JP4335225B2 - 樹脂成形体の製造方法および装置 - Google Patents

樹脂成形体の製造方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4335225B2
JP4335225B2 JP2006115966A JP2006115966A JP4335225B2 JP 4335225 B2 JP4335225 B2 JP 4335225B2 JP 2006115966 A JP2006115966 A JP 2006115966A JP 2006115966 A JP2006115966 A JP 2006115966A JP 4335225 B2 JP4335225 B2 JP 4335225B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
resin
molded body
resin molded
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006115966A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007283714A (ja
Inventor
章弘 内藤
数利 焼本
司 白銀屋
伊東  宏
崇 落岩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Steel Works Ltd
Original Assignee
Japan Steel Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Steel Works Ltd filed Critical Japan Steel Works Ltd
Priority to JP2006115966A priority Critical patent/JP4335225B2/ja
Publication of JP2007283714A publication Critical patent/JP2007283714A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4335225B2 publication Critical patent/JP4335225B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、樹脂成形体の製造方法および装置に関するものであり、詳しくは、表面に微細な凹凸部を有する樹脂成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる樹脂成形体の製造方法および装置に関するものである。
現在、数十nmから数百μmの微細な凹凸形状を表面に有するとともに、三次元、薄肉、かつ大面積の形状を有する成形体が、マイクロレンズ・アレイのような電子ディスプレイ用光学部品、マルチモード光導波路のような光情報通信用部品、マイクロ化学チップのようなライフサイエンス部品等として求められている。
従来、微細な凹凸形状を有する製品は、ガラスやシリコンの基板上に、機械加工により、形成されていたが、加工時間が長くコストが高いなどの問題があり、近年、安価で大量生産に適している樹脂への転換が図られている。
一般にこのような成形体は、少なくとも一方の表面に微細な凹凸部を有する上金型および下金型を用い、この下金型上(もしくは下金型と上金型の間)に熱可塑性樹脂を設置し、金型を閉鎖させてプレスし、その後、得られた成形体を金型から離型することによって製造されている。
しかしながら、このようにして製造された表面に微細な凹凸形状を有する成形体は、特に微細な凹凸形状のアスペクト比(深さ/幅)が高い場合に顕著であるが、転写率が高いと、金型の微細凹凸部と強固に付着し、離型できない;無理に離型した場合、微細凹凸部を損傷させたり、成形体を破損してしまう;特に、抜き勾配のない成形体の場合、金型を微細凹凸面に対し、厳密に垂直に引抜かなければ、微細凹凸を損傷させてしまう;という問題点を有する。
特許文献1(特開2002−59440号公報)には、成形型より光学部品を離型するに際し、両者の接合部に局所的な温度差を与えて接合部を局所的に剥離し、該局所的な温度差による剥離域を順次拡大させて全域の離型を行う光学部品の製造方法および装置が開示されている。しかしこの技術は、成形型と光学部品の温度差によるソリを利用するため、光学部品が成形型から斜め方向に離型することになり、微細な凹凸形状が損傷するという問題点がある。この問題点は、微細な凹凸形状が円柱や角柱等の形状を有する場合に顕著であり、これにより微細な凹凸形状によっては適用できないものがある。また、微細な凹凸形状のアスペクト比(深さ/幅)が大きい場合には、特に円滑な垂直方向への離型が困難となる。装置についても冷却用のエアー配管や押上部(機械式イジェクタ部)を設置する必要があり、装置構成が複雑になり、コストが増加するという問題点もある。
特許文献2(特開2003−154573号公報)には、固定側金型と可動側金型とで形成される微細な凹凸を有するキャビティ内に成形原料を充填し、両金型を加熱し、両金型のいずれか一方もしくは両方に設けられた超音波振動子によって超音波振動させながら加圧、及び離型するエンボス加工成形方法および装置が開示されている。超音波振動子を使用することにより、成形体の離型は可能であるが、金型に超音波振動子を設置する必要があり、この場合も前記特許文献1と同様に装置構成が複雑になり、コストが増加するという問題点がある。また、超音波振動が原因で微細な凹凸が損傷する可能性がある。
なお、離型剤を金型表面に塗布することも考えられるが、例えば微細な流路形状を有するチップなどでは、後加工のときにカバーが接着できなくなるなど、離型剤が樹脂製品に悪影響を及ぼす場合があり、根本的な解決にはならない。
これに対し、微細凹凸部の反対側の面(鏡面側)に成形体を付着させたまま、微細凹凸面に対し垂直方向に金型を引き離せば、不良のない成形体が得られる。このような方法として、真空吸引により、鏡面側に成形体を付着させる方法が考えられるが、下記に示すような問題がある。すなわち、図9に示すように、真空力を利用して成形体90を微細な凹凸部911を有する金型91から剥離する場合、成形体90を真空吸引するための真空ポート92の周辺に力が大きく働き、面内の剥離力の分布が不安定となるため、微細な凹凸部911と成形体90が強固に付着している場合、剥離が真空ポート92を中心とした同心円状に広がっていき、微視的には垂直に引き抜くことができない。さらに、成形時に溶融樹脂が真空ポート92に侵入し、成形品の外観を損なうという問題がある。
特開2002−59440号公報 特開2003−154573号公報
したがって本発明の目的は、離型しにくい樹脂成形体、とくに表面に微細な凹凸部を有する樹脂成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる樹脂成形体の製造方法および装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含む樹脂成形体の製造方法であって、
前記金型が、第一型および第二型より構成される金型であり、少なくとも前記第二型の樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部であり、前記第一型の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ前記樹脂との付着性を高める処理を行い、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放することで、選択的に前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型することを特徴とする樹脂成形体の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記付着性を高める処理が、放電照射処理であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記放電照射処理が、プラズマ放電照射処理であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置による処理であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、コロナ放電照射処理であることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記付着性を高める処理が光オゾン法処理であり、酸素存在条件下で金型に光を照射し、生成したオゾンで処理することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプによる処理であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、プラズマ放電照射装置を金型内に挿入し、プラズマ放電照射処理を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプを金型内に挿入し、光オゾン法処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項10に記載の発明は、前記第二型の微細な凹凸部が、微細な凹凸部を有するスタンパを金型に装着することで前記第二型上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項11に記載の発明は、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放し、前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記金型を微細な凹凸部を有する金型面に対して垂直に開放することを特徴とする請求項1または10に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、前記第一型に熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を施す工程と、
前記第一型と前記第二型の間に前記熱可塑性樹脂を装填する工程と、
前記第一型と前記第二型とを閉鎖し、前記第一型と前記第二型との間に装填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程と、
前記処理により、前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記第一型あるいは前記第二型を前記微細な凹凸部に対して垂直に開放することで、前記樹脂成形体を前記第二型の微細な凹凸部から選択的に離型する工程とを有することを特徴とする請求項1、10または11に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項13に記載の発明は、前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、前記第二型の微細な凹凸部上に溶融した熱可塑性樹脂を、吐出手段を移動させながら塗布する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項14に記載の発明は、前記金型が圧縮成形装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、溶融状態もしくは半溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項15に記載の発明は、前記金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、フィルム状もしくは板状の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項16に記載の発明は、前記金型が射出成形に使用される金型であり、
前記金型に熱可塑性樹脂を装填する工程および前記熱可塑性樹脂に前記金型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程が、
(1)完全に閉鎖した状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
前記第一型と前記第二型との間に射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
または、
(2)わずかに開いた略閉鎖状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
略閉鎖状態の前記第一型と前記第二型とを完全に閉鎖することにより射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加えるとともに、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項17に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない前記第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型した後、前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項18に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記第一型を冷却することを特徴とする請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項19に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、非接触搬送体を使用して樹脂成形体を離型し、前記金型の外部に搬送することを特徴とする請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項20に記載の発明は、前記金型は温度調節機能を有し、金型形状を転写する際および金型から樹脂成形体を離型する際に、前記金型の加熱および冷却が各々行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項21に記載の発明は、下記の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、対向して配置される一組の第一型および第二型から構成される金型と、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂の加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、前記付着性を高める処理を行っていない第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置である。
前記樹脂成形体の製造方法:二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含むことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
請求項22に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部である第二型と、対向して配置される第一型から構成される金型とを備え、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂を加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着力を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記処理を行っていない前記第二型の微細な凹凸部から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置である。
請求項23に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射処理装置、大気圧条件下で使用可能なコロナ放電照射処理装置、低圧水銀ランプ、キセノンエキシマランプのいずれかであることを特徴とする請求項21または22に記載の樹脂成形体の製造装置である。
本発明によれば、離型しにくい樹脂成形体、とくに表面に微細な凹凸部を有する樹脂成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる樹脂成形体の製造方法および装置を提供することができる。本発明は、樹脂成形体側の制約などにより離型剤などが使用できない場合に特に有効であるが、離型剤などを使用した場合には、さらに離型が容易となり、より大きな効果を得ることができる。また、射出成形、圧縮成形、ホットエンボス法では、従来、金型の微細な凹凸部を100%転写すると離型が困難なため、離型が難しいパターンでは、意図的に転写率を低くする、大きな抜き勾配を取るなどの方法が取られている場合があるが、本発明では、100%転写した場合や抜き勾配のない状態でも樹脂成形体を金型から良好に離型することが可能となる。また、従来技術では大面積の成形体を良好に離型することは困難であったが、本発明では、金型と樹脂との付着性を高める処理を行った金型の各部で樹脂と金型との付着力が強固かつ均一になるので、大面積の金型であっても、全域で樹脂成形体が均一に付着し、付着性を高める処理を行っていない側の金型表面の微細な凹凸部からも均一に離型することが可能となり、大面積の製品でも微細な凹凸部の変形、損傷のない樹脂成形体を得ることができる。
本発明は、二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型から樹脂成形体を製造する方法および装置において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理が行われており、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放し、当該処理を行っていない金型面と樹脂成形体とを選択的に離型することを特徴としている。特に、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ熱可塑性樹脂に対する付着性を高める処理が行われていることを特徴としている。当該処理には、プラズマ放電照射処理、光オゾン法処理などを利用することができ、樹脂成形体の製造後は当該処理を行った金型に樹脂成形体を付着させ、当該処理を施していない金型から樹脂成形体を剥離することを特徴としている。
熱可塑性樹脂としてはとくに制限されないが、例えばポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、メチルメタクリレート・スチレン樹脂(MS)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS)またはこれらの混合物などが挙げられる。また、樹脂成形体に求められる性能にあわせて、特別に製造された熱可塑性樹脂でもよい。なお、本発明は上記樹脂に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂が光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂やその他の重合性樹脂であっても同様の効果を得ることができる。
本発明で使用される金型の材料に特に制限はないが、鋼材、ステンレスなどの金属、あるいはガラス、セラミック等の無機物が挙げられる。望ましくは樹脂成形用金型によく用いられるステンレス系の材料がよい。
以下、図面を参照しながら本発明の製造方法および製造装置をさらに詳細に説明する。
図1は本発明における製造装置の一実施形態の概略断面図であり、一方の金型(第一型)表面が鏡面を有し、他方の金型(第二型)表面が数十nm〜数百μmの微細な凹凸部を有する形態である。以下の説明において、第一型および第二型は、それぞれ上金型および下金型である。なお、本発明は下記の形態に制限されない。転写すべき金型形状は、微細な凹凸形状に制限されず、任意である。上金型および下金型の両方の表面に所望の形状を賦形してもよい。
図1において、製造装置1は、対向して配置される一対の上金型11および下金型12を備えてなる。上金型11および下金型12は嵌合可能であり、可動金型としての上金型11には、駆動手段としての加力発生器13が設置されている。加力発生器13は、上金型11および下金型12の型開閉と上金型11および下金型12のキャビティ面間の樹脂層の加圧を可能にするとともに、金型の精密な位置・速度および圧力制御機能を有する。
図1の形態では、上金型11のキャビティ面が鏡面111を有し、下金型12のキャビティ面が微細な凹凸部121を有する。
なお、本発明は上記形態に限定されない。前記上金型および下金型は金型の開閉および加圧が可能であれば、必ずしも嵌合させる必要はないし、前記金型を90°回転させて使用してもよい。また、前記金型は3つ以上の金型部分を組み合せることにより構成される金型であってもよい。
上金型11の鏡面111はRaが2.0μm以下の鏡面であることが好ましく、0.2μm以下の鏡面であることがさらに好ましい。本明細書でいうRaとはJIS B0601-1994に規定された算術平均粗さを意味する。
下金型12は、微細な凹凸部121を有する。微細な凹凸部121は、例えば10nm〜1mmの幅または直径を有するとともに、10nm〜1mmの深さまたは高さを有する。
また、上金型11および下金型12には、図1に示したように、加熱手段と、冷却手段を設置するのが好ましい。加熱手段は、例えば加熱ヒータ15から構成され、冷却手段は、冷却水が流れる冷却管16から構成されている。また、上金型11および下金型12には、図示しない温度センサおよび温度制御手段が設けられ、これらにより両金型の温度制御が可能となっている。なお上金型11および下金型12の温度制御は、PID制御などにより行うことができる。上記温度制御手段は、上金型11と下金型12で別々に備えることが望ましく、加熱速度、冷却速度の調節を行えることがさらに望ましい。加熱速度の制御は前記PID制御などにより、冷却速度の制御は冷却水量調節などにより容易に行うことができる。
また本発明の製造装置1は、金型の一方に熱可塑性樹脂の付着性を高める処理を行う処理手段10を有する。該処理手段10は、図示しない移動手段によって、金型内への進入、金型外への移動が可能である。
当該処理を行うタイミングとしては特に制限されないが、前記上金型11と下金型12の間に熱可塑性樹脂を装填する前に行うことが望ましい。このときの金型温度はとくに制限はない。また、当該処理は成形サイクルごとに毎回行っても良いが、本発明者らは上記付着性の高める処理の効果が通常、数時間から1日程度は持続することを見出しており、前記付着性の向上の効果がなくなる前に前記処理を行うならば、数時間に1回程度の頻度でも良好な樹脂成形体を連続して製造することができる。
処理手段10は、熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高めることができれば、とくに制限されないが、放電照射処理が可能な装置であるのが好ましい。放電照射処理装置としては、プラズマ放電照射処理装置、その中でもとくにコロナ放電照射処理が挙げられ、これらは取り扱い性、生産性の観点から大気圧条件下で使用可能なものが好ましい。
図1に示すように処理手段10は、金型が開放している状態で金型内に進入する。図1の形態では、処理手段10は、移動しながら上金型11の樹脂接触面である鏡面111に、矢印に示したような放電照射処理を行う。鏡面111の面積が放電照射の面積以下の場合、処理手段10は固定された状態でも良いが、鏡面111の面積が放電照射の面積より大きい場合、処理手段10が移動しながら、樹脂接触面全体に均一に放電照射処理を行うことが望ましく、また、このとき、処理手段10と鏡面111との距離が一定に保たれることがさらに望ましい。放電照射処理完了後、処理手段10は金型外に移動する。前記放電照射処理により、鏡面111上の油膜などの汚染物が除去されると同時に、鏡面111が活性化し、極性基が形成され、熱可塑性樹脂との濡れ性が向上する。上記濡れ性の向上は面内に均一に作用し、樹脂成形体と鏡面111との付着力が増大するため、その結果、下記で説明するように、上金型11および下金型12を垂直方向に開放したときに、樹脂成形体を鏡面111に付着させたまま、従来は離型が困難であった、微細な凹凸部121を有する下金型12からの円滑な離型を達成できる。
なお、本発明は上記形態に限定されない。例えば、下金型が樹脂接触面の一部のみに微細な凹凸部を有する場合、前記放電照射処理を上金型の樹脂接触面の一部にのみ行ってもよい。この場合、少なくとも下金型の微細な凹凸部に対応する上金型の鏡面部分に対して放電照射処理を行えば、上金型の樹脂接触面である鏡面全体に対して放電照射処理を行ったときと同様に、微細な凹凸部を有する下金型からの円滑な離型を達成できる。
なお、本発明は上記形態に限定されない。ロータリー金型など金型が移動手段を有する装置では、鏡面111が処理手段10の方向に移動してくれば、上記処理手段10が固定された状態でも、鏡面111に放電照射処理を行うことが可能である。また、あらかじめ装置外で付着性を高める処理を施した金型を装置に組付けて使用することも可能である。
プラズマ放電照射処理には、溶接等を目的としたアーク放電を利用する高温プラズマ処理や、改質や洗浄等を目的とした低温プラズマ処理が知られているが、本発明では、後者の低温プラズマ処理が好ましい。低温プラズマ処理装置は、大気圧条件下(760torr)でも処理可能な装置が市販されており、例えば春日電機(株)製、大気圧中プラズマ照射表面改質装置が挙げられる。
プラズマ放電照射処理条件としては、金型の表面形状や、材質、熱可塑性樹脂の種類などによって適宜決定すればよいが、例えばプラズマ処理量として1〜20W・s/cm2が例示される。
またこれとは別に、処理手段10は、光オゾン法処理を利用した手段であってもよい。このような手段としては酸素条件下で光を照射し、生成したオゾンで前記金型の樹脂接触面である鏡面111を処理するものが挙げられる。上記手段に用いる光としては酸素条件下でオゾンを生成させることができる光であれば特に制限はないが、波長240nm以下のエネルギー値の高い光が酸素を分解し、オゾンを生成するとされていることから、例えば、波長240nm以下の光を照射可能な光源が望ましく、波長200nm以下の光を照射可能な光源がより望ましい。
上記処理に用いられる光源としては、例えば水銀ランプやエキシマランプなどが挙げられるが、特に、主に波長185nmおよび波長254nmの光を照射する低圧水銀ランプ、波長172nmの光を照射するキセノンエキシマランプなどが望ましい。また、レーザー光、電子線などを利用することもできる。
図2は本発明の製造方法の第一型と第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程を説明するための図である。なお本形態では金型内に装填された熱可塑性樹脂は、微細な凹凸部121上で樹脂層となっている。
図2において、下金型12上の微細な凹凸部121上に、樹脂層21が形成される。樹脂層21の形成方法はとくに制限されないが、吐出口22を備えた塗布装置23に熱可塑性樹脂を供給し、塗布装置23を矢印24方向に移動させながら、微細な凹凸部121の上方から熱可塑性樹脂を吐出し、微細な凹凸部121に熱可塑性樹脂を充填するのが好ましい。このようにすれば、高い寸法精度、低残留応力、低複屈折、高光透過性、優れた機械的強度を有する樹脂成形体を、超低圧の成形プロセスでありながら、三次元、薄肉、かつ大面積の形状でもって提供することができる。なお、前記第一型と第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する方法が、熱可塑性樹脂の吐出以外の方法であってもよい。
図3は、金型を閉鎖し、前記熱可塑性樹脂に圧力もしくは熱と圧力を加え、前記熱可塑性樹脂に金型形状(微細な凹凸形状)を転写する工程を説明するための図である。
図3において、加力発生器13を用い、上金型11と下金型12とを嵌合(閉鎖)させ、上金型11の鏡面111と下金型12の微細な凹凸部121との間に存在する樹脂層21をプレスする。プレスの際、上金型11および下金型12は、ヒータ15の稼動によって所望の温度(通常は熱可塑性樹脂のTg以上の温度、好ましくは該Tgより20℃以上高い温度)に加熱されている。このときのプレス圧力は、とくに制限されないが、例えば前記塗布装置を用いた場合には、10MPa以下の低圧プレスを採用することができる。この操作により、樹脂層21に微細な凹凸部121の形状が転写される。転写完了後、圧力および金型温度を調整しながら、樹脂層21を冷却固化して樹脂成形体を製造する。
続いて、前記金型を開放し、製造された樹脂成形体を金型から離型する。
鏡面111には熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行っているので、鏡面111と樹脂成形体との間に強い付着力が発生する。
この状態で、プレス力を印加したまま所望の温度になるまで樹脂層21を冷却し固化させると、樹脂層21の体積収縮が生じるとともに、下金型12の金属と樹脂の界面で線膨張率の差による相対的なズリ変形が生じる。
図4は、微細な凹凸部121に充填された樹脂層21の体積収縮およびズリ変形を説明するための、微細な凹凸部121と樹脂層21の拡大断面図である。
図4(a)のように、微細な凹凸部121に熱可塑性樹脂からなる樹脂層21が充填され、続いて矢印41方向のプレス力を印加したまま樹脂層21を冷却し固化させると、図4(b)に示すように樹脂層21が微細な凹凸部121の内側方向(矢印42方向)に向かって体積収縮が生じる。同時に、下金型12の金属と樹脂層21の界面で両者の線膨張率の差による相対的なズリ変形が、矢印43方向で生じる。これらの理由から、製造された転写体が微細な凹凸部121から離型しやすくなる。
一方、樹脂層21は平面方向にも収縮する。図5は、微細な凹凸部121に充填された樹脂層21の平面方向の収縮を説明するための、微細な凹凸部121と樹脂層21の拡大断面図である。図5(a)のように、樹脂層21は平面方向にも収縮するため、線膨張の差により、樹脂層21は微細な凹凸部121の中央方向(矢印方向)に向かって押し付けられる。これに対して、本発明の実施形態では、図5(b)のように、金型に放電照射処理を施しており、樹脂層21が上金型11の鏡面111に完全に付着し固定されているため、樹脂層21が平面方向へ収縮しようとしても、樹脂成形体の平面方向(縦、横、高さの内、縦と横方向)への収縮が抑制される。その結果、樹脂層21が微細な凹凸部121の中央方向(矢印方向)に向かって押し付けられなくなるため、摩擦力が減少する。同時に樹脂成形体は鏡面111側に完全に付着しているため、金型を微細な凹凸部に対して垂直に開放することで鏡面111に樹脂成形体を付着させたまま、金型の微細な凹凸部と樹脂成形体の微細凹凸部を接触させることなく、垂直に離型することが可能になる。
図6は、上金型11に樹脂成形体を付着させたまま微細な凹凸部121から樹脂成形体を離型する工程を説明するための図である。
前述のように、上金型11の鏡面111と樹脂層21とが完全に付着していることから、加力発生器13を稼動して上金型11および下金型12を微細な凹凸部の面に対し垂直方向(矢印方向)に開放すると、図6に示すように、樹脂成形体51は上金型11の鏡面111に付着したまま微細な凹凸部121から離型される。上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51は、上金型11の鏡面111を冷却する、望ましくは鏡面111を10℃以上、さらに望ましくは20℃以上冷却することにより上金型11の鏡面111から容易に離型することができる。
なお、本発明は上記形態に限定されず、例えば、図1の形態において、上金型11が凹凸形状あるいは曲面形状などを有していてもよい。この場合は離型が比較的容易な当該凹凸形状あるいは曲面形状に熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を施すことで、前記上型が鏡面の場合と同様に、付着性を高める処理を施した金型に樹脂成形体を付着させたまま、付着性を高める処理を行っていない金型から樹脂成形体を離型することができる。離型の容易な側は、例えば、凹凸部の表面積が少ない側や微細凹凸のアスペクト比(深さ/幅)が小さい側、あるいは抜き勾配の大きい側とすればよい。
また、樹脂成形体を離型して製造装置から得られた樹脂成形体を搬送する際に、非接触搬送体を使用することが好ましい。図7は、非接触搬送体の一例を示す断面図である。非接触搬送体81は、圧縮空気を図示しない噴出口から噴出させ、空気エジェクタの原理を利用して負圧を発生させる装置であり、この負圧により上金型11からの樹脂成形体51の離型をさらに容易にしている。また、非接触搬送体81の凹部812によって、樹脂成形体51に転写された金型形状に接触することなく、離型された樹脂成形体を矢印方向に金型の外部に搬送することができる。当該装置は公知であって、例えば特開平10−181879号公報、特開2005−219922号公報に開示されている。これにより、樹脂成形体に形成された微細な凹凸部を損傷することがなく、樹脂成形体を金型外部に搬送することができる。
前述の樹脂成形体の製造プロセスは、
(1)開放状態の金型内に前記金型と樹脂との付着性を高める処理を行うための処理手段10を進入させ、上金型11の樹脂接触面である鏡面111に前記処理を行う工程と、
(2)前記金型の上金型11の樹脂接触面である鏡面111および下金型12の樹脂接触面である微細な凹凸部121を前記温度調節手段により樹脂の成形を行うための所定の温度に加熱する工程と、
(3)塗布装置23により前記下金型12の微細な凹凸部121上に樹脂を塗布し、樹脂層21を形成する工程と、
(4)前記上金型11と前記下金型12を閉鎖し、前記上金型11と下金型12との間の樹脂層21に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、樹脂に前記金型の形状を転写し、樹脂成形体51を成形する工程と、
(5)前記金型を前記微細な凹凸部121に対して垂直に開放し、前記処理を行った前記上金型11の鏡面111に樹脂成形体51を付着させたまま、当該処理を行っていない前記下金型12の微細な凹凸部121から樹脂成形体51を選択的に離型する工程と、
(6)前記上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51を離型するために、前記上金型11の鏡面111を冷却する工程と、
(7)開放状態の前記金型間に非接触搬体を進入させた後、非接触搬送体により発生させた負圧により、前記上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51を離型する工程とを有する樹脂成形体の製造方法である。
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、前記プロセスの一部を変更したり、あるいは全く別の方法を用いてもよい。
また、図1の形態では、下金型12に直接微細な凹凸部121が設けられているが、これとは別に、表面に微細な凹凸部を有するスタンパーを上金型11または下金型12の上に設置してもよい。スタンパーを用いる場合は、上金型11または下金型12に該スタンパーを固定する手段を設けるのが好ましい。
本発明では、上記の樹脂成形体の製造方法以外に、金型が、射出成形装置に使用される金型であってもよい。一般的に射出成形装置は、金型の開閉と加圧のための手段を有し、樹脂溶融装置からの樹脂の流路を有する金型および樹脂を溶融し、金型内に射出する機構を有する。わずかに開いた金型内に溶融樹脂を射出・充填し、金型を閉鎖した後、もしくは、閉鎖状態の金型に溶融樹脂を射出・充填した後、圧力および温度を調整しながら、熱可塑性樹脂を冷却・固化させ、金型を開放し、樹脂成形体を金型から離型するものである。
また、本発明では、金型が圧縮成形装置に使用される金型であってもよい。一般的に圧縮成形装置は、金型内に溶融樹脂もしくは軟化状態の樹脂を配置し、樹脂に圧力、熱を加え、加圧・附形し、金型を冷却し、樹脂を冷却・固化させた後、金型を開放し、樹脂成形体を金型から離型するものである。
さらに、本発明では、金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であってもよい。一般的にホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置は、金型上に熱可塑性樹脂基板もしくは熱可塑性樹脂フィルムを設置した状態で金型を閉鎖し、圧力を加えながら金型表面の温度を樹脂のガラス転移温度付近もしくはそれ以上に加熱し、樹脂基板もしくは樹脂フィルムに金型の微細な凹凸部を転写した後、金型を冷却し、樹脂を冷却・固化させ、金型を開放して微細な凹凸部から樹脂成形体を離型するものである。
上記いずれの成形方法においても、金型と熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を、予め前記金型の一方に施すことにより、樹脂成形体を付着性を高める処理を行った前記一方の金型に付着させ、前述と同様に、離型が困難な他方の金型から樹脂成形体を円滑に離型することができる。付着性を十分に発揮させるためには金型温度をガラス転移温度付近もしくはそれ以上の温度に加熱することが望ましく、より好ましくは、ガラス転移温度以上とすることが望ましい。
本発明の製造方法および装置により得られた樹脂成形体は、(a)マイクロレンズアレイ、液晶用導光板、フレキシブルディスプレイ基板、波長板、反射板、位相差板、自由曲面ミラー、LED発光パネル、フレネルレンズなどの電子ディスプレイ分野の基幹部品、(b)フレキシブルポリマー製光導波路、自由曲面回折格子、二次元イメージセンサアレイ、ピックアップレンズ、ホログラム、フレキシブル導波路型照明板などの光情報通信分野の基幹部品、(c)次世代DVD(ブルーレイディスク)、ブルーレイディスクのカバー層、DVD、CD、超薄肉ICカードなどの光記録媒体分野の基幹部品、(d)集積化学チップ、DNAチップ、バイオチップ、プロテインチップ、マイクロ流体デバイス、環境分析チップなどライフサイエンス分野の基幹部品、(e)燃料電池セパレータ、携帯電話超薄肉バッテリーケース、太陽光集光フレネルレンズなど新エネルギー分野の基幹部品などに好適に用いられる。
本発明は、とくに上記製品の中でも、微細な凹凸部を形成するなどして、離型が極端に難しい成形品、特に微細凹凸のアスペクト比(深さ/幅)が大きい樹脂成形体や微細な凹凸部を有する大面積の樹脂成形体、製品の外観上および機能上の制約により機械式イジェクタ、離型剤、真空吸着等が利用できない製品などに有効である。
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。下記例で使用した製造装置はいずれも、図1に示す装置である。
実施例1
熱可塑性樹脂を加熱溶融させるための押出機、熱可塑性樹脂を計量・吐出するためのアキュムレータ、フィルム状の樹脂を吐出するためのTダイ、および、それらを金型に塗布するための駆動機構を有する塗布装置を準備した。
下金型12上に、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を有するNi製のスタンパを固定した。上金型11は、Ra0.20μm以下の鏡面111を有する。上金型11および下金型12は、材質がステンレスである。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、下記表1に示す照射処理条件で、上金型11の鏡面111全面に約10mmの距離からプラズマ放電照射処理を行った。続いて、ヒータ15を稼動して上金型11および下金型12を150℃に加熱した後、前記塗布装置によって微細な凹凸部121上に250℃に加熱した溶融状態のシクロオレフィンポリマーを塗布し、厚さ150μmの樹脂層21を形成した。
次に上金型11と下金型12を閉鎖し、樹脂層21に5MPaの圧力を加えて、溶融樹脂を附形し、微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃に冷却した。
続いて、金型を開放し、得られた製品を微細な凹凸部121から離型した。プラズマ放電照射処理を行ったことで上金型11の鏡面111と樹脂層21との付着性が向上し、付着力が増すため、金型を開放し、上金型11を垂直に移動させることで、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、微細な凹凸部121から簡単に剥離することができた。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すような非接触搬送体を樹脂成形体51に近づけることで、容易に金型から離型することができた。
なお、本発明者らは熱可塑性樹脂として上記のシクロオレフィンポリマーに替えて、アクリル樹脂(PMMA)を使用し、前記と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
また、付着性を向上させる方法として、大気圧条件で使用可能なプラズマ放電照射処理装置に替えて、市販の大気圧条件で使用可能なコロナ放電照射処理装置、光オゾン法処理(低圧水銀ランプまたはキセノンエキシマランプを用いた処理)を用い、下記表1に示す照射処理条件で、実施例1と同様に試験を行った。
なお、プラズマ放電照射処理は、金型のサイズを変えて試験を行った。すなわち、樹脂成形体のサイズが縦×横それぞれ50mm(以下、50mm角という)、縦×横それぞれ200mm(以下、200 mm角という)、縦×横それぞれ1000mm(以下、1000 mm角という)となる金型にそれぞれプラズマ放電照射照射をした後、試験を行い、大面積化に対する本発明の方法の効果を検証した。
結果を表1に示す。
比較例1
前記実施例1と同様の塗布装置を準備した。
下金型12上に縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11はRa0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は材質がステンレスであり、有効面積が100×100mmである。この下金型12の有効面の外縁部に12本のイジェクタピンおよびイジェクタピンを突き出すための機構を設置した。
プラズマ放電照射装置を使用しない以外は前記実施例1と同じ条件で樹脂成形体に微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃まで冷却し、微細な凹凸部121に樹脂成形体51を付着させたまま型開を行った。その後、イジェクタピンで微細な凹凸部121側から樹脂成形体51を押し上げて、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から剥離した。
結果を表1に示す。
比較例2
前記実施例1と同様の塗布装置を準備した。
下金型12上に縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11はRa0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は材質がステンレスであり、有効面積が100×100mmである。
プラズマ放電照射装置を使用しない以外は前記実施例1と同じ条件で熱可塑性樹脂に金型の微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃まで冷却し、金型の微細な凹凸部121に樹脂成形体51を付着させたまま、金型を開放した。その後、有効吸着面積が直径95mmの真空吸着パッドを樹脂成形体51の鏡面側に付着させ、真空引きを行いながら真空吸着パッドを微細な凹凸部121と垂直方向に持上げて、樹脂成形体51を金型の微細な凹凸部121から離型した。
試験結果を表1に示す。
Figure 0004335225
本発明の方法により得られた樹脂成形体は微細な凹凸部の形状が忠実に転写されており、微細な凹凸部の形状の崩れやバリなどの不良は認められなかった。これに対し、プラズマ放電照射処理を行わない場合(上記の機械式イジェクタ、真空吸着パッドを用いた方法)は、微細な凹凸部の形状の崩れやバリなどの不良が認められた。また、ピール剥離では離型時に樹脂成形体に割れが生じ、樹脂成形体を得ることができなかった。なお、「バリ」は樹脂成形体の微細な凹凸部が金型との摩擦により変形した部分を、また、「崩れ」とは離型時に樹脂成形体の微細な凹凸部が金型の微細な凹凸内から剥離されず、金型の微細な凹凸部に残留して破損した部分を表す。
前記実験結果の、樹脂成形体51の微細な凹凸部のレーザー顕微鏡写真を図8に示す。図8の(a)は、前記比較例1に記載の従来法であり、樹脂成形体に転写された微細な凹凸部に、離型時の金型との摩擦で変形したバリが生じていることが分かる。これに対し、図10(b)に示される本発明の方法により製造された樹脂成形体51は、微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されていることが分かる。
照射処理条件(実施例)
プラズマ放電処理装置 処理時間:30秒(50mm角)、1分(200 mm角)、5分(1000 mm角)
照射距離:10mm
コロナ放電処理装置 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:10mm
低圧水銀ランプ 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:10mm
キセノンエキシマランプ 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:3mm
実施例2
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、射出成形機において成形試験を行った。
上金型および下金型は、図1に示した構成および射出ノズルから溶融樹脂を射出するための図示しない流路を有する。
下金型12の表面に、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11は、Ra0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は、材質がステンレスであり、有効面積が50mm角である。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型11に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。
樹脂成形体の厚みを1mmとした。微細な凹凸部121を100%転写するため、樹脂温度を280℃、金型温度を130℃に設定し、上金型11および下金型12がわずかに開いた状態で金型内に溶融樹脂を射出した後、金型を完全に閉鎖し、型内圧で50MPaの圧力を加え、微細な凹凸部121の形状を樹脂に転写・附形しながら、金型温度を70℃まで冷却し、樹脂成形体51を製造した。
続いて、上金型11と下金型12を垂直方向に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
この後、金型をさらに50℃まで冷却し、図7に示すような非接触搬送体により金型から樹脂成形体51を離型した。
得られた樹脂成形体51は、微細な凹凸部121が忠実に転写されており、バリや微細な凹凸部の崩れなどの不良は認められなかった。
一方、プラズマ放電照射処理を行わなかった場合は、樹脂成形体51の微細な凹凸部121からの離型が困難で、型開き時に微細な凹凸部121側から離型できず、樹脂成形体51を得ることができなかった。
実施例3
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、圧縮成形法により成形試験を行った。
試験に用いた装置および金型は実施例1とほぼ同じであるが、押出機先端のTダイが厚さ3mmのシート状の樹脂を押し出すためのダイであることが異なる。また、下金型12には、下記の微細な凹凸部121が設けられている。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型12に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。その後、金型温度を150℃に昇温した。
押出機により押し出された樹脂温度250℃、厚さ3mmの熱可塑性樹脂を、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を設けた下金型12上に設置した後、金型を閉鎖し、20MPaの圧力を加えて、溶融樹脂を附形し、微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃に冷却した。
続いて、上金型11と下金型12を微細な凹凸部121に対して垂直方向に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すように非接触搬送体を樹脂成形体51に近づけることで、上金型11から容易に離型することができた。
得られた樹脂成形体51は微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されており、微細な凹凸部121の形状の崩れやバリなどの不良は認められなかった。
一方プラズマ照射を行わない場合、金型開放時に樹脂成形体51が下金型12に付着し、樹脂成形体51を離型することができなかった。
実施例4
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、ホットエンボス法により成形試験を行った。
試験に用いた装置および金型は実施例1とほぼ同じであるが、溶融した樹脂を金型上に吐出するための前記塗布装置を持たない点と、有効面積200mm角の金型を用いた点が実施例1の装置と異なる。また、下金型12には、下記の微細な凹凸部121が設けられている。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型12に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。
続いて、厚さ0.5mmのアクリル樹脂基板を、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を設けた下金型12上に設置し、上金型11と下金型12を閉鎖し、圧力を1MPa加えた状態で金型温度を110℃まで上昇させた後、10MPaの圧力を加えて微細な凹凸部121の形状を樹脂基板に転写させ、上金型11と下金型12の温度を70℃まで冷却した。
この後、上金型11と下金型12とを微細な凹凸部121に対して垂直に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すように非接触搬送体を樹脂成形体に近づけることで、上金型11から容易に離型することができた。
得られた樹脂成形体51は微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されており、微細な凹凸部121の形状の崩れやバリなどの不良は認められなかった。
一方プラズマ照射を行わない場合、金型開放時に樹脂成形体51が下金型12に付着し、樹脂成形体51を離型することができなかった。
本発明によれば、装置構成が複雑で特殊な金型を必要とせず、表面に微細な凹凸部を有する樹脂成形体を、その凹凸形状を良好に維持しながら、微細な凹凸形状を有する金型から迅速に、容易に、かつ確実に離型することのできる樹脂成形体の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明の製造方法および製造装置により得られた樹脂成形体は、(a)マイクロレンズアレイ、液晶用導光板、フレキシブルディスプレイ基板、波長板、反射板、位相差板、自由曲面ミラー、LED発光パネル、フレネルレンズなどの電子ディスプレイ分野の基幹部品、(b)フレキシブルポリマー製光導波路、自由曲面回折格子、二次元イメージセンサアレイ、ピックアップレンズ、ホログラム、フレキシブル導波路型照明板などの光情報通信分野の基幹部品、(c)次世代DVD(ブルーレイディスク)、ブルーレイディスクのカバー層、DVD、CD、超薄肉ICカードなどの光記録媒体分野の基幹部品、(d)集積化学チップ、DNAチップ、バイオチップ、プロテインチップ、マイクロ流体デバイス、環境分析チップなどライフサイエンス分野の基幹部品、(e)燃料電池セパレータ、携帯電話超薄肉バッテリーケース、太陽光集光フレネルレンズなど新エネルギー分野の基幹部品などに好適に用いられる。
本発明は、とくに上記製品の中でも、微細な凹凸部を形成するなどして、離型が極端に難しい成形品、特に微細凹凸のアスペクト比(深さ/幅)が大きい樹脂成形体や微細な凹凸部を有する大面積の樹脂成形体、製品の外観上および機能上の制約により機械式イジェクタ、離型剤、真空吸着等が利用できない製品などに有効である。
本発明における製造装置の一実施形態の概略断面図である。 本発明の製造方法の第一型と第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程を説明するための図である。 金型を閉鎖し、前記熱可塑性樹脂に熱および/または圧力を加え、前記熱可塑性樹脂に金型形状(微細な凹凸形状)を転写する工程を説明するための図である。 微細な凹凸部に充填された樹脂層の体積収縮およびズリ変形を説明するための、微細な凹凸部と樹脂層の拡大断面図である。 微細な凹凸部に充填された樹脂層の平面方向の収縮を説明するための、微細な凹凸部と樹脂層の拡大断面図である。 上金型に樹脂成形体を付着させたまま微細な凹凸部から樹脂成形体を離型する工程を説明するための図である。 非接触搬送体の一例を示す断面図である。 (a)は、従来法により製造された樹脂成形体の微細な凹凸形状のレーザー顕微鏡写真、(b)は、本発明の方法により製造された樹脂成形体の微細な凹凸形状のレーザー顕微鏡写真である。 真空力を利用して樹脂成形体を微細な凹凸部を有する金型から剥離する場合を説明するための断面図である。
符号の説明
1 製造装置
10 処理手段
11 上金型
111 鏡面
12 下金型
121 微細な凹凸部
13 加力発生器
15 加熱ヒータ
16 冷却管
21 樹脂層
23 塗布装置
51 樹脂成形体

Claims (23)

  1. 二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含む樹脂成形体の製造方法であって、
    前記金型が、第一型および第二型より構成される金型であり、少なくとも前記第二型の樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部であり、前記第一型の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ前記樹脂との付着性を高める処理を行い、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放することで、選択的に前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記付着性を高める処理が、放電照射処理であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記放電照射処理が、プラズマ放電照射処理であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記プラズマ放電照射処理が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置による処理であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記プラズマ放電照射処理が、コロナ放電照射処理であることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記付着性を高める処理が光オゾン法処理であり、酸素存在条件下で金型に光を照射し、生成したオゾンで処理することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプによる処理であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記プラズマ放電照射処理が、プラズマ放電照射装置を金型内に挿入し、プラズマ放電照射処理を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
  9. 前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプを金型内に挿入し、光オゾン法処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記第二型の微細な凹凸部が、微細な凹凸部を有するスタンパを金型に装着することで前記第二型上に形成されることを特徴とする請求項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  11. 前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放し、前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記金型を微細な凹凸部を有する金型面に対して垂直に開放することを特徴とする請求項1または10に記載の樹脂成形体の製造方法。
  12. 前記第一型に熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を施す工程と、
    前記第一型と前記第二型の間に前記熱可塑性樹脂を装填する工程と、
    前記第一型と前記第二型とを閉鎖し、前記第一型と前記第二型との間に装填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程と、
    前記処理により、前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記第一型あるいは前記第二型を前記微細な凹凸部に対して垂直に開放することで、前記樹脂成形体を前記第二型の微細な凹凸部から選択的に離型する工程とを有することを特徴とする請求項1、10または11に記載の樹脂成形体の製造方法。
  13. 前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、前記第二型の微細な凹凸部上に溶融した熱可塑性樹脂を、吐出手段を移動させながら塗布する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
  14. 前記金型が圧縮成形装置に使用される金型であり、
    前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、溶融状態もしくは半溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
  15. 前記金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であり、
    前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、フィルム状もしくは板状の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
  16. 前記金型が射出成形に使用される金型であり、
    前記金型に熱可塑性樹脂を装填する工程および前記熱可塑性樹脂に前記金型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程が、
    (1)完全に閉鎖した状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
    前記第一型と前記第二型との間に射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
    または、
    (2)わずかに開いた略閉鎖状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
    略閉鎖状態の前記第一型と前記第二型とを完全に閉鎖することにより射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加えるとともに、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
    であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
  17. 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない前記第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型した後、前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
  18. 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記第一型を冷却することを特徴とする請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法。
  19. 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、非接触搬送体を使用して樹脂成形体を離型し、前記金型の外部に搬送することを特徴とする請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法。
  20. 前記金型は温度調節機能を有し、金型形状を転写する際および金型から樹脂成形体を離型する際に、前記金型の加熱および冷却が各々行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
  21. 下記の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
    前記樹脂成形体の製造装置は、対向して配置される一組の第一型および第二型から構成される金型と、
    前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
    前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂の加圧を行なう駆動手段と、
    熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段とを有し、
    前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
    前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、前記付着性を高める処理を行っていない第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置。
    前記樹脂成形体の製造方法:二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含むことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  22. 請求項に記載の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
    前記樹脂成形体の製造装置は、樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部である第二型と、対向して配置される第一型から構成される金型とを備え、
    前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
    前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂を加圧を行なう駆動手段と、
    熱可塑性樹脂に対する金型の付着力を高める処理を行う手段とを有し、
    前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
    前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記処理を行っていない前記第二型の微細な凹凸部から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置。
  23. 前記熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射処理装置、大気圧条件下で使用可能なコロナ放電照射処理装置、低圧水銀ランプ、キセノンエキシマランプのいずれかであることを特徴とする請求項21または22に記載の樹脂成形体の製造装置。
JP2006115966A 2006-04-19 2006-04-19 樹脂成形体の製造方法および装置 Expired - Fee Related JP4335225B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006115966A JP4335225B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 樹脂成形体の製造方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006115966A JP4335225B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 樹脂成形体の製造方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007283714A JP2007283714A (ja) 2007-11-01
JP4335225B2 true JP4335225B2 (ja) 2009-09-30

Family

ID=38755919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006115966A Expired - Fee Related JP4335225B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 樹脂成形体の製造方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4335225B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4799630B2 (ja) * 2009-02-25 2011-10-26 株式会社日本製鋼所 剥離治具、微細構造転写成形装置及び被成形体の剥離方法
CN102069564B (zh) * 2010-11-12 2013-12-04 中南大学 用于微流控芯片制造的旋转多工位注射成型模具
JP5356452B2 (ja) * 2011-05-30 2013-12-04 株式会社日本製鋼所 溶融微細転写成形方法及び溶融微細転写成形装置
JP2013028150A (ja) * 2011-06-22 2013-02-07 Teijin Chem Ltd 成形品の成形方法
JP6198339B2 (ja) * 2014-07-16 2017-09-20 株式会社日本製鋼所 微細構造体の成形金型及び成形方法
CN106746531A (zh) * 2017-03-03 2017-05-31 东莞恩特贝斯智能技术有限公司 3d曲面玻璃热压设备
CN110406026A (zh) * 2019-07-01 2019-11-05 合肥高科科技股份有限公司 一种冰箱抽屉用注塑模具
KR20220126578A (ko) * 2021-03-09 2022-09-16 주식회사 엘지화학 사출 금형
KR20220126577A (ko) * 2021-03-09 2022-09-16 주식회사 엘지화학 사출 금형
JP2023113215A (ja) * 2022-02-03 2023-08-16 株式会社東芝 射出成形装置及び射出成形方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06170857A (ja) * 1992-12-03 1994-06-21 Seiko Epson Corp コンタクトレンズの製造方法およびそれに用いられる成形型
IL111873A (en) * 1993-12-13 1997-06-10 Ciba Geigy Ag Process and apparatus for the manufacture of a contact lens
JP2579864Y2 (ja) * 1993-12-27 1998-09-03 信越ポリマー株式会社 シリコーンゴム成形体製造用金型
JP4544710B2 (ja) * 1999-08-27 2010-09-15 株式会社メニコン 眼用レンズ物品の成形型及び眼用レンズ物品の製造方法
JP2002240061A (ja) * 2001-02-16 2002-08-28 Menicon Co Ltd 眼用レンズ物品の成形型及び眼用レンズ物品の製造方法
JP2002326260A (ja) * 2001-05-07 2002-11-12 Ricoh Co Ltd プラスチック成形品の成形方法及び金型
JP2006015522A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Konica Minolta Holdings Inc 成形装置及び光学素子
JP2006095901A (ja) * 2004-09-30 2006-04-13 Ricoh Co Ltd プラスチック成形方法、プラスチック成形装置及び成形金型
JP4766964B2 (ja) * 2005-09-06 2011-09-07 日本電信電話株式会社 ナノインプリント方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007283714A (ja) 2007-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4335225B2 (ja) 樹脂成形体の製造方法および装置
KR100861145B1 (ko) 성형체의 제조방법 및 제조장치
US8236231B2 (en) Ultrasonic injection molding on a web
JP5117901B2 (ja) インプリント治具およびインプリント装置
JP4444980B2 (ja) 成形体の成形用金型およびこれを用いる成形体の製造方法
JP4444982B2 (ja) 成形体の製造方法
JP4177379B2 (ja) 成形体の製造方法および装置
JP4109234B2 (ja) 微細転写方法および装置
JP4699492B2 (ja) 成形体の製造装置および製造方法
Melentiev et al. Large-scale hot embossing of 1 µm high-aspect-ratio textures on ABS polymer
JP4312675B2 (ja) 成形体の製造方法および装置
JP4595000B2 (ja) 成形体の製造方法
JP4224052B2 (ja) 成形体の製造装置
JP4224048B2 (ja) 成形体の製造装置および製造方法
JPWO2010095402A1 (ja) 表面形状付き光学部材の製造方法及びその製造装置
JPH09201874A (ja) 表面に凹凸模様を備えた物品、特に光ディスクの成形方法及びその成形装置
JP5328040B2 (ja) 微細構造を有する積層体及びその製造方法
JP6693077B2 (ja) ナノ構造付き成形体
JP2008265002A (ja) 成形体の製造方法および装置
CN114008746A (zh) 贴合体制造方法、贴合体及微细结构形成方法
JP2005305899A (ja) 成形用金型および成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090623

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090624

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4335225

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees