JP2951955B1 - 紙繊維を利用した製品の製造方法 - Google Patents

紙繊維を利用した製品の製造方法

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JP2951955B1
JP2951955B1 JP10318353A JP31835398A JP2951955B1 JP 2951955 B1 JP2951955 B1 JP 2951955B1 JP 10318353 A JP10318353 A JP 10318353A JP 31835398 A JP31835398 A JP 31835398A JP 2951955 B1 JP2951955 B1 JP 2951955B1
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学 須藤
康介 八木
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B27WORKING OR PRESERVING WOOD OR SIMILAR MATERIAL; NAILING OR STAPLING MACHINES IN GENERAL
    • B27NMANUFACTURE BY DRY PROCESSES OF ARTICLES, WITH OR WITHOUT ORGANIC BINDING AGENTS, MADE FROM PARTICLES OR FIBRES CONSISTING OF WOOD OR OTHER LIGNOCELLULOSIC OR LIKE ORGANIC MATERIAL
    • B27N5/00Manufacture of non-flat articles

Landscapes

  • Dry Formation Of Fiberboard And The Like (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 粘着性が少ない成形材料を用い、キャビテイ
内での流動を均等にし、添加した水の除去を容易にして
乾燥時間、成形サイクルを短くする。 【解決手段】 紙繊維:澱粉:ポリビニルアルコール:
水との割合を、7:2.1:0.9:6.5とし、これ
の合計量100部に対してステアリン酸亜鉛を1部添
加、混練して粘着性を少なくしたタブレット状の成形材
料29を、固定側金型1の型壁面19および可動側金型
5の型壁面20にシボ加工をしたキャビテイ内に流動さ
せて均一に充填し、かつ固定側金型1および可動側金型
5は180℃の温度に保持させて添加した水は水蒸気と
してパーティング面15、16の間に形成する0.1m
mの間隙から放出除去することにより、平滑でひび割れ
のない表面を有する製品を短い成形サイクルで製造する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、故紙、紙パルプの
ような紙繊維を主材料とした生分解性の製品、例えば育
苗容器、あるいは無帯電性の製品、例えばIC用トレー
等を製造する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙繊維を利用した製品を成形する材料と
して、紙繊維に澱粉および水を配合した成形材料が出願
人により提案されており、この成形材料を用いて製品を
成形する場合、キャビティ内に充填し易くするために成
形材料を混練することが必要であり、また、キャビティ
内に充填した成形材料に添加されている水を気化させて
除去することにより乾燥固化させるために多孔性の脱気
手段を設けている(例えば、特開平9−76213号公
報、特開平9−109113号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の紙繊維を利用し
た製品を製造する場合にあっては、以下に説明するよう
な問題点を有していた。
【0004】1.紙繊維と澱粉と水とを混練した成形材
料は、水が除去されて乾燥固化した状態では、粘着性が
ないので、金属とも密着しなく、容易に離型することが
できる。しかし、水を含んだ状態では、粘着性を有する
ので、混練する工程では器壁等に粘着して混練装置内か
らの取り出しが困難となって作業性が悪くなり、また、
混練した成形材料を、例えばタブレット状、ペレット状
に形成した場合は、相互に粘着して取扱いが煩雑とな
り、さらに、金型内に充填した成形工程では、キャビテ
ィ壁面との界面で成形材料の表面に形成される極めて薄
い固化層が、キャビティ壁面に密着した状態となり、成
形材料から発生した水蒸気を放出し難くなって乾燥時間
が長くなり、さらに離型時にひび割れが発生し易くな
る。
【0005】2.紙繊維と澱粉と水とを混練した成形材
料をキャビティ内に充填する場合、通常キャビティ壁面
は鏡面または研削面に加工されておるので、キャビティ
壁面との界面で成形材料の表面に形成される極めて薄い
固化層が、後から充填される成形材料に押されてスリッ
プし易くなり、しかもそのスリップの状況はキャビティ
壁面の状態により異なったものとなる。その結果、キャ
ビティ内での成形材料の流れは、スリップフローとな
り、しかも場所により異なる流動となって均等に流れな
くなり、ウエルドを形成して成形品の外観や強度を損な
うことになる。
【0006】3.キャビティ内で成形材料から発生した
水蒸気を、多孔性の脱気手段により放出除去する場合、
成形品の肉厚が比較的に均一で成形品の表面積が余り大
きくなく、キャビティ内の成形材料の粘度が低く、流動
性を有するときには殆ど問題がないが、成形品の表面積
が大きく、成形材料の流動距離が長いとき、あるいは成
形品の一部に薄肉部が存在するときは、成形材料の充填
圧力を増大させる必要があり、また、キャビティ壁面と
の界面に形成される固化層は薄くて軟弱であるので、固
化層が破損されると、脱気手段の多孔内に成形材料が侵
入して閉塞し、水蒸気が放出され難くなって乾燥固化に
長時間を要し、成形サイクルが長くなる。
【0007】本発明は、紙繊維と水溶性結合材と水とを
混練した成形材料の粘着性を減少させ、キャビティ内で
の成形材料の流動を均等にし、キャビティ内で発生する
水蒸気の放出除去を容易にして短い乾燥時間と成形サイ
クルとで外観、強度に優れた製品を成形することができ
る製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明の紙繊維を利用した製品の製造方法におい
ては、紙繊維と澱粉結合材のような水溶性結合材と水と
の配合物に非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を添加した成
形材料を用い、キャビティ壁面の少なくとも一部に、成
形材料の充填方向に対して流動抵抗を有する粗面を形成
した成形金型を用い、この成形金型は120〜220℃
に保持することにより、成形材料に含まれている水はキ
ャビティ内で水蒸気とし、この水蒸気は成形金型のパー
ティング面に形成する間隙より放出除去して成形材料を
乾燥固化させることとしている。
【0009】そして、このように成形材料に非アルカリ
金属の長鎖脂肪酸塩を添加することにより、混練すると
きには、器壁等に粘着することがなく、作業性を良好に
し、取扱い易くすることができ、また、成形するときの
キャビティ内では、成形材料の表面に形成される固化層
がキャビティ壁面と粘着し難くなるので、成形材料より
発生する水蒸気は、キャビティ壁面と固化層との間を流
通して容易に放出除去され、乾燥時間を短縮することが
でき、さらに離型するときには、ひび割れの発生をなく
することができる。
【0010】また、成形金型のキャビティ壁面の少なく
とも一部に、成形材料の充填方向に対して流動抵抗を有
する粗面を形成することにより、成形材料の表面に形成
された固化層が、キャビティの壁面に沿ってスリップす
ることがなくなるので、成形材料は、スリップフローで
はなくファンテンフローの流動をして充填され、流動距
離も大きくなる。その結果、成形材料は均一に充填され
てウエルド部を発生させることもなく、またその部分に
ひび割れの発生もなく、均質で外観が良好で機械的強度
も充分な破損し難い製品を得ることができる。
【0011】さらに、キャビティ内で発生させた水蒸気
は、水蒸気圧力により成形材料の表面の固化層とキャビ
ティ壁面との界面を流通させ、成形金型のパーティング
面に形成する間隙より容易に放出除去することができ、
成形サイクルを短縮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の紙繊維を利用した製品の
製造方法にあっては、紙繊維50〜90部と澱粉結合材
もしくはこの澱粉結合材の10〜50%をポリビニルア
ルコールにより置換した澱粉系結合材のいずれかが10
〜50部との配合物100部に水50〜200部を添加
した混合物100部に対し、非アルカリ金属の長鎖脂肪
酸塩を0.2〜2.0部添加した混練物を成形材料とし
て用い、キャビティ壁面の少なくとも一部に、成形材料
の充填方向に流動抵抗を有する粗面を形成し、かつ12
0〜220℃の温度に保持した成形金型を用い、この成
形金型のパーティング面を密着させた状態でキャビティ
内に前記成形材料を充填し、ついで、前記パーティング
面の間に0.02〜0.50mmの間隙を形成し、この
間隙よりキャビティ内で発生した水蒸気を放出除去して
成形材料を乾燥固化させるものである。
【0013】そして、ひび割れの発生がなく、均質で外
観が良好で機械的強度も充分な破損し難い製品を短い成
形時間で得ることができ、成形サイクルを短縮すること
もできる。
【0014】本発明において用いる成形材料の主成分と
なっている紙繊維および澱粉結合材あるいはこの澱粉結
合材の一部をポリビニルアルコールで置換した澱粉系結
合材は水溶性かつ生分解性で無帯電性であるので、成形
体も生分解性で無帯電性となる。また、水を添加して混
練すると、高温状態では極めて低粘度の流動性を有し、
混練時には器壁に密着することがなく、成形時には成形
金型のキャビティ内にスムーズに充填することができ
る。また、充填した後は、表面から乾燥して薄い固化層
を形成し、この固化層はキャビティ壁面と密着しないの
で、内側からの水蒸気圧力により、密着することなく常
にキャビティ壁面に押圧された状態となっているので、
成形体の外観寸法がキャビティのそれと一致し、転写性
も良く、成形収縮や反りの発生もなくなり、しかも、添
加した水は、高温に保持されたキャビティ内で急速に水
蒸気に変換され、固化層とキャビティ壁面との界面を流
通し、パーティング面の間の間隙より容易に放出させる
ことができる。
【0015】また、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を添
加することにより、この長鎖脂肪酸の金属塩が内部離型
剤として作用するので、成形材料を混練して可塑化する
工程においては、成形材料が器壁やダイス等に粘着する
のを阻止して作業性を向上させる。その上、長鎖脂肪酸
の金属塩の存在により、成形材料がキャビティ壁面と密
着し難くなるので、成形材料に添加されている水が、水
蒸気になった際、その水蒸気は成形材料の固化層とキャ
ビティ壁面との界面を容易に流通させることができる。
この非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩の作用は、脂肪酸鎖
部分に基づく非極性部分と非アルカリ金属部分に基づく
極性部分とにより、界面活性機能を有し、水に不溶性で
撥水性を有し、その上、溶融および粉体の何れの状態で
も滑性を有していることに起因するものと考えられる。
【0016】また、紙繊維50〜90部と澱粉結合材も
しくはこの澱粉結合材の10〜50%をポリビニルアル
コールにより置換した澱粉系性結合材のいずれかが10
〜50部との配合物を用いているが、紙繊維が50部以
下で澱粉結合材等の結合材の配合量が50部以上になる
と、紙繊維の補強効果が弱くなり、機械的強度が高い成
形品が得られなくなって好ましくなく、一方、紙繊維が
90部以上で結合材の配合量が10部以下になると、紙
繊維を充分に結合し難くなるので、成形体の表面状態が
粗となり、同時に成形体の機械的強度が低下して好まし
くない。
【0017】また、上記の紙繊維と結合材との配合物1
00部に、水50〜200部を添加して混練している
が、水の添加量が50部以下の場合には、混練がスムー
ズに行われ難くなって混練に負荷がかかり、かつ成形材
料が発熱して均質な混練物になり難く、また、混練した
成形材料をペレット状もしくはタブレット状にしたとき
に形状を維持させることが困難となり、かつ、高温に保
持したキャビティ内での流動性が低下して好ましくな
い。一方、水を200部以上添加して混練した場合に
は、著しく低粘度で泥状の混練物となって成形に用いる
には好ましくないものとなる。
【0018】また、上記の紙繊維と結合材と水との混合
物100部に、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩0.2〜
2.0部添加しているが、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸
塩を0.2部以下添加した場合には、その滑性効果が少
なく、成形材料の混練工程では器壁等に粘着し易くなっ
て作業性が悪くなり、また、成形工程では、キャビティ
壁面に粘着し易くなって水蒸気を放出するのに時間が長
くかかり、さらに、成形体の離型工程ではスムーズに離
型し難くなり、ひび割れが発生し易くなって好ましくな
い。一方、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を2.0部以
上添加した場合には、成形材料の混練工程では器壁との
摩擦抵抗が減少するので、短時間で均質に混練すること
が困難となり、さらに、キャビティ内において成形材料
の合流が起こった場合に、その接合部での機械的強度が
低下して好ましくない。
【0019】紙繊維としては、木材、木綿、亜麻、麻、
藁等より得られる製紙用パルプ材の状態、あるいは、使
用済み新聞紙、雑誌、段ボール等の紙類、板紙、裁断屑
紙、製紙工程で発生する破紙、損紙、落とし紙、使用済
み廃紙等のような故紙の状態のものが使用でき、これら
を微粉砕したものは、成形材料として配合した場合でも
分散し易く、成形体の表面が平滑性に優れたものとなり
効果的である。
【0020】結合材としての澱粉結合材もしくは澱粉系
結合材は、紙繊維と極めて類似性を有する分子構造にな
っているので、紙繊維を強固に接着結合させることがで
き、また、成形体の肉厚が薄い場合でも、高強度で高剛
性を示して反りが発生し難くなり、さらに、水が除去さ
れたときには不溶融性となるので、高温状態の金型から
の離型が容易になる。
【0021】また、ポリビニルアルコールの分子構造
は、紙繊維および澱粉とは異なるものであるが、分子内
に澱粉と同じ程度の親水基を有するので、澱粉と相溶し
て紙繊維を結合させる機能を有し、さらに、長鎖状高分
子で澱粉のように分岐構造ではないので、靱性が高く、
澱粉と混合して結合材に使用すると成形体に靱性を付与
することができる。そこで、澱粉の10〜50%をポリ
ビニルアルコールにより置換してポリビニルアルコール
を複合させた澱粉系結合材を用いると優れた靱性を示
し、ひび割れがない成形体を得ることができる。
【0022】非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩としては、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステア
リン酸ストロンチュウム、ラウリン酸カルシウム、ラウ
リン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸アル
ミニウム、ラウリン酸ストロンチウムの単独、もしくは
それらを複合混合したものが、紙繊維および澱粉と均質
に混合され易く、粉体状態で優れた滑性を示し、界面で
の滑性効果による潤滑性作用および離型作用により、加
工性を向上させることができるので効果的である。
【0023】また、本発明において、以上で説明した成
形材料を充填する成形金型は、120〜220℃の温度
に保持しているので、充填した成形材料に含有されてい
る水はキャビティ内で迅速かつスムーズに水蒸気に変換
させることができる。また、キャビティ壁面の少なくと
も一部に、成形材料の充填方向に流動抵抗を有する粗面
を形成しているので、キャビティ壁面と接触する成形材
料の表面に形成される固化層がキャビティ壁面と密着性
がない場合でも、スリップすることがなく、成形材料は
キャビティ内に、いわゆるスリップフローではなくファ
ンテンフローの流動により充填される。そして、固化層
は極めて薄く、熱伝導性が低下しているので、キャビテ
ィ内に固化層を介して存在する成形材料は、固化層によ
り乾燥が阻止された状態になって低粘度の流動性を有
し、しかも長い距離を流動することができるようにな
り、ひび割れがなく、破損し難い大型の成形体も得るこ
とができる。
【0024】成形材料の流動方向に流動抵抗を有する粗
面は、キャビティ壁面を形成する固定側金型もしくは可
動側金型の少なくとも一部に形成すれば固化層のスリッ
プを阻止することができ、粗面を形成するには、シボ加
工により粗面化したり、金網を埋設して粗面化したり、
断面鋸歯状の凹凸を形成して粗面化したり、あるいは砥
粒を付着させて粗面化したりして形成することができ
る。
【0025】さらに、本発明においては、比較的高温に
加熱した金型の固定側および可動側金型を閉じてパーテ
ィング面を相互に密着させ、それにより形成したキャビ
ティ内に射出または圧縮等の成形法により成形材料を充
填させ、ついで前記の固定側金型と可動側金型とを微小
間隔量だけ開いてパーテング面の間に微小の間隔を形成
して発生した水蒸気を放出除去するようにしているの
で、高温に保持された成形金型のキャビティ内で成形材
料から発生する水蒸気は、成形材料の表面に形成された
固化層とキャビティ壁面との界面を流通し、パーティン
グ面の間隙からスムーズに放出され、成形材料は短時間
で乾燥固化されて成形サイクルを短縮することができ
る。
【0026】パーティング面の間に形成する間隙が0.
02〜0.50mmの場合に、成形材料を流出させるこ
となく、水蒸気のみを速やかに放出除去することができ
る。しかし、間隙が0.50mm以上に開き過ぎると、
成形材料から発生する水蒸気に起因する発泡圧力により
成形材料の表面の固化層が破壊され、成形材料が水蒸気
とともにパーティング面の間の間隙から流出して成形体
に空洞部あるいはバリが発生し易くなり、また、間隙が
0.02mm以下で開きが不十分であると、キャビティ
内に発生した水蒸気により成形材料が膨張してキャビテ
ィ壁面に密着し、水蒸気を放出し難くなって乾燥時間が
長くなって好ましくない。
【0027】なお、パーティング面の間に間隙を形成し
て水蒸気を放出させ、ついでパーティング面の間の間隙
を閉じ、再びパーティング面の間に間隙を形成して水蒸
気を放出させる工程を繰り返して行うと、効率良く、速
やかに水蒸気を放出して乾燥固化することができる。こ
れは、発生する水蒸気の圧力によって成形材料が膨張
し、固化層とキャビティ壁面とが密着して水蒸気の流通
が妨げられることがあるが、パーティング面を離反させ
て間隙を形成し、ついでパーティング面を密着させて成
形材料を圧縮し、そのあとで、再びパーティング面を離
反させて間隙を形成する動作を繰り返すことにより、固
化層とキャビティ壁面との界面に水蒸気の流路が確保さ
れるものと思われる。
【0028】また、パーティング面の間に間隙を形成す
る場合、弾性体を補助力に使用すると間隙を確実にかつ
迅速に形成することができて効果的である。例えば、固
定側金型もしくは可動側金型のいずれか一方に、バネの
ような弾性体を取り付け、パーティング面を密着させる
際は、その弾性体を圧縮して弾性力を保持させ、パーテ
ィング面を離反させる際に、その弾性力を補助力に使用
するような形態で実施することができる。
【0029】
【実施例】本発明の実施例として、横150mm、縦2
00mm、深さ30mm、肉厚1.2mmの生分解性の
箱型容器を圧縮成形により製造する場合について詳述す
る。
【0030】先ず、この実施例において用いた成形材料
について説明する。紙繊維として安積濾紙(株)製の木
材パルプ、澱粉として王子コーンスターチ(株)製のコ
ーンY、ポリビニルアルコールとして日本合成化学工業
(株)製のゴーセノールNM−14、内部離型剤である
非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩としてキシダ化学(株)
で試験研究用として調整したステアリン酸亜鉛をそれぞ
れ用い、以下に説明するような割合に混練して成形材料
を調整した。
【0031】これら素材の配合割合は、紙繊維:澱粉:
ポリビニルアルコール:水との割合を、7:2.1:
0.9:6.5とし、これの合計量100部に対してス
テアリン酸亜鉛を1部添加した。
【0032】成形材料を調整するには、合計量が1Kg
になるように、前記の割合で、紙繊維、澱粉、ポリビニ
ルアルコール、水、およびステアリン酸亜鉛をそれぞれ
秤取して撹拌して混合する。この撹拌混合したものをボ
ルグワーナ社製の同方向回転、2軸混練押出機により押
し出したのち、直径約5mm、長さ約5mmのペレット
状とした。この2軸混練押出機は、スクリュウ径28m
m、L/D32で、混練条件としてはシリンダおよびダ
イの温度は70℃、スクリュウの回転速度は200rp
mとした。
【0033】なお、成形材料の調製においては、撹拌混
合の工程、混練の工程、ペレット状にする工程等で、当
初添加した水の一部を消失しているので、この消失した
水に相当する量の水をペレット状にした成形材料に添加
して含浸させたのち、射出成形機によりタブレット状の
成形材料として水の配合量を確保するようにしている。
上記タブレット状成形材料の製造に使用した射出成形機
は、住友重機(株)製のSH−220型機で、シリンダ
ー温度は70℃で、タブレット用金型の温度は30℃と
した。また、計測した結果より成形材料に添加して含浸
させた水の量は成形材料1Kgあたり30gである。
【0034】次に、圧縮成形に使用する金型について、
その構成模式図を示す図1を参照して説明する。
【0035】図1において、1は固定側型板2を断熱板
3を介して固定側取り付け板4に取り付けて構成した固
定側金型、5は可動側型板6を断熱板7を介して可動側
取り付け板8に取り付けて構成した可動側金型、9は固
定側取り付け盤、10は可動側取り付け盤、11は型開
閉ラム、12は可動側取り付け盤10に植設した型取り
付けボルトで、遊端部13は可動側取り付け板8に設け
た透孔14内に遊嵌されて可動側取り付け板8が型取り
付けボルト12に案内されて摺動できるようになってい
る。なお、遊端部13は可動側取り付け板8よりも約3
0mm突出させている。
【0036】15は固定側金型1のパーティング面、1
6は可動側金型5のパーティング面、17は可動側金型
5のパーティング面16に取り付けた補助バネで、パー
ティング面15、16を相互に離反させる方向に作用す
る弾性力を有している。18は固定側金型1と可動側金
型5とを閉じてパーティング面15、16を密着させた
ときに形成されるキャビティで(図1(b)参照)、こ
のキャビティ18を形成する型壁面19、20には、成
形材料を充填するときに成形材料が充填方向にスリップ
するのを阻止するために、それぞれにシボ加工を施して
流動抵抗を有する粗面を形成している。なお、この実施
例では、(株)棚沢八光社のTH−106タイプのシボ
加工処理により、表面粗さ計でRaが7.2μm、Rm
axが47μmの凹凸状態を有し、サンドペーパーでは
#600に相当する粗さを有する粗面を形成している。
【0037】21はパーティング面15、16が離反し
たときの距離、すなわち、パーティング15、16の間
隙寸法の規制手段で、一端が可動側金型5の可動側型板
6に固定され、固定側金型1の固定側型板2と対向する
他端に挿入孔22を設けている制御ピン固定板23と、
前記挿入孔22に嵌入する制御ピン24と、固定側金型
1の固定側型板2に前記挿入孔22と連通するように設
けた穴部25とを有する。そして、固定側金型1と可動
側金型5とを閉じると、挿入孔22と穴部25とは同心
位置となるので、制御ピン24の先端部26を穴部25
に挿入することができる。また、制御ピン24の先端部
26の径は、穴部25のそれよりも小さくして先端部2
6を穴部25と遊嵌させているので、この両者の径の差
の半分、すなわち、穴部25と先端部26との間隙に相
当する寸法に、パーティング面15、16が離反すると
きに形成される間隙の寸法を規制することができる。2
7は固定側金型1を加熱するカートリッジヒータ、28
は可動側金型5を加熱するカートリッジヒータ、29は
タブレット状成形材料である。
【0038】なお、この実施例においては、カートリッ
ジヒータ27、28により成形金型の温度は180℃に
保持し、また、制御ピン24の先端部26の直径は1
4.8mm、穴部25の直径は15.0mmとしてパー
ティング面15、16の間に0.1mmの間隙が形成さ
れるようにしている。
【0039】次に、以上説明した成形材料および成形金
型を用いて箱型容器を圧縮成形する方法について詳述す
る。
【0040】まず、図1(a)に示すように、固定側金
型1と可動側金型5とが開いた状態で可動側金型5の型
壁面20の中央部にタブレット状の成形材料29を載置
し、ついで型開閉ラム11を前進させ、保持バネ17を
圧縮しながら固定側金型1と可動側金型5とを閉じる
と、パーティング面15、16が密着してキャビティ1
8が形成され、成形材料29はスリップすることなく放
射状に流動してキャビティ18内に充填され、添加した
水は加熱されて水蒸気が発生する。
【0041】つぎに、同心位置の挿入孔22および穴部
25に制御ピン24を挿入し、その先端部26を穴部2
5に位置させて規制手段21をセットした状態(図1
(b)参照)で型開閉ラム11を後退させると、固定側
金型1と可動側金型5との締め付け力が除かれるので、
パーティング面15、16は、補助バネ17およびキャ
ビティ18内の水蒸気圧により迅速かつ容易に離反し、
その間には、規制手段21により規制された0.1mm
の間隙が形成され、キャビティ18内に発生した水蒸気
はこの間隙からスムーズに放出されて成形品を迅速かつ
確実に乾燥させる。
【0042】そして、水蒸気の放出が終了したのち、固
定側金型1と可動側金型5とを閉じて制御ピン24を挿
入孔22および穴部25から引き抜いて規制手段21を
解除し、ついで固定側金型1と可動側金型5とを開けば
成形品を取り出すことができる。
【0043】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0044】用いる成形材料は、それを調製する混練工
程では、器壁等に粘着し難く、キャビティに充填する成
形工程では、キャビティの先端部にもスムーズかつ均一
に充填し易い流動性を有するものであり、また、この成
形材料をキャビティ内に充填する際は、壁面をスリップ
することがないので、流動距離を長くすることができ、
均一に充填され、ウエルドの発生およびその部分でのひ
び割れがなくなり、さらに、添加した水は水蒸気として
スムーズにかつ短い時間で放出除去することができる。
【0045】その結果、均質で良好な外観を有し、バリ
の発生がなく、ひび割れがなく、機械的強度を有する生
分解性の製品を短い成形サイクルで製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において使用した圧縮成形金型
の構成模式図で、(a)はその金型が開いた状態を示
し、(b)はその金型が閉じた状態を示す。
【符号の説明】 1 固定側金型 5 可動側金型 15,16 パーティング面 18 キャビティ 19,20 型壁面 29 成形材料
フロントページの続き (72)発明者 船木 正彦 大阪府守口市大日町1丁目3番7号 大 宝工業株式会社内 審査官 長井 啓子 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B27N 3/00 - 5/00 D21H 1/00 - 1/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙繊維50〜90部と澱粉結合材もしく
    はその澱粉結合材の10〜50%をポリビニルアルコー
    ルにより置換した澱粉系結合材のいずれかが10〜50
    部との配合物100部に水50〜200部を添加した混
    合物100部に対し、非アルカリ金属の長鎖脂肪酸塩を
    0.2〜2.0部添加した混練物を成形材料として用
    い、キャビティ壁面の少なくとも一部に、成形材料の充
    填方向に流動抵抗を有する粗面を形成し、かつ120〜
    220℃の温度に保持した金型を成形金型として用い、
    この成形金型のパーティング面を密着させた状態でキャ
    ビティ内に前記成形材料を充填し、ついで、前記パーテ
    ィング面の間に0.02〜0.50mmの間隙を形成
    し、この間隙よりキャビティ内で発生した水蒸気を放出
    除去して成形材料を乾燥固化させる紙繊維を利用した製
    品の製造方法。
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