JP2015191167A - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な感度特性を有し、かつ露光メモリーを発生し難い電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を含む単層型感光層を有する接触帯電方式に用いられる正帯電用電子写真感光体であって、前記電荷発生物質が、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ?0.2?)7.6?、10.3?、22.5?、24.2?、25.4?及び28.6?に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン組成物であることを特徴とする、正帯電用電子写真感光体。【選択図】なし

Description

本発明は、電荷発生剤として特定の物質を含有させることにより、メモリー特性に対し優れた効果を発揮する電子写真感光体及び画像形成装置、カートリッジに関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、複写機、各種プリンター等の分野で広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体( 以下、単
に「感光体」ともいう。) については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利
点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系電子写真感光体においては、電荷の発生と移動の機能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の感光体が、材料選択の余地が大きく、感光体の特性の制御がし易いことから、開発の主流となっている。層構成の観点からは、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一の層中に有する単層型の電子写真感光体(以下、単層型感光体という。)と、電荷発生材料と電荷輸送材料を別々の層(電荷発生層と電荷輸送層)中に分離、積層する積層型の電子写真感光体(以下、積層型感光体という。)が知られている。
このうち積層型感光体は、感光体設計上からは、層ごとに機能の最適化が図り易く、特性の制御も容易なことから、現行感光体の大部分はこのタイプになっている。このような積層型感光体のほとんどのものは、基体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層をこの順序で有している。該電荷輸送層においては、好適な電子輸送材料がきわめて少ないのに対して、正孔輸送材料は特性の良好な材料が数多く知られている。そのため、このような正孔輸送材料を用いた積層型感光体においては、帯電においては負帯電方式が採用される。このような負帯電方式において、負のコロナ放電により感光体を帯電させる場合に、発生するオゾンが環境及び感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
それに対し、単層型感光体においては、負帯電方式であっても正帯電方式であっても利用できるので、正帯電方式を利用すれば、上記積層型感光体で問題になるオゾン発生を低く抑えることができる。そのため、電気特性面では負帯電の積層型感光体よりも劣るものが多いものの、一部実用化されている。このようなオゾン発生に対する効果の他にも、単層型感光体は、塗布工程が少なくなる、半導体レーザー光に対する干渉縞が生じ難い、等の利点がある。単層型感光体では、以上のような利点に加え、更に、感光層の表面近傍で入射光のほとんどが吸収され、電荷が発生するので、入射光の感光層中での拡散はほとんど無視でき、更に帯電後の表面電荷が中和するまでの電荷の移動距離が積層型感光体に比べて少ないという利点が挙げられる。このため、光の拡散及び電荷の拡散による画像ボケが起き難く、高解像度が期待できるだけでなく、感光層の膜厚をより厚くした場合にも電荷の拡散及び入射光の拡散の度合いがさほど変わらず、解像度もあまり低下しない(例えば、特許文献1〜5を参照)。
また、電子写真感光体の帯電方式としては接触帯電方式と非接触帯電方式とがあるが、電子写真感光体の表面を帯電させる際に、電子写真感光体の寿命やオフィス環境に悪影響を与えるオゾン等の酸化性ガスをほとんど発生しないことから、接触帯電方式と正帯電単層型電子写真感光体とを組み合わせて使用することが、酸化性ガスの影響を抑制する意味で好ましい。
しかし、接触帯電方式では、放電領域が狭いため、非接触帯電方式よりも帯電能力に乏しく、電子写真感光体表面を均一に帯電させにくい為、前周回において露光された部分の
電位(明電位)が残留して、次の周における帯電工程を経ても、かかる部分においては所望する帯電電位(暗電位)を得ることができない現象(露光メモリー)が発生しやすい問題がある。そして、露光メモリーの発生する部分と発生しない部分とでは画像濃度が変わってしまい、良好な画像を得難い問題がある。
このような理由から、接触帯電方式に帯電部を備える画像形成装置において、正帯電単層型電子写真感光体を使用する場合、非常に露光メモリーが発生しやすく、露光メモリーの発生にともないゴースト等の画像不良を発生しやすい。
露光メモリーの発生を抑制する手段として、感光層の膜厚を薄くすること、感光層に含有させる電荷発生材料の含有量を少なくすることが有効であるが、その場合には、感光層の露光光に対する感度が低下するため、所望の画像濃度が得られないといった課題があった。近年、電子写真プロセスの高速化に対応するため、より少ない露光エネルギーでも十分な明電位を得られる高感度特性を持った感光体が望まれているが、前述の課題のため、十分な感度と良好なメモリー特性を両立させることが難しかった。
また、露光メモリーの発生を抑制するためには、電荷輸送能に優れた電荷輸送剤を用いることが有効であり、種々の化合物が検討されてきた。(特許文献6〜9)
特開昭61−77054号公報 特開昭61−188543号公報 特開平2−228670号公報 特公平7−97223号公報 特公平7−97225号公報 特開2013−050559号公報 特開2013−029777号公報 特開2012−234000号公報 特開2012−208231号公報
しかし、露光メモリーは、種々の要因から発生するものであって、先行技術で検討されてきた電荷輸送剤の使用のみにより、必ずしも露光メモリーの発生が抑制されるともいえない。また、先行技術では感光層に含有される電荷発生剤について、露光メモリーに与える影響が明らかにされていなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、接触帯電方式の帯電部を備え、正帯電単層型電子写真感光体を用いる画像形成装置において、良好な感度特性とメモリー特性の両方を有する正帯電単層型電子写真感光体を提供することを目的とする。また、本発明は前述の正帯電単層型電子写真感光体を像担持体として備える画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、導電性支持体上に感光層が形成された正帯電用電子写真感光体において、特定の電荷発生物質を使用することにより、接触帯電方式の帯電部を備える画像形成装置において正帯電単層型電子写真感光体を用いる場合に、良好な感度特性とメモリー特性の両方を有することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
本発明の要旨は下記の<1>〜<6>に存する。
<1>導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を含む単層型感光層を有する接触帯電方式に用いられる正帯電用電子写真感光体であって、前記電荷発生物質が、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°及び28.6°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン組成物であることを特徴とする、正帯電用電子写真感光体。
<2>前記電荷発生物質の含有量が、バインダー樹脂100質量部に対し2質量部以上10質量部以下であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
<3>前記感光層の膜厚が、15um以上40um以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真感光体
<4>前記感光層が、下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに電子写真感光体。
(式(1)中、Ar〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。nは2以上の整数を表す。Zはアルキル基を表し、mは0〜4の整数を表す。ただし、Ar及びArのうち、少なくとも一つは、置換基を有するアリール基である。)
<5>前記感光層が、下記式(2)又は(3)で表される化合物を含有することを特徴とする、<1>〜<4>のいずれかに電子写真感光体。
(式(2)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキル基を表し、nは0または1を表す。)
(式(3)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数15以下のアルキル基を表す。)
<6><1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
<7><1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、正帯電の接触帯電方式の画像形成装置において、良好な感度特性とメモリー特性の両方を有する正帯電単層型電子写真感光体を提供できる。また、本発明によれば、前述の正帯電単層型電子写真感光体を像担持体として備える、露光メモリーの抑制により画像不良の発生を抑制できる画像形成装置を提供できる。
本発明の実施例1で使用したオキシチタニウムフタロシアニン組成物のX線回折パターンである。 本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明の実施例1で使用したオキシチタニウムフタロシアニン組成物のX線回折パターンである。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
≪正帯電用電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は単層型感光層を有する。単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
<導電性支持体>
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使
用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性、ブロッキング性等の改善、支持体の表面欠陥の隠ぺい等の目的のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形
で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
本発明の単層型感光体においては、積層型感光体を構成する電荷発生層を下引き層の代用とすることもできる。この場合は、フタロシアニン顔料やアゾ顔料をバインダー樹脂中に分散して塗布したもの等が、電気特性が優れる場合があることから好適に用いられる。中でも、フタロシアニン顔料(フタロシアニン化合物)を用いることが、電気特性の点から、より好ましい。バインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂類が好ましく用いられ、特にはポリビニルブチラール樹脂が好ましく用いられる。その場合、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2°が27.2°に明瞭なピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを混合することが好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<電荷発生物質>
本発明の電荷発生物質は、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°及び28.6°に主たる回折ピークを示す。前記ピークは、一般的にはB型もしくはα型と呼ばれる結晶型のものである。本発明に係るオキシチタニウムフタロシアニン組成物はこれらの結晶型を有するものであれば、どのような製造方法であってよい。
製造方法の一例としては、フタロニトリルと四塩化チタンを原料として用い、ジクロロチタニウムフタロシアニンを製造した後、該ジクロロチタニウムフタロシアニンを加水分解及び溶媒処理することによりオキシチタニウムフタロシアニン組成物を製造することができる。このときの溶媒処理で特定の溶媒を使用することにより結晶型をつくり分けることが可能であり、A型では例えばN−メチル−2−ピロリドンを用い、B型では例えばブタノールを用いて処理することにより、所望の結晶型のオキシチタニウムフタロシアニン組成物を製造することができる。
製造方法としては他にも、原料として1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドを用いてオキシチタニウムフタロシアニン組成物を得る方法は、一般的に行われている。また、オキシチタニウムフタロシアニン組成物にアシッドペースト処理、あるいは機械的磨砕処理を行い、アモルファス状態のオキシチタニウムフタロシアニン組成物とし、これを特定の溶媒で処理することにより、所望の結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンを製造することもできる。
本発明のオキシチタニウムフタロシアニン組成物は、塩素原子、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基、またはスルホン酸基等の置換基で置換された、各種フタロシアニン誘導体を含有していてもかまわない。
また、オキシチタニウムフタロシアニン組成物は、本発明に係る前述した1種を単独、あるいは2種類を混合して用いてもよい。また、主成分が本発明に係る前述のオキシチタニウムフタロシアニン組成物であれば、それとは異なる公知の顔料を混合して2種類以上の顔料を用いてもよい。主成分とは使用する電荷発生物質の総量に対し、50質量%以上
の含量である成分を指す。このとき混合する電荷発生物質としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられ、これらの中でも、光感度の面から、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質としてこれらの顔料を使用する場合、通常はこれらの顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体を得ることができる。また、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、または、660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば380〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して高感度の感光体を得ることができる。可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、フタロシアニン顔料とはジスアゾ顔料又はトリスアゾ顔料を組み合わせて用いることがより好ましい。
前記オキシチタニウムフタロシアニン組成物にフタロシアニン顔料を混合する場合、フタロシアニン顔料として、具体的には、無金属フタロシアニン及び金属含有フタロシアニンが使用される。金属含有フタロシアニンの具体的な例としては、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるD型(別称Y型)のオキシチタニウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体、及び無金属フタロシアニンが好適に用いられる。中でもD型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
前記オキシチタニウムフタロシアニン組成物は、多すぎると帯電性及び感度の低下を招く虞があるため、通常感光層に対して1質量%以上、好ましくは2質量%以上、また、20質量%以下、好ましくは10質量%以下で使用される。
<バインダー樹脂>
本発明に係る電子写真感光体の感光層形成用塗布液に用いられるバインダー樹脂としては、感光層形成用塗布液に用いられる有機溶媒に可溶であれば、特に限定されるものではない。バインダー樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂
、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これらのバインダー樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられるバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、機械的強度の観点から、下限は通常20,000以上、好ましくは30,000以上、より好ましくは50,000以上である。また、前記化合物の分散性、塗布液の粘度等の生産性の観点から、上限は通常100,000以下、好ましくは90,000以下、より好ましくは80,000以下である。なお、粘度平均分子量は、例えばウベローデ型毛細管粘度計等を用いて、公知の方法で測定することができる。
<電荷輸送物質>
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、ペリレン等のイミド化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子輸送物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の正孔輸送物質等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。この中でも、単層型感光層における電気特性の観点から、下記式(1)で表される正孔輸送物質を少なくとも一種含することが好ましい。
(式(1)中、Ar〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。nは2以上の整数を表す。Zはアルキル基を表し、mは0〜4の整数を表す。ただし、Ar及びArのうち、少なくとも一つは、置換基を有するアリール基である。)
上記式(1)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が好ましく、電荷輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよ
いフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。Ar〜Arがフェニル基である場合、電荷輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましい。また、Ar〜Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。Ar〜Arは、窒素原子に対してオルト位又はパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが好ましく、置換基としては、表面抵抗低減抑制の観点からアルキル基を有することが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。
Zはアルキル基であり、前記Ar〜Arが有していてもよい置換基で列記したものが適用できる。nは2以上、mは0〜4の整数を表す。m、nが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから、好ましくは、nは3以下、mは2以下であり、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましくは、nは1、mは0である。
また、単層型感光層における電気特性の観点から、下記式(2)又は(3)で表される電子輸送物質を少なくとも一種含することが好ましい。
(式(2)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキル基を表し、nは0または1を表す。)
(式(3)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数15以下のアルキル基を表す。)
〜Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、ターシャリーブチル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、R〜Rは、電子輸送能の観点から分岐状アルキル基が好ましい。
以下の具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
感光層中のバインダー樹脂と前記正孔輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電気特性の観点から、通常、正孔輸送材料を10質量部以上であり、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。一方、電気特性の安定性の観点から、通常、正孔輸送材料を120質量部以下であり、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。
感光層中のバインダー樹脂と前記電子輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、光疲労抑制の観点から、通常、電子輸送材料を10質量部以上であり、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がより好ましい。一方、電気特性の安定性の観点から、通常、電子輸送材料を100質量部以下であり、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
<感光層形成用塗布液>
前記感光層形成用塗布液に用いる有機溶媒としては、バインダー樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノンお、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のエーテルケトン溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。後述の下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、または2種以上を併用しても用いることが可能である。
また、塗布液の固形分濃度及び粘度は、塗布性の観点から、以下のような範囲が好ましい。通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、使用時の温度において、通常50mPa・s以上、好ましくは100mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
<感光層形成用塗布液の製造方法>
単層型感光層形成用の塗布液の製造方法としては、公知の方法、例えばサンドグラインドミル、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、及び超音波分散機等を用いて、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂及び有機溶媒を分散混合して塗布液を調整することができる。これら含有物のすべてを同時に分散混合してもよいし、前記含有物の一部を別々に有機溶剤に混合または分散させたものを、最後に調合することで塗布液を作製してもよい。
電荷発生物質の塗布液中における分散状態を保持する目的で、分散助剤を添加してもよい。分散助剤としては、シリカ粒子が好適に用いられる。シリカ粒子の平均一次粒径は、1〜100nmが好ましく、3〜50nmがより好ましく、5〜20nmが更に好ましい。シリカ粒子は、粒子の分散性を向上させるため表面処理されていてもよい。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、リング塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
塗布液の乾燥は、室温における放置乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図2に基づいて説明する。
図2において、1はドラム状感光体であり、正帯電方式の電子写真プロセスに用いられる。矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段2により、その表面に正の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部3において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。
形成された静電潜像は、次に現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により給紙部から給送された印刷媒体(紙など)Pに、中間転写体を介さずに順次直接転写されていく。図2では、現像手段4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像手段4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
像転写された転写体はついで定着手段7に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。定着手段7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図2では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及
び下部の各定着部材71、72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段6により転写残りのトナーが除去され、除電手段により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するにあたって、接触帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写行程はコロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法が用いられる。転写電圧としては、通常負の直流電圧が使用されるが、交流成分を重畳させることも行われる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。また、本発明に係る電子写真感光体、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6を備える画像形成装置に適用することも可能である。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」
あるいは「重量部」を示す。
[実施例1]
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3°に強い回折ピークを示し、図3に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液を、ポリビニルブチラール(電気化学工業社製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部と適量の1,2−ジメトキシエタンに加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の分散液を作製した。
この分散液を、外径24mm、長さ248mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダー上に、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して下引き層を形成した。
次に、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°及び28.6°に主たる回折ピークを示し、図1に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン(B−TiOPc)4.5質量部をトルエン124質量部と共にサンドグラインドミルにより分散することで、オキシチタニウムフタロシアニン分散液を得た。また、シリカ粒子(AEROSIL製 R972)4.5質量部をテトラヒドロフラン108質量部に加え、超音波分散することで、シリカ粒子分散液を得た。前記オキシチタニウムフタロシアニン分散液と前記シリカ粒子分散液を混合し、超音波分散することで、顔料分散液を得た。一方、下記構造で表される正孔輸送材料(CT−1)70質量部と、下記構造で表される電子輸送材料(ET−1)40質量部と、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート樹脂(Binder-1)100質量部とをテトラヒドロフラン450質量部に溶解した。これにレベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を加え、更に前記顔料分散液を加えて、ホモジナイザーにより均一になるように混合した。このように調製した塗布液を、上述の下引き層上に、乾燥後の膜厚が15μmになるように浸漬塗布して感光層を形成し、125℃で20分加熱乾燥することで単層型感光体を得た。
[実施例2〜15]
表−1のとおりに、感光層膜厚、電子輸送剤種類、B−TiOPcの質量部を変更した以外は、実施例1と同様にして単層型感光体を得た。
[比較例1]
B−TiOPcの代わりに無金属フタロシアニン(HPc)を用い、シリカ粒子分散液を混合しないこと以外は、実施例1と同様にして単層型感光体を得た。
[比較例2〜4]
表−1のとおりに、感光層膜厚を変更した以外は、比較例1と同様にして単層型感光体を得た。
<電気特性試験>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体ドラムを一定回転数50rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が+700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを露光したときの露光後表面電位が、初期表面電位の半分の値をとった時の露光エネルギーを感光層の感度(μJ/cm)とした。このとき、露光から電位測定に要する時間を233ミリ秒とした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
<画像評価試験>
実施例及び比較例で得られた正帯電単層型感光体を、帯電ローラーによる接触帯電方式を用いるプリンター(FS−1040、京セラミタ株式会社製)に装着し、印刷画像を観察した。ハーフトーンの画質評価は、画像が均一でカスレが全くない場合を◎、画像が均一であるが、濃度の低下から軽微なカスレが見られる場合を〇、画像の一部にカスレが見られる場合を△、画像全面にカスレが見られる場合を×とした。また、カブリの評価は、カブリが全く無く良好な場合を◎、概ね良好であるが軽微なカブリが見られるものを〇、画像の一部にカブリが見られる場合を△、画像全面にカブリが見られる場合を×とした。また、露光メモリーの評価は、感光体の前周の印字パターン(一辺が20mmのアルファベット)が次週のハーフトーン上に現れる露光メモリーの強さを評価した。前周の印字パターンがハーフトーン上にまったく現れない状態を◎、前周の印字パターンがごくわずかに現れる状態を〇、前周の印字パターンがぼんやりと現れるが、読み取れない状態を△、前周の印字パターンがくっきりと現れ、明瞭に読み取れる状態を×とした。評価結果を表−1に示す。
実施例1〜6及び比較例1〜4の評価結果より、感光層膜厚を増加させることで感度を向上させることができる反面、露光メモリーが悪化する傾向にあることがわかる。その中でも、同一の感光層膜厚で比較した場合、実施例1〜6の感光体は、比較例1〜4の感光体に比べてより高感度を示すことがわかる。つまり、実施例に示す感光体を用いることによって、接触帯電方式の帯電部を備え、正帯電単層型電子写真感光体を像担持体として備える、露光メモリーが生じやすい画像形成装置あっても、感光層膜厚の増加などの方法により露光メモリーを過度に悪化させることなく、高感度な感光体を得ることができる。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を含む単層型感光層を有する接触帯電方式に用いられる正帯電用電子写真感光体であって、前記電荷発生物質が、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°及び28.6°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン組成物であることを特徴とする、正帯電用電子写真感光体。
  2. 前記電荷発生物質の含有量が、バインダー樹脂100質量部に対し2質量部以上10質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層の膜厚が、15um以上40um以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体
  4. 前記感光層が、下記式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
    (式(1)中、Ar〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。nは2以上の整数を表す。Zはアルキル基を表し、mは0〜4の整数を表す。ただし、Ar及びArのうち、少なくとも一つは、置換基を有するアリール基である。)
  5. 前記感光層が、下記式(2)又は(3)で表される化合物を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
    (式(2)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキル基を表し、nは0または1を表す。)
    (式(3)中、R,Rはそれぞれ独立して炭素数15以下のアルキル基を表す。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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