JP4945348B2 - 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される電子写真技術に関し、詳しくは、静電的及び機械的耐久性に優れ、長期繰り返し使用においても高画質画像を安定して出力可能な単層型感光層を有する電子写真感光体の製造方法、並びにそれによって製造された電子写真感光体、それを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置に応用される電子写真感光体は、無機感光体と有機感光体に大別される。有機感光体は、無機感光体に比べて繰り返し使用により感光層が摩耗しやすく、耐久性が課題であるが、生産性、製造コスト、材料選択の自由度、地球環境への負荷等においてメリットが大きく、現在は有機感光体が広く用いられている。
これらの有機感光体は、層構成別に分類することができ、例えば、〔1〕ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂やPVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体を導電性支持体上に設ける均質単層型、〔2〕フタロシアニンやペリレン等の顔料を樹脂中に分散させたものを導電性支持体上に設けた分散単層型、〔3〕導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層(CGL)と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(CTL)とを積層し機能分離した積層型、に大きく分類できる。これらの中でも、耐摩耗性や高感度化に対して有利であることから、積層型が主流となっている。
近年、画像形成装置のデジタル化とともに、高速化、小型化、フルカラー化が急速に進行し、それに伴い感光体の更なる高耐久化が求められている。画像出力の高速化はもちろん、装置の小型化に対しても感光体の小径化が必要になることから、感光体の耐摩耗性を高める必要がある。また、フルカラー画像を出力するには、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色を重ね合わせる必要があり、これも感光体の摩耗を促進させる要因となる。最近では、4色の現像部に対応した4本の感光体を備えたタンデム方式のフルカラー画像形成装置が急速に普及しているが、4本の感光体を内包させるためには感光体の小径化が必要不可欠であり、今後の画像形成装置の発展には感光体の高耐久化が大きな課題となっている。
前記単層型の感光体は、感光体の表面層に電荷発生機能を有することから摩耗による影響が非常に大きく、感光体表面に電荷輸送層を形成した積層型の方が高耐久化に対して有利である。しかし、電荷輸送層も摩耗が進行してくると、帯電保持能の低下や感度劣化、電界強度の増加に伴う地汚れの増加等を引き起こし、画質低下や異常画像の発生により寿命を迎えることになる。一方、電荷輸送層の膜厚を大幅に増加させると、摩耗に対しては余裕度が得られるものの、電荷輸送層に注入された電荷が表面に達するまでの距離が増加し、電荷の横方向への拡散の影響が増大することとなり画質低下の原因となる。そのため、電荷輸送層の耐摩耗性を高める方法や電荷輸送層の上にさらに保護層を設けた構成が数多く提案され、実用化されているものもある。
感光体の耐摩耗性を高める技術としては、〔a〕表面層(保護層)に硬化性バインダー樹脂を用いる方法(例えば、特許文献1参照。)、〔b〕高分子電荷輸送物質を用いる方法(例えば、特許文献2参照。)、〔c〕表面層(保護層)にフィラー等を分散させる方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。これらの技術によって、感光体の耐摩耗性は確かに向上されてきたが、感光体の寿命は必ずしも満足されていないのが実情である。それは以下の理由によると考えられる。
上記〔a〕の硬化性バインダー樹脂を用いる方法では、耐摩耗性と静電特性とを両立させるために、表面層には電荷輸送機能を持たせる必要がある。しかし、重合性モノマーと電荷輸送物質を単に混合させて膜を形成しても、電荷輸送物質が重合性モノマーの硬化を阻害して硬化反応が十分に進行せず、耐摩耗性は満足されない。また、硬化反応が十分に進行しないと未反応モノマーが感光層内に残存し、それらの官能基が電荷のトラップサイトとなって著しい残留電位上昇や感度低下等を引き起こす。さらに、硬化が十分でない場合には、表面に微細なクラックや凹凸が形成され、これらは感光体上に残存したトナーのクリーニング性に大きく影響し、クリーニング不良となって画質低下を引き起こす。これを回避するためには、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と硬化反応させる必要があり、これによって耐摩耗性や静電特性は改善される。しかし、熱可塑性樹脂を主体とした電荷輸送層の上に硬化性樹脂を主体として表面層を設けると、表面層にクラックが発生したり、表面層が剥離したりする場合がある。さらに、電荷輸送層と表面層との界面に電荷がトラップされ、静電特性を低下させることも大きな課題となっている。
また、上記〔b〕の高分子電荷輸送物質を用いる方法は、バインダー樹脂に低分子電荷輸送物質を含有させたものに比べて耐摩耗性の向上に有効であり、静電特性との両立も可能である。しかし、硬化性バインダー樹脂を用いる場合に比べて耐摩耗性は明らかに劣り、要求される耐久性をこの方法だけで実現することは難しい。また生産コストも課題として挙げられる。
また、上記〔c〕の表面層にフィラーを分散させる方法は、含有させるフィラーによって耐摩耗性に対し効果が発揮されるため、バインダー樹脂や電荷輸送物質に制約されないメリットを有する。ただ、耐摩耗性の向上に有効な方法であるものの、硬化性バインダー樹脂を用いた場合に比べると効果は低い上に、感光体表面にフィラーが分散されていることによって、入射光の散乱あるいは表面へ移動する電荷の拡散を誘発して解像度が低下する場合がある。また、高抵抗フィラーの場合には電荷トラップサイトとなって著しい残留電位上昇を引き起こし、低抵抗フィラーの場合には電荷の拡散を促し画像流れ等を引き起こすため、フィラーの選択が静電特性あるいは画質安定性上非常に難しい。さらに、フィラーを含有させたことによって表面の凹凸が増加し、クリーニングブレードの劣化を早めクリーニング不良の影響が増大する等の課題を有する。
以上のように、感光体の耐摩耗性を高める方法は数多く提案されてはいるものの、感光体の静電特性や画質との両立が実現されておらず、感光体の寿命は満足されていない。また、感光体は積層化が進み、保護層まで積層した多層型になると、生産性や低コスト化を妨げるだけでなく、感光体の表面に至るまでに多くの層界面が形成されることになる。これは、層界面において電荷のトラップを増加させることにつながり、例えば、残留電位上昇に伴う画像濃度低下やハーフトーン画像上に以前に出力した画像が残像として写し出されるゴーストの発生等を引き起こす。このように、感光体の耐摩耗性を高めるために機能分離して多層化し、改良を重ねてきた結果、耐摩耗性は改善されてきたものの、摩耗による寿命以前に静電特性の劣化あるいは画質の劣化によって寿命を向かえ、感光体の耐久性は予想したほど向上されていないというのが実情であった。
感光体は、電荷発生物質によって発生した電荷を電荷輸送物質によって感光体表面まで移動させて静電潜像を形成する構成上、その電荷移動距離は短い方が高画質化に対しては有利であり、その点では積層型よりも単層型の感光体の方が有効である。また、単層型の感光体は多くの層を重ね合わせる必要がないため生産性やコストの面で非常に大きな優位性を有する。また、同時に感光体の製造における溶剤やエネルギーの使用量削減に貢献できる他、感光体のリサイクル作業も簡素化される等、地球環境の保護の観点からも大きなメリットを有する。
このように、単層型感光体は非常に大きなメリットを有しているものの、その最大の課題は耐久性にあると考えられる。単層型感光層は一層で電荷発生機能、ホール輸送機能及び電子輸送機能を担っているため、摩耗によって膜厚が減少すると静電特性や画質に及ぼす影響は非常に大きい。そのような観点から、導電性支持体上に単層の感光層を形成し、その感光層を硬化させる方法が有効であると考えられる。これにより、単層型感光体のメリットを生かしつつ、耐久性を高めることが可能となるため、非常に有効な方法であると考えられる。それに関連する従来技術として、以下のものが開示されている。
例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質及び結合剤樹脂からなる単層または積層の感光層において結合剤樹脂が可視光線硬化樹脂である感光体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。これによると、熱硬化型樹脂は硬化に熱と時間が多く必要で、塗布液の寿命も比較的短く安定生産が困難であり、紫外線硬化型樹脂は感光層中の電荷輸送物質が紫外線を吸収して劣化し、感度のよい感光体を作製することが困難であると記載されている。特に、電荷輸送物質が紫外線を吸収することによって構造が変化してトラップになったり、電荷発生物質にも影響を与えたりすることから、電荷輸送物質が吸収しない可視光線硬化型の樹脂を用いたものである。
この方法によれば、確かに電荷輸送物質の紫外線吸収による劣化に伴う不具合を解消できる効果が期待できる。しかしながら、紫外線に比べて可視光線はエネルギーが低く、硬化反応が十分に進まない可能性がある。また、電荷輸送物質は特に光重合性モノマーと硬化するような官能基を有していないため、電荷輸送物質が硬化阻害を引き起こす可能性は否定できず、十分な耐久性を実現できる方法とは判断できない。
また、単層または積層型の感光体において、最外層の樹脂成分が電子線硬化性の樹脂を含む感光体が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。電子線硬化性樹脂のメリットは、光重合性の樹脂とは異なり、重合開始剤等の添加剤を必要としないため、電荷のトラップによる感度劣化や明部電位の上昇が生じにくいことが記載されている。しかし、電子線による硬化手段を用いても、含有する電荷輸送物質に硬化反応する官能基は有しておらず、電荷輸送物質を含有させたことによる硬化阻害の問題は回避できないと考えられる。
このように、単層型感光体の感光層に硬化性バインダー樹脂を用いることによって耐摩耗性を高める方法は、メリットが大きい反面、未だ実現できていない。それは、単層型感光層は一層で電荷発生機能、ホール輸送機能及び電子輸送機能を担っているため、例えば感光層に含有される電荷発生物質や電荷輸送物質等による硬化阻害が起生し、その硬化阻害によって残存したモノマーの未反応官能基、重合開始剤等の添加剤等が影響し、耐摩耗性が十分に得られなかったり、静電特性の悪化を引き起こしたりするためと考えられる。
単層型の感光層に電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーと電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化反応させる場合は、上記の硬化阻害や未反応官能基による影響は低減できると考えられるが、硬化反応時に用いられる紫外線照射が電荷発生物質や電荷輸送物質に及ぼす影響は無視できない。特に、電荷発生物質の劣化は静電特性に致命的な影響を与える。
単層型感光層の上に保護層を積層する構成によって耐摩耗性を高めることは可能であるが、保護層を積層することによって単層型構成のメリットが損なわれる上に、感光層と保護層の間に界面が形成されることによって保護層のクラック、剥離の問題が発生しやすくなる。また、界面における電荷トラップにより静電特性や画質の悪化を引き起こし、高耐久化は十分とは言えない。
感光体の高耐久化が求められる中で、単層型感光体は多くのメリットを有しているにもかかわらず、これまでの技術対応では耐久性に乏しく、感光体の開発は多層化の方向で進められている。しかし、多層化による不具合も多く見られ、耐摩耗性は向上できても静電特性や画質安定性において満足されていないのが実情である。
すなわち、単層型感光体において耐摩耗性を高めることができれば、高画質化と高耐久化の両立が実現され、生産性や地球環境に対するメリットも得られることから、それを実現できる方法が熱望されていた。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特開平1−116553号公報 特開平3−246551号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性や低コスト化、高解像度の点で非常に優れる単層型感光層を有する感光体を基本構成とし、従来の方法では実現不可能であった機械的耐久性と静電的耐久性の両立を実現し、長期繰り返し使用においても高精細な画像を出力可能な電子写真感光体の製造方法、及びそれによって製造される電子写真感光体、それを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者らは、原稿に忠実な高精細画像を長期繰り返し使用しても安定に出力可能で、かつ生産性や生産コストを改善し、地球環境にも配慮した従来の常識に捕らわれない新しい感光体の製造方法について鋭意検討を行った結果、導電性支持体上に、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(以降、「反応性モノマー」あるいは「反応性モノマーあるいはオリゴマー」と称することがある)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする樹脂膜を形成し、予め硬化反応させて硬化樹脂層とし、この硬化樹脂層に、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を注入、形成した感光層を設けることにより、これらが達成できることを見出した。すなわち、以下の〔1〕〜〔14〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
〔1〕:上記課題は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生機能と、ホール輸送機能及び/又は電子輸送機能を有する単層の感光層を備えてなる電子写真感光体の製造方法であって、
前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法により解決される。
電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(例えば、反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化層に、電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を注入する製造方法により、機械的耐久性と静電的耐久性の両立が達成され、長期繰り返し使用においても高精細で高画質の画像が出力できる。
〔2〕:上記〔1〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記硬化樹脂層が、光、熱、放射線の少なくとも一種を照射することにより硬化形成されることを特徴とする。
電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物に応じて、上記硬化手段のうち好適なものを選択し、硬化させれば確実に三次元網目構造化することができ、優れた機械的耐久性が確保される。
〔3〕:上記〔1〕又は〔2〕に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記硬化樹脂層が、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも一種からなることを特徴とする。
上記樹脂を用いれば、単層型感光層として要求される耐摩耗性を実現でき、かつ該硬化層への超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介した電荷発生物質、ホール輸送物質及び/又は電子輸送物質の注入性も良好であるため、静電的及び機械的耐久性の優れた感光層とすることができる。
〔4〕:上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記硬化樹脂層を形成する樹脂中にトリアリールアミン構造を含んでいることを特徴とする。
硬化樹脂層がトリフェニルアミン構造を含んでいることにより、電荷輸送性に優れるだけでなく、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介した電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の注入性が良好であるため、静電的及び機械的耐久性の優れた感光層とすることができる。
〔5〕:上記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷発生物質が、アゾ顔料系化合物であることを特徴とする。
超臨界流体及び/または亜臨界流体に含有させた場合でも安定に用いることができるため、より好ましく用いることができ、感度も優れている。
〔6〕:上記〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記ホール輸送物質が、トリアリールアミン誘導体であることを特徴とする。
トリフェニルアミン誘導体は、ホール輸送性に優れているだけでなく、静電特性の高安定化に有効であるほか、超臨界流体及び/または亜臨界流体を介した硬化層への注入性にも優れているため、特に有効に用いられる。
〔7〕:上記〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電子輸送物質が、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする。
上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、電子輸送性に優れているだけでなく、超臨界流体及び/または亜臨界流体を介した硬化樹脂層への注入性にも優れているため、特に有効に用いられる。
〔8〕:上記〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体に、更に酸化防止剤、光安定剤、分散助剤、滑剤、フィラーの少なくとも一種が含有されることを特徴とする。
上記添加剤によれば、例えば、オゾンガスやNOxガスによって起こる帯電低下の抑制、膜質の改善、感光層表面の滑り性向上、感光層に照射される光による劣化防止、耐摩耗性向上、クリーニング性の改善等を図ることができ、これらの物質の添加による硬化阻害を回避できるため、機械的耐久性と静電的耐久性に影響を与えずに更なる機能を付与することができる。
〔9〕:上記〔1〕乃至〔8〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記超臨界流体及び/または亜臨界流体が、少なくとも二酸化炭素を含むことを特徴とする。
二酸化炭素の臨界温度は常温に近く、取扱い性に優れる点で特に好ましい。さらに、感光体を構成する有機材料を溶解させるに適しており、分解させずに処理することが可能であるため、本発明の硬化樹脂膜への物質注入処理に最も適している。
〔10〕:上記〔1〕乃至〔9〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記導電性支持体と前記感光層との間に、下引き層が設けられることを特徴とする。
下引き層により、導電性支持体から感光層への電荷注入が防止され、帯電低下や地汚れ及びモアレの発生を防止でき、高画質画像を安定に出力できる。
〔11〕:上記課題は、〔1〕乃至〔10〕のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体により解決される。
〔12〕:上記課題は、少なくとも電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置であって、該電子写真感光体が〔11〕に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置により解決される。
〔13〕:上記課題は、少なくとも帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段を備え、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備したタンデム方式の画像形成装置であって、
該電子写真感光体が〔11〕に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置により解決される。
〔14〕:上記課題は、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、転写後に該電子写真感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段と、〔11〕に記載の電子写真感光体とが一体化し、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジにより解決される。
本発明の製造方法によれば、機械的耐久性と静電的耐久性を両立し、長期繰り返し使用においても高解像度で高精細な画像出力が可能な単層型感光層を有する電子写真感光体が提供される。
すなわち、電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーと、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体が接触することにより、これら電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種が注入されるため、耐摩耗性に優れ、かつ静電特性が安定した感光層が形成される。それにより、長期繰り返し使用しても摩耗による画質劣化が少なく、高画質画像を安定に出力できる。
また、電荷発生物質が含有された状態で硬化反応に必要な高エネルギー(例えば、紫外線等の高エネルギー光)に曝されることがないので変質することがなく、残留電位上昇や感度低下などが防止される。加えて、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に接触されることにより感光層に残存する溶媒が除去されるため、残留溶媒による特性劣化や変動を低減させる効果も得られる。
また、電荷発生物質が最表面層に含有されているため、電荷発生物質によって発生した電荷の移動時における横拡散の影響が少なく、原稿に忠実な画像を形成することができ、それを繰り返し使用しても安定に出力可能である。更に、単層型感光層としたことで、生産性向上、低コスト化が図られ、加えて、超臨界流体及び/または亜臨界流体により製造する方法としたことで、製造効率を向上し、廃棄物質の削減や省資源化により地球環境への負荷低減を可能にした。
本発明の電子写真感光体によれば、従来困難であった機械的耐久性と静電的耐久性の両立を単層型感光体で実現し、これにより高耐久化、小型化、高速化に対応することができ、長期繰り返し使用においても摩耗による画質劣化が少なく、高精細な高画質画像を安定して出力することが可能である。
本発明の画像形成装置によれば、繰り返し画像形成を行っても異常画像発生が少なく、いつでも高画質画像を安定に出力可能である。特に、本発明のタンデム方式の画像形成装置によれば、フルカラーで高精細の画像が出力でき、感光層の膜厚や静電特性の経時変化が少ないため、繰り返し使用しても色再現性に優れる。
本発明のプロセスカートリッジによれば、高安定な画像出力が可能で、しかも取扱いが良好であり、メンテナンス性が向上すると共に、コストダウンにつながる。
前述のように本発明は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生機能と、ホール輸送機能及び/又は電子輸送機能を有する単層の感光層を備えてなる電子写真感光体の製造方法であって、
前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とするものである。
上記単層型感光層を備えてなる感光体とすることにより、高精細画像形成のメリットと感光体の生産性向上や溶剤の使用削減が達成される。単層型感光層の最も大きな課題である耐摩耗性に関しては、前述のように電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化樹脂層(以降、「硬化層」と称することがある)に、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を注入させることによって解決することが可能である。
具体的には、導電性支持体上に、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする樹脂層を形成し、それを十分に硬化反応させて硬化層とし、その後に電荷発生物質や電荷輸送物質等を含む超臨界流体及び/又は亜臨界流体をその硬化層に接触させることによって、3次元的に高密度で硬化した硬化層中に電荷発生物質や電荷輸送物質を注入させて感光層とする方法である。これにより、従来の方法では不可能であった、「予め硬化させて形成した硬化樹脂層中に、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有させる」ことが可能となった。
そして、単層型の感光層を有する感光体構成でありながら、繰り返し使用しても高精細、高画質な画像を安定して出力することが可能で、高耐久な感光体が実現された。また、機械的耐久性及び静電的耐久性の両立に加え、感光体の生産性の改善や生産コストの低減、地球環境への負荷低減をも実現した感光体を製造することが可能となった。以下、詳しく説明する。
本発明における電子写真感光体の製造方法によって製造された感光体の効果としては、一つめに、耐摩耗性が高く、長期繰り返し使用しても摩耗による画質劣化が少なく、高画質画像を安定に出力できることである。前述のように、本発明の感光体は、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と電荷輸送性構造を有する反応性化合物を予め硬化反応させるため、含有される電荷輸送物質による硬化阻害を回避できる。そのため、未反応のモノマーが少なく、耐摩耗性に優れた感光層を得ることができる。また、硬化反応が均一に進むため、部分的に摩耗する偏摩耗も少ない。さらに、耐キズ性にも優れており、繰り返し使用により形成される表面のキズによって生じる画像欠陥も防止することができる。
二つめに、残留電位上昇や感度低下等の静電特性上の副作用を抑制することが可能である。通常、熱や紫外線等の高エネルギー光を照射することによって硬化反応が促進され、三次元網目構造を形成できるため、耐摩耗性の向上に有効な手段である。しかし、上記高エネルギー光を照射すると感光層に含まれる電荷発生物質が劣化あるいは変質し、残留電位上昇や感度劣化等を引き起こす。しかし、本発明の感光体の製造方法は、樹脂層の硬化反応時には電荷発生物質が層中に含有されておらず、硬化反応後の硬化樹脂層に注入されるため、それらの物質に高エネルギー光が照射されることはない。その結果、電荷発生物質の劣化や変質を防止でき、優れた静電特性を安定に維持することが可能である。
また、本発明においては、感光層自体を硬化させるため、表面に保護層を形成する必要がない。このため、感光層と保護層を有する感光体の場合のように、感光層と保護層との界面に電荷がトラップされることがなく、静電特性の高安定化や異常画像の発生防止に優れている。さらに、感光層に残留する溶剤は静電特性に影響を及ぼすが、本発明においては超臨界流体及び/又は亜臨界流体に接触させることによって残留溶剤を除去することが可能であり、静電特性の安定化に対する効果の一つに挙げられる。
三つめに、原稿に忠実な画像を形成することができ、かつ高耐久化との両立が実現できることである。本発明の感光体は電荷発生物質が最表面層に含有されているため、電荷発生物質で発生した電荷が感光体表面に移動する距離が短い。これにより、電荷移動時における電荷の拡散が少なく、文字太りやトナー散り等を防止し、解像度の向上に対し非常に有効である。さらに、耐摩耗性に優れているため、繰り返し使用してもその高画質画像を安定に出力することができる。また、硬化阻害の影響が少ないため、クラックの発生や表面凹凸の少ない安定した硬化膜を形成することができる。これは、耐摩耗性や静電特性への効果だけでなく、感光体上に残存したトナーあるいは付着物のクリーニング性を高める効果があり、クリーニング不良による異常画像の発生を防止することができる。
四つめに、感光体の製造方法において、生産性、低コスト化に優れる点である。電荷発生機能とホール輸送機能と電子輸送機能及び保護機能を感光層一層で実現できたことにより、幾層にも塗り重ね、その都度高温乾燥が必要な積層型の感光体に比べて生産スピードや生産コストは大幅に改善される。また、感光体自体が高耐久化できたことによるコスト低減も見込まれる。さらに、導電性支持体上に硬化層を設け、それに含有させる物質を超臨界流体及び/又は亜臨界流体に含ませておけば、それらを一度に層中に注入させることが可能であるため、製造効率に非常に優れる方法である。
五つめに、地球環境への負荷低減に対する効果が挙げられる。感光層が単層であるため溶剤使用量は大幅に削減でき、電荷発生物質や電荷輸送物質の注入工程においては、超臨界流体や亜臨界流体は常温常圧に戻せば気体であるため溶剤は必要なく、また残留溶媒がほとんどないため、溶剤を蒸発させるための高温乾燥処理も必要ない。また、単層であるため、感光体のリサイクルや資源の再利用に対しても負荷が少ない。更に、感光体の高耐久化が実現できたことにより省資源化が達成され、地球環境への負荷低減に大きく貢献する感光体の製造方法と言える。
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
はじめに、超臨界流体もしくは亜臨界流体について説明する。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体の特徴としては、気体と液体の両方の性質、すなわち高温下にあることによって分子が大きな運動エネルギーを有する気体的性質と、高圧下にあることによって分子同士が集まって安定化する液体的性質を併せ持っていることである。従って、拡散性や浸透性に優れ、かつ物質を溶解する能力が非常に高い特徴を有する。また、溶解性は温度や圧力の調整によって制御することが可能である。
一方、本発明における亜臨界流体とは、超臨界流体には至らない臨界点近傍の温度及び圧力条件において、高密度な液体状態にあることを言う。温度及び圧力のどちらか一方が臨界点を超えた状態も含まれる。本発明では、必ずしも超臨界状態でなくても、電荷発生物質や電荷輸送物質が硬化樹脂層に注入する効果が得られればよく、亜臨界流体でも有効に用いることができる。超臨界流体は前記の通り気体と液体の両方の特性を併せ持ち、硬化樹脂層への接触処理の際には特に高密度な液体に近い状態であることが有効に作用していると考えられる。従って、処理する流体は常温常圧では気体であるが、これが液体状態になった時点で超臨界状態ではなくても効果が得られると言える。
例えば、二酸化炭素の臨界圧力は7.53MPaであり、圧力がそれ以上であれば、臨界温度31℃に満たなくても密度の急激な上昇を示すことが実験で確認できている。この結果から見ると、圧力が7.53MPa以上であり、密度が少なくとも0.7(g/cm3)以上であれば臨界温度に達していなくても亜臨界状態であると判断できる。但し、これは二酸化炭素等の常温常圧において気体の場合に限る。
上記超臨界流体及び/又は亜臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、2 ,3 −ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが挙げられるが、本発明においては臨界温度がより低いものが好ましく、二酸化炭素が特に好ましく用いられる。
本発明においては、臨界温度が30〜40℃と常温に近い超臨界流体が好ましく、中でも臨界温度31℃、臨界圧力7.53MPaの二酸化炭素が最も好ましい。温度や圧力の設定は、用いる材料によって自由に設定することができるが、温度としては20〜150℃、好ましくは30〜100℃で、圧力としては5〜100MPa、好ましくは7〜70MPaが適当である。温度や圧力が低すぎると、二酸化炭素が超臨界流体もしくは亜臨界流体になりにくく、本発明の効果が得られにくい。一方、温度や圧力が高すぎると、硬化樹脂層を溶解したり、分解したりする恐れがある。ただ、本発明における超臨界流体もしくは亜臨界流体の使用は、電荷発生物質や電荷輸送物質を硬化層中へ注入させることが目的であるため、硬化層が溶解してしまう条件は好ましくないが、本発明においては予め硬化されているため、適用条件は比較的広い。用いる材料の物性とその効果を確認しながら温度・圧力条件を設定すればよく、条件を任意に設定可能であることが、本発明の実用性に非常に優れている点である。
また前記の通り、超臨界状態の温度よりわずかに低い温度あるいは超臨界状態の圧力よりわずかに低い圧力の亜臨界流体としても好適に使用することができる。即ち、亜臨界二酸化炭素を始めとする亜臨界流体を硬化樹脂層に接触させても、効果を得ることが可能である。前記超臨界流体として挙げられる各種材料は、前記亜臨界流体としても好適に使用することができる。
前記超臨界流体及び前記亜臨界流体は、一種単独で単体として使用してもよいし、二種以上を併用して混合物として使用してもよい。前記超臨界流体及び前記亜臨界流体に加え、他の流体を併用する場合には、具体的には一酸化炭素、窒素、エタン、プロパン、エチレンなど、前記の超臨界流体もしくは亜臨界流体を併用することができる。
また、前記超臨界流体及び前記亜臨界流体に有機溶媒をエントレーナーとして混合することができる。これにより注入する物質の溶解性を制御することが可能となり、物質の適用範囲を広げることができる。前記エントレーナーとしては、超臨界流体及び/または亜臨界流体に溶解させたい溶質に対して親和性の高い溶媒を選択することが好ましい。一例としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒などが用いられるが、特に制限はない。
超臨界流体もしくは亜臨界流体を用いて電荷発生物質や電荷輸送物質を硬化層へ注入するための装置は、感光体が超臨界流体及び/または亜臨界流体と接触できる構成であれば、いかなる装置であってもよい。具体的には、高圧セルの中に予め硬化させた硬化層が形成された導電性支持体と、硬化層に注入させる電荷発生物質や電荷輸送物質等の物質を入れ、例えば、二酸化炭素等を導入しながら、温度や圧力を上昇させる。これにより、前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体に電荷発生物質や電荷輸送物質が溶解し、これらの電荷発生物質や電荷輸送物質が導電性支持体上に形成された硬化層に注入される。
本発明における予め硬化させた硬化層に、電荷発生物質や電荷輸送物質を含む超臨界流体及び/または亜臨界流体が接触した状態とは、双方が物理的に接触していればよく、硬化層と、電荷発生物質や電荷輸送物質が入った高圧セルの中で、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を作り出せば、両者は自然に接触する。超臨界流体及び/又は亜臨界流体は、前記のように高い溶解性を有する上に硬化層内への拡散性にも優れるため、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に溶解した電荷発生物質や電荷輸送物質は硬化層内へ拡散し注入される。
超臨界流体及び/又は亜臨界流体を閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界流体もしくは亜臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式などの方式があり、いずれも使用可能である。
また、超臨界流体もしくは亜臨界流体を用いて電荷発生物質や電荷輸送物質を注入する以外に、感光層に含有させたい物質、例えば、酸化防止剤、光安定剤、分散助剤、滑剤等の物質を高圧セル中に一緒に入れておくことによって、これらの物質を感光層へ含ませることも可能であり、有効である。
以下に、感光体について、図面に基づいて製造方法も含めて説明する。
図1は、本発明における電子写真感光体の一例を示す概略断面図であり、導電性支持体(1)上に感光層(2)が形成された感光体である。
図2は、図1の導電性支持体と感光層との間に下引き層〔あるいは中間層〕(3)を形成した電子写真感光体の別例を示す概略断面図である。
図1、図2の感光層(2)は、導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化反応させた硬化層に、電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させることにより形成されるものである。
上記電子写真感光体の構成層について以下説明する。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他に、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を塗工したものも、導電性支持体として用いることができる。
導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
本発明においては、これらの中でもアルミニウムからなる円筒状の導電性支持体が最も好適に用いられる。アルミニウムは、純アルミニウムあるいはアルミニウム合金のいずれも含まれる。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が適している。
また、アルミニウムの素管上に陽極酸化皮膜処理を行ったものも使用することができ、特に有効である。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと称される皮膜が非常に適している。これにより、残留電位上昇に大きな影響を与えずに、反転現像の際に発生する画像欠陥(地汚れ)を防止する効果を有する。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm2、電界電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定されない。
このように作製される陽極酸化皮膜は多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況にある。このため、作製後に陽極酸化皮膜の物性値が変化する等の経時変化が起こりうる。これを回避するため、陽極酸化皮膜をさらに封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法等がある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。
封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した過剰な金属塩等を除去することが主な目的である。これが、支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残存してしまうため、地汚れの発生を促進することになる。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、多段階の洗浄を行う方が好ましい。この際、最終の洗浄液は可能な限り脱イオン化されたものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的な接触洗浄を施すことが好ましい。
以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が適している。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位上昇や光応答性が低下する恐れがある。
<感光層について>
前述のように、本発明の感光層は単層型の感光層である。電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させた硬化層に、電荷発生物質、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して注入させる製造方法により形成される。以降、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物は、硬化反応させるための官能基を有しており、それによって硬化樹脂膜が形成されることから、硬化前の反応性化合物がモノマーやオリゴマーあっても、それらを総称して硬化性バインダー樹脂と表現する場合がある。以下に、前記感光層について説明する。
〈硬化樹脂層について〉
感光層を形成する際、はじめに導電性支持体上に少なくとも電荷輸送性構造を有さない反応性化合物、すなわち、反応性モノマーあるいはオリゴマー等と電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする層を形成し、これを十分に硬化反応させて硬化層を形成する。ここで、硬化とは、一般に複数の官能基を有する低分子化合物の分子間反応や高分子化合物が、熱、光、電子線等のエネルギーを与えることによって分子間で結合(例えば、共有結合)し、三次元網目構造を形成する反応である。
硬化性バインダー樹脂としては、熱によって重合する熱硬化性樹脂、紫外線や可視光線等の光によって重合する光硬化性樹脂、電子性によって重合する電子線硬化性樹脂等があり、必要に応じて硬化剤や触媒、重合開始剤等と組み合わせて用いられる。
上記電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化させるには、反応性化合物(例えば、モノマーやオリゴマー等)中に重合反応を起こす官能基を有していることが必要である。それらの官能基は、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有する基、シラノール基、環状エーテル基等の開環重合を起こす基、あるいは2種以上の分子の反応によるものが挙げられる。また、硬化反応において、反応性モノマーの1分子に有する官能基数は、より多い方が3次元網目構造はより強固になり、3官能以上で特に有効である。これにより、硬化密度が高まり、高硬度で高弾性、かつ均一で平滑性も向上し、感光体の高耐久化や高画質化に有効となる。
本発明における硬化層は、電荷輸送構造を有さない反応性化合物と電荷輸送性構造を有する反応性化合物が硬化した層であればよく、従来公知の材料を使用することができ、材料及び手段によらず高い効果を得ることができる。
上記電荷輸送構造を有さない反応性モノマーやオリゴマーからなる硬化性バインダー樹脂の一例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、特にウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シロキサン、エポキシ樹脂樹脂等が好適に用いられる。なお、これらの硬化性バインダー樹脂は3次元網目構造が形成され、有機溶剤に不溶な状態であることが特徴である。従って、本発明において硬化性バインダー樹脂が硬化した状態とは、例えば、アルコール系有機溶剤を付着させても膜が溶解しない状態であれば硬化したものと判断できる。
本発明においては、前記のように導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーやオリゴマー等と電荷輸送性構造を有する反応性化合物とを硬化反応させ、3次元的に発達した網目構造を形成する。この場合、硬化剤や触媒、重合開始剤等を予め混合することで、硬化度をさらに高めることが可能であり、本発明においては特に有効である。これにより、硬化層の耐摩耗性が一段と向上し、さらに未反応官能基も残存しにくくなるため、耐摩耗性の向上や静電特性劣化の抑制に有効である。また、反応が均一であるためにクラックや歪みが生じにくくなり、クリーニング性が改善できる等、感光体の高耐久化、高画質化に対して高い効果を得ることができる。
一方、電荷輸送性構造を有する反応性化合物は、電荷輸送性を示す構造が含まれ、かつ上記電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と反応するための官能基を有するものであればよく、従来公知の材料を使用することができる。電荷輸送性構造とは電荷輸送物質に含まれる構造であり、それによって電荷輸送性を発現する構造をいう。電荷輸送性構造とは主にホールを輸送する構造と電子を輸送する構造に大別されるが、本発明においてはそのどちらも含まれる。
電荷輸送性構造、すなわちホール輸送性構造あるいは電子輸送性構造が化合物中に一つであっても、あるいは複数であってもよく、複数の方が電荷輸送性に優れるためより好ましい。また、電荷輸送性構造を有する反応性化合物の分子中に、ホール輸送性構造と電子輸送性構造が共に含まれたバイポーラー性を有するものであってもよく有効である。
電荷輸送性構造のうち、ホール輸送性構造の一例としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、スチルベン、α−フェニルスチルベン、ベンジジン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、9−スチリルアントラセン、ピラゾリン、ジビニルベンゼン、ヒドラゾン、インデン、ブタジェン、ピレン、ビススチルベン、エナミン等の一般に電子供与性を示す構造が挙げられる。
一方、電子輸送性構造の一例としては、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、縮合多環キノン、ジフェノキノン、ベンゾキノン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、シアノ基やニトロ基を有する芳香族環等、一般に電子受容性を示す構造が挙げられる。
次に、硬化性バインダー樹脂としてアクリル樹脂を例に挙げて説明する。
アクリル樹脂は耐摩耗性に優れ、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を介して電荷発生物質や電荷輸送物質の注入性に優れるため好ましい。アクリル樹脂を硬化させるためには、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性官能基を有するモノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が用いられる。ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば、適宜選択して使用することができる。例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基、などが挙げられる。
前記1−置換エチレン官能基の一例を以下に記載する。
(a)1−置換エチレン官能基:
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(1)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0004945348
[ただし、式(1)中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。]
上記一般式(1)で表される官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
次に、前記1,1−置換エチレン官能基の一例を以下に記載する。
(b)1,1−置換エチレン官能基:
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(2)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0004945348
[ただし、式(2)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記一般式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。]
上記の官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
前記X1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーもしくはオリゴマーの官能基数はより多官能の方が好ましく、3官能以上がより好ましい。3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した場合、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐キズ性が達成される。しかし、硬化条件や用いる材料によっては硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため、体積収縮による内部応力が発生し、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる場合がある。その場合には1官能あるいは2官能のラジカル重合性モノマーを用いたり、あるいはそれらを混合して用いたりすることで改善できる場合がある。以下、耐摩耗性の向上に有効な3官能以上の電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーについて説明する。
3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以降、EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以降、PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以降、ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用してもよい。
また、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、感光層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、感光層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用するのが困難になることがある。
また、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、感光層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性構造を有する反応性化合物の含有量が低下し、静電特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される静電特性や耐摩耗性が異なるが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
次に、電荷輸送性構造を有する反応性化合物の一つである、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物について説明する。
本発明における電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えば前述のトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等のホール輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造のいずれか、もしくは両方を有しており、かつラジカル重合性官能基を有する化合物である。
このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の官能基数は、1官能が最も好ましい。これにより静電特性が改善され、また繰り返し使用における安定性も向上できる。2官能以上の場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが大きくなり、層の内部応力が高まる原因となる。また、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が発生しやすくなる。
これらの電荷輸送性構造としては、トリアリールアミン構造が高い効果を有し、本発明において有効に用いられる。中でも下記一般式(3)又は(4)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の静電特性が良好に持続され、有効である。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
[式(3)、(4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。m、nは0〜3の整数を表す。]
以下に、上記一般式(1)、(2)で表されるものの具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。Rの置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は、例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
〔2〕アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基(−OR)であり、Rは〔2〕で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕下記の一般式(5)で表される基が挙げられる。
Figure 0004945348
[式(5)中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記〔2〕で定義したアルキル基、又はアリール基を表す。アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい。]
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕:メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
〔8〕:置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(3)、(4)において、Ar1、Ar2で表される置換または未置換のアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記一般式(3)において、Xは前述のように、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
前記置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表し、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
前記ビニレン基としては、下記一般式(6)又は一般式(7)で示される基等が挙げられる。
Figure 0004945348
[一般式(6)、(7)中、R5は水素、アルキル基(前記〔2〕で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で定義されるアリール基と同じ)を表し、aは1または2を、bは1〜3の整数を表す。]
前記Zは 置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(8)で示される構造の化合物が挙げられる。
Figure 0004945348
[一般式(8)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表す。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、あるいは下記式(a)、(b)、(c)で示される2価基を表す。]
Figure 0004945348
上記一般式(8)で表される化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(3)及び(4)特に(8)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下のNo.1〜No.160の構造式に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
Figure 0004945348
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Figure 0004945348
Figure 0004945348
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また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、電荷輸送性能を付与するために重要であり、この成分は感光層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しないモノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される静電特性や耐摩耗性が異なるが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の硬化層は、少なくとも電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものを用いることができ、前者は3官能以上が、後者は1官能が好ましいが、前者に関しては塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
また、必要に応じて硬化反応を効率よく進行させるために硬化樹脂層を形成する塗工液中に、熱重合開始剤、光重合開始剤等の重合開始剤を含有させてもよい。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン、等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、等のアゾ系開始剤が挙げられる。
一方、前記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、等のチオキサントン系光重合開始剤、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、等のその他の光重合開始剤が挙げられる。
また、光重合促進効果を有する物質を使用することもできる。前記光重合促進効果を有する物質としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、前記光重合開始剤と組み合わせて使用してもよい。前記重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。前記重合開始剤の含有量としては、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部であるのが好ましく、1〜20重量部であるのがより好ましい。
次に、硬化性バインダー樹脂としてウレタン樹脂の一種を例に挙げて説明する。
ウレタン樹脂は、高い耐摩耗性が得られ、かつ静電特性も良好であり、膜質も優れており、感光体の高耐久化と高画質化に対し有効である。ウレタン樹脂は、一例として活性水素成分であるポリオールと、硬化剤である多価イソシアネートとを組み合わせることによって形成できる。
ポリオールとしては、ポリアルキレノオキシド等のポリエーテルポリオール、末端に水酸基を有する脂肪族ポリエステル等のポリエステルポリオール、ヒドロキシメタアクリレート共重合体等のアクリル系ポリマーポリオール、エポキシ樹脂等のエポキシポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリカーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール等公知のものが例示できる。
また、ヒンダードアミン骨格を有するポリオールにより、硬化樹脂の劣化の防止や感光体の解像度低下を抑制する技術が開示されており(特許第3818584号公報)、本発明においても良好に使用できる。ヒンダードアミンは光安定剤や酸化防止剤として知られているが、この構造を有するポリオールを硬化させることにより、硬化樹脂にヒンダードアミン構造を導入することができ、これにより安定化効果を得ることができる。また、これらは2種以上のポリオールを混合して用いることができ、有効である。ヒンダードアミン構造の例を下記構造式(HA)に示す。
Figure 0004945348
上記ポリオールは2官能以上、好ましくは3官能以上であることにより、硬化密度が向上し、3次元網目構造がより強固になり、その結果硬化性が高まり、膜強度が大きくなるため好ましい。ポリオールの分子量としては、100〜150のものが広く用いられている。しかし、硬化条件によっては体積収縮が大きくなり、膜質が低下する恐れがある。この場合、硬化時の体積収縮を緩和するために、分子量が1000以上のポリオールを別途含有させて硬化させる方法が開示されており(特許第3818585号公報等)、本発明においても良好に適用できる。
一方、硬化剤の多価イソシアネートとしては、一般的なイソシアネート材料が用いられることが可能である。しかし、感光層として用いられるために、経時により膜が変色しないものが好ましい。一例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等のイソシアネート化合物、HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−イソシアネート体、HDI−ビウレット体、XDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−イソシアヌレート体等のポリイソシアネート等公知のものが例示できる。
本発明に使用するアミド結合を有するイソシアネートとしてはHDI−トリメチロールプロパンアダクト体、IPDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−ビウレット体等公知のものが例示でき、単独もしくは混合して使用することができる。イソシアネートのNCO基数とポリオールのOH基数の比(NCO/OH比)は、1.0〜1.5程度が望ましい。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びポリオールやイソシアネート等と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。また、硬化反応するための官能基としては水酸基が一般的である。以下にトリフェニルアミン構造を有する反応性化合物の一例を示す。
Figure 0004945348
次に、硬化性バインダー樹脂として硬化性シロキサン樹脂を例に挙げて簡単に説明する。
硬化性シロキサン樹脂もまた耐摩耗性に優れ、超臨界流体及び/又は亜臨界流体によって電荷発生物質や電荷輸送物質の注入性に優れることから有効に使用できる。
硬化性シロキサン樹脂とは予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを反応させて(加水分解反応、触媒や架橋剤を加えた反応等を含む)3次元網目構造を形成し、硬化しうる樹脂である。一般的には、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させて3次元網目構造とし、シロキサン樹脂からなる硬化樹脂層を形成する。例えば、アルコキシシランからなる組成物、又はアルコキシシランとコロイダルシリカからなる組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成して硬化層とする。
上記の硬化性シロキサン樹脂の原料としては、水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が一般に用いられる。
水酸基あるいは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物における加水分解性基とは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。中でも好ましくは、−ORで表される加水分解性基がよく、Rがアルコキシ基を形成する原子団であり、炭素数が1〜6であることが好ましい。
硬化性シロキサン樹脂の原料として用いられる有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数によって反応性が異なる。加水分解性基の数が1の場合、架橋密度が小さく硬化が不十分となり、有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制されるが、2、3又は4のときは高分子化反応が起こりやすく、特に3ないしは4で高度に架橋反応を進めることが可能である。ただ、それだけでは硬度は十分でも膜は脆くなる場合がある。そのため、加水分解性基の少ない成分と多い成分を混合して用いることが好ましい。また、上記シロキサン系樹脂の原料としては上記有機ケイ素化合物を酸性条件下又は塩基性条件下で加水分解してオリゴマー化した加水分解縮合物を用いることもできる。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びシロキサン樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルコキシシリル基が一般的に用いられる。
次に、硬化性バインダー樹脂としてフェノール樹脂(硬化性フェノール樹脂)についても簡単に説明する。硬化性フェノール樹脂は、一般的にフェノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹脂である。フェノール樹脂には2つのタイプがあり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾール型と、ホルムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で反応させて得られるノボラック型に分けられる。
レゾール型は、アルコール類およびケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、ノボラック型は、一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
本発明におけるフェノール樹脂は、上記のレゾール型、及びノボラック型のどちらでも利用可能であるが、硬化剤を加えることなく硬化することや、一液性であり塗料としての操作性などからレゾール型を用いることが好ましい。 レゾール型は、アルコール類やケトン類の溶剤に可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化される。また、これらのフェノール樹脂を1種類または2種類以上混合して用いることができ、またレゾール型とノボラック型を混合して用いることも可能である。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びフェノール樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基等が一般的に用いられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、含ブロムエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアシル系樹脂および複素環式エポキシ樹脂等が知られており、本発明においてはこれらの公知のエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば酸無水物(無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルメジック酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸)、アシル系硬化剤(脂肪族アミン、芳香族第一アミン、第三アミン系硬化剤、変性ポリアミン)、ジシアンジアミドおよび有機酸ジヒドラジド等種々の物を使用することができる。
電荷輸送性構造を有する反応性化合物としては、同一構造中に前述した電荷輸送性構造及びフェノール樹脂と硬化反応するための官能基を有するものであれば従来公知の材料を使用できる。電荷輸送性構造は前述のとおりホール輸送性あるいは電子輸送性のいずれか、もしくは両方を含んでもよいが、中でもトリアリールアミン構造を有する化合物が特に有効である。硬化反応するための官能基としては、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
上記のように、感光体の感光層に硬化性バインダー樹脂を用いる例としては多数挙げられるがこれらに限らず、本発明では従来公知の硬化性樹脂をいずれも良好に使用することが可能であり有効である。但し、本発明はこれらの硬化性バインダー樹脂を主成分とする樹脂膜を形成し、十分に硬化させた後で、この硬化層に、電荷発生物質や電荷輸送物質を注入して作製するものであり、これら電荷発生物質や電荷輸送物質を樹脂膜中に含有した状態で硬化反応させる従来公知の技術とは大きく異なっている。
<電荷発生物質について>
超臨界流体及び/または亜臨界流体に電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有させ、これを前述の硬化樹脂層に接触させることによって、電荷発生物質及び電荷輸送物質を硬化樹脂層中に注入させるが、これらの電荷発生物質及び電荷輸送物質について、以下説明する。
本発明に用いられる電荷発生物質は、従来公知の材料を用いることが可能である。
例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料(一例として特開昭54−22834号公報、特開昭61−151659号公報等)、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料(一例として特開昭48−34189号公報、特開昭57−14874号公報等)、その他ペリレン系顔料(一例として特開昭53−98825号公報、特開昭63−266457号公報)、ペリノン系顔料、キノン系縮合多環化合物(一例として特開昭61−48861号公報)、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、スクエアリウム顔料(一例として特開昭49−105536号公報、特開昭58−21416号公報)、シアニン及びアゾメチン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等が挙げられる。また、アゾ顔料の中でも、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報)等も好適に用いられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
これらの電荷発生物質の中でもアゾ顔料系化合物やフタロシアニン顔料系化合物が適している。但し、フタロシアニン顔料の場合はその種類によっては、あるいはその処理条件によっては、超臨界流体及び/または亜臨界流体に含有させた場合に、結晶型が不安定になる恐れがある。この場合は超臨界流体及び/または亜臨界流体の温度・圧力条件を調整することでその影響を低減できるが、アゾ顔料系化合物の方が安定に用いることができるため、より好ましく用いられる。
また、本発明においては、これらの電荷発生物質を予め超臨界流体及び/または亜臨界流体に接触させて得られたものを用いることがより好ましい。この方法によって電荷発生物質に含まれる不純物が除去され、より高い純度の電荷発生物質を層中へ含有させることができる。超臨界流体及び/または亜臨界流体による電荷発生物質の洗浄及び精製方法としては、従来公知の方法を用いることができる(例えば、特開平7−181694号公報、特開2001−92165号公報、特開2002−138216号公報、特開2002−356627号公報等)。
<電荷輸送物質について>
電荷輸送物質は、ホールを輸送するホール輸送物質と電子を輸送する電子輸送物質とに大別され、単層型感光層はその両方の機能が求められる。但し、前述したように本発明の硬化層は、前記電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーやオリゴマー等の硬化性バインダー樹脂と電荷輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化されたものであるため、既に電荷輸送機能が備わっている。
従って、それとは逆極性の電荷を輸送させる物質を注入すればよい。例えば、硬化性バインダー樹脂とホール輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化樹脂層であれば、超臨界流体及び/または亜臨界流体によって電荷発生物質と電子輸送物質を注入すればいいし、硬化性バインダー樹脂と電子輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化層であれば、超臨界流体及び/または亜臨界流体によって電荷発生物質とホール輸送物質を注入すればよい。但し、例えば、硬化性バインダー樹脂とホール輸送性構造を有する反応性化合物とによって硬化された硬化層であっても、ホール輸送機能を補うために電子輸送物質とともにホール輸送物質を注入することも可能であり、静電特性上有効となる場合がある。
超臨界流体及び/または亜臨界流体によって硬化層に注入される電子輸送物質について説明する。電子輸送物質としては、電子受容性を示す物質が用いられ、従来公知の材料をすべて適用することが可能である。例えば、クロルアニル誘導体、ブロムアニル誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン誘導体、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン等のキサントン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、アゾキノン誘導体、モノキノン誘導体、ジナフチルキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、アントラキノン誘導体、フェナントラキノン誘導体、カルボン酸ジイミド誘導体、チオピラン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上混合して用いられる。
これらの電子輸送物質の中でも、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体(一例として米国特許第4442193号公報、米国特許第5468583号公報、特許番号第3292461号公報、特許番号第3373783号公報等)は、電子輸送性に優れているだけでなく、超臨界流体及び/または亜臨界流体に含有させて硬化層へ注入する場合の注入性に優れていることから、特に有効に用いられる。本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、電子輸送物質に少なくとも下記一般式(10)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む化合物である。
Figure 0004945348
(式中、R53〜R56はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表す。)
上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体において、本発明で有効に使用できる電子輸送物質のより具体的な一般式は、下記一般式(11)で示される。
Figure 0004945348
[式中、R57〜R60はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、Aは水素原子、分岐鎖アルキル基、無置換直鎖アルキル基、無置換環状アルキル基、アルキル置換環状アルキル基、無置換直鎖不飽和アルキル基、炭素数2〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Bは水素原子、分岐鎖アルキル基、無置換直鎖アルキル基、無置換環状アルキル基、アルキル置換環状アルキル基、無置換直鎖不飽和アルキル基、炭素数2〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアリール基、または、下記一般式(12)で示される基:
Figure 0004945348
(式中、R61〜R64は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、Cは水素原子、分岐鎖アルキル基、無置換直鎖アルキル基、無置換環状アルキル基、アルキル置換環状アルキル基、無置換直鎖不飽和アルキル基、炭素数2〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)を示す。]
本発明において、特に有効に用いられる電子輸送物質(ETM)の具体例を下記表1、表2に記載する。但し、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。なお、これらの電子輸送物質は従来公知の合成法によって合成でき、例えば、特開2007−108632号公報や特開2007−108719号公報を参照できる。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
続いて、超臨界流体及び/または亜臨界流体によって必要に応じて硬化樹脂層に注入されるホール輸送物質について説明する。
ホール輸送物質としては、電子供与性を示す物質が用いられ、従来公知の材料をすべて適用することが可能である。例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらのホール輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
これらの中でもトリアリールアミン誘導体、特にトリフェニルアミン誘導体は、静電特性の高安定化に有効なだけでなく、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に含有させて硬化層へ注入する場合の注入性に優れていることから、特に有効に用いられる。
本発明におけるトリフェニルアミン誘導体は、ホール輸送物質に少なくとも下記一般式(13)に示されるトリフェニルアミン構造を含む化合物である。
Figure 0004945348
(式中、R1〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
上記トリフェニルアミン誘導体において、本発明で有効に使用できるホール輸送物質のより具体的な一般式は、下記一般式(14)で示される。
Figure 0004945348
[式中、mは0、1もしくは2のいずれかを表し、R13〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、Ar1は置換もしくは無置換のアリール基、または下記一般式(15)、または下記一般式(16)を表す。]
Figure 0004945348
(式中、R27〜R38はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
Figure 0004945348
(式中、nは0、1もしくは2のいずれかを表し、R39〜R52はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
本発明において、特に有効に用いられるホール輸送物質(HTM)の具体例を下記表3、表4に記載する。但し、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
<添加剤について>
本発明の感光体は、感光層に電荷発生物質や電荷輸送物質以外の物質を含有させることも可能であり、静電特性の安定化に対して有効である。これらの添加剤の一例としては、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤や金属酸化物等の無機微粒子、フッ素樹脂もしくはシリコーン樹脂等の有機微粒子等の各種フィラーや抵抗制御剤等が挙げられ、これに限定されるものではない。
上記添加剤は電荷発生物質や電荷輸送物質と一緒に超臨界流体及び/または亜臨界流体に含有させ硬化樹脂層に接触させれば、電荷発生物質や電荷輸送物質とともに硬化樹脂層の中へ注入される。硬化させた層に後から添加剤を含有させることが可能であるため、前記樹脂膜を硬化させる時に硬化阻害を引き起こすこともなく、塗工時において有機溶剤との溶解性や相溶性等に制限されることがないため、非常に有効である。但し、超臨界流体及び/または亜臨界流体への溶解度が極度に低い材料や分子構造等のサイズが非常に大きい材料は、硬化樹脂層の中へ注入させることは難しく、適さない場合もある。
以下に、これらの添加剤の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
酸化防止剤は、主に帯電によって発生するオゾンガスやNOxガスによって起こる帯電低下の影響を抑制する目的等で使用される。一例として下記のものが挙げられる。
(a)フェノール系化合物:
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類:
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類:
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類:
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(e)有機燐化合物類:
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
可塑剤は、感光層のガス透過性を制御したり、膜質の改善等を主目的として用いられる。一例として下記のものが挙げられる。
(a)リン酸エステル系可塑剤:
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤:
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤:
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤:
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体:
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤:
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤:
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤:
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤:
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤:
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体:
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体:
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他:
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
滑剤は感光層表面の滑り性を高めて、異物付着を防止したり、トナーの転写性を高めたり、あるいはブレード鳴きやめくれを防止することを主目的として用いられる。一例として下記のものが挙げられる。
(a)炭化水素系化合物:
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物:
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物:
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物:
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物:
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん:
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス:
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他:
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
紫外線吸収剤や光安定剤は、感光層に照射される光の影響を緩和し、静電特性の劣化を防止することを主目的として用いられる。一例として下記のものが挙げられる。
(a)ベンゾフェノン系:
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系:
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系:
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系:
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系):
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン):
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
<下引き層について>
本発明の感光体は、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができ、有効である。前記のように導電性支持体上に陽極酸化処理を施していない場合、下引き層の形成は特に有効である。
下引き層は結着樹脂(バインダー樹脂)を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層が積層されることを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する架橋型樹脂等が挙げられ、特に熱硬化樹脂が好ましい。これらの中でもアルコール可溶性樹脂が、基板からの電荷注入の抑制に優れており、かつ残留電位に及ぼす影響が少ないため好適に用いられる。中でもメトキシメチル化ナイロンは静電特性の環境依存性が少なく、良好に用いられる。下引き層をこれらの樹脂のみで構成する場合には、電荷を輸送させる機能を有していないため膜厚を薄くする必要がある。好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下であり、これにより帯電低下や地汚れを抑制でき、残留電位に及ぼす影響は小さくできる。
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物等のフィラーを加えることも可能であり、有効である。これらの中でも残留電位の低減、モアレ防止、接着性向上に有効な酸化スズや酸化インジウム等が好適に用いられる。また、これらのフィラーは、表面処理を行なうこともでき、有効に用いられる。また、下引き層には、感光層に含有された電荷輸送物質を添加することも可能であり、静電特性上良好に作用する場合もある。フィラーを混合させた下引き層の膜厚は、含有させるフィラーにもよるが、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前述の樹脂のみによる下引き層とフィラーを混合させた下引き層を2層積層させて用いることも可能であり、有効である。
上記下引き層を形成するための塗工液は、金属酸化物と結着樹脂(バインダー樹脂)とを溶剤とともに分散することで得ることができる。分散方法としては、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、超音波、ペイントシェイカー等、従来公知の方法をすべて使用することができるが、中でもボールミルが好適である。用いる溶剤としては、一般的な有機溶剤をすべて使用することができるが、一例としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられ、中でもケトン系溶剤であるアセトンやメチルエチルケトンを含むことが好ましい。
上記塗工液を用いて下引き層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。下引き層は単層であっても2層以上積層してもよいが、生産性やコストの面から単層であることが好ましい。下引き層を塗工した後は、オーブン等で加熱乾燥される。下引き層の乾燥温度は、下引き層の塗工液に含有される溶剤や熱硬化樹脂の種類によって異なるが、80〜180℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
<電子写真感光体の製造方法について>
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性基体上に電荷輸送性構造を有さない反応性化合物(反応性モノマーあるいはオリゴマー等)と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする樹脂膜の形成工程と、そのようにして形成された樹脂膜を硬化反応させて硬化樹脂層とする硬化工程と、該硬化層に電荷発生物質、必要に応じてホール輸送物質及び/または電子輸送物質、添加剤等を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程と、により形成されることを特徴とする。
すなわち、導電性支持体上に(必要により下引き層を設け、その上に)、電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする塗工液を用いて塗工、形成し、形成された膜を硬化反応させて3次元網目構造からなる硬化樹脂層を形成し、その後に電荷発生物質や電荷輸送物質等を含有する超臨界流体及び/または亜臨界流体と接触させ注入する手順となる。
導電性支持体上に電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする層を塗工する方法は、従来公知の方法を用いることが可能である。例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等が挙げられ、特に浸漬塗工法やスプレーコートがより好ましい。
電荷輸送性構造を有さない反応性モノマーもしくはオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する反応性化合物を主成分とする層を形成するための塗工液は、硬化反応に必要な前記反応性モノマーや硬化剤、必要に応じて触媒、重合開始剤、レベリング剤等の添加剤、及び有機溶剤によって構成される。
有機溶剤は、材料の溶解性や塗工液の粘度、固形分に併せて適宜選択することができ、一般に用いられる溶剤が挙げられる。一例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系、などが挙げられ、単独でもこれらを二種以上混合してもよい。
また、硬化させた時に脆くなったり、架橋密度が高すぎて膜質の低下を引き起こしたりする場合があるため、必要に応じて熱可塑性樹脂を予め混合して塗工液を調製し、塗工に供することも可能である。熱可塑性樹脂を過剰に入れると硬化阻害を起こすため好ましくないが、適量であれば有効となる場合がある。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられる。
塗工により形成した樹脂膜に対して、外部からエネルギーを与えて十分に硬化させるが、このような外部エネルギーとしては、熱、光、放射線等等が挙げられる。
熱のエネルギーを付与する方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い、塗工表面側又は支持体側から加熱する方法が挙げられる。熱硬化の場合、使用する溶剤や触媒の有無等によって異なるが、加熱温度としては80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上160℃以下がより好ましい。低温すぎると反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがある。また高温すぎると、硬化反応が不均一に進行したり、層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。前記硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も好ましい。
光のエネルギーとしては、例えば、紫外光領域に発光波長をもつ高圧水銀灯、メタルハライドランプ等のUV照射光源が挙げられるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量としては、50〜1000mW/cm2が適当である。50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要することがある。
一方、1000mW/cm2以上の強い照射光を用いることで重合反応の進行速度が大幅に速くなり、より均一な硬化層を形成することが可能となるが、反応の進行が不均一となり、局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる場合もある。ドラム温度は50℃を越えないように制御するのがより好ましい。
放射線のエネルギーとしては、電子線又はγ線を用いるものが挙げられる。
電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。
放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。また、短時間でかつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。ただし、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行し難い場合があり、その際には影響のない範囲内での重合開始剤の添加は可能である。 電子線を照射する場合の照射条件としては、加速電圧は250KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また電子線の吸収線量は1×103〜1×106Gyであることが好ましく、更には5×103〜5×105Gyが好ましい。吸収線量が1×103Gyに満たないと表面層を十分に硬化し難くなり、1×106Gyを超えると感度や残留電位の特性が悪化し易くなり注意が必要である。
上記硬化樹脂層、すなわち感光層の膜厚は、5〜35μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。本発明の感光体は単層の感光層を有しているため、膜厚が厚くても画質に及ぼす影響は少ないが、硬化反応の均一性には多少の影響があると予想される。また、膜厚が必要以上に厚くなると膜剥がれを起こす懸念もある。一方、膜厚が薄すぎると帯電低下や感度低下を引き起こす場合がある。
<画像形成装置について>
次に図面を用いて、本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図3は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図3において、感光体(21)は、図1乃至図2に記載された構成の感光体である。
感光体(21)は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。感光体(21)は、帯電部材(23)による帯電工程、露光手段(24)による露光工程、現像手段(25)による現像工程、転写手段(29)による転写工程、クリーニング手段(33)(34)によるクリーニング工程、除電ランプ(22)による除電工程等を経て転写紙(28)等に画像が形成される。その他、必要に応じて転写前チャージャー(26)、分離チャージャー(30)、分離爪(31)、クリーニング前チャージャー(32)等が備えられる。但し、本発明はこれに限定されず、公知の手段がすべて使用可能である。
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラあるいはブラシ等による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、本発明による耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラの汚染を軽減させる必要があった。
そこで、図4のごとく帯電ローラ(23)を感光体(21)に対してギャップを介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電ローラ(23)に付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能であり、本発明においても有効に用いることが可能である。この場合、感光体(21)と帯電ローラ(23)とのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電ローラ(23)を非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体(21)の帯電が不安定になる場合がある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電チャージャー(23)の汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体(21)と組み合わせて使用することにより、さらなる高耐久化及び高画質化が実現される。
図3に示す画像露光部(24)、除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図3に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図3に示されるように転写チャージャー(29)と分離チャージャー(30)を併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化あるいは高画質化においてより好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、有効かつ有用である。
現像ユニット(25)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(28)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(33)あるいはブレード(34)により、感光体より除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、ブレードと併用して行なわれたりすることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されたりすると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のために顔料を含有させた層を最表面に形成された感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
また、本発明の感光体は、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行なう、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図5は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図5において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、これは本発明の感光体である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図5に示す構成のカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
なお、図5の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図5において帯電部材は感光体と当接しているが、図4に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、保護層を形成することによって高い耐摩耗性を有することから小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。
ここで、上記プロセスカートリッジは、感光体〔ドラム〕(101)を内蔵し、帯電手段〔接触帯電装置〕(102)、露光手段〔像露光〕(103)、現像手段〔現像装置〕(104)、クリーニング手段〔クリーニングユニット〕(107)を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。図中、105は記録媒体〔転写体〕、106は転写手段〔接触転写装置〕である。感光体〔ドラム〕(101)は、図1又は図2に示される感光体である。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明に用いた電荷輸送性構造を有する化合物の合成例について示す。本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば、特許第3164426号公報記載の方法により合成される。下記にこの一例を示す。
<電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の合成:
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物[下記構造式(A)]113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。
上記により、下記構造式(B)で示されるヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。得られた化合物の融点は64.0〜66.0℃であり、元素分析結果は下記表5に示すように計算値と良く一致した。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
Figure 0004945348
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(前記例示化合物No.54):
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物[構造式(B)]82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にしてトリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。得られた化合物の融点は117.5〜119.0℃であり、元素分析結果は下記表6に示すように計算値と良く一致した。
Figure 0004945348
(実施例1)
外径が30mmのアルミニウム製素管上に下記組成の下引き層用塗工液を用いて塗布後、130℃10分加熱乾燥を行い、約0.5μmの下引き層を形成した。
[下引き層用塗工液]
・N−メトキシメチル化ナイロン:FR101K(鉛市社製)
・溶剤:メタノール/n−ブタノール
〈混合条件(部)〉
N−メトキシメチル化ナイロン/メタノール/n−ブタノール=5/70/30
上記下引き層の上に下記組成の硬化樹脂層用塗工液を用いて塗布後、150℃40分の加熱条件で硬化を行い、約18μmの硬化樹脂層を形成した。
[硬化樹脂層用塗工液]
・イソシアネート:スミジュールHT(HDIアダクト)(住化バイエルン社製)
・ポリオール1:下記構造式(C)
Figure 0004945348

・ポリオール2:LZR170(藤倉化成社製)
・電荷輸送性構造を有する反応性化合物:下記構造式(D)
Figure 0004945348

・溶剤:テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン
〈混合条件(部)〉
イソシアネート/ポリオール1/ポリオール2/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/2/8/10/100/30
<超臨界流体による注入処理>
次に、上記硬化樹脂層を形成したアルミニウム製素管、下記構造式(E)で示される電荷発生物質0.1部、前記ETM7で示される電子輸送物質1.5部、下記構造式(F)で示される酸化防止剤0.01部を図7に示す耐圧反応セルに入れ、すべてのバルブを閉じた。その後、バルブ1(V1)及びバルブ3(V3)を開け、背圧弁で圧力を制御しながら、二酸化炭素を供給ボンベより耐圧反応セルに供給し、加圧ポンプ1と温調ジャケットによる温度調整器により、耐圧反応セル内を拡販しながら、約20分かけて温度、圧力を85℃、30MPaに調整し、温度、圧力が安定した後、そのまま2時間保持した。その後、耐圧反応セル内の温度、圧力を温調ジャケットと背圧弁を制御しながら、25℃、大気圧になるまで、約20分かけて徐々に降温、減圧を行い、本発明の電子写真感光体を作製した。なお、図中の符号(V1)〜(V3)はバルブ1〜バルブ3を表し、(T)は温度センサ、(P)は圧力センサを示す。
Figure 0004945348
Figure 0004945348
(実施例2)
実施例1において、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を下記構造式(G)の化合物に変更した以外はすべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
Figure 0004945348
(実施例3)
実施例1において、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を下記構造式(H)の化合物に変更した以外はすべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
Figure 0004945348
(実施例4)
実施例1において、電子輸送物質をETM4に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
実施例1において、電荷発生物質をX型無金属フタロシアニンに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
実施例1において、超臨界流体による注入処理の際にHTM4を0.3部添加した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1において、硬化樹脂層用塗工液を下記組成に変更して塗工を行い、その後下記の硬化条件により硬化を行った以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
[硬化樹脂層用塗工液]
・ トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・ 電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・ 光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・ テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
トリメチロールプロパントリアクリレート/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/光重合開始剤/テトラヒドロフラン=10/10/1/100
〈硬化方法〉
メタルハライドランプを用いて、照射強度を400mW/cm2、照射時間を120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で20分の加熱乾燥を行った。
(実施例8)
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有する反応性化合物(例示化合物No.54)を9部と下記構造式(I)の2官能性化合物1部とした以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
・1官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・2官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物:下記構造式(I)
Figure 0004945348

〈混合条件(部)〉
1官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物/2官能の電荷輸送性構造を有する反応性化合物=9/1
(実施例9)
実施例7において、電子輸送物質をETM8に変更した以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(実施例10)
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液に酸化防止剤を添加せずに、下記構造式(J)の光安定剤を添加した以外は、すべて実施例7と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
Figure 0004945348

(実施例11)
実施例1において、酸化防止剤を含有させなかった以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(実施例12)
実施例1において、導電性支持体上に下引き層を形成せずに硬化樹脂層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして本発明の電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、硬化樹脂層用塗工液を下記の感光層形成用塗工液に変更して塗布し、その後135℃20分の加熱乾燥を行って約18μmの感光層を形成し、電子写真感光体を作製した。超臨界流体による注入処理は実施しなかった。
[感光層形成用塗工液]
・電荷発生物質:下記構造式(E)
Figure 0004945348

・ホール輸送物質:HTM4
・電子輸送物質:ETM7
・Z型ポリカーボネート:TS−2040(帝人化成社製)
・シリコーンオイル:KF50(信越化学工業社製)
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
電荷発生物質/ホール輸送物質/電子輸送物質/ポリカーボネート/シリコーンオイル/テトラヒドロフラン=2/25/25/50/0.01/400
(比較例2)
比較例1において、感光層の膜厚を27μmに変更した以外は、比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
実施例1において、超臨界流体による注入処理を実施しなかった以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
実施例7において、硬化樹脂層用塗工液を下記組成に変更し、超臨界流体による処理を実施しなかった以外は、すべて実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
[硬化層用塗工液]
・トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・電荷発生物質:下記構造式(E)
Figure 0004945348

・ホール輸送物質:HTM4
・電子輸送物質:ETM7
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
トリメチロールプロパントリアクリレート/光重合開始剤/電荷発生物質/ホール輸送物質/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=20/1/1/10/10/100
(比較例5)
外径が30mmのアルミニウム製素管上に下記組成の下引き層用塗工液を用いて下引き層を塗布後、130℃10分加熱乾燥を行い、約0.5μmの下引き層を形成した。
[下引き層用塗工液]
・N−メトキシメチル化ナイロン:FR101K(鉛市社製)
・溶剤:メタノール/n−ブタノール
〈混合条件(部)〉
N−メトキシメチル化ナイロン/メタノール/n−ブタノール=5/70/30
続いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を用いて電荷発生層を塗布後、130℃20分加熱乾燥を行い、約0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層用塗工液]
電荷発生物質:下記構造式(E)
Figure 0004945348

・ポリビニルブチラール:XYHL(UCC社製)
・2−ブタノン
・シクロヘキサノン
〈混合条件(部)〉
電荷発生物質/ポリビニルブチラール/2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1/120/50
続いて、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて電荷輸送層を塗布後、130℃20分加熱乾燥を行い、約20μmの電荷輸送層を形成して、電子写真感光体を作製した。
[電荷輸送層用塗工液]
・電荷輸送物質:HTM4
・Z型ポリカーボネート:TS−2040(帝人化成社製)
・テトラヒドロフラン
・シリコーンオイル:KF50(信越化学工業社製)
〈混合条件(部)〉
電荷輸送物質/ポリカーボネート/テトラヒドロフラン/シリコーンオイル=4/5/40/0.001
(比較例6)
比較例5において、電荷輸送層の上にさらに下記組成の保護層用塗工液を用いて保護層を塗工し、その後下記の硬化条件により硬化を行って、約3μmの保護層を形成した以外は、すべて比較例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
[保護層用塗工液]
・トリメチロールプロパントリアクリレート:KAYARAD TMPTA(分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)(日本化薬製)
・光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
・電荷輸送性構造を有する反応性化合物:例示化合物No.54
・電子輸送物質:ETM7
・テトラヒドロフラン
〈混合条件(部)〉
アクリレート/重合開始剤/電荷輸送性構造を有する反応性化合物/電子輸送物質/テトラヒドロフラン=10/1/4/4/70
〈硬化方法〉
メタルハライドランプを用いて、照射強度を400mW/cm2、照射時間を120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で20分の加熱乾燥を行った。
〔耐久試験〕
以上のようにして作製した実施例及び比較例の感光体を、図6の概略図に示すような電子写真用プロセスカートリッジに装着し、図3の概略図に示すような画像形成装置の改造機に搭載した。帯電手段にはスコロトロンを用い試験開始時の感光体の帯電電位が+550Vになるように印加電圧を設定した。画像露光光源には655nmの半導体レーザーを設け、感光体の光減衰特性がほぼ一定になるように露光光量をその都度調整した。現像ユニットには正帯電用トナーを充填し、現像バイアスは+400Vに設定した。クリーニング手段にはクリーニングブレードを用い、除電手段には655nmのLEDを用いた。
上記装置を用いて25℃50%RHの環境下で耐久試験を行った。
試験開始時(初期)と試験終了時(4万枚印刷後)において、露光部電位(VL)の測定と出力された画像サンプルについて画質評価を行った。なお、画像評価のレベルは、以下の4段階で表した。
◎:非常に良好なレベル
○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル
△:明らかに画像欠陥が認められるレベル
×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。
これらの評価結果を下記表7に示す。
Figure 0004945348
〔加速劣化試験〕
上記感光体について、オゾン曝露を行った後に上記と同様にして画像評価を行った。オゾン曝露は感光体をオゾン曝露器内に入れて密閉し、オゾンガス濃度5ppmにて48時間曝露を行い、3時間暗所大気中に保存した後画像評価を行った。
◎:非常に良好なレベル
○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル
△:明らかに画像欠陥が認められるレベル
×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。
これらの結果を下記表8に示す。
Figure 0004945348
上記表7の評価結果から明らかなように、本発明の感光体は露光部電位が十分に低く、静電特性に優れており、かつ繰り返し使用後においても露光部電位上昇がほとんど認められず、静電特性の高安定化が実現された。また、画質も高精細で非常に良好であり、繰り返し使用後においてもその画質が維持されていた。さらに、感光層が硬化樹脂層から構成されていることにより繰り返し使用による摩耗量が非常に少なく、経時の画質劣化がほとんど認められなかった。また、表8の評価結果から、オゾン曝露による加速劣化試験においては酸化防止剤を含有させなかった場合に若干画質が低下したものの、それ以外では画質上問題ないレベルであることが確認された。
一方、比較例である従来公知の感光体は、単層の感光体では耐摩耗性が低く、摩耗による電界強度の増加により地汚れの影響が増大した。硬化性バインダー樹脂と電荷発生物質や電荷輸送物質とを含有させて硬化させると、硬化阻害により耐摩耗性が損なわれ、また未反応モノマーの残存量が顕著に増加するため、残留電位等の静電特性も悪化した。また、感光層を複数層積層した積層型感光体は、電荷のトラップを誘発する層界面が増加し、露光部電位上昇が見られ、また耐摩耗性が低いため地汚れの発生を引き起こした。耐摩耗性を高めるために電荷輸送物質の上に硬化保護層を形成すると耐摩耗性は向上できたが、層界面が増加したことによって電荷トラップを誘発し、ハーフトーン画像を出力するとその中に以前に形成した画像が形成されてしまうゴーストあるいは残像と称される画像欠陥が発生し、画質の低下を引き起こした。
以上の結果から明らかなように、本発明の感光体は積層型感光体よりも高精細な画像出力が可能であり、かつ耐摩耗性に優れ、静電特性も良好で、繰り返し使用してもその効果が安定に維持できる高耐久感光体を、超臨界流体及び/または亜臨界流体を用いることによって実現することができた。さらに、本発明は生産性の向上や生産コストの低減、地球環境負荷の低減をも可能であり、従来にはなかった極めて優れた感光体の製造方法、それによって得られる感光体、並びにそれを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジが提供された。
本発明における電子写真感光体の一例[導電性支持体(1)上に感光層(2)が形成された構成]を示す概略断面図である。 図1の導電性支持体と感光層との間に下引き層〔あるいは中間層〕(3)を形成した電子写真感光体の別例を示す概略断面図である。 本発明における画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置における感光体と帯電ローラをギャップを介して近接配置させる構成の一例を示す概略図である。 本発明における画像形成装置の他の例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 実施例において感光層を形成するために用いられる超臨界処理装置の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 感光層
3 下引き層〔あるいは中間層〕
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
101 感光体〔ドラム〕
102 帯電手段〔接触帯電装置〕
103 露光手段〔像露光〕
104 現像手段〔現像装置〕
105 記録媒体〔転写体〕
106 転写手段〔接触転写装置〕
107 クリーニング手段〔クリーニングユニット〕
V1 バルブ1
V2 バルブ2
V3 バルブ3
T 温度センサ
P 圧力センサ

Claims (14)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生機能と、ホール輸送機能及び/又は電子輸送機能を有する単層の感光層を備えてなる電子写真感光体の製造方法であって、
    前記感光層が、電荷輸送性構造を有さない反応性化合物と、電荷輸送性構造を有する反応性化合物を硬化反応させて形成した硬化樹脂層に、電荷発生物質と、ホール輸送物質及び電子輸送物質の少なくとも一種を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記硬化樹脂層が、光、熱、放射線の少なくとも一種を照射することにより硬化形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記硬化樹脂層が、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記硬化樹脂層を形成する樹脂中にトリアリールアミン構造を含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記電荷発生物質が、アゾ顔料系化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記ホール輸送物質が、トリアリールアミン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記電子輸送物質が、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体に、更に酸化防止剤、光安定剤、分散助剤、滑剤、フィラーの少なくとも一種が含有されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記超臨界流体及び/または亜臨界流体が、少なくとも二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記導電性支持体と前記感光層との間に、下引き層が設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  12. 少なくとも電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項11に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  13. 少なくとも帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段を備え、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備したタンデム方式の画像形成装置であって、
    該電子写真感光体が請求項11に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電潜像にトナーを付着させ可視像を形成する現像手段、該可視像を記録媒体に転写する転写手段、転写後に該電子写真感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段と、請求項11に記載の電子写真感光体とが一体化し、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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