JP4808177B2 - 成形体の製造方法および装置 - Google Patents
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Description
この方法は、金型から表面に微細な凹凸形状を有する成形体を良好に離型することができるが、一方で流体として水を用いた場合、金型にサビが発生するという別の問題点もある。
また本発明の別の目的は、不要バリ部分の分離が容易であるとともに、成形体と金型との良好な離型を可能にする成形体の製造方法および装置を提供することにある。
(2)前記第一および第二金型を嵌合させ、前記樹脂を加圧し、閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に前記樹脂の形状を整え、その際に、前記第一金型に設けられたカッター部を前記樹脂に接触させ、成形体の最終形状を囲むように前記樹脂に溝部を形成する工程と、
(3)前記カッター部および第一金型間の間隙部から構成された孔部から前記成形体を真空引きし、両金型を開き、前記第一金型に前記成形体を吸着させ、続いて、前記孔部から圧縮空気を吹き出し、前記第一金型から前記成形体を離型する工程とを有する成形体の製造方法であって、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して前後進可能であり、
前記(2)工程において、前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して後進している位置にあるとき、前記カッター部および第一金型間の間隙部は、前記樹脂と接触しないように構成されてなることを特徴とする成形体の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記第二金型が、その表面に微細な凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記第一金型のキャビティ面が鏡面を有することを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、対向して配置される第一および第二金型と、
前記第一および第二金型の型開閉および前記金型のキャビティ面間の加圧が可能な加力発生器と、を有し、
前記第一金型にはカッター部が設けられ、前記第一および第二金型を嵌合させ、前記第一および第二金型間に装填された溶融または軟化した樹脂を閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に整え、その際に、前記第一金型に設けられたカッター部を前記樹脂に接触させ、成形体の最終形状を囲むように前記樹脂に溝部を形成するように構成した成形体の製造装置であって、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して前後進可能に構成され、
前記第一金型には、前記カッター部および第一金型間の間隙部から構成された孔部が設けられ、前記孔部から前記成形体を真空引きし、前記第一金型に前記成形体を吸着させ、かつ前記孔部から圧縮空気を吹き出し、前記第一金型から前記成形体を離型させるように構成し、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して後進している位置にあるとき、前記カッター部および第一金型間の間隙部は、前記樹脂と接触しないように構成されてなる
ことを特徴とする成形体の製造装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第二金型が、その表面に微細な凹凸部を有することを特徴とする請求項4に記載の成形体の製造装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第一金型のキャビティ面が鏡面を有することを特徴とする請求項5に記載の成形体の製造装置である。
図1は、本発明の成形体の製造装置の一実施形態を説明するための図である(断面図)。
図1において、成形体の製造装置1は、嵌合可能な第一および第二金型として、上金型11および下金型12を有し、可動金型としての上金型11には、加力発生器13が設置されている。加力発生器13は、上金型11および下金型12の型開閉と上金型11および下金型12のキャビティ面間の加圧を可能にするとともに、金型の精密な位置および速度制御機能を有する。
また、上金型11および下金型12には、金型のキャビティ面を加熱および冷却する加熱ヒータ18および冷却水路19がそれぞれ設置されている。さらに該キャビティ面を加熱および冷却を効率的に行うために断熱板22が設けられている。
まず、上金型11および下金型12の加熱ヒータ18を稼動し、両金型のキャビティ面を加熱する。続いて、上金型11および下金型12間に溶融または軟化した樹脂を装填する。樹脂としてはとくに制限されないが、熱可塑性樹脂が挙げられ、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)またはこれらの混合物などが挙げられる。また、成形体に求められる性能にあわせて、特別に製造された熱可塑性樹脂でもよい。
以下は、装填される樹脂として溶融樹脂を用いた場合について説明する。
本実施の形態では、表面に微細な凹凸部を有するスタンパー14上に溶融樹脂を装填する。溶融樹脂は、Tダイ等の公知の塗布手段により、成形体の最終形状よりも大きいサイズに薄膜状として装填される。この形態では、成形体の最終製品の厚さは例えば50μm〜5mmの範囲である。一般的にTダイ等から溶融樹脂を吐出した場合、吐出開始時に吐出された樹脂分には固化物や不純物が混入していることが多い。また吐出終了時はTダイと溶融樹脂との間で糸引き現象等が生じる。したがって、電子ディスプレイ用光学部品や光情報通信用部品等の厳密な寸法精度が求められる製品を製造する場合、溶融樹脂を成形体の最終形状よりも大きいサイズでスタンパー14上に装填し、吐出開始時および吐出終了時に吐出された溶融樹脂部分を不要バリ部分として除去する必要がある。
図4は、カッター部112の動作を説明するための図である。図4は、図1における上金型11に設けられたカッター部112およびその周辺部の拡大図であり、図4(b)は下金型12も併せて図示している。
図4(a)において、上金型11および下金型12を嵌合させる直前は、カッター部112は、図2(b)に示すような後進方向となっている。続いて、加力発生器13によって溶融樹脂を加圧し、閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に樹脂の形状を整えている最中であって、加圧を開始した直後または任意時間経過後に、溶融樹脂が比較的高温で容易に変形可能な領域で、図4(b)に示すようにカッター部112を前進させ、その鋭利な先端部を樹脂41に接触加圧させ、溝部42を形成する。溝部42の深さはとくに限定されないが、例えば樹脂41の厚さに対して、20〜70%程度であればよい。
続いて成形体は、上金型11および下金型12から離型される。離型方法として好ましい形態を説明する。
まず、真空引きする手段と、圧縮空気を吹き出す手段とを準備し、両手段と上金型11を図3で示した流路115に接続し、カッター部112と鏡面111との間の間隙部から成形体を真空引き、あるいは間隙部から圧縮空気を吹き出すように構成する。なお、カッター部112が鏡面111の周囲にロの字型に配置され、カッター部112が鏡面111の側面に対して摺動する場合であっても、摺動面のわずかな間隙部から真空引きあるいは圧縮空気の吹き出しが可能である。
図5において、上金型11と下金型12の閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に樹脂の形状が整えられている間に、カッター部112を樹脂41に接触させ、樹脂41に溝部42を形成した後、カッター部112と鏡面111との間の間隙部51から成形体を真空引きし、上金型11および下金型12を開き、上金型11に成形体を吸着させる。続いて、間隙部51から圧縮空気を吹き出し、上金型11から成形体の離型を容易せしめる。また図示していないが、圧縮空気の吹き出しと同時にカッター部112を前進させる(下方に押し下げる)ことで、成形体周囲を突き出すことができ、前記圧縮空気の吹き出しと合わせて、離型をより確実にできる。
すなわち、例えば溝部42に囲まれた部分を成形体の最終製品とし、溝部42の外側が成形体の不要バリ部分とすれば、成形体周囲に出現する不要バリ部分と製品部分とを、形成された溝部42を基準にして容易に分離することができる。例えば、溝部42に力を加えるのみ、あるいは必要に応じて溝部42にカッターを当てるだけで厳密な寸法精度でもって最終製品を得ることができる。したがって、時間および費用のかかる後処理工程を行う必要がなく、生産性の向上につながる。
また、上記実施の形態では、下金型12にスタンパー14を設ける例を説明したが、下金型12のキャビティ面に直接微細な凹凸部を形成し、スタンパー14を使用しなくてもよい。なお、上金型11に鏡面111を設けずにキャビティ面に直接微細な凹凸部を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、孔部をカッター部112と上金型11の鏡面111との間隙部51から構成し、そこから成形体の真空引きおよび圧縮空気の吹き出しを行う例を説明したが、成形体の真空引きおよび圧縮空気の吹き出しのための孔部は、上金型11の任意の場所に設けることもできる。例えば孔部は鏡面111の平面部に設けてもよい。
また、上記実施の形態では、成形体の平面方向の最終形状が正方形であり、かつ該正方形の4辺すべてが溝部となる例を説明したが、当然のことながら成形体の最終形状は用途に応じて様々な形態をとることができる。また溝部は成形体の最終形状を完全に囲む必要はなく、不要バリ部分を容易に除去せしめることができれば、溝部を断続的に形成することもできる。
11 上金型
12 下金型
13 加力発生器
14 スタンパー
18 加熱ヒータ
19 冷却水路
20 流路
21 スタンパー押え
41 樹脂
42 溝部
51 孔部
111 鏡面
112 カッター部
113 ロッド
114 エアーシリンダ
115 流路
Claims (6)
- (1)対向して配置される第一および第二金型間に溶融または軟化した樹脂を装填する工程と、
(2)前記第一および第二金型を嵌合させ、前記樹脂を加圧し、閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に前記樹脂の形状を整え、その際に、前記第一金型に設けられたカッター部を前記樹脂に接触させ、成形体の最終形状を囲むように前記樹脂に溝部を形成する工程と、
(3)前記カッター部および第一金型間の間隙部から構成された孔部から前記成形体を真空引きし、両金型を開き、前記第一金型に前記成形体を吸着させ、続いて、前記孔部から圧縮空気を吹き出し、前記第一金型から前記成形体を離型する工程とを有する成形体の製造方法であって、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して前後進可能であり、
前記(2)工程において、前記カッター部が、前記キャビティ内で前記樹脂に対して後進している位置にあるとき、前記カッター部および第一金型間の間隙部は、前記樹脂と接触しないように構成されてなることを特徴とする成形体の製造方法。 - 前記第二金型が、その表面に微細な凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
- 前記第一金型のキャビティ面が鏡面を有することを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造方法。
- 対向して配置される第一および第二金型と、
前記第一および第二金型の型開閉および前記金型のキャビティ面間の加圧が可能な加力発生器と、を有し、
前記第一金型にはカッター部が設けられ、前記第一および第二金型を嵌合させ、前記第一および第二金型間に装填された溶融または軟化した樹脂を閉じられたキャビティ間で形成される閉空間の形状に整え、その際に、前記第一金型に設けられたカッター部を前記樹脂に接触させ、成形体の最終形状を囲むように前記樹脂に溝部を形成するように構成した成形体の製造装置であって、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して前後進可能に構成され、
前記第一金型には、前記カッター部および第一金型間の間隙部から構成された孔部が設けられ、前記孔部から前記成形体を真空引きし、前記第一金型に前記成形体を吸着させ、かつ前記孔部から圧縮空気を吹き出し、前記第一金型から前記成形体を離型させるように構成し、
前記カッター部は、前記キャビティ内で前記樹脂に対して後進している位置にあるとき、前記カッター部および第一金型間の間隙部は、前記樹脂と接触しないように構成されてなる
ことを特徴とする成形体の製造装置。 - 前記第二金型が、その表面に微細な凹凸部を有することを特徴とする請求項4に記載の成形体の製造装置。
- 前記第一金型のキャビティ面が鏡面を有することを特徴とする請求項5に記載の成形体の製造装置。
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