JP4799630B2 - 剥離治具、微細構造転写成形装置及び被成形体の剥離方法 - Google Patents

剥離治具、微細構造転写成形装置及び被成形体の剥離方法 Download PDF

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本発明は、プレス式の微細構造転写成形装置及び転写成形された被成形体を剥離する方法に係り、特に転写成形された被成形体を上又は/及び下スタンパから剥離するとともに転写成形作業域外に排出することができる剥離治具、これを用いたプレス式の微細構造転写成形装置及び被成形体の剥離方法に関する。
上金型と下金型との協働により被成形体に微細構造を転写成形するプレス式の微細構造転写成形装置は、高い成形能力を有しており、広く使用されている。このようなプレス式の微細構造転写成形装置は、上金型又は/及び下金型に微細構造が刻まれたスタンパが設けられ、このスタンパに刻まれた微細構造が被成形体に転写成形されるようになっており、樹脂製の薄板状の被成形体から微細構造を有する光学素子、マイクロ化学チップ等が製造されている。
このプレス式の微細構造転写成形装置においては、被成形体はそのガラス転移温度以上に加熱された状態で転写成形が行われ、その後、転写成形された被成形体をそのガラス転移温度以下の温度に冷却してスタンパから剥離しなければならない。この剥離においては、被成形体がスタンパに付着してこれを剥離することが容易でなく、被成形体をスタンパから剥離するときに生ずる微細構造の損傷問題がある。また、被成形体とスタンパとの付着力を低下させることによりそれらを容易に剥離するためには、金型温度を被成形体のガラス転移温度よりもはるかに低い温度まで下げなければならず、生産性が悪くなるいという問題がある。このような問題を解決するために、種々の方法、装置が提案されている。
一つの方法として、被成形体をそのガラス転移温度以上の温度に保持した上金型に付着させて下金型から剥離した後、上金型を常温近くの低温まで冷却し、樹脂と上金型との付着力を低下させて、被成形体を上金型から剥離する方法がある。これは、高温度では樹脂と金属との付着力が大きく、低温度では付着力が小さいという特徴を利用した方法である。別の方法として、樹脂の線膨張率は金属、石英あるいはガラス製のスタンパの線膨張率の5倍以上も大きいため、金型温度を低温まで冷却すると樹脂とスタンパとの熱収縮量の差が生じて被成形体と金型との間に隙間を生じ、その結果被成形体を金型から容易に剥離できるという特徴を利用する方法がある。
また、特許文献1に、上金型のスタンパ(型打ち工具)保持部の外周部を上下に摺動する円筒部材(基材保持具)を設け、転写成形後に、円筒部材の端面で下金型の成形体保持部上に備えられた被成形体(基材)の縁周囲を下金型に押圧した状態で上金型を上昇させることにより、被成形体をスタンパから剥離させる型打ち工具から賦形済み基材を分離する装置が提案されている。また、円筒部材の端面にシールリングを設け、スタンパ保持部、成形体保持部及びシールリングとで形成される閉鎖空間内に圧縮空気を導入することにより被成形体のスタンパからの剥離を促進させる型打ち工具から賦形済み基材を分離する装置が提案されている。
特許文献2に、下金型に設けられたスタンパと上金型に設けられた鏡面との間で、表面に微細な凹凸を有するスタンパ上に設けられた樹脂層に転写成形を行う成形体の製造方法が提案されている。この成形体の製造方法は、樹脂層と上金型の鏡面又はスタンパとの付着力の大きさが上金型と下金型との温度差に依存することに着目し、上金型と下金型との間に所定の温度差を与えて転写成形された樹脂層を上金型の鏡面に付着させてスタンパから剥離させることを特徴としている。特許文献3には、成形型と光学部品(被成形体)との接合部に局所的な温度差を与えて光学部品を成形型から剥離する光学物品の製造方法が提案されている。
特許文献4に、基台に保持された基板をプレス部に設けられたモールドにより転写成形した後、基板の縁部を吸引力により基台に固定するとともに、プレス部を上昇させ、基板とモールドとの間で生ずる上向きの付着力により基板を凹み状に変形させて基板をモールドから剥離する微細構造転写成形装置が提案されている。また、基台に設けた空気孔から基板の中心部分に圧縮空気を吹きかけ、基板を積極的に凹み状に変形させてモールドから剥離する微細構造転写成形装置も提案されている。
また、特許文献5に、被成型物の縁部に当接し、空気噴出口を有するノックアウトピンと、被成型物の縁部に空気を吹き付ける手段とを、プレス可動部及びプレス固定部のいずれにも有する熱転写プレス成形装置であって、プレス可動部及びプレス固定部に設けられたスタンパにより転写成形された被成型物をスタンパから剥離することができる熱転写プレス成形装置が提案されている。
特表2002-509499号公報 特開2008-265001号公報 特開2002-59440号公報 特開2007-83626号公報 特開2008-254353号公報
しかし、金型温度を樹脂のガラス転移温度よりもはるかに低い温度まで冷却すると、前述の生産性が低下することに加え、微細構造の損傷という問題点がある。すなわち、樹脂の線膨張率は金属、石英あるいはガラス製のスタンパの5倍以上も大きいため、金型をあまり低温まで冷却すると、加圧転写時と剥離時の金型温度の差に起因して樹脂とスタンパとの熱収縮量の差が大きくなり、スタンパの微細凹凸を面方向に変形させる力を生ずる。これにより、被成形体の微細構造に折損、バリ、変形などの損傷が生ずるという問題がある。
また、特許文献1〜3に提案された微細構造転写成形装置は、転写成形された被成形体をその転写成形に係るスタンパから剥離することはできるが、被成形体が前記スタンパと対向する下金型(又は上金型)に付着して残っており、その被成形体を下金型(又は上金型)から剥離し、転写成形作業域外に排出しなければ次の製造サイクルを行うことができないという問題を有する。
特許文献5に提案された微細構造転写成形装置は、スタンパから被成形体を剥離するために空気を利用しているが、転写成形された被成形物をノックアウトピンにより機械的にスタンパから剥離しようとする点では変わりがなく、薄い又は柔らかい被成形物(例えば、厚さ50μm〜300μmのフィルム状の被成形物、あるいは転写成形温度からあまり冷却されていない状態の被成形物)を剥離するのは容易でなく、被成形物に転写成形された微細構造を損傷させやすいという問題がある。
また、特許文献1、4、5に提案された微細構造転写成形装置には、転写成形される被成形体の当接面に、圧縮空気供給用若しくは真空引き用の孔、又はノックアウトピンが出し入れされる孔が設けられているために、融液状の樹脂をスタンパ上に流し込んで固化させた被成形体に転写成形を施す微細構造転写成形装置には使用することができないという問題がある。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、融液状又は固体状の樹脂を転写成形用の被成形体として用いることができ、転写成形が終わった被成形体を転写成形に係るスタンパ又/及び金型から剥離するのに金型温度を従来ほど下げる必要が無く、また、薄い又は柔らかい被成形物の微細構造を損傷させることなく、上型側及び下型側の両方に微細構造を有するスタンパであっても、双方から容易に被成形体を剥離ができ、効率的に転写成形された被成形体を転写成形作業域外に排出することができる剥離治具を提供することを目的とする。また、そのような剥離治具を有するプレス式の微細構造転写成形装置及び被成形体の剥離方法を提供することを目的とする。
本発明に係る剥離治具は、転写成形され上金型に保持された被成形体を、その上金型から剥離するプレス式の微細構造転写成形装置の剥離治具であって、本体と、前記本体の移動手段、昇降手段及び位置合わせ手段と、前記本体の縁部に設けられ、その本体と前記上金型の下面との間に前記被成形体が収容された閉鎖空間を形成するシールリングと、前記閉鎖空間に流体を導入する加圧手段と、前記被成形体の縁部を前記本体方向に吸引する吸引手段と、を有している。
上記発明において、上金型の被成形体保持部分は、前記被成形体の縁部が突出する状態で保持されるようになっているのがよい。また、剥離治具の本体は、前記被成形体の縁部が載置される段部と、転写成形された中央側の部分が前記本体と接触するのを防止するための穴部を有するのがよい。
上記発明に係る剥離治具を用い、効率的に転写成形をすることができるプレス式の微細構造転写成形装置を構成することができる。すなわち、そのプレス式の微細構造転写成形装置は、上記剥離治具と、温度調整手段を有する下金型と、前記下金型に対向して上下動し、温度調整手段を有する上金型と、前記下金型又は/及び上金型に設けられるスタンパと、から構成することができる。
本発明に係る被成形体の剥離方法は、プレス式の微細構造転写成形装置において、転写成形され上金型に保持された被成形体を、その上金型から剥離する被成形体の剥離方法であって、前記被成形体が、前記上金型にその縁部が自由支持状態に保持されて前記上金型とともに前記下金型から開かれる工程と、前記上金型の下面に、前記被成形体が収容された閉鎖空間を形成する工程と、前記被成形体の自由支持状態になった縁部に、前記上金型から剥離する方向の微少撓みを生じさせるとともに、前記閉鎖空間内を加圧する工程と、前記加圧力を前記微少撓みが拡大する方向に作用させて前記上金型と前記被成形体との隙間を拡大する工程と、前記被成形体を前記上金型から剥離する工程と、を有する方法により実施することができる。
上記被成形体の剥離方法の発明において、被成形体の縁部に生じさせる微少撓みは、前記被成形体の縁部を吸引することにより生じさせる方法を使用することができる。また、被成形体の縁部に生じさせる微少撓みは、前記被成形体の縁部を固定するとともに、その固定点に対し相対的に上金型を上昇させて生じさせる方法、あるいはその固定点に対し相対的に剥離治具を下降させて生じさせる方法を使用することができる。
閉鎖空間内の加圧は、その閉鎖空間に空気、水蒸気又は不活性ガスを導入することにより行われるようにすることができる。閉鎖空間内の加圧力は、0.1〜1.0MPaであるのがよい。
また、前記被成形体の転写成形後に前記上金型を前記下金型から開くとき、前記上金型と前記下金型との金型温度を調整することにより、前記被成形体を前記上金型に保持させるようにするのがよい。前記被成形体は、その厚さが50μm〜3mmのものを使用することができる。
本発明に係る剥離治具又は被成形体の剥離方法は、融液状又は固体状の樹脂を転写成形用の被成形体として用いるプレス式の微細構造転写成形装置に使用することができる。そして、本剥離治具を用いるプレス式の微細構造転写成形装置においては、転写成形が終わった被成形体を転写成形に係るスタンパ又/及び金型から剥離するのに金型温度を従来ほど下げる必要が無いので生産性を高くすることができ、また、転写成形された微細構造を損傷させることなく、上型側及び下型側の両方に微細構造を有するスタンパであっても、双方から容易に被成形体を剥離することができ、効率的に転写成形された被成形体を転写成形作業域外に排出することができる。
本発明に係るプレス式の微細構造転写成形装置の主要構成部分を示す一部断面図である。 本発明に係る剥離治具が上金型下面に出動したときの、剥離治具の本体、上金型の下面及びシールリングにより閉鎖空間が形成された状態を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。 本発明に係る微細転写成形装置及び剥離治具の動作を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を基に説明する。図1は、本発明に係るプレス式の微細構造転写成形装置の主要構成部分を示す断面図である。図2は、本発明に係る剥離治具30が図1に示す微細構造転写成形装置の上金型下面に挿設され、本体、上金型の下面及びシールリングにより閉鎖空間が形成される状態を示す断面図である。
本発明に係る剥離治具は、プレス式の微細構造転写成形装置に用いられる治具であり、転写成形後に上金型に保持された被成形体をその上金型から剥離する治具である。すなわち、図1に示すように、本剥離治具30は、上金型10と下金型20との協働により、表面に微細構造を有する被成形体50を作製するプレス式の微細構造転写成形装置に用いられ、転写成形後の被成形体50を保持した上金型10が、下金型20から開かれた後に、上金型10の下方に剥離治具30の本体31を出動させ、図2に示すように、本体31が上金型10の下面に装着されて使用される。これにより、上金型10に保持された被成形体50を、上金型10から効果的に剥離することができ、剥離された被成形体50を転写成形作業域外に排出することができる。
本剥離治具30は、本体31と、本体31を上金型10の下方に出動させ、上金型10の下面に装着させるための移動手段、昇降手段及び位置合わせ手段(ともに図示せず)と、本体31の縁部に設けられ、その本体31と上金型10の下面との間に被成形体50が収容された閉鎖空間55を形成するシールリング38と、閉鎖空間55に流体を導入する加圧手段(図示せず)と、被成形体50の縁部53を本体31方向に吸引する吸引手段(図示せず)と、を有している。
本体31は、移動手段、昇降手段及び位置合わせ手段が設けられた保持枠61に保持されており、図2に示すように、被成形体50の縁部53が載置される段部35と、被成形体50が撓んでも転写成形された面が本体31に接触して損傷されることがないように穴部36を有している。段部35には、被成形体50の縁部53を吸引孔33から真空吸着する時に縁部53より外側の気体を吸引して吸着力が低下することにないように、緩衝部材37を設けてシールするのがよい。
段部35には、吸引孔33が開口しており、吸引孔33は配管43を通して真空装置等の吸引手段に連通している。これにより、被成形体50の縁部53を吸引し、被成形体50の縁部53に、被成形体50が下金型10から剥離される方向の微少撓みを生じさせることができる。なお、吸引口33は、複数箇所に設けるのがよく、被成形体50の縁部53の周囲に当間隔に当たるように設けるのがよい。
また、本体31には、供給孔34が開口している。供給孔34は、配管44を通してコンプレッサ等の加圧手段に連通している。これにより、閉鎖空間55に、空気、水蒸気又は不活性ガス等の流体を導入し、閉鎖空間55内を加圧することができる。加圧力は、0.1〜1.0MPaにするのがよい。なお、供給孔44は、複数箇所に設けることができる。
シールリング38は、閉鎖空間55内の圧力を保持するのに適したものであればよい。また、空気、水蒸気又は不活性ガス等の加圧媒体に適したものであればよい。シールリング38の高さは、成形体50の縁部53が段部35の緩衝部材37と接触した状態で上金型10の下面と接触し閉鎖空間55を形成できるものである必要がある。被成形体50の厚さ変化に応じて上金型10の下面との接触を確保するため、シールリング38は弾性変形可能あるいはバネによる上下動機構、アクチュエータによる上下動機構等を備えたものであることが望ましい。
上金型10は、下金型20に対向して上下動するようになっている。上金型10は、公知のものを使用することができる。しかしながら、図1に示すように、被成形体50を保持する上金型10の被成形体保持部分は、被成形体50の端部53が突出した状態で保持されるようになっているのがよい。これにより、吸引手段により、被成形体50が上金型10から剥離される方向の微少撓みを被成形体50の縁部53に効果的に生じさせることができる。なお、図1に示す上金型10の被成形体保持部分は、保持部材15を用いた例を示すが、この被成形体保持部分が、被成形体50に転写成形を行うための微細凹凸を有するスタンパであってもよい。
また、上金型10は、上金型10の温度を調整することができる温度調整手段を有するものであるのがよい。これにより、被成形体50の金型との粘着力の温度依存性を利用し、上金型10が下金型から開いたときに、被成形体50が上金型10に保持された状態にすることができるので、本剥離治具30の構造を簡単にすることができる。
下金型20は、公知のものを使用することができるが、上金型10と同様に、下金型20の温度を調整することができる温度調整手段を有するものであるのがよい。なお、本例の場合は、図1に示すように、微細凹凸を有するスタンパ25は下金型20のみに設けられているが、本剥離治具30は、微細凹凸を有するスタンパを上金型10にも設けて被成形体50の表裏面に微細構造を転写成形する場合にも使用することができる。
被成形体50は、公知の材質のものを使用することができる。一例として、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など、あらゆる種類の熱可塑性樹脂を使用できる。しかしながら、本発明においては、当初から固体状の被成形体50であっても、融液状の樹脂をスタンパ25上に塗布あるいは注入して固体状にした被成形体50であっても使用することができる。また、被成形体50は、その厚さが50μm〜3mmのものを使用することができる。
本発明に係る剥離治具30において、移動手段及び昇降手段は、特に限定されない。また、位置合わせ手段についても特に限定されない。本体31を所定の位置に装着することができ、また、上金型10から剥離された被成形体50を所定の転写成形作業域外に排出することができるように制御できるものであればよい。昇降手段は、緩衝部材37を被成形体50に上方向に押付け、シールリング38を上金型10の下面に上方向に押付ける作用と、緩衝部材37の部位において被成形体50を吸着した後、被成形体50を下方向に引き下げる作用を有すれば良い。移動手段は、被成形体50の直下に離型治具30及び前記の昇降手段を移動及び位置決めさせ、被成形体50を上金型10から剥離した後、これらを上金型10及び下金型20の上下動範囲外に移動させるものであれば良い。一例として、本離型治具30を昇降可能な空圧シリンダに装着し、空圧シリンダを前後移動及び位置合せ可能な直動アクチュエータに装着することによってこれを実施することができる。また、本離型治具30を多関節ロボットのアームに装着すれば、昇降、前後移動及び位置決めを一つの駆動機構で実施することができる。
以上、本発明に係る剥離治具30の構成について説明した。本剥離治具30は、以下のように使用される。上金型10及び下金型20を閉じてガラス転移温度以上の高温で被成形体50が転写成形された後、冷却に移行する。その際、上金型10と下金型20の温度が、被成形体50が上金型10に付着すると同時に下金型20から剥離できる可能な限り高い温度に到達した時点で上金型10を開く。これにより、被成形体50の粘着力の差を利用して、被成形体50が上金型10に保持されるようにすることができる。このような金型の温度差を利用する方法は、一般には、上金型10の温度を下金型20よりも高温とする場合が多い。なお、表裏面に微細構造を転写成形する被成形体50の場合は、微細構造に起因する被成形体50の粘着力の差を利用して、被成形体50が上金型10に保持されるようにすることもできる。
次に、上金型10の下方に本剥離治具30の本体31を出動させ、図2に示すように、本体31を上金型10の下面に装着し、そして、本体31を上昇させてシールリング38を上金型10の下面に押しあてて閉鎖空間55を形成させる。次に、図3に示すように、本剥離治具30をさらに上昇させて、段部35の表面に設けられた緩衝部材37を被成形体50の縁部53に密着させる。次に、図4に示すように、吸引手段により被成形体50の縁部53を吸引する。被成形体50の縁部53が確実に吸引された後、図5に示すように、シールリング38と上金型10の下面との接触を保持させながら、本剥離治具30を下方に引き下げ、加圧手段により閉鎖空間55内を0.1〜1.0MPaに加圧する。
そうすると、図6に示すように、被成形体50の縁部53が吸引手段により段部35上の緩衝部材37に固定された状態で下方向に撓まされるとともに、閉鎖空間55内が加圧媒体により加圧されているので被成形体の縁部53と保持部材15との間に微細な隙間を生じてその隙間に加圧媒体が侵入する。そして、被成形体の縁部53と保持部材15との間の隙間は次第に拡大し、被成形体50は保持部材15から徐々に剥離される。
ついには、図7に示すように、被成形体50は保持部材15から完全に剥離される。なお、被成形体50が持部材15から完全に剥離されるまでは、シールリング38は上金型10の下面と接触を保持し、加圧媒体がシールリング38の外側に漏れないようにしなければならない。
最後に、図8に示すように、シールリング38は上金型10の下面から離れ、加圧媒体は大気中に放出される。一方、被成形体50の縁部58は依然として緩衝部材37の部位において吸引されており、剥離治具30が上金型10の上下動範囲の外に移動されるまで、被成形体50が落下や逸脱をしないように保持される。
上述のように、被成形体50の縁部53は自由支持状態になっているので、緩衝部材37の部位において吸引することにより、被成形体50の縁部53に被成形体50を上金型10から剥離させやすい微少歪みを生じさせることができる。すなわち、被成形体50の縁部53の全周に局部的な微少歪みを生じさせることにより、被成形体50の縁部53の全周から剥離が進展しやすくなる。
吸引は、被成形体50の縁部53を緩衝部材37に固着させた状態で行う。そして、剥離治具を引き下げるか、上金型10を上昇させる。これにより、被成形体50の縁部53に微少撓みを生じさせることができる。
加圧は、通常は、空気を利用して行う。被成形体50の縁部53にわずかな剥離が生じたとき、加圧力によりその剥離部分を拡大させ、被成形体50の上金型10からの剥離を促進させることができる。また、空気以外にも、水蒸気、不活性ガスを利用して縁部53に微少歪みを生じさせ、剥離を促進させることができる。
被成形体50が上金型10から剥離された後も縁部53の吸引は継続され、縁部53は本体31に固定された状態が維持される。これにより、剥離された被成形体50の撓みを抑制することができ、転写成形された微細構造の損傷を防ぐことができる。
次に、剥離された被成形体50は転写成形作業域外に排出される。そして、剥離治具30は当初の所定位置に待避し、転写成形の1サイクルが終了する。
以上、本発明について説明した。本発明に係る剥離治具は、上記に説明した実施例に限定されない。被成形体50の縁部53を段部35に固着させ、上金型10を上昇させることにより、被成形体50の縁部53に微少歪みを生じさせる形式の微細構造転写成形装置においては、被成形体50の縁部53を段部35に固着させるのに、例えば、粘着力が本体31の温度に依存する接着剤を使用することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。被成形体として、樹脂材料(メタクリル樹脂 クラレ製 パラペット GH1000S)を用い、転写成形された被成形体を上金型に付着させて下金型から上金型を開いた後に、被成形体を上金型から剥離する剥離試験を行い、被成形体を上金型から剥離することができる剥離温度を求めた。なお、上金型は、そのサイズが102×102mmであり、保持部材15の表面は鏡面であった。下金型スタンパは、表面に幅、深さ100〜200nmの微細凹凸が形成されているものを用いた。被成形体は、幅×長さ(102×102mm)であって、厚さが100μm、300μm、500μmの3種類のものを用いた。転写成形温度は、上金型150℃、下金型150℃であり、型開きを開始する温度は、上型110℃、下型95℃であった。転写成形圧力は、9MPaであった。
被成形体を上金型から剥離する剥離温度は、表1に示す通りであり、本発明の剥離治具の有効性が確認された。表1に示す各方法について詳述すると、以下の通りである。すなわち、(1)人手で上金型から剥離した場合は、上金型が110℃のままでは剥離できなかった。上金型を40℃まで水冷した時点で、人手で被成形体を上金型から剥離することができた。そして、(2)剥離治具の吸引のみを使用し、加圧を使用せずに剥離した場合は、上金型が110℃のままでは剥離できなかった。上金型を70℃まで水冷した時点で、剥離治具により被成形体の縁部を吸着し、剥離治具を下側に引き下げることにより、被成形体を剥離することができた。
また、(3)剥離治具の吸引を使用し、加圧を使用したが、シールリングにて閉鎖空間を形成せずに、加圧力が大気中に漏れ、加圧力が被成形体を剥離する上で十分に作用しない場合は、上金型が110℃のままでは剥離できなかった。上金型を90℃まで水冷した時点で、被成形体を上金型から剥離することができた。本試験は、シールリングを使用せず大気中に加圧空気が漏れる条件であったが、加圧空気が被成形体の縁部から金型を冷却する効果があるために、上記(2)の場合と比較して、上金型がより高温の状態で被成形体を剥離することができたと考えられる。
上記の方法に対し、(4)剥離治具の吸引および加圧を使用し、シールリングにて閉鎖空間を形成して加圧空気がシールリングを介して大気に漏れないようにして剥離をした場合は、上金型が110℃の状態で剥離できた。さらに、上金型が140℃であっても、剥離ができた。なお、140℃の場合、剥離後に被成形体が変形したが、これは、メタクリル樹脂の熱変形温度よりも高い温度で被成形体を上金型から剥離したためであると考えられる。
Figure 0004799630
10 上金型
15 保持部材
20 下金型
25 スタンパ
30 剥離治具
31 本体
32 段部
33 吸引孔
34 供給孔
35 段部
36 穴部
37 緩衝部材
38 シールリング
43 配管
44 配管
50 被成形体
53 縁部
55 閉鎖空間
61 保持枠

Claims (12)

  1. 転写成形され上金型に保持された被成形体を、その上金型から剥離するプレス式の微細構造転写成形装置の剥離治具であって、
    本体と、
    前記本体の移動手段、昇降手段及び位置合わせ手段と、
    前記本体の縁部に設けられ、その本体と前記上金型の下面との間に前記被成形体が収容された閉鎖空間を形成するシールリングと、
    前記閉鎖空間に流体を導入する加圧手段と、
    前記被成形体の縁部を前記本体方向に吸引する吸引手段と、を有する剥離治具。
  2. 前記上金型の被成形体保持部分は、前記被成形体の縁部が突出する状態で保持されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の剥離治具。
  3. 前記本体は、前記被成形体の縁部が載置される段部と、転写成形された中央側の部分が前記本体と接触するのを防止するための穴部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離治具。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の剥離治具と、
    温度調整手段を有する下金型と、
    前記下金型に対向して上下動し、温度調整手段を有する上金型と、
    前記下金型又は/及び上金型に設けられるスタンパと、を有するプレス式の微細構造転写成形装置。
  5. プレス式の微細構造転写成形装置において、転写成形され上金型に保持された被成形体を、その上金型から剥離する被成形体の剥離方法であって、
    前記被成形体が、前記上金型にその縁部が自由支持状態に保持されて前記上金型とともに前記下金型から開かれる工程と、
    前記上金型の下面に、前記被成形体が収容された閉鎖空間を形成する工程と、
    前記被成形体の縁部に、前記上金型から剥離する方向の微少撓みを生じさせるとともに、前記閉鎖空間内を加圧する工程と、
    前記加圧力を前記微少撓みが拡大する方向に作用させて前記上金型と前記被成形体との隙間を拡大する工程と、
    前記被成形体を前記上金型から剥離する工程と、を有する被成形体の剥離方法。
  6. 前記被成形体の縁部に生じさせる微少撓みは、前記被成形体の縁部を吸引することにより生じさせることを特徴とする請求項5に記載の被成形体の剥離方法。
  7. 前記被成形体の縁部に生じさせる微少撓みは、前記被成形体の縁部を固定するとともに、その固定点に対し相対的に上金型を上昇させて生じさせることを特徴とする請求項5に記載の被成形体の剥離方法。
  8. 前記被成形体の縁部に生じさせる微少撓みは、前記被成形体の縁部を固定するとともに、その固定点に対し相対的に剥離治具を下降させて生じさせることを特徴とする請求項5に記載の被成形体の剥離方法。
  9. 前記閉鎖空間内の加圧は、その閉鎖空間に空気、水蒸気又は不活性ガスを導入することにより行われることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の被成形体の剥離方法。
  10. 前記閉鎖空間内の加圧力は、0.1〜1.0MPaであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の被成形体の剥離方法。
  11. 前記被成形体の転写成形後に前記上金型を前記下金型から開くとき、前記上金型と前記下金型との金型温度を調整することにより、前記被成形体を前記上金型に保持させることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の被成形体の剥離方法。
  12. 前記被成形体の厚さは、50μm〜3mmであることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載の被成形体の剥離方法。
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