JP2010052235A - 薄肉高外観を有する成形品の射出成形法 - Google Patents

薄肉高外観を有する成形品の射出成形法 Download PDF

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薫 豊内
Kazuyuki Ogata
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    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/174Applying a pressurised fluid to the outer surface of the injected material inside the mould cavity, e.g. for preventing shrinkage marks

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Abstract

【課題】射出成形時における樹脂の型内流動性、特に薄肉流動性を向上させ、高外観性及び機能性を成形品の表面に付与することのできる射出成形法と、その射出成形法で得られる射出成形品を提供すること。
【解決手段】樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)と、
金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)と、
を含む、射出成形法。
【選択図】図1

Description

本発明は薄肉高外観を有する成形品を得るための射出成形法、及びその射出成形法で得られる射出成形品に関する。
近年、工業技術の発達に伴い、携帯電話、パソコン、薄型TV等の高品質化の一つとして、製品の薄肉化、高外観化が進んでいる。これに伴い、これらの機器に使用する樹脂製筐体は薄肉で、且つ、高外観であることが要求されている。これらの要求に応えるべく、樹脂の流動性の改良、樹脂成形品の高外観化の検討が盛んになされている。特に、樹脂の流動性の改良に関しては、強度と流動性を両立させるのが難しく、流動性改良には限界があるのが現状である。
樹脂の型内流動性を向上させる方法として、二酸化炭素の樹脂可塑化効果を利用した射出成形法(例えば、特許文献1)が公知である。
また、超臨界二酸化炭素の溶剤効果を利用して、射出成形時に表面改質剤を溶解させた二酸化炭素を成形品の表面に浸透させ、成形品の表面を改質する射出成形法(例えば、特許文献2)が公知である。
更に、ウエルドライン、フローマークの目立たない高外観の成形品を得る方法として、射出前に金型キャビティの温度を、成形する非結晶性樹脂のガラス転移温度以上に加熱した状態で溶融樹脂を金型内に射出し、射出終了後、金型から成形品が熱変形しないで取り出せる温度まで金型キャビティの温度を冷却して成形品を得る金型温度制御射出成形法(例えば、特許文献3)が公知である。
国際公開98/52734号パンフレット 特開2003−320556号公報 特開平10−100216号公報
しかしながら、特許文献1に記載された射出成形法は、市場が要求するレベルの薄肉成形品を得るには、流動性の向上が未だ不十分である。
特許文献3に記載された射出成形法は、高外観を有する成形品は得られるものの、市場が要求するレベルの薄肉成形品を得るには流動性の向上がやはり不十分である。
このように従来の成形技術では、流動性が不十分であり、市場が要求するレベルの薄肉、且つ、高外観の成形品を得ることは困難である。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、射出成形時における樹脂の型内流動性、特に薄肉流動性を向上させ、高外観性及び機能性を成形品の表面に付与することのできる射出成形法と、その射出成形法で得られる射出成形品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)と、金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)と、を組み合わせることにより、樹脂の型内流動性が飛躍的に向上することを見出した。
また、キャビティ内を加圧する二酸化炭素として、表面改質剤を溶解させた二酸化炭素を用いることにより、成形と同時に、成形品の表面改質を効果的、且つ、効率的に達成できることを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)と、
金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)と、
を含む、射出成形法。
[2]
前記樹脂は非結晶性樹脂である、上記[1]記載の射出成形法。
[3]
前記二酸化炭素は表面改質剤を溶解させた二酸化炭素である、上記[1]又は[2]記載の射出成形法。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれか記載の射出成形法で成形された射出成形品。
[5]
薄肉成形品である、上記[4]記載の射出成形品。
本発明の射出成形法によれば、樹脂が金型キャビティ内を流動する際の金型表面と接触する樹脂の粘度を下げることで、薄肉流動性を顕著に向上させることができる。
また、二酸化炭素として表面改質剤を溶解させた超臨界二酸化炭素を用いることで、薄肉流動性の向上と同時に、成形品表面の改質も達成できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の射出成形法は、樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)と、金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)と、を含む。
本実施の形態の射出成形法によれば、(1)樹脂が金型キャビティ内を流動する際に、フローフロントが二酸化炭素と向流接触し、二酸化炭素の樹脂可塑化効果によって、成形品の表層を形成するフローフロント表層部のガラス転移温度が下がる(工程(a)による作用)、(2)樹脂が金型キャビティ内を流動する際に、金型キャビティの表面温度が樹脂のガラス転移温度以上に保たれている(工程(b)による作用)、この両方の作用により、樹脂が金型キャビティ内を流動する際に、金型表面と接触する樹脂の粘度が下がって、薄肉流動性が顕著に向上するものと推定される。
本実施の形態の射出成形法に用いられる装置の一例を説明する。
図1は本実施の形態で使用される金型の一例を示すものである。図1で示すように金型1は固定型1aと可動型1bで構成されている。可動型1bには、射出成形終了後に、射出成形品を突き出すエジェクターピン4が配置されている。金型1は金型キャビティ温調用冷却孔5a、5bを有し、金型温度調節機8によって制御された加熱媒体供給源9と冷却媒体供給源10から、それぞれ、加熱媒体(例えば、水蒸気)、冷却媒体(例えば、水)が選択的に金型キャビティ温調用冷却孔5a、5bに流れ、樹脂射出前に金型キャビティの表面温度が昇温され、樹脂射出終了後に成形品を冷却するために降温される。金型キャビティ面2a、2bを有する部材は、熱効率を良くするため入れ子構造とし、入れ子は断熱層3a、3bを介して金型本体と熱絶縁された断熱構造とすることが好ましい。また、金型キャビティ温調用冷却孔5a、5bは、金型キャビティの表面を効率良く、昇温及び降温する目的で、できるだけ金型キャビティ面に近い位置に設置されていることが好ましい。金型キャビティ内の機密性を保つためにエジェクターピン4にはシール材7bが、金型パーティング面にはシール材7aが配置されている。シール材としては、耐熱性の観点からニトリル−ブタジエンゴム製等の耐熱性Oリング等を用いることが好ましい。
図2に金型キャビティ内に導入する二酸化炭素の注入口の態様例を示す。金型パーティング面に、巾5mm、深さ3mm程度の溝が金型キャビティの縁(射出成形品の縁)に沿って5〜7mm離れた外側全周に設けられている。前記溝には、成形品の大きさによって異なるが、金型キャビティ全周の縁に50〜200mmの間隔で設けられた巾5〜10mm、深さ0.05〜0.1mmのスリット状(樹脂は流れないが、気体は容易に流れる深さ)の溝が繋がっており、所謂、マニホールド形態の溝が設けられている。金型キャビティに注入する二酸化炭素の漏洩を防ぐため、溝の外側周囲にはシール材7aが設けられている。
液化二酸化炭素ボンベ13から供給された二酸化炭素は、加熱器12で加熱され、改質剤を溶解する改質剤溶解タンク11へ送られる。前記金型パーティング面に設けられた注入口6は、供給弁SV1を介して改質剤溶解タンク11に繋がっている。射出成形の際、樹脂の流動性向上と同時に成形品の表面改質を行う場合は、改質剤溶解タンク11に表面改質剤(以下、単に改質剤とも言う。)を挿入しておき、超臨界状態の二酸化炭素を改質剤溶解タンク11に供給する。
次に、本実施の形態の射出成形法の各工程について説明する。
先ず、樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)について説明する。本工程においては、樹脂を金型キャビティに射出する前に、排出弁SV2を閉じた状態で、供給弁SV1を開けて、金型パーティング面に設けられた注入口6から、金型キャビティ内に二酸化炭素を注入し、金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する、所謂、カウンタープレッシャーをかける。この状態で、樹脂を金型キャビティ内に射出する。
射出成形の際、樹脂の流動性向上と同時に成形品の表面改質を行う場合は、注入する二酸化炭素は超臨界状態であることが好ましい。二酸化炭素を超臨界状態にすることにより、気体(拡散性)と液体(溶解性)の両方の性質が発現し、改質剤を溶解させた二酸化炭素を気体として使用することができる。
この場合、二酸化炭素の超臨界条件は、31℃、7.4MPaなので、少なくとも温度が35℃以上、圧力が8MPa以上の二酸化炭素をカウンタープレッシャーとして用いる。カウンタープレッシャーの圧力は高ければ高いほど、樹脂が型内を流動する際、改質剤を溶解させた二酸化炭素が樹脂のフローフロントに浸透し易くなる傾向にあるが、15MPaを超えると、金型キャビティのシールが困難となる傾向にある。また、カウンタープレッシャーの圧力は、型締め力、射出圧力にマイナスに働き、カウンタープレッシャーの圧力が増大するとその影響が大きくなる傾向にある。上記観点から、注入する二酸化炭素の圧力は、好ましくは9〜15MPa、より好ましくは10〜12MPaである。
射出終了後、直ちに、或いはタイミングを見計らって、供給弁SV1を閉じ、排出弁SV2を開けて、金型内の二酸化炭素を金型外に排出する。排出した二酸化炭素は回収して再利用してもよい。
成形品の表面改質に用いる改質剤としては、特に限定されないが、好ましくは超臨界二酸化炭素に溶解する物質であり、低分子の有機化合物等が好適に用いられる。改質剤としては、例えば、比較的分子量の低い紫外線吸収剤、光安定剤等の耐光性改良剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの改質剤は、単独、或いは混合物として用いることができる。これらの表面改質剤の超臨界二酸化炭素への溶解度を向上させたい場合は、超臨界状態の二酸化炭素にエントレーナ、即ち、助剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類や種々の極性剤を混合させて用いてもよい。
成形品の表面改質の具体例として、例えば、耐光性を付与する場合には、改質剤として紫外線吸収剤と光安定剤を併用して用いる。紫外線吸収剤と光安定剤の併用比率は重量比20〜80/80〜20の範囲が好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、例えば、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールが代表例として挙げられる。光安定剤の代表例は、ヒンダードアミン系光安定剤(略称、HALS)で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えば、三共製、商標SANOL LS−70)が好適に用いられる。二酸化炭素に溶解させる改質剤の量は、0.5質量%以上、好ましくは1質量%程度である。
樹脂の成形工程で成形品の表面に含浸される耐光剤は微量であるが、成形品の極表面層に紫外線吸収剤と光安定剤が配置されるため、これらの改質剤が効率的に作用し、優れた耐光性を有する成形品が得られる。上述した二酸化炭素の樹脂への含浸効率は温度条件に依存するが、本実施の形態の成形法においては、工程(b)により樹脂が型内を流動する際に、金型の表面温度が樹脂のガラス転移温度以上に保たれるので、金型表面に接触した樹脂の温度もガラス転移温度以上に保たれ、その結果、従来の成形法と比べて金型表面に接触した樹脂層へ二酸化炭素が含浸しやすい状態が保持される。
また、二酸化炭素を超臨界状態に保つには、二酸化炭素の温度を31℃以上に保つことが必須であるが、本実施の形態の成形法によれば、樹脂が型内を流動する際に、金型の表面温度が樹脂のガラス転移温度以上に保たれるので、型内の二酸化炭素を超臨界状態に容易に保つことができる。
次に、金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)について説明する。本工程においては、樹脂を射出前に、加熱媒体供給源9から加熱媒体(例えば、水蒸気)を金型キャビティ温調用冷却孔5a、5bに流し、金型キャビティの表面温度を樹脂のガラス転移温度より、好ましくは10〜30℃高い温度に昇温する。樹脂射出後、加熱媒体の供給を止め、速やかに冷却媒体(例えば、水)を冷却媒体供給源10より金型キャビティ温調用冷却孔5a、5bに流し、金型キャビティの表面温度を樹脂のガラス転移温度より30℃以上、好ましくは50℃低い温度に降温して、充分に成形品を冷却した後、成形品を金型より取り出す。成形品を取り出した後は、冷却媒体の供給を止め、速やかに加熱媒体を流し、金型キャビティの表面温度を昇温して次の射出工程に備える。
上述したように成形の1サイクルの中で、金型キャビティ表面の昇温及び降温を繰り返す。樹脂射出時の金型キャビティの表面温度は、樹脂のガラス転移温度よりも高ければ高いほど、薄肉流動性も向上するが、樹脂として非結晶性樹脂を用いる場合には、結晶性樹脂のメルティングポイント(溶融温度)と異なり、ガラス転移温度を超えても粘度変化は小さく(所謂、ゴム弾性の状態で)、薄肉流動性の改良効果は小さい。例えば、樹脂射出時の金型キャビティの表面温度が、樹脂のガラス転移温度プラス50℃であっても、プラス20℃であっても、薄肉流動性の改良効果に大きな差はない。従って、薄肉流動性向上の観点からは、樹脂のガラス転移温度を超えた領域で必要以上に金型キャビティの温度を上げても、昇温時及び降温時に費やされる熱エネルギーが不必要に増えるだけで、結果として、成形サイクル時間が長くなるので好ましくない。
上述した観点から、樹脂射出時の金型キャビティの好ましい表面温度は、樹脂のガラス転移温度プラス10〜30℃である。成形品冷却時の金型キャビティの表面温度は、樹脂のガラス転移温度より好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃低い温度である。例えば、ガラス転移温度110℃(高荷重たわみ温度80℃)を有する非結晶性樹脂ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体)の金型キャビティ面の温度は、樹脂射出時は、好ましくは120〜140℃であり、成形品冷却時は、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
本実施の形態の射出成形法は、上述の工程(a)と工程(b)とを組み合わせることにより初めて、薄肉流動性の飛躍的な向上を達成することができる。工程(a)においては、樹脂が型内を流動する際、二酸化炭素の樹脂可塑化効果により、フローフロントの表層のガラス転移温度が下がるので、その結果、金型表面に接触する樹脂層のガラス転移温度も下がる。また、工程(b)においては、樹脂が型内を流動する際、金型の表面温度が樹脂のガラス転移温度以上に設定されているので、金型表面に接触した樹脂層の温度が高く保たれ、樹脂中に二酸化炭素が浸透し易くなる。
例えば、上述したガラス転移温度110℃を有するABS樹脂の場合、二酸化炭素の樹脂可塑化効果は、金型キャビティに導入するニ酸化炭素の温度、圧力条件、樹脂の射出条件によって異なるが、フローフロントの表層のガラス転移温度、即ち金型と接触する樹脂層のガラス転移温度は50〜80℃程度になると想定される。
樹脂射出時に金型と接触する樹脂の粘度が下がれば、樹脂が型内を流動する際、金型の表面に固化層(流動停止層)が形成されず、薄肉流動性が向上する。通常、樹脂が型内を流動する際、型面と接触した樹脂部分には固化層(流動停止層)が形成され、樹脂はその内側から泉が湧き出すように流動する。流線型の速度勾配を有するファンティンフローの形態(図3B参照)をとる。樹脂が型内を流動する際の摩擦としては、固化層と流動層の界面での分子摩擦が最も大きく、流動の大きな阻害要因となる。特に成形品の板厚が薄くなればなるほど、固化層(流動停止層)の形成が流動性に与える影響が大きくなる。例えば、1mmの板厚で0.2mmの固化層が形成されるとすると、実質的な流動層は0.6mmとなり、同じく2mmの板厚で0.2mmの固化層が形成されるとすると、実質的な流動層は1.6mmとなる。成形品の形状が一定であり、流量、粘度が一定であるなら、圧力損失は、およそ板厚の3乗に反比例するので、板厚2mmの場合の固化層の影響度(固化層の存在によって増える圧力損失)は、(2÷1.6)の3乗でおよそ2倍であるが、板厚1mmの場合の固化層の影響度は、(1÷0.6)の3乗でおよそ4.6倍に増大する。上述したように、板厚が薄いと固化層の影響度が大きくなり、益々、流動性が悪くなる。本実施の形態の成形法によれば、樹脂が型内を流動する際、金型表面に接触した樹脂部分には、固化層の代わりに粘度の低い樹脂層が存在するので、従来の中央部の流速が突出した流線型の速度勾配を有するファンティンフロー(図3B)と違い、表層部と中央部の流速が近似した、所謂、プラグフローに似たような形態(図3A)をとり、流動抵抗が小さくなって飛躍的に薄肉流動性が向上すると推定される。このように、流動形態が変わることによって薄肉流動性が飛躍的に向上する現象は特に注目されてもよい。
工程(b)だけでも、金型表面温度が樹脂のガラス転移温度より高い温度に設定されているので、樹脂が型内を流動する際の樹脂の冷却が抑えられ、金型と接触する樹脂層と流動層との分子摩擦が低減され、ある程度流動性は向上する。しかしながら、金型と接触する樹脂層はガラス転移温度を若干超えた領域であり、粘度の非常に高いゴム弾性の状態なので、流動不可能な固化層の状態に近く、樹脂が型内を流動する際の流動形態は従来のファンティンフローのままである。本実施の形態の成形法においては、工程(b)に、更に工程(a)を加えることにより、金型樹脂が型内を流動する際の、工程(b)の冷却を抑える効果と工程(a)の二酸化炭素の樹脂可塑化効果の併用効果により、金型と接触する樹脂層の粘度は流動可能な状態になり、金型と接触する樹脂層と流動層の分子摩擦は極端に低減され、樹脂が型内を流動する際のフロー形態は、所謂、流動抵抗の非常に小さいプラグフローに似た形態になると推定される。
本実施の形態の射出成形法に用いられる樹脂としては、特に限定されず、一般的に非結晶性の熱可塑性樹脂と称されるものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリスチレン(PS)やハイインパクトポリスチレン(HIPS)のようなゴム補強スチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリルーブチルアクリレートラバーースチレン共重合体(AAS樹脂)、ABS樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリカーボネート(PC樹脂)、PC/ABS等のPC系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂)等のアクリル樹脂、変性ポリフェレンニレンエーテル(変性PPE樹脂)等が挙げられる。
本実施の形態の射出成形法に用いられる樹脂は、ポリマーアロイでもよく、例えば、上述したPC/ABS樹脂、スチレンで変性した変性PPE樹脂、PMMA/ABS樹脂、PC/PS樹脂等が好適に用いられる。また、本実施の形態で用いられる樹脂には、種々の添加剤を添加することができる。具体的には、例えば、エラストマー、可塑剤、発泡剤、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、離型剤及びガラス繊維・チタン酸カリウィスカー・酸化亜鉛ウィスカー等の繊維状補強剤、更には、ガラスビーズ、ガラスフレーク、マイカ、炭酸カルシュウム、タルク等の充填剤を任意に添加することができる。
通常、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク等のフィラー強化充填剤、その他のフィラーを添加したフィラー強化樹脂を従来の成形方法で成形した場合、フィラーの成形品表面への浮きが避けられず、表面平滑な美麗な外観を有する成形品を得ることは困難である。本実施の形態の成形法によれば、工程(b)により樹脂を射出する前に金型キャビティの表面温度を、樹脂のガラス転移温度以上、好ましくは10〜30℃高い温度に昇温して、樹脂を金型内に射出するため、金型キャビティに接触した樹脂が未だ十分に柔らかく、射出圧力による樹脂圧によって成形品表面のフィラーの浮きが抑制され、金型キャビティ面がきれいに再現されるため、表面平滑な高品質の外観を有する成形品を得ることが可能となる。
また、発泡性樹脂を射出成形する場合も同様の効果が得られる。通常、発泡性樹脂を射出成形すると、樹脂が型内を流動する過程で、発泡ガスの噴出により、成形品の表面に発生する表面荒れ、所謂、スワールマークが成形品の表面に発生し易くなる。本実施の形態の成形法によれば、工程(b)により樹脂の射出時に金型キャビティの表面温度が樹脂のガラス転移温度以上に保たれているため、射出直後の成形品の表面は未だ十分に柔らかく、上述したスワールマークが発生したとしても樹脂圧の効果によって解消され、金型キャビティ面がきれいに転写された表面平滑な高品質な外観を有する成形品を得ることが可能となる。更に、本実施の形態の成形法によれば、工程(a)により樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧するため、そのカウンタープレッシャー効果により、樹脂が型内を流動する過程で発生する発泡ガスの噴出が抑えられ、上述したスワールマークの発生自体が抑制される。
以下、実施例によって本実施の形態を更に詳細に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた樹脂、表面改質剤、耐光性試験条件、成形品の成形条件は以下の通りである。
<樹脂>
変性PPE樹脂: 旭化成ケミカルズ株式会社製、商標ザイロンTV08J(グレー色、ガラス転移温度110℃)
<表面改質剤>
紫外線吸収剤: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商標TINUVIN P
光安定剤: 三共製、商標SANOL LS−70
<耐光性試験条件>
キセノン耐候性試験機: ATLAS社製Ci4000
放射照度出力: 雨なし340nm:0.3W/m2、暴露時間300時間
<成形品の成形条件>
射出成形機: 住友重機械工業社製SG220
射出一次圧(樹脂圧換算): 100MPa
射出二次圧(保圧): 射出一次圧の80%
金型温度の制御: 昇温には高圧蒸気使用、冷却(降温)には水を使用
二酸化炭素の注入条件
ニ酸化炭素の圧力: 10MPa
二酸化炭素の温度: 50℃
注入時期: 樹脂射出5sec前
圧開放時期: 射出終了後
<実施例1〜2、比較例1〜3>
図1の構造の金型を用い、変性PPE(旭化成ケミカルズ製、商標:ザイロンTV08J(ガラス転移温度110℃))から、表1の成形条件で200mm角の平板状の成形品(サイドゲート)を成形し、その際の流動性を評価した。流動性は成形品の板厚を1.0mm、0.8mmにした場合に成形可能(充填可能)かどうかで評価した。
各工程の有無、金型温度、流動性の評価結果等を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本実施の形態の実施例1及び2では、板厚0.8mmの平板の成形が可能であった。成形時に金型キャビティの表面温度を昇温及び降温させる工程(工程(b))のみを有する比較例1においては、板厚1.0mmの成形品の成形は難しかった。同様に、成形時に二酸化炭素を金型キャビティ内に注入させる工程(工程(a))のみを有する比較例2においても、板厚1.0mmの成形品の成形は難しかった。工程(a)及び工程(b)を共に有していない比較例3においても、板厚1.0mmの成形品の成形は難しかった。
耐光剤を溶解させた二酸化炭素を用いて成形を行った実施例2においては、耐光性が改良された成形品が得られた。
本発明の射出成形法を用いると、非常に薄肉で、且つ、美麗な外観を有する成形品を得ることができる。また、成形と同時に成形品の表面改質(例えば耐光性改良)も可能であり、薄肉流動性と同時に、良外観、耐光性等が要求されるOA機器のハウジング、フラットパネルディスプレイの前面カバーや筐体等の成形における産業上利用可能性を有する。
本実施の形態で使用される金型の一例を示すものである。 金型キャビティ内に導入する二酸化炭素の注入口の態様例を示すものである。 型内流動の推定される模式図を示すものである。(A)ファンティンフロー形態(B)プラグフロー形態
符号の説明
1 金型
1a 固定型
1b 可動型
2 金型キャビティ
2a、2b 金型キャビティ表面
3a、3b 断熱層
4 エジェクターピン
5a、5b 金型キャビティ温調用冷却孔
6 二酸化炭素注入
7a、7b シール材
8 金型温調機
9 加熱媒体供給源
10 冷却媒体供給源
11 改質剤溶解タンク
12 加熱器
13 液化二酸化炭素ボンベ
SV1 供給弁
SV2 排出弁

Claims (5)

  1. 樹脂を射出する前に金型キャビティ内を二酸化炭素で加圧する工程(a)と、
    金型キャビティ面の温度を樹脂のガラス転移温度以上に昇温した状態で樹脂を射出した後、前記金型キャビティ面の温度を成形品が熱変形しない温度以下に降温して成形品を取り出す工程(b)と、
    を含む、射出成形法。
  2. 前記樹脂は非結晶性樹脂である、請求項1記載の射出成形法。
  3. 前記二酸化炭素は表面改質剤を溶解させた二酸化炭素である、請求項1又は2記載の射出成形法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の射出成形法で成形された射出成形品。
  5. 薄肉成形品である、請求項4記載の射出成形品。
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