計算値と良く一致した。
外径が30mmのアルミニウム製素管上に下記組成の下引き層用塗工液を用いて塗布後、130℃10分加熱乾燥を行い、約0.5μmの下引き層を形成した。
・N−メトキシメチル化ナイロン:FR101K(鉛市社製)
・溶剤:メタノール/n−ブタノール
〈混合条件(部)〉
N−メトキシメチル化ナイロン/メタノール/n−ブタノール=5/70/30
[硬化樹脂層用塗工液]
・イソシアネート:スミジュールHT(HDIアダクト)(住化バイエルン社製)
・ポリオール1:下記構造式(C)
・溶剤:テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン
〈混合条件(部)〉
イソシアネート/ポリオール1/ポリオール2/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/2/8/10/100/30
次に、上記硬化樹脂層を形成したアルミニウム製素管、下記構造式(E)で示される電荷発生物質0.1部、前記ETM7で示される電子輸送物質1.5部、下記構造式(F)で示される酸化防止剤0.01部を図7に示す耐圧反応セルに入れ、すべてのバルブを閉じた。その後、バルブ1(V1)及びバルブ3(V3)を開け、背圧弁で圧力を制御しながら、二酸化炭素を供給ボンベより耐圧反応セルに供給し、加圧ポンプ1と温調ジャケットによる温度調整器により、耐圧反応セル内を拡販しながら、約20分かけて温度、圧力を85℃、30MPaに調整し、温度、圧力が安定した後、そのまま2時間保持した。その後、耐圧反応セル内の温度、圧力を温調ジャケットと背圧弁を制御しながら、25℃、大気圧になるまで、約20分かけて徐々に降温、減圧を行い、本発明の電子写真感光体を作製した。なお、図中の符号(V1)〜(V3)はバルブ1〜バルブ3を表し、(T)は温度センサ、(P)は圧力センサを示す。
実施例1において、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を下記構造式(G)の化合物に変更した以外はすべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を下記構造式(H)の化合物に変更した以外はすべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電子輸送物質をETM4に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷発生物質をX型無金属フタロシアニンに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、超臨界流体による注入処理の際にHTM4を0.3部添加した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、硬化樹脂層用塗工液を下記組成に変更して塗工を行い、その後下記の硬化条件により硬化を行った以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
[硬化樹脂層用塗工液]
・ トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・ 電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・ 光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・ テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
トリメチロールプロパントリアクリレート/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/光重合開始剤/テトラヒドロフラン=10/10/1/100
〈硬化方法〉
メタルハライドランプを用いて、照射強度を400mW/cm2、照射時間を120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で20分の加熱乾燥を行った。
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する反応性化合物(例示化合物No.54)を9部と下記構造式(I)の2官能性化合物1部とした以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
・1官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・2官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物:下記構造式(I)
実施例7において、電子輸送物質をETM8に変更した以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液に酸化防止剤を添加せずに、下記構造式(J)の光安定剤を添加した以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、導電性支持体上に下引き層を形成せずに硬化樹脂層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、硬化樹脂層用塗工液を下記の感光層形成用塗工液に変更して塗布し、その後135℃20分の加熱乾燥を行って約18μmの感光層を形成し、電子写真感光体を作製した。超臨界流体による注入処理は実施しなかった。
[感光層形成用塗工液]
・電荷発生物質:下記構造式(E)
・ホール輸送物質:HTM4
・電子輸送物質:ETM7
・Z型ポリカーボネート:TS−2040(帝人化成社製)
・シリコーンオイル:KF50(信越化学工業社製)
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
電荷発生物質/ホール輸送物質/電子輸送物質/ポリカーボネート/シリコーンオイル/テトラヒドロフラン=2/25/25/50/0.01/400
比較例1において、感光層の膜厚を27μmに変更した以外は、比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、超臨界流体による注入処理を実施しなかった以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液を下記組成に変更し、超臨界流体による処理を実施しなかった以外は、すべて実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
[硬化層用塗工液]
・トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・電荷発生物質:下記構造式(E)
・ホール輸送物質:HTM4
・電子輸送物質:ETM7
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
トリメチロールプロパントリアクリレート/光重合開始剤/電荷発生物質/ホール輸送物質/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=20/1/1/10/10/100
外径が30mmのアルミニウム製素管上に下記組成の下引き層用塗工液を用いて下引き層を塗布後、130℃10分加熱乾燥を行い、約0.5μmの下引き層を形成した。
[下引き層用塗工液]
・N−メトキシメチル化ナイロン:FR101K(鉛市社製)
・溶剤:メタノール/n−ブタノール
〈混合条件(部)〉
N−メトキシメチル化ナイロン/メタノール/n−ブタノール=5/70/30
[電荷発生層用塗工液]
電荷発生物質:下記構造式(E)
[電荷輸送層用塗工液]
・電荷輸送物質:HTM4
・Z型ポリカーボネート:TS−2040(帝人化成社製)
・テトラヒドロフラン
・シリコーンオイル:KF50(信越化学工業社製)
〈混合条件(部)〉
電荷輸送物質/ポリカーボネート/テトラヒドロフラン/シリコーンオイル=4/5/40/0.001
比較例5において、電荷輸送層の上にさらに下記組成の保護層用塗工液を用いて保護層を塗工し、その後下記の硬化条件により硬化を行って、約3μmの保護層を形成した以外は、すべて比較例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
[保護層用塗工液]
・トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・電子輸送物質:ETM7
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
アクリレート/重合開始剤/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=10/1/4/4/70
〈硬化方法〉
メタルハライドランプを用いて、照射強度を400mW/cm2、照射時間を120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で20分の加熱乾燥を行った。
以上のようにして作製した実施例及び比較例の感光体を、図6の概略図に示すような電子写真用プロセスカートリッジに装着し、図3の概略図に示すような画像形成装置の改造機に搭載した。帯電手段にはスコロトロンを用い試験開始時の感光体の帯電電位が+550Vになるように印加電圧を設定した。画像露光光源には655nmの半導体レーザーを設け、感光体の光減衰特性がほぼ一定になるように露光光量をその都度調整した。現像ユニットには正帯電用トナーを充填し、現像バイアスは+400Vに設定した。クリーニング手段にはクリーニングブレードを用い、除電手段には655nmのLEDを用いた。
上記装置を用いて25℃50%RHの環境下で耐久試験を行った。
試験開始時(初期)と試験終了時(4万枚印刷後)において、露光部電位(VL)の測定と出力された画像サンプルについて画質評価を行った。なお、画像評価のレベルは、以下の4段階で表した。
◎:非常に良好なレベル
○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル
△:明らかに画像欠陥が認められるレベル
×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。
これらの評価結果を下記表7に示す。
上記感光体について、オゾン曝露を行った後に上記と同様にして画像評価を行った。オゾン曝露は感光体をオゾン曝露器内に入れて密閉し、オゾンガス濃度5ppmにて48時間曝露を行い、3時間暗所大気中に保存した後画像評価を行った。
◎:非常に良好なレベル
○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル
△:明らかに画像欠陥が認められるレベル
×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。
これらの結果を下記表8に示す。
一方、比較例である従来公知の感光体は、単層の感光体では耐摩耗性が低く、摩耗による電界強度の増加により地汚れの影響が増大した。硬化性バインダー樹脂と電荷発生物質や電荷輸送物質とを含有させて硬化させると、硬化阻害により耐摩耗性が損なわれ、また未反応モノマーの残存量が顕著に増加するため、残留電位等の静電特性も悪化した。また、感光層を複数層積層した積層型感光体は、電荷のトラップを誘発する層界面が増加し、露光部電位上昇が見られ、また耐摩耗性が低いため地汚れの発生を引き起こした。耐摩耗性を高めるために電荷輸送物質の上に硬化保護層を形成すると耐摩耗性は向上できたが、層界面が増加したことによって電荷トラップを誘発し、ハーフトーン画像を出力するとその中に以前に形成した画像が形成されてしまうゴーストあるいは残像と称される画像欠陥が発生し、画質の低下を引き起こした。
2 感光層
3 下引き層〔あるいは中間層〕
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
101 感光体〔ドラム〕
102 帯電手段〔接触帯電装置〕
103 露光手段〔像露光〕
104 現像手段〔現像装置〕
105 記録媒体〔転写体〕
106 転写手段〔接触転写装置〕
107 クリーニング手段〔クリーニングユニット〕
V1 バルブ1
V2 バルブ2
V3 バルブ3
T 温度センサ
P 圧力センサ
Claims (14)
- 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生機能と、ホール輸送機能及び/又は電子輸送機能を有する単層の感光層を備えてなる電子写真感光体の製造方法であって、
前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記硬化樹脂層が、光、熱、放射線の少なくとも一種を照射することにより硬化形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記硬化樹脂層が、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記硬化樹脂層を形成する樹脂中にトリアリールアミン構造を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記電荷発生物質が、アゾ顔料系化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ホール輸送物質が、トリアリールアミン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記電子輸送物質が、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体に、更に酸化防止剤、光安定剤、分散助剤、滑剤、フィラーの少なくとも一種が含有されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記超臨界流体及び/または亜臨界流体が、少なくとも二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記導電性支持体と前記感光層との間に、下引き層が設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
- 少なくとも電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項11に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段を備え、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備したタンデム方式の画像形成装置であって、
該電子写真感光体が請求項11に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、転写後に該電子写真感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段と、請求項11に記載の電子写真感光体とが一体化し、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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