JP2013014118A - 微細構造体の剥離方法及び剥離装置 - Google Patents

微細構造体の剥離方法及び剥離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】転写成形された微細構造を損傷させることなく迅速にスタンパから剥離することができる微細構造体の剥離方法及び剥離装置を提供する。
【解決手段】微細構造が転写成形されスタンパ1に付着した微細構造体2をそのスタンパ1から剥離するにさいして、微細構造体2の隅部2aからその微細構造体2とスタンパ1との間に冷却用の気体が入り込む方向に気体を噴出させ、その微細構造体2が中心部分を残してスタンパ1から剥離されつつあるときに、微細構造体1の上面から吸引力を作用させてその微細構造体2をスタンパ1から完全に剥離させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細構造を有するスタンパに樹脂を押圧することにより微細構造が転写成形された微細構造体をスタンパから剥離する微細構造体の剥離方法及び剥離装置に関する。
微細構造を有するスタンパに、溶融樹脂を塗布しこれを押圧、冷却して固化することにより、また、加熱された樹脂基体を押圧し冷却することにより、微細構造が転写成形された微細構造体が製造されている。この微細構造体の製造方法は、生産性が高く、電子デバイス、光デバイス、記録メディア、バイオデバイスの分野などにその用途が拡大している。これらの樹脂をスタンパに押圧することにより微細構造を転写成形する方法において、転写成形された微細構造体を損傷させないでいかに迅速、安全にスタンパから剥離するかは生産性に直接関係する。このため、以下のように種々の剥離方法が提案されている。
例えば、特許文献1に、スタンパに形成された微細構造を成形部材の表面に転写する転写方法であって、第1の微細構造が形成された第1のスタンパの第1の面を前記成形部材の第1の面に押圧して、該第1の微細構造を前記成形部材の第1の面に転写し、該第1のスタンパに付着した前記成形部材の前記第1の面とは反対側の第2の面に吸引力を加えることにより、前記成形部材を前記第1のスタンパから離型させる転写方法が提案されている。そして、その明細書には、離型を開始する前に、スタンパが保持された金型の冷媒通路に冷却水を流してスタンパをガラス転移点以下の温度まで冷却することにより、転写成形された微細構造部分が収縮してスタンパから離れ、成形部材の離型が促進されるから好ましいと記載されている。
特許文献2に、光ディスクの成形方法において、樹脂成形品を成形後金型より剥離する際に、スタンパ側より、成形品にブローすることによって発生する基板収縮を利用して剥離する光ディスクの成形方法が提案されている。そしてこの方法によれば、スタンパ側面より、成形品にエアーを噴射しているので、基板収縮効果が発生し、鏡面からの剥離性が向上し、成形基板の面ぶれを小さくすることができ、また、エアーブロー噴射装置の径を変更したり、エアーの噴射圧力を変更することで、鏡面からの基板の剥離性を向上することができるとされる。
特許文献3に、成形型によって光学物品を製造する光学物品の製造方法において、前記成形型より前記光学物品を離型するに際し、前記成形型と前記光学物品との接合部に局所的な温度差を与えて該接合部を局所的に剥離し、該局所的な温度差による剥離域を順次拡大させて全域の離型を行い、光学物品を製造する光学物品の製造方法が提案されている。そして、実施例として、局所的な冷風を成形基板の外周から次第に中心部に向けて回転移動させ、成形基板を型から剥離する方法が記載されている。
特許文献4に、モールド上の微細パターンを樹脂に転写する微細構造転写装置において、前記モールドと基板上に設けられる樹脂とが対向して配置され、前記基板を撓ませる撓み機構を有する微細構造転写装置が提案されている。そして、その明細書には、その撓みを吸引装置又は圧縮エアー噴射装置により生じさせる方法が記載され、上記撓みは樹脂の剥離の起点が基板中心部に生じるようにするのがよく、これにより樹脂の剥離が容易になり、微細構造の損傷を防ぐことができると記載されている。
特開2009-190373号公報 特開2007-242090号公報 特開2002-59440号公報 特開2007-83626号公報
特許文献1〜4に示すように、転写成形された微細構造体をスタンパから剥離する方法として、真空吸引、空気噴射を利用する種々の方法が提案されている。また、微細構造体に局部的な変形を生じさせることが重要であることが記載されているが、その手段、位置又は順序は種々様々である。すなわち、転写成形された微細構造を従来の剥離方法よりも迅速に、かつ安全にスタンパから剥離することができる有効な方法が求められている。
本発明は、このような要請に鑑み、微細構造を有するスタンパに樹脂を押圧することにより微細構造を転写成形する方法において、転写成形された微細構造を損傷させることなく迅速にスタンパから剥離することができる微細構造体の剥離方法及び剥離装置を提供することを目的とする。
本発明に係る微細構造体の剥離方法は、微細構造が転写成形されスタンパに付着した微細構造体をそのスタンパから剥離する微細構造体の剥離方法であって、前記微細構造体の隅部からその微細構造体と前記スタンパとの間に冷却用の気体が入り込む方向に気体を噴出させ、その微細構造体が中心部分を残してスタンパから剥離されつつあるときに、前記微細構造体の上面から吸引力を作用させてその微細構造体を前記スタンパから完全に剥離させることにより実施される。
また、本発明に係る微細構造体の剥離装置は、微細構造を有するスタンパに溶融樹脂を押圧して転写成形された微細構造体をそのスタンパから剥離する微細構造体の剥離装置であって、前記微細構造体の隅部に冷却用の気体を噴出させる気体噴射手段と、前記微細構造体の上面に離隔して吸引口が設けられた吸引手段と、前記吸引手段の吸引口部分を剥離作業位置と待避位置に制御する移動手段と、を有する。
上記発明において、吸引手段の吸引口とスタンパとの隙間高さ及び吸引力は、微細構造体がスタンパから完全に剥離したときにその微細構造体が吸引口に吸着されるように調整可能になっているのがよい。
また、微細構造体は四辺形形状をしており、冷却用の気体は、前記微細構造体の4つの隅部から対角線方向に向け、その微細構造体とスタンパとの間に入り込むように噴出するようになっているのがよい。
本発明によれば、微細構造を有するスタンパに樹脂を押圧することにより微細構造を転写成形する方法において、転写成形された微細構造を損傷させることなく微細構造体を安全に、かつ迅速にスタンパから剥離することができる。
本発明に係る微細構造体の剥離方法を説明する模式図である。 微細構造体がスタンパから剥離されるときの様子を説明する模式図である。 本発明に係る剥離装置を説明する模式図である。 剥離作業を行うときの空気噴射、真空吸引のタイミングを説明する模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る微細構造体の剥離方法を説明する模式図である。本微細構造体の剥離方法は、微細構造を有するスタンパに樹脂を押圧することによりその微細構造が転写成形された微細構造体を成形する方法において使用される。本微細構造体の剥離方法は、転写成形された微細構造体に対し、図1に示すように、先ず微細構造体2の隅部2aからその微細構造体2とスタンパ1との間に冷却用の気体が入り込む方向に気体を噴出させる。そして、その微細構造体2が中心部分を残してスタンパから剥離されつつあるときに、微細構造体2の上面から吸引力を作用させてその微細構造体2をスタンパ1から完全に剥離させることにより実施される。なお、本発明において、転写成形される樹脂は、溶融樹脂であっても、樹脂基体であってもよい。
この微細構造の転写成形は、樹脂(溶融樹脂又は樹脂基体)を転写成形しやすい温度に加熱又は保持した状態でスタンパに押圧して転写成形する段階と、その後微細構造が転写成形された樹脂を冷却して転写成形された樹脂をスタンパから剥離する段階とを経て行われる。従って、生産性の点からは、できるだけ早くスタンパから転写成形された樹脂を剥離することが要請される。しかしながら、剥離するときの樹脂温度は、転写成形された微細構造の損傷が防止できる程度に低下している必要がある。このためにスタンパを冷却するとともに、転写成形された樹脂に冷却用の気体を噴射させる方法は、樹脂に所用の強度を与えるとともに、樹脂とスタンパとの接着力を低下させるので好ましい。また、気体圧により、転写成形された樹脂のスタンパからの剥離を促進させる(剥離力を作用させる)ことができるので好ましい。
本発明は、この気体噴射を効果的に行う。すなわち、微細構造体2の隅部2aからその微細構造体2とスタンパ1との間に冷却用の気体が入り込む方向に気体を噴出させる。このため、本発明においては、微細構造体が隅部を有するように設計することが重要である。例えば、微細構造体の形状を図2に示すような四辺形形状にするならば、4つの隅部を有する。このような四辺形形状の微細構造体の4つの隅部に冷却用の空気を噴出させる。微細構造体は、空気噴出後のある瞬間において、その4隅部の温度が急速に低下して収縮する。そして、微細構造体は、図2に示すように、剥離した部分(A1〜A4)と、中心部の未だ剥離していない部分(C)とを有する状態にあると考えられる。この場合、微細構造体の対角線方向の収縮率が最も高いので、微細構造体は先ず隅部(a1〜a4)から剥離し、冷却用の空気はその剥離された隙間に侵入し、微細構造体に剥離力を作用させる。なお、図2に示す輪形模様は、隅部(a1〜a4)から剥離が進行していく様子を示している。
また、本発明は、微細構造体2が中心部分を残してスタンパから剥離されつつあるときに、微細構造体2の上面から吸引力を作用させる。この吸引力の作用により、剥離した微細構造体のスタンパとの境界部分の折れ曲がりによる損傷、転写成形された微細構造のスタンパとの間で生ずるこすれや衝突等による損傷を防止することができる。
吸引力を微細構造体に効果的に作用させるには、図1に示す微細構造体2と吸引力を作用させる吸引口3との隙間高さhは、0.1〜3mmにするのがよい。この寸法を確保することにより、微細構造体に効果的に吸引力を作用させることができるとともに、微細構造体が吸着されるときの微細構造部分の損傷を防止することができる。吸引口が微細構造体に接触するときは、微細構造は充分に冷却されており、損傷を防止することができる程度の強度、硬度を有しているからである。
本発明は、上述のように、転写成形された微細構造体に冷却用の気体の噴射と吸引力を効果的に作用させることによって、微細構造体を損傷させることなく迅速にスタンパから剥離することができる。本発明において、冷却用の気体は、常温の空気を使用することができる。また、必要に応じて非酸化性の気体を使用することができる。
以上、本発明に係る微細構造体の剥離方法を説明した。本微細構造体の剥離方法は、以下に説明する微細構造体の剥離装置により好適に実施することができる。すなわち、微細構造体の剥離装置は、微細構造を有するスタンパに溶融樹脂を押圧して転写成形された微細構造体をそのスタンパから剥離する微細構造体の剥離装置であって、図3に示すように、微細構造体2の隅部に冷却用の気体を噴出させる気体噴射手段20と、微細構造体2から離隔して上面に吸引口35が設けられた吸引手段30と、吸引手段30の吸引口部分を剥離作業位置と待避位置に制御する移動手段40と、を有する。
上記剥離装置において、吸引手段30の吸引口35とスタンパ1との隙間高さ及び吸引力は、微細構造体2がスタンパ1から完全に剥離したときにその微細構造体2が吸引口35に吸着されるように調整されるようになっている。吸引口35とスタンパ1との隙間高さは、0.1〜3mmに調整できるようになっているのがよい。これにより、微細構造体2が所定の温度及び強度を有する状態になったときに微細構造体2が吸引口35に吸着されるので、微細構造の損傷を防止することができる。また、微細構造体2に吸引力を効果的に作用させることができる。
微細構造体2は四辺形形状をしているのがよい。これにより、微細構造体2の4つの隅部から確実に剥離を進行させることができ、また、冷却時の対角線方向の収縮量を大きくすることができ剥離を促進することができる。このため、気体噴射手段20は、その冷却用の気体が四辺形形状の微細構造体2の4つの隅部から対角線方向に向け、微細構造体2とスタンパ1との間に入り込むように噴出できるようになっているのがよい。気体噴射手段20のノズル25は、位置及び方向が調整できるようになっているのがよい。
移動手段40は、吸引手段30の吸引口部分を剥離作業位置と待避位置に移動できるようになっている。これにより、転写成形された微細構造体2に吸引力を作用させて剥離を促進させるために吸引手段30の吸引口部分を所定の位置に制御することができ、吸引された微細構造体2を所定の待避位置まで移送することができる。なお、本例の移動手段40は、気体噴射手段20も吸引手段30とともに移動させることができるようになっている。
プレス式の微細構造転写成形装置に図3に示す微細構造体の剥離装置を使用し、溶融樹脂から転写成形された微細構造体をスタンパから剥離する剥離試験を行った。微細構造体は、外形が四辺形形状をしており、幅10μm、高さ50μmのピラー形状の微細構造を有していた。微細構造体の材質は、汎用ポリスチレン(GPPS)であった。冷却用の気体は、常温の空気を使用した。
剥離試験は、先ず、空気噴射を微細構造体の4つの隅部から対角線方向に向けて行い、冷却用の空気が微細構造体とスタンパとの間に入り込むように噴出させる方法で行った(発明例)。そして、比較のため、微細構造体の隅部を含まない微細構造体の縦面及び横面の4つの方向から空気を噴射させる方法(比較例)で行った。
空気噴射、真空吸引のタイミングは、図4に示すように行った。金型温度が低下してくると、先ず、空気噴射を行う。そして、未だ空気噴射を行っているときに真空吸引を始める。次に、空気噴射を停止し、真空吸引を続けて微細構造体の金型からの剥離、吸引口への吸着を行う。金型温度は、空気噴射及び真空吸引の際は最も低い状態にあり、微細構造体が金型から剥離した後は、次回の工程のため金型の昇温が開始される。なお、図4において、横軸は時間を示し、縦軸は金型温度、空気噴射圧及び真空吸引の吸引力を示す。また、横軸及び縦軸とも任意単位である。
剥離試験の結果によると、発明例の場合は、転写成形された微細構造体をスタンパから剥離させる時間は、1〜5秒であった。これに対し、比較例の場合は、微細構造体をスタンパから剥離させるのに20秒程度かかった。この試験結果から分かるように、本発明例による場合は、生産効率が高く、微細構造体の製造においてコスト面から有利であることが分かった。
1 スタンパ
2 微細構造体
10 剥離装置
20 気体噴射手段
25 ノズル
30 吸引手段
35 吸引口
40 移動手段

Claims (4)

  1. 微細構造が転写成形されスタンパに付着した微細構造体をそのスタンパから剥離する微細構造体の剥離方法であって、
    前記微細構造体の隅部からその微細構造体と前記スタンパとの間に冷却用の気体が入り込む方向に気体を噴出させ、その微細構造体が中心部分を残してスタンパから剥離されつつあるときに、前記微細構造体の上面から吸引力を作用させてその微細構造体を前記スタンパから完全に剥離させる微細構造体の剥離方法。
  2. 微細構造を有するスタンパに溶融樹脂を押圧して転写成形された微細構造体をそのスタンパから剥離する微細構造体の剥離装置であって、
    前記微細構造体の隅部に冷却用の気体を噴出させる気体噴射手段と、
    前記微細構造体の上面に離隔して吸引口が設けられた吸引手段と、
    前記吸引手段の吸引口部分を剥離作業位置と待避位置に制御する移動手段と、を有する微細構造体の剥離装置。
  3. 吸引手段の吸引口とスタンパとの隙間高さ及び吸引力は、微細構造体がスタンパから完全に剥離したときにその微細構造体が吸引口に吸着されるように調整可能になっていることを特徴とする請求項2に記載の微細構造体の剥離装置。
  4. 微細構造体は四辺形形状をしており、
    冷却用の気体は、前記微細構造体の4つの隅部から対角線方向に向け、その微細構造体とスタンパとの間に入り込むように噴出するようになっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の微細構造体の剥離装置。
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