JP6331630B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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近年の電子写真プロセスの高速化に伴い、電子写真感光体の高感度化及び高速応答化が必須となっている。このうち、高感度化のためには、電荷発生物質の最適化だけでなく、それとのマッチングの良好な電荷輸送物質の開発が必要であり、高速応答化のためには、高移動度、高感度、且つ露光時に十分な低残留電位を示す電荷輸送物質の開発が必要である。
て、前記感光層が、前記導電性支持体から、電荷発生層及び電荷輸送層の順に積層された
感光層を有し、該電荷輸送層中に、下記一般式[1]で表される構造を有するスチルベン系
化合物のZ基置換異性体を少なくとも2種類以上含有し、且つ2〜6の芳香環を有する炭
化水素系化合物を含有し、前記スチルベン化合物のZ基置換異性体の2種類が、一般式[
2]で表される置換異性体、及び一般式[3]で表される置換異性体であり、前記式[2]で
表されるオルト位異性体と前記式[3]で表されるパラ位異性体の比が、10/90以上、
90/10以下であり、前記炭化水素系化合物が、分子量180以上320以下であるこ
とを特徴とする電子写真感光体に存する(請求項1)。
0以下の有機基を有していても良いアリール基を示し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基
を示す。X、Yは、それぞれ、同一又は異なって、Hammett則における置換基定数σp が0
.20以下であって、炭素数1〜4の有機基を示し、m、nはスチルベン骨格中のベンゼン
環に置換基X及びYが置換されている数を表し、m=n=0である。)
樹脂100質量部に対し5質量部以上20質量部以下であることに存する(請求項2)。
段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前
記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、前
記被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段、及び、前記電子写真感光体に
付着した前記トナーをクリーニングブレード使用して回収するクリーニング手段から選ば
れる少なくとも一つとを備えた電子写真カートリッジに存する(請求項3)。
段と、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、前
記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置に存する(請求項4)。
<低分子量スチルベン化合物の置換異性体>
本発明において、電子写真感光体の感光層に含まれる低分子量スチルベン系化合物は、下記一般式[1]で表される構造を有するスチルベン系化合物の少なくとも2種のZ基置換異性体の混合物である。
を示す。X、Yは、それぞれ、同一又は異なって、Hammett則における置換基定数σp が0
.20以下であって、炭素数1〜4の有機基を示し、m、nはスチルベン骨格中のベンゼン環に置換基X及びYが置換されている数を表し、0〜4の整数を示す。)
ここで、Hammett則は、芳香族化合物における置換基が芳香環の電子状態に与える効果
を説明するために用いられる経験則であって、置換ベンゼンの置換基定数σpは、置換基の電子供与/吸引の程度を定量化した値といえる。σp値が正であれば置換安息香酸の方が無置換のものより酸性が強い、つまり電子吸引性置換基となる。逆にσp値が負であると電子供与性置換基となる。表1は、代表的な置換基のσp値である(日本化学会編、「化学便覧 基礎編II 改訂4版」、丸善株式会社、平成5年9月30日発行、p.36
4〜365)。
0以下の有機基を有していても良いアリール基である。前記Hammett則における置換基定
数σpの値としては、電気特性の観点から0.00以下であることが好ましく、−0.1
0以下であることが特に好ましい。下限としては、耐酸性ガス性の観点から−0.30以上であることが好ましい。
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、N, N−ジメチルアミノ基、N, N−ジエチルアミノ基などが挙げられる。中でも、電気特性や製造コストの面から、炭素数1〜2の有機基が特に好ましく、具体的にはメチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基などが挙げられる。
20以下であって、炭素数1〜4の有機基を示す。前記Hammett則における置換基定数σp
の値としては、電機特性の観点から0.00以下であることが好ましく、−0.10以下であることが特に好ましい。一方で下限としては、耐酸性ガス性の観点から−0.30以上であることが好ましい。前記炭素数1〜4の有機基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のジアルキルアミノ基などが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基
、N, N−ジメチルアミノ基、N, N−ジエチルアミノ基などが挙げられる。中でも、電気特性や製造コストの面から、炭素数1の有機基が特に好ましく、具体的にはメチル基、メトキシ基などが挙げられる。
前記[1]式中、Rとしては、炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、
エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基が挙げられる。製造コストの面から、Rは、メチル基又はエチル基が特に好ましい。アルキル基の炭素数は5以上になると、電気特性や耐酸性ガス性が悪化してしまう虞がある。
アルコキシ基置換異性体の比率(モル%)は、特に制限されないが、公知(特許文献1を
参照)の製造法では、原料のアルコキシベンゼンの反応性(アルコキシ基はオルト・パラ
配向性置換基)により、メタ位置換異性体は全異性体の10%より多く得ることが難しく、
通常は10%以下であり、0〜8%の範囲内であることが好ましく、電気特性や製造の便
利性の面で含まないことが特に好ましい。一方、式[2]で表されるオルト位異性体と式[
3]で表されるパラ位異性体の比について、通常5/95以上、バインダー樹脂との相溶
性の面で、好ましくは10/90以上、電気特性の面で更に好ましくは20/80以上で
ある。上限は、通常95/5以下、バインダー樹脂との相溶性の面で90/10以下がよ
り好ましく、電気特性の面で80/20以下が特に好ましい。
しい。一方で下限値としては、377以上であり、電気特性の観点から400以上であることが好ましい。
〜CT-10cが挙げられる。ただし、本発明に関わるスチルベン系化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
本発明に関わる炭化水素系化合物は、2〜6の芳香環を有する化合物であることを特徴とするものである。このような化合物として、例えば、ビフェニル、ターフェニル、シ゛フェニルメタン、ジベンジルベンゼンのような炭化水素系化合物及びそれらの誘導体が挙げられる。
はないが、芳香環との相互作用や自由体積の充填効果の観点から、下限は通常100以上であり、180以上が好ましい。小さすぎると感光層の乾燥作業中に上記化合物が昇華するおそれがある。結晶化、自由体積充填の観点から、上限は通常500以下であり、320以下が好ましい。
上記スチルベン系化合物と上記炭化水素系化合物の使用割合は(上記スチルベン系化合物の質量/上記炭化水素系化合物の質量)は、上限は通常10以下、好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。下限は、通常1以上、好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上である。
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、上述した[1]式で表される低分子量スチルベン系化合物の置換異性体の混合物と上述の炭化水素系化合物を含有する感光層を設けたものであれば、その構造は特に制限されない。中でも、電荷発生層と、電荷輸送層とが積層された積層型の感光体が好ましく、特に、積層型感光体の電荷輸送層が、上述した[1]式で表される低分子量スチルベン系化合物の置換異性体の混合物と上述の低分子量化合物を含有することが好ましい。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導
電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。 導電性支持体と感光層と
の間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹
脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シラン且つプリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。 なお、下引き層のバインダー樹脂
は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。更に、バインダー樹脂は、バインダー樹脂のみで用いるほか、硬化剤とともに硬化した形で使用することもできる。
本発明の感光体は、導電性支持体上に感光層を有する。本発明の感光体には、電荷発生層(電荷発生材料を含む層)と電荷輸送層(電荷輸送材料を含む層)を含む積層型の感光層を有する積層型感光体、あるいは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一の感光層中に含む単層型感光体がある。
最大押込み加重 5mN
負荷所要時間 10秒
除荷所要時間 10秒
上記の弾性変形率は下記式により定義される値であり、押し込みに要した全仕事量に対して、除荷の際に膜が弾性によって行う仕事の割合である。
上記式中、全仕事量Wt(nJ)は図4中のA−B−D−Aで囲まれる面積を示し、弾性変形仕事量We(nJ)はC−B−D−C で囲まれる面積を示す。弾性変形率が大き
いほど、負荷に対する変形が残留しにくく、弾性変形率が100の場合には変形が残らないことを意味する。
ユニバーサル硬度(N/mm2)=試験荷重(N)/試験荷重下でのビッカース圧子の表面積(mm2)
次に、感光層の構成成分について説明する。
[電荷発生層]
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
積層型感光体の電荷輸送層は、本発明の低分子量スチルベン系電荷輸送物質と炭化水素系化合物を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
また、本発明の低分子量スチルベン系化合物の置換異性体の混合物に加えて、公知の他の電荷輸送物質を併用してもよい。他の電荷輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えば、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、ブタジエン誘導体、スチルベン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。更に具体的には、特開2009−020504、特開平2−230
255号、特開昭63−225660号、特開昭58−198043号、特公昭58−32372号、及び、特公平7−21646号の各公報に記載の化合物が好ましく使用される。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、複数種のものを任意の組み合わせで併用しても良い。なお、本発明の低分子量スチルベン系化合物の置換異性体の混合物と、公知の他の電荷輸送物質とを併用する場合、電荷輸送物質全量における、併用する電荷輸送物質の含有比率(質量%)は、特に制限されないが、1%以上20%以下の範囲内であることが好ましく、本発明の低分子量スチルベン系化合物の置換異性体の混合物の役割をより効果的に発揮させるために、3%以上10%以下の範囲内であることが特に好ましい。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μ
m以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
これらの保護層としては、前記一般式[1]で表されるスチルベン系電荷輸送材料を少な
くとも含有する。また、当該保護層には、硬度、弾性変形率を損なわない範囲で、適宜化合物を加えてもよい。例えばフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等の樹脂粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子等の無機粒子等が挙げられる。また、保護層の厚みが1μmより厚い場合は、その下層の影響よりも保護層の物性が表面機械物性をより強く支配するため、下層の感光層に用いられる材料には本発明で規定する範囲にとらわれず、任意の材料を使用してもよい。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
本発明の感光体は、後述する画像形成装置に用いられることにより、画像形成の用途に使用されるものである。本発明の積層型感光体は負帯電で使用し、単層型感光体は正帯電で使用する。
本発明の感光体は、画像形成の際には、露光手段から書き込み光によって露光を行なわれて静電潜像を形成されることになる。この際に用いられる書き込み光は静電潜像の形成が可能である限り任意であるが、中でも、露光波長が通常380nm以上、中でも400nm以上、また、通常850nm以下の単色光を用いる。中でも480nm以下の単色光を用いると感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができることから、高品質の画像を得たい際に480nm以下の単色光で露光することが好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施
の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真 感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
(実施例1:電子写真感光体A1)
まず、以下の手法で下引き層用分散液の調製を行なった。
平均一次粒子径40 nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チ
タンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを
、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5 m/秒
で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(F)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル
)メタン[下記式(G)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(H)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(I)で表される化合物]/オクタ
デカメチレンジカルボン酸[下記式(J)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プ
ロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミド
を質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
まず電荷発生物質として、図3のCuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示すオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Aを調製した。
次に、本発明のスチルベン系電荷輸送材CT-1a、CT-1b、CT-1c (CT-1a/CT-1b/CT-1c= 75/10/15)の混合物80質量部、低分子量化合物AD-3の5質量部、酸化防止剤として下記式で表される化合物(AOX1)8質量部、ポリアリレート樹脂B-7の100質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。なお、ポリアリレート樹脂B-7の粘度平均分子量は40,000であった。
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
表面が鏡面仕上げされ、清浄に洗浄された外径30mm、長さ260.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、上記の下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを得た。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体を80rpmで回転させながら、初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを、透過率の異なるNDフィルターを使用して光量を変化させて表面電位の減衰挙動を測定した。その際、各光量で露光後、いったん660nmのLED光を除電光として露光し、残存電荷の多くをキャンセルした。測定値としては、表面電位が半減するのに必要な露光量(半減露光量:E1/2と称する)、および780nmの単色光を1.7μJ/cm2露光した際の表面電位
(明電位;Vlと称する)を求めた。結果を表2に示す。
弾性変形率及びユニバーサル硬度を、Fischer社製微小硬度計FISCHERSCOPE H100Cを用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で測定した。結果を表2に示す。
(参考例1)
炭化水素系化合物を使わずに、実施例1と同様にして、参考例1としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2を、それぞれ10質量部、15質量部、20質量部および25質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得
た。
(実施例6〜10)
化合物AD-2の代わりに、AD-3を、それぞれ5質量部、10質量部、15質量部、20質量部お
よび25質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例6〜10としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
化合物AD-2の代わりに、AD-5を、それぞれ5質量部、10質量部、15質量部、20質量部お
よび25質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例11〜15としての電子写真感
光体をそれぞれ(順番通り)得た。
(比較例1)
化合物AD-2の代わりに、下記構造を有する、分子量204の炭化水素系化合物AD-10を10質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例1としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2の代わりに、下記構造を有する、分子量166の脂肪族炭化水素化合物AD-13を10質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例2としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2の代わりに、下記構造を有する、分子量287のアミン化合物AD-14を10質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例3としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2の代わりに、下記構造を有する、分子量154の炭化水素系化合物AD-11を10質
量部使用した以外は、実施例1と同様にして、参考例16としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2の代わりに、下記構造を有する、分子量363の炭化水素系化合物AD-12を10質
量部使用した以外は、実施例1と同様にして、参考例17としての電子写真感光体を得た。
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、下記構造を有する、公知の電荷
輸送剤CT-13を使用した以外は、上記参考例1と同様にして、参考例2としての電子写真感
光体を得た。
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-13を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例4としての電子写真感光体を得た。
(参考例3)
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、下記構造を有する、公知の電荷
輸送剤CT-14を使用した以外は、上記参考例1と同様にして、参考例3としての電子写真感
光体を得た。
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-14を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例5としての電子写真感光体を得た。
なお、上記各参考例、実施例または比較例の感光体組成と諸特性は、以下の表-2にまとめた。
発明の炭化水素系化合物AD-2、AD-3またはAD-5とを組み合わせて感光体に用いた場合は、化合物の量を5〜20質量部以内にすれば、感光体の電気特性改良が見られるばかりでなく
、表面硬度や弾性変形率などの表面特性も、向上が見られ、なかでも、表面硬度の向上は特に顕著であった(参考例1、実施例1〜4、6〜9、11〜14)。
また、本発明範囲外の炭化水素系化合物AD-10を化合物として使用した場合は、感光体
の表面特性が改良されるものの、感光体表面に白濁がみられ、電気特性が悪化してしまった(比較例1)。本発明範囲外のアミン系化合物AD-14を化合物として使用した場合も、感光体の電気特性が激しく悪化した(比較例3)。さらに、本発明範囲外の炭化水素系化合
物AD-13を化合物として使用した場合は、感光体表面に相分離が起こったため特性測定で
きなかった(比較例2)。
できる一方、化合物結晶が感光体の表面に析出し、電気特性の悪化を招いてしまった(参
考例17)。従って、化合物の析出防止の観点からみて、炭化水素化合物の分子量が320以
下のものが比較的使いやすいことがわかった。
一方、分子量の小さい炭化水素系化合物AD-11を使った場合は、電気特性や表面特性の
改良幅が比較的小さく、効果が比較的弱いことも分かった(参考例16)。
)、もしくはみられてもわずかであった(参考例3/比較例5を参照)。
(実施例18)
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、CT-1aとCT-1cの混合物(CT-1a/CT-1c=70/30)を使用し、さらにバインダー樹脂B-7の代わりに、ポリアリレート樹脂B-10(粘度平均分子量40,000)を使用した以外は、上記実施例1と同様にして、実施例18としての電子写真感光体を得た。
炭化水素系化合物を使わずに、実施例18と同様にして、参考例4としての電子写真感光
体を得た。
(実施例19〜22)
化合物AD-2を、それぞれ10質量部、15質量部、20質量部および25質量部使用した以外は、実施例18と同様にして、実施例19〜22としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
化合物AD-2の代わりに、AD-1を、それぞれ質量5部、質量10部、質量15部、質量20部お
よび25質量部使用した以外は、実施例18と同様にして、実施例23〜27としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
(実施例28〜32)
化合物AD-2の代わりに、AD-6を、それぞれ5質量部、10質量部、15質量部、20質量部お
よび25質量部使用した以外は、実施例18と同様にして、実施例28〜32としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
化合物AD-2の代わりに、上記分子量204の炭化水素系化合物AD-10を5質量部使用した以
外は、実施例18と同様にして、比較例6としての電子写真感光体を得た。
(比較例7)
化合物AD-2の代わりに、上記分子量166の脂肪族炭化水素系化合物AD-13を5質量部使用
した以外は、実施例18と同様にして、比較例7としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-2の代わりに、上記分子量154の炭化水素系化合物AD-11を5質量部使用した以
外は、実施例18と同様にして、参考例18としての電子写真感光体を得た。
(参考例19)
化合物AD-2の代わりに、上記分子量363の炭化水素系化合物AD-12を5質量部使用した以
外は、実施例18と同様にして、参考例19としての電子写真感光体を得た。
電荷輸送剤CT-1aとCT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-13を使用した以外
は、上記参考例4と同様にして、参考例5としての電子写真感光体を得た。
(比較例8)
電荷輸送剤CT-1aとCT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-13を使用し、さら
に化合物としてAD-2の代わりにAD-3を使用した以外は、実施例18と同様にして、比較例8
としての電子写真感光体を得た。
電荷輸送剤CT-1aとCT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-14を使用した以外
は、上記参考例4と同様にして、参考例6としての電子写真感光体を得た。
(比較例9)
電荷輸送剤CT-1aとCT-1cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-14を使用し、さら
に化合物としてAD-2の代わりにAD-3を使用した以外は、実施例18と同様にして、比較例9
としての電子写真感光体を得た。
度や弾性変形率などの表面特性も、向上が見られ、なかでも、表面硬度の向上は特に顕著であった(参考例4、実施例18〜21、23〜26、28〜31)。
なり、電気特性においては悪化がみられた(実施例22、27または32)。
また、本発明範囲外の炭化水素系化合物AD-10を化合物として使用した場合は、感光体
の表面特性が改良されるものの、感光体表面に白濁がみられ、電気特性が悪化してしまっ
た(比較例6)。本発明範囲外の炭化水素系化合物AD-13を化合物として使用した場合は、
感光体表面に相分離が起こったため特性測定できなかった(比較例7)。本発明範囲内の
炭化水素系化合物AD-12(Mw:363)においても、感光体の表面特性を改良できる一方、化合
物結晶が感光体の表面に析出し、電気特性の悪化を招いてしまった(参考例19)。従って
、化合物の析出防止の観点からみて、炭化水素化合物の分子量が320以下のものが比較的
使いやすいことがわかった。
が、電気特性は改良されなかった(参考例18)。
さらに、本発明範囲外の化合物CT-13、CT-14を電荷輸送剤として使用した場合は、感光
体の表面特性が少し改良された一方、電気特性の悪化が避けられないためやはり問題とな
っている(参考例5/比較例8および参考例6/比較例9)。
電荷輸送剤CT-1a、CT-1b、CT-1cの混合物の代わりに、CT-2a、CT-2cの混合物(CT-2a/CT-2c=68/32)を使用し、さらにバインダー樹脂B-7の代わりに、ポリカーボネート樹脂B-3
(粘度平均分子量40,000)を使用した以外は、上記実施例11(化合物として例示化合物AD-5を使用)と同様にして、実施例35としての電子写真感光体を得た。
炭化水素系化合物を使わずに、実施例35と同様にして、参考例7としての電子写真感光
体を得た。
(実施例36〜39)
化合物AD-5を、それぞれ10質量部、15質量部、20質量部および25質量部使用した以外は、実施例35と同様にして、実施例36〜39としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
化合物AD-5の代わりに、AD-7を、それぞれ5質量部、10質量部、15質量部、20質量部お
よび25質量部使用した以外は、実施例35と同様にして、実施例40〜44としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
(実施例45〜49)
化合物AD-5の代わりに、AD-8を、それぞれ5質量部、10質量部、15質量部、20質量部お
よび25質量部使用した以外は、実施例35と同様にして、実施例45〜49としての電子写真感光体をそれぞれ(順番通り)得た。
化合物AD-5の代わりに、上記分子量204の炭化水素系化合物AD-10を5質量部使用した以
外は、実施例35と同様にして、比較例10としての電子写真感光体を得た。
(比較例11)
化合物AD-5の代わりに、上記分子量166の脂肪族炭化水素化合物AD-13を5質量部使用し
た以外は、実施例35と同様にして、比較例11としての電子写真感光体を得た。
化合物AD-5の代わりに、上記分子量154の炭化水素系化合物AD-11を5質量部使用した以
外は、実施例35と同様にして、参考例20としての電子写真感光体を得た。
(参考例21)
化合物AD-5の代わりに、上記分子量363の炭化水素系化合物AD-12を5質量部使用した以
外は、実施例35と同様にして、参考例21としての電子写真感光体を得た。
電荷輸送剤CT-2a、CT-2cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-13を使用した以外
は、上記参考例7と同様にして、参考例8としての電子写真感光体を得た。
(比較例12)
電荷輸送剤CT-2a、CT-2cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-13を使用した以外
は、実施例45と同様にして、比較例12としての電子写真感光体を得た。
電荷輸送剤CT-2a、CT-2cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-14を使用した以外
は、上記参考例7と同様にして、参考例9としての電子写真感光体を得た。
(比較例13)
電荷輸送剤CT-2a、CT-2cの混合物の代わりに、公知の電荷輸送剤CT-14を使用した以外
は、実施例45と同様にして、比較例13としての電子写真感光体を得た。
とめた。
形率などの表面特性を改良することができた(参考例7、実施例35〜38、40〜43、45〜48
)。
り、電気特性においても悪化がみられた(39、44、49)。
また、本発明範囲外の炭化水素系化合物AD-10を化合物として使用する場合は、感光体
の表面硬度が改良されるものの、弾性変形率が改良されておらず、逆に悪くなった。さら
に感光体表面に白濁がみられ、電気特性も悪化してしまった(比較例10)。本発明範囲外
の炭化水素系化合物AD-13を化合物として使用した場合は、感光体の電気特性が悪化し、
表面特性において、表面硬度と弾性変形率の両立ができなかった(比較例11)。本発明範
囲内の炭化水素系化合物AD-12(Mw:363)においても、感光体の表面特性を改良できる一方
、化合物結晶が感光体の表面に析出し、電気特性の悪化を招いてしまった(参考例21)。
従って、化合物の析出防止の観点からみて、炭化水素化合物の分子量が320以下のものが
比較的使いやすいことがわかった。一方、分子量の小さい炭化水素系化合物AD-11を使っ
た場合、表面硬度が改良されるものの、弾性変形率の改良はほとんどみられなかった(参
考例20)。
<画像形成試験>
(実施例52〜59、参考例10〜15、比較例14〜17)
上記各参考例、実施例または比較例で作製した感光体ドラム数種(由来は下記表5参照
)とフロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度0.990のトナーを用いて、画像特性試験を行った。画像特性試験は、ヒューレットパッカード社製カラープリンターHP Color LaserJet 4700dn(クリーニングブレード、カウンター当接方式)を用いて行った。作製した感光体ドラムとトナーとをシアン色用のプロセスカートリッジに装着し、このカートリッジをプリンターに装着した。温度25℃、湿度50%環境下で、10000枚の画像形成を行い、ゴースト、かぶり、濃度低下、フィルミング、クリーニング不良の評価を行った。結果を、表-5に示す。なお、表-5中、「CTM」は、「電荷輸送物質」を表す。
例12)等の画像劣化が発生した。
場合は、感光体表面に白濁が生じたため繰り返し印刷時に画像濃度不良が発生した(比較例14)。本発明範囲内の炭化水素系化合物AD-12においても、結晶析出のため、画像ぬけ
の発生がみられ、化合物の析出防止の観点から、炭化水素化合物の分子量が320以下のも
のが好ましいことがわかった。
考例11、13、15)。本発明の炭化水素系化合物とを組み合わせて画像形成装置に用いた場合は、相性不良のため電気特性が不十分となり、全てのバインダー樹脂において画像濃度不良が発生した(比較例15〜17)。特に、公知の電荷輸送剤CT-14においては、表面特性
は化合物を添加してもほとんど改良されておらず、全ての場合でフィルミンク゛が発生し、さらに、印刷時の異音発生も確認された(参考例13、15、比較例16、17)。
<単層型感光体の製造>
下引き層塗付液は、前記実施例1と同様にして製造した。この塗布液を、直径30mm
、長さ247mm、厚さ0.75mmの表面を切削加工したアルミニウム管上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるように浸漬塗布後、室温下で乾燥して下引き層を設けた。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が7.5゜、28.5゜に強い回折ピークを示す電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニン3質量部、下記構造式(PIG−1)で示される電子輸送能を有するペリレン顔料7質量部を、トルエン200質量部と共にサンドグラインドミルにより1時間混合分散して、顔料分散液を調整した。一方、前記構造式CT-1a、CT-1cで示される正孔輸送材料の混合物(CT-1a/CT-1c=70/30) 80質量部、前記構造式B-3で示されるバインダー樹脂(粘度平均分子量40,000)100質量部、炭化水素系化合物として、前記構造式AD-2で示される化合物15質量部、酸化防止剤として、前記構造式AOX1で示される化合物を8質量部、同じく酸化防止剤としてトリベンジルアミン1質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン400質量部に加え、60
℃に加熱して溶解させた。この溶液を室温まで冷却後に、上記の顔料分散液を、ホモジナイザーにより均一になるように混合して、孔径10μmのフィルターでろ過して、塗布液を調整した。このように調製した塗布液を、上述の下引き層上に、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し、感光体を作製した。
上記感光体ドラムを、ブラザー工業製モノクロレーザープリンタ HL1240のドラムカートリッジに搭載して画像試験を行った。2万枚連続印刷(5%印字)を行ったが、十分な画像濃度が得られ、ゴースト、カブリ等の画像劣化、フィルミング、クリーニング不良による画像欠陥は見られず、安定した画像が形成された。また、異音の発生は観測されなかった。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (4)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、前記導電性
支持体から、電荷発生層及び電荷輸送層の順に積層された感光層を有し、該電荷輸送層中
に、下記一般式[1]で表される構造を有するスチルベン系化合物のZ基置換異性体を少な
くとも2種類以上含有し、且つ2〜6の芳香環を有する炭化水素系化合物を含有し、前記
スチルベン化合物のZ基置換異性体の2種類が、下記一般式[2]で表される置換異性体、
及び下記一般式[3]で表される置換異性体であり、式[2]で表されるオルト位異性体と式
[3]で表されるパラ位異性体の比が、10/90以上、90/10以下であり、前記炭化
水素系化合物が、分子量180以上320以下であることを特徴とする電子写真感光体。
0以下の有機基を有していても良いアリール基を示し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基
を示す。X、Yは、それぞれ、同一又は異なって、Hammett則における置換基定数σp が0
.20以下であって、炭素数1〜4の有機基を示し、m、nはスチルベン骨格中のベンゼン
環に置換基X及びYが置換されている数を表し、m=n=0である。)
σp が0.20以下の有機基を有していても良いアリール基を示し、Rは、炭素数1〜4
のアルキル基を示す。X、Yは、それぞれ、同一又は異なって、Hammett則における置換基
定数σp が0.20以下であって、炭素数1〜4の有機基を示し、m、nはスチルベン骨格
中のベンゼン環に置換基X及びYが置換されている数を表し、m=n=0である。) - 前記炭化水素系化合物の使用量が、電荷輸送層中の全バインダー樹脂100質量部に対し
、5質量部以上20質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光
体。 - 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、
帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静
電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、前記被
転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段、及び、前記電子写真感光体に付着
した前記トナーをクリーニングブレード使用して回収するクリーニング手段から選ばれる
少なくとも一つとを備えた電子写真カートリッジ。 - 請求項1又は2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と
、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光手段と、前記静
電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備
えることを特徴とする、画像形成装置。
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