JP2006240253A - エアバッグドア部付き内装品及びその成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 表面に隆起や落ち込みがなくて見映えのよいエアバッグドア部を有する内装品を容易に成形する。
【解決手段】 破断予定部23を形成するための溝形成刃39(切り込み溝形成手段)をキャビティ31内から後退させた状態で、キャビティ31に溶融樹脂を充填圧をかけながら充填した後、この充填圧を除去し、溝形成刃39をキャビティ31内に進出させて切り込み溝21を形成し、溝形成刃39を上記切り込み溝21から後退させた後、キャビティ31内に圧力をかけて保圧状態とし、切り込み溝21を構成する側面21a同士が接した破断予定部23を形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】 破断予定部23を形成するための溝形成刃39(切り込み溝形成手段)をキャビティ31内から後退させた状態で、キャビティ31に溶融樹脂を充填圧をかけながら充填した後、この充填圧を除去し、溝形成刃39をキャビティ31内に進出させて切り込み溝21を形成し、溝形成刃39を上記切り込み溝21から後退させた後、キャビティ31内に圧力をかけて保圧状態とし、切り込み溝21を構成する側面21a同士が接した破断予定部23を形成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、車両衝突時にエアバッグ装置の作動で開くエアバッグドア部を有するエアバッグドア部付き内装品及びその成形方法に関するものである。
従来より、破断予定部が内装品表面側から識別できない,いわゆるシームレスタイプのエアバッグドア部を有するエアバッグドア部付き内装品の成形方法は知られている(例えば、特許文献1参照)。この成形方法では、流動性を有する樹脂性材料を成形型内に封じる工程と、成形型内の樹脂性材料を保圧する工程と、溝成形部材を冷却しておく工程と、成形型内の樹脂性材料を貫通しない範囲で成形型内の樹脂性材料に冷却した溝成形部材を差込む差込工程と、差込んだ溝成形部材を前記保圧工程中に抜く工程とを備えている。
このように保圧をかけたまま溝成形部材を進出後退させることで破断予定部を設け、この破断予定部のある内装品の表面側に隆起を発生させないようにしている。また、溝成形部材を冷却することで、この溝形成部材に触れる溝を画定する側面を素早く固化させ、保圧をかけたまま溝成形部材を進出後退させても、側面同士が結合して破断予定部の役割を果たさなくなるのを防ぐようにしている。
特開2004−174778号公報
しかし、上記特許文献1では、溝成形部材を冷却するために、成形型内に冷水を通す通路を設けなければならず、成形型が複雑なものとなると共に、その成形工程も増えるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面に隆起や落ち込みがなくて見映えのよいエアバッグドア部を有する内装品を容易に成形することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、充填圧を除去した状態で切り込み溝形成手段をキャビティ内に進出後退させた後、保圧をかけて破断予定部を形成するようにした。
具体的には、請求項1の発明は、裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品を成形する方法を対象とする。
そして、上記破断予定部を形成するための切り込み溝形成手段を上記キャビティ内から後退させた状態でキャビティに溶融樹脂を充填圧をかけながら充填した後、この充填圧を除去し、上記切り込み溝形成手段を上記キャビティ内に進出させて切り込み溝を形成し、上記切り込み溝形成手段を上記切り込み溝から後退させた後、上記キャビティ内に圧力をかけて保圧状態とし、上記切り込み溝を構成する側面同士が接した破断予定部を形成する構成とする。
請求項2の発明では、上記切り込み溝形成手段を、エアバッグドア部付き内装品の表面に対して傾斜させてキャビティ内に進出後退させ、上記充填圧を除去した状態で、切り込み溝底部に作用する上記切り込み溝形成手段の進出によって圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力によって切り込み溝の底部から樹脂を引き込み、上記保圧状態で、切り込み溝の両側面に圧力を作用させて、断面が屈曲した破断予定部を設ける構成とする。
請求項3の発明では、上記切り込み溝形成手段は、先端部に所定の厚みを有し、上記充填圧を除去した状態で、上記切り込み溝形成手段の進出で圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力によって切り込み溝の底部から樹脂を引き込み、上記保圧状態で、切り込み溝の両側面に圧力を作用させて、断面で底部が略Y字状に分岐した破断予定部を設ける構成とする。
また、請求項4の発明は、裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品を対象とし、上記破断予定部は、裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で屈曲して設けられているものとする。
請求項5の発明では、裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品を対象とし、上記破断予定部は、裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で底部が略Y字状に分岐して設けられているものとする。
上記請求項1のエアバッグドア部付き内装品の成形方法の発明によれば、切り込み溝形成手段をキャビティ内から後退させた状態でキャビティに溶融樹脂を充填圧をかけながら充填しているため、溶融樹脂の流れが切り込み溝形成手段に遮られることなくスムーズにキャビティ内の隅々まで行き渡り、充填時間を短縮できる。
また、切り込み溝形成手段を切り込み溝から後退させた後、キャビティ内に圧力をかけて保圧状態としているため、切り込み溝形成手段によって溶融樹脂にかかる圧力は、切り込み溝側へ逃れ、脱型後に、その圧力に起因する内装品表面の盛り上がりを防ぐことができる。
そして、切り込み溝形成手段を切り込み溝から後退させて切り込み溝を構成する側面同士をある程度冷却した状態で、両側面が接した破断予定部を形成するようにしている。このため、切り込み溝形成手段を冷却する装置を設けなくても両側面が結合しない。また、成形後も切り込み溝の空間の大部分がなくなるので、断面変化によるヒケが表面に表れるのを防ぐことができる。さらに、内装品に温度変化が生じたときに、熱膨張による延びを切り込み溝の空間で吸収することはないので、表面の落ち込みを防ぐことができる。
したがって、表面に隆起や落ち込みがなくて見映えのよいエアバッグドア部を有する内装品を容易に成形することができる。
上記請求項2の発明によれば、切り込み溝形成手段をエアバッグドア部付き内装品の表面に対して傾斜させてキャビティ内に進出後退させている。このため、充填圧を除去した状態で、切り込み溝形成手段の進出によって圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力により、切り込み溝の底部が該切り込み溝の空間側へ隆起する。その後、保圧状態とすることで、切り込み溝の両側面に保圧による圧力が発生して、両側面を閉じようとするので、2段階にわけて切り込み溝の空間が埋まる。このようにして、断面が屈曲した破断予定部が形成される。
したがって、破断予定部の表面側から加わる荷重が屈曲した断面で支えられるので、従来のように切り込み溝に空間が残っている場合や、両側面が接していても、その断面が直線状のものに比べて剛性を向上させることができる。
上記請求項3の発明によれば、切り込み溝形成手段の先端部に所定の厚みを設け、切り込み溝形成手段を後退させたときに、切り込み溝の底部に所定の幅を形成するようにしている。このため、充填圧を除去した状態で、切り込み溝形成手段の進出で圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力によって切り込み溝の底部が隆起し、さらに、保圧状態で切り込み溝の両側面に圧力を作用させて両側面を近付けているため、断面で底部が略Y字状に分岐した破断予定部が形成される。
したがって、エアバッグの膨出時に破断予定部が破断するときに、破断線が切り込み溝の分岐した2方向のうち、破断しやすい方へ伝播するので、従来のように切り込み溝に空間が残っている場合や、両側面が接していても、その断面が直線状のものに比べてもエアバッグ膨出時に破断予定部を効率よく破断させることができる。
上記請求項4の発明のエアバッグドア部付き内装品によれば、破断予定部を裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で屈曲したものとしている。このため、表面側から加わる荷重が屈曲した断面で支えられるので、従来のように切り込み溝に空間が残っている場合や、両側面が接していても、その断面が直線状のものに比べて剛性を向上させることができると共に、エアバッグの膨出時には、切り込み溝の開口側からスムーズに破断させることができる。
上記請求項5の発明のエアバッグドア部付き内装品によれば、破断予定部を裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で底部が略Y字状に分岐したものとしている。このため、エアバッグの膨出時の破断予定部が破断するときに、破断線が切り込み溝の分岐した2方向のうち、破断しやすい方へ伝播するので、従来のように切り込み溝に空間が残っている場合や、両側面が接していても、その断面が直線状のものに比べてもエアバッグ膨出時に破断予定部を効率よく破断させることができる。
(実施形態1)
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
−インストルメントパネルの構成−
図1は本発明の実施形態にかかるエアバッグドア部付き内装品としてのインストルメントパネル1の助手席前方部分を示す。図2は図1のII−II線における断面図である。
図1は本発明の実施形態にかかるエアバッグドア部付き内装品としてのインストルメントパネル1の助手席前方部分を示す。図2は図1のII−II線における断面図である。
上記インストルメントパネル1は溶融樹脂を射出して成形された単層構造を有し、このインストルメントパネル1裏面の助手席前方に対応する箇所には、樹脂製の筒状枠体3が振動溶着により固定されている。この枠体3内部の上端には、2枚のフラップ5が車体前方側と後方側とに設けたヒンジ部7を介して一体に形成されている。これらフラップ5と上記枠体3との間には、平面視略H字状の隙間9が形成されるようになっている。この隙間9を除いた枠体3表面及びフラップ5表面がインストルメントパネル1裏面に振動溶着されている。そして、各フラップ5はエアバッグ装置11の作動でヒンジ部7を中心にそれぞれ前後に開くようになっている。上記枠体3内部の下端側には、エアバッグ装置11が取り付けられている。
上記エアバッグ装置11は、エアバッグケース13を備え、このエアバッグケース13内には、折り畳んだ状態のエアバッグ15とインフレータ17とが収納されている。また、上記エアバッグケース13の車体前方側及び後方側には複数の係止プレート19が取り付けられ、これらの係止プレート19先端の係止爪19aを上記枠体3の車体前側壁部3a及び車体後側壁部3bに形成された複数の係合孔3cに係合させることにより、上記エアバッグ装置11が枠体3に取り付けられている。
上記インストルメントパネル1裏面のエアバッグ装置11に対応する箇所には、断面が屈曲した切り込み溝21が上記H字状の隙間9と両フラップ5のヒンジ部7とに対応する平面視略B字状に、かつインストルメントパネル1表面に達しないように形成されている。
具体的には、図4に示すように、上記切り込み溝21は、インストルメントパネル1の表面に対して、例えば、θ=30°程度傾斜して形成され、切り込み溝21を構成する側面21a同士が接した状態にあり、その断面は特に底部21b側が屈曲している。
上記切り込み溝21に対応するインストルメントパネル1の切り込み溝21よりも表面側の薄肉の部分によって破断予定部23が形成されている。また、この破断予定部23で囲まれる領域でエアバッグドア部25が構成されている。この破断予定部23がエアバッグ15膨出時の展開圧力で破断するようになっている。
上記切り込み溝21で形成されたエアバッグドア部25は、切り込み溝21がインストルメントパネル1表面側から識別できない,いわゆるシームレスタイプとなっている。
−成形型の構成−
次に、上述の如く構成されたインストルメントパネル1を成形する成形型26について説明する。
次に、上述の如く構成されたインストルメントパネル1を成形する成形型26について説明する。
図3に示すように、上記成形型26は、エアバッグドア部25の表面側を成形する固定型としての第1成形型27と、エアバッグドア部25の裏面側を成形する可動型としての第2成形型29とを備えている。上記第1成形型27と第2成形型29とを型締めした状態で各々の成形面27a,29a間にインストルメントパネル1を成形するためのキャビティ31が形成されている。
上記第2成形型29の内部には、収容空間33が設けられ、この収容空間33内には矩形板状の支持プレート35が配置されている。この支持プレート35は、第2成形型29背面に固定された油圧シリンダ37のピストンロッド37aの先端に連結されている。
上記支持プレート35上面には、切り込み溝形成手段としての溝形成刃39が取り付けられている。この溝形成刃39は、連続した先端部39aを有する複数の薄い略矩形状金属板からなり、各金属板が支持ブロック41と押さえ板43とによって、その基端側を挟持された状態で、上記切り込み溝21に対応するように配設されている。つまり、高さの異なる金属板が車体前後方向に3枚配設されると共に、後側から前側へ高さが高くなる2枚の金属板が上記3枚の金属板を挟むように配設されている。金属板の構成は、これに限定されず、一部又は前部が一体に形成されたものでもよい。また、上記溝形成刃39を連続した先端部39aを有するものではなく、一部が不連続の先端部を有するものとしてもよい。
図4(b)に示すように、上記溝形成刃39は、油圧シリンダ37の伸長作動により第1成形型27の成形面27aと先端部39aとの間に所定の間隔Lがあくようにキャビティ31内の破断予定部形成位置Pに進出する。一方、図4(a)及び(d)に示すように、油圧シリンダ37の収縮作動により先端部39aが上記第2成形型29の成形面29aに没入するように、第2成形型29側に後退するように構成されている。
なお、溶融樹脂Rの流動に悪影響を及ぼさない範囲であれば、溝形成刃39の後退状態で先端部39aがキャビティ31内に僅かに突出するようにしてもよい。以下に述べる成形工程においても同じである。
−インストルメントパネルの成形方法−
次に、上述の如く構成された成形型26によりエアバッグドア部25を有するインストルメントパネル1を成形方法について説明する。
次に、上述の如く構成された成形型26によりエアバッグドア部25を有するインストルメントパネル1を成形方法について説明する。
まず、図3に示すように、第1成形型27に対して第2成形型29を接近させて型締めする。この状態で油圧シリンダ37は収縮作動している。つまり、図4(a)に示すように、溝形成刃39の先端部39aは、第2成形型29側に後退して第2成形型29に没入している。
次いで、充填圧をかけながら、溶融樹脂Rを上記キャビティ31内に射出して充填する。図5に示すように、充填時間は例えば3秒間である。この間、溝形成刃39の先端部39aがキャビティ31内に突出していないので、溶融樹脂Rの流れが溝形成刃39に遮られることなくスムーズにキャビティ31内の隅々までに行き渡る。このことで、充填時間ひいては成形サイクルを短縮することができると共に、溶融樹脂Rの流れが溝形成刃39に衝撃を与えることがなく、溝形成刃39への負担が少なく、耐久性を向上させることができる。
その後、図4(b)に示すように、溶融樹脂Rが冷却する過程で、上記充填圧を除去した状態で、油圧シリンダ37を伸長作動させ、溝形成刃39を第1成形型27の成形面27aと先端部39aとの間に所定の間隔Lがあくように、第2成形型29の成形面29aに対して略30°傾斜させて、上記キャビティ31内の破断予定部形成位置Pに進出させる。この溝形成刃39の進出のタイミングは、例えば溶融樹脂Rを射出し、充填してから1秒後であり、4秒間進出させておく。また、充填圧を取り除いた状態とは、溶融樹脂Rを射出充填したときの射出圧力を積極的に保持せず、溶融樹脂Rを冷却などによりキャビティ31の充填圧力が低下する場合をいう。この充填圧を除去した時間は、例えば、溶融樹脂Rを射出充填した後、6秒間である。これにより、キャビティ31内の溶融樹脂Rは、半凝固状態となる。
上記溝形成刃39の進出工程から所定時間経過した後、具体的には溝形成刃39の先端部39aをキャビティ31内に進出させてから4秒後、図3に示すように、油圧シリンダ37を収縮作動させる。この溶融樹脂Rが未だ完全に固化しない冷却進行過程に溝形成刃39を先端部39aが上記第2成形型の成形面29aに没入するように、第2成形型29側に後退させる。この段階ではキャビティ31内の溶融樹脂Rには充填圧がかかっていない。すると、図4(c)に矢印Aで示すように、溝形成刃39の進出によって、切り込み溝21の底部21bに圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力が発生しているので、切り込み溝21の底部21bが隆起してくる。
上記溝形成刃39が後退してから1秒後に溶融樹脂Rに再び圧力をかけて樹脂圧が下がらないように保圧状態とする。この保圧状態は、例えば4.5秒間である。すると、図4(d)に矢印Bで示すように、切り込み溝21の両側面21aに保圧による圧力が発生して、両側面21aを閉じようとするので、2段階にわけて切り込み溝21の空間21cが埋まる。この切り込み溝21の空間21cが埋まる過程で、その断面が屈曲した破断予定部23が形成される。このとき、切り込み溝21の両側面21aは、溝形成刃39に接している時間及び保圧状態で接するまでの時間でほぼ固化しているので、両側面21a同士が溶着するのを防ぐことができる。この保圧を行うことにより、ヒケや欠肉のないインストルメントパネル1を成形することができる。これにより、キャビティ31内で溶融樹脂R内の固化が型崩れしない程度にまで進行し、裏面に切り込み溝21が形成されたインストルメントパネル1が成形され、上記切り込み溝21に対応する破断予定部23で囲まれる領域でエアバッグドア部25が構成される。
そして、成形されたインストルメントパネル1の形状が安定するまで冷却した後、インストルメントパネル1を脱型する。
このように、溝形成刃39を先端部39aが上記第2成形型29に没入するように後退させた状態で保圧するので、保圧中に溝形成刃39がキャビティ31内に進出していない分だけキャビティ31内の溶融樹脂Rにかかる圧力の増加を抑制することができる。このため、脱型後に、インストルメントパネル1の表面に上記溶融樹脂Rにかかる圧力に起因する盛り上がりの発生を防ぐことができる。
したがって、本実施形態によると、表面に隆起や落ち込みがなくて見映えのよいインストルメントパネル1を容易に成形することができる。
また、表面側から加わる荷重が屈曲した断面で支えられるので、従来のように切り込み溝21に空間が残っている場合や、両側面21aが接していても、その断面が直線状のものに比べて剛性を向上させることができる。
(実施形態2)
図6は本発明の実施形態2にかかる成形型126を示し、溝形成刃39の形状と、その進出後退させる角度とが異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図5と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図6は本発明の実施形態2にかかる成形型126を示し、溝形成刃39の形状と、その進出後退させる角度とが異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図5と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施形態の溝形成刃139は、その先端部139aが平坦又は曲線状に形成され、所定の厚みTを有している。成形型126において、溝形成刃139の先端部139aは、第2成形型29の成形面29aに対してほぼ垂直に進出後退させるようになっている。このことで、本実施形態の切り込み溝121は、断面で底部が略Y字状に分岐している。
次に、本実施形態の成形型126によりエアバッグドア部25を有するインストルメントパネル1を成形方法について、上記実施形態1と異なる特徴部分についてのみ説明する。
図7(b)に示すように、上記充填圧を除去した状態で、上記冷却進行過程に溝形成刃139をキャビティ31内の破断予定部形成位置Pに進出させる。すると、破断予定部形成位置Pの周辺に溝形成刃39の進出による切り込み溝121の底部121bに圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力が生じる。
次いで、図7(c)に矢印Aで示すように、溝形成刃139を第2成形型29側に後退させる。すると、上記押し戻そうとする圧力により、切り込み溝121の底部121bが下方に隆起してくる。
次に、保圧状態において、切り込み溝121の両側面121aに保圧による圧力が発生すると、図7(d)に矢印Bで示すように、両側面121aが閉じられる。このように、2段階にわけて切り込み溝121の空間121cが埋まる。この切り込み溝121の空間121cが埋まる過程で、その底部121bが断面で略Y字状に分岐する。このことで、切り込み溝121により、破断予定部123を設ける。
したがって、本実施形態のインストルメントパネル1の成形方法によると、エアバッグ15の膨出時に破断予定部123が破断するときに、破断線が切り込み溝の分岐した2方向のうち、破断しやすい方へ伝播するので、従来のように切り込み溝に空間が残っている場合や、両側面121aが接していても、その断面が直線状のものに比べてもエアバッグ15の膨出時に破断予定部を効率よく破断させることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態では、切り込み溝形成手段を金属板よりなる溝形成刃39としたが、多数のブロック又はピンで構成してもよい。
また、上記各実施形態では、破断予定部23,123を平面視略B字状に設けたが、平面視矩形枠状に設けてもよい。
上記各実施形態では、エアバッグ装置11を運転席側方の助手席前方に配置されたフロントエアバッグ装置とし、エアバッグ装置11が車両前後方向からの衝撃から乗員を保護するようにしたが、本発明は、運転者を保護するためにステアリングハンドルのパッドにも適応することができる。その他、本発明は、センターピラーガーニッシュなどの車両用内装品にエアバッグ装置を装備した場合にも適応することができる。
この発明は、車両衝突時にエアバッグ装置の作動で開くエアバッグドア部を有するインストルメントパネルなどの内装品及びその成形方法として有用である。
R 溶融樹脂
1 インストルメントパネル
21,121 切り込み溝
23,123 破断予定部
25 エアバッグドア部
26,126 成形型
31 キャビティ
39,139 溝形成刃(切り込み溝形成手段)
1 インストルメントパネル
21,121 切り込み溝
23,123 破断予定部
25 エアバッグドア部
26,126 成形型
31 キャビティ
39,139 溝形成刃(切り込み溝形成手段)
Claims (5)
- 裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品を成形する方法であって、
上記破断予定部を形成するための切り込み溝形成手段を上記キャビティ内から後退させた状態でキャビティに溶融樹脂を充填圧をかけながら充填した後、
上記充填圧を除去し、
上記切り込み溝形成手段を上記キャビティ内に進出させて切り込み溝を形成し、
上記切り込み溝形成手段を上記切り込み溝から後退させた後、
上記キャビティ内に圧力をかけて保圧状態とし、上記切り込み溝を構成する側面同士が接した破断予定部を形成することを特徴とするエアバッグドア部付き内装品の成形方法。 - 請求項1のエアバッグドア部付き内装品の成形方法において、
上記切り込み溝形成手段を、エアバッグドア部付き内装品の表面に対して傾斜させてキャビティ内に進出後退させ、
上記充填圧を除去した状態で、切り込み溝底部に作用する上記切り込み溝形成手段の進出によって圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力によって切り込み溝の底部から樹脂を引き込み、
上記保圧状態で、切り込み溝の両側面に圧力を作用させて、断面が屈曲した破断予定部を設けることを特徴とするエアバッグドア部付き内装品の成形方法。 - 請求項1のエアバッグドア部付き内装品の成形方法において、
上記切り込み溝形成手段は、先端部に所定の厚みを有し、
上記充填圧を除去した状態で、上記切り込み溝形成手段の進出で圧縮された溶融樹脂の押し戻そうとする圧力によって切り込み溝の底部から樹脂を引き込み、
上記保圧状態で、切り込み溝の両側面に圧力を作用させて、断面で底部が略Y字状に分岐した破断予定部を設けることを特徴とするエアバッグドア部付き内装品の成形方法。 - 裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品であって、
上記破断予定部は、裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で屈曲して設けられていることを特徴とするエアバッグドア部付き内装品。 - 裏面にエアバッグ膨出時に破断する破断予定部を表面に達しないように形成して該破断予定部で囲まれる領域で構成されたエアバッグドア部を有する内装品であって、
上記破断予定部は、裏面側から切り込んだ切り込み溝の対向する側面同士が接し、断面で底部が略Y字状に分岐して設けられていることを特徴とするエアバッグドア部付き内装品。
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JP2004174778A (ja) * | 2002-11-26 | 2004-06-24 | Toyota Motor Corp | 有底の溝をもつ樹脂性物体とその製造方法と製造装置 |
JP2005075140A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-03-24 | Inoac Corp | エアバッグドアにおける破断予定部およびその成形方法 |
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