JP4686929B2 - プレス成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不活性ガス雰囲気下で、素材をプレスして成形するプレス成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラスなどの素材をプレスして成形するプレス成形装置において、成形時に素材と型との間にガスが残留し、それにより成形品の形状品質が悪くなる場合がある。特にガラスレンズの場合、形状精度の要求が非常に厳しく、高温下での使用による成形型の劣化を防止するためや、光学素子と成形型の間にガスが残留することによって生じる形状転写不良を解決するために、真空中での成形が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば特開昭63−8050号公報では、成形型やヒーターなどを真空槽内に設置し、真空槽内部全体を真空する技術が提案されている。しかしながら、かかる従来技術では、真空槽全体の広い空間を真空引きする必要があるので、所定の真空度に達するまでに時間がかかる。また、成形サイクルごとに型を冷却した後に真空槽内に大気を導入して、成形された光学素子を取り出さなければならないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みなされたものであり、成形型まわりを減圧してプレス時の形状転写性を向上させて、形状精度の良好な成形品を得るのみならず、減圧する空間を小さくすることで真空引きする時間を短くして、成形サイクルを短縮する真空引き成形が可能なプレス成形装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のプレス成形装置は、減圧した状態で成形用素材をプレスして成形するプレス成形装置において、該成形用素材が成形される位置の雰囲気を、周囲から遮蔽する金属製ベローズと、前記金属製ベローズを、該成形用素材が成形される位置を遮蔽する遮蔽位置と、該成形用素材を、その成形される位置に又は該位置から搬送可能にする開放位置との間で変位させる変位手段と、前記成形用素材が成形される位置の雰囲気を減圧する真空引き手段と、を有し、前記金属製ベローズはテーパ面を備えており、一対の成形型の一方に取り付けられ、前記金属製ベローズが伸張したときに、そのテーパ面が、他方の成形型に設けられた突き当て部材のテーパ面に当接するようになっており、成形用素材の搬送の際は収縮して前記開放位置に移動し、成形用素材が、その成形される位置に又は該位置から搬送されることを許容し、成形の際は伸張して前記遮蔽位置に移動し、その成形される位置を周囲から遮蔽した後、前記真空引き手段が前記金属製ベローズ内を減圧するので、前記金属製ベローズを前記遮蔽位置に変位させることで、該成形用素材が成形される位置の周囲に密閉された比較的小さな空間を形成し、その空間内を減圧することができ、それにより低コストで精度良い成形が可能となる。一方、前記金属製ベローズを前記開放位置に変位させることで、該成形用素材が成形される位置への外部からのアクセスが可能となり、該成形用素材を、その成形される位置に又は該位置から搬送可能となる。尚、「不活性ガス雰囲気」とは、大気圧を減圧した状態も含む。
【0007】
更に、伸縮可能な金属製ベローズを用いることで、簡素な構成で開放自在な空間を形成できる。
【0008】
請求項2に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズは、プレス方向に伸縮自在となっていると、プレス時に、前記金属製ベローズを取り付けた成形型などが移動しても、それに追従させることが出来る。又、プレス用素材又は成形品を搬送する搬送アームの進入が容易になる。
【0010】
請求項3に記載のプレス成形装置において、前記成形型は、前記成形型を固定する部材を含む。尚、他方の成形型又は他方の成形型を固定している部材自体が、突き当て部材を構成しても良い。
【0011】
請求項4に記載のプレス成形装置において、前記成形型は、その内部または近傍に前記成形型を加熱する加熱手段を有すると、前記成形型の所望の温度制御を行えるので好ましい。
【0012】
請求項5に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズは、一方の少なくとも一部が他方に内包される2つの金属ベローズによって構成され、該2つの金属ベローズによってはさまれた空間は、前記金属ベローズの内側及び外側の空間から遮断されるように密封されていると、該2つの金属ベローズにより挟まれた空間に気体を充填することで、前記金属製ベローズを伸張させることが出来る。
【0013】
請求項6に記載のプレス成形装置において、前記2つの金属ベローズ間に形成される空間内部のガスの圧力を制御する加減圧手段を有し、該加減圧手段の圧力制御によって、前記2つの金属ベローズを伸縮させると、前記金属製ベローズを開放位置と密閉位置との間で、確実に伸張或いは縮長させることができる。
【0014】
請求項7に記載のプレス成形装置において、前記2つの金属ベローズ内部のガスが、大気、または、アルゴン、ヘリウム、窒素のいずれかのうち少なくとも1つの元素を50mol%以上含むガスであると、酸化(金属ベローズ内部の劣化等)防止などを図れるため成形上都合が良い。
【0015】
請求項8に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズの、前記他方の成形型に設けられた突き当て部材に密着する当接部位と、該突き当て部材の密着される当接部位は、ともに前記金属製ベローズの伸縮方向に対して、所定の傾きを有していると、平面に比べてゴミが付きにくく、金属製ベローズの自動調心効果も期待できるので好ましい。
【0016】
請求項9に記載のプレス成形装置において、前記当接部位における所定の傾きは、前記金属製ベローズの伸縮方向に対して、頂角60°または60°未満であると、請求項8の発明の効果をより発揮できるので好ましい。
【0017】
請求項10に記載のプレス成形装置において、前記当接部位における表面粗さが、Ra0.1μm以下であると、かかる当接部位の密閉性をより高めることが出来る。
【0018】
請求項11に記載のプレス成形装置において、前記当接部位に薄膜をコーティングすれば、かかる当接部位の耐久性や密閉性をより高めることが出来る。
【0019】
請求項12に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズは、該金属製ベローズが取り付けられた前記一方の成形型に対して、摺動しながら伸縮すると、かかる金属製ベローズの倒れを抑制できるので好ましい。
【0020】
請求項13に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズは、前記一方の成形型の周囲に配置されたガイド部材に対して、摺動しながら伸縮すると、かかる金属製ベローズの倒れを抑制できるので好ましい。
【0021】
請求項14に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズの摺動しながら伸縮する部分に、薄膜をコーティングしたことで、摺動による摩耗やキズによる密着性の低下、熱による酸化劣化防止を図ることが出来る。
【0022】
請求項15に記載のプレス成形装置において、前記薄膜は、CrN、TiAlN、TiN、TiBN、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)であると、耐熱性が高いので、酸化劣化防止機能をより高めることが出来る。又、摩擦係数が小さいので摺動性が向上し、かじり防止にも効果がある。
【0023】
請求項16に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズによって、成形用素材が成形される位置周辺で遮蔽された空間の体積が、プレス成形品の体積の1000倍以下であると、かかる空間に満たすべき不活性ガスの量を小さく抑えることができる。
【0024】
請求項17に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズによって、成形用素材が成形される位置周辺で遮蔽された空間の圧力が、1kPa以下であると、成形上都合がよいが、100Pa以下の気圧であれば、より好ましい。
【0025】
請求項18に記載のプレス成形装置において、前記金属製ベローズの材料が、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金、ステンレス、チタン合金であると、耐熱性に優れるので好ましい。
【0026】
請求項19に記載のプレス成形装置において、前記成形用素材が、ガラスまたはプラスチックからなる光学素子用素材であると、形状精度の良い光学素子を成形できるので好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態にかかるプレス成形装置の断面図である。図1に示すプレス成形装置は、それぞれつば部2a、1aと軸部2b、1bとからなる上下成形型2,1、円筒状の胴型3、不図示の押圧装置に連結された母型7、固定板18に固定されている母型8、母型8にボルト9で取り付けられた固定部材6,母型7にボルト10を用いて取り付けられた固定部材5,下成形型1にボルト17を用いて固定された固定部材14、母型8が嵌合するシリンダー16、成型時に光学素子用素材の外周を規制して光学素子の外形を形成する搬送部品4から構成されている。
【0029】
成形型1、2の母型7、8と接するつば部1a、2aは、それぞれ外周面がテーパー形状となっており、母型7、8における対応した形状のテーパー孔7a、8aに嵌合している。更に、弾性部材であるジルコニアからなるセラミックスプリング11、12によって、成形型1,2は、母型7、8に押しつけられて固定されている。テーパー部同士が嵌合することで、母型7、8に対して成形型1,2の偏心が規制されている。
【0030】
下成形型1における円筒状の軸部1bの外周には、胴型3が嵌合しており、その下端のフランジ部3aは、下成形型1のつば部1aの上面である基準面1c上に配置されている。尚、胴型3の上下端面は、精度良く平行度が維持されている。
【0031】
下成形型1の軸部1b端面中央には、成形されるべき光学素子の光学面形状に対応した光学面1dが形成されており、光学面1dと基準面1cは、下成形型1を加工する時に、ワンチャックで(ワークを掴み変えることなく)同時加工することにより、光学面1dの中心軸と、基準面1cとなるつき当て面の傾きとを、垂直からのずれがほとんどないように抑えることが可能である。尚、上成形型2の軸部2b端面中央に形成された光学面2dと、上成形型2の軸部2bの下面である基準面2cについても同様に加工してある。尚、基準面2cは、成形される光学素子のフランジを形成する面となる。
【0032】
尚、上下成形型2,1の横方向の偏心は、図示していない制御装置で制御するものとする。本実施の形態では、成形型2,1と胴型3の取り付けに、弾性部材である部分安定化ジルコニア製のセラミックスプリングを使っている。下成形型1は、固定部材5に対しセラミックスプリング11の弾性力により母型7に向かって押圧されており、一方、胴型3は、別のセラミックスプリング12の弾性力により、固定部材14に対し下成形型1に向かって押圧されている。胴型3と下成形型1を固定するための固定部材5,14を分けたことで、下成形型1を取り外すことなく胴型3を脱着することができ、それにより作業性が向上している。上成形型2は、弾性部材であるセラミックスプリング13の弾性力により、固定部材6に対し母型8に向かって押圧されている。
【0033】
胴型3は、斜視図である図2に示すように、上端近傍に一対の切欠3bを形成している。更に、ドーナツ形状の搬送部品4は、下成形型1の軸部1bにおける上端近傍に形成された段部1eに嵌合する内径を有し、又、胴型3の内周(先端面取り部及び切欠3bを除く)に当接する外径を有しており、かかる構成により、成形品であるレンズのフランジ外周面を精度良く形成することができる。
【0034】
固定部材6の下面には、2重に設けられた金属ベローズ13A、13Bの各上端が取り付けられており、2つの金属ベローズ13A、13Bの各下端には、円盤状の突き当て部材19が、金属ベローズ13A、13Bを密閉するようにして、吊下的に取り付けられている。固定部材6を上下に貫通する通路6aと、それに連通した母型8を上下に貫通する通路8bとを介して、2つの金属ベローズ13A、13Bに挟まれた空間は、外部の圧力調整機構P1に連通している。一方、内側の金属ベローズ13Bの内側の空間は、上成形型2と固定部材6との間の隙間を経て、母型8を上下に貫通する通路8cを介して外部のポンプP2に連通している。変位手段及び加減圧手段である圧力調整機構P1は、圧力源、レギュレータ、排気弁などから構成され、2つの金属ベローズ13A、13Bに挟まれた空間に、制御された気圧で気体を圧送もしくは排気する機能を有し、真空引き手段であるポンプP2は、金属製のベローズ13A、13Bと固定部材19で密閉された空間の気体を吸引する機能を有する。
【0035】
突き当て部材19は、外周に下方に突出したリング状のフランジ部19aを有し、その下端内周面にはテーパ面19bが形成されている。一方、固定部材5は、上方に突出したリング状のフランジ部5aを有し、その上端外周面にはテーパ面5bが形成されている。テーパ面19b、5bは、共に60度もしくはそれ以下のテーパ角を有している。当接部位であるテーパ面19b、5bにおける表面粗さが、Ra0.1μm以下であると、密閉性を高めることができ、CrN、TiAlN、TiN、TiBN、DLCである薄膜がコーティングされると、耐久性等を向上させることが出来る。又、内側の金属ベローズ13Bは、その金属ベローズ13Bが取り付けられた母型8に固定された上成形型2の軸部2bの外周面に対して、摺動しながら伸縮する内径を有するため、その内周面と軸部2bの外周面の少なくとも一方に、CrN、TiAlN、TiN、TiBN、DLCである薄膜がコーティングされると、耐久性等を向上させることが出来る。但し、金属ベローズ13A、13B全体に、かかる薄膜のコーティングを施してもかまわない。上下成形型2,1の内部には、熱電対などの温度測定手段TCが挿入されている。
【0036】
上の母型8の内部には、外部のコントローラ(不図示)により温度制御可能な加熱手段であるヒータHが設けられ、下の母型7の内部にも、同様な加熱手段であるヒータHが設けられているが、点線で示すように、成形型2,1の内部にも、同様な加熱手段であるヒータHが設けられていても良い。
【0037】
以上のような構造の成形型を用いた成形について説明する。まず、不図示の搬送アームによって、光学素子用素材であるガラスのプリフォーム(不図示)と、搬送部品4が成形室(上下成形型2,1の間)内に搬入されてくる。搬送部品4が下成形型1の軸上となる位置で搬送アームが停止し、下降して搬送部品4が下成形型に設置される(図1参照)。
【0038】
つぎに搬送アームが上昇、移動し、プリフォームが下成形型1の軸上となる位置で停止する。更に搬送アームが下降することで、プリフォームが下成形型1に設置される。搬送部品4とプリフォームの設置が完了すると、搬送アームは成形室外に退避する。
【0039】
更に、下成形型1が上成形型2近傍まで上昇する。その後、固定部材6に取り付けられた掩蔽部材である金属ベローズ13A、13Bの間の空間に、ポンプP1から窒素ガス(空気でも良い)を圧送して、金属ベローズ13A、13Bを伸張させる。伸張した金属ベローズ13A、13Bは、その下端と共に変位する突き当て部材19のテーパ面19bを、対向する固定部材5のテーパ面5bに突き当て互いに密着させる。この状態が、掩蔽部材が遮蔽位置にある状態である。これによって、プリフォームが載置されている成形位置周囲の空間Sが外気から遮蔽される。かかる状態で、この遮蔽された空間Sに対し、真空引き手段であるポンプP2により、空間S内部に残留している窒素ガスを抜くことで、成形型周りの空間を真空度1kPa以下に減圧する。ポンプP2は、スクロールタイプの真空ポンプを使用すると排気効率が良く小型で、油を使わないので保守性に優れると共に、低騒音であるため作業環境の面からも好ましい。又、減圧に要する時間は、約1秒である。
【0040】
更に、成形される素材であるプリフォームは、あらかじめプレスできる温度まで十分加熱軟化されており、型が密閉されて真空引きを開始すると同時に、下成形型1が上昇しプレスを開始する。下成形型1の周囲には円筒状の胴型3が嵌合しており、下成形型1が上昇すると、胴型3の上側端面が上成形型2の基準面2cに当接密着し、成形型2,1の基準面2c、1cの平行度を維持する。その状態で数秒間保持した後、減圧状態になっている成形型2,1周囲の空間に、窒素ガスを導入するとともに、母型7,8(又は成形型2,1)内部のヒータHの温度を制御して、温度が転移点以下になるまで成形型2,1を徐冷する。
【0041】
その後、二重構造になっている金属ベローズ13A、13B内部の窒素ガスを、圧力調整機構P1で排出して金属ベローズ13A、13Bを収縮させることで、固定部材5から突き当て部材19を離す。かかる状態は、掩蔽部材が開放位置にある状態である。つぎに、下成形型1を下降させて、搬送アームCAを成形室に進入させる。搬送アームCAは、胴型3の軸上で停止し、一対のアームを切欠3b内に侵入させることで、搬送部品4の外周を保持し、そのまま搬送アームCAを上方及び成形室外に移動させることで、搬送部品4と一体で成形品である光学素子が回収されるようになっている。尚、搬送アームCAは、一対のアームで搬送部品4を把持するタイプに限らず、成形品と搬送部品4とを一体で上方から吸着するタイプでも良い。回収された後、成形品は搬送部品4から抜き出され、後加工が行われる。
【0042】
以上のべた本実施の形態のプレス成形装置を用いたプレス成形方法を要約すると、加熱軟化したプレス成型すべきプリフォームを成形型1に載置し、対向する成形型2が所定の位置になるように、それらを相対移動させた後、母型8及び/又は成形型2に固着された金属製のベローズ13A、13Bを伸張して、下成形型1又は下成形型1を固定している部材(例えば母型7)に設けた突き当て部材19に密着させる工程と、金属製のベローズ13A、13Bで形成した密閉された空間内部のガスを排出して減圧する工程と、プリフォームを所定時間プレスして成形型2,1の形状を転写する工程と、成形型2,1により形状転写後に素材の温度を転移点以下まで下げる工程と、減圧された空間にガスを導入して、金属製のベローズ13A、13Bを収縮させて密閉状態を解除する工程と、対向している成形型2,1を開き、成形品を回収する工程とからなるものである。
【0043】
本実施の形態のプレス成形装置により成形されるレンズは、素材である球状プリフォームの半径に対して、成形されるレンズの中心R、つまり成形型1の中心Rが小さくなっている。よって、一般的には、成形型1とプリフォームの間に空間ができてしまい、この空間に残留したガスが成形品の形状転写性に影響することとなる。
【0044】
本発明者らの実験結果によれば、上述したように、成形型2,1まわりを金属ベローズ13A、13Bで密閉して、プレス工程における圧力を1kPa以下にして成形した結果、成形型の形状に対して、成形されたレンズの形状精度はPV値で0.1μm以下となり、極めて良好な結果となった。一方、真空引きせずに成形したところ、成形されたレンズの形状精度は、PV値で約1μmとなり、精度が10倍悪化することが判った。即ち、プレス工程を減圧するか否かによって、形状転写性に明らかな差が生じることが判った。
【0045】
また、従来のように、母型7,8に囲われた成形室全体を真空引きする場合には、図1に示す成形室では、形状転写性に影響ないレベル、例えば1kPa以下まで真空度を上げるためには、10秒以上の時間がかかるが、本実施の形態のごとく、金属ベローズ13A、13Bの間の空間を真空引きに要する時間は、1秒程度しかかからないため、大幅な成形時間短縮効果が得られる。尚、金属ベローズ13A、13Bによって遮蔽された空間の体積が、プレス成形品の体積の1000倍以下であると真空引き時間を短くできるので好ましい。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、突き当て部材19と固定部材5の突き当て部位は、テーパ面でなく平面であっても良い。金属ベローズ13A、13Bは、固定部材6でなく、母端8に設けても良く、或いは下成形型1側に設けることも可能であるが、下成形型1にある成形品を回収しやすくするためには、下成形型1ではなく、固定された上成形型2側に設けるのがよい。更に、2つの金属ベローズ13A、13Bに充填されるガスが、大気、または、アルゴン、ヘリウム、窒素のいずれかのうち少なくとも1つの元素を50mol%以上含むガスであると好ましい。又、胴型は、下成形型でなく上成形型に嵌合していても良い。弾性部材は、コイルばね、皿ばね、ばね座金、板ばねであってよく、又、その材質は、セラミックス、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金のいずれかであってよい。
【0047】
更に、図示してはいないが、上成形型2の外周に円筒状のガイド部材を設けることで、金属ベローズ13A、13Bを、その外周に沿って摺動させるようにしても良い。かかる場合、ガイド部材の外周面に、上述したコーティングを施すと好ましい。
【0048】
以上のように本発明によれば、成形型まわりを減圧してプレス成形することでの素材への型形状の転写性を向上させて、高精度の成形品を得るのみならず、減圧する空間を小さくすることで真空引きにかかる時間を短縮し、成形室全体を減圧する場合に比べ短いサイクルで成形することができるプレス成形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかるプレス成形装置の断面図である。
【図2】本実施の形態のプレス成形装置における下成形型1の上端周囲を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 下成形型
1c 光学面
1d 基準面
2’ 上成形型
2c 光学面
2d 基準面
3 胴型
4 搬送部品
5、6 固定部材
7,8 母型
11,12,13 セラミックスプリング
13A、13B 金属ベローズ
19 突き当て部材
Claims (19)
- 減圧した状態で成形用素材をプレスして成形するプレス成形装置において、
該成形用素材が成形される位置の雰囲気を、周囲から遮蔽する金属製ベローズと、
前記金属製ベローズを、該成形用素材が成形される位置を遮蔽する遮蔽位置と、該成形用素材を、その成形される位置に又は該位置から搬送可能にする開放位置との間で変位させる変位手段と、
前記成形用素材が成形される位置の雰囲気を減圧する真空引き手段と、を有し、
前記金属製ベローズはテーパ面を備えており、一対の成形型の一方に取り付けられ、前記金属製ベローズが伸張したときに、そのテーパ面が、他方の成形型に設けられた突き当て部材のテーパ面に当接するようになっており、
成形用素材の搬送の際は収縮して前記開放位置に移動し、成形用素材が、その成形される位置に又は該位置から搬送されることを許容し、成形の際は伸張して前記遮蔽位置に移動し、その成形される位置を周囲から遮蔽した後、前記真空引き手段が前記金属製ベローズ内を減圧することを特徴とするプレス成形装置。 - 前記金属製ベローズは、プレス方向に伸縮自在となっていることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
- 前記成形型は、前記成形型を固定する部材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形装置。
- 前記成形型は、その内部または近傍に前記成形型を加熱する加熱手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス装置。
- 前記金属製ベローズは、一方の少なくとも一部が他方に内包される2つの金属ベローズによって構成され、該2つの金属ベローズによってはさまれた空間は、前記金属ベローズの内側及び外側の空間から遮断されるように密封されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記2つの金属ベローズ間に形成される空間内部のガスの圧力を制御する加減圧手段を有し、該加減圧手段の圧力制御によって、前記2つの金属ベローズを伸縮させることを特徴とする請求項5に記載のプレス成形装置。
- 前記2つの金属ベローズ内部のガスが、大気、または、アルゴン、ヘリウム、窒素のいずれかのうち少なくとも1つの元素を50mol%以上含むガスであることを特徴とする請求項5又は6に記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズの、前記他方の成形型に設けられた突き当て部材に密着する当接部位と、該突き当て部材の密着される当接部位は、ともに前記金属製ベローズの伸縮方向に対して、所定の傾きを有していることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記当接部位における所定の傾きは、前記金属製ベローズの伸縮方向に対して、頂角60°または60°未満であることを特徴とする請求項8に記載のプレス成形装置。
- 前記当接部位における表面粗さが、Ra0.1μm以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載のプレス成形装置。
- 前記当接部位に薄膜をコーティングしたことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズは、該金属製ベローズが取り付けられた前記一方の成形型に対して、摺動しながら伸縮することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズは、前記一方の成形型の周囲に配置されたガイド部材に対して、摺動しながら伸縮することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズの摺動しながら伸縮する部分に、薄膜をコーティングしたことを特徴とする請求項12に記載のプレス成形装置。
- 前記薄膜は、CrN、TiAlN、TiN、TiBN、DLCであることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズによって、成形用素材が成形される位置周辺で遮蔽された空間の体積が、プレス成形品の体積の1000倍以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズによって、成形用素材が成形される位置周辺で遮蔽された空間の圧力が、1kPa以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記金属製ベローズの材料が、耐熱性Ni基合金、耐熱性Fe基合金、ステンレス、チタン合金であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のプレス成形装置。
- 前記成形用素材が、ガラスまたはプラスチックからなる光学素子用素材であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のプレス成形装置。
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