JP4224052B2 - 成形体の製造装置 - Google Patents
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Description
前記下金型上に塗布された溶融樹脂をプレスする上金型と、前記上金型を加熱または冷却する上金型加熱冷却部と、前記下金型を加熱または冷却する下金型加熱冷却部とを有するプレス手段;
前記プレス手段の前段に設けられるとともに、前記下金型を加熱する加熱手段;および
前記下金型を移動させる移動手段;
を備え、
前記下金型を複数枚用い、これを連結して無限軌道を形成し、
前記加熱手段によって前記下金型を加熱し、前記移動手段によって前記無限軌道を回転させながら、前記溶融樹脂塗布手段によって前記下金型上の被塗布面に溶融樹脂を塗布し、続いて、さらに前記移動手段によって前記無限軌道を回転させ、前記プレス手段によって前記塗布された溶融樹脂をプレスして樹脂の形状を整えながら冷却し固化させ、前記複数枚の下金型上で成形体を連続的に製造するように構成したことを特徴とする成形体の製造装置である。
請求項2の発明は、前記上金型および下金型の少なくとも一方に、微細な凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造装置である。
請求項3の発明は、前記微細な凹凸部は、前記上金型および下金型の少なくとも一方の表面に直接加工することで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造装置である。
請求項4の発明は、前記微細な凹凸部は、微細な凹凸形状が加工されたスタンパを前記上金型および下金型の少なくとも一方の表面に搭載することによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造装置である。
請求項5の発明は、前記吐出部の先端部と前記下金型上の被塗布面との距離を調節できるように、前記吐出部の先端部を鉛直方向に移動させる手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項6の発明は、前記加熱手段のさらに前段で、前記下金型を予備加熱する予備加熱手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項7の発明は、前記予備加熱手段が、熱ふく射または熱伝達によって前記下金型を加熱する手段であることを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造装置である。
請求項8の発明は、前記溶融樹脂塗布手段が、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を射出する射出機能を有する樹脂送出部と、前記樹脂送出部から送出された溶融樹脂を前記下金型上の被塗布面に上方から塗布する吐出部とから構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項9の発明は、前記溶融樹脂塗布手段が、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を押出す押出機からなる樹脂送出部と、前記樹脂送出部から送出された溶融樹脂を前記下金型上の被塗布面に上方から塗布する吐出部とから構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項10の発明は、前記吐出部が、Tダイからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項11の発明は、前記吐出部が、吐出される溶融樹脂の幅を調節するための吐出幅調節部を備えてなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
請求項12の発明は、前記溶融樹脂塗布手段、プレス手段、加熱手段および移動手段を、あらかじめ設定された運転条件および運転順序に基いてシーケンス制御する手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の成形体の製造装置である。
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
図1は本発明の製造装置の一実施形態を説明するための模式図である。
図1において、本発明の製造装置1は、下金型100上の被塗布面101に溶融樹脂を塗布する溶融樹脂塗布手段2と、塗布された溶融樹脂をプレスして樹脂の形状を整えながら冷却し固化させ成形体を得るプレス手段3と、プレス手段3の前段に設けられるとともに、溶融樹脂の塗布時に下金型100を加熱する加熱手段4と、下金型100を移動させる移動手段5とから主に構成されている。なお、図1では、下金型100を複数枚用い、これを連結して無限軌道を形成し、移動手段5によって無限軌道を回転させる形態を示している。
図2は、本発明に使用される貯留シリンダを説明するための模式的断面図である。
図2において、貯留シリンダ221は、全体形状が円筒状をなし溶融樹脂を貯留するシリンダ2211と、シリンダ2211内に設けられるとともに溶融樹脂を規定量で押し出し送出するピストン2212と、ピストンを前後進させるピストン駆動手段2213とを有する。また、貯留シリンダ221は、外周部に加熱手段としてのヒータ2214を有し、必要に応じて図示していない冷却手段を有する。図2に示すように、シリンダ2211とピストン2212との間には、溶融樹脂が通過可能な間隙部2215が設けられ、樹脂溶融部21から溶融樹脂が流入口2216を経て流入する際には、この間隙部2215を通って溶融樹脂が矢印方向に流れていく。溶融樹脂の流速を速めに設定することにより、溶融樹脂の滞留を防止することができる。間隙部2215のサイズは、通過する溶融樹脂の流速をできるだけ速くすると同時に、そこに溶融樹脂が滞留しないように、また溶融樹脂を流入させるに際し、樹脂溶融部21に過度の圧力負担がかからない程度で適宜決定すればよいが、例えば数mm程度、具体的には0.5〜5mmである。
溶融樹脂の流入とともに、ピストン駆動手段2213を稼動させ、図3に示すようにピストン2212を後進させる。この操作により、溶融樹脂はシリンダ2211の先端部(吐出部側)から徐々に貯留していくことになる。これとは別に、所定量の溶融樹脂を貯留できる場所までピストン駆動手段2213によってピストン2212を後進させ、続いて樹脂溶融部21から溶融樹脂を流入させてシリンダ2211内に所定量の溶融樹脂を先端部から徐々に貯留させてもよい。溶融樹脂の貯留が規定量でもって完了したら、ピストン駆動手段2213を稼動させ、ピストン2212を所定距離前進させ、規定量の溶融樹脂を送出することができる。なお、ピストン2212の位置制御精度および速度精度には比較的高い精度が要求される。よって、ピストン駆動手段2213としてサーボモータとボールネジとを組合わせた方法などの精度を確保しやすい機構を用いた手段を用いるのが好ましい。
なお、溶融樹脂が通過可能な間隙部2215を設けない場合、シリンダ2211とピストン2212が接してしまい、両金属の摩擦により金属粉が発生し、これが製品に悪影響を及ぼす恐れがあるが、本発明における貯留シリンダ221は、シリンダ2211とピストン2212との間に間隙部2215が設けられているため、このような金属粉の発生がない。
本発明の一実施形態では、貯留シリンダ221のシリンダ2211内に溶融樹脂の貯留が完了した後、ピストン駆動手段2213を稼動させ、ピストン2212を所定距離前進させ、規定量の溶融樹脂を吐出部23に送出するが、溶融樹脂の送出量は、成形体の体積によって決定される。したがって、精度よく成形体を製造するには、制御された量でもってシリンダ2211内に溶融樹脂を貯留し、溶融樹脂を送出する必要がある。しかし溶融樹脂の貯留後、樹脂溶融部21および貯留シリンダ221間に圧力差が生じた場合(通常樹脂溶融部21の溶融樹脂圧力が高くなる)、溶融樹脂部21内の溶融樹脂が必要以上に流入し、規定量を超え、溶融樹脂の貯留量が過剰となり、精度よく成形体を製造することができなくなる。そこで、流入口2216の上流に樹脂流路開閉バルブ2218を設け、シリンダ2211内への溶融樹脂の貯留が完了した時点で樹脂流路開閉バルブ2218を閉じ、樹脂溶融部21からの溶融樹脂の流入を遮断する。これにより、規定量の溶融樹脂の貯留が可能となる。
さらに、溶融樹脂の貯留が完了した後は、ピストン駆動手段2213を稼動させ、ピストン2211を所定距離前進させ、規定量の溶融樹脂を吐出部23に送出するが、このときも樹脂流路開閉バルブ2218を閉じておくのが好ましい。樹脂流路開閉バルブ2218を閉じておくことで、ピストン2212の前進による溶融樹脂の送出圧力が、流路24を経て樹脂溶融部21に逃れることが防止される。これにより、規定量の溶融樹脂が吐出部23に送出され、結果として精度よく成形体を製造することができる。
図5は、このような本発明の別の形態の溶融樹脂塗布手段2’を説明するための模式的断面図である。
図5において、溶融樹脂塗布手段2’は、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を射出する射出機能を有する樹脂送出部62と、樹脂送出部62から送出された溶融樹脂を被塗布面に上方から塗布する吐出部23とから主に構成されている。本形態では、樹脂送出部62として、射出成形機用のシリンダを用いることができ、例えば当該シリンダは、全体形状が円筒状をなしスクリュ621が内設された貫通内孔622を有し、このシリンダの外周面には複数のヒータ625を有し、必要に応じて図示していない冷却手段が装着されている。スクリュ621は駆動手段623により回転駆動および前後方向に駆動されるように構成されている。
固体樹脂をホッパ624から投入すると、固体樹脂はシリンダ内でスクリュ621の回転によって先端部方向に送られるが、この時、シリンダはヒータ625によって加熱されているので、シリンダからの伝熱とスクリュ621の回転による剪断熱により固体樹脂が溶融する。先端部に所定量の溶融樹脂が貯留された後、スクリュ621を前進させ、規定量の溶融樹脂を吐出部23に送出する。
また樹脂溶融部21は、重合釜や重合槽で熱可塑性樹脂を重合し、得られた溶融樹脂を樹脂送出部22に供給してもよく、これも本発明の範囲に含むものとする。
図1に示す形態では、プレス手段3として前記のような竪型プレス機33が使用され、竪型プレス機33に上金型31が取り付けられている。
このような加熱冷却部を設ける手段は様々な方法がある。
加熱を達成するには、例えば下記のような方法がある。
(1)温調された水(湯)や油などの熱媒体を、加熱冷却部に設けられた該媒体の流路に流通させて加熱する方法。図1に示す形態はこの方法を採用するものであり、上金型31および下金型加熱冷却部32に該媒体の流路を設け、ここに熱媒体を流通させ加熱している。
(2)プレートヒータ、カートリッジヒータなどの電熱ヒータを加熱部に装着して加熱する方法。
(3)ハロゲンランプ、遠赤外線ヒータなど、赤外線を放射する装置によって、赤外線を加熱冷却部の表面に照射して加熱する方法。
(4)誘導加熱する方法。
(5)加熱冷却部本体を電気絶縁体として、その表面に薄い導電性膜を形成し、導電性膜に通電することで、導電性膜を発熱させる方法。
(1) 加熱冷却部に設けられた媒体の流路に温調水を流通させて冷却する方法。図1に示す形態はこの方法を採用するものであり、上金型31および下金型加熱冷却部32に該媒体の流路を設け、ここに温調水を流通させ加熱している。なお、図1に示す形態では、加熱時と冷却時で同じ流路を使用することになるが、加熱用の流路と冷却用の流路を別に設け、加熱または冷却速度を高めてもよい。
(2)前記(1)の形態において、媒体として冷却空気を用いる方法。
(3) 加熱冷却部表面に空気や揮発性(キャビティ表面で液体から気体に相変化する)の液体と気体とを混合したミストを吹き付けて冷却する方法。
(4)ヒートパイプにより、金型内の熱を金型外に輸送・放出することで冷却する方法。
(5)ペルチェ素子などの電気的冷却器によって、加熱冷却部内部または表面の熱を奪って冷却する方法。
加熱手段4としては、前記の下金型加熱冷却部32と同様の加熱方法を採用したものが挙げられる。移動手段5は、下金型100を所望の方向に移動させ得るものであればとくに制限はない。具体例については後述する。
この第一の場所で、下金型100が例えばプレート状の加熱手段4に接触し、急速に加熱される。ここで加熱手段4は、常に一定の出力で加熱を行っていてもよい(制御は行わない)し、温度センサで下金型100の温度を測定しながら、あらかじめ設定される温度になるように加熱量を制御してもよい。加熱手段4を常時加熱しておく形態では、下金型100の加熱温度の再現性が高まり、製品の品質に変動が生じないので好ましい。
このような手段の一例としては、図1に示すようにアクチュエータ42を加熱手段4に設置して加熱手段4を上下動させる方法;加熱手段4とは別に独立して設けられた下金型100を上下動する上下動ステージによって、下金型100を上下動させる方法;などがある。後者の方法は、図6に示すように、加熱手段4全体を上下動させるのではなく、加熱手段4とは別に独立して設けられたアクチュエータ91を有する上下動ステージ92によって下金型100のみを上下動させるようにし、この上下動によって吐出部23の先端部93と下金型100の距離を調節する構成である。
この第二の場所で、プレス手段3により塗布された溶融樹脂をプレスし、樹脂の形状を整えながら冷却し固化させ成形体を得る。図1の形態では竪型プレス機33が用いられ、この竪型プレス機33に上金型31が取り付けられ、上金型31を移動させることにより下金型100上の被塗布面の溶融樹脂をプレスする構成となっている。また前述のようにプレス手段3は、上金型31を加熱または冷却する上金型加熱冷却部311と、下金型100を加熱または冷却する下金型加熱冷却部32とを有する。
下金型100を第二の場所まで移動させた後、直ちに上金型31を移動させ両金型を閉じる。下金型100と上金型31との位置決めは、例えば上金型31に付設されたガイドピン312が下金型100のガイドピン挿入穴102に挿入されることによって行われる。もちろん、下金型100の位置を検出する手段と、検出された結果に基づいて、下金型100をXY方向に移動させるアクチュエータを設け、上金型31と嵌合するように位置決めを行ってもよい。
プレスが完了し上金型31を開いた後、移動手段5によって無限軌道を回転させ、下金型100を第二の場所の後段まで移動させ、剥離手段8により製品を下金型100から剥離させてもよい。なお、従来は剥離手段は金型内に挿入され成形体を剥離していたため、金型の開閉ストロークを大きくするか、剥離装置自体を薄い構造にするかのいずれかが必要であったが、本発明では下金型100が剥離場所まで移動するため、このような装置上の制約がない。
図7は、本発明の製造装置の別の実施形態を説明するための模式図である。
本実施の形態2は、前記の実施の形態1とほぼ同様であるが、第一の場所における溶融樹脂塗布手段2’は、射出成形機のシリンダと吐出部とからなる点が異なる。該シリンダは、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を射出する射出機能を有する樹脂送出部62と吐出部23とから構成され、吐出部23は、前記と同様に、樹脂送出部62から送出された溶融樹脂を下金型100上の被塗布面に上方から塗布する機能を有する。
また図7に示す形態では、溶融樹脂塗布手段2’は、支持部材63によって支持され、支持部材63における支点631を軸として溶融樹脂塗布手段2’を軸回転させることにより、吐出部23の先端部を鉛直方向の移動が可能となり、下金型100上の被塗布面との距離を調節することができる。
なお、図1に示すように樹脂溶融部21と樹脂送出部22とが分割されている場合は、樹脂送出部22を上記と同様にして軸回転させ、吐出部23を鉛直方向に移動させてもよい。また、樹脂溶融部21と樹脂送出部22とを鋼管などの可撓性のない流路で連結した場合、溶融樹脂塗布手段2全体を鉛直方向に移動させることになる。
図7の形態において、第一の場所での加熱手段4は、下金型100の支持部材42と赤外線ランプ43とから構成され、下金型100は、赤外線透過性材料からなる支持部材42で支持され、その裏側から赤外線ランプ43によって加熱される。
また図7の形態において、プレス手段3は、レール34上X方向に移動できるように構成されている。例えば、下金型100の冷却時間が不足が予想される場合、プレス状態を維持したままプレス手段3全体をX方向に移動させ、上金型31を開いた後、元の場所に戻る。その後は移動手段5によって無限軌道を回転させ、下金型100を第二の場所の後段まで移動させ、剥離手段8により製品を下金型100から剥離させてもよい。
なお、溶融樹脂塗布手段2’における射出成形機のシリンダの替わりに、公知の押出機を用いてもよいことは前述のとおりである。
図8は、本発明の製造装置の別の実施形態を説明するための模式図である。
本実施の形態3は、実施の形態1と同様の溶融樹脂塗布手段2を用いているが、実施の形態2で示したように、樹脂送出部22を軸回転させ、吐出部23を鉛直方向に移動可能としている。
図8の形態では、図示しない移動手段によって、下金型100が少なくとも第一の場所と第二の場所とを往復する。実施の形態1および2と異なる点は、下金型100が連結されて無限軌道を形成するのではなく、X方向に水平移動する点にある。
また図8の形態では、図示しない移動手段によって下金型100を第二の場所の後段まで移動させ、剥離手段8により製品を下金型100から剥離させてもよい。
図9は、本発明の製造装置の別の実施形態を説明するための模式図である。
本実施の形態4は、8枚の下金型100を用いて(図9では平面図として示してある)、図示しない移動手段によって「ロ」の字状に水平に下金型100を順次移動させる例である。
図9において、(1)は第一の場所であり、加熱手段4によって下金型100の加熱を行い、下金型100を図示しない移動手段によってX方向に移動させながら溶融樹脂塗布手段2によって下金型100上の被塗布面に溶融樹脂を塗布する。(2)は第二の場所であり、プレス手段3により塗布された溶融樹脂をプレスし、樹脂の形状を整えながら冷却し固化させ成形体を得る。(3)の場所では、例えば剥離手段8を備えておき、下金型100から製品を剥離させる。(4)〜(6)の場所ではとくに図示していないが、下金型100の被塗布面の清掃など、必要に応じた作業を行う猶予が与えられる。(7)および(8)の場所では、予備加熱手段7によって下金型100の予備加熱を行っている。
なお本発明では下金型100の枚数にとくに制限はない。
(a)樹脂溶融部21において熱可塑性樹脂を溶融する工程;
(b)得られた溶融樹脂を樹脂送出部22に流入させ、貯留させる工程;
(c)樹脂送出部22に貯留した溶融樹脂を規定量で送出する工程;および
(d)移動手段5によって下金型100を移動させながら、送出した溶融樹脂を吐出部23を用いて下金型100上の被塗布面に上方から塗布し被塗布面に塗布する工程。
なお、下記の説明では、樹脂送出部22として、図1で示したような、流入した溶融樹脂を一旦貯留した後規定量で送出する貯留シリンダを用いる形態を例示しているが、本発明は下記例に制限されるものではない。
固体樹脂としては、とくに制限されないが、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)またはこれらの混合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。また、成形体に求められる性能にあわせて、特別に製造された熱可塑性樹脂でもよい。なお熱可塑性樹脂には必要に応じてガラス繊維やカーボンなどの各種充填材や、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどの公知の各種添加剤を配合することもできる。
吐出部23は、例えばTダイであり、吐出される溶融樹脂の幅を調節するための吐出幅調節部を備えてなることが好ましいことは、前述のとおりである。吐出部23からの溶融樹脂の吐出は、樹脂流路開閉バルブ233の開閉によって制御する。
また、吐出部23の先端と被塗布面との距離や、吐出部23からの溶融樹脂の吐出量および移動手段5の移動速度を調節することにより、溶融樹脂の塗布量(例えば厚み)を制御することができる。
微細な凹凸形状は、例えば上金型および下金型の少なくとも一方の表面に直接加工するか、あるいは微細な凹凸部を有するスタンパを上金型および下金型の少なくとも一方の表面に搭載することにより形成することができる。
このような微細な凹凸形状は、フォトリソグラフィ法、電気鋳造法、イオンエッチング法などの半導体プロセスを利用して形成することができる。スタンパの材質は、ニッケル(またはニッケル合金)、シリコン、ガラスなどが挙げられ、このような材料のみで形成されてもよいし、例えば数十μm〜数mmの厚さを有する板状母材(シリコン基板)上にニッケルで微細凹凸を形成するなどしてもよい。凹凸部の断面形状は、矩形を基本とするが、テーパー(台形)型、三角型、半円型、半楕円型などでもよい。
一般的に溶融樹脂は、例えば液状の紫外線硬化型樹脂とは異なり、溶融状態であっても一定の粘度を有しているため(例えば1000Pa.s以上)、成形体の最終形状にほぼ近い形状にまで塗布を行うことができる。なお、前記の形態では、移動手段5の稼動により下金型100の被塗布面に樹脂を1回塗布するものであるが、本発明はこれに限定されず移動手段5を逆方向に稼動させて、樹脂の塗布を複数回行ってもよい。溶融樹脂は、成形体の最終形状にほぼ近い形状まで塗布され、その厚みは、例えば50μm〜3mmであるのが好ましい。
空気吸引口は、キャビティ面に特別に設けてもよいが、例えば機械式エジェクタを有する金型であれば、エジェクタが摺動するために生じるキャビティの間隙から吸引することも可能である。吸引手段は公知の真空ポンプなどを用いればよい。
前記微小間隙内の空気を吸引する場合には、金型を移動させる際の位置決め精度、速度制御精度および型締時(プレス時)の圧力制御精度には比較的高い精度が要求される。よって、駆動系としてサーボモータとボールネジとを組合わせた方法などの精度を確保しやすい機構を用いた加力発生器の方が好ましい。
2,2’ 溶融樹脂塗布手段
3 プレス手段
4 加熱手段
5 移動手段
7 予備加熱手段
8 剥離手段
21 樹脂溶融部
22,62 樹脂送出部
23 吐出部
24 流路
31 上金型
32 下金型加熱冷却部
33 竪型プレス機
43 赤外線ランプ
92 上下動ステージ
100 下金型
101 被塗布面
311 上金型加熱冷却部
Claims (12)
- 熱可塑性樹脂を溶融して得られる溶融樹脂の規定量を下金型上の被塗布面に上方から塗布する吐出部を有する溶融樹脂塗布手段;
前記下金型上に塗布された溶融樹脂をプレスする上金型と、前記上金型を加熱または冷却する上金型加熱冷却部と、前記下金型を加熱または冷却する下金型加熱冷却部とを有するプレス手段;
前記プレス手段の前段に設けられるとともに、前記下金型を加熱する加熱手段;および
前記下金型を移動させる移動手段;
を備え、
前記下金型を複数枚用い、これを連結して無限軌道を形成し、
前記加熱手段によって前記下金型を加熱し、前記移動手段によって前記無限軌道を回転させながら、前記溶融樹脂塗布手段によって前記下金型上の被塗布面に溶融樹脂を塗布し、続いて、さらに前記移動手段によって前記無限軌道を回転させ、前記プレス手段によって前記塗布された溶融樹脂をプレスして樹脂の形状を整えながら冷却し固化させ、前記複数枚の下金型上で成形体を連続的に製造するように構成したことを特徴とする成形体の製造装置。 - 前記上金型および下金型の少なくとも一方に、微細な凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造装置。
- 前記微細な凹凸部は、前記上金型および下金型の少なくとも一方の表面に直接加工することで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造装置。
- 前記微細な凹凸部は、微細な凹凸形状が加工されたスタンパを前記上金型および下金型の少なくとも一方の表面に搭載することによって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造装置。
- 前記吐出部の先端部と前記下金型上の被塗布面との距離を調節できるように、前記吐出部の先端部を鉛直方向に移動させる手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記加熱手段のさらに前段で、前記下金型を予備加熱する予備加熱手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記予備加熱手段が、熱ふく射または熱伝達によって前記下金型を加熱する手段であることを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造装置。
- 前記溶融樹脂塗布手段が、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を射出する射出機能を有する樹脂送出部と、前記樹脂送出部から送出された溶融樹脂を前記下金型上の被塗布面に上方から塗布する吐出部とから構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記溶融樹脂塗布手段が、熱可塑性樹脂を溶融する機能および規定量で溶融樹脂を押出す押出機からなる樹脂送出部と、前記樹脂送出部から送出された溶融樹脂を前記下金型上の被塗布面に上方から塗布する吐出部とから構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記吐出部が、Tダイからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記吐出部が、吐出される溶融樹脂の幅を調節するための吐出幅調節部を備えてなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形体の製造装置。
- 前記溶融樹脂塗布手段、プレス手段、加熱手段および移動手段を、あらかじめ設定された運転条件および運転順序に基いてシーケンス制御する手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の成形体の製造装置。
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