JP4599086B2 - 成形用金型 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された熱可塑性樹脂製精密成形品の製造方法では、成形品表面に凹状通路を形成するため、対応する金型の凸部の根本にガス抜き用の溝を形成する。
特許文献2に開示された射出成形装置では、通気性鋼材にてキャビティを形成し、成形過程に合わせてキャビティから吸引、キャビティに加圧する。
また、特許文献3に開示された金型、光学記録媒体および支持基板では、キャビティを構成する面を粗面とし、基板の密着性を低減させる。
また、気孔層が凹部分ごとに独立している。更に、気孔層の気孔の幅が0.15μm以下である。
この可動プラテン7には可動金型6が取り付けてある。固定金型3と可動金型6を閉じることによって形成されるキャビティ4の一面に微細凹凸パターンを有する駒5を取り付ける。
射出成形方法であるが、可動プラテン7を前進させて、固定側金型3と可動側金型6を閉じることで形成するキャビティ4に、図1の右側に位置する可塑化装置(図示せず)により溶融された樹脂をノズル1から充填する。
キャビティ4に充填された樹脂は金型で冷却され固化する。その後、可動側プラテン7を後退させて、金型を開き、キャビティ4から成形品を取り出す。この動作を繰り返す。
図2は可動側プラテン7に取り付けられた可動側金型をキャビティ面から見た斜視図である。可動側金型6に設けられたキャビティ4の底面部に微細な凹凸パターン10を有する駒(またはスタンパ)5が組み込まれている。
微細な凹凸パターン10は、レーザ光や電子線によるリソグラフィ、電鋳による光ディスクのスタンパ作成工法やLIGAプロセスによって形成されることができる。
まず、基板上にポリメチルアクリレート(PMMA)を被覆した積層板にレーザ光を直接照射するか、または凹凸パターンの凸部が遮蔽されたパターンのマスクを介してX線を照射する。
次いで、レーザ光やX線が照射されて分解したPMMAを取り除くと、レーザが照射されなかった部分またはマスクで遮蔽された部分が凸となる凹凸パターンが形成される。
この凹凸パターンをマスタ型にして電鋳することで、Ni層を形成する。マスタ型から分離したNi層を金属ブロックに貼り付けることで微細な凹凸パターン10を有する駒5を作成する。
成形品の微細な凹凸パターンに対応する、金型キャビティ4(駒5)面の微細な凹凸パターン10の凹部分12の底面部が径φ0.15μm以下の気孔を有する気孔層17となっており、また、各凹部分12の底面部の気孔層17はそれぞれ他の凹部分12の底面部の気孔層17とは繋がらず独立した形状であり、キャビティ4の外へは繋がっていない成形用金型と射出成形機を用いる。
可動金型6のキャビティ4上の微細な凹凸パターン10を転写するために、樹脂13を微細な凹凸パターン10に充填するさい、微細な凹凸パターン10の凹部分12に充填している樹脂13先端部にキャビティ4内の空気、ガスが残存する。
しかし、樹脂13をさらに充填することによって微細な凹凸パターン10の底面部にある気孔層17に樹脂13先端部に残存したガスを追い出し、圧縮させることによって転写したい凹凸パターン形状を形成する。
気孔層17の気孔径は0.15μm以下と十分に小さいため、樹脂13は気孔層17内には充填できないので、微細な凹凸パターン10の表面は気孔の跡がない面が形成される。残存ガスが極微細凹部分へ押し込められるため、表面に残存ガスによるひけ状の跡が形成されずに微細な凹凸パターンを精度良く形成できる。
また、離型時には型開により型締め圧力が解放されるので、気孔層に圧縮された残存ガスがキャビティ4面と樹脂13の間に放出され、キャビティ4面から樹脂13を剥離させる作用を起こすため、離型が促進される。
射出成形装置で射出された樹脂13は、この樹脂13から排出される樹脂ガスと固定側金型3および可動側金型6により形成されたキャビティ4にある空気を押し出しながら充填する。
このとき樹脂ガスおよび押し出される空気は固定側金型3および可動側金型6の間からこれらの金型の外に排出される。しかし、駒5の表面にある微細凹凸パターン10の凹部分12に、樹脂13充填のさいに排出されなかったガス14が僅かに残る。
このガス14が、微細な凹凸パターン10と樹脂13の間に介在するため、微細な凹凸パターン10の凹部分12内を樹脂13で充填することが不可能になり、転写率の低下を引き起こす。
このため、微小粒子16間に形成させる気孔の幅は0.15μm以下となる。幅が0.15μmで有れば、樹脂13は気孔に充填することはない。ここで、底面部15の微小粒子15の積層の厚みは、微細な凹凸パターン10内に残留したガスを収容できる任意の形、深さに設定されてよい。
微小粒子16は、粒径が0.5μm以下で、樹脂13の成形温度以上の耐熱性があればその材質はとくに限定はされないが、微粒子化し易い金Auや銀Agと用いるととくに好都合である。
積層された銀は粒径が小さいため、その融点はバルクな銀(約960℃)より低くなり、約200℃で微小粒子16の表層が溶け始め、気孔を形成した状態で隣接する微小粒子16および微細な凹凸パターン10と一体化される。つまり、微小粒子16が焼結された状態で、微小な多孔質を形成した状態となる。
気孔を有する底面部15が形成された微細な凹凸パターン10に樹脂13が充填されると、まず、凸部の上面15に樹脂13が接する。次に、微細な凹凸パターン10の凹部分12に樹脂13が充填されるが、樹脂13と微細な凹凸パターン10の凹部分12の間にガスが残留する。
それによって、樹脂13は微細凹凸パターン10の凹部分12に残留ガスが介在せずに充填される。この状態で樹脂13が冷却固化することで、微細な凹凸パターン10を精度良く転写することができる。
次に、成形品を取り出す段階で、可動側プラテン7が後退し型開き動作により成形中に金型に与えていた圧力が解放される。このとき、樹脂充填時に微細な凹凸パターンの底面部15にある微小粒子16の気孔層17に押し込まれて圧縮された残留ガスが放出される。
それによって、微細凹凸パターン10から樹脂13を押し出す動きになると共に、微細な凹凸パターン10と樹脂13の間に拡がることで、微細な凹凸パターン10への樹脂13の密着性を低くする。
そのため、微細な凹凸パターン10からの成形品の離型性が良くなり、離型時の抵抗により成形品の微細凹凸パターン10や、成形品形状を変形させる不具合が生じない。
また別の例として、微細な凹凸パターン10の凹部分12の底面部15を粒径0.2μm以下のポリスチレン製の微小粒子16を積層し、ポリスチレン製の微小粒子16の間に酸化チタンの粉末をゲル化させて充填する。
その後、高温に加熱することで、ポリスチレン製の微小球は蒸発し、酸化チタンは焼結されるので、気孔を有する底面部15が形成される。酸化チタンは焼結での収縮により、ポリスチレン製の微小粒子16の粒径より小さくなる。
幅が0.15μmであれば、樹脂13は気孔に充填することはない。ここで、底面部15の微小粒子16の積層の厚みは、微細凹凸パターン10内に残留したガスが収容できる任意の形、深さに設定されてよい。
焼結によって気孔を形成した底面部15は状微細凹凸パターン10と一体化される。ここで、微小粒子16間に充填する材料はセラミクスを作成する他の材料であってもよい。
さらに、粒径0.15μm以下の微小粒子16の層を形成してから微細凹凸パターン10を形成してもよい。この場合、積層形成(図7)、微細凹凸パターン形成(図8)、電鋳(図9)、剥離(図10)、焼成(図11)の工程を経る。
図7の積層形成の工程では、ガラス基板20の上にアクリル樹脂21をスピンコートで厚みを制御して塗布する。次にアクリル樹脂21上にポリスチレン製の微小粒子16を積層する。
図8の微細な凹凸パターン形成工程では、図7で作成した各層にFIB、レーザ光などで微細な凹凸パターン10を形成する。図9の電鋳工程では、図8で作成した微細な凹凸パターン10をマスタとして無電解電鋳でNi層23を形成する。このとき、微小粒子16の間をNiで埋めることができる。
以上のプロセスによりの底面部15に径0.15μmの気孔を有する微細凹凸パターン10を形成することができる。このNi層23を駒5に貼り付けて成形することで、微細凹凸パターン10を高精度に転写し、離型による変形がない成形品を得ることができる。
微細凹凸パターン10の底面部15の気孔が個々に独立していることにより、成形時に残留ガスを圧縮しておくことができ、微細な凹凸パターン10の凹部分内に樹脂ガスなどが抜けきれ無くても微細な凹凸パターン形状を高精度に転写できる。
極微細凹部分の形状の幅を0.15μm以下にすることによって、成形時の樹脂13が極微細凹部分に充填せず、表面性が良好で高精度の微細凹凸パターン10を得ることができる。
微細凹凸パターン10の凹部分12の底面部15に微小粒子16を積層することで、微細な凹凸パターン10の凹部分にガス抜き用の形状を簡易に、幅0.15μm以下の気孔を形成することができるので、微細な凹凸パターンの転写が高精度にできる成形用金型を安価に提供できる。
4 キャビティ
5 駒
6 可動金型
10 微細な凹凸パターン
12 微細な凹凸パターンの凹部分
13 樹脂
15 気孔を有する底面部
16 微小粒子
17 気孔層
Claims (3)
- 少なくとも1つの面に微細な凹凸によるパターンを有する成形品を射出成形により製造するための成形用金型において、
前記成形品の微細な凹凸パターンに対応する可動側金型面の微細凹凸パターンの凹部分の底面部を、固定側金型と可動側金型で形成されるキャビティのみに連通する気孔を有する気孔層とし、該気孔層を微小粒子の積層にて形成することを特徴とする成形用金型。 - 前記気孔層が凹部分ごとに独立していることを特徴とする請求項1記載の成形用金型。
- 前記気孔層の気孔の幅が0.15μm以下であることを特徴とする請求項2記載の成形用金型。
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