JP3615165B2 - 射出成形用金型およびこれを用いたエアバッグドア成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグドアをインストルメントパネルに対して一体的に成形する際などに使用するための射出成形用金型、およびこれを用いたエアバッグドア成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車などの高速移動車両には、乗員の安全性を確保することを目的として、エアバッグシステムが装備されることが多い。エアバッグシステムは、衝突事故などにおいて車両に衝撃が加わった際に、その衝撃の乗員への伝達を吸収するための装置であって、一般に、車両への衝撃を検知し且つその衝撃の程度を判断して作動信号を発信するセンサ、この作動信号に基づいて所要のガスを発生するガス発生器、および、ガス発生器からのガスにより膨張展開して乗員を保護するエアバッグの3つのサブシステムより構成されている。エアバッグシステム作動時に膨張展開するエアバッグは、通常、非作動時には折り畳まれて所定箇所に格納されている。例えば自動車用エアバッグシステムにおける助手席用エアバッグの場合は、インストルメントパネルの内側に収納されている。従って、エアバッグが収納装備されたインストルメントパネルには、システム作動緊急時にエアバッグの乗員方向への膨出を許容するための開口部、および、システム非作動通常時にこの開口部を閉塞し且つシステム作動時には開口部を開放するためのエアバッグカバー体ないしエアバッグドアが必要とされる。
【0003】
図18は、従来の方法により別体として樹脂成形されたエアバッグドア101が配設されたインストルメントパネル100の斜視図であり、図19は、図18に示すインストルメントパネル100におけるエアバッグドア101配設箇所の一部断面拡大斜視図である。図19に示される断面形状は、図18の線XIX―XIXに沿った断面形状に相当する。
【0004】
インストルメントパネルへのエアバッグドアの形成においては、従来、インストルメントパネル100とエアバッグドア101は互いに別体として樹脂成形され、その後に、エアバッグドア101がエアバッグ用開口部102を閉塞するようにインストルメントパネル100に取付けられていた。しかしながら、別部材としてのエアバッグドア101をインストルメントパネル100に取付けると、図19によく表されているように、インストルメントパネル100の外表面ないし意匠面において、エアバッグドア101とパネル本体との境目に隙間ないし段部103が形成されてしまう。このような隙間ないし段部103は、図18に示すように、美観が重んじられるインストルメントパネルの外観構成に影響を与えてしまうので、好ましくない。また、そのような隙間ないし段部103には埃が溜まり易いという問題もある。加えて、このような従来の構成では、パネル本体の成形とは独立したエアバッグドア成形工程、およびそのための金型などが別途必要であって、インストルメントパネルの製造工程が煩雑なものとなっていた。
【0005】
例えば、特開平11−291069号公報、特開平6−143327号公報および特開2000−108833号公報には、エアバッグドアの別体成形に基づく以上のような問題を解消するため、エアバッグドアとインストルメントパネルとを一体的に成形するための技術が開示されている。
【0006】
具体的には、特開平11−291069号公報によると、インストルメントパネル本体をエアバッグ用開口部を設けずに射出成形した後に、パネルの裏面におけるエアバッグ収納位置に対応する所定箇所をレーザで削り加工することにより、破断部が形成される。ここで破断部とは、エアバッグシステム作動時にエアバッグの膨張力を受けることにより破断して、エアバッグ収納位置に対応するインストルメントパネルの所定部位すなわちエアバッグドアを開裂可能にするために形成される脆弱部をいう。このような破断部をインストルメントパネルに形成することにより、破断部により規定されるエアバッグドアが、インストルメントパネルに対して一体的に成形されることとなる。
【0007】
一方、特開平6−143327号公報および特開2000−108833号公報によると、インストルメントパネルの裏面側に所望の破断部が形成されるように、型締されたインストルメントパネル金型によって規定される空隙部に対して破断部形成用コアが予め配設され、この状態で空隙部に樹脂材料が充填される。すると、インストルメントパネルを射出成形する際に、破断部により規定されたエアバッグドアがインストルメントパネルに一体的に成形されることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のレーザ加工法では、レーザ照射によってインストルメントパネルに形成される破断部の厚みについて微調節することが比較的困難であり、特に単層構造のインストルメントパネルに対してレーザ加工する場合には、過剰なレーザ照射によってインストルメントパネルを貫通してしまうおそれがある。また、レーザ加工法を採用すると、インストルメントパネルの射出成形工程とは別に、複雑なレーザ加工機による加工工程を必要とするため、インストルメントパネルの製造効率の低下を招来してしまう。
【0009】
一方、樹脂材料の射出時に破断部形成用コアを予め配設しておく方法では、コアは、インストルメントパネルに破断部ないし薄肉部を形成するために他の金型部分に比べて空隙部内に突出して配設されているため、空隙部内を流動する樹脂材料の障害となってしまう。すると、コアに挟まれた領域や囲まれた領域、即ちエアバッグドア形成領域には、充分量の樹脂が供給され難くなる。その結果、インストルメントパネルに一体成形されたエアバッグドアの一部または全体が所望の肉厚よりも薄い状態になるという、いわゆる欠肉の問題が生じてしまう。
【0010】
また、コアを用いてインストルメントパネルに破断部ないし薄肉部を形成する技術においては、通常、破断部は一様な厚みを有しているが、破断部が例えば肉厚0.1〜1.0mmの一様な厚みで設けられると、当該破断部の強度を適切に確保するのが難しい。例えば、低温衝撃評価やインパネヘッドインパクト評価において、そのような破断部は破断し易い傾向にある。その結果、エアバッグドアが一体成形されたインストルメントパネルにおいて、充分な非破損性を確保することができない場合が生ずる。
【0011】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、以上に述べた問題点を解決または軽減することを課題とし、パネル本体に対する適切な接続強度を保持しつつ欠肉を生じていないエアバッグドアを、インストルメントパネルに一体的に成形する際などに使用することができる射出成形用金型、およびこれを用いたエアバッグドア成形方法を提供することを目的とする。
【0012】
【発明の開示】
本発明の第1の側面によると、射出成形用金型が提供される。この金型は、樹脂材料が充填される空隙を規定するための第1の型体および第2の型体と、第2の型体に設けられ、第1の型体に対して進退動可能な破断部形成用のコアと、を具備し、コアは、当該コアによって形成される破断部の深さが破断部延び方向において変化するように、第2の型体から第1の型体の方向へ突出する複数の突刃を有することを特徴とする。
【0013】
このような構成の金型を用いると、例えばエアバッグドアをインストルメントパネルに一体成形する際には、エアバッグドアに欠肉が発生するのを回避ないし充分に抑制することができる。具体的には、本発明の第1の側面に係る金型をインストルメントパネル金型として用いた射出成形において、樹脂材料射出工程では、破断部形成用のコアがその破断部形成位置よりも退避した位置にある状態で樹脂材料を空隙部に射出し、その後、空隙部に対して樹脂材料を充填中または充填完了後に破断部形成用コアを破断部形成位置に変位させることができる。これによると、破断部形成用コアは空隙部における樹脂材料の流動を一切または殆ど妨害せず、空隙部において破断部形成用コアによって規定されるエアバッグドア形成領域には充分量の樹脂材料を供給することが可能となる。その結果、完成品のエアバッグドアにおいて欠肉の発生が回避され、所望の肉厚を有するエアバッグドアがインストルメントパネルに一体的に成形されるのである。
【0014】
また、本発明の第1の側面に係る金型を用いると、インストルメントパネルに対して、適当な接続強度を保持しつつ、エアバッグドアを一体成形することができる。具体的には、第2の型体に設けられた破断部形成用のコアが、第2の型体から第1の型体の方向へ突出する複数の突刃を有しているため、当該コアの押入によってインストルメントパネルに形成される破断部において、突刃に対応する相対的に深い箇所と、突刃と突刃の間に対応する相対的に深くない箇所とが形成されることとなる。本発明の第1の側面に係る金型を用いると、このような凹凸形状を有する破断部を形成することによって、エアバッグドアの膨出の際に開裂可能であって低温衝撃評価やインパネヘッドインパクト評価において破断しない程度の良好な強度を有するエアバッグドアを、インストルメントパネルに一体成形することができるのである。
【0015】
また、本発明の第1の側面に係る金型を用いると、インストルメントパネルに対して、良好な美観でエアバッグドアを一体成形することもできる。上述の射出成形ように、樹脂材料を充填中または充填完了後に破断部形成用のコアを破断部形成位置に変位させると、押入り途中の突刃が樹脂材料を圧縮するが、圧縮力を受けた樹脂材料は、破断部の脇方向に加え、破断部に沿った突刃間へも流出することができる。そのため、冷却前において、樹脂材料の密度の均一化が担保される。樹脂密度が均一であると、冷却工程において、樹脂材料は一様に収縮し、その結果、破断部形成位置において意匠面に膨らみを生ぜずに、良好な美観を有したインストルメントパネルを作製することが可能となる。
【0016】
破断部形成用コアが、仮に、複数の突刃に代えて一様な高さの先端形状を有する場合には、空隙部に充填された樹脂材料のうち、コアの先端と第1の型体との間に挟まれている樹脂材料は、コアが破断部形成位置に変位することによって、他の領域に存在する樹脂よりも過度に圧せられた状態となってしまう。コアの押入りによって、樹脂材料は、一部は破断部の脇方向へ押し出されるが、押し出される程度は充分ではないからである。樹脂材料射出工程の後の冷却工程において、樹脂材料は、放熱して収縮するところ、コアの先端と第1の型体との間で圧縮状態にある樹脂材料は、他の部位に存在する樹脂材料よりも、部材厚方向において、見かけ上、小さな収縮率で収縮することとなる。すなわち、他の部位に存在する樹脂材料の方が、冷却工程において、より収縮する。そのため、部材厚方向において異なる収縮率で収縮した結果得られる最終成形品では、パネル本体とエアバッグドアと連結する破断部ないし薄肉部が、インストルメントパネル意匠面において膨らんだ形状となり、インストルメントパネルの美観に影響を与えてしまう。これに対し、本発明の第1の側面に係る金型は、破断部における局部的な圧縮状態を解消ないし低減することによって、冷却終了後に得られる成形品において、パネル本体およびエアバッグドアの外表面が面一に連接した形状に成形することを可能とする。
【0017】
本発明の第2の側面によると、インストルメントパネルにエアバッグドアを一体成形する方法が提供される。この成形方法は、第1の型体と第2の型体とを接近させて型締を行う工程と、第1の型体および第2の型体によって規定される空隙部に樹脂材料を射出する工程と、樹脂材料を射出してから樹脂材料が固化するまでの過程において、第2の型体に設けられ、第1の型体に対して進退動可能な破断部形成用のコアを第1の型体に向けて退避位置から破断部形成位置まで変位させる工程と、を含み、コアの先端は、当該コアによって形成される破断部の深さが破断部延び方向において変化するように、第2の型体から第1の型体の方向へ突出する複数の突刃を有することを特徴とする。
【0018】
このような構成によると、本発明の第1の側面に係る金型を用いて、インストルメントパネルにエアバッグドアを一体的に成形することができる。したがって、本発明の第2の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
【0019】
本発明に係る射出成形で用いられる樹脂材料としては、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、樹脂成形体の補強の観点から、樹脂材料は、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどの無機充填材を含んでいてもよい。
【0020】
本発明において、破断部形成用のコアは、エアバッグに対応する所望の縁取り形状を有しており、その先端は、先細状に形成されていてもよいし、第2の型体の空隙規定面に対して略平行の平坦面が形成されていてもよい。そして、本発明の第2の側面において、好ましくは、コアの退避位置とは、コアの最先端が第2の型体の空隙規定面と同一面上に存在する位置あるいは空隙規定面よりも後退する位置をいうが、完成品のエアバッグドアに欠肉を生じない限りにおいて、破断部形成位置よりも退避した位置であって、コアの最先端が空隙規定面よりも第1の型体に向かって延出する位置をコアの退避位置としてもよい。このような構成を採用する場合には、コアが空隙規定面から延出する長さは、好ましくはエアバッグドアの肉厚の2分の1以下であり、より好ましくは5分の1以下であり、更に好ましくは10分の1以下である。空隙規定面に対して略平行な平坦面をその先端に有するコアを使用する場合には、当該平坦面が第2の型体の空隙規定面と面一状となる位置をコアの退避位置とすれば、コアの摺動箇所として第2の型体に形成されている溝部に樹脂材料が過剰に流入することを適切に防止することができる。
【0021】
好ましい実施の形態では、コアは、隣接する突刃の間において、突刃に連続する退避刃を有する。このような構成によると、突刃に加えて、突刃間の退避部も破断部形成用の刃として機能させることができる。
【0022】
他の好ましい実施の形態では、第2の型体は、空隙規定面で開口する複数の貫通孔を有し、突刃は、貫通孔に対して摺動可能に設けられている。好ましくは、突刃およびこれに対応する貫通孔は、3〜10個/cmの線密度で設けられている。このような構成によると、破断部形成工程において、破断部形成予定箇所における突刃間に対応する箇所に在る樹脂材料に対しては、コアは、直接的には押入しない。そのため、コアの突刃が樹脂材料に押入する際、押圧を受けた樹脂材料が突刃間の領域に押し出され易くなる。その結果、冷却前において、突刃に押入された樹脂材料の圧縮状態が解消ないし更に軽減され、冷却終了後に得られる成形品について、パネル意匠面において、破断部に対応する位置での膨らみが解消ないし軽減されることとなる。
【0023】
第2の型体が、そのような貫通孔を有する場合、貫通孔は丸穴形状であるのが好ましい。それに対応して、突刃は、当該丸穴貫通孔に摺動可能な丸ピンとされる。より好ましくは、そのような丸ピン突刃は、コアを進退駆動するためのシリンダに連接された支持板によって、コアの進退方向とは交差する方向に変位可能な遊びを有して支持されている。
【0024】
このような構成によると、第2の型体に穿設された貫通孔に対して突刃を挿設するのが容易化され得る。具体的には、貫通孔が丸穴であり、突刃が丸ピンであって、支持板が突刃を変位可能な遊びを有して支持しているので、金型の作製において、突刃を貫通孔に対して厳密に位置合わせすることが必須でなくなる。遊びを有して支持板に取り付けられた丸ピン突刃を第2の型体の貫通孔に挿設するとき、丸ピン突刃の先端部が丸穴貫通孔に進入すれば、貫通孔に対して突刃が多少位置ずれしていても、突刃は、当該遊びが許容する範囲で、挿入方向に交差する方向へ支持板上を変位し、自動的に位置合わせされるからである。その結果、本発明に係る金型を作製するのが容易となる。より多くの突刃および貫通孔を必要とするエアバッグドア一体成形を行う場合、このような金型作製の容易化の効果は増大する。
【0025】
本発明においては、好ましくは、第1の型体は、射出成形装置の固定型取付板に支持固定された固定型であり、第2の型体は、同装置の可動型取付板に支持固定され且つ固定型に対して進退可能な可動型である。そして好ましくは、固定型には、その表面に開口し且つ空隙部に連している射出孔が設けられており、樹脂材料射出工程においては、射出装置で用意された溶融状態にある樹脂材料がこの射出孔を介して空隙部に射出される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る射出成形用金型Aを備えた射出成形装置の一部断面図である。図1には、エアバッグドア形成領域Sおよびその付近の構成が表されている。ここでエアバッグドア形成領域Sとは、完成したインストルメントパネルにおいて破断部により規定される部位すなわちエアバッグドアとして機能する部位に対応する領域をいうものとする。
【0028】
射出成用金型Aは、射出成形装置の固定型取付板1に固定支持される固定型3、および、固定型取付板1に対して進退動可能な可動型取付板2に固定支持される可動型4を備える。固定型3には、エアバッグドア形成領域Sに対応する位置にヒータ付コア5が設けられている。ヒータ付コア5は、その露出面が固定型3の空隙規定面3aに対して面一状となるように固定型3に嵌設されている。可動型4には、エアバッグドア形成領域Sに対応する位置にエアバッグドア形成機構6が配設されている。
【0029】
エアバッグドア形成機構6は、所望の破断部に対応する周形状を有するコア7と、このコア7を固定支持するためのコア支持板8と、この支持板8を上下動させるための油圧シリンダ9とを備える。このエアバッグドア形成機構6を配設するために、可動型4には、コア用貫通溝10、支持板収容室11、およびシリンダ収容室12が開設されている。
【0030】
図2は、図1の線II―IIに沿った断面図であり、コア7の延び方向の断面がよく表れている。図2に示されるように、コア7は、その先端において、延び方向に沿って複数の突刃7aを有し、隣接する突刃7aの間は、突刃7aに連続する退避刃7bとされている。したがって、突刃7aおよび退避刃7bは、形成される破断部の形状に沿って開設されたコア用貫通溝10を、一体的に出退する。本実施形態では、突刃7aは、コア7の延び方向断面において矩形状であり、当該延び方向における長さは0.5〜5.0mmとされている。また、突刃7aは、図1に示すように、コア7の横切り断面において先細状とされており、その最大幅は0.5〜2.0mmとされている。また、突刃7aおよび退避刃7bの長さは、等しく設計されている。
【0031】
図3(a)〜(d)は、本発明における他の突刃のコア延び方向一部拡大断面図である。図3(a)に示される突刃71aは六角形状を有し、突刃71に対して退避刃71bは短く設計されている。図3(b)に示される突刃72aは波状であり、一定のピッチで設けられている。図3(c)に示される突刃73aは三角形状を有し、一定のピッチで設けられている。図3(d)に示される突刃74aも三角形状を有して一定のピッチで設けられている。隣接する突刃74aの間には、退避刃74bが設けられている。
【0032】
図1に示すように、油圧シリンダ9は、固定型4のシリンダ収容室12に固定されており、伸縮動可能なピストンロッド9aを有する。ピストンロッド9aは、支持板収容室11内で支持板8に連結されている。支持板8は、ピストンロッド9aの伸縮動により、支持板収容室11内を上下動する。支持板8に支持固定されているコア7は、支持板8とともに上下動するところ、コア7の形状に対応して開設されているコア用貫通溝10内を摺動可能とされている。コア7は、油圧シリンダ9により支持板8を介して位置決めされる。図1の断面図においては、見かけ上2本のコア7が示されているが、これらは、図外で繋がって一体のコア7を構成している。また、コア7および支持板8の運動方向がピストン伸縮方向から傾斜するのを防止するため、ピストン伸縮方向に対して平行な方向に支持板8を貫通するガイドポスト13が、支持板収容室11に固定されている。
【0033】
図1および図2に示す射出成形用金型Aは、インストルメントパネルにエアバッグを一体成形するための一連の工程における型締工程の配置をとる。型締工程においては、可動型4は、可動型取付板2と一体となって固定型3に接近し、図外の所定箇所にて固定型3に合わされる。可動型4が固定型3に対して合わされた状態すなわち型締状態において、両型の間には樹脂が充填される空間としての空隙部14が形成される。本実施形態では、空隙部14におけるエアバッグドア形成領域Sの幅Wは1〜5mmとされる。型締工程において、コア7は、油圧シリンダ9によって退避位置に位置決めされており、待機状態にある。本実施形態では、退避位置とは、コア7の最先端すなわち突刃7aの上端が可動型4の空隙規定面4aから退避した位置をいう。このとき、ヒータ付コア5は、その内部に温度センサ(図示略)を備え、エアバッグドア形成領域Sおよびその近傍の金型を30〜300℃の温度範囲で加温している。
【0034】
図4は、上述の型締工程に続いて行われる樹脂材料射出工程を表す。本工程では、型締工程で形成された空隙部14に、溶融状態にある樹脂材料15が充填される。具体的には、図外の樹脂射出装置で溶融された樹脂材料15が、当該射出装置から、空隙部に連通するように固定型3に形成された図外の射出孔を介して、所定の圧力で空隙部14に射出される。このとき、コア7は上述の退避位置に待機したままとされる。そのため、樹脂材料15が空隙部14におけるエアバッグドア形成領域Sを通過する際、コア7の先端部すなわち突刃7aおよび退避刃7bは、樹脂材料15の流動の妨げとはならず、エアバッグドア形成領域Sには充分な樹脂材料15が供給される。ヒータ付コア5は、エアバッグドア形成領域Sを通過または填塞する溶融状態の樹脂材料15を100〜300℃の温度範囲で加温しており、樹脂材料15が次の破断部形成工程以前に固化することを防止する役割を担う。
【0035】
図5は、空隙部14に樹脂材料15が充填された後に行われる破断部形成工程を表す。本工程では、油圧シリンダ9が、そのピストンロッド9aを伸長駆動することによって、支持板8およびこれに支持固定されるコア7を、上述の退避位置から破断部形成位置に進出させる。ここで破断部形成位置とは、コア7の先端部が、樹脂材料15が既に充填されている空隙部14に押入して、インストルメントパネルの本体とエアバッグドアとの境界である破断部を形成する位置をいう。本工程においては、押入り途中の突刃7aが樹脂材料15を圧するが、押圧を受けた樹脂材料15は、破断部の脇方向に加えて、破断部に沿った上の突刃7a間へも流出することができる。突刃7a間の退避刃7bによる押圧の程度は、突刃7aのそれよりも相当程度小さい。そのため、冷却前において、樹脂材料の密度の均一化が担保される。本実施形態では、破断部形成位置におけるコア7の突刃7aの先端とヒータ付コア5との距離は0.1〜1.5mmであり、退避刃7bの先端とヒータ付コア5との距離は1.0〜5.0mmである。
【0036】
コア7が破断部形成位置に変位した後、ヒータ付コア5は、それまで継続していた加温動作を停止する。そして、溶融していた樹脂材料15が型崩れしない程度に固化するまで、コア7を破断部形成位置に待機させ、空隙部14に充填された樹脂材料15を保圧する。この保圧過程の期間については、予め装置に設定しておくことによって、当該期間経過後に自動的に次の工程に移るように装置を構成してもよいし、ヒータ付コア5に設けられた温度センサ(図示略)により空隙部14に充填された樹脂材料15の温度を検知し、所定温度にまで樹脂材料温度が低下したときに自動的に次の工程に移るように装置を構成してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、樹脂材料15が空隙部14に完全に充填された後に破断部形成工程が開始されるが、完全に充填される以前であっても、樹脂材料15が空隙部14におけるエアバッグドア形成領域Sを通過した後であれば、コア7を空隙部14の樹脂材料15に対して押入してもよい。このようなタイミングで破断部形成工程を行っても、樹脂材料15は既にエアバッグドア形成領域Sに充分に供給されているため、成形されたエアバッグドアに欠肉は生じない。また、樹脂材料15は、領域S以外の空隙部14には破断部形成位置に変位したコア7を迂回して流入可能であるので、インストルメントパネルの他の領域においても欠肉の問題は回避される。
【0038】
図6は、上述の破断部形成工程の保圧過程に続いて行われるコア後退工程を表す。本工程では、油圧シリンダ9が、そのピストンロッド9aを短縮駆動することによって、支持板8およびこれに支持固定されるコア7を、上述の破断部形成位置から退避位置に後退させる。本工程の後、コア7を退避位置に待機させ、空隙部14の樹脂材料15が充分に固化するまで冷却する。冷却工程では、樹脂材料は、均一な収縮率で徐々に収縮し、最終固化状態では、樹脂材料は固定型3ないしヒータ付コア5から離隔することとなる。冷却手段としては、自然放冷でもよいし、固定型3および/または可動型4に空冷式や水冷式などの冷却機構(図示略)を設けてもよい。冷却工程の後、可動型取付板2を駆動して可動型4を固定型3から離隔して型開し、成形されたインストルメントパネルを取出す。
【0039】
図7は、上述の一連の工程によりインストルメントパネル30に一体成形されたエアバッグドア31の一部断面斜視図である。本発明によると、インストルメントパネル30の裏面側に溝が刻設されることにより、破線で示すような形状で、他の箇所よりも薄肉の破断部32が形成される。この破断部32により規定される領域が、エアバッグドア31としてインストルメントパネルに一体的に成形されていることになる。エアバッグドア31のうち図示されていない部分の形状は、断面を対称面として、図示されている部分の形状と略対称であるものとする。
【0040】
エアバッグドア31は、射出成形の際の空隙部14に略対応した充分な肉厚を有し、部材厚において薄肉な箇所は形成されていない。そのため、システム作動時に膨張展開しようとするエアバッグから押圧力を受けた場合には、破線で示された破断部32のみが適切に破断可能である。また、エアバッグドア31はインストルメントパネル30に対して一体成形されているため、パネル30の意匠面において隙間や段部は形成されない。そして、エアバッグドア31を規定する破断部32は、インストルメントパネル30の外表面ないし意匠面(図中上面)において膨らんでおらず、意匠面側では、エアバッグドア31とパネル本体が面一状に連接した形状となっている。従って、エアバッグドア31の存在によりインストルメントパネル30の外観構成が影響ないし制約を受けることはなく、インストルメントパネル30の美感は損なわれない。
【0041】
図8は、図7の線VIII―VIIIに沿った断面図であり、破断部32の延び方向断面形状がよく表れている。破断部32は、第1薄肉部32aと第2薄肉部32bとからなり、部材厚において凹凸が設けられている。このような凹凸形状は、コア7における突刃7aおよび退避刃7bの連続繰り返し形状に略対応している。
【0042】
エアバッグドア31が一体成形されたインストルメントパネル30は、低温衝撃評価に付した。具体的には、パネル30を−30℃で3時間以上冷却した後、同温下で、1kgの鋼球をエアバッグドア31の中央に目掛けて落下させた。鋼球落下高さを順次上げていくと、所定の高さで初めてエアバッグドア31における鋼球落下箇所に割れが生じたが、このとき、破断部32は破断しなかった。すなわち、インストルメントパネル意匠面側からの破断部32でない箇所に対する強い衝撃によって、破断部32は破断しなかった。このように、本発明に係るエアバッグドア31は、低温衝撃に対しては、パネル本体に対して充分な接続強度を有していることが判った。また、エアバッグドア31が一体成形されたインストルメントパネル30は、ヘッドインパクト評価にも付した。具体的には、規定の頭部模型を25±0.5km/hでエアバッグドア31に衝突させた。その結果、法規規制値をクリアした。このように、本発明に係るエアバッグドア31は、ヘッドインパクトに対しては、良好な構造体強度を有していることが判った。
【0043】
本実施形態では、矩形郭をなす破断部を形成することによって矩形のエアバッグドア31が成形されているが、破断部32の郭形状を適宜変更することによって、円形や他の多角形のエアバッグドアを形成することもできる。また、破断部32をコの字型に形成し、且つ、コの字の開放部に、破断しない程度の脆弱部を形成することにより、当該脆弱部をヒンジとして、エアバッグドア31を片開き可能に構成してもよい。
【0044】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る射出成形用金型Bを備えた射出成形装置の一部断面図である。射出成形用金型Bは、上述の実施形態とは異なる形状のコア16を備えたエアバッグドア形成機構6を具備する。このコア16は、エアバッグドアを規定する破断部のみならず、エアバッグドア自体を開裂可能にするような破断部を形成するための形状を有する。即ち、図9の断面図における見かけ上3本のコア16のうち、両側の2本がエアバッグドアを規定する破断部を形成するためのものであり、中央の1本がエアバッグドアを開裂可能にする破断部を形成するためのものである。ただし、本実施形態においては、これら見かけ上3本のコア16は、図外で繋がり、一体のコア16を構成している。そして可動型4には、このようなコア16の形状に対応してコア用貫通溝10’が開設されている。コア16は、上述のコア7と同一形状の突刃および退避刃を有する(図示略)。その他の構成についても、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0045】
図10は、図9に示された射出成形用金型Bを使用してインストルメントパネル40に一体成形されたエアバッグドア41の一部断面斜視図である。インストルメントパネル40には、図10において見かけ上両端に在るコア16によって形成された破断部42aと、図10において見かけ上中央に在るコア16によって形成された破断部42bとが形成されている。破断部42aはエアバッグドア41を規定している。このエアバッグドア41は、膨張するエアバッグから押圧力を受けた場合には、破断部42aの破断によりインストルメントパネル40から外れるとともに、破断部42bの破断により割裂する。溝深さを調節して破断部42bを破断部42aよりも脆弱に形成すれば、エアバッグ膨張時に破断部42bが先に破断し易くなり、従って、エアバッグ用開口部の中央付近からの膨出が担保される。エアバッグドア41のうち図示されていない部分の形状は、断面を対称面として、図示されている部分の形状と略対称であるものとする。
【0046】
破断部42aおよび破断部42bは、インストルメントパネル40の意匠面において膨らんでおらず、意匠面側では、エアバッグドア41とパネル本体が面一状に連接した形状となっている。また、エアバッグドア41は、上述の低温衝撃評価およびヘッドインパクト評価において、良好な結果を示すことができる。
【0047】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る射出成形用金型Cを備えた射出成形装置の一部断面図である。図11は、第1の実施形態に係る図2に相当し、コアの延び方向の断面がよく表れている。横切り方向断面の構成については、図1と同様である。本実施形態の破断部形成機構6は、第1の実施形態とは異なるコア17を有する。コア17は、所定のピッチで複数の突刃17aを有する。突刃17aは、コア17の延び方向断面においても、横切り方向断面においても、先細状であり。コア7の延び方向における最大長さは0.5〜5.0mmとされており、当該横切り方向断面の最大幅は0.5〜2.0mmとされている。可動型4には、空隙規定面4aにて開口する複数の貫通孔18が開設されており、各突刃17は、貫通孔18に対して、摺動可能に挿設されている。
【0048】
図12は、本実施形態における可動型4の、貫通孔18付近の一部拡大平面図である。図12における線XI’―XI’に沿った断面は、図11に表れているコア17の断面に相当する。貫通孔18は、エアバッグドア形成領域Sに略対応する範囲で開口した金型本体4bの当該開口部に対して、側面に溝が刻設された固定コア4cを嵌め込むことによって形成されている。ただし、本発明においては、上述のような開口部を設けずに、金型4自体を穿孔することによって、貫通孔18を設けてもよい。射出成形用金型Cの他の構成については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0049】
射出成形用金型Cを用いてエアバッグドアをインストルメントパネルに一体成形する場合、型締工程では、図11に示すように、コア17は、油圧シリンダ9によって退避位置に位置決めされており、待機状態にある。具体的には、突刃17aの上端が可動型4の空隙規定面4aから退避した状態にある。樹脂材料射出工程については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。破断部形成工程では、図13に示すように、油圧シリンダ9が、そのピストンロッド9aを伸長駆動することによって、支持板8およびこれに支持固定されるコア17を上述の退避位置から破断部形成位置に進出させる。本工程においては、押入り途中の突刃17aが樹脂材料15を圧するが、押圧を受けた樹脂材料15は、破断部の脇方向に加えて、破断部に沿った突刃17a間へも流出することができる。突刃17a間においては、樹脂材料15は、コア17によって直接的には押圧されない。そのため、冷却前において、樹脂材料の密度の均一化が担保される。本実施形態では、破断部形成位置におけるコア17の突刃17aの先端とヒータ付コア5との距離は0.1〜1.5mmである。その後のコア後退工程および冷却工程などについては、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0050】
射出成形用金型Cを用いた上述の工程によると、図7に示したのと同様のパネル意匠面を呈しつつ、エアバッグをインストルメントパネルに一体成形することができる。すなわち、意匠面において、エアバッグドアとパネル本体が面一状に連接した形状に成形することができる。
【0051】
図14は、射出成形用金型Cを用いて形成された破断部52の延び方向断面図であり、第1の実施形態に係る図8に相当する。本実施形態では、破断部52は、薄肉部52aが一定ピッチで連続することによって構成されており、部材厚において凹凸が設けられている。このような凹凸形状は、コア17における突刃17aの連続繰り返し形状に略対応している。そして、このような構成の破断部52は、低温衝撃評価およびヘッドインパクト評価において、良好な結果を示すことができる。
【0052】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る射出成形用金型Dを備えた射出成形装置の一部断面図である。第1の実施形態に係る図2に相当し、コアの延び方向の断面がよく表れている。横切り方向断面の構成については、図1と同様である。本実施形態の破断部形成機構6は、第1の実施形態とは異なるコア19および支持板20を有する。コア19は、一定のピッチで設けられた複数の突刃19aを有する。突刃19aは、先細状の丸ピンである胴体部19a’と、つば部19a’’とからなり、胴体部19a’の直径は0.3〜5.0mmである。支持板20は基台20aと蓋体20bとからなり、蓋体20bには、突刃19の胴体部19’が挿通する丸窓部20b’が開設されている。
【0053】
図16に示すように、丸窓部20b’は、胴体部19a’よりも若干大きな直径を有している。一方、基台20aと蓋体20bは、つば部19a’’を上下から挟持しており、つば部19a’’は基台20aまたは蓋体20bに対して固着はされていない。本実施形態の突刃19aは、このように、矢印Pで示す方向に摺動変位可能な遊びを有して支持板20に支持されている。また、図15に示すように、可動型4には、空隙規定面4aにて開口する複数の丸穴貫通孔21が開設されており、各突刃19aは、貫通孔21に対して、摺動可能に挿設されている。
【0054】
図17は、本実施形態における可動型4の、貫通孔21付近の一部拡大平面図である。図17における線XV’―XV’に沿った断面は、図15に表れているコア19の断面に相当する。貫通孔21は、エアバッグドア形成領域Sに略対応する範囲で開口した金型本体4bの当該開口部に対して嵌めこまれた固定コア4c’の周縁付近に、一定のピッチで設けられている。ただし、本発明においては、上述のような開口部を設けずに、金型4自体を穿孔することによって、貫通孔21を設けてもよい。射出成形用金型Dの他の構成については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0055】
以上のような構成を有する本実施形態の射出成形用金型Dは、比較的容易に作製することができる。具体的には、貫通孔21が丸穴であり、突刃17aが丸ピンであって、支持板20が、変位可能な遊びを有して突刃19aを支持しているので、金型4の作製において、突刃19aを貫通孔21に対して厳密に位置合わせする必要がなくなる。遊びを有して支持板20に取り付けられた突刃19aを、可動型4の貫通孔21に挿設するとき、丸ピン突刃19aの先端部が丸穴貫通孔21に進入すれば、貫通孔21に対して突刃19aが多少位置ずれしていても、突刃19aは、遊びに許容される範囲で、挿入方向に交差する方向へ支持板20上を変位し、自動的に位置合わせされるからである。その結果、射出成形用金型Dを作製するのが容易となるのである。
【0056】
射出成形用金型Dを用いてエアバッグドアをインストルメントパネルに一体成形する場合、型締工程では、図15に示すように、コア19は、油圧シリンダ9によって退避位置に位置決めされており、待機状態にある。具体的には、突刃19aの上端が可動型4の空隙規定面4aから退避した状態にある。以降の、樹脂材料射出工程、破断部形成工程、コア後退工程、冷却工程などについては、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0057】
射出成形用金型Dを用いた上述の工程によっても、図7に示したのと同様のパネル意匠面を呈して、エアバッグをインストルメントパネルに一体成形することができる。すなわち、意匠面において、エアバッグドアとパネル本体が面一状に連接した形状となっている。そして、破断部は、第3の実施形態に係る図14と略同様の延び方向断面形状を有する。すなわち、射出成形用金型Dによって形成される破断部は、一定ピッチで連続する薄肉部によって構成され、部材厚において凹凸が設けられている。このような凹凸形状は、コア19における丸ピン突刃19aの連続繰り返し形状に略対応している。そして、このような構成の破断部は、低温衝撃評価およびヘッドインパクト評価において、良好な結果を示すことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について助手席用エアバッグのエアバッグドアを例に挙げて説明したが、本発明はステアリング用エアバッグのエアバッグドアにも適用できる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によると、エアバッグドアをインストルメントパネルに一体的に成形する場合において、エアバッグドアのパネル本体に対する適切な接続強度を保持しつつ欠肉を生じていないエアバッグドア成形することができる。更に本発明によると、エアバッグドアを規定する破断部が、インストルメントパネル意匠面において、他の部位と面一状に形成され、インストルメントパネル意匠面の美観を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る射出成形用金型を備えた射出成形装置の一部断面図である。
【図2】図1の線II―IIに沿った断面図である。
【図3】本発明における他の突刃の一部拡大断面図である。
【図4】本発明に係るエアバッグドア成形方法における樹脂材料射出工程を表す。
【図5】本発明に係るエアバッグドア成形方法における破断部形成工程を表す。
【図6】本発明に係るエアバッグドア成形方法におけるコア後退工程を表す。
【図7】本発明によりインストルメントパネルに一体成形されたエアバッグドアの一部断面斜視図である。
【図8】図7の線VIII―VIIIに沿った断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る射出成形用金型の一部断面図である。
【図10】図9に示された射出成形用金型を用いてインストルメントパネルに一体成形されたエアバッグドアの一部断面斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る射出成形用金型における、図1の線II―IIに相当する断面図である。
【図12】図11に示す射出成形用金型の可動型の空隙規定面の一部拡大図である。
【図13】図11に示す射出成形用金型を用いた破断部形成工程を表す。
【図14】図11に示す射出成形用金型を用いて形成された破断部の延び方向断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る射出成形用金型における、図1の線II―IIに相当する断面図である。
【図16】第4の実施形態における支持板による突刃の支持態様を説明するための要部拡大図である。
【図17】図15に示す射出成形用金型の可動型の空隙規定面の一部拡大図である。
【図18】従来の方法により別体として形成されたエアバッグドアが配設されたインストルメントパネルの斜視図である。
【図19】図18に示すインストルメントパネルにおけるエアバッグドア配設箇所の一部断面斜視図である。
【符号の説明】
A,B,C,D 射出成形用金型
S エアバッグドア形成領域
3 固定型
4 可動型
4a 空隙規定面
5 ヒータ付コア
7,16,17,19 コア
7a,17a,19a 突刃
7b 退避刃
8,20 コア支持板
10,10’ コア用貫通溝
13 ガイドポスト
14 空隙部
15 樹脂材料
18,21 貫通孔
30,40,50,100 インストルメントパネル
31,41,51,101 エアバッグドア
32,42a,42b,52 破断部

Claims (7)

  1. 樹脂材料が充填される空隙を規定するための第1の型体および第2の型体と、
    前記第2の型体に設けられ、前記第1の型体に対して進退動可能な破断部形成用のコアと、を具備し、
    前記コアは、複数の破断部を形成する複数のコア部分を有しており、当該複数のコア部分は往復移動可能な共通のコア支持板によって支持されており、前記コア部分によって形成される破断部の厚みが破断部延び方向において変化するように、前記第2の型体から前記第1の型体の方向へ突出する複数の突刃を有することを特徴とする、射出成形用金型。
  2. 前記コア部分は、隣接する前記突刃の間において、前記突刃に連続する退避刃を有する、請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 前記第2の型体は、空隙規定面で開口する複数の貫通孔を有し、前記突刃は、前記貫通孔に対して摺動可能に設けられている、請求項1に記載の射出成形用金型。
  4. 前記貫通孔は丸穴形状を有し、前記突刃は丸ピンである、請求項3に記載の射出成形用金型。
  5. 前記突刃は、前記コアを進退駆動するためのシリンダに連接された前記コア支持板によって、前記コアの進退方向とは交差する方向に変位可能な遊びを有して支持されている、請求項4に記載の射出成形用金型。
  6. 前記突刃は先細状とされている、請求項1から5のいずれか1つに記載の射出成形用金型。
  7. 請求項3〜5のいずれか1つに記載の射出成形用金型を用いてインストルメントパネルにエアバッグドアを一体的に成形する方法であって、
    前記第1の型体と第2の型体を接近させて型締を行う工程と、
    前記空隙部に樹脂材料を射出する工程と、
    前記樹脂材料を射出してから前記樹脂材料が固化するまでの過程において、前記第2の型体に対して前記コアを前記第1の型体に向けて退避位置から破断部形成位置まで変位させて、前記第2の型体の前記貫通孔を介して前記突刃を前記空隙部内に進入させる工程と、
    前記樹脂材料が型崩れしない程度に固化したときに、前記コアを破断溝形成位置から後退させる工程と、を含むことを特徴とする、エアバッグドア成形方法。
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