JP3839726B2 - 超臨界流体を用いた成形方法 - Google Patents

超臨界流体を用いた成形方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3839726B2
JP3839726B2 JP2002005645A JP2002005645A JP3839726B2 JP 3839726 B2 JP3839726 B2 JP 3839726B2 JP 2002005645 A JP2002005645 A JP 2002005645A JP 2002005645 A JP2002005645 A JP 2002005645A JP 3839726 B2 JP3839726 B2 JP 3839726B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
resin
supercritical fluid
temperature
resin material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002005645A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003205537A (ja
Inventor
敦 遊佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Maxell Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Energy Ltd filed Critical Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority to JP2002005645A priority Critical patent/JP3839726B2/ja
Publication of JP2003205537A publication Critical patent/JP2003205537A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3839726B2 publication Critical patent/JP3839726B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形方法に関するものであり、さらに詳しくは超微細な構造物を正確に転写できるとともにレプリカを多量に複製できる超臨界流体を用いた成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体でもなく気体でもない特異な中間状態にある超臨界流体が注目されている。ダイオキシン等の環境汚染物質を容易に分解するという働きのほか、気体中では溶けない物質が、超臨界流体中では溶けるようになることを利用した超臨界流体抽出法が応用されている。
【0003】
そういったなか超臨界流体の浸透性を利用した新しい転写方法が特開平11-128722で提案されている。これはシリカ等の反応前駆体を溶解させた超臨界流体を反応開始剤を含有させた構造体に接触させ、構造体表面に反応生成物をコーティングする方法である。この方法では構造体表面と反応生成物であるレプリカ(複製物)を非破壊で分離することができないため、レプリカのみを取り出すためには構造体を焼成するなどで除去する必要がある。よって構造体からのレプリカは一度しかとれないため成形方法としては工業化できない。高分子材料を溶解した超臨界流体を無機多孔質膜に接触させる方法(特開平7-144121)も同様である。
【0004】
超臨界流体を熱可塑性の成形に利用したものに下記のようなものがある。まず表皮が無発泡で内部に微細な発泡セルをもつマイクロセルプラスチック(MicrocellularPlastic)であるが、これは米国のマサチューセッツ工科大(MIT)により開発され、基本特許としてUSP5158986号「超臨界状態の流体を用いた熱可塑性プラスチック発泡体」が権利化されている。超臨界流体を可塑化した熱可塑性樹脂に浸透させ、金型に充填した後金型内圧力を低くすることで内部発泡させるという技術であり、本発明の趣旨である微細構造物の転写性向上についての目的とは明らかに異なるものである。
【0005】
また二酸化炭素を樹脂に吸収させると熱可塑性樹脂の可塑剤として働き、樹脂のガラス転移温度を低下させることが"J.Appl.Polym.Sci."Vol.30,2633(1985)等で知られており、これを射出成形に応用した技術が特開2001-62862等で開示されている。これは加圧した二酸化炭素で充満させた金型内に、二酸化炭素COを溶解させた溶融樹脂を充填し成形するものであり、必ずしもCOを超臨界流体にするものではない。COの上述した可塑剤としての効果により樹脂の粘度を一時的に低下させることができるので、転写性が向上するため従来の成形方法の量産性向上には寄与するが、超臨界流体そのものが有する気体に匹敵する浸透性を積極的に利用したものではない。そのため光ディスク基板のパターンレベルであるアスペクト比1程度以下のサブミクロンオーダーの転写では十分だが、ナノオーダーレベルや微細な高アスペクト構造の転写では限界がある。この最大要因は、熱可塑性樹脂は材料の温度を高くしかつ非ニュートン流体の特性を生かして高速射出等により剪断発熱させることによって粘度を低下させるが、約100poise程度が下限であり金型への充填後、樹脂温度よりも100℃以上と非常に低い温度で温度制御された金型に接することによる急激な表面の粘度上昇は上述の方法等で一時的に抑制したとしても樹脂そのものがもつ物性以上には変えられないため低粘度化に限界があるためである。
【0006】
熱可塑性以外の樹脂を用いた成形方法としては紫外線などの光硬化型や熱硬化型がある。一例として紫外線硬化型樹脂による成形方法について図11〜図14を用いて模式的に説明する。図11、図12はそれぞれ、支持金型10に保持されたスタンパ等の転写対象構造体3上の表面に紫外線硬化型の樹脂材料9を流した状態および樹脂材料を金型11でプレス充填した状態を示す。図12のように構造体12に樹脂30が充填された状態で紫外線を照射することで樹脂材料のレプリカがとれる。こうした、成形方法では三次元架橋等の重合反応により材料を硬化させるため、硬化前の材料は比較的低分子体であり前述の熱可塑性樹脂と比較して粘度を1桁以上低くすることができるが、ナノオーダーレベルや超高アスペクト構造体への転写は困難であった。これは微細構造物内部に高分子が充填されたときの残留エアーや表面張力等による影響があるものと考えられるがその現象について図13、図14を用いてより具体的に説明する。本発明においては転写対象の構造体12における樹脂の充填挿入口の最大幅Wと最大深さDの比(D/W)をアスペクト比と定義するが、図13におけるAゾーンのように、個々のパターンの幅Wがナノオーダーに狭くなるとともにアスペクト比が大きくなり、かつ隣接パターンが詰まった配列では、Bゾーンのように各パターンが粗の配列の場合よりも充填が困難となる。また該微細構造体の中に充填が十分されたとしても高アスペクト比の構造物に入り込んだ樹脂は抜けが悪く図14に示すように離型の際に変形し形状精度が得にくいという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来の問題を解決するものであり、従来の成形方法では満足な転写が得られない超微細な構造物を正確に転写できるとともにレプリカを多量に複製できる成形方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の第一の態様は、樹脂を用いた構造物を転写する成形方法においては、不活性ガスの超臨界流体が浸透した固化前もしくは硬化前の樹脂材料を、該不活性ガスの超臨界状態に到達する以上の温度にて温調制御された密閉金型内で、該不活性ガスの超臨界到達以上の圧力で金型を加圧しながら樹脂を固化および硬化させ転写させ後、金型圧力を開放することで該超臨界流体をガス化し、該ガス圧力により樹脂成形品を金型の構造物より離型させることを特徴とした。超臨界流体のもつ浸透性により樹脂本来の粘性体としての物性が改質され、微細な凹凸への塗れ性がよくなりナノオーダーの転写が可能になる。完全に樹脂材料が固化および硬化するまで流体は超臨界状態を維持するので流体がガス化することによる発泡が避けられる。さらに、この方法によれば、微細な構造物の形状を正確に転写したレプリカが形状精度を損なうことなく離型できる。
【0010】
上記本発明の成形方法においては、樹脂材料として熱可塑性樹脂を用い、熱可塑化樹脂の金型への充填およびプレス初期は金型温度を該熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上にし、プレス途中から金型温度をTgより低くし固化させることが可能である。これにより金型に溶融樹脂が接することによる樹脂表面の粘度上昇が抑制できるので、微細構造物への浸透が効果的に行われる。
【0011】
熱可塑性樹脂は、鎖状高分子であり加熱冷却により流動と固化状態を可逆的に変化する樹脂であり任意であるが、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ABS樹脂等が挙げられる。
【0012】
本発明の第二の態様は、上記成形方法に用いられる樹脂材料は光硬化性樹脂であり、金型を加圧しながら該樹脂材料のTg以下の金型温度にて光硬化させることを特徴とした。さらに本発明の第三の態様は、該樹脂材料は熱硬化性樹脂であり該樹脂材料の硬化温度以上の金型温度にて硬化させることを特徴とした。これにより、樹脂材料の微細構造物への塗れ性および浸透性が向上するのでナノオーダーの形状へも樹脂が十分に浸透する。
【0013】
光硬化性樹脂は、光重合性ポリマー、反応開始剤等を含み紫外線の光エネルギーにより重合反応を起こし液状から硬化する樹脂であり任意であるが、エポキシ系、アクリル系、オキシタン系、エンチオール系樹脂等が挙げられる。
【0014】
熱硬化性樹脂としては、外部からの加熱により分子構造が網状に結合され非可逆変化する材料であり任意であるが、例えばフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0015】
また本発明の概念は樹脂材料以外の成形方法、例えばゾルゲル法に応用できる。ゾルゲル法は原料の金属アルコキシドの加水分解と脱水重縮合反応により有機修飾セラミックスを合成する方法であり、例えばテトラエトキシシランを原料としたときの加水分解・脱水縮合反応はそれぞれ(1),(2)式で示される。
【0016】
Si(OC2H5)4 + 4H2O → Si(OH)4 + 4C2H5OH↑ ・・・(1)
Si(OH)4 → SiO2 + 2H2O↑ ・・・(2)
(2)式の脱水縮合反応の結果得られるシリカゲルは内部に溶媒や水を含み、それ自体が多孔体であり、内部に数nm程度の無数の細孔を有している。そのため成形品を焼結させる必要があるが、その際に起こる収縮で高い形状精度が得にくい。反応に用いる水やアルコール溶媒を超臨界流体にして反応させることでシリカゲル内部の孔を低減できると考えられるので転写性が向上すると同時により緻密なガラスが形成できる。また本発明の離型方法のように超臨界流体を転写および反応完了後にガス化することで離型性も改善され上述の従来技術のように転写対象物を破壊することなくレプリカを多量に複製できる。
【0017】
また、従来のゾルゲル法では上述のようにゲル化した後、水やアルコールを乾燥させる必要があるが、触媒となる溶媒を超臨界流体とし、シリカの反応途中もしくは完了後、超臨界流体を密閉反応槽からリークすれば乾燥焼成することなく緻密なガラスの微細構造膜が形成できる。さらに表面の構造体をこうした超臨界流体を用いたゾルゲル反応で形成し、内部は低融点ガラスを加熱プレスして形成するガラスプレス方法で形成すれば、ガラスの表面微細構造体が製造できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
下記に本発明の詳細について説明する。
(実施例1)
図1〜図6は本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形方法を模式的に表したものである。図1〜図2は溶融樹脂の充填工程を示すものであるが、微細な構造物が形成されたスタンパ3が設置された移動金型1は移動テーブル2上にのっており該テーブルとともに該移動金型1は各工程を移動する。
【0019】
スタンパ3における微細構造物は図12でいうところの深さD0.6μm、幅Wが0.15μmでアスペクト比4の凹パターンがスペース0.2μmで連続している高アスペクト比のラインアンドスペースの構造体をNiで形成したものを用い、移動金型の内壁はφ50mmの円盤状のキャビティを形成するようにした。
【0020】
該移動金型は、少なくとも熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上に加熱されており加熱方法は超音波誘導加熱、伝熱加熱、温調溶媒加熱、ハロゲンランプ等による加熱等、直接あるいは間接的に加熱する方法であれば任意である。本実施例においては、予め500℃に加熱されたホットプレート上に金型を密着させると同時にハロゲンランプを照射し移動金型1およびスタンパ3の表面温度が樹脂充填前には200℃になるように制御した。熱可塑性樹脂材料としてはガラス転移温度140℃のポリカーボネートを用いた。熱可塑性樹脂はペレット30としてホッパ31から可塑化シリンダー32に投入されスクリュー33が回転することで可塑化される。ペレット30は可塑化前に十分に脱気させることが望ましく、ホッパー31投入前における図示しない乾燥機内での乾燥脱気以外にも本実施例ではホッパー31を密閉加熱しながら排気した。樹脂を十分に乾燥させ酸素を取り除くことで吸水率の大きい樹脂材料を用いた場合においても後述の射出時に発生しやすい気泡やシール機構34等における滞留による加水分解を抑制できる。また可塑化溶融状態の樹脂に超臨界流体を混合および浸透させてもよいが本実施例においては金型が開放されたときに該流体が樹脂内部より逃げてしまい効率が悪いので密閉金型内で浸透させることとした。
【0021】
本実施例の射出機構はプリプラ式を採用しており、可塑化時には図1のようにシール機構34が開放された状態で、加熱制御されたバンドヒーター35で巻かれた可塑化シリンダー32内のスクリュー33が回転することにより、ホッパー31から投入されたペレット30が可塑化され、該シール機構34を通り、射出プランジャー36の前方に充填される。射出プランジャー36は射出シリンダー38内壁にボールリティーナ39でガイドされており狭いクリアランスでも該射出シリンダーとかじることなく円滑な駆動が可能になっている。射出シリンダー38およびその先端に連結されたノズル6はバンドヒーター37で加熱され樹脂の可塑化中は溶融樹脂がノズル6より漏れないようにシリンダー13機構で制御された弁7でゲート8は閉鎖されている。本実施例においては可塑化シリンダー32のバンドヒーター35は350℃、射出シリンダー38およびノズル6のバンドヒーター37は370℃で制御した。
【0022】
射出時は図2に示すように、シリンダー機構13に連動した弁7の駆動によりノズル6表面のゲート8が開放されるとともに、射出シリンダー38内で油圧等の力により射出プランジャー36が前進することで移動金型内1のスタンパ3表面に可塑化溶融樹脂9が充填される。本発明において充填前の移動金型1は熱可塑性樹脂のガラス転移以上に加熱されているため、溶融樹脂が金型表面に接して固化し表面にスキン層を形成することがなく、射出充填圧も低くて済む。そのため成形品の複屈折が小さくなるとともに温度低下による粘度上昇が抑制できる。なお射出する際における金型内の雰囲気は任意であり、気泡発生を抑制するために真空状態でもよく、また二酸化炭素等の不活性ガス雰囲気でもよい。
【0023】
本実施例においては、該溶融樹脂が充填された移動金型1を移動テーブル2とともにただちに射出工程から転写工程に移載した。転写工程における成形方法の概念図を図3〜図6に示す。まず図3に示すように型締め装置5に固定され加熱温調されたプレス金型4を挿入した。本発明においてプレス金型4の温度制御方法および温度設定は任意であるが、本実施例においては図示しない水を媒体に用いた冷却水が流れる温調回路によって、プレス初期は樹脂材料のガラス転移温度よりわずかに高い145℃で温調しプレス途中から100℃に低くした。本実施例の型締め装置5内にはエアーシリンダー17に内蔵された超臨界流体噴出ピストン15が上下するように備えられており、該ピストン15は図示しない超臨界流体発生装置に連結ホース16でつながれ図示しない電磁弁が開くことで先端から超臨界流体を噴出する。またプレス金型4内には超臨界流体を導入するための内部コア14が配置されており、該コアが上下することでプレス金型4における超臨界流体の流路18,19を連結したり切り離すことができる。また超臨界流体は金型閉鎖時には金型外部に漏れないようにOリング20,21で完全にシールされているので、溶融状態であるため比容積が大きく分子間距離が広くなっている樹脂に急速に浸透していく。
【0024】
本発明においては金型が加圧されスタンパ3等の微細構造物が転写されるまでは、少なくとも転写面における樹脂表面および金型表面はガラス転移温度以上に維持する必要があり、転写が完了した後はガラス転移温度以下に低くする必要があるが、本発明においては移動金型1および移動テーブル2を図示しない冷却プレート上に密着させた。冷却プレートは100℃の温調水で温度制御した。熱容量をもった移動テーブル2および移動金型1は冷却プレートに熱を奪われ徐所に温度が下がるがおよそ40秒で移動金型1およびスタンパ3表面の温度が樹脂材料のガラス転移温度である140℃以下になるようにし、それまでに転写が完了するようにした。
【0025】
本実施例において、超臨界流体の金型への導入は図4に示すように行った。つまり型締め装置5が図示しない油圧力により駆動し、それに固定されたプレス金型4および外周部に設置されたOリング20が移動金型1内に挿入された時点でエアーシリンダー17に内蔵された超臨界流体噴出ピストン15が前進し、金型内の内部コア14を押し下げることで、流路18と19がOリング20内でつながる。そして、図示しない電磁弁の開放により図示しない超臨界流体発生装置から連結ホース16および金型内の流路18,19を通り超臨界流体は密閉金型内に充填される。超臨界流体は不活性ガスを用いたものであれば任意であるが、本実施例においては二酸化炭素を用いた。二酸化炭素が超臨界状態になる条件は温度31.1℃、圧力75.2kg/cm2であるが、本実施例においては温度150℃、圧力200kgf/cm2の条件で超臨界状態とした。また高濃度の不活性ガスを密閉金型内において溶融樹脂とともに充満させた後、該不活性ガスの超臨界温度および圧力以上の環境下で型締め転写させることで、該不活性ガスを超臨界流体に変化させることもできる。
【0026】
超臨界流体を所定量、金型内に充填した後は、図5に示すように超臨界流体噴出ピストン15を後退させ、戻しバネ22の力で内部コア14が後退することで流体の流路18,19は切り離される。ついで型締め装置5に型締め力を発生させることでプレス金型4と移動金型1間のキャビティ間に加圧していき、スタンパ3上の微細構造物を熱可塑性樹脂材料9に転写させる。このときの型締め力は任意であるが、本発明においては少なくとも転写が完了し樹脂が固化するまでは流体を超臨界状態に維持する必要があるので本実施例では型締め力10トン(圧力509kgf/cm2)を3s間かけて転写させた後、型締め力を5トン(圧力255kgf/cm2)まで低くして樹脂を冷却固化させた。
【0027】
樹脂に浸透した超臨界流体は固化もしくは硬化途中で外部に逃がすことで調整できる。樹脂内部に残存した超臨界流体が多いと脱圧時におけるガス化の際に発泡抑制が困難になる。本実施例においては、型締め圧を維持したまま超臨界流体噴出ピストン15を冷却途中に1s前進させ、余剰な超臨界流体や樹脂内部からの揮発ガスを金型外部に逃がした。
【0028】
その後、型締め力を開放し、図6に示すように金型を開いた。圧力開放と同時に超臨界流体は超臨界状態を維持できなくなるのでガス化し体積は大きく膨張しようとするが、樹脂材料は固化しており分子間距離は動きにくい状態にあるので該揮発ガスは図中矢印のように樹脂表面から金型側へ逃げようとする。その圧力を利用して微細な構造体に密着した樹脂のレプリカ9が容易に剥離できる。
【0029】
金型表面から離型した樹脂材料9と移動金型1は次の工程に移動し図示しない取り出しロボットが製品を取り出した後、該移動金型1のみ再度加熱工程に戻る。このように複数個の移動金型1が各工程を移動することで連続的に高アスペクト比構造体のレプリカが生産できる。
【0030】
本実施例における樹脂レプリカを液体窒素で破断し断面形状をSEM観察したところ、ラインアンドスペースの構造体がエッジ形状も含め正確に転写できていることを確認した。
【0031】
(比較例1)
超臨界流体を金型内に導入しない以外は実施例1と同様な装置および方法で成形品を得た。同様に成形品をSEM観察したところスタンパの微細構造体に対し高さが低くアスペクト比が2の成形品となった。また一部で剥離の際に発生したと思われる図14のような形状不良が生じていた。
【0032】
(実施例2)
本発明における光硬化型樹脂材料を用いた成形方法について図7〜図10の模式図を用いて説明する。まず図7に示すように、移動金型1上に樹脂材料9をディスペンサー23等で塗布する。移動金型1上には実施例1と同様に微細構造体を有するスタンパ3が保持されている。
【0033】
本実施例においてはスタンパ3における微細構造物は図12でいうところの深さD0.9μm、幅Wが0.15μmでアスペクト比6の凹パターンがスペース0.2μmで連続している高アスペクト比のラインアンドスペースの構造体をNiで形成したものを用い、移動金型の内壁はφ50mmの円盤状のキャビティを形成するようにした。樹脂材料としては常温における粘度が10ポイズの紫外線硬化型エポキシ系樹脂を用いた。移動金型1の内壁には超臨界流体を充填のための挿入隙間25があり、該隙間25と図示しない超臨界流体発生装置はホース24で接続されている。本実施例において、超臨界流体は実施例1と同様、二酸化炭素の超臨界流体を用いた。
【0034】
樹脂9を移動金型1上に塗布した後、金型1を図8に示す硬化装置に移載した。移動金型1はエアーシリンダー機構27に内蔵されたピストン26の表面に移載され、該エアーシリンダー機構27上には支持棒41およびフレーム28を介して石英ガラス製の金型29が固定されている。該石英ガラス金型29上には紫外線硬化ランプ40が設置されている。本発明において光硬化樹脂材料および金型は少なくとも転写完了までには、超臨界流体が維持できる温度以上かつ樹脂材料のガラス転移温度以下で温度制御する必要がある。本実施例においてエポキシ樹脂材料の硬化後におけるガラス転移温度は230℃であり、移動金型温度が100℃になるようにプレスピストン26を伝熱加熱した。また本実施例においては石英ガラス金型29も図示しないヒーターで伝熱加熱し、紫外線ランプの照射による温度上昇時においても100℃で制御できるようにした。
【0035】
次に図9に示すとおり、移載金型1をエアーシリンダー機構27内のピストン26とともにガラス金型29のOリング42挿入位置まで上昇させ、キャビティ43を完全密閉した。そして、隙間25より超臨界流体を任意の量、密閉金型内に充填させた。本発明においては、超臨界流体を密閉した金型キャビティ43内に充填させた後より樹脂の硬化が完了するまでは、超臨界流体を維持する圧力に保持する必要があるが、本実施例においてはピストン26のプレス力3トン(キャビティ内圧力152kgf/cm2)で保持した。
【0036】
該圧力で保持しながら図10に示すように紫外線ランプ40を照射させ樹脂を硬化させることで厚み1mmの樹脂のレプリカ9を得た。その後、実施例1と同様に圧力開放することで超臨界流体をガス化し製品9をスタンパ3より離型させた。実施例1と同様に該成形品の転写精度を確認したところ、ラインアンドスペースのエッジを含めた形状精度が正確に転写できていることを確認した。
【0037】
(比較例2)
超臨界流体をキャビティ内に充填しない他は実施例2と同様な方法で紫外線硬化樹脂のレプリカを得た。成形品の形状精度を確認したところ、深さはほぼ満足していたものの図14のようなエッジだれや破損をおこしていた。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明の成形方法においては、超臨界流体を樹脂材料内に該材料が硬化もしくは固化するまで介在させることで微細構造物への塗れ性や浸透性を改善できるので、従来の成形方法で得られない高転写性を得ることができると共にそのレプリカを多量に複製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の充填工程を表す説明図である。
【図2】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の充填工程を表す説明図である。
【図3】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の転写工程を表す説明図である。
【図4】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の転写工程を表す説明図である。
【図5】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の転写工程を表す説明図である。
【図6】本発明における熱可塑性樹脂を用いた成形の転写工程を表す説明図である。
【図7】本発明における光硬化性樹脂を用いた成形を表す説明図である。
【図8】本発明における光硬化性樹脂を用いた成形を表す説明図である。
【図9】本発明における光硬化性樹脂を用いた成形を表す説明図である。
【図10】本発明における光硬化性樹脂を用いた成形を表す説明図である。
【図11】従来の紫外線硬化樹脂による成形を表す説明図である。
【図12】従来の紫外線硬化樹脂による成形を表す説明図である。
【図13】従来の紫外線硬化樹脂による成形を表す説明図である。
【図14】従来の紫外線硬化樹脂による成形を表す説明図である。
【符号の説明】
1 移動金型
2 移動テーブル
3 スタンパ
4 プレス金型
5 型締め装置
6 ノズル
7 弁
8 ゲート
9 樹脂材料
10 支持金型
11 金型
12 構造体
13 シリンダー
14 内部コア
15 超臨界流体射出ピストン
16 連結ホース
17 エアーシリンダー
18 臨界流体の流路
19 臨界流体の流路
20 Oリング
21 Oリング
22 戻しバネ
23 ディスぺンサー
24 ホース
25 挿入隙間
26 ピストン
27 エアシリンダ機構
28 フレーム
29 石英ガラス製金型
30 ペレット
31 ホッパ
32 可塑化シリンダー
33 スクリュー
34 シール機構
35 バンドヒーター
36 射出プランジャー
37 ハンドヒーター
38 射出シリンダー
39 ボールリティーナ
40 紫外線硬化ランプ
41 支持棒
42 Oリング
43 キャビティ

Claims (3)

  1. 金型内に設けられた構造物を転写する、樹脂の成形方法において、
    不活性ガスの超臨界流体が浸透した固化前もしくは硬化前の樹脂材料を、
    該不活性ガスの超臨界状態に到達する以上の温度にて温調制御された密閉した前記金型内で、
    該不活性ガスの超臨界到達以上の圧力で前記金型を加圧しながら前記樹脂材料を固化もしくは硬化させ転写させた後、
    金型圧力を開放することで該超臨界流体をガス化し、該ガス圧力により樹脂成品を前記金型内に設けられた構造物より離型させることを特徴とする成形方法。
  2. 上記樹脂材料は光硬化性樹脂であり、金型を加圧しながら該樹脂材料のガラス転移温度Tg以下の金型温度にて光硬化させることを特徴とする請求項1記載の成形方法。
  3. 上記樹脂材料は熱硬化性樹脂であり該樹脂材料の硬化温度以上の金型温度にて硬化させることを特徴とする請求項1記載の成形方法。
JP2002005645A 2002-01-15 2002-01-15 超臨界流体を用いた成形方法 Expired - Lifetime JP3839726B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002005645A JP3839726B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 超臨界流体を用いた成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002005645A JP3839726B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 超臨界流体を用いた成形方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003205537A JP2003205537A (ja) 2003-07-22
JP3839726B2 true JP3839726B2 (ja) 2006-11-01

Family

ID=27644634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002005645A Expired - Lifetime JP3839726B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 超臨界流体を用いた成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3839726B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2003292837A1 (en) 2003-02-25 2004-09-17 Japan As Represented By President Of Shizuoka University Process for producing polymer
JP4786865B2 (ja) * 2003-12-26 2011-10-05 関西ペイント株式会社 重合体膜および重合体膜の製造方法
JP2005187769A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Kansai Paint Co Ltd 重合体
JP2007035998A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Toppan Printing Co Ltd インプリント用モールド
JP5169453B2 (ja) * 2007-05-17 2013-03-27 株式会社リコー 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010052235A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Asahi Kasei Chemicals Corp 薄肉高外観を有する成形品の射出成形法
RU2016113674A (ru) * 2013-09-27 2017-10-12 Сен-Гобен Перфоманс Пластикс Корпорейшн Устройство и способ для изготовления изделия
TW201722699A (zh) 2015-12-30 2017-07-01 聖高拜塑膠製品公司 複合管及其製造與使用方法
JP7460316B2 (ja) * 2017-08-09 2024-04-02 ノードソン コーポレーション 封止部材形成装置、封止部材形成方法及び紫外線硬化性材料注入装置
EP3758903B1 (en) * 2018-03-01 2022-04-06 Basf Se Mold for manufacturing a body made of a porous material

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003205537A (ja) 2003-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4184091B2 (ja) 射出成形方法
KR950015120B1 (ko) 수축성 물질의 성형 방법 및 그 장치
JP3839726B2 (ja) 超臨界流体を用いた成形方法
JP7165413B2 (ja) 熱可塑性ポリマー粒子の型内モールド発泡成形装置及びその成形方法
US11745392B2 (en) Techniques for casting from additively fabricated molds and related systems and methods
KR101502257B1 (ko) 미세구조체의 제조방법
CN101125356B (zh) 一种使泡沫塑料铸造模型局部密实的装置
JP2010120316A (ja) 樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品の製造方法及び光学素子
JPH0885129A (ja) 発泡構造体の製造方法、及び成形装置
Despa et al. Injection molding using high-aspect-ratio microstructure mold inserts produced by LIGA technique
CN111086145A (zh) 一种粒子熔合超临界模压发泡生产工艺及装置
JP2003231148A (ja) 熱可塑性樹脂発泡体の成形方法
Lu et al. Embossing of high‐aspect‐ratio‐microstructures using sacrificial templates and fast surface heating
JP3854537B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡体の成形方法
CN208867422U (zh) 一种热塑性聚合物颗粒模内模塑发泡成型装置
JP2005186490A (ja) 熱可塑性樹脂の成形方法
JP3862948B2 (ja) 成形品の3次元形状成形方法及び成形装置
JP2007137033A (ja) 樹脂成形体加工方法及び樹脂成形体加工装置
JP2007190878A (ja) 熱可塑性樹脂製品の射出成形方法及びこれに用いられる金型
CN106738641A (zh) 一种新型微流控芯片成型模具及方法
JP2003322743A (ja) 光導波路およびその製造方法
JP5771058B2 (ja) 樹脂の成形方法
JP3007850B2 (ja) 樹脂成形方法及び樹脂成形装置
JP3893080B2 (ja) 熱可塑性樹脂の成形方法及び成形装置
JP2962485B2 (ja) 複合型光学素子の離型方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040422

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3839726

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130811

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term