JP5577722B2 - 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
有機系電子写真感光体においては、電荷キャリアの発生と移動の機能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の感光体が、材料選択の余地が大きく、感光体の特性の制御がし易いことから、開発の主流となっている。また、層構成の観点からは、電荷発生材と電荷輸送材料(正孔輸送材料や電子輸送材料)を同一の層中に有する単層型感光体と、別々の層(電荷発生層と電荷輸送層)中に分離、積層する積層型感光体が知られている。なお、当該単層型感光体とは、単に基体の上に一層しか層を有さない感光体を意味するのではなく、電荷発生層、電荷輸送層を別々に有する積層型感光体と異なり、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層内に有することを意味する。したがって、単層型感光体の感光層は、電荷発生材料と電荷輸送層を同時に有する層以外に、下引層、中間層、保護層を有している層も含む。
該電荷輸送層においては、好適な電子輸送材料がきわめて少ないのに対して、正孔輸送材料は特性の良好な材料が数多く知られている。そのため、このような正孔輸送材料を用いた積層型感光体においては、帯電においては負帯電方式が採用される。このような負帯電方式において、負のコロナ放電により感光体を帯電させる場合には発生するオゾンが環境および感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
すなわち本発明の第一の要旨は、感光層中に、電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、バインダー樹脂を同一層中に含有する正帯電電子写真感光体において、該電子輸送材料として、電子輸送能を有する顔料と、バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料を共に含有することを特徴とする正帯電電子写真感光体に存する(請求項1)。
また、本発明の第三の要旨は、電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする、第一または第2の要旨の正帯電電子写真感光体に存する(請求項3)。
また、本発明の第四の要旨は、バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料が、芳香族ニトロ化合物、シアノ化合物、キノン化合物、ナフタレンジカルボン酸二量体から選ばれるものであることを特徴とする、第一〜三の要旨のいずれかの正帯電電子写真感光体に存する(請求項4)。
また、本発明の第六の要旨は、第一〜四の要旨のいずれかの正帯電電子写真感光体を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記正帯電電子写真感光体を正に帯電させる帯電工程と、帯電された前記電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーで現像する現像工程と、前記トナーを被転写体に転写する転写工程とを有することを特徴とする、画像形成装置に存する(請求項6)
[I.電子輸送材料]
本発明においては、感光層の同一層中に使用する電子輸送材料として、電子輸送能を有する顔料と、バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料を共に用いることを特徴とする。
また、感光体においては、電荷発生材料と電荷輸送材料が同一層内に存在するため、光照射による電荷分離後の電荷キャリア、即ち移動中の正孔と電子が再結合する確率が高くなる。その結果として本来表面電荷を打ち消すべき電荷量が十分でなくなり、光減衰曲線の裾切れが悪い、即ち照射光エネルギーを上げても感光体の表面電位が速やかに減衰せず、ダラダラと減衰する原因となっていると考えられている(非特許文献1)。そのような再結合を抑えるためには、電荷発生材料から電子輸送材料への電子の受け渡し、および電子の感光層内の移動(電子輸送材料間の移動)を迅速にすることによって、電子の再結合確率を減らすことが重要である。現状では正孔移動に関しては、電荷発生材料からの正孔の受け渡し、及び正孔の移動は十分早いことから、この電子の移動過程が感光体の光減衰特性を大きく支配している。
生するなどの問題があった(図1(b))。
そこで、本願ではそれらの問題を解決するため、電荷発生材料からの電子の授受に優れる電子輸送能を有する顔料と、バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料を共存させることにより、電子の移動をよりスムーズにすることを狙ったものである。
、結晶析出が起こり難く、電子移動が十分でなくなり、露光部の電位が下がらないという問題も生じ難い。
以下、本発明に関わる電子写真感光体に関して説明する。
本発明の正帯電電子写真感光体は、特定構造を有する電子輸送材料を含有する感光層を備えるものである。感光層は、通常は導電性支持体(「導電性基体」ともいう)上に設けられる。
[II−1.導電性支持体]
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。支持体が粗面化されている方が、平滑である場合よりも感光層の接着性が増すため、好ましい。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物、有機顔料等を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポ
リアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。 なお、下引き層のバインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、バインダー樹脂は、バインダー樹脂のみで用いるほか、硬化剤とともに硬化した形で使用することもできる。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μm〜20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を含んでいても良い。
また、本発明の感光体の場合は、支持体上に直接感光層を塗布すると接着性が悪く、使用時に感光層が剥離してしまう可能性があることから、積層型感光体における電荷発生層を、下引き層の代用とすることもできる。この場合は、下引き層として、フタロシアニン顔料やアゾ顔料をバインダー樹脂中に分散して塗布したものなどが、電気特性、接着性、及び上層塗布での非溶解性の観点から好適に用いられる。
本発明の感光体は感光層を有し、この感光層の同一層内のバインダー樹脂中に、正孔および電子輸送材料が溶解あるいは分散され、さらに、電荷発生材料が分散されて構成される。
電荷発生材料の例としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にはフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
用いる電荷発生材料の粒子径は充分小さいことが望ましい。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
正孔輸送材料としては特に限定されず、任意の材料を用いることが可能である。公知の正孔輸送材料の例としては、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性材料などが挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。なお、正孔輸送材料は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
好適な正孔輸送材料の構造の一般例を以下に示す。
また、好ましい構造の具体例を以下に示す。
本発明の電子写真感光体は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料とバインダー樹脂を溶媒に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂(全芳香族ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。これらの中で、機械的特性と電気特性、塗布液特性の両立の観点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。なお、これら樹脂は滑り性を付与するために、シロキサン系のモノマーと共重合、あるいは末端封止してもよい。
系)の界面で進行される重縮合反応を利用する重合法である。例えば、ジカルボン酸塩化物を有機溶媒に、グリコール成分をアルカリ水等に溶かして、常温で両液を混合させて、2相にわけ、その界面で、重縮合反応を進ませて、ポリマーを生成させる。他の2成分の例としては、ホスゲンとグリコール水溶液などが挙げられる。また、ポリカーボネートオリゴマーを界面重合で縮合する場合のように、2成分をそれぞれ、2相に分けるのではなく、界面を重合の場として、利用する場合もある。
ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂に好適に用いる事の出来る芳香族ジオール成分の構造を以下に例示する。本例示は、本発明の趣旨を明確にするために行うものであり、本発明の趣旨に反しない限りは例示される構造に限定されるものではない。
なお、本願の感光体は、電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料を同一層内に有する正帯電電子写真感光体であり、光照射によって、主として感光体表面近傍深さ位置で電荷対が発生する。そのため、電子が表面の正電荷を打ち消すために必要な移動距離が短く、移動中の横方向の拡散が小さくなる。そのため、膜厚が厚くなったとしても画像ボケしにくい特長を有する。また、レーザーのような可干渉光を用いた場合でも、基体まで光が到達し難いことから、干渉縞等の欠陥を生じ難い。また、基体に欠陥が有っても画像に影響し難い点も特長として挙げられる。一方、積層型感光体は、上記の電荷の拡散による画像ボケが膜厚が厚くなるほど発生し易くなり、干渉縞、基体の欠陥の観点でも不利である。
感光体には、上記の下引層、感光層のほかにも、その他の層をさらに設けても良い。
例えば、感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。また、最表面層には、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、例えばフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含有させても良く、さらに、これらの樹脂からなる粒子や、シリカ、アルミナ等の無機化合物の粒子を含有させても良い。
下引き層、感光層、保護層などの各層の形成方法に制限は無い。例えば、形成する層に含有させる材料を溶媒に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体の上に、直
接又は他の層を介して順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。塗布方法は限定されず任意であり、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法などを用いることができる。この中でも、生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。なお、これらの塗布方法は、1つの方法のみを行なうようにしてもよいが、2以上の方法を組み合わせて行なうようにしてもよい。塗布後、乾燥により溶媒を除去することにより、感光層を形成する。
本発明に用いる感光層の場合、例として以下の方法により塗布液を調整することが可能である。即ち、電荷発生材料、電子輸送能を有する顔料を、溶媒中で公知の方法で分散し、分散液を調整する。一方、相溶性電子輸送材料、正孔輸送材料、バインダー樹脂、添加剤等を溶媒に溶解させ、これにあらかじめ調整しておいた分散液を混合し、必要に応じて更に分散処理を行い、塗布液を調整する。該分散液調整の際には、電荷発生材料、電子輸送能を有する顔料を別々に分散してから混合するより、粉体で混合してから一緒に分散する方が、粒子同士の接触が密になったり、共晶に近い状態に成りやすく、電荷発生材料から電子輸送能を有する顔料への電荷の移動がスムーズに行なわれるため、有利である。
本発明の感光体は、後述する画像形成装置に用いられることにより、画像形成の用途に使用されるものである。ただし、本発明の感光体は正帯電型の感光体であり、電子写真プロセスの帯電工程において、正に帯電されて使用されるものである。
本発明の感光体は、画像形成の際には、露光手段から書き込み光によって露光を行なわれて静電潜像を形成されることになる。この際に用いられる書き込み光は静電潜像の形成が可能である限り任意であるが、中でも、露光波長が通常380nm以上、中でも400nm以上、また、通常800nm以下の単色光を用いる。中でも480nm以下の単色光を用いると感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができることから、高品質の画像を得たい際に480nm以下の単色光で露光することは好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図2を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図2ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(本発明の電子写真感光体カートリッジ。以下適宜、「感光体カートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。ただし、帯電装置2は、カートリッジとは別体に、例えば、画像形成装置の本体に設けられていてもよい。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
り、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉砕法のほか、懸濁重合法や乳化重合法などによる重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう(現像工程)。現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現
像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、正極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、感光体1は、上記のように帯電装置2と組み合わせてカートリッジとして構成するほか、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(電子写真感光体カートリッジ)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。したがって、感光体1は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4及び転写装置5の内、少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジとすることが出来る。この場合も、上記実施形態で説明したカートリッジと同様に、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
[感光体製造例1]
下引き層は、次のようにして製造した。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すY型チタニルフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン
150重量部に加え、サンドグラインドミルにて1時間粉砕分散処理を行い、顔料分散液を調整した。次に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)を10重量% 1,2−ジメトキシエタン100部に溶解して、バインダー溶液を調整した。上記顔料分散液160重量部を、上記バインダー溶液100重量部に混合し、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、直径24mm、厚さ0
.75mmの表面を切削加工したアルミニウム管上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように浸漬塗布後、室温下で乾燥して下引き層を設けた。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が7.5゜、28.5゜に強い回折ピークを示す電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニン3重量部、下記構造式(PIG−1)で示される電子輸送能を有するペリレン顔料7重量部を、トルエン200重量部と共にサンドグラインドミルにより1時間混合分散して、顔料分散液を調整した。一方、前記構造式(C−1)で示される正孔輸送材料60重量部、前記構造式(C−3)で示される正孔輸送材料20重量部、下記構造式(ETM−1)で示される相溶性電子輸送材料20重量部、下記構造式(B−1)で示されるバインダー樹脂(粘度平均分子量約40,000)100重量部、酸化防止剤として、チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名IRGANOX1076を8重量部、同じく酸化防止剤としてトリベンジルアミン1重
量部、レベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン400重量部に加え、60℃に加熱して溶解させた。この溶液を室温まで冷却後に、上記の顔料分散液を、ホモジナイザーにより均一になるように混合して、孔径10μmのフィルターでろ過して、塗布液を調整した。このように調製した塗布液を、上述の下引き層上に、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し、感光体1を作製した。
上記構造式(ETM−1)で示される電子輸送材料を10重量部に変更した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体2を得た。
[感光体製造例3]
上記構造式(ETM−1)で示される電子輸送材料を30重量部に変更した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体3を得た。
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−16で表される正孔輸送材料を80重量部使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体4を得た。
[感光体製造例5]
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−20で表される正孔輸送材料を50重量部使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体5を得た。
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−22で表される正孔輸送材料を50重量部使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体6を得た。
[感光体製造例7]
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−30で表される正孔輸送材料を80重量部使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体7を得た。
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−12で表される正孔輸送材料を80重量部使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体8を得た。
[感光体製造例9]
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−2を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体9を得た。
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−10を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体10を得た。
[感光体製造例11]
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−7を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体11を得た。
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−12を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体12を得た。
[感光体製造例13]
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1を4重量部に変更した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体13を得た。
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1を5重量部に変更した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体14を得た。
[感光体製造例15]
電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニンを2重量部に変更した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体15を得た。
電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニンを4重量部に変更した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体16を得た。
[感光体製造例17]
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1に代えて、前記PIG−2、PIG−3の1:1混合物を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体17を得た。
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1に代えて、前記PIG−4を使用した以
外は、感光体製造例8と同様にして、感光体18を得た。
[感光体製造例19]
電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニンに代えて、X型無金属フタロシアニンを使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体19を得た。
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−2を使用した以外は、感光体製造例19と同様にして、感光体20を得た。
[感光体製造例21]
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−10を使用した以外は、感光体製造例19と同様にして、感光体21を得た。
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−7を使用した以外は、感光体製造例19と同様にして、感光体22を得た。
[感光体製造例23]
相溶性電子輸送材料として、前記ETM−1に代えて前記ETM−12を使用した以外は、感光体製造例19と同様にして、感光体23を得た。
電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニンに代えて、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すY型チタニルフタ
ロシアニンを使用し、正孔輸送材料として、前記C−12に代えてC−23を使用した以外は、感光体製造例8と同様にして、感光体24を得た。
電荷発生材料のα型チタニルフタロシアニンに代えて、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示すY型チタニルフタ
ロシアニンを使用した以外は、感光体製造例1と同様にして、感光体25を得た。
[比較感光体製造例1]
相溶性電子輸送材料のETM−1を使用しなかった以外は、感光体製造例1と同様にして、比較感光体1を得た。
相溶性電気輸送材料のETM−1を使用しなかった以外は、感光体製造例8と同様にして、比較感光体2を得た。
[比較感光体製造例3]
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1を使用しなかった以外は、感光体製造例1と同様にして、比較感光体3を得た。
相溶性電子輸送材料のETM−1を使用しなかった以外は、感光体製造例24と同様にして、比較感光体4を得た。
[比較感光体製造例5]
相溶性電子輸送材料のETM−1を使用しなかった以外は、感光体製造例25と同様にして、比較感光体5を得た。
正孔輸送材料として、前記C−1およびC−3に代えて、前記C−12で表される正孔輸送材料80重量部を使用し、電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1を使用せず
、相溶性電子輸送材料のETM−1を30重量部使用した以外は、比較感光体製造例5と同様にして、比較感光体6を得た。
相溶性電子輸送材料のETM−1を使用しなかった以外は、感光体製造例19と同様にして、比較感光体7を得た。
[比較感光体製造例8]
電子輸送性顔料であるペリレン顔料PIG−1を使用しなかった以外は、感光体製造例19と同様にして、比較感光体8を得た。
上記で作製した感光体1〜25、比較感光体1〜8ついて、以下の電気特性試験を行なった。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体を80rpmで回転させながら、初期表面電位が+700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを、透過率の異なるNDフィルターを使用して光量を変化させて表面電位の減衰挙動を測定した。その際、各光量で露光後、いったん660nmのLED光を除電光として露光し、残存電荷の多くをキャンセルした。測定値としては、表面電位が半減するのに必要な露光量(半減露光量:E1/2と称する)、および780nmの単色光を1.7μJ/cm2露光した際の表面電位
(明電位;VL1と称する)を求めた。さらに、除電光を全く使用しないで測定した場合のE1/2と、780nmの単色光を1.7μJ/cm2露光した際の明電位(VL2と
称する)も同様に求めた。また、除電有無での明電位差であるVL1−VL2の値をΔVLとした。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を100msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。測定結果を表1に示す。除電光が無い場合は、電子が感光層に残留し易く、次露光での明電位に悪影響を与える。表1の結果より、電子輸送性顔料のみで、相溶性電子輸送材料を使用しない比較感光体1,2,4,5は除電光を使用しない場合の明電位の上昇が大きい。一方、相溶性電子輸送材料のみで電子輸送性顔料を使用しないものに関しては、比較感光体3、比較感光体8は明電位が大き過ぎ(光減衰が不十分)、比較感光体6は除電無しの場合の電位上昇が大き過ぎる。安価プロセスでは除電光が無い場合が多く、その場合、ΔVLが小さくなるほど、ゴースト(残像、画像メモリー)が顕著になるため、画像として不適切となる。また、明電位の絶対レベルが大き過ぎる場合は、画像濃度が低くなる問題が生じる。
上記で作製した感光体1〜25、比較感光体1〜8を、パナソニックコミュニケーションズ社製FAXプリンター機KX−FLB801(除電プロセス無し)のカートリッジに搭載して画像試験を行った。画像濃度、ゴーストの程度を、表1に5段階で示す。画像濃
度は1が薄く、5が十分濃度が出ていることを表し、ゴーストは、5が最も良好(発生無し)で、1が最も悪い(鮮明に発生)ことを表す。いずれも、3以上が実用に耐え得るレベルを表す。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
Claims (6)
- 感光層中に、電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、バインダー樹脂を同一層中に含有する正帯電電子写真感光体において、
該電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであり、
該電子輸送材料として、電子輸送能を有する顔料と、バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料を共に含有し、かつ、該電子輸送能を有する顔料がペリレン顔料である
ことを特徴とする正帯電電子写真感光体。 - 前記バインダー樹脂と相溶する電子輸送材料が、芳香族ニトロ化合物、シアノ化合物、キノン化合物、ナフタレンジカルボン酸二量体から選ばれるものであることを特徴とする、請求項1に記載の正帯電電子写真感光体。
- 除電プロセスの無い電子写真プロセスにおいて使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の正帯電電子写真感光体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の正帯電電子写真感光体と、少なくとも該電子写真感光体を正に帯電させる帯電手段とを備えることを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の正帯電電子写真感光体を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記正帯電電子写真感光体を正に帯電させる帯電工程と、帯電された前記電子写真感光体に対し露光を行ない静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーで現像する現像工程と、前記トナーを被転写体に転写する転写工程とを有することを特徴とする、画像形成装置。
- 除電プロセスを有さないことを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
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