JPH09109113A - 繊維性成形品の成形方法およびそれに用いる成形金型 - Google Patents

繊維性成形品の成形方法およびそれに用いる成形金型

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JPH09109113A
JPH09109113A JP29622995A JP29622995A JPH09109113A JP H09109113 A JPH09109113 A JP H09109113A JP 29622995 A JP29622995 A JP 29622995A JP 29622995 A JP29622995 A JP 29622995A JP H09109113 A JPH09109113 A JP H09109113A
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JP
Japan
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molding
mold
cavity
fibrous
water
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Application number
JP29622995A
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English (en)
Inventor
Seiichi Ueda
誠一 上田
Hidetoshi Kimoto
英俊 木元
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Taiho Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
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Publication date
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  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度が高く、通気性が低い成形品を短い成形
サイクルで成形する。 【解決手段】 古紙粉砕紙:馬鈴薯澱粉:水を7:3:
10の配合割合で配合し、加工ニーダにより混練した成
形材料を、多孔性の脱気手段7,8を壁面に取り付け、
その壁面温度は160℃〜220℃とした金型を僅かに
開いた状態のキャビティ5に充填し、ついで上記金型を
閉じることにより圧縮して射出成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙ゴミ,古紙,綿
布,麻,ガラス繊維,ナイロン繊維,ポリアクリル繊
維,ポリエステル繊維のような繊維性の主材料に、澱
粉,ポリビニールアルコールのような高分子結合材およ
び水を添加混練したものを成形材料として用いることに
より廃棄物の再利用などに実施できる成形技術分野に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来において繊維性のもの、例えば古紙
を再利用する場合には、水に溶解させた古紙を金網付き
の型に注入して水を除去し、ついで乾燥して成形品とす
る、いわゆる湿式のパルプモールド法が採用されてい
た。
【0003】また、開放状態にある成形型の内面に、微
小紙片と粉末状澱粉と水とを同時に吹き付け、型を閉鎖
した後に加熱して固化する方法、いわゆる乾式のパルプ
モールド法も採用されている(例えば特開平7−124
914号公報参照)。
【0004】さらに、予め発泡させておくか、または発
泡剤を練り込んだ紙を主原料とした成形材料を、金型内
に射出し、ついで金型を昇温して発泡状の紙成形品とす
る方法も提案されている(例えば特開平7−18611
4号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来における湿式のパ
ルプモールド法にあっては、成形品の形状は単純なも
の、肉厚は均一で薄肉のものに限定され、また、水の除
去および乾燥に長時間を要するので成形サイクルが長
く、かつ廃水処理が必要になるという問題点があった。
【0006】また、従来における乾式のパルプモールド
法にあっては、廃水処理の問題は解消するが、成形品の
肉厚が制限されることは湿式のパルプモールド法の場合
と同じであり、さらに、吹き付け作業が必要になること
から、急速に固化させることができなく、成形品には、
はみ出しが発生し易く、その処理が必要になって成形工
程が複雑となり、成形サイクルが長く、設備費も高価に
なるという問題点があった。
【0007】また、予備発泡した成形材料、もしくは発
泡剤を混入した成形材料を、金型内に射出する方法にあ
っては、成形品に、はみ出しが発生することはなく、肉
厚の制限も緩和されるが、金型を閉じた後に金型を昇温
させるので、成形材料の乾燥固化に時間がかかり、上記
乾式のパルプモールド法とほぼ同様に成形サイクルが長
くなり、設備も高価になるという問題点があった。
【0008】さらに、上記の技術により得られる成形品
は、いずれの場合も、水を除去した後には多孔質となっ
て高い通気性を有し、強度が低いという問題点があっ
た。
【0009】本発明は、繊維性の材料を用いた種々の肉
厚で複雑な形状の成形品でも、短い成形サイクルで成形
することができ、かつ、高い強度を有し、通気性が低い
繊維性成形品を成形することができる方法およびその成
形に用いる成形金型を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明の繊維性成形品の成形方法におい
ては、高分子結合材および水を添加して混練した繊維性
主材料を成形材料とし、この成形材料を、高温に加熱さ
れた金型を僅かに開いた状態にしてキャビティ内に充填
して添加した水の一部を気化除去し、ついで前記金型を
閉じて圧縮して残存する水を気化除去して固化させるも
のである。
【0011】金型は、キャビティの壁面温度が120℃
〜260℃、好ましくは160℃〜240℃となるよう
に加熱すると効果的である。壁面温度が120℃以下で
は、添加した水の蒸発が遅くなり、成形サイクルが長く
なって好ましくなく、一方、壁面温度が260℃以上に
なると、繊維性主材料が分解して変色し、また高分子結
合材として後述する熱硬化性樹脂を用いた場合は、これ
らの樹脂の熱変形温度を上回ることになって離型性に難
点が発生し易くなる。
【0012】また、繊維性主材料としては、紙ゴミ,古
紙,綿布,麻,籾穀,豆腐穀,木粉のような天然の繊維
性のもの、およびガラス繊維、ならびにナイロン,ポリ
アクリル,ポリエステルのような合成樹脂からなる繊維
の何れでも使用することができるが、特に紙ゴミ,古紙
のような紙繊維が好ましい。なお、このような紙繊維の
繊維長さは短いので、強度を必要とする成形品の場合に
は、他の繊維を5%〜40%、好ましくは5%〜20%
複合すると効果的であり、複合する繊維の長さは、3m
m〜10mmが好ましい。
【0013】また、高分子結合材としては、繊維性主材
料と混練する際には、水に可溶であるか、低粘度のエマ
ルジョンを形成し、水を気化除去した際には、固形状で
成形品の離型が容易なものが好ましく、澱粉,ポリビニ
ールアルコール,ポリアクリル酸,ポリアクリルアミ
ド,ポリイタコン酸,カルボキシメチルセルローズ、な
らびにこれらの共重合体のような水溶性高分子材料を使
用することができ、またユリア樹脂,メラミン樹脂,フ
ェノール樹脂,不飽和ポリエステルのような本来は水溶
性でない熱硬化性樹脂でも、その初期縮合物が水溶液も
しくはエマルジョンとなるものは使用することができ
る。この場合、加熱して高温となっている金型内では、
添加した水を気化除去した後の硬化反応により、不溶融
性を有するようになるので、成形品の離型が容易とな
る。また、水溶性高分子材料の場合は、水を気化除去し
て固化した後も水溶性を有するので、耐水性を必要とす
る成形品の場合は、前記の熱硬化性樹脂を用いることが
好ましい。
【0014】この高分子結合材の配合割合は、固化時に
おいて繊維性主材料の10%〜50%、好ましくは20
%〜40%となるのが効果的である。配合割合が50%
以上の場合は繊維性主材料の量が不足して好ましくな
く、一方10%以下では、繊維性主材料との均質な混練
ができ難く、成形品の強度も低下して好ましくない。
【0015】また、水の含有割合は20%〜60%、好
ましくは30%〜50%が効果的である。なお、含有割
合が20%以下では均質な混練ができ難く、かつ相当に
かさ張るものとなって金型内での流動性が悪く、成形作
業が困難となり、一方60%以上になると、水の気化除
去に伴って著しく多孔性となるので、強度が高く、通気
性が低い成形品を得るには、高い圧縮率を必要として好
ましくない。
【0016】さらに、金型を閉じて成形材料を圧縮する
際、成形材料中に5%〜20%の水分を残存することが
好ましい。
【0017】上記課題を解決する成形方法に用いる本発
明の成形金型においては、金型のキャビティ壁面に、キ
ャビティ内に充填される繊維性主材料に添加されている
水を水蒸気として逸散させる多孔性の脱気手段を形成し
たものである。
【0018】また、成形材料は、金型を僅かに開いた状
態でキャビティ内に充填するので、成形材料がキャビテ
ィ外に流出するのを阻止するために、キャビティを形成
する固定側金型および可動側金型のいずれか一方の金型
のキャビティ周縁部には、これを囲撓する凸条堰を形成
し、他方の金型のキャビティ周縁部には、前記凸条堰に
嵌合する凹溝を形成し、金型の接合面は噛み合い状にし
たものである。
【0019】
【発明の実施の形態】上記のように、本発明の成形方法
は、配合割合を50%〜90%、好ましくは60%〜8
0%にした古紙のような繊維性主材料と配合割合を10
%〜50%、好ましくは20%〜40%とした澱粉のよ
うな高分子結合材との配合物に、水を20%〜60%、
好ましくは30%〜50%添加して混練して成形材料と
し、この成形材料を、キャビティ壁面の温度が120℃
〜260℃、好ましくは160℃〜240℃となるよう
に加熱した金型を僅かに開いた状態にして脱気手段を設
けたキャビティ内に充填して添加した水の一部を気化除
去し、ついで残存する水を気化除去する際には、上記金
型を閉じて圧縮した状態で成形するものである。
【0020】この場合、混練する時に添加した水の気化
に伴う蒸気圧により、成形材料は発泡してキャビティ壁
面に押圧され、引き続き発生する水蒸気は、この状態を
維持しながら脱気手段を介して逸散除去され、成形材料
は速やかに乾燥固化される。この乾燥固化の直前に、金
型は閉じて成形材料を圧縮するので、発泡時および脱気
時に形成される気孔は押し潰され、型壁面からの転写性
および寸法精度に優れ、かつ高い強度で通気性が低い成
形品が得られ、この成形品は、廃棄物である古紙のよう
な繊維性主材料と澱粉のような高分子結合材で構成され
るので、生分解性となる。
【0021】成形材料を圧縮する場合、材料中に5%〜
20%の水分が残存することが好ましく、水分の含有割
合が、5%以下では繊維性主材料が殆ど固化状態となっ
て圧縮の効果が得られなく、また20%以上では気化除
去した後に通気孔が形成されて好ましくない。なお、成
形品の形状が、平板状に近い時は、上記の含有割合の範
囲内で比較的低い割合の状態で一挙に圧縮することが好
ましく、筺体のように圧縮方向に平行な立ち上がり部を
有する時は、圧縮時に成形材料を移動させる必要がある
ので、水分の残存率が比較的高い割合の状態で圧縮を開
始し、次第に圧縮率を上げて行くことが好ましい。
【0022】以下に、その具体的な実施例について詳述
する。
【0023】
【実施例】まず、用いる成形金型について、延長ノズル
方式の射出成形金型の構成模式図を示す図1、コールド
ランナ方式の射出成形金型の構成模式図を示す図2およ
び補助ラム式トランスファ方式の成形金型の構成模式図
を示す図3を参照して説明する。
【0024】図1において、1は内部に水管2を有する
延長ノズル、3は上側に位置する固定側型板、4は下側
に位置する可動側型板、5は固定側型板3と可動側型板
4とにより形成されるキャビティ、6はキャビティ5の
周縁部における固定側型板3と可動側型板4との接合面
に形成した噛み合い部で、可動側型板4のキャビティ周
縁部には、これを囲撓する凸条堰6aを形成し、固定側
型板3のキャビティ周縁部には、前記凸条堰6aと嵌合
する凹溝6bが形成されている。7,8はキャビティ5
の壁面に取り付けた多孔性の脱気手段、9は一端が脱気
手段7もしくは8に、他端が金型の外部に連通している
脱気孔、10は固定側型板3および可動側型板4を加熱
する電気ヒータ、11は延長ノズル1とキャビティ5と
を連通するスプルである。脱気手段7は、通気性の多孔
質体からなり、例えば平均空孔径が7μm,空孔率が約
25%の多孔性の金属粉末焼結板を放電加工したもので
ある。また脱気手段8は、例えば金属粉末を焼結して直
径8mm〜12mm,高さ10mmの円筒とし、中央部
に孔径0.05mm〜0.50mmの微細孔34を多数
貫通して形成し(図4参照)、キャビティ5の壁面に、
その面積の5%〜10%を占めるように、すなわち、壁
面100cm2 あたり約6個〜12個の金属焼結円板を
配置すれば、良好な脱気効果が得られ、殆ど瞬時に成形
品を乾燥させて高速成形が可能となる。
【0025】なお、固定側型板3と可動側型板4とが僅
かに開いて凸条堰6aと凹溝6bとが僅かに嵌合してい
る第一次型締め状態では(図1(a)参照)、キャビテ
ィ5への成形材料の充填と水分の一部が気化除去を開始
し、また、固定側型板3と可動側型板4とが閉じて凸条
堰6aと凹溝6bとが完全に嵌合している第二次締め状
態では(図1(b)参照)、残存する水分の気化除去と
成形材料の圧縮とが行われて成形が完了する。
【0026】スプル11が長い場合は、その部分の脱気
が困難となるので、延長ノズル1を用いることにより、
成形材料の乾燥が遅れ易いスプル11は短くし、延長ノ
ズル1は水管2により冷却して80℃以下に保持し、成
形材料の速やかな乾燥を阻止して流動状態を維持させて
いる。
【0027】図2において、12は内部に水管13を有
するコールドランナマニホールド、14はコールドラン
ナ、15はコールドチップ、16は固定側型板、17は
可動側型板、18は固定側型板16と可動側型板17と
により形成されるキャビティ、19はキャビティ18の
周縁部における固定側型板16と可動側型板17との接
合面に形成した噛み合い部で、可動側型板17のキャビ
ティ周縁部には、これを囲撓する凸条堰19aを形成
し、固定側型板16のキャビティ周縁部には、前記凸条
堰19aと嵌合する凹溝19bが形成されている。2
0,21はキャビティ18の壁面に取り付けた多孔性の
脱気手段、22は一端が脱気手段20あるいは21に、
他端が金型の外部に連通している脱気孔、23は固定側
型板16および可動側型板17を加熱する電気ヒータで
ある。なお、脱気手段20は図1で説明した脱気手段7
と、また脱気手段21は脱気手段8と同じ構成のもので
ある。
【0028】また、成形品を多数個取りする場合、ある
いは一個の成形品でも二点以上のゲートを必要とする場
合は、図2に示すように、金型内にコールドランナマニ
ホールド12およびコールドチップ15を配置すること
により、その内部に設けたコールドランナ14に存在し
ている成形材料を低温に維持して流動性を保持してい
る。
【0029】なお、図1における延長ノズル1、あるい
は図2におけるコールドチップ15の先端は、金型の高
温部と接触して高温になり易いので、延長ノズル1の場
合は、成形材料を射出する時以外は接触しないように後
退させ、またコールドチップ15の場合は、先端部に熱
伝導性が低い酸化クロム,ジルコニアなどのセラミック
を溶射して昇温するのを阻止することが好ましい。
【0030】さらに、皿のような容器を成形する場合
は、図3に示すような補助ラム式トランスファ方式の成
形金型を用いることが可能である。図3において、24
は固定側型板、25は可動側型板、26は固定側型板2
4と可動側型板25とにより形成されるキャビティ、2
7,28はキャビティ26の壁面に取り付けた多孔性の
脱気手段、29は一端が脱気手段27あるいは28に、
他端が金型の外部に連通している脱気孔、30は固定側
型板24および可動側型板25を加熱する電気ヒータ、
31は補助ラム、32は型締めラム、33はキャビティ
26の周縁部における固定側型板24と可動側型板25
との接合面に形成した噛み合い部で、可動側金型25の
キャビティ周縁部には、これを囲撓する凸条堰33aを
形成し、固定側型板24のキャビティ周縁部には、前記
凸条堰33aと嵌合する凹溝33bが形成されている。
なお、脱気手段27および28は、図1で説明した脱気
手段7および8と同じ構成のものである。
【0031】成形材料は後述するような配合組成物から
なり、ヘンシェルミキサーなどにより撹拌混合して粉末
状,顆粒状とし、また必要に応じてニーダなどにより予
備混練して粘土状,ペレット状としても良い。
【0032】上記の成形用金型を用いた熱可塑性樹脂用
の成形機は、混練能力が高いので、成形材料を予備混練
する必要はなく、粉末状または顆粒状で供給することが
できるが、成形材料が配合割合により著しくかさ張って
いる場合は、材料供給が不安定になり易いので、ホッパ
内に撹拌装置を取り付けるか、さらにホッパの下部にス
クリュウコンベアを取り付けると効果的である。
【0033】また、上記の成形用金型を用いた熱硬化性
樹脂用の成形機は、スクリュウ圧縮比が小さいので、混
練能力が低く、またトランスファ成形あるいは圧縮成形
では混練部がないので、ニーダなどにより予備混練して
おくことが好ましい。
【0034】成形材料を混練して可塑化させる場合ある
いは予備混練する場合の混練温度は、60℃〜120℃
であり、好ましくは65℃〜80℃が良く、混練温度が
60℃以下になると高分子結合材が澱粉の場合は、糊化
が不十分となって均質分散され難く、また120℃以上
になると混練中に成形材料が乾燥し、かつ発泡する虞れ
があって好ましくない。
【0035】また、成形材料において水の含有割合が低
い場合は、高粘度になるため充填がやや困難となるが、
本来密度が高い成形品が得られ易く、一方、水の含有割
合が高い場合は、粘度が低くなって金型内での流動性が
良くなるので、薄肉で面積が大きい成形品を少ないゲー
ト数で得ることができる。ただし、水の含有割合が高い
成形材料においては、固形分量が少なくなるので、この
ような成形材料を用いた場合は、圧縮時に成形材料が流
出するのを阻止するための凸条堰6a,19a,33a
の高さは大きくする必要がある。
【0036】つぎに成形材料について説明すると、繊維
性主材料としては古紙粉砕紙、高分子結合材としては、
水溶性高分子材料の場合は、精製粉一等検の馬鈴薯澱
粉、また熱硬化性樹脂の初期縮合物の場合は、レゾール
の初期縮合物(フェノール樹脂系)を用いた。
【0037】なお、レゾールの初期縮合物は、フェノー
ル94g(1モル)に対し、37%フォルマリン162
g(2モル)を加え、さらに水酸化ナトリウムの10%
水溶液を20ml加え、還流下で60分反応させた後、
磁製皿に移して撹拌しながら直火で105℃になるまで
濃縮し、メタノールに溶解したものである。
【0038】(実施例1)繊維性主材料,高分子結合
材,水からなる成形材料としては、古紙粉砕紙:馬鈴薯
澱粉:水を7:3:10の配合割合で配合し、約70℃
の加圧ニーダにより約10分間混練し、やや硬いパテ状
にしたものを用いた。図1に示す厚肉成形用の金型を取
り付けた射出成形機を用い、金型温度は約200℃、シ
リンダ温度は高温部で80℃とし、成形材料は最高射出
速度(250ml/s)の60%で型がやや開いた状態
(図1(a)参照)のキャビティ5内に射出充填し、充
填が完了してから80秒後に型を閉じて圧縮し(図1
(b)参照)100秒後に型を開いて成形品(実施品
1)を取り出した。また、初期より型を閉じた状態のキ
ャビティ5内に成形材料を射出充填して成形した成形品
(比較品1)と比較した。
【0039】なお、キャビティ5の形状は、直径が10
0mm,厚さ8mmの円板状とし、開いた状態(図1
(a)参照)でのキャビティ5の厚みは14mmとし
た。
【0040】上記の成形品についての見掛け密度および
外観は、表1に示す通りであった。表1より、実施品1
の場合は、見掛け密度が約1.05g/cm3 で、光沢
も優れているのに比べ、比較品1の場合は、見掛け密度
が低く、光沢も劣り、通気性が認められた。
【0041】表1において、充填量については、射出成
形の場合、重量計測ができないので、見掛け上の量であ
って計量値(cm3 )に相当する。また、圧縮圧力は型
締め力から算出し、この圧力の範囲内で金型を閉じた。
また、成形品の外観は、型壁面よりの転写性が良く、外
観が重要視される場合に充分に満足できるものを
「優」、外観にやや白さが残った光沢面が形成されたも
のを「可」とした。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例2)実施例1の場合と同じ成形材
料を用い、図3に示す薄肉成形用の金型を取り付けたト
ランスファ成形機を用い、金型温度は約200℃、プラ
ンジャ温度は160℃〜170℃に保持し、プランジャ
の前進速度は最高値として成形材料を型がやや開いた状
態(図3(a)参照)のキャビティ26内に射出充填
し、充填が完了してから15秒ないし20秒の間に徐々
に型を閉じて圧縮し(図3(b)参照)、25秒後に型
を開いて成形品(実施品2)を取り出した。また、初期
より型を閉じた状態のキャビティ26内に成形材料を射
出充填して成形した成形品(比較品2)と比較した。
【0044】なお、キャビティ26の形状は、直径が1
20mm,厚さが2mmの皿状とし、開いた状態(図3
(a)参照)でのキャビティ26の厚みは4mmとし
た。
【0045】上記の成形品についての見掛け密度および
外観の光沢は表1に示すように、それぞれ実施品1およ
び比較品1の場合と類似しており、また比較品2の場合
は通気性が認められた。
【0046】(実施例3)高分子結合材として実施例1
における馬鈴薯澱粉の代わりに、上記で説明したレゾー
ルの初期縮合物を用い、成形材料の配合割合および混練
条件は実施例1の場合と同様にし、また図1に示す金型
を取り付けた射出成形機を用いて成形条件などは実施例
1の場合と同様にして成形した成形品(実施品3)の見
掛け密度、外観などは、表1に示す通りである。
【0047】なお、レゾールの初期縮合物はメタノール
溶液として用いるので、硬化後の固形量を予め計測し、
この固形量を配合割合の基準として配合し、メタノール
を含め固形成分以外の揮発成分は、水と同様の作用をす
るものとみなし、配合割合では水の一部として処理し
た。また、成形品の離型を容易にするために、レゾール
の初期縮合物の固形量の3%に相当するステアリン酸亜
鉛を混合した。
【0048】さらに、途中工程において、レゾールの初
期縮合物の硬化反応が進行するのを阻止するために、混
練温度および射出成形時のシリンダ温度は、いずれも6
0℃以下に維持し、また、金型温度は、硬化物の熱変形
温度がやや低いことから180℃とし、また、この金型
温度を低くしたことにより、成形サイクルは実施例1の
場合と比べて約20%長くした。
【0049】高分子結合材として水溶性である馬鈴薯澱
粉を用いた場合に比べ、レゾールの初期縮合物を用いた
場合は著しく耐水性に優れた成形品が得られる。
【0050】(実施例4)実施例3と同じ条件の成形材
料を用い、図3に示す金型を取り付けたトランスファ成
形機を用い、実施例3の場合と同じ条件で成形した成形
品(実施品4)の見掛け密度,外観などは表1に示す通
りである。なお、成形サイクルは、実施例3と同様、実
施例2の場合と比べて約20%長くした。
【0051】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、通気性が極めて低く、かつ充分な曲げ強度
を有する生分解性の繊維性成形品を、廃棄物の再利用な
どにより短い成形サイクルで容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いる延長ノズル方式
の射出成形金型の構成模式図で、(a)は成形材料の充
填時の状態、(b)は圧縮時の状態である。
【図2】本発明の実施例において用いるコールドランナ
方式の射出成形金型の構成模式図で、(a)は成形材料
の充填時の状態、(b)は圧縮時の状態である。
【図3】本発明の実施例において用いる補助ラム式トラ
ンスファ方式の成形金型の構成模式図で、(a)は成形
材料の充填時の状態、(b)は圧縮時の状態である。
【図4】同射出成形金型の脱気手段を示し、(a)はそ
の上面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
5,18,26 キャビティ 7,8,20,21,27,28 脱気手段 6,19,33 噛み合い部 6a,19a,33a 凸条堰 6b,19b,33b 凹溝

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維性主材料に高分子結合材および水を
    添加して混練した成形材料を、加熱した金型を僅かに開
    いた状態にしてキャビティ内に充填して添加した水の一
    部を気化除去し、ついで前記金型を閉じて残存する水を
    気化除去する繊維性成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】 キャビティ壁面温度を120℃〜260
    ℃とする請求項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  3. 【請求項3】 キャビティ壁面温度を160℃〜240
    ℃とする請求項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  4. 【請求項4】 繊維性主材料として紙繊維を用いる請求
    項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】 紙繊維に他の繊維を5%〜40%複合し
    た繊維性主材料を用いる請求項1記載の繊維性成形品の
    成形方法。
  6. 【請求項6】 紙繊維に他の繊維を5%〜20%複合し
    た繊維性主材料を用いる請求項1記載の繊維性成形品の
    成形方法。
  7. 【請求項7】 高分子結合材として水溶性高分子材料を
    用いる請求項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  8. 【請求項8】 高分子結合材として水溶性もしくはエマ
    ルジョンとなる熱硬化性樹脂の初期縮合物を用いる請求
    項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  9. 【請求項9】 高分子結合材の配合割合は、固化時にお
    いて繊維性主材料の10%〜50%とする請求項1記載
    の繊維性成形品の成形方法。
  10. 【請求項10】 高分子結合材の配合割合は、固化時に
    おいて繊維性主材料の20%〜40%とする請求項1記
    載の繊維性成形品の成形方法。
  11. 【請求項11】 水の含有割合を20%〜60%とする
    請求項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  12. 【請求項12】 水の含有割合を30%〜50%とする
    請求項1記載の繊維性成形品の成形方法。
  13. 【請求項13】 金型を閉じる際、成形材料中に5%〜
    20%の水分を残存させる請求項1記載の繊維性成形品
    の成形方法。
  14. 【請求項14】 金型のキャビティ壁面に、多孔性の脱
    気手段を形成した成形金型。
  15. 【請求項15】 キャビティを形成する金型部位のキャ
    ビティ周縁部に凸条堰を、他方の金型部位のキャビティ
    周縁部に前記凸条堰に嵌合する凹溝を形成した成形金
    型。
  16. 【請求項16】 固定側金型および可動側金型により形
    成されるキャビティの壁面に多孔性の脱気手段を設け、
    一方の金型のキャビティ周縁部に凸条堰を、他方の金型
    のキャビティ周縁部に前記凸条堰に嵌合する凹溝を形成
    した成形金型。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0936245A2 (en) * 1998-02-12 1999-08-18 Daiho Industrial Co., Ltd Molding compound for articles including a cellulose fiber and a method for molding the same
JP2016033791A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 金箭印刷事業有限公司 無線信号伝送素子を有する紙箱及びその製造方法
CN108356952A (zh) * 2017-12-27 2018-08-03 合肥市硕理机电科技有限公司 一种碎木搅拌压块装置

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