JP5169453B2 - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP5169453B2
JP5169453B2 JP2008121864A JP2008121864A JP5169453B2 JP 5169453 B2 JP5169453 B2 JP 5169453B2 JP 2008121864 A JP2008121864 A JP 2008121864A JP 2008121864 A JP2008121864 A JP 2008121864A JP 5169453 B2 JP5169453 B2 JP 5169453B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
layer
resin
photosensitive member
undercoat layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008121864A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008310307A (ja
Inventor
裕美 多田
千秋 田中
知幸 島田
美知夫 木村
望 田元
哲也 利根
宜輝 梁川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2008121864A priority Critical patent/JP5169453B2/ja
Publication of JP2008310307A publication Critical patent/JP2008310307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5169453B2 publication Critical patent/JP5169453B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、導電性基体から感光層への電荷注入が抑制され、感光層から導電性基体への電子輸送が十分に行われる下引き層を有し、長期繰り返し使用に対して高画質画像の出力が可能な高耐久性を有する電子写真感光体の製造方法と、それにより得られた電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましく、特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンタやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。急速に普及しているこれらのレーザープリンタやデジタル複写機は、今後高画質化と同時にさらなる高速化あるいは小型化が要求されている。さらに、最近ではフルカラープリントが可能なフルカラーレーザープリンタやフルカラーデジタル複写機の需要も急激に高くなっている。フルカラープリントを行なう場合には少なくとも4色のトナー画像を重ね合わせる必要があることから、特に装置の高速化並びに小型化がより一層重要な課題とされている。
装置の高速化及び小型化を実現するためには、電子写真感光体の耐久性を向上させることが必要となる。特に、フルカラー化と高速化を両立させる上で有効なタンデム方式の場合には、少なくとも4本の感光体が装置に内包されるため、感光体の小径化の要求度は非常に高い。また、感光体の小径化が進むに従い、感光体はより過酷な状況で使用されることになるため、従来の感光体ではその交換速度が大幅に早まることになる。従って、装置の高速化並びに小型化を実現するためには、同時に用いられる感光体の大幅な高耐久化が必要不可欠である。
画像形成装置に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び環境安定性等の理由から一般に広く応用されている。これらの電子写真感光体の層構成としては、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型の感光体に大別される。積層型感光体の方が、材料の選択範囲が広いことや、感度や繰り返し安定性や機械的強度の向上が進んだことによって、現在ではこちらが主流として用いられている。
電子写真感光体における静電潜像形成メカニズムについて負帯電積層型感光体を例にとって説明する。電子写真感光体を帯電した後、光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生物質に吸収され正電荷と負電荷(以後電子という)を発生する。正電荷は電荷輸送物質により輸送され、感光体表面に達し、帯電により与えられた表面電荷を中和することにより静電潜像を形成する。一方、電子も基体側に輸送され、感光体中に残留しないことが好ましい。つまり、光によって発生した電荷は移動の途中でトラップされることなく、感光体表面または基体までスムーズに到達させることが、電子写真特性上好ましい。
積層型感光体においては、導電性基体(基体)の上に下引き層を設けるのが一般的である。基体上に直接感光層を設けた場合、導電性基体の欠陥、即ち、傷、不純物、腐食物といった表面欠陥が画像にそのまま反映し、黒ポチや白抜けという異常画像の原因となる場合が多い。特に、積層型感光体における電荷発生層は通常数μm以下の薄膜にする必要があり、基体表面の欠陥がある場合、塗膜欠陥が生じやすい。また、導電性基体と感光層との接着性が悪い場合も多い。また、下引き層を設けない場合、感光体に帯電を施した場合に、導電性基体に誘起されるそれとは逆極性の電荷が局所的にリークし、感光層、更には感光体の表面へ注入され、その部分が帯電低下を起こす。その結果未露光部が白地となる反転現像方式の画像形成装置において、白地領域に微小な斑点が無数に現像されてしまう画像欠陥(地汚れ)が生じてしまう。これらを防止するために、下引き層を設けることは非常に有効であり、高画質化が求められる昨今において、必要不可欠である。しかし一方で、下引き層を設けることで生じている課題もある。
下引き層として樹脂単独膜を用いている例としては以下のようなものがある。
例えば、硝酸セルロース系樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献1参照。)が、ナイロン系樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献2参照。)が、マレイン酸系樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献3参照。)が、ポリビニルアルコール樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献4参照。)が、それぞれ知られている。
しかしながら、これらの樹脂単独の下引き層は電気抵抗が高いため、残留電位が上昇し、反転現像方式においては画像濃度低下や階調性の低下を引き起こす。また、これらの下引き層は、不純物等に起因するイオン伝導性を示すことから、低温低湿下では下引き層の電気抵抗が特に高くなり、残留電位の環境依存性が大きくなる。また、高温高湿下では下引き層の電気抵抗が低下し、帯電低下を引き起こす場合も見られる。それを軽減するためには、下引き層を薄膜化する必要があるが、地汚れとの両立が非常に困難な状況にあった。
これらの問題点を解消するため、下引き層の電気抵抗を制御する技術として、導電性添加物を下引き層に分散させる方法が提案されている。
例えば、カーボン又はカルコゲン系物質を硬化性樹脂に分散した下引き層に関する例(例えば、特許文献5参照。)が、四級アンモニウム塩を添加してイソシアネート系硬化剤を用いた熱重合体下引き層に関する例(例えば、特許文献6参照。)が、抵抗調節剤を添加した樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献7参照。)が、有機金属化合物を添加した樹脂下引き層に関する例(例えば、特許文献8参照。)が、それぞれ知られている。
しかし、下引き層、所謂、導電性基体と感光層との間に形成する中間層が上記従来技術の構成では、地汚れ抑制効果が大幅に低減するだけでなく、反転現像方式に用いられるレーザー光のようなコヒーレント光を使用した画像形成装置においては、光干渉縞が画像に現れる(所謂、モアレを発生する)という問題点を有している。
このモアレの発生を抑制し、下引き層(中間層)の電気抵抗を同時に制御する目的で、中間層に顔料を含有させた感光体が提案されている。
例えば、アルミニウム又はスズの酸化物を分散した樹脂中間層に関する例(例えば、特許文献9参照。)が、導電性粒子を分散した樹脂中間層に関する例(例えば、特許文献10参照。)が、マグネタイトを分散した中間層に関する例(例えば、特許文献11参照。)が、酸化チタンと酸化スズを分散した樹脂中間層に関する例(例えば、特許文献12参照。)が、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等のホウ化物、窒化物、フッ化物、酸化物の粉体を分散した樹脂の中間層に関する例(例えば、特許文献13〜18参照。)が、それぞれ知られている。
上記提案におけるような顔料を分散させた中間層は、モアレの抑制に対しては有効であるものの、残留電位を低減させるには顔料含有量が多い方が好ましく、一方、地汚れ抑制効果を高めるためには顔料含有量が少ない方が好ましく、また顔料の抵抗によっても大きく影響されるため、地汚れと残留電位との両立は非常に難しかった。
これらの下引き層の課題を解決するためには、基体からの電荷注入防止機能と感光層から基体への電子輸送機能を十分に併せ持った下引き層が望まれる。電荷注入を防止するためには、下引き層の厚膜化が有効な手段であると考えられる。しかしその場合、下引き層の電子輸送機能がトレードオフとなり悪化することが課題であった。
その課題を解決するために、下引き層中に電子輸送物質を混入し、下引き層に整流性を持たせた感光体も提案されている。例えば、電子輸送物質としてテトラカルボン酸ジイミド化合物を混合した下引き層に関する提案(例えば、特許文献19〜22参照。)が、電子輸送物質として多環キノン顔料などを混合した下引き層に関する提案(例えば、特許文献23〜27参照。)が、それぞれ知られている。
しかし、上記のような下引き層の課題としては、電子輸送物質は一般的に溶媒への溶解性や樹脂への相溶性が乏しいものが多く、従来の塗工方法のように、材料を溶媒に分散もしくは溶解させて塗工する方法では、電子輸送物質の材料選択の幅が狭かったり、混入できる電子輸送物質の割合が限られていたりしていて、十分な感光体特性が得られていないのが実情である。また、下引き層用のバインダー樹脂としては、通常、該下引き層の上に設ける構成層(上の層)を塗工した際に、下引き層の成分が上の層へ溶出するのを防ぐため、硬化性樹脂が用いられる。この場合、硬化前に電子輸送物質が多量に混入していると、バインダー樹脂の十分な硬化が行われないために、未硬化部分が電気特性に悪影響を及ぼすことや、下引き層が上の層である感光層に溶出し、かえって特性が悪化することも考えられる。
次に、本発明に用いられる超臨界流体技術について説明する。本発明で用いている超臨界流体とは、物質を臨界点以上の温度、圧力にしたときに得られる高密度な液体相を言い、この高密度な液体相は、例えば、温度及び圧力のうち少なくとも一方を臨界点以上にすることにより得られる。また亜臨界流体とは、臨界点近傍の温度、圧力領域における流体のことであり、超臨界流体とほぼ同様の性質を示す。これらの流体は、液体の高い溶解力と気体の高い拡散性を併せ持つため、様々な分野で応用され始めている。
超臨界流体を用いた技術として、例えば、繊維などの染色等に関する技術が知られている(例えば、特許文献28〜29参照。)。この提案は、超臨界流体中に染料を溶解もしくは含有させ、その超臨界流体下に繊維をさらすことで、繊維を膨潤させて繊維の内部に染料を注入するという技術である。これは超臨界流体が高圧力下にあるため、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいことから媒質への拡散が速いという、物質の注入に適した特性を利用した技術である。
また、電子写真感光体の分野においても超臨界流体を用いた以下のような技術が知られている。
例えば、電荷発生物質の洗浄、精製、抽出、晶析方法(例えば、特許文献30〜33参照。)が知られている。あるいは、導電性基体の洗浄方法(例えば、特許文献34参照。
)としても知られている。また、表面層に含有した樹脂微粒子の精製方法(例えば、特許文献35、36参照。)としても知られている。
このように、これまでは感光体材料の洗浄や精製といった目的で超臨界流体が用いられている例はあったが、本発明のように下引き層に対して超臨界流体を用いて電子輸送物質を注入する技術はなく、また本発明で解決しようとしている地汚れや残留電位やなどのトレードオフの特性を十分に両立させるような技術もなかった。
特開昭47−6341号公報 特開昭60−66258号公報 特開昭52−10138号公報 特開昭58−105155号公報 特開昭51−65942号公報 特開昭52−82238号公報 特開昭55−1130451号公報 特開昭58−93062号公報 特開昭58−58556号公報 特開昭60−111255号公報 特開昭59−17557号公報 特開昭60−32054号公報 特開昭64−68762号公報 特開昭64−68763号公報 特開昭64−73352号公報 特開昭64−73353号公報 特開平1−118848号公報 特開平1−118849号公報 特開2007−003800公報 特開2005−162758公報 特開2005−023322公報 特開2004−093808公報 特開平11−174707公報 特第3624611号公報 特開平10−115945公報 特第3384231号公報 特第3409540号公報 特開2002−371480号公報 特開2000−160486号公報 特開平7−134435号公報 特開2001−92165号公報 特開2002−138216号公報 特開2002−356627号公報 特開2001−121094号公報 特開平7−134435号公報 特許第3186010号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性基体から感光層への電荷注入が十分に防止され、かつ感光層から導電性基体への電子輸送が十分にできる下引き層を備え、地汚れの発生や、残留電位上昇及び感度低下が抑制され、長期繰り返し使用によっても高画質画像を安定して出力可能な、高耐久性を有する電子写真感光体の製造方法、及びこれを用いた電子写真感光体、及びそれを用いた高速かつ高安定な画像出力が可能な画像形成装置、並びに上記感光体を用い、高速かつ高安定な画像出力が可能でかつ取扱いが良好な画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、導電性基体(以降、「基体」と略称することがある。)上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層、例えば、硬化性樹脂の場合には硬化させた状態の樹脂層を形成し、この樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触処理することにより、樹脂層中に電子輸送物質が混入(以降、「注入」と称することがある。)された下引き層が形成でき、これを設けた電子写真感光体においては、基体からのホール注入を十分に防止でき、かつ感光層からの電子を十分に基体に輸送できることを見出した。すなわち、以下の(1)〜(12)に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
(1):上記課題は、導電性基体上に少なくとも、下引き層と感光層を順次設けてなる電子写真感光体の製造方法において、
前記下引き層が、導電性基体上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、該樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程と、により形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法により解決される。
(2):上記(1)に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記下引き層が、バインダー樹脂を主成分とする樹脂層中に電子輸送物質を含むものであることを特徴とする。
電子輸送物質を含む下引き層とすることで、導電性基体から感光層へのホール注入を十分に防止し、感光層から導電性基体への電子輸送が十分に行われる。このような下引き層を有する電子写真感光体では、地汚れの発生が抑制され、且つ、残留電位上昇や感度低下が抑制されるため、長期使用においても高画質画像が出力できる。
(3):上記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体の製造方法において、前期バインダー樹脂が、硬化性樹脂であることを特徴とする。
バインダー樹脂として硬化性樹脂を用いることにより、下引き層上に、別の層(例えば、感光層)を湿式により塗工形成した場合でも、下引き層の含有成分が別の層に溶出せず、電子写真感光体に要求される特性に悪影響を及ぼさない。
(4):上記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記樹脂層が、前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体中において硬化されることを特徴とする。
樹脂層形成工程において形成される樹脂層が完全には硬化されていない状態で超臨界処理を行うことにより、超臨界流体による樹脂の膨潤が起きやすくなって電子輸送物質が注入されやすく、そのような状態で硬化を進めることで樹脂層の硬化をより完全なものとすることができる。
(5):上記(3)に記載の電子写真感光体の製造方法において、前記硬化性樹脂が、置換もしくは無置換のアリール基またはアリーレン基を含むことを特徴とする。
バインダー樹脂として置換または無置換のアリール基またはアリーレン基を有する硬化性樹脂を用いることにより、超臨界流体処理工程で前記バインダー樹脂を主成分とする樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる際、注入される電子輸送物質の量が多く、良好な特性を示す。
(6):上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電子輸送物質が、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料であることを特徴とする。
(7):上記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電子輸送物質が、多環キノン顔料であることを特徴とする。
上記(6)、(7)によれば、超臨界流体及び/又は亜臨界流体に好ましく含有でき、超臨界流体処理工程において下引き層に電子輸送物質が好適に混入できる。これを用いて形成された下引き層は、導電性基体から感光層へのホール注入防止、及び感光層から導電性基体への良好な電子輸送能力を有する。
(8):上記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記下引き層が、金属酸化物を含有することを特徴とする。
金属酸化物は屈折率が大きく、バインダー樹脂に金属酸化物を分散させた構成とすればモアレ防止に最も有効である。
(9):上記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法において、前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素であることを特徴とする。
二酸化炭素の臨界温度は常温に近く、取扱い性に優れる点で特に好ましい。例えば、二酸化炭素の臨界圧力は7.53MPaであり、圧力がそれ以上であれば、臨界温度31℃に満たなくても密度の急激な上昇を示す。
(10):上記課題は、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体により解決される。
(11):上記課題は、(10)に記載の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置により解決される。
(12):上記課題は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有し、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を備え、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を有するタンデム方式の画像形成装置であって、
前記感光体が(10)に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置により解決される。
(13):上記課題は、(10)に記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段が一体となり、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジにより解決される。
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、下引き層に用いられるバインダー樹脂(例えば、硬化性樹脂)の硬化不良等を起こすことなく、下引き層を構成する樹脂中に溶解性や樹脂との相溶性が乏しい電子輸送物質であっても必要量の電子輸送物質を含有させることができる。すなわち、導電性基体上に、少なくとも、バインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成(樹脂層形成工程)し、該樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させ(超臨界流体処理工程)て形成した下引き層と、感光層を順次設けて電子写真感光体とすれば、導電性基体から感光層へのホール注入を十分に防止でき、かつ感光層から導電性基体への電子輸送が十分にできる。これにより、導電性基体からのホールのリークによって起こる地汚れの発生が抑制されると共に、感光層中の電子トラップにより発生する残留電位上昇や感度低下が抑制され、長期繰り返し使用においても高画質画像が安定して出力でき、高耐久性を有する電子写真感光体が得られる。
本発明の電子写真感光体によれば、地汚れ、残留電位や感度などの特性が非常に良好で、従来のものよりも高耐久化、小型化、高速化に対応することができ、長期間にわたり高画質化を実現することができる。
本発明の画像形成装置によれば、繰り返し画像形成を行っても地汚れ等の異常画像発生が少なく、高速かつ高安定な画像出力が可能である。特に、本発明のタンデム方式の画像形成装置によれば、フルカラーで高精細の画像が高速で出力できる。
本発明のプロセスカートリッジによれば、高速かつ高安定な画像出力が可能で、且つ、取扱いが良好であり、メンテナンス性が向上すると共に、コストダウンにつながる。
前述のように本発明における電子写真感光体の製造方法は、導電性基体上に少なくとも、下引き層と感光層を順次設けてなる電子写真感光体の製造方法において、
前記下引き層が、導電性基体上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、該樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程と、により形成されることを特徴とするものである。
背景技術でも記載したように、従来公知の感光体の下引き層においては、基体からのホール注入防止には効果があり、地汚れなどの異常画像抑制には効果があった。しかし、電子輸送機能が十分でないため、感光層で発生した電子が感光層中で滞ることによって電荷の再結合が起り、量子効率の低下や、残留電位が上昇するという問題があった。この場合、従来の下引き層に電子輸送物質を混入すると、バインダー樹脂として用いる硬化性樹脂が十分に硬化せず、逆に特性に悪影響を及ぼすという課題や、溶解性や樹脂との相溶性が乏しい電子輸送物質を用いて混入しようとすると、その使用や混合量が制限されるという課題があった。
一方、本発明においては、バインダー樹脂、例えば、硬化性樹脂を予め十分に硬化させた後で、この樹脂層中に超臨界流体を用いて電子輸送物質を混入あるいは注入する(以降、単に「注入する」と称することがある。)ことで、上記課題を解消し、地汚れや残留電位や感度などの特性が非常に良好で、従来のものよりも高耐久化、小型化、高速化に対応した電子写真感光体を製造することが実現できた。
先ず、本発明における上記電子写真感光体(以降、「感光体」と略称することがある。)について、図面に沿って説明する。
図1は、本発明における電子写真感光体の一例を示す概略断面図であり、導電性基体(1)上に、単層の下引き層(2)と電荷発生物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷発生層(3)、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層(4)を順次積層した感光体である。ここで、下引き層は、導電性基体上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、該樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程とにより形成されたものである。
例えば、バインダー樹脂が硬化性樹脂である場合には、導電性基体上に硬化性樹脂を塗布し、硬化した後、電子輸送物質を含有した超臨界流体に接触させたものである。
図2は、本発明における電子写真感光体の別の例を示す概略断面図であり、図1の感光体において、下引き層を2層構成にした場合であり、下引き層1(2−1)、下引き層2(2−2)が設けられている。下引き層は、1層目(2−1)及び/又は2層目(2−2)の樹脂層を形成し、これと電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて形成される。バインダー樹脂が硬化性樹脂である場合には、上記図1で説明したのと同様の工程で形成される。
図3は、図1の感光層上に保護層が積層された電子写真感光体を示す概略断面図である。
図4は、図2の感光層上に保護層が積層された電子写真感光体を示す概略断面図である。
図5は、本発明における電子写真感光体の他の例を示す概略断面図であり、導電性基体(1)上に、単層の下引き層(2)と電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する単層の感光層(6)を順次積層した感光体である。ここで、下引き層は、上記図1で説明したのと同様の工程で形成される。
図6は、図5の感光体において、下引き層を2層構成にした場合であり、下引き層1(2−1)、下引き層2(2−2)が設けられている。ここで、下引き層は、上記図2で説明したのと同様の工程で形成される。
図7は、図5の感光層上に保護層が積層された電子写真感光体を示す概略断面図である。
図8は、図6の感光層上に保護層が積層された電子写真感光体を示す概略断面図である。
上記電子写真感光体の構成層について以下説明する。
〔下引き層〕
本発明における下引き層は、電子輸送物質を含有した超臨界流体に接触させる工程を含んで形成されることを特徴とする。
従来の下引き層の役割は、感光体の帯電時に導電性基体に誘起される逆極性の電荷の注入を抑制したり、モアレを防止したり、導電性基体をなす素管の欠陥を隠蔽したり、感光層の接着性を高めるなど多くの役割を有している。しかし一方で、電子輸送機能が十分でないために、感光層で発生した電子を導電性基体側に輸送されずに、感光層中に残留したり、または発生した電荷と再結合することで感度が低下したりする問題が生じていた。
例えば、金属酸化物とバインダー樹脂を含有する下引き層の場合、モアレが防止され、また地汚れ抑制に効果が得られる。しかし、導電性基体からの感光層へのホール注入の抑制は十分とは言えず、また感光層からの電子輸送性も十分ではないために、地汚れや残留電位については課題があった。
また、金属酸化物を含有しない下引き層の場合、導電性基体から感光層へのホールの注入を抑制することを主目的として用いられ、それによって地汚れ耐久性が大幅に向上されるが、やはり感光層からの電子輸送性が十分ではないために、残留電位や感度については課題があった。
上記二種類の下引き層を積層した場合には、地汚れに対しては大きな効果が得られるが、やはり残留電位や感度とのトレードオフの関係は回避できないのが現状である。
このように下引き層が一層の場合でも二層の場合でも、地汚れ抑制と残留電位低減というトレードオフの関係を回避するためには、下引き層に十分な電子輸送機能を持たせることが重要である。
背景技術に記したように、これまでも下引き層に電子輸送機能を持たせるために、電子輸送物質を含有させた下引き層の開発は進められているが、十分な特性が得られておらず実用化されていないのが実情である。従来から、下引き層には、上の層を湿式で塗工した場合に下引き層の成分が上の層に溶出しないことが求められており、硬化性樹脂が用いられていることがほとんどである。その場合に、予め樹脂成分と電子輸送物質を含有した塗工液で形成した膜を硬化させた場合、電子輸送物質が樹脂の硬化を阻害することが考えられる。
また一般的に、電子輸送物質は溶媒への溶解性や樹脂との相溶性が乏しいものが多く、従来の様に湿式塗工によって電子輸送物質を混入する場合には、十分な量の電子輸送物質を混入できないという課題もあった。これまで、これらの課題を達成する方法は見出されていなかったが、本発明においては、超臨界流体の特性を利用する方法によって前記課題を解決するに至り、非常に優れた特性を持つ下引き層を形成することができた。
本発明において用いる超臨界流体及び亜臨界流体について説明する。
超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度がより低いものが好ましい。
また、本発明における亜臨界流体とは、温度及び圧力のどちらか一方が臨界点を超えた状態を意味する。本発明では、必ずしも超臨界状態でなくても、その効果が得られればよいのは勿論である。超臨界流体は気体と液体の両方の特性を併せ持ち、超臨界流体処理工程での処理の際には特に高密度な液体に近い状態であることが有効に作用していると考えられる。その点から、処理する流体に、例えば、二酸化炭素を用いた場合には、常温常圧では気体であるが、これが液体状態になった時点で超臨界状態ではなくても効果があると言える。例えば、二酸化炭素の臨界圧力は7.53MPaであり、圧力がそれ以上であれば、臨界温度31℃に満たなくても密度の急激な上昇を示すことが実験で確認できている。
この結果から見ると、圧力が7.53MPa以上であり、密度が少なくとも0.7(g/cm3)以上であれば臨界温度に達していなくても亜臨界状態であると判断できる。ただし、これは二酸化炭素の場合であって、常温常圧で液体である流体の場合には適用できない。
前記亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの流体の一例としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが好適に挙げられる。これらの中でも、臨界温度が常温に近く、取扱い性に優れる点で、二酸化炭素が特に好ましい。
臨界温度が30〜40℃と常温に近い超臨界流体、例えば、超臨界二酸化炭素や超臨界一酸化炭素は、20〜150℃の温度、及び5〜70MPaの圧力で使用するのが望ましい。
20℃未満の温度や5MPa未満の圧力では、二酸化炭素や一酸化炭素は超臨界状態になりにくいことから好ましくない。一方、150℃を超える温度では、感光体の構成材料を分解する恐れが生じ、また70MPaを超える圧力では、上記理由の他、流体ポンプ等を具備する装置の運転に支障を生ずる恐れがあるため好ましくない。ちなみに、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.53MPaで、一酸化炭素の臨界温度は37℃、臨界圧力は7.26MPaである。
本発明において超臨界流体を用いるのは、超臨界流体に電子輸送物質を含有させ、予め導電性基体上に設けられたバインダー樹脂を主成分とする樹脂層にその超臨界流体を接触させることで、電子輸送物質を樹脂層中に混入させて下引き層を形成することが目的である。従って、電子輸送物質を超臨界流体に溶解させたり、超臨界流体を接触させて樹脂層中の樹脂を膨潤させたりすると、樹脂分子鎖間における物質の移動が起こりやすい状態となりより好ましい。
バインダー樹脂の膨潤は、超臨界流体の種類や圧力や温度や接触時間などにより所望の程度にすることができる。また、バインダー樹脂の膨潤は樹脂のガラス転移温度以上の温度に設定することでも可能となるが、樹脂のガラス転移温度は圧力によっても変化し、温度が構成物質に与える影響や、用いる樹脂の物性を考慮して温度・圧力条件を設定すればよい。このように所望の効果を得るために任意に条件を設定可能であることが、本発明の実用性に非常に優れている点である。
バインダー樹脂を主成分とする樹脂層に注入する電子輸送物質量は、超臨界流体に含有された電子輸送物質濃度、すなわち、超臨界流体の種類、温度、圧力、電子輸送物質の仕込み量や、超臨界流体と対象とする層との接触時間などによって制御できる。また、電子輸送物質は、超臨界流体に溶解している方が、注入の効果は得られやすいと考えられる。
超臨界流体に含有させる物質は電子輸送物質以外にも、添加剤などその他の感光体構成材料を含有させてもよい。超臨界流体の特性として、抽出作用があるため、樹脂層に超臨界流体を接触させた際に、感光体構成材料が抽出される可能性が考えられる。そのため、抽出されると問題のある物質は、予め超臨界流体に含有させておくことが好ましい。一方で、超臨界流体の抽出作用によって、残留溶媒などの不純物の除去も可能である。
超臨界流体は、1種単独で単体として使用してもよいし、2種以上を併用して混合物として使用してもよい。超臨界流体に加え、他の流体を併用する場合には、具体的には一酸化窒素、窒素、水、アンモニア、エタン、プロパン、エチレンなど、前記の超臨界流体を併用することができる。これにより、超臨界流体に対する物質の溶解度を高くすることができ、注入効率を向上させることができる場合もある。
超臨界流体を使用する装置は、導電性基体上に少なくとも下引き層とすべき樹脂層が形成された構造体(感光層が形成される前の構造体)が、超臨界流体と接触できる構成であれば、いかなる装置をも使用することができる。超臨界流体を閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式などの方式があり、いずれも使用可能である。例えば、後述の実施例に示す装置構成(図13)などが挙げられる。この装置により、超臨界流体処理工程を実施することができる。すなわち、耐圧反応セルに、導電性基体上に樹脂層が形成された構造体と、電子輸送物質を収納した後に耐圧セルを封止し、例えば、二酸化炭素を供給ボンベから耐圧セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節機で圧力と温度(例えば、30MPa、80℃または120℃)に調節する。静置後、圧力を10MPaまで低下させ(温度は80℃または120℃に保ったまま)、圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、二酸化炭素を流すことによって、下引き層に注入されなかった電子輸送物質を耐圧セルから除去する。電子輸送物質を除去後、温度・圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させることによって、超臨界流体処理が行われる。
本発明で用いられる硬化性樹脂に熱硬化性樹脂や常温でも触媒を用いることで硬化する樹脂などを用いれば、前記超臨界流体処理の際に硬化することも可能である。その際、モノマーのみの状態で超臨界流体処理を行うと、モノマーが溶出することも懸念されるが、完全には硬化されていなくとも、ある程度硬化した状態で超臨界流体処理を行うことで、硬化を完全なものにすることが可能である。そうした場合、完全に硬化した膜に超臨界流体処理を行うよりも、超臨界流体により樹脂が膨潤しやすく、電子輸送物質が注入されやすいため、より有効な場合がある。このように超臨界処理を行うことで、電子輸送物質を注入し、かつ膜硬化をより完全なものとすることもできる。
次に、本発明で用いられる電子輸送物質について説明する。電子輸送物質は従来知られているものを用いることができる。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2 ,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料、多環キノン顔料、アントラキノンアクリドン顔料、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料などが挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。この中でも、特に本発明で有効に用いられるのは、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料や多環キノン顔料などであり、以下に具体例を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料の一例として下記一般式(1)で表され、本発明において有効に用いられる。
Figure 0005169453
(式中、XおよびYは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基を示し、同一であっても異なっていてもよい。また、R2 乃至R5 は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基を示す。)
また、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料の中でも下記一般式(2)で表される化合物は特に有効に用いられる。
Figure 0005169453
(式中、R5 、R6 は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表し、R7 、R8 、R9 、R10 、R11 、R12 、R13 、R14 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表す。)
これらの具体例を下記表1、表2に示す。
Figure 0005169453
Figure 0005169453
上記化合物は、米国特許第4442193号明細書,米国特許第5468583号明細書、平4−12466号公報、昭59−164559号公報、米国特許第6794102号明細書、Industrial Organic Pigments 2nd edition, VCH, 485(1997)などに掲載されている。
次に、多環キノン顔料の具体例を下記表3に示す
Figure 0005169453
上記化合物は、特開平6−99668号公報、特開昭63−85749号公報、特表2005−520907号公報などに掲載されている。
前述のように本発明における下引き層は、樹脂層形成工程において、導電性基体上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成し、超臨界流体処理工程において、前記樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させることにより形成される。バインダー樹脂が硬化性樹脂である場合に超臨界流体を接触させるタイミングは、樹脂を硬化させた後がより好ましい。超臨界流体を接触させる前に形成する樹脂層としては、少なくとも次の2種類が有効である。
先ず一つは、金属酸化物を含有していないバインダー樹脂が主成分の樹脂層である。もう一つは、金属酸化物とバインダー樹脂を含有している樹脂層である。これらの樹脂層は、どちらか一方か、または両方設けてもよい。両方設ける場合は、電子輸送物質を含有した超臨界流体を接触させるタイミングは、一層目形成(例えば、塗布形成)後でも、二層目形成(例えば、塗布形成)後でも、一層目と二層目の両方を塗布形成後でもよいが、一層目塗布形成後にのみ超臨界流体を接触させたのでは、二層目の樹脂層には電子輸送物質が含有されないので、二層目塗布後か一層目と二層目の両方を塗布形成後に超臨界流体を接触させることが好ましい。
金属酸化物及びバインダー樹脂を含有する層について説明する。金属酸化物及びバインダー樹脂を含有する下引き層は、主にモアレ防止を主目的とするが導電性基体からのホール注入を抑制する効果もある。
なお上述のモアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。
入射されたレーザー光をこの下引き層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、基本的には、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に金属酸化物を分散させた構成が最も有効である。
使用される金属酸化物としては、白色の顔料が有効に使用され、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化錫などが挙げられるが、これらの中でも残留電位の低減、モアレ防止、地汚れの低減に有効な酸化チタンが好適に用いられる。また、これらの金属酸化物は、表面処理を行うこともでき、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を用いて表面処理したものを使用することもできる。これらの下引き層の塗工液は、バインダー樹脂や溶媒を主成分とするが、必要に応じて分散剤、触媒等を添加してもよい。
本発明に用いられる金属酸化物は、残留電位上昇を軽減する上で、高純度の方が好ましい。純度としては99.0%以上が好ましく、99.4%以上がより好ましい。特に、酸化チタンに含有される不純物は、Na2 O、K2 O等の吸湿性物質及びイオン性物質が主であり、酸化チタンの純度が99.4%より低い場合には、環境依存性が大きくなるため好ましくない。また、高湿環境では地汚れが増加する恐れもある。なお、金属酸化物の純度は、JIS K5116に示される測定法により求めることができる。
本発明の金属酸化物の平均一次粒径としては、0.01μm〜0.8μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましい。但し、平均一次粒径が0.1μm以下の金属酸化物のみを用いた場合には、地汚れの低減に対し有効であるが、モアレ防止効果が低下する傾向があり、一方、平均一次粒径が0.4μmよりも大きな金属酸化物のみを用いた場合には、モアレ防止効果に優れるものの、地汚れの抑制効果がやや低減する傾向が見られる。この場合、異なる平均一次粒径を有する金属酸化物を混合して用いることによって、地汚れの低減とモアレの低減を両立できる場合があり、また残留電位の低減にも効果が見られる場合があり有効である。
これらの金属酸化物とバインダー樹脂を含有する下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、公知の樹脂を使用することが可能である。
これらのバインダー樹脂の一例としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、硬化性樹脂は、硬化されていることによって下引き層の上に感光層が塗工される際に有機溶剤による溶出の影響が極めて少なく、膜厚が非常に薄い電荷発生層を安定に塗工できることから、最も好ましく用いられる。
また、これらの樹脂の中でも、アルキッド―メラミン樹脂は下引き層として十分な機能を発揮し、また本発明の超臨界流体処理によって電子輸送物質を注入することで、さらなる電気特性の向上が実現された。また、本発明の超臨界流体処理により、電子輸送物質が注入されやすい樹脂として、置換または無置換のアリール基またはアリーレン基を有するものが挙げられる。
置換または無置換のアリール基またはアリーレン基を有する樹脂を用いた場合に、電子輸送物質を含有する超臨界流体を接触させた際に注入される電子輸送物質の量が多く、良好な特性を示した。これは、樹脂中に置換または無置換のアリール基またはアリーレン基を含んでいるため、硬化後にフリーボリュームが多く、電子輸送物質が注入されやすいためと考えられる。置換または無置換のアリール基またはアリーレン基を有する樹脂は限定され得るものではないが、フェノール樹脂やアリール基またはアリーレン基を含むエポキシ樹脂やウレタン樹脂などが好適に用いることができる。
金属酸化物とバインダー樹脂の含有比率は、地汚れや残留電位などにも影響する。バインダー樹脂に対する金属酸化物の含有比率が高くなると残留電位は低減するが、地汚れは増加する傾向になる。一方、含有比率が低くなると地汚れ抑制に対しては有効となるが、残留電位は増加する傾向が見られる。
本発明による下引き層は、電子輸送物質を含有させることで、残留電位は十分に低減する効果が得られるので、金属酸化物の含有量は、上記のような残留電位と地汚れのトレードオフを考慮しなくてもよく、モアレ防止に十分な量が含有されていればよい。
金属酸化物とバインダー樹脂を含有する下引き層の膜厚は、従来の方法で形成された下引き層においては、厚膜化することでモアレ防止や地汚れの抑制には十分な効果が発揮できるが、やはり残留電位が上昇するという副作用を引き起こすために、あまり厚膜にできなかった。本発明による下引き層の場合は、電子輸送機能を十分に有しているために、厚膜化してもモアレ防止や地汚れの抑制を十分に発揮しつつも、残留電上昇という副作用は表れなくなった。
金属酸化物を、溶剤及びバインダー樹脂と共に従来公知の方法、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター等により分散することで、下引き層用塗工液を得ることができる。バインダー樹脂は分散前に添加しても分散後に樹脂溶液として添加してもよいが、分散前に添加した方が有効性は高い。また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤等を加えることも可能であり有効である。これらの塗工液を用い、従来公知の方法、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などを用いて導電性基体上に樹脂層が形成される。塗布後は乾燥や加熱、必要に応じて光照射等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させることにより樹脂層が形成できる。この樹脂層を電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて超臨界流体処理すれば本発明における下引き層が得られる。
次に、導電性基体からのホール注入の抑制を主目的とする金属酸化物を含有しない下引き層について説明する。
金属酸化物を含有しない樹脂単独膜の下引き層は、導電性基体からのホールのリークを抑制する効果は非常に高いが、従来のものにおいては、残留電位上昇の影響が大きかった。この場合も、本発明による製造方法で、下引き層中に電子輸送物質を含有させることで、残留電位上昇の課題は克服できた。
すなわち、金属酸化物を含有しない下引き層については、湿式塗工法で形成可能な絶縁性のバインダー樹脂あるいは硬化性のバインダー樹脂から構成される樹脂層を電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させて超臨界流体処理すれば得られる。この下引き層は、その上に必要により更に金属酸化物とバインダー樹脂を含有する下引き層を積層したり、あるいは感光層等が積層されるため、湿式塗工法で設ける場合には、塗工溶媒に対し不溶性を有し塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
本発明において、金属酸化物を含有しない下引き層には樹脂が好ましく用いられる。このような樹脂の一例としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、例えば、活性水素(−OH基、−NH2 基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/又はエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等も使用できる。
この場合、活性水素を複数個含有する化合物としては、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられる。エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、オイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂、例えば、ブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂、更にまた、不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せ等の光硬化性樹脂もバインダー樹脂として使用できる。
これらの樹脂の中でもポリアミドが好ましく、その中でも特にN−メトキシメチル化ナイロンが好ましい。ポリアミド樹脂は、ホールの注入を抑制する効果が高い上に残留電位に与える影響が比較的少ない。また、これらのポリアミド樹脂は、アルコール可溶性の樹脂であって、ケトン系溶媒には不溶性を示し、また浸積塗工においても均一な薄膜を形成することができ、塗工性に優れている。
しかし、一般にアルコール可溶性のポリアミド系樹脂は湿度依存性が大きく、それにより低湿環境下では抵抗が高くなり残留電位上昇が、高湿環境下では抵抗が低くなり、帯電低下が引き起こされ、環境依存性が大きいことが大きな課題であった。ポリアミド樹脂の中でもN−メトキシメチル化ナイロンは、環境依存性が大幅に低減され、画像形成装置の使用環境が変化しても常に安定した画質を維持することが可能であるため、最も好適に用いられる。
N−メトキシメチル化ナイロンにおけるアルコキシメチル基の置換率は、特に限定されるものではないが、15mol%以上〜45mol%以下であることが好ましい。アルコキシメチル基の置換率が45mol%より高い場合には、湿度依存性が増加し、また15mol%より低い場合にはアルコール溶液とした場合に白濁したりする傾向が見られ、塗工液の経時安定性がやや低下する場合がある。
本発明においては、N−メトキシメチル化ナイロンを単独で使用することも可能であるが、場合によっては各種硬化剤や酸触媒を添加することも可能である。
架橋剤としては従来公知のメラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂等汎用の材料を、触媒としては酸性触媒が用いられ、酒石酸等の汎用触媒を用いることが可能である。但し、酸触媒の添加によって下引き層の絶縁性が低下し、地汚れ抑制効果が低減される恐れがあるため、添加量はごく微量にする必要がある。添加量としては樹脂に対して5wt%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。また、場合によっては他のバインダー樹脂を混合させることも可能である。混合可能なバインダー樹脂としては、アルコール可溶性を示すポリアミド樹脂が用いられ、液の経時安定性が高まる場合がある。
塗工溶媒としては、樹脂を溶解できるものであれば一般の有機溶剤をすべて使用するこ
とができるが、ポリアミド系樹脂の場合にはアルコール可溶性であることによりアルコー
ル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等もしくはそれら
の混合溶媒が用いられる。
上記下引き層を形成するためのバインダー樹脂を主成分とする樹脂層は、従来公知の浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などにより塗布される。塗布後は、加熱乾燥することによって膜形成が完了されるが、硬化させる場合には必要に応じて加熱あるいは光照射等の硬化処理を行うこともできる。
上記下引き層の膜厚は、従来のものであれば薄膜にしなければ残留電位上昇が発生しやすかったが、本発明による下引き層の場合、電子輸送性は下引き層の膜厚依存が小さいため、地汚れ抑制を十分に発揮するためにある程度の膜厚にしても、残留電位上昇の副作用は回避できる。
本発明においては、地汚れ抑制、疲労による残留電位及び暗減衰の低減、モアレ防止、感光層の接着性等の全ての特性を向上させるために、下引き層を機能分離し少なくとも二層を積層した構成にすることもできる。この場合、金属酸化物とバインダー樹脂を含有する下引き層が、金属酸化物を含有しない下引き層よりも上層に形成される方が好ましい。ただ、この場合においても、地汚れや残留電位上昇などの課題を全て克服はできておらず、本発明による、超臨界流体を用いて電子輸送物質を混入する方法によって、上記の課題を大きく改善できた。
次に、感光層について説明する。
〔積層構成の感光層〕
先ず、積層構成の感光層について説明する。積層構成の感光層は、電荷発生層と電荷輸送層に大別される。
〈電荷発生層〉
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。
電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料;チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等が挙げられる。電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
必要に応じて、電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、ビーズミル、サンドミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散した塗工液を、導電性基体上又は下引き層上に塗布、乾燥することにより形成される。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。
すなわち、下引き層の構成物質に対して溶解性の乏しいものが好ましい。下引き層の上に電荷発生層を塗工した場合に、下引き層の構成成分が溶出した場合、残留電位上昇要因になったりする可能性が考えられるからである。またこれらの溶媒は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
上記塗工液を用いて電荷発生層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μmであり、0.1〜2μmが好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
〈電荷輸送層〉
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散した塗工液を、塗布、乾燥することにより形成される。また、電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて、単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらの中でも、ポリカーボネート及びポリアリレートが、膜質や静電特性に優れ、また電荷輸送物質の濃度勾配が比較的小さくなることから、本発明においてはより好ましく用いられる。
塗工溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
電荷輸送層を形成した後は、オーブン等で加熱乾燥される。乾燥温度は塗工液に含有される溶媒によっても異なるが、80〜160℃あることが好ましく、110〜140℃がより好ましい。また、乾燥時間は、10分以上であることが好ましく、20分以上がさらに好ましい。
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。電荷輸送物質の含有量が多い方が、電荷輸送層表面の電荷輸送物質の濃度が高くなるが、その場合でも電荷輸送物質の濃度勾配は形成されており、電荷発生層側よりも表面側の方が電荷輸送物質の濃度が低くなる。
電荷輸送層の膜厚は、解像度や応答性の点から、15〜50μmであることが好ましく、20〜35μmがさらに好ましい。
〔単層構成の感光層〕
次に、感光層が単層の場合について説明する。
上述した電荷発生物質、電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散及び/又は溶解させ、電荷発生機能及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光体である。
感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどの従来公知の方法を用いて塗工して形成できる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。
また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。単層の感光層に用いられる電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、有機溶剤及び各種添加剤等に関しては、前述の電荷発生層及び電荷輸送層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。電子輸送物質に関しては、本発明の下引き層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。
バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、更に好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重量部である。また、感光層の膜厚は5〜40μmが適当であり、10〜30μmがより好ましい。
〔保護層〕
本発明においては、感光体の最表面に耐摩耗性の向上のために、保護層を設けることができる。保護層としては、電荷輸送成分とバインダー成分とを重合させた高分子電荷輸送物質型、フィラー分散型、架橋型などが知られているが、本発明においては従来公知のいずれの保護層を用いてもよい。例としてフィラー分散型と架橋型保護層について説明する。
先ず、フィラー分散型保護層について説明する。
感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加されるフィラー材料には、有機性フィラー及び無機性フィラーがある。
有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。
これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが耐摩耗性あるいは高画質化に対し有利である。さらに、金属酸化物の使用は塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。 これらのフィラーの中でもアルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカなどが好ましい。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能である。
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。また、フィラーの添加量としては、フィラーが含有される層に含まれる全固形分に対して、0.1重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜30重量%である。
これらのフィラーが含有されることによって、耐摩耗性は向上するが、残留電位上昇の影響が増加する。この残留電位上昇を抑制するために、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物を添加することが有効である。
酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。なお、本発明における酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
これらの酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等があるがこれらに限られず、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物であればすべて使用することができる。
例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。しかし、この場合、残留電位低減効果は認められるものの、場合によって分散安定性が不十分であったり、画像ボケが発生しやすくなったりする場合が見られることがある。
一方、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、またはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果が高いことから、有効に用いられる。
ポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤としては、BYKケミー社の「BYK−P104」、あるいはそれと類似の構造を有する化合物が挙げられ、特に好適に用いることができる。
前述の酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物、特にそれらの湿潤分散剤の分子量としては、数平均分子量で300〜30000のオリゴマーあるいはポリマーが好ましく、より好ましくは400〜10000である。これよりも分子量が小さいとフィラーに吸着した場合の立体障害が小さくなり、フィラー間の相互作用が増大することにより分散性やその安定性が低下する傾向がある。一方、これよりも分子量が大きくなった場合には、湿潤性や吸着性が劣ってくる傾向があり、分子量が非常に大きい場合には一つのポリマーに複数のフィラーが吸着することになり、それによって逆に凝集を引き起こす傾向が見られる。
フィラー分散型保護層に含有されるバインダー樹脂には、電荷輸送層で用いられるバインダー樹脂をすべて使用することが可能である。
使用可能なバインダー樹脂の一例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル酸やメタクリル酸を用いた各種共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂あるいは共重合体等が挙げられ、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂も好適に用いられる。これらのバインダー樹脂の中でもポリカーボネート、ポリアリレートが特に有効に使用することができる。
フィラー分散型保護層に含有される電荷輸送物質は、電荷輸送層で用いられる電荷輸送物質のいずれも用いることができる。
フィラー分散型保護層の膜厚は、0.1〜10μm程度が適当であり、好ましくは2〜6μmである。膜厚が極度に薄い場合には十分な耐久性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には残留電位上昇の影響が増大したり、解像度が幾分低下したりする場合がある。
本発明におけるフィラー分散型保護層には、必要に応じて可塑剤、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤等の添加物を添加することが可能である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画像安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。
前述のフィラー材料は、少なくとも有機溶剤及び酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、シェイカー、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。この中でも、フィラーと酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。
上記分散液の作製に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、フィラーの分散時には粘度が高い溶剤の使用が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性やその安定性、塗膜品質等に対して非常に有効となる。
使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ、ガラス等すべてのメディアを使用することができるが、特にアルミナを使用することがより好ましい。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法やスプレー塗工法などが用いられるが、膜厚制御やフィラーの分散性維持などからスプレー塗工法を用いるのが好ましい。また、フィラー分散型保護層の必要膜厚を一度で塗工してフィラー分散型保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。
次に架橋型の保護層について説明する。
架橋型保護層は、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送機能を有しない重合性化合物を重合させるものと、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を連鎖重合させるものがある。ここでいう重合とは、ラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合、異性化重合などのことをいう。重合性官能基とは上記反応形態が可能な官能基であればいずれのものでもよい。
不飽和重合は、C=C、C≡C、C=N、C≡Nなどの官能基により重合する反応である。その中でもC=Cが主である。開環重合は、炭素環やオクソ環や窒素へテロ環などのひずみを有する不安定な環状構造が開環すると同時に重合を繰り返し、鎖状高分子を生成する反応であり、イオンが活性種として作用するものが大半である。
重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送性を有しない重合性モノマーを重合させた架橋型保護層について、具体的に説明する。
電荷輸送性を有しない重合性モノマーの官能基としては、いくつのものでも効果は認められるが、3個以上の官能基を有する重合性モノマーの方が架橋密度の向上により耐摩耗性が著しく高くなるため好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーが有効である。
上記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(a)1−置換エチレン官能基:
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(3)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005169453
[ただし、式(3)中、X1は、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。)、または−S−基を表す。]
上記置換基を有していてもよいアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、また、R10におけるアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基等が、アラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記一般式(3)で表される官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(b)1,1−置換エチレン官能基:
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(4)で表される官能基が挙げられる。
Figure 0005169453
[ただし、式(4)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。)、または−CONR1213基(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)を表す。また、X2は前記一般式(3)のX1と同一の置換基および単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、および芳香族環である。]
上記Yにおける置換基を有していてもよいアリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基あるいはエトキシ基等が挙げられ、また、R11における置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基等が、置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル、フェネチル基等が、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、さらにR12およびR13における置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基等が、置換基を有していてもよいアラルキル基としてはベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等が、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記の官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、上記X1、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
また、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋型保護層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は前記式(1)で表されるトリアリールアミン構造を有するものである。また、官能基はいくつのものでも使用可能であるが、1官能のものが静電特性の安定性や膜質の点から好ましい。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造を有し、中でも下記一般式(5)又は(6)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0005169453
Figure 0005169453
[式(5)、(6)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、Ar3、Ar4は置換または無置換のアリール基を表し、Ar1、Ar2は置換または無置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。m、nは0〜3の整数を表す。]
以下に、上記一般式(5)、(6)で表されるものの具体例を示す。
前記一般式(5)、(6)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。また、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基は、例えば、以下に示すような置換基を有してもよい。
〔1〕:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
〔2〕:アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕:アルコキシ基(−OR2)であり、R2は〔2〕で定義したアルキル基を表す。
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕:アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕:アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕:下記の一般式(7)で表される基が挙げられる。
Figure 0005169453
[式(7)中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記〔2〕で定義したアルキル基、またはアリール基を表す。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。]
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕:メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
〔8〕:置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(5)、(6)において、Ar1、Ar2で表される置換または未置換のアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
前記一般式(5)、(6)において、Xは前述のように、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
上記置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
前記置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基があり、これらの環状アルキレン基は、フッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していてもよい。具体的には、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
前記置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表し、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
前記ビニレン基としては、下記一般式(8)または一般式(9)で示される基等が挙げられる。
Figure 0005169453
[一般式(8)、(9)中、R5は水素、アルキル基(前記〔2〕で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で定義されるアリール基と同じ)を表し、aは1または2を、bは1〜3の整数を表す。]
前記Zは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(10)で示される構造の化合物が挙げられる。
Figure 0005169453
[一般式(10)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表す。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、あるいは下記式(a)、(b)、(c)で示される2価基を表す。]
Figure 0005169453
上記一般式(10)で表される化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下の構造式(11)〜(24)に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
Figure 0005169453
また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋型保護層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると、電荷輸送性構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
以上に説明したように、重合性官能基を有する電荷輸送性化合物と電荷輸送性を有しない重合性モノマーを重合させた架橋型保護層については、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を架橋したものが特に有効であるが、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを用いることも可能であり、材料によっては非常に有効な場合がある。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させてもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の架橋型保護層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上を目的として添加される)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋型保護層は、必要に応じて溶媒を用いて塗布される。
このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、かかる架橋型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え架橋させ、架橋型保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、可視光、紫外光、電子線、放射線などがある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。
本発明の架橋型保護層の膜厚は、1μm以上、10μm以下が好ましく、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。
[添加剤]
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層等の少なくとも1層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物:
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類:
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N
’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類:
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類:
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(e)有機燐化合物類:
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
各層に添加できる可塑剤として、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤:
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤:
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤:
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤:
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体:
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤:
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤:
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤:
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤:
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤:
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体:
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体:
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他:
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物:
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物:
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物:
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミド等。
(d)エステル系化合物:
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物:
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん:
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス:
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他:
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系:
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系:
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系:
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系:
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系):
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン):
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
〔導電性基体〕
導電性基体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性基体として用いることができる。
この他に、上記の導電性基体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を塗工したものも、導電性基体として用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。
また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性基体として用いることができる。
《画像形成装置》
次に、図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図9は、本発明の画像形成装置と電子写真プロセスを説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図9において、感光体(21)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ(23)、転写前チャージャ(26)、転写チャージャ(29)、分離チャージャ(30)、クリーニング前チャージャ(32)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
帯電手段である帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラの汚染を軽減させる必要があった。
そこで、図10のごとく帯電ローラを感光体に対してギャップを介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電ローラに付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能である。
この場合、感光体と帯電ローラとのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電ローラを非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体の帯電が不安定になる場合がある。直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電ローラの汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となる
画像露光手段である画像露光部(24)、除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図9に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図9に示されるように転写チャージャ(29)と分離チャージャ(30)を併用したものが効果的である。
また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化あるいは高画質化においてより好ましい。感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。従って、上記の理由により感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。しかし、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題となっていた。本発明における感光体は、ドラムヒーターなしでも画像ボケが発生しにくいことから中間転写方式の画像形成装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
現像ユニット(25)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(28)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(33)あるいはクリーニングブレード(34)により、感光体から除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、クリーニングブレードと併用して行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されたりすると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のために顔料を含有させた層を最表面に形成された感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては非常に有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
本発明により製造された電子写真感光体は、繰り返し使用による地汚れや残留電位上昇の抑制を実現した耐久性に優れた感光体であるので、小径感光体に適用できる。従って、上記の感光体がより有効に用いられる画像形成装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図11は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図11において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、感光体は本発明の感光体である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図11に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に、現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
なお、図11の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図11において帯電部材は感光体と当接しているが、図10に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10−200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、高耐久化が実現されたため小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や地汚れ等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上に図示、説明した画像形成装置と電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図12に示すものが挙げられる。
ここで、上記プロセスカートリッジは、感光体(101)を内蔵し、帯電手段(102)、露光手段(103)、現像手段(104)、クリーニング手段(107)を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。図中、105は記録媒体(転写体)、106は転写手段である。なお、感光体(101)は図1〜図8に示される本発明の電子写真感光体である。
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例により制約を受けるものではない。なお、部は、全て重量部である。
(実施例1)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液を用いて塗布後、140℃20分間加熱硬化を行い、約3.5μmの樹脂層(以下、「下引き層」と称することがある。)を形成した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 16部
メラミン樹脂(L−145−60;
固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 80部
上記樹脂層(下引き層)を形成した構造体を、図13に示した構成の装置に収容し、下記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質を含有した超臨界流体を接触させた(超臨界流体処理)。
本実施例では超臨界流体として二酸化炭素を用いた。すなわち先ず、内容積が3Lの耐圧反応セルに下記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質を5.0g計り入れ、前記導電性基体上に上記下引き層を塗付したサンプルも同じく耐圧反応セルに入れた後、耐圧セルを封止した。
Figure 0005169453
次いで、二酸化炭素を供給ボンベより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプと温度調節機で30MPa、80℃に調節し、温度および圧力が安定した後に1時間静置した。静置後、温度は80℃に保ったまま圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、流量8L/minで30分間二酸化炭素を流すことによって、下引き層に注入されなかった電子輸送物質を耐圧セルから除去した。除去後、温度・圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させることによって、超臨界流体処理を終了した。
続いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を用いて塗布後、130℃20分間乾燥を行ない、約0.2μmの電荷発生層を形成した。さらに、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗布後、130℃20分間乾燥を行い、約27μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。塗布はいずれも浸漬塗工法を用いた。
(電荷発生層用塗工液)
図14に示すX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン: 8部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学工業社製): 5部
2−ブタノン: 400部
(電荷輸送層用塗工液)ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製):10部
下記構造式(A)で示される電荷輸送物質: 7部
Figure 0005169453
テトラヒドロフラン: 80部
下記構造式(B)で示される硫黄系酸化防止剤: 0.5部
Figure 0005169453
シリコーンオイル(100cs、信越化学工業社製): 0.002部
(実施例2)
実施例1において超臨界流体処理の際に用いる電子輸送物質を下記構造式(ETM−2)で示されるものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0005169453
(実施例3)
実施例1において超臨界流体処理の際に用いる電子輸送物質を下記構造式(ETM−3)で示されるものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0005169453
(実施例4)
実施例1において超臨界流体処理の際に用いる電子輸送物質を下記構造式(ETM−4)で示されるものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
Figure 0005169453
(実施例5)
実施例1において下引き層の膜厚を10μmに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例6)
実施例2において下引き層の膜厚を10μmに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 12部
ブロックイソシアネート化合物
(バーノックB3−867;固形分70重量%、
大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 80部
(実施例8)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
酸化亜鉛SAZEX2000(堺化学工業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 20部
ブロックイソシアネート化合物
(バーノックB3−867;固形分70重量%、
大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 80部
(実施例9)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
導電性酸化チタン(ET500W、石原産業社製): 60部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 16部
ブロックイソシアネート化合物
(バーノックB3−867;固形分70重量%、
大日本インキ化学工業社製): 7部
2−ブタノン: 80部
(実施例10)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液1を用いて塗布後、130℃20分間加熱を行い、約0.5μmの下引き層1を形成した。次に下記組成の下引き用塗工液2を用いて塗工後、140℃で20分間加熱を行い、約3.5μmの下引き層2を形成した。
(下引き層用塗工液1)
N−メトキシメチル化ナイロンFR101(鉛市製): 5部
メタノール: 70部
n−ブタノール : 30部
(下引き層用塗工液2)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 16部
メラミン樹脂(L−145−60;
固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 80部
下引き層2を塗工後に実施例1と同様にして超臨界流体処理を行った。またその後、実施例1と同様にして、電荷発生層と電荷輸送層を形成し、感光体を作製した。
(実施例11)
実施例10において、下引き層用塗工液1を下記のように変更した以外は、実施例10と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液1)
共重合ナイロン(アミランCM8000、東レ製): 5部
メタノール: 70部
n−ブタノール: 30部
(実施例12)
実施例1において、電荷輸送層の上に下記組成の保護層用塗工液を用いて、約5μmの保護層を形成して150℃20分間乾燥を行った。保護層の塗布はスプレー塗工法を用いた。それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、
「スミコランダムAA-03」住友化学工業製): 3部
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製): 0.03部
下記構造式(A)の電荷輸送物質: 7部
Figure 0005169453
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製): 10部
テトラヒドロフラン: 230部
シクロヘキサノン: 70部
(実施例13)
実施例1において、電荷輸送層の上に下記組成の保護層用塗工液を用いてスプレー塗工によって保護層を塗布し、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を架橋させた後に、130℃で20分加熱乾燥し、膜厚5μmの保護層を形成した。それ以外は実施例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上の
ラジカル重合性モノマー〔トリメチロールプロパントリアクリレート〕
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製;
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99): 10部
下記構造式(15)で示される1官能の電荷輸送性構造を有する
ラジカル重合性化合物: 10部
Figure 0005169453
光重合開始剤 (1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
(実施例14)
実施例10において電荷輸送層の上に実施例13の保護層を形成した以外は、実施例10と同様にして感光体を作製した。
(実施例15)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
フェノール樹脂(プライオーフェンJ325、大日本インキ(株)製): 4部
メトキシプロパノール: 50部
ベンジルアルコール: 50部
導電性酸化チタン(ET500W、石原産業社製): 8部
(実施例16)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更し、加熱温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKW−1、積水化学工業(株)製): 1部
蒸留水: 20部
(実施例17)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更し、加熱温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
8−ナイロン樹脂(ラッカマイド5003、大日本インキ社製): 7部
メタノール: 62部
ブタノール: 31部
(実施例18)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更し、加熱温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;固形分:50%、
水酸基価:130、大日本インキ化学工業(株)製): 4部
ブロックイソシアネート樹脂(バーノックB7−887−60;
固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製): 2部
2−ブタノン: 120部
(実施例19)
実施例1において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
フェノール樹脂(プライオーフェンJ325、大日本インキ(株)製):4部
メトキシプロパノール: 50部
ベンジルアルコール: 50部
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 8部
(実施例20)
実施例1において超臨界流体処理の際の温度を80℃から120℃に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(実施例21)
実施例19において超臨界流体処理の際の温度を80℃から120℃に変更した以外は、実施例19と同様にして感光体を作製した。
(実施例22)
実施例20において超臨界流体処理を行う前の下引き層の加熱乾燥を140℃20分間から120℃5分間に変更した以外は実施例20と同様にして感光体を作製した。
(実施例23)
実施例21において超臨界流体処理を行う前の下引き層の加熱乾燥を140℃20分間から120℃5分間に変更した以外は実施例21と同様にして感光体を作製した。
(比較例1)
実施例1において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例1と同様にして感光体を作製した。
(比較例2)
実施例5において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例5と同様にして感光体を作製した。
(比較例3)
実施例7において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例8と同様にして感光体を作製した。
(比較例4)
実施例8において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例8と同様にして感光体を作製した。
(比較例5)
実施例9において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例9と同様にして感光体を作製した。
(比較例6)
実施例10において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例10と同様にして感光体を作製した。
(比較例7)
実施例11において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例11と同様にして感光体を作製した。
(比較例8)
実施例12において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例12と同様にして感光体を作製した。
(比較例9
)実施例13において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例13と同様にして感光体を作製した。
(比較例10)
実施例14において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例14と同様にして感光体を作製した。
(比較例11)
実施例15において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例15と同様にして感光体を作製した。
(比較例12)
実施例16において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例16と同様にして感光体を作製した。
(比較例13)
実施例17において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例17と同様にして感光体を作製した。
(比較例14)
実施例18において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例18と同様にして感光体を作製した。
(比較例15)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液を用いて塗布後、140℃20分間加熱を行い、約3.5μmの下引き層を形成した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 16部
メラミン樹脂(L−145−60;
固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 200部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 70部
下引き層を形成後、電荷発生層と電荷輸送層は実施例1と同様にして形成し、感光体を作製した。
(比較例16)
比較例15において下引き層用塗工液中の電子輸送物質を化学式ETM−2に変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(比較例17)
比較例15において下引き層用塗工液中の電子輸送物質を化学式ETM−3に変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(比較例18)
比較例15において下引き層用塗工液中の電子輸送物質を化学式ETM−4に変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(比較例19)
比較例15において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製): 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 12部
ブロックイソシアネート化合物(バーノックB3−867;
固形分70重量%、大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 200部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 70部
(比較例20)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液1を用いて塗布後、130℃20分間加熱を行い、約0.5μmの下引き層1を形成した。次に下記組成の下引き用塗工液2を用いて塗工後、140℃で20分間加熱を行い、約3.5μmの下引き層2を形成した。
(下引き層用塗工液1)
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101、鉛市製): 5部
メタノール: 70部
n−ブタノール: 30部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 4部
(下引き層用塗工液2)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製): 16部
メラミン樹脂(L−145−60;
固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製): 10部
2−ブタノン: 200部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 70部
下引き層2を形成後は、電荷発生層と電荷輸送層を実施例1と同様にして形成し、感光体を作製した。
(比較例21)
比較例20において下引き層用塗工液1を下記のものに変更した以外は、比較例20と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液1)
共重合ナイロン(アミランCM8000;東レ製): 5部
メタノール: 70部
n−ブタノール: 30部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 4部
(比較例22)
比較例15において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
フェノール樹脂: 4部
メトキシプロパノール: 50部
ベンジルアルコール: 50部
導電性酸化チタン(ET500W、石原産業社製): 8部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 8部
(比較例23)
比較例15において下引き層用塗工液を下記のものに変更し加熱温度を170℃に変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKW−1、積水化学工業(株)製): 1部
蒸留水: 20部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 0.7部
(比較例24)
比較例15において下引き層用塗工液を下記のものに変更し加熱温度を150℃に変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
8−ナイロン樹脂(ラッカマイド5003、大日本インキ社製): 7部
メタノール: 62部
ブタノール: 31部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 5部
(比較例25)
比較例15において下引き層用塗工液を下記のものに変更した以外は、比較例15と同様にして感光体を作製した。
(下引き層用塗工液)
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50;
固形分:50%、水酸基価:130、大日本インキ化学工業(株)製): 4部
ブロックイソシアネート樹脂(バーノックB7−887−60;
固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製): 2部
2−ブタノン: 120部
前記構造式(ETM−1)で示される電子輸送物質: 4部
(比較例26)
実施例19において下引き層に超臨界流体処理を行わなかったこと以外は、すべて実施例19と同様にして感光体を作製した。
[電子写真感光体の評価]
以上のようにして作製した実施例1〜23、及び比較例1〜26の電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、(株)リコー製デジタル複写機(imagioNeo271)改造機にセットした。本画像形成装置における感光体の線速は、362mm/secであった。帯電部材にはスコロトロンを用い、画像露光光源は780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)を用いた。帯電電位(VD)は850(−V)になるように印加電圧を設定し、現像バイアスは600(−V)に設定して、初期における露光部電位(VL)を測定した後、画像を出力し画像評価を実施した。その後、2万枚の通紙ランを行い、露光部電位(VL)を測定した後、画像を出力し画像評価を実施した。また通紙ラン後の摩耗量も評価した。なお、画像評価のレベルは、以下の4段階で表した。
◎:非常に良好なレベル
○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル
△:明らかに画像欠陥が認められるレベル
×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。
これらの結果を下記表4(実施例)、及び表5(比較例)に示す。
Figure 0005169453
Figure 0005169453
上記表4及び表5の評価結果からわかるように、本発明の方法により製造した電子写真感光体は、2万枚の通紙ラン後における地汚れ、濃度低下、モアレ等の画像評価において、いずれも問題ないレベルか非常に良好なレベルであるのに対して、比較例は、画像評価項目の少なくともいずれかにおいて、画像欠陥が認められるレベルか、画像品質が非常に悪いレベルである。
即ち、本発明の電子写真感光体は、地汚れ、残留電位や感度などの特性が非常に優れており、高耐久化、小型化、高速化が要求される各種機器(特に、フルカラーレーザープリンタやフルカラーデジタル複写機など)に適用することができ、耐久性にも優れているため長期間にわたり高画質化を実現することができる。
本発明における電子写真感光体の層構成例[導電性基体(1)上に、単層の下引き層(2)と電荷発生層(3)、電荷輸送層(4)を順次積層した構成]を示す概略断面図である。 本発明における電子写真感光体の他の層構成例[図1の単層の下引き層に変えて下引き層1(2-1)、下引き層2(2-2)を有する構成]を示す概略断面図である。 図1の感光層上に保護層が積層された本発明の電子写真感光体を示す概略断面図である。 図2の感光層上に保護層が積層された本発明の電子写真感光体を示す概略断面図である。 本発明における電子写真感光体の別の層構成例[導電性基体(1)上に、単層の下引き層(2)と単層の感光層(6)を順次積層した構成]を示す概略断面図である。 本発明における電子写真感光体の更に別の層構成例[図5の単層の下引き層に変えて下引き層1(2-1)、下引き層2(2-2)を有する構成]を示す概略断面図である。 図5の感光層上に保護層が積層された本発明の電子写真感光体を示す概略断面図である。 図6の感光層上に保護層が積層された本発明の電子写真感光体を示す概略断面図である。 本発明における電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明における別の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明における他の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジを説明するための概略図である。 実施例において下引き層を形成する工程で用いた超臨界処理装置の概略構成図である。 実施例の電荷発生層用塗工液に用いたチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 下引き層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 保護層
6 単層型感光層(感光層)
7 積層型感光層(感光層)
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャ(帯電ローラ)
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャ
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャ
30 分離チャージャ
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャ
33 ファーブラシ
34 クリーニングブレード
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストラー
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
101 感光体
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット
V1 バルブ1
V2 バルブ2
T 温度センサ
P 圧力センサ

Claims (13)

  1. 導電性基体上に少なくとも、下引き層と感光層を順次設けてなる電子写真感光体の製造方法において、
    前記下引き層が、導電性基体上にバインダー樹脂を主成分とする樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、該樹脂層に電子輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる超臨界流体処理工程と、により形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記下引き層が、バインダー樹脂を主成分とする樹脂層中に電子輸送物質を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前期バインダー樹脂が、硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記樹脂層が、前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体中において硬化されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記硬化性樹脂が、置換もしくは無置換のアリール基またはアリーレン基を含むことを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記電子輸送物質が、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記電子輸送物質が、多環キノン顔料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記下引き層が、金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  11. 請求項10に記載の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び電子写真感光体を有し、該現像手段が異なる色のトナーによって充填された複数の現像部を備え、該複数の現像部に対応した複数の電子写真感光体を有するタンデム方式の画像形成装置であって、
    前記感光体が請求項10に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項10に記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段のうちの少なくとも一つの手段が一体となり、かつ画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
JP2008121864A 2007-05-17 2008-05-08 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Expired - Fee Related JP5169453B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008121864A JP5169453B2 (ja) 2007-05-17 2008-05-08 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007131368 2007-05-17
JP2007131368 2007-05-17
JP2008121864A JP5169453B2 (ja) 2007-05-17 2008-05-08 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008310307A JP2008310307A (ja) 2008-12-25
JP5169453B2 true JP5169453B2 (ja) 2013-03-27

Family

ID=40237911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008121864A Expired - Fee Related JP5169453B2 (ja) 2007-05-17 2008-05-08 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5169453B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5176685B2 (ja) * 2008-05-21 2013-04-03 株式会社リコー 電子写真感光体及びその製造方法、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP5581736B2 (ja) * 2010-03-02 2014-09-03 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、電子写真画像形成装置
JP5776264B2 (ja) * 2011-03-28 2015-09-09 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5871775B2 (ja) 2011-11-30 2016-03-01 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP7314549B2 (ja) 2019-03-20 2023-07-26 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001121094A (ja) * 1999-10-27 2001-05-08 Sharp Corp 電子写真感光体用導電性基体の洗浄方法および洗浄装置ならびに電子写真感光体の製造方法
JP3839726B2 (ja) * 2002-01-15 2006-11-01 日立マクセル株式会社 超臨界流体を用いた成形方法
AU2003218685A1 (en) * 2002-03-07 2003-09-16 Eurand Pharmaceuticals Ltd Process for loading and thermodynamically activating drugs on polymers by means of supercritical fluids
JP2004093808A (ja) * 2002-08-30 2004-03-25 Canon Inc 画像形成装置
JP2005314466A (ja) * 2004-04-27 2005-11-10 Mitsubishi Materials Corp ポリマー基材への機能付与方法及びその装置
JP4832182B2 (ja) * 2005-09-15 2011-12-07 株式会社リコー 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4837493B2 (ja) * 2006-08-24 2011-12-14 株式会社リコー 電子写真感光体の製造方法、並びにその製造方法により得られた電子写真感光体及び画像形成装置
JP5151583B2 (ja) * 2007-05-17 2013-02-27 株式会社リコー 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5151485B2 (ja) * 2008-01-08 2013-02-27 株式会社リコー 電子写真感光体とその製造方法、及び画像形成装置、プロセスカートリッジ、画像形成方法
JP5151578B2 (ja) * 2008-03-14 2013-02-27 株式会社リコー 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008310307A (ja) 2008-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006243417A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4807848B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4836842B2 (ja) 電子写真感光体、その製造方法及びそれを利用した画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP5169453B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4169726B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP4676921B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2007327990A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2007155874A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4825691B2 (ja) 画像形成装置
JP4676918B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2007226189A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4763547B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4568658B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4523503B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4615433B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4926451B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4416166B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4926417B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4523511B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2007127764A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4825692B2 (ja) 画像形成装置
JP4771920B2 (ja) 電子写真感光体の再生方法、並びにそれらの方法により得られた電子写真感光体及び画像形成装置。
JP4523507B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4791739B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2007226188A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121217

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160111

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees