JP5328040B2 - 微細構造を有する積層体及びその製造方法 - Google Patents

微細構造を有する積層体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、表面又は表と裏の両面に微細構造を有する熱可塑性樹脂の積層体及びその製造方法に関する。
微細構造を有する樹脂成形体は、電子デバイス、光デバイス、記録メディア、バイオデバイス等種々の分野に利用が拡大している。このような樹脂成形体は、一種類の樹脂から形成される場合が多いが、微細構造部分の機械的又は光学的特性等の向上のため、あるいは微細構造部分と本体部分の要求される特性が異なるため、特性や材質等が異なる積層体から微細構造を有する樹脂成形体が形成される場合がある。
このような微細構造を有し、特性や材質等が異なる樹脂を積層させてなる積層体に関し、例えば特許文献1に、屈折率が異なる複数の層から構成され、その上面及び下面に微細構造を有する直下型バックライトモジュールの拡散板が提案されている。そして、その拡散板は、微細構造を有するローラを備えた共押出法によって成形することができることが記載されている。
また、特許文献2に、スタンパの凹凸微細パターンが転写されたベースフィルムの転写面に記録膜と保護層が積層された表面記録型のフレキシブル光ディスクにおいて、前記ベースフィルムの転写面と反対側のベースフィルム(基材)の表面に、導電性粒子が含有されたガイド面側保護層を設けたフレキシブル光ディスクが提案されている。そして、そのフレキシブル光ディスクは公知の方法で成形することができるとされる。例えば、先ず、可撓性を有するシートをロールトゥロール方式で搬送しながらシート表面に熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を塗布して、スタンパの微細凹凸パターンを転写して熱硬化させてから記録膜とする方法(熱プレス法)、可撓性シート表面に紫外線硬化型樹脂を塗布してスタンパの微細パターンを転写して紫外線硬化させてから記録膜を成膜する2P法(Photo Polymerization法)、あるいは、可撓性有機物シートを軟化点以上に加熱し、スタンパを圧着後、冷却してシートとスタンパを剥離する方法により記録膜を成形する。次に、スピンナーコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等の種々の公知の方法によりガイド面側保護層を形成し、加熱処理した後に紫外線照射処理を行うことにより保護膜を形成してフレキシブル光ディスクを成形することができると記載されている。
また、特許文献3に、微細構造体の製造において微細構造パターンの転写に使用される可とう性成形型であって、ポリマー材料及び強化材の複合材料からなる支持体(基材)と、前記支持体によって支持された、微細構造表面をその表面に備えた賦形層と、を有する微細パターン転写用可とう性成形型が提案されている。そして、強化ポリプロピレンフィルムに紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、微細構造を転写して硬化させることにより微細構造を備えた賦形層が支持体によって支持された可とう性成形型を作製する実施例が記載されている。
特許文献4には、プラスチックフィルムと、表面にメッシュ状の突起を有するプラスチックフィルムを、粘着剤を介して貼合した積層プラスチックフィルムおよびその製造方法が提案されている。
特開2007-25619号公報 特開2005-11412号公報 特開2005-288933号公報 特開2008-291102号公報
上記のような微細構造を有する積層体の製造は、積層させる樹脂の特性が異なるために、また、樹脂の積層技術と微細構造形成技術を両立させる必要があることから容易ではない。特許文献1に記載されたような微細構造を有するローラを備えた共押出法により微細構造が転写された樹脂積層体を製造する方法は、積層される樹脂の溶融温度や粘度が異なる等の理由から共押出可能な樹脂に限定されること、また、各層の厚み調整が困難で層間接着力が劣る等の問題がある。さらに、積層体表面に形成可能な微細構造は、積層体からローラが剥離する、すなわちローラ表面の微細構造が積層体表面から抜ける際に、微細構造が破壊されないような形状に限定されるという問題がある。
特許文献2〜3に記載されている微細構造を形成させる溶融樹脂を基材に塗布して積層させた後、これに微細構造を転写成形する方法は、積層させる樹脂が基材に塗布可能な樹脂に限定されるという問題がある。また、溶融樹脂を基材に塗布する方法として、特許文献2にスピンナーコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等の方法が列挙され、特許文献3にナイフコータ、バーコータ等の方法が列挙されていることからも推察されるように、特許文献2〜3に記載されている方法では高粘度の熱可塑性樹脂の塗布は困難であり、そのような熱可塑性樹脂からなる積層体は製造することが困難であるという問題がある。
特許文献4に記載されている予め微細構造が作製された樹脂と他の樹脂を接着剤等で接合して微細構造を備えた樹脂積層体を製造する方法は、適合する接着剤を選定する手間及び接着させるための施工の手間を要するだけでなく、接着剤により樹脂積層体の機能が損なわれかねない等の問題がある。
本発明は、微細構造を有する積層体に対するこのような従来技術の問題点と、需用者のますます厳しくなる要求に鑑み、強度、耐熱性、光学特性又は生体適合性に優れた微細構造を有する積層体、または、微細構造部分に機械的歪や残留応力の少ない、あるいはガスバリヤ性能や水蒸気バリヤ性能に優れた微細構造を有する積層体を提供することを目的とする。また、そのような積層体を好適に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明に係る積層体は、表面又は表と裏の両面に微細構造が転写成形された積層体であって、前記微細構造を形成する凸部又は凹部の断面形状について直径、辺長又は幅が10nm〜1mm、高さ又は深さが10nm〜1mm、前記積層体の各層の境界部は接着剤層を含まず融着されている。
また、本発明に係る積層体は、表面又は表と裏の両面に微細構造が転写成形された積層体であって、その各層の境界部は融着されており、積層される樹脂の相隣る層間における粘度比が3倍以上である層を含む積層体である。ここに、樹脂の粘度は、相隣る各々の樹脂がゴム状態を示す温度以上の同一温度、同一せん断速度の下で測定される粘度をいう。
上記積層体は、以下の製造方法により好適に製造することができる。すなわち、微細構造を有する下金型と平面部又は微細構造を有する上金型を用い、所定温度に保持された下金型の上面に、溶融樹脂を所定厚さにつぎつぎに塗り重ねた後、その塗り重ねた多層の溶融樹脂の上面から上金型を押しつけることにより、各層の境界部が接着剤層を含まずに融着されており表面又は表と裏の両面に微細構造が転写成形された積層体を好適に製造することができる。
上記製造方法の発明において、下金型の所定温度Tsは、前記下金型上に塗布される溶融樹脂の荷重たわみ温度をTdとした場合に、Td≦Ts≦Td+100 であるのがよい。なお、上記温度及び以下に示す温度は、すべてセ氏温度(℃)を示す。
また、つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂のn番目に塗り重ねられるn層目の溶融樹脂の温度Tnは、そのn層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n)、およびその前に塗り重ねられた(n-1)層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n-1)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n-1)のうち最も高い温度をTpとしたときに、Tn≧2×Tp-Tsであるのがよい。ここに、nは2以上の整数である。
また、つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂の所定厚さは、それぞれ50μm〜3mmとすることができ、つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂の塗布は、その前に塗布された溶融樹脂の上面にゲージ圧で動圧0.1〜5MPaを与えるように行うことができる。そして、前記動圧は、その前に塗布された溶融樹脂の上面から溶融樹脂を供給するTダイの樹脂供給口の先端までの距離、前記Tダイの水平方向移動速度及び供給される溶融樹脂の吐出流量を調整することにより制御することができる。
本発明に係る積層体を得る製造方法は、表面又は表と裏の両面に微細構造を有し、各種の熱可塑性樹脂が積層された積層体を好適に製造することができ、また、積層体中に金属層を含む積層体であっても好適に製造することができる。
本発明によれば、種々の特性を有する樹脂が積層された、また、さらには金属層を含む層が積層された積層体であって、その層間結合性が高く精度の高い微細構造を有する積層体を提供することができる。このため、微細構造部分を形成する樹脂層と本体部分を形成する樹脂層のそれぞれが所要の特性を有する積層体を提供することができ、例えば、強度、耐熱性又は光学特性に優れた微細構造を有する積層体を提供することができる。また、微細構造部分に機械的歪や残留応力が少ない微細構造を有する積層体、あるいはガスバリヤ性能や水蒸気バリヤ性能に優れた微細構造を有する積層体を提供することができる。そして、そのような微細構造を有する積層体が多種少量であっても効率的かつ経済的に製造することができる方法を提供することができる。
また、本発明の場合は、微細構造を有するローラを備えた共押出法による方法のように、樹脂積層体がローラ間に供給されて加圧され、転写成形された後に送り出されるような工程を経ないから、転写成形された樹脂積層体の走行方向に平行な溝形状、あるいは走行方向に直行する溝や格子状形状の損傷の問題が無い。このため、本発明によればアスペクト比の高い微細構造を樹脂積層体の表面又は表と裏の両面に成形することができる。
本発明に係る積層体の例を示す模式図である。 熱可塑性樹脂の弾性率と温度との関係を示すグラフである。 本発明に係る積層体が有する微細構造部分のアスペクト比の範囲を示すグラフである。 本発明に係る製造方法において、最初の溶融樹脂を塗布している状態を示す図面である。 本発明に係る製造方法において、つぎつぎに塗り重ねられる溶融樹脂部分を示す図面である。 本発明に係る製造方法を各工程ごとに説明する模式図である。
以下、発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1に示す積層体は、本発明に係る積層体の例を示す模式図である。図1(a)に示す二層の積層体40はその表面に微細構造を有し、図1(b)に示す四層の積層体40はその表と裏の両面に微細構造を有している。図1(b)に示す積層体40は、微細構造を有する層41(41A、41B)と本体部を形成する層43(この例は二層から構成されている)からなる。積層体40の各層の境界部は接着剤層を含まず融着されている。
積層体40を形成する熱可塑性樹脂は、特に種類を問わず、非晶性樹脂同士の組合せが好適であるが、非結晶性樹脂同士、場合によっては非晶性樹脂と結晶性樹脂であってもよい。例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂からなる微細構造を有する層41とポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる本体部を形成する層43とから積層体40を形成することができる。
また、積層体40の相隣る層を形成する熱可塑性樹脂の種類についても特に問わない。相隣る層を形成する熱可塑性樹脂は、それぞれその特性、例えばガラス転移温度、荷重たわみ温度、融点、粘度等が異なるものであってもよい。相隣る層を形成する熱可塑性樹脂の粘度が異なる場合、粘度比が3倍以上であってもよい。この粘度比の上限は特にないが、粘度比が数十倍であってもよい。なお、ここで言う粘度比とは、相隣る各々の樹脂がゴム状態を示す温度以上の同一温度、同一せん断速度の下で測定した粘度の比をいう。粘度は、例えばJIS K7117-2により測定することができる。
ゴム状態を示す温度以上の温度とは、例えば、図2のような弾性率の温度変化を示す熱可塑性樹脂の場合は、温度Ta以上の温度をいう。なお、図2において、横軸は温度を示し、縦軸は各温度における特定周波数tで測定した縦弾性率を示す。Tgはガラス転移温度を示す。
積層体40の積層される各層の厚さは、所望の厚さにすることができ、50μm〜3mmにすることができる。相隣る層の厚さは、異なっていてもよく、例えば数十μmの樹脂層の上に数mmの樹脂層を積層させることができる。なお、積層体40の全体の厚さは、製品に求められる仕様によって決まるため制約はないが、微細構造部分の転写精度、各層間の融着性等を確保する観点からは3mm以下であるのがよい。
また、本積層体40は、図1に示す微細構造部分を形成する凸状部の直径、辺長(a)を10nm〜1mmにすることができ、高さ(b)を10nm〜1mmにすることができる。また、微細構造部分を形成する凹部の幅(c)を10nm〜1mmにすることができ、深さ(d)を10nm〜1mmにすることができる。
特に、後述する図6に示す製造方法によれば、積層体40の微細構造部分(凸部、凹部)の転写成形を高精度に行うことが可能で、微細構造部分の転写率を体積比率で90%以上の精度にすることができる。
また、本積層体40は、微細構造を有する層41と本体部を形成する層43を所望の特性、例えば成形性、強度等について所望の特性を有する熱可塑性樹脂を組み合わせて形成することができ、各層間の境界部は平坦度に優れている。このため、微細構造を有する層41を本体部を形成する層43に対して薄くできるばかりでなく、図1に示す微細構造を有する層41の基台部分の厚さtを凸部又は凹部の高さ(b)又は深さ(d)に対して t>0.2b(又はt>0.2d) とすることができる。
本微細構造部分は、上述のように転写精度に優れ、所望の特性を有する熱可塑性樹脂から形成することができるので、高アスペクト比を有するものとすることができる。例えば、図3の斜線部に示すアスペクト比を有する微細構造を形成することができる。図3において、横軸は凸部又は凹部の直径、辺長又は幅(a又はc)を示し、縦軸は凸部又は凹部の高さ又は深さ(b又はd)を直径、辺長又は幅(a又はc)で除したアスペクト比((b又はd)/(a又はc))を示す。
図3は、転写成形された積層体40の微細構造部分の転写事例を示す。本積層体40の微細構造部分は、図3に示すように、幅15μmで高さ120μmのアスペクト比8、幅7μmで高さ40μmのアスペクト比約6など、高アスペクト比にすることができる。直径が0.2〜0.25μmでアスペクト比が2前後のピラー状の微細構造を転写形成することもできる。また、mmスケールの凹凸形状の表面にサブミクロンオーダの微細凹凸を形成することもできる。
図3に示す積層体40を構成する樹脂材料は、種々の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレートブタジエンスチレン(MBS)などの樹脂材料を好適に使用することができる。本発明においては、例えば、帝人化成(株)のPC樹脂パンライトL-1225(登録商標、250℃,1000s-1での粘度は約10000Pa・s)と住友化学(株)のPMMA樹脂スミペックスLG35(登録商標、250℃,1000s-1での粘度は約1000Pa・s)とを積層させることができ、両者の粘度比が10程度もあるような樹脂を積層させることができる。また、その樹脂材料の供給形態についても特段の制限はなく、市場に流通する多種類・多グレードのペレット状樹脂材料であれば問題なく使用することができる。
本積層体40は、以下に示す製造方法により好適に製造することができる。すなわち、微細構造を有する下金型と平面部又は微細構造を有する上金型を用い、所定温度に保持された下金型の上面に、溶融樹脂を所定厚さにつぎつぎに塗り重ねた後、その塗り重ねた多層の溶融樹脂の上面から上金型を押しつけることにより、各層の境界部が接着剤層を含まずに融着され表面又は表と裏の両面に微細構造が転写成形された積層体を製造することができる。
本製造方法において、下金型又は上金型は、例えば公知のプレス式の微細構造転写成形装置に用いられる下金型又は上金型を使用することができる。微細構造を有する下金型は、下金型自体が微細構造を有するもの、または、微細構造を有するスタンパを下金型に組み込んだものでもよい。下金型及び上金型が微細構造を有する場合は、その微細構造が積層体の表及び裏の両面に転写成形される。下金型が微細構造を有し、上金型が平面部を有しており上金型の押圧面が平面状である場合は、積層体の表面にのみ微細構造を有する積層体を得ることができる。
本製造方法は、先ず図4に示すように微細構造を有する下金型10に溶融樹脂を塗りつけた後、図5に示すように先に塗りつけた溶融樹脂に重ねてつぎつぎに溶融樹脂を塗りつけることによって積層体を得る方法である。なお、図4は、微細構造を有するスタンパ15が組み込まれた下金型10に溶融樹脂供給装置の樹脂供給口36から供給される溶融樹脂45が塗布される様子を示している。白色太矢印Aは溶融樹脂の流れ方向を示し、その塗布される溶融樹脂により空気が黒細矢印Bで示すように排出される様子を示す。図5は、n−3層、n−2層、n−1層が積層された後、n層を塗布する様子を示す。図4及び図5において、矢印Fは、樹脂供給口36の移動方向を示す。
本製造方法において、下金型10は、所定温度Ts、すなわち、下金型上に塗布される溶融樹脂の荷重たわみ温度をTdとした場合に、Td≦Ts≦Td+100 を満たす温度範囲に保持するのがよい。例えば、塗布される溶融樹脂がPC樹脂である場合は、荷重たわみ温度(0.45MPa)が概ね140℃であるから、140≦Ts≦140+100 となり、下金型10の温度を例えば150℃とすることができる。下金型10の温度Tsは、生産性等を考慮すればできるだけ低い方が好ましく、積層される溶融樹脂の下記に説明する樹脂供給温度を考慮して決められる。なお、荷重たわみ温度は、JIS K 7191-1,2(ISO 75-1,2) により求めることができる。荷重たわみ温度に対して熱変形温度(Heat Deflection Temperature、ASTM D648)を使用してもよい。なお、通常は、積層させる樹脂を塗り重ねているときに金型温度Tsを変更する必要はない。しかし、積層させる樹脂の組合せによって、Tn≧2×Tp-Tsを満足する温度が塗り重ねようとする樹脂の分解温度以上になる場合には、必要に応じて金型温度を変更してもよい。
また、つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂のn番目に塗り重ねられるn層目の溶融樹脂の温度(樹脂供給口から供給される溶融樹脂の供給温度)Tnは、そのn層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n)、およびその前に塗り重ねられた(n-1)層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n-1)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n-1)のうち最も高い温度をTpとしたときに、Tn≧2×Tp-Ts を満たすようにするのがよい。ここでTnは、相隣る樹脂同士が互いに溶融して融着するための最低温度である。Tnは、上述のように、(2×Tp-Ts)を満たす温度以上であるが、かつ、n番目に塗り重ねる樹脂を溶融樹脂供給装置の樹脂供給口36から円滑に吐出可能な温度であるのが好ましい。なお、nは2以上の整数である。また、最初に塗布する溶融樹脂(n=1の層)の供給温度は、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度、結晶性樹脂の場合は融点をTpとして算出されるTn以上の温度で、かつ、樹脂を溶融樹脂供給装置の樹脂供給口36から円滑に吐出可能な温度であることが好ましい。
上記において、例えば、n-1層目の樹脂がアクリル(PMMA)樹脂であり、n層目に塗布しようとする樹脂がPC樹脂である場合は、PC樹脂のガラス転移温度Tg(n)が概ね145℃、PMMA樹脂のガラス転移温度Tg(n-1)が概ね100℃であるから。温度Tpは145℃とすることができる。ここで金型温度Tsが、例えば150℃である場合は、n層目に塗布しようとするポリカーボネート樹脂の温度Tnは、2×145-150=140(℃)以上となる。この温度140℃が、上述のように、PMMAとPCの界面が溶着するための最低温度である。従って、温度Tnは、140℃以上であって、かつ、その樹脂を溶融樹脂供給装置の樹脂供給口36から円滑に吐出可能な温度であることが好ましい。
また、本製造方法において、塗り重ねる溶融樹脂は、図4に示すように、その前に塗布された溶融樹脂の上面にゲージ圧で動圧0.1〜5MPaを与えるように塗布するのがよい。これにより、各層境界部の融着が促進されると共に、微細構造部分に残留しやすい空気を追い出すことができる。
本製造方法は、このように下金型10の温度Ts及び塗り重ねる溶融樹脂の温度Tnを所定の温度に制御し、また、溶融樹脂の上面にゲージ圧で動圧0.1〜5MPaを与えるように塗布することにより実施される。このため、本製造方法によれば、微細構造部分の転写精度が高く、各層境界部が平坦で強固に融着している微細構造を有する積層体を得ることができる。
また、本製造方法においては、微細構造を転写成形するために、プレス圧よって塗布された溶融樹脂をマクロ的に流動変形させる必要がほとんどなく、低いプレス圧で微細構造を有する積層体を成形することができる。そして、プレス加圧中に金型内で溶融樹脂を大きく流動させる必要がないので、溶融樹脂の流動に伴う高分子鎖の配向を最小限に抑えることができ、本製造方法によれば歪、反り又は光学的歪が極めて小さい積層体を得ることができる。
このような本発明に係る製造方法は、図6に示すプレス式の微細構造転写成形装置を用いて好適に実施することができる。先ず、スタンパ15が組み込まれた下金型10の上面に溶融樹脂供給装置30により溶融樹脂を供給する。溶融樹脂供給装置30は、ダイ35の樹脂供給口36から所望の流量の溶融樹脂を吐出可能なものであればよく、例えば図6(a)に示すインラインスクリュ式の可塑化・射出ユニットが連接された溶融樹脂供給装置30であってもよく、また、可塑化機構と吐出機構とが別置されたプリプラ式の溶融樹脂供給装置30であってもよい。溶融樹脂供給装置30は、積層体を構成する樹脂種ごとに設けるのがよい。溶融樹脂供給装置30は、可塑化機構を設けることにより、先に塗布された樹脂の上面にそれよりも高温の溶融樹脂を塗り重ねることができ、また、相隣る樹脂の界面を融着させることができるようになる。
ダイ35は、スタンパ15の表面から樹脂供給口36までの高さ及び塗布方向への移動速度を調整する制御手段(図示せず)を備えている。そして、下金型10は、所定の温度に保持されている。なお、ダイ35は、Tダイを使用するのがよい。
溶融樹脂供給装置30から供給される溶融樹脂45は、図6(b)に示すように、スタンパ15に設けられた微細構造部分16の上面に塗布される。供給される溶融樹脂は、上記に説明した所定の温度で供給される。溶融樹脂の塗布は、スタンパ15又はその前に塗布された溶融樹脂の上面にゲージ圧で動圧0.1〜5MPaを与えるように塗布するのがよいことは上述したが、この動圧は、その前に塗布された溶融樹脂の上面から溶融樹脂を供給するTダイの樹脂供給口の先端までの距離、前記Tダイの水平方向移動速度及び供給される溶融樹脂の吐出流量を調整することにより制御することができる。
例えば、先ず、溶融樹脂の吐出流量を、使用するTダイの樹脂供給口36の幅と前記水平移動速度との乗算値で除算し、溶融樹脂の厚みを求める。次に、その求めた厚みよりもTダイの樹脂供給口の先端までの距離を小さく設定する。これにより、塗布する溶融樹脂に高い動圧を印加することができる。
塗布する溶融樹脂に動圧を印加することによって、本発明においては、樹脂塊を金型内に装填してプレスで板状に潰す工法とは異なり、プレス時にも塗布された溶融樹脂をマクロ的に流動変形させる必要がほとんどなく、低いプレス圧で微細構造を有する積層体を成形することができる。そして、プレス加圧中に金型内で溶融樹脂を大きく流動させる必要がないので、溶融樹脂の流動に伴う高分子鎖の配向を最小限に抑えることができ、歪、反り又は光学的歪が極めて小さい積層体を得ることができる。また、塗り重ねる樹脂のプレス時における厚み及び形状が最終製品の形状及び厚みにほぼ等しいので、高精度の微細構造を形成することができる。
溶融樹脂は、図6(c)に示すように、つぎつぎに塗り重ねられる。この場合に図5に示すg寸法及び前記のTダイの樹脂供給口の先端までの距離、前記Tダイの水平方向移動速度及び供給される溶融樹脂の吐出流量を調整することにより、n層の厚さ及び印加する動圧を高精度で調整することができる。本積層体の製造方法は、このように積層体を形成する層を塗り重ねていく方法であるから、樹脂層の間に容易に金属層を含む積層体を形成することができる。この金属層は、樹脂層間の結合力を考慮すると箔状のものより網状のものが好ましい。
次に、図6(d)に示すように、上金型20を降下させて(矢印Pd方向)塗り重ねた溶融樹脂を押圧する。そして、図6(e)に示すように、加圧したままで下金型10及び上金型20を冷却する。最後に、図6(f)に示すように、上金型20を下金型10から開き(矢印Pu方向)、塗り重ねた溶融樹脂が冷却され形成された積層体40を上金型20から剥離する。積層体40の表面には、スタンパ15に設けられた微細構造が転写成形されている。
10 下金型
15 スタンパ
16 微細構造部分
20 上金型
30 溶融樹脂供給装置
35 ダイ
36 樹脂供給口
40 積層体
41、41A、41B 微細構造体を有する層
43 本体部を形成する層
45 溶融樹脂

Claims (6)

  1. 微細構造を有する下金型と平面部又は微細構造を有する上金型を用い、
    所定温度に保持された下金型の上面に、溶融樹脂を所定厚さにつぎつぎに塗り重ねた後、その塗り重ねた多層の溶融樹脂の上面から上金型を押しつけ、各層の境界部が接着剤層を含まずに融着され表面又は表と裏の両面に微細構造が転写成形された積層体を得る製造方法であって、
    前記つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂の塗布は、その前に塗布された溶融樹脂の上面にゲージ圧で動圧0.1〜5MPaを与えるように行われる積層体の製造方法。
  2. 前記動圧は、その前に塗布された溶融樹脂の上面から溶融樹脂を供給するTダイの樹脂供給口の先端までの距離、前記Tダイの水平方向移動速度及び供給される溶融樹脂の吐出流量を調整することにより制御されることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記下金型の所定温度Tsは、前記下金型上に塗布される溶融樹脂の荷重たわみ温度をTdとした場合に、Td≦Ts≦Td+100 であることを特徴とする請求項1又2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂のn番目に塗り重ねられるn層目の溶融樹脂の温度Tnは、そのn層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n)、およびその前に塗り重ねられた(n-1)層目の樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度Tg(n-1)、結晶性樹脂の場合は融点Tm(n-1)のうち最も高い温度をTpとしたときに、Tn≧2×Tp-Tsであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
    ここに、nは2以上の整数である。
  5. 前記つぎつぎに塗り重ねる溶融樹脂の所定厚さは、それぞれ50μm〜3mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記積層体中に金属層を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
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