JP6307885B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れた電気特性及び光暴露時の安定性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作製した電子写真感光体カートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時的に高品質の画像が得られることなどから、複写機、プリンター、印刷機として広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という)については、無公害で成膜、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が広く使用されている。
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、それらの要求に応えるべく改良されて来てはいるが、依然感光体自体の改良が必要な場合も多い。
例えば、高速化の要求に応えるためには、露光後、現像までの短い時間に、速やかに表面電位を減衰する、電気的応答性を高める必要が有る。感光体の電気的応答性を高めようとする場合には、通常は感光層中の電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する比率を高め、電荷の移動度を高める必要があるが、電荷輸送物質を増量すると、バインダー樹脂の絡み合い密度を低減し、これによって感光層は摩耗し易くなり、高耐久性の要求に応えられなくなる
そのような中で、特許文献1に記載されるような、大きな共役系を有する電荷輸送物質は、大きな電荷移動度を発現し、残留電位も非常に低いため、電気特性と耐摩耗性を両立しうる可能性を有している。また、高品質かつ高寿命の感光体を開発するためには、上記機械的特性の他にも、化学的耐久性を高めることも重要であり、マシン内で発生する酸性ガスによる劣化を防ぐために特許文献2〜4に記載されるような酸化防止剤が添加されてきた。
特開平9−292724号公報 特開2000−241998公報 特開平4−308852公報 特開平4−328752号公報
発明者らの検討によれば、前記特許文献1に記載の電荷輸送物質は、分子としての極性が小さく、かつ大きな共役系を有するため、バインダー樹脂に分散した状態でも、膜厚方向に十分大きな電荷移動度を有する。しかしながら、前記特許文献1に記載の電荷輸送物質を最表面の感光層に使用した場合、表面電気抵抗(以下、適宜表面抵抗と称する)が小さくなってしまい、しかも白色光、紫外光のような、感光体/カートリッジ/画像形成装置の製造、メンテナンス等の際の、非画像形成時における、予期せぬ光暴露(以下、外部光暴露と称する)によって、その部分の表面抵抗が非暴露部分と比べて低下する問題点が有ることが分かった。
最表面の感光層の表面抵抗値が小さくても、表面抵抗値が画像領域全域に渡って均一であり、像流れしなければ問題になることはない。しかし、外部光暴露によって、部分的に表面抵抗が大幅に低減すると、図1に示すような問題が生じる。即ち、ハーフトーンを表
現するために、数μm〜数10μmサイズのドットパターン照射後に、本来白地(高帯電部)であるべき部分の電荷が、黒地(低帯電部)部分に一部が表面方向に移動してしまう。その結果、ドット間の、本来白地であるべきエリアの電位が低下し、図2に示すように、ミクロには現像後にドットが太った状態となり、マクロに見ると、外部光暴露された部分だけ、ハーフトーン画像濃度が濃くなり、濃度ムラとして画質の均質性が損なわれることになる。
なお、感光層の表面抵抗は、必ずしも膜厚方向の電荷移動度と単純に比例するものではなく、電荷輸送物質のバインダー樹脂との相溶性の度合いによる表面への偏析の度合い、表面での電荷輸送物質の配向状態等にも依存するので、一概に膜厚方向に高い移動度のもの全てにおいて表面抵抗が低いとは限らない。また、前記のように、外部光暴露によって、表面抵抗が低減する現象も、電荷輸送物質の構造に依存し、前記特許文献1に記載の電荷輸送物質についても当該現象が見られる。
感光体の表面抵抗変化に関しては、特許文献2〜4に、酸化防止剤を添加して、高温高湿下での表面抵抗低下による像流れ防止が改良されることが開示されている。しかし、これらの文献には外部光暴露による表面抵抗の変動に関する記述は無く、そのための解決策も開示されていない。また、外部光暴露対策として、光吸収剤、遮光剤を使用することも一般的に行われているが、これはもっぱら感光層表面の表面抵抗を制御するのではなく、光化学反応によって生成した感光層バルクの電荷トラップによる体積抵抗の上昇、残留電位の上昇を抑制する対策であり、本願の表面抵抗の低減対策とは技術思想が異なる。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、高速印刷に耐えうる高応答性と、ロングライフ使用に不可欠な十分な耐摩耗性を兼ね備え、かつ外部光暴露による画像濃度変動の小さい電子写真感光体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、感光層中に、特定構造を有するヒンダードフェノール化合物及びアミン化合物を同時に含有させることにより、ロングライフ使用に不可欠な十分な耐摩耗性を維持しつつ、添加によって電気特性に悪影響を与えること無く、外部光暴露による表面抵抗変化が小さく、画像ムラを発生させにくい電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置を提供することが可能であることを見出し、以下の本発明の完成に至った。
本発明の要旨は下記の<1>〜<5>に存する。
<1> 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、最表層中
に下記式(1)で表される電荷輸送物質と、下記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、及び下記式(3)で表されるアミン化合物を同一層中に含有することを特徴とする電子写真感光体。
(式(1)中、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基
を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
(式(2)中、R、Rは、置換基を有してもよいアルキル基を表す。ただし、R、Rが共にメチル基である場合、式(2)で表される部分構造は分子中に一つのみ有する。)
(式(3)中、R、R、Rは、置換基を有しても良い炭素数3以下のアルキレン基を表し、Ar10、Ar11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表し、Ar12は、置換基を有しても良いアリール基を表す。kは1又は2の整数を表す。)
<2> 前記式(1)が下記式(1a)で表される化合物であり、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物が、下記式(2)−1又は(2)−4で表される化合物であり、前記式(3)で表されるアミン化合物が、下記式(3)−1で表される化合物である<1>に記載の電子写真感光体。
(式(1a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表す。)
<3>接触帯電プロセスで使用されることを特徴とする、<1>又は<2>記載の電子写真感光体。
<4> <1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。<5> <1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明は、ロングライフ使用に不可欠な十分な耐摩耗性を維持し、電気特性に悪影響を与えること無く、外部光暴露による表面抵抗変化が小さく、画像ムラを発生させにくい電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置の提供を可能とするものである。
外部露光暴露により感光体の表面抵抗が低下し、表面方向に帯電電荷が移動することで、白地部分の電位低下が起こることを説明するための概念図である。 外部露光暴露による感光体の表面抵抗低下で、ドット太り、ハーフトーン画像濃度上昇が発生することを説明するための概念図である。 本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<本発明の電荷輸送物質>
本発明の電荷輸送物質は下記式(1)で表される。
(式(1)Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
上記式(1)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が好ましく、電荷輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。Ar〜Arがフェニル基である場合、電荷輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、また、Ar〜Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。Arは、窒素原子に対してオルト位又はパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、置換基としては、表面抵抗低減抑制の観点からアルキル基を有することが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。溶解性の観点からは、炭素数4〜12のアルキル基が好ましい。
上記式(1)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。アリーレン基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が例として挙げられ、この中でも電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、より好ましくはフェニレン基である。Ar〜Arが有していてもよい置換基としては、Ar〜Arが有していてもよい置換基として挙げたものが適用できる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく
、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が更に好ましい。Ar〜Arが置換基を有すると、分子構造にねじれが生じ、分子内でのπ共役拡張を妨げ、電子輸送能力が低下する可能性があることから、Ar〜Arは置換基を有さないことが好ましく、電子写真感光体特性の面からは1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,8−ナフチレン基がより好ましく、1,4−フェニレン基が更に好ましい。
m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m、nが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから、好ましくは2以下であり、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましくは1である。m、nが1の場合、エテニル基を表し、幾何異性体を有するが、電子写真感光体特性の面から、好ましくはトランス体構造が好ましいである。m、nが2の場合、ブタジエニル基を表し、この場合も幾何異性体を有するが、塗布液保管安定性の面から、2種以上の幾何異性体混合物であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、感光層に、式(1)で表される化合物を単一成分として含有するものでもよいし、式(1)で表される化合物の混合物として含有することも可能である。
また、下記式(1a)で表される化合物が特に好ましい。式(1a)は、式(1)においてArはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を有する、フェニル基であり、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基であり、Ar〜Arはいずれも無置換の1,4−フェニレン基であり、R〜Rはいずれも水素原子であり、m及びnは共に1である。
(式(1a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表す。)
感光層中のバインダー樹脂と式(1)で表される化合物との割合は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常、電荷輸送物質を5質量部以上で使用する。残留電位低減の観点から10質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から15質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常、電荷輸送物質を120質量部以下で使用する。式(1)で表される化合物とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐熱性の観点から90質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から80質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
以下に本発明に好適な電荷輸送物質の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体
的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
<本発明の電荷輸送物質の製造方法>
上記に例示した電荷輸送物質は、下記に記すスキームに従って製造することが可能である。
前記した化合物を例にすると、例えば、ホルミル基を有するトリフェニルアミン骨格を有する化合物を、トリフェニルアミン骨格を有するリン酸エステル化合物と反応させることにより製造することができる。(スキーム1)
また、他の製造方法としては、下記のようなハロゲン原子を有するトリフェニルアミン誘導体とアニリン化合物とをカップリング反応を行うことによっても製造することが可能である。(スキーム2)
上記のスキーム1、2のうち、スキーム2が製造コストの観点から好ましく、特に、スキーム2において、パラジウム触媒を使用して製造することが、純度及び電気特性の観点からより好ましい。純度は、電気特性の観点から通常97.0%以上、好ましくは98.0%以上である。溶解性の観点から、通常99.8%以下、好ましくは99.5%以下である。なお、上記電荷輸送物質は、NMR、IR、マススペクトル等により同定できる。
<式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物>
本発明の感光層は、前記式(1)で表される電荷輸送物質と同一層中に、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物を含有する。
上記式(2)中、R、Rは、置換基を有してもよいアルキル基を表す。ただし、R、Rが共にメチル基である場合、式(2)で表される部分構造は分子中に一つのみ有する。アルキル基としては、炭素数5以下のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ブチル基等がより好ましい。この中でも、像流れ防止機能と安定性のバランスの観点から、t−ブチル基が特に好ましい。前記式(2)で表される部分構造は、化合物中通常1〜4個存在することが好ましく、1〜3個がより好ましい。前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダード
フェノール化合物の好適な例を、以下に示す。この中でも、電気特性の観点から、(2)−1、(2)−3、(2)−4、(2)−5、(2)−9、(2)−11が好ましく、表面抵抗の観点から(2)−1又は(2)−4がより好ましく、(2)−1が特に好ましい。
なお、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物の感光層中における使用量は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、下限値は通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、上限値は通常30質量部以下、好ましくは16質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。使用量が少ないと、外部光暴露による表面抵抗低減の抑制効果が小さく、多過ぎると残留電位が大きくなる等、電気特性が悪化すると共に、耐摩耗性も悪化する。
また、表面抵抗低減の抑制の観点から、全電荷輸送物質100質量部に対して、通常0.02質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、残留電位と耐摩耗性の観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは30質量部以下、特に好ましくは16質量部以下である。
<式(3)で表されるアミン化合物>
本発明において、電気特性に影響を与えず、且つ外部光暴露による表面抵抗低減の抑制効果を十分発現させるために、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物に加えて、下記式(3)で表されるアミン化合物を表面層中に含有させる。
上記式(3)中、R〜Rは、置換基を有しても良い炭素数3以下のアルキレン基を表し、Ar10、Ar11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を
有しても良いアリール基を表し、Ar12は、置換基を有しても良いアリール基を表す。kは1又は2の整数を表す。
上記式(3)中、R〜Rは、置換基を有しても良い炭素数3以下のアルキレン基を表し、電気特性を考えた場合、好ましくは炭素数2以下であり、より好ましくは炭素数1である。R〜Rが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。残留電位への影響を考慮すると、R〜Rは、置換基を有さないことが好ましい。
Ar10、Ar11は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基を表し、置換基を有してもよいアルキル基の総炭素数としては、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。置換基を有しても良いアリール基の総炭素数としては、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。Ar10、Ar11が有してもよい置換基は、アルキル基、アリール基
、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。電荷輸送物質とのイオン化ポテンシャルの関係を考慮して、Ar10、Ar11は、
置換基を有さないことが好ましい。
Ar12は、置換基を有しても良いアリール基を表す。置換基を有しても良いアリール基としては、上述のAr10、Ar11で挙げたものである。電荷輸送物質とのイオン化
ポテンシャルの関係を考慮して、Ar12は、置換基を有さないことが好ましい。kが2の場合には、Ar12が直接単結合を介して他方のAr12と結合してよいし、置換基を介して他方のAr12と結合しても良い。
kは1又は2の整数を表す。製造の観点から、1が好ましい。
本発明のアミン化合物の分子量は、耐オゾン性の観点から、下限は通常100以上、好ましくは200以上である。電気特性の観点から、上限は通常900以下、好ましくは700以下、より好ましくは600以下である。
本発明のアミン化合物の含有量は、表面抵抗低減の抑制の観点から、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。また、低い残留電位を保つためには、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。
また、表面抵抗低減の抑制の観点から、全電荷輸送物質100質量部に対して、通常0.02質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、残留電位と耐摩耗性の観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
好ましいアミン化合物の例を以下に示す。この中でも、表面抵抗低減の抑制の観点から、(3)−1、(3)−4、(3)−6、(3)−19、(3)−20、(3)−21、(3)−27、(3)−28が好ましく、電気特性の観点からは(3)−1、(3)−19、(3)−20、(3)−21、(3)−28が好ましく(3)−1が特に好ましい。
これらのアミン化合物は、適度な塩基性と、電荷輸送物質の酸化電位、あるいはイオン化電位よりも大きい酸化電位、あるいはイオン化電位を有していることが、残留電位を低く保ち電気的特性を安定化するため好ましい。また、アミノ基(−NH−)は感光層内で電荷トラップとなり、電気的特性に顕著に悪影響を及ぼす。また、感光体作製時の乾燥工程で揮発しないように、沸点が100℃以上であることが好ましい。例示化合物のように、ベンジル基のようなアラルキル基を1つ以上有するアミン化合物が好ましい。このようなアミン化合物は、外部光暴露による表面抵抗低減の抑制効果以外にも、適度な塩基性と酸化電位を有するため、電荷輸送物質より先に該アミン化合物のベンジル位等が選択的に酸化されるため、オゾンやNOxなどのガスをトラップする機能に優れると考えられる。中でも、アラルキル基を2つ以上有するものが好ましく、3つ有するものが更に好ましい。イオン化ポテンシャルは、電荷輸送物質より十分に高い場合に酸化されやすくなるため、下限は、通常6.00eV以上、好ましくは6.25eV以上、更に好ましくは6.40eV以上である。上限は電気特性の観点から、通常7.00eV以下、好ましくは6.80eV以下である。電子親和力は、電荷輸送物質より十分低い場合に酸化されやすくなるた
め、上限は、通常2.00eV以下、好ましくは1.80eV以下、更に好ましくは1.50ev以下である。下限は電気特性の観点から、通常0.50eV以上、好ましくは1.
00eV以上、更に好ましくは1.20eV以上である。
前記(1)で示す電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、及び前記式(3)で表されるアミン化合物を表面層中に含有することで、外部露光暴露後の表面抵抗低減を抑制する効果が発現するメカニズムに関しては必ずしも明らかではないが、以下のように推定する。前記(1)で示す電荷輸送物質は、分子が棒状で大きく、バインダー樹脂との相溶性も比較的低い。そのため、感光層表面、及びその近傍により多く存在し、感光層の表面近傍に、所謂樹脂偏析層が形成される場合と逆の傾向にあると考えられる。そのため、紫外〜可視領域の、比較的短波長の外部光暴露によって前記(1)で示す電荷輸送物質の化学構造が変性を受け易く、その結果として表面
抵抗の低下を招くと考えられる。一方、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物は、前記(1)で示す電荷輸送物質よりも更に感光層表面側に露出し易く、外部露光暴露をある程度保護すると考えられる。また、前記式(3)で表されるアミン化合物は、前記(1)で示す電荷輸送物質が外部露光暴露で変性されても、その表面の電気伝導に対して適度なトラップとなるため、表面抵抗の低下を抑制すると考えられる。
前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、及び前記式(3)で表されるアミン化合物の割合は、ヒンダードフェノール化合物100質量部に対して、表面抵抗低減の抑制の観点から、アミン化合物が好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。電気特性の観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、上述した式(1)で表される電荷輸送物質と、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、及び前記式(3)で表されるアミン化合物を最表層中に含有するものであれば、その構成は特に限定されない。電子写真感光体の感光層が後に説明する積層型の場合には、電荷輸送層に、前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物、その他に必要に応じて酸化防止剤、レベリング剤、その他添加物を含むものである。また、電子写真感光体の感光層が、後に説明する単層型の場合には、前述の積層型感光体の電荷輸送層に用いられる成分に加えて電荷発生材料、電子輸送材料を用いるのが一般的である。
<導電性支持体>
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<感光層>
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層は、前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物を含有する最表面層であることが好ましく、その形式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料(本発明の電荷輸送物質を含む)とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散した単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層、及び電荷輸送材料(本発明の電荷輸送物質を含む)
がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、2層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)が挙げられるが、何れの形態であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、特にバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角(2θ±0.2°)、24.1°、27.2°に主たる回折ピークを有す
る結晶であることが好ましい。他の回折ピークとしては26.2°付近にピークを有する結晶は分散時の結晶安定性に劣ることから、26.2°付近にはピークを有さないことが好ましい。なかでも、7.3°、9.6°、11.6°、14.2°、18.0°、24.1°及び27.2°、又は7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有する結晶が電子写真感光体として用いた場合の暗減衰、残留電位の観点からより好ましい。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物、又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
積層型感光層を構成する電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。電荷発生層の膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する虞がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招く虞がある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
積層型感光体の電荷輸送層は、前述の電荷輸送物質及びバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては、前述の式(1)で表される電荷輸送物質に加えて、公知の他の電荷輸送物質を併用してもよい。他の電荷輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、複数種のものを任意の組み合わせで併用しても良い。
本発明の感光体では、前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物と
表面層中に、バインダー樹脂が膜強度確保のために使用される。バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂、中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から特に好ましい。一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。なお、これらの樹脂は、その機能を損なわない範囲において、2種以上を混合して用いてもよい。
まず、ポリエステル樹脂について説明する。一般に、ポリエステル樹脂は、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2 − ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2 − ビス(
4 −ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールA のアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA 、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2
〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、芳香族ビスフェノール等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1
〜20 のアルキル基又は炭素数2〜20 のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリ
メリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
これらのポリエステル樹脂のうち、好ましいのは下記式(4)で示される構造単位を有する、全芳香族系のポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂)である。
式(4)中、Ar13〜Ar16はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す。sは0以上2
以下の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す
上記式(4)中、Ar13〜Ar16は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下、より好ましくは6である。炭素数が多すぎる場合、製造コストが高くなり、電気特性も悪化する恐れがある。
Ar13〜Ar16の具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。中でも、アリーレン基としては、電気特性の観点から、1,4−フェニレン基が好ましい。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、Ar13〜Ar16の有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
より詳しくは、Ar15及びAr16は、それぞれ独立に置換基の数は0以上2以下が好ましく、接着性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐磨耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar13及びAr14は、それぞれ独立して、置換基の数は0以上2以下が好ましく、耐磨耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(4)において、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基である。アルキレン基としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンが好ましく、より好ましくは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンであり、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
また、上記式(4)において、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基であって、中でも、Xは、酸素原子であることが好ましい。その際、sは1であることが特に好ましい。
sが1の場合に好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル
−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
sが0の場合のジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボ
ン酸残基、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、フタル酸
残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビ
フェニル−4,4'−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テ
レフタル酸残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。イソフタル酸残基とテレフタル酸残基の比率は通常50:50であるが、任意に変更することができる。その場合、テレフタル酸残基の比率が高い程、電気特性の観点からは好ましい。
本発明で用いられるポリエステル樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、機械的強度の観点から、下限は通常20,000以上、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上である。また、前記化合物の分散性、塗布液の粘度等の生産性の観点から、上限は通常100,000以下、好ましくは90,000以下、より好ましくは80,000以下である。なお、粘度平均分子量は、例えばウベローデ型毛細管粘度計等を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
次に、ポリカーボネート樹脂について説明する。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)や溶液法のような溶剤法で製造されたもの、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法によるものが知られている。
このうち、界面法により製造されるポリカーボネート樹脂は、高分子量化が可能で、液−液洗浄による精製ができ、様々な種類のビスフェノールに適用可能であることから電子写真感光体用途には広く用いられている。しかし、界面法ではホスゲンを原料として使用するため、安全性面で問題が有る。一方、溶融法によるポリカーボネート樹脂に関しては、重合できるビスフェノールの種類に制限が有り、高分子量化も難しく、洗浄による不純物の除去も困難であるが、重合工程でホスゲンを使用しないことから、安全性面でメリットがあり、電子写真感光体用途でも使用検討がなされている。
本発明の電子写真感光体には、公知のビスフェノールを単独あるいは2種以上共重合させたポリカーボネート樹脂を、1種あるいは2種以上混合して使用することができる。公知のビスフェノールの中でも、下記の式(5)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂が、電気特性、表面硬度、弾性変形率、接着性の観点から好適に用いられる。
なお、本発明に使用されるポリカーボネート樹脂は、上記式(5)で表される単一ユニットからなるホモポリマーでもよいが、他のビスフェノールユニットとブロックあるいはランダムに共重合させて用いてもよい。共重合させてもよいビスフェノールユニットの例を、下記に示す。共重合比率は、上記式(5)の割合が50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の好ましい範囲は、上記ポリエステル樹脂の場合と同様である。
本発明の、上記式(4)で表される成分を有するポリエステル樹脂、及び上記式(5)で表される成分を有するポリカーボネート樹脂は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の最表面となる層に含有されるが、 以下に詳述するように感光層の上に保護
層を設ける場合は、保護層に含有される。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは25μm以下が特に好適に用いられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層の場合と同様である。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲である。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の添加物>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
<その他の機能層>
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層とするが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。その場合、保護層に前記式(1)で表される電荷輸送物質、前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、前記式(3)で表されるアミン化合物、及びバインダー樹脂が含有される。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子やシリカやアルミナ等の無機化合物の粒子を含有させても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類
で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、使用時の温度において、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図3に基づいて説明する。
図3において、1はドラム状感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段2により、その表面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部3において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。
形成された静電潜像は、次に現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により給紙部から給送された転写体(紙など)Pに順次転写されていく。図3では、現像手段4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像手段4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
像転写された転写体はついで定着手段7に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。定着手段7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図3では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71、72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段6により転写残りのトナーが除去され、除電手段により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するにあたって、帯電器としては、コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。直接帯電手段として、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
なお、本願記載の式(1)で表される電荷輸送物質を使用した感光体では、接触帯電、中でも直流(DC)電圧印加による接触帯電を用いた場合に、外部露光暴露による画像濃度ムラを発生し易い。これは、スコロトロン方式と比較して、帯電能力に劣るため、十分な表面電荷付与による表面電位制御が必ずしも行われず、表面抵抗の面内ムラの影響をキャンセルできず、画像に出易いためと考えられる。従って、接触帯電方式、中でも直流接触帯電方式においては、本願既定の感光体を使用することのメリットが大きい。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。
トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写行程はコロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明に係る電子写真感光体を用いたカートリッジは、上記感光体1と、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6からなる群のうち少なくとも一の部分とを備えていればよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し
、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
また、本発明に係る電子写真感光体、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6を備える画像形成装置に適用することも可能である。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」あるいは「重量部」を示す。
[実施例1]
<下引き層形成用塗布液の製造>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
<電荷発生層形成用塗布液の製造>
まず、電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を
、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
下記の繰返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(4)−1(粘度平均分子量40,000)を100部、電荷輸送物質として前記(1)−1で表される化合物(前記スキーム2において、パラジウム触媒を使用して製造)を40部、前記(2)−1で表される化合物を4部、前記(3)−1で表される化合物を1部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.05部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2(質
量比))の混合溶媒520部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<感光体の製造>
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約25μmになるようにアプリケーターで塗布し、125 ℃で20分間
乾燥して、感光体を作製した。
<電気特性試験>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記シート状感光体を、直径80mmのアルミニウム製シリンダーに巻き付けてアースを取り、初期表面電位が約−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とし、1.3μJ/cm2露光した際の表面電位(露光部電位;VLと
称する)を求めた。露光から電位測定までの時間は、100msとした。測定環境は25℃,50%RHで行なった。VLの絶対値が大きい場合は、露光に対する応答性が悪いことを示す。結果を表-1に示す。
<表面抵抗測定>
実施例1で調整した電荷輸送層用塗布液を100μmのペットフィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布した。この電荷輸送層サンプルについて、高抵抗率計Hiresta−UP、MCP−HT450(三菱化学製)を用い、以下の条件で感光体の光暴露前の表面抵抗値(R1)を測定した。
・プローブ:UR100
・印可電圧:1000V
・測定時間:60秒
続いてこのサンプルに、蛍光灯(MITSUBISHI OSRAM ネオルミスーパー
FL15W)を2000ルクスで10分間照射し、直後に同様に表面抵抗値(R2)を測定した。表−1に光暴露前後の表面抵抗値(R1,R2)を示した。
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、陽極酸化処理を施し、清浄に洗浄された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1の感光体製造に使用した電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、0.4μm、18μmとなるように、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、130℃で20分間行なった。
<画像試験>
得られた感光体を、沖データ社製タンデムフルカラープリンタ C711dn(DCローラー帯電、LED露光、接触非磁性一成分現像)のシアンの感光体カートリッジに搭載して、気温25℃、相対湿度50%下において、ハーフトーン画像印刷を行った。次いで、感光体の一部分に蛍光灯(MITSUBISHI OSRAM ネオルミスーパー FL15W)を2000ルクスで10分間照射し、直後、及び一晩放置後に同様にハーフトーン画像印刷を行い、蛍光灯暴露部分/非暴露部分の画像濃度差を確認した。結果を表−1に示す。
[実施例2〜5]
実施例1において、電荷輸送物質(1)、化合物(2)、化合物(3)を表−1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1
に示す。
[比較例1]
実施例1において、化合物(2)、化合物(3)を使用しなかった以外は、実施例1と同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[比較例2]
実施例1において、化合物(3)を使用しなかった以外は、実施例1と同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[比較例3]
実施例1において、化合物(2)を使用せず、化合物(3)を0.1部使用した以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表-1に示す。
[比較例4]
比較例1において、電荷輸送物質(1)−1を前記(1)−8に変更した以外は、比較例1と同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[比較例5]
比較例1において、感光体ドラム長を285mmに変更した以外は同様に感光体を製造し、画像試験を、スコロトロン帯電方式のエプソン社製LP−1500Cに搭載して、比較例1同様に画像試験を実施した。その結果、外部露光暴露による濃度ムラは観測されなかった。
[参考例1]
比較例1において、電荷輸送物質(1)−1に代えて下記化学構造式を有するCT−Aを使用した以外は、同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[参考例2]
実施例1において、電荷輸送物質(1)−1に代えて上記化学構造式を有するCT−Aを使用した以外は、同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[参考例3]
実施例1において、電荷輸送物質(1)−1に代えて下記化学構造式を有するCT−Bを使用した以外は、同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
[参考例4]
実施例1において、電荷輸送物質(1)−1に代えて下記化学構造式を有するCT−Cを使用した以外は、同様に測定サンプルを作製、評価した。結果を表-1に示す。
表−1に示すように、実施例1〜5の感光体は、光暴露後の表面抵抗(R2)は小さいものの、光暴露による抵抗値の変化量(R1−R2)も小さく、画像濃度変化は無いか、有ったとしても僅かで、一晩放置で回復していた。一方、比較例1〜3の感光体は、光暴露後の表面抵抗値(R2)が更に小さいか、光暴露による抵抗値の変化量(R1−R2)が大きいことで、画像濃度差が観測され、かつ一晩放置でも回復しなかった。参考例1〜4については、残留電位が高い傾向にあった。特に参考例2では下記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物、及び下記式(3)で表されるアミン化合物を用いると更に残留電位が悪化した。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、最表層中に下記
    式(1)で表される電荷輸送物質と、下記式(2)で表される部分構造を有するヒンダー
    ドフェノール化合物、及び下記式(3)で表されるアミン化合物を含有することを特徴と
    する電子写真感光体。
    (式(1)中、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基
    を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表
    す。m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
    (式(2)中、R、Rは、置換基を有していてもよいt−ブチル基を表す。)
    (式(3)中、R、R、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1、2または3の
    アルキレン基を表し、Ar10、Ar11は置換基を有してもよいアリール基を表し、A
    12は置換基を有してもよいアリール基を表す。kは1を表す。)
  2. 前記式(1)で表される電荷輸送物質が、下記式(1a)で表される化合物であること
    を特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
    (式(1a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキル
    オキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表
    す。)
  3. 前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物が、下記式(2
    )−1、(2)−3、(2)−4、(2)−5、又は(2)−9で表される化合物である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物が、前記式(2
    )−1、又は(2)−4で表される化合物であることを特徴とする、請求項3に記載の電
    子写真感光体。
  5. 前記式(3)で表されるアミン化合物が、下記式(3)−1、(3)−19、(3)−
    20、又は(3)−21で表される化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記式(3)で表されるアミン化合物が、前記式(3)−1で表される化合物であるこ
    とを特徴とする、請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記式(1)で表される電荷輸送物質が、記式(1a)で表される化合物であり、前
    記式(2)で表される部分構造を有するヒンダードフェノール化合物が、記式(2)−
    1又は(2)−4で表される化合物であり、前記式(3)で表されるアミン化合物が、
    記式(3)−1で表される化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
    (式(1a)中、R はアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキル
    オキシ基、R 〜R はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表
    す。)
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を
    帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装
    置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から
    選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる
    帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び
    、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴と
    する画像形成装置。
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