JP2014202947A - 微細構造を有する成形体の製造方法およびそれにより得られる光学部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】3次元立体面上に高い寸法精度で各種形状の微細構造を形成する方法、及びその形成方法で得られる成形品を提供すること【解決手段】上記は、基材フィルム1上に微細構造4を形成する工程と、該微細構造4上に未硬化の熱硬化性樹脂5を塗布して積層フィルムとする工程と、前記工程で得られる積層フィルムを被成形体に対面させて貼り付ける工程と、前記未硬化の熱硬化性樹脂5を硬化させる工程と、被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造4が形成された基材フィルム1を被成形体7から剥離する工程とよりなる表面に微細構造9が形成された成形体の製造方法により達成できる。【選択図】 図4
Description
本発明は微細構造を形成した成形体の製造方法に関し、更に詳しくは、3次元立体面上に微細構造を形成した成形体の製造方法、及びその製造方法で得られる成形品に関するものである。
光の波長より小さい周期を有する微細な凹凸からなる微細構造は反射防止機能を発現するため、そのような微細構造をレンズの曲面に形成して反射防止機能を付与することが提案されている(特許文献1)。レンズ表面などの3次元的な曲面上に微細構造を形成した成形体の製造方法としては、あらかじめ微細構造を形成した金属、酸化物、樹脂からなる可撓性膜を被成形体の曲面に沿って接合する製造方法が知られている(特許文献2)。しかし、この製造方法は厚さ10〜100μmの可撓性膜を被成形体表面に接合するため、凹凸構造について10μm以下の寸法精度を要求する成形体に適用するには、曲面部において可撓性膜の膜厚による寸法誤差が凹凸構造に生じてしまうため適用し難いという問題がある。また、可撓性膜の厚さを10μm以下にすることは、可撓性膜のハンドリング性が極めて悪くなるため実用に供することは現実的ではない。
一方、微細構造を被成形体の曲面に直接形成する方法としては、真空プロセスで被成形体の曲面上に蒸着した金属ナノ粒子をマスクとして利用し、エッチング法により曲面上にナノ構造を形成する方法が知られている(非特許文献1)。この製造方法では成形体の曲面上に微細構造を直接形成するため高い寸法精度で成形体を得ることが可能だが、形成する微細構造の形状が金属ナノ粒子の形状に依存するため、各種形状の微細構造を作製できないという問題がある。
ナノ粒子の創生と応用展開 (2008年、フロンティア出版、編・著 米澤徹)
本発明は上記課題を解決するため、3次元立体面上に高い寸法精度で各種形状の微細構造を形成した成形体の製造方法、及びその製造方法で得られる成形品を提供することを目的とする。
上記の課題を解決する本発明は、
基材フィルム上に微細構造を形成する工程と、該微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程と、前記工程で得られる積層フィルムを前記積層フィルムの熱硬化性樹脂側を被成形体に対面させて貼り付ける工程と、積層フィルムと被成形体とを貼り付けた状態で前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造が形成された基材フィルムを被成形体から剥離する工程とよりなる表面に微細構造が形成された成形体の製造方法により達成できる。前記被成形体の微細構造形成面は3次元立体面からなるのが好ましい。
ここで、本発明における「微細構造」とは、互いに隣接するトップとボトムの高さの差が0.05μm〜5μm以下であり、互いに隣接するトップ間の距離が0.05μm〜10μmの凹凸構造である。
基材フィルム上に微細構造を形成する工程と、該微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程と、前記工程で得られる積層フィルムを前記積層フィルムの熱硬化性樹脂側を被成形体に対面させて貼り付ける工程と、積層フィルムと被成形体とを貼り付けた状態で前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造が形成された基材フィルムを被成形体から剥離する工程とよりなる表面に微細構造が形成された成形体の製造方法により達成できる。前記被成形体の微細構造形成面は3次元立体面からなるのが好ましい。
ここで、本発明における「微細構造」とは、互いに隣接するトップとボトムの高さの差が0.05μm〜5μm以下であり、互いに隣接するトップ間の距離が0.05μm〜10μmの凹凸構造である。
また、前記微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程において、未硬化の熱硬化性樹脂を塗布する前に微細構造表面に離型処理を行うのが好ましい。
本発明において、前記積層フィルムを被成形体の3次元立体面に貼り付ける工程は、前記積層フィルムの基材フィルム側と熱硬化性樹脂側における圧力差を利用したいわゆる真空成形または圧空成形とし、前記熱硬化性樹脂の重合開始温度をT1℃とした場合、前記積層フィルムを被成形体に貼り付ける工程における前記積層フィルムの温度がT1℃以下とするのが好ましい。
また本発明は、上記の製造方法によって得られる表面に微細構造を形成した成形体から該成形体の反転形状を有する型を作製し、次いで、該型を転写することによって表面に微細構造を形成した成形品を製造することを特徴とする表面に微細構造を形成した成形品の製造方法である。
また本発明は、前記表面に微細構造を形成した成形体の製造方法で得られる、光学部品である。
本発明によれば、公知のリソグラフィ技術で作製した微細構造を用いて被成形体表面に微細構造を形成することが可能である。また本発明における積層フィルムを、3次元立体面を有する被成形体表面に貼り付けた場合に、微細構造の寸法変化は熱硬化性樹脂層よりなる微細構造の膜厚だけであるため、高い寸法精度の微細構造を表面に有する成形体を製造できる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
本発明は、基材フィルム上に微細構造を形成する工程と、前記微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程と、前記工程で得られる前記微細構造上に塗布した未硬化の熱硬化性樹脂とからなる積層フィルムを前記被成形体の微細構造形成面に、前記熱硬化性樹脂面が対向する向きで貼り付ける工程と、前記積層フィルムと被成形体とを貼り付けた状態で前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造を形成した基材フィルムを被成形体から剥離する工程とよりなる表面に微細構造を形成した成形体の製造方法である。
なお、これらの図において図示される各部の大きさ、厚さ、寸法等は、実際の微細構造の形成工程における大きさ、厚さ、寸法とは異なる。
本発明は、基材フィルム上に微細構造を形成する工程と、前記微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程と、前記工程で得られる前記微細構造上に塗布した未硬化の熱硬化性樹脂とからなる積層フィルムを前記被成形体の微細構造形成面に、前記熱硬化性樹脂面が対向する向きで貼り付ける工程と、前記積層フィルムと被成形体とを貼り付けた状態で前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造を形成した基材フィルムを被成形体から剥離する工程とよりなる表面に微細構造を形成した成形体の製造方法である。
なお、これらの図において図示される各部の大きさ、厚さ、寸法等は、実際の微細構造の形成工程における大きさ、厚さ、寸法とは異なる。
図1に紫外線硬化樹脂を用いた基材フィルム上への微細構造の形成工程を示す。該工程はいわゆる光ナノインプリントと呼ばれる方法である。基材フィルム1上の微細構造4は紫外線硬化樹脂2を基材フィルム1上に塗布し、紫外線硬化樹脂2側から微細構造4の反転型3を押し当て、紫外線照射により硬化することで得ることができる。紫外線照射は硬化に寄与する波長に対して、基材フィルム1と反転型3で透過率の高いどちらか一方向からあるいは両方から照射すればよい。
また図2に熱プレスによる基材フィルム上への微細構造の形成工程を示す。該工程はいわゆる熱ナノインプリントと呼ばれる方法である。基材フィルム1上から微細構造4の反転型3を加熱したのち、圧力をかけることで基材フィルム1上に微細構造4を形成することができる。さらに基材フィルム1を押し出し成形で作製する場合は、ロール表面に微細構造4の反転型3を設けておくことで、押し出し成形時に基材フィルム1の表面に微細構造4を形成することができる。基材フィルム1の表面に微細構造4を形成する方法は、必要とする面積、構造の大きさ、フィルムの物性等を鑑み、適宜選択すればよい。
微細構造4の反転型3は、公知技術を用いて作製する事ができる。例えば、マスク露光法、電子線リソグラフィ法、干渉露光法などがある。また大きな面積に対応することができる、自己組織化といわれるアルミの陽極酸化、微粒子配置なども利用できる。微細構造の反転型3の作製は、必要とする面積、微細構造の大きさに応じ、適宜選択すればよい。
微細構造の形成に紫外線硬化樹脂2を用いる場合、紫外線硬化樹脂の硬化後の貯蔵弾性率が0.1〜100MPaであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10MPaである。なぜなら、後で説明する被成形体に微細構造を貼り付ける工程において、紫外線硬化樹脂2と基材フィルム1の弾性率を近い値にすることで、紫外線硬化樹脂2と基材フィルム1が剥離するのを防ぐことができるためである。紫外線硬化樹脂2の貯蔵弾性率が前記範囲外の場合、被成形体に微細構造を貼り付ける工程において、基材フィルム1と紫外線硬化樹脂2にかかる応力差により、基材フィルム1と紫外線硬化樹脂2が剥離する問題が生じやすい。
また、紫外線硬化樹脂2を基材フィルム1上に塗布する前に、紫外線硬化樹脂2を塗布する基材フィルム1の表面にコロナ処理、プライマー処理等の易接着処理を施しても良い。これにより紫外線硬化性樹脂2と基材フィルム1の剥離を一層防止することができる。
また、紫外線硬化樹脂2を基材フィルム1上に塗布する前に、紫外線硬化樹脂2を塗布する基材フィルム1の表面にコロナ処理、プライマー処理等の易接着処理を施しても良い。これにより紫外線硬化性樹脂2と基材フィルム1の剥離を一層防止することができる。
基材フィルム1としては無延伸のフィルムを用いるのが好ましい。これは後で説明する被成形体に微細構造を有する積層フィルムを貼り付ける工程において、基材フィルムを延伸しながら3次元立体面を有する被成形体の表面に追従させるためである。貼り付け工程の前に既に延伸されたフィルムを用いた場合では、一般に結晶性が高まるため、基材フィルム1が伸びにくくなり被成形体への追従が困難になる。さらに、基材フィルム1の延伸方向と非延伸方向での伸び率が異なってくるため、基材フィルム1を等方的に伸ばすことが困難になる等の問題が生じやすい。
また、基材フィルム1の材料としては、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネートなどが例示できる。基材フィルム1の材料は、被成形体の大きさ、形状に応じて適宜選択すればよい。特にゴム入りアクリル系樹脂を用いるのが加工性の観点から好ましい。
形成する微細構造としては、モスアイ構造、ラインアンドスペース構造、ピラー構造、ホール構造などのフォトニック結晶、回折格子などが挙げられる。ここで、微細構造とは、互いに隣接するトップとボトムの高さの差が0.05μm〜5μmであり、互いに隣接するトップ間の距離が0.05μm〜10μmの凹凸構造である。
次に、微細構造上に熱硬化性樹脂5を塗布する工程について説明する。図3のように、微細構造4上に未硬化の熱硬化性樹脂5を塗布する工程は、まず未硬化の熱硬化性樹脂5に対して希釈剤を添加して未硬化の熱硬化性樹脂5を希釈させた溶液6を作製する。溶液6をスピンコート、バーコート、スプレーコートなどの装置を用いて微細構造4上に均一に塗布した後、溶液6から添加した希釈剤を蒸発させる事で微細構造4の凹凸に未硬化の熱硬化性樹脂5が充填し、平滑な未硬化の熱硬化性樹脂の薄膜が得られる。
熱硬化性樹脂5にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などが例示でき、前記熱硬化性樹脂の希釈剤には熱硬化性樹脂5と化学的に非反応な溶剤を用いることができる。また、前記希釈剤は微細構造4を形成する材料に対して不要な溶剤を選択する必要がある。これは、溶液6中の前記希釈剤が微細構造4を溶解するのを防ぐためである。
熱硬化性樹脂5の膜厚は10μm以下とするのが好ましい。これは後で説明する基材フィルム1と未硬化の熱硬化性樹脂5からなる積層フィルムを被成形体に貼り付ける工程において、熱硬化性樹脂5からなる層の膜厚が10μm以上となるということは、被成形体に形成する微細構造4の膜厚が10μm以上となることであり、被成形体の寸法精度を低下させるためである。さらに膜厚10μm以下の熱硬化性樹脂5を作製するためには、溶液6の粘度は1.0cP以下が好ましい。溶液6の粘度が1.0cP以上のときに、微細構造4上に膜厚10μm以下の熱硬化性樹脂5の薄膜を形成する場合、平滑な膜を得るのが困難なためである。
また、希釈剤を添加した未硬化の熱硬化性樹脂6を微細構造4上に塗布する前に、フッ素系の離型剤を微細構造4上に塗布してもよく、前記離型剤を添加した溶液6を微細構造4上に塗布しても良い。これは後で説明する被成形体に貼り付けた前記積層フィルムから微細構造4を形成した基材フィルム1を剥離する工程において、積層フィルム表面に形成した微細構造4と硬化した熱硬化性樹脂5の離型性を上げるためである。
図4のように、微細構造4を表面に形成した基材フィルム1と微細構造4上に塗布した未硬化の熱硬化性樹脂5からなる積層フィルムを被成形体7に貼り付ける工程は、例えば真空圧空成形機8を用いて行うのが好ましい。被成形体7を真空圧空成形機8内に固定し、前記積層フィルムの熱硬化性樹脂5側と被成形体7が互いに対面するように配置する。前記積層フィルムの温度は基材フィルム1側からの赤外線加熱により制御される。赤外線加熱により前記積層フィルムを軟化させた後、前記積層フィルムの基材フィルム1側を加圧状態、前記積層フィルムの熱硬化性樹脂5側を減圧状態にする事で、被成形体に前記積層フィルムを貼り付けることができる。
なお、熱可塑性樹脂側を減圧する場合、基材フィルム1側を大気圧とすることを妨げるものではなく、逆に、基材フィルム1側を加圧する場合、熱可塑性樹脂側を大気圧とすることを妨げるものではない。
なお、熱可塑性樹脂側を減圧する場合、基材フィルム1側を大気圧とすることを妨げるものではなく、逆に、基材フィルム1側を加圧する場合、熱可塑性樹脂側を大気圧とすることを妨げるものではない。
熱硬化性樹脂5の重合開始温度をT1℃とした場合、前記積層フィルムを被成形体7に貼り付ける工程における前記積層フィルムの温度はT1℃以下が好ましい。前記積層フィルムをT1℃以上の温度で被成形体7に貼り付ける場合、前記積層フィルムの未硬化の熱硬化性樹脂5が被成形体に張り付ける前に硬化してしまい、熱硬化性樹脂5からなる微細構造4を被成形体7に接着させることができないためである。
また、前記積層フィルムを被成形体7に貼り付ける圧力は200〜350kPaで行うのが良い。前記積層フィルムを被成形体7に貼り付ける圧力が200kPa以下の場合、前記積層フィルムに対面する被成形体7の微細構造形成面に対して前記積層フィルムが十分に追従しないため、熱硬化性樹脂5からなる微細構造4を被成形体7の曲面全体に形成させるのが困難になることがある。一方、350kPa以上の圧力で前記積層フィルムを被成形体7に貼り付ける場合、前記積層フィルムの基材フィルム1が圧力により破断することがある。
被成形体7の表面は前記積層フィルムの硬化した熱硬化性樹脂5と接着性の高い物性の材料であることが好ましい。より好ましくは、被成形体7の表面と熱硬化性樹脂5が同種材料であることが好ましい。熱硬化性樹脂5と接着性の高い材料には、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、木材、コンクリートなどを例示できる。また、被成形体7の表面にコロナ処理、プライマー処理等の公知の易接着処理を施しても良い。
前記積層フィルムと被成形体を貼り付けた状態で未硬化の熱硬化性樹脂5を硬化させる工程は、T1℃以上で行う。T1℃以下では、熱硬化性樹脂5の硬化に起因する発熱反応が発生せず、未硬化の熱硬化性樹脂5が硬化しないためである。
被成形体7に貼り付けた前記積層フィルムから微細構造が掲載された基材フィルム1を剥離すると、硬化した熱硬化性樹脂5からなる微細構造4の反転構造9が被成形体7の表面に形成される。
前記積層フィルムを被成形体7に貼り付ける際、被成形体7の形状に応じて前記積層フィルムが延伸しながら追従するため、前記積層フィルムの基材フィルム1に形成した微細構造4も延伸する。基材フィルム1の延伸を想定した微細構造4の形状設計を行うことで、被成形体7全面に渡って所望の特性を得ることができる。
得られた成形体はそのまま用いても良い。また、前記成形体に金属蒸着処理を行い、偏光分離などの高機能化を計ることも可能である。さらに、電鋳処理をして反転型を作製し、前記反転型から射出成形や熱プレスなどの量産性に富む転写により表面に微細構造を形成した成形品を作製することが可能である。
微細構造の金型には周期300nm、高さ300nmのモスアイ構造を持つニッケル型(協同インターナショナル製)、基材フィルムにはポリ塩化ビニルフィルム(タフニール、日本ウェーブロック社製、以下PVC) またはゴム入りアクリル系フィルム(以下RT)を使用した。ゴム入りアクリル系フィルムとしては、厚さを150μmとした他は特開2009−228000に開示される実施例1に記載のフィルムと同等のものを用いた。
アクリル系紫外線硬化樹脂(UVX4332、東亜合成製)を介して金型を基材フィルムに貼り付け、紫外線照射した。金型を基材フィルムから剥離すると、硬化した紫外線硬化樹脂からなるモスアイ構造の反転構造を基材フィルム上に得ることができた(図5参照)。モスアイ構造の反転構造上にメタノールで30wt%に希釈したエポキシ樹脂(jER828、三菱化学製)をスピンコートにより塗布し、20℃で放置してメタノールを蒸発させた。なお、該エポキシ樹脂の重合開始温度は70℃である。
モスアイ構造の反転構造を表面に形成する基材フィルムと未硬化の熱硬化性樹脂からなる積層フィルムを真空圧空成形機(FVF製、NGF―0406−T)内で60℃または80℃まで加熱し、300kPaで被成形体に貼り付けた。被成形体には、ガラス、シリコンウェハ、ステンレス板、ニッケル板またはアクリル製レンズを使用した。前記積層フィルムを被成形体に貼り付けた状態で80℃、3時間加熱した。基材フィルムを被成形体から剥離し、被成形体の微細構造形成面に硬化したエポキシ樹脂からなるモスアイ構造の形成有無を確認した。表1に試験条件および結果を示す。なお、本実施例においては「不可」となった例についても、被成形体の形状等が本実施例と異なった場合には同条件で「可」となる可能性があることから、参考例とした。
<参考例3>
実施例5と同じ紫外線硬化樹脂、モスアイ構造、アクリル製レンズを用い、基材フィルム1に2軸延伸したPETフィルム(東洋紡エステル、A4300、東洋紡績製)を用いて真空圧空成形を実施した。この結果、真空圧空成形時にフィルムが破断し、微細構造4を形成することはできなかった。
実施例5と同じ紫外線硬化樹脂、モスアイ構造、アクリル製レンズを用い、基材フィルム1に2軸延伸したPETフィルム(東洋紡エステル、A4300、東洋紡績製)を用いて真空圧空成形を実施した。この結果、真空圧空成形時にフィルムが破断し、微細構造4を形成することはできなかった。
実施例4で得られたニッケル基板にモスアイ構造を形成した成形体に対して、モスアイ構造形成前後での表面反射率を顕微分光装置(ラムダビジョン製)で測定した結果を図6に示す。これより、モスアイ構造形成による反射率の低減を確認した。
実施例5で得られたアクリル製レンズの表面にモスアイ構造(図7参照)を形成した成形体を観察した結果、レンズの天頂部から裾部にかけてモスアイ構造が0〜30%延伸していた。
実施例5で得られたアクリル製レンズの表面にモスアイ構造を形成した成形体から電鋳処理を行い、反転金型を作製した。前記反転金型から射出成形を行った所、実施例4で得られた成形体と同じ光学性能を示す成形体が得られた。
1 基材フィルム
2 紫外線硬化樹脂
3 微細構造の反転型
4 微細構造
5 熱硬化性樹脂
6 希釈剤を添加した熱硬化性樹脂
7 被成形体
8 真空圧空成形機
9 微細構造の反転構造
2 紫外線硬化樹脂
3 微細構造の反転型
4 微細構造
5 熱硬化性樹脂
6 希釈剤を添加した熱硬化性樹脂
7 被成形体
8 真空圧空成形機
9 微細構造の反転構造
Claims (6)
- 基材フィルム上に微細構造を形成する工程と、
前記微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程と、
前記微細構造上に塗布した未硬化の熱硬化性樹脂とからなる積層フィルムを前記被成形体の微細構造形成面に、前記熱硬化性樹脂面が対向する向きで貼り付ける工程と、
前記積層フィルムと被成形体とを貼り付けた状態で前記未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、
被成形体に貼り付けた前記積層フィルムのうち前記微細構造が形成された基材フィルムを被成形体から剥離する工程と
よりなる表面に微細構造が形成された成形体の製造方法。 - 前記被成形体の微細構造形成面が3次元立体面からなることを特徴とする請求項1記載の成形体の製造方法。
- 前記積層フィルムの未硬化熱硬化性樹脂面を被成形体の微細構造形成面に貼り付ける工程が、真空成形または圧空成形であり、前記熱硬化性樹脂の硬化開始温度をT1℃とした場合、積層フィルムの未硬化の熱硬化性樹脂面を被成形体の微細構造形成面に貼り付ける工程における積層フィルムの温度がT1℃以下であることを特徴とする請求項1乃至2記載の成形体の製造方法。
- 前記微細構造上に未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して積層フィルムとする工程において、未硬化の熱硬化性樹脂を塗布する前に微細構造表面に離型処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で得られる成形体から該成形体の反転形状を有する型を作製し、次いで、該型を転写することによって表面に微細構造を有する成形体を得ることを特徴とする微細構造を有する成形体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細構造を有する成形体の製造方法で得られる光学部品。
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