JP6264084B2 - 電子写真感光体、カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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本発明は、複写機やプリンター等に用いられる電子写真感光体および画像形成装置、カートリッジに関するものである。より詳しくは、導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層に特定構造の物質を含有することにより、潜像書き込み時の表面電位、及び残留電位を低減し、機械特性、電気特性に優れた性能を発揮する電子写真感光体、カートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
電子写真技術は、即時性に優れ、且つ、高品質の画像が得られること等から、複写機、各種プリンター、印刷機等の分野で広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した電子写真感光体(以下に、単に「感光体」ともいう。)が使用されている。
有機系の光導電材料を使用した電子写真感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させた、いわゆる分散型の単層型感光体や、導電性支持基体上に電荷発生層及び電荷輸送層を積層した、積層型感光体が知られている。導電性支持基体上に直接感光層を塗布する電子写真感光体では、導電性支持基体と感光層が近接するため電荷が感光層に注入するおそれがあり、微視的な表面電荷の消失もしくは減少により画像欠陥が発生することがある。このような画像欠陥の防止を意図して、導電性支持基体からの電荷注入阻止、導電性支持基体表面欠陥の隠蔽、感光層と基体の接着性向上などのために、導電性支持基体と感光層の間に、下引き層を設けることが行われている(特許文献1)。
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久化しており、特に高画質化については、電子写真感光体側にさらなる改良が求められている。一方、電子写真感光体は、高性能であるとともに安価であることも継続的に求められている。このような要求を満たす技術の一つとして、安価な導電性基体上に下引き層を導入し、電気特性の安定化、画像特性の安定化を図る手法が知られている。
例えば、導電性支持体表面の粗さに起因する光学干渉や基体表面の欠陥に起因する画像欠陥を回避するために、下引き層を導入する技術が開示されている(特許文献2、3)。
また、下引き層に着目すると、電子写真感光体の機能向上を目指すために、下引き層に特定の化合物を使用する技術がある。例えば、下引き層中に種々の電子輸送性有機化合物を含有し、電子写真感光体の環境特性や画像特性を改良する技術が開示されている(特許文献4−6)。さらに、下引き層にアントラキノン構造を含む反応性アクセプター物質を含有することで、前サイクルの作像履歴が次サイクルに残りにくい電子写真感光体が開示されている(特許文献7)。一方、シアノ含有フェノール誘導体、スルホン酸エステル誘導体等の化合物を電子写真感光体の感光層に使用し、電子写真感光体の耐久性を改良する技術が知られている(特許文献8、9)が、下引き層に使用することについて開示はない。感光層と下引き層との担う機能の違いから、特定の化合物を含有する層が異なると、該化合物を含有することによる効果も異なる。
特開2000−242016号公報 特開2001−100595号公報 特開2002−287395号公報 特開2002−091044号公報 特開2004−093792号公報 特開2010−127963号公報 特開2013−200417号公報 特開昭58−54346号公報 特開平3−48852号公報
電子写真感光体が下引き層を有する場合には、導電性基体の影響を緩和できるが残留電位が上昇する問題があった。本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、下引き層を有する場合において、潜像書き込み時の露光エネルギーに対する電子写真感光体の表面電位、及び残留電位を低減し、画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、また、カートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは電子写真感光体において、 下引き層に下記一般式(1)で示されるベン
ザルマロノニトリル化合物を含有することにより、潜像書き込み時の露光エネルギーに対する感光体表面電位、及び残留電位の低減という電気特性的に良好な効果が得られることを見出した。即ち本発明の要旨は以下の6点に存する。
<1>導電性支持体上に下引き層及び感光層を有する電子写真感光体であって、前記下引き層が、下記一般式(1)に示すベンザルマロノニトリル化合物と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0006264084
(一般式(1)中、Xはシアノ基,アルコキシ基,ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、-OSOAr、又は-OCOArを表す。Ar及びArは、シアノ基,アルキル基,ヒドロキシル基、ハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
<2>前記一般式(1)中、Xが-OSOArである<1>に記載の電子写真感光体

<3>前記一般式(1)中、Xがシアノ基,アルコキシ基,ヒドロキシル基、ニトロ基又はハロゲン原子である<1>に記載の電子写真感光体。
<4>下引き層が、金属酸化物粒子を含む<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体。
<5>前記金属酸化物粒子が酸化チタン又は酸化アルミニウムである<4>に記載の電子写真感光体。
<6>前記感光層がポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真感光体。
本発明によれば、潜像書き込み時の露光エネルギーに対する電子写真感光体の表面電位、及び残留電位を低減する事ができる。
本発明に係る画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で使用するチタニルフタロシアニン顔料のCuKα特性X線回折ピークを示すチャート図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
[電子写真感光体]
以下、本発明の電子写真感光体について詳述する。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム基体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な基体が得られるので好ましい。
<下引き層>
前記導電性支持体と後述する感光層との間には、下引き層が設けられる。下引き層は、一般式(1)に示すベンザルマロノニトリル化合物、及びバインダー樹脂を含有する。また、下引き層は複数の層を有していてもよく、複数の層を有する場合、電気的ブロッキング機能を保持しつつ、ゴースト画像の発生を抑制する観点からは、導電層及びブロッキング層を有する二層型下引き層が好ましい。この場合、導電層にはカーボンブラック、金属粒子や金属酸化物粒子等の導電性粒子、及びバインダー樹脂を含有し、ブロッキング層には感光体表面に帯電される電荷とは同極性の電荷を移動できる機能を有するもの、及びバインダー樹脂を含有することが好ましい。
又、厚膜化による残留電位の観点からは、導電性及びブロッキングの両方の機能を有する単層型下引き層が好ましい。
〔金属酸化物粒子〕
下引き層は残留電位の観点から金属酸化物粒子を含有することが好ましい。金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などが挙げ
られる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの中でも屈折率の大きい材料を有することが有効でモアレ像の発生を防止する隠蔽力の観点から、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。バインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.25μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.75μm以上である。また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。また、下引き層は、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させてもよい。
〔ベンザルマロノニトリル化合物〕
本発明における下引き層は、一般式(1)に示すベンザルマロノニトリル化合物を含有する。
Figure 0006264084
一般式(1)中、Xはシアノ基,アルコキシ基,ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子,-OSOAr,又は-OCOArを表す。Ar及びArはシアノ基,アルキル基,ヒドロキシル基、ハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表す。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。これらの中でも、残留電位の観点から、塩素原子が好ましい。Ar及びArの有していてもよい置換基のハロゲン原子としては、具体的にはXとして前記したものが適用できる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく
、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましい。残留電位低減の観点から、Xはヒドロキシル基、又は-OSOArが好ましく、
Arは塩素原子を有するフェニル基であることが好ましい。nは1〜5の整数を表し、残留電位低減の観点から1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。Xの置換位置は、製造容易性の観点からオルト位又はパラ位であることが好ましく、残留電位低減の観点からパラ位がより好ましい。好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、これらの態様に限定されない。
Figure 0006264084
下引き層中において、バインダー樹脂とベンザルマロノニトリル化合物との割合は、残留電位低減の観点から、バインダー樹脂100質量部に対してベンザルマロノニトリル化合物を1質量部以上の比率で使用する。中でも、繰り返し使用した際の安定性の観点から、5質量部以上が好ましく、更には、電子移動度の観点から8質量部以上がより好ましい。一方、下引き層の膜強度性の観点から、ベンザルマロノニトリル化合物を通常100質量部以下の比率で使用する。中でも、ベンザルマロノニトリル化合物とバインダー樹脂と
の相溶性の観点から80質量部以下が好ましく、耐リークの観点から50質量部以下がより好ましく、メモリーの観点から30質量部以下がさらに好ましい。
〔バインダー樹脂〕
下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂などの公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等のポリアミド樹脂は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
熱硬化型樹脂としては、アルキッド/メラミン樹脂の混合物が最も良好に使用される。この際、アルキッド/メラミン樹脂の混合比は、下引層の構造及び特性を決定する重要な因子である。両者の比( 質量比) が5/5乃至8/2の範囲が良好な混合比の範囲として挙げられる。5/5よりもメラミン樹脂が少ない場合、熱硬化の際に体積収縮が大きくならず塗膜欠陥を生じにくく、感光体の残留電位を低減するため好ましい。また、8/2よりもアルキッド樹脂が少ない場合、バルク抵抗が低すぎず、地汚れが良好になるため好ましい。
バインダー樹脂の数平均分子量は、塗布性の観点から通常5000以上、好ましくは6000以上、より好ましくは8000以上である。ベンザルマロノニトリル化合物との相溶性の観点から、通常200000以下、好ましくは100000以下、残留電位の観点からより好ましくは70000以下である。
<感光層>
本発明の感光体は、導電性支持体上に感光層を有する。本発明の感光体には、電荷発生層(電荷発生材料を含む層)と電荷輸送層(電荷輸送材料を含む層)を含む積層型の感光層を有する積層型感光体、あるいは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一の感光層中に含む単層型感光体がある。
<積層型感光層>
〔電荷発生層〕
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料;などの各種光導電材料が使用できる。特に有機顔料が好ましく、更にはフタロシアニン顔料及びアゾ顔料が特に好ましい。なお、電荷発生物質は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
中でも電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、その具体例としては、
無金属フタロシアニン;銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコーン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類;などが使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などが挙げられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit. Kristallogr.159(1982)173)、A型はβ型とも呼ばれ、安定型として知られているものである。D型はY型とも呼ばれる準安定型で、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理、磨砕処理、溶剤処理等が知られている。
これらの電荷発生物質は、通常、その微粒子を例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルプロピオナール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。なお、この際バインダー樹脂として本発明に係るポリエステル樹脂を使用してもよい。また、バインダー樹脂は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
電荷発生層における電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、通常500質量部以下、好ましくは300質量部以下である。
また、電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上であり、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下である。
〔電荷輸送層〕
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては、公知の他の電荷輸送物質を用いることができ、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0006264084
Figure 0006264084
バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から特に好ましい。ポリアリレート樹脂を含有する感光層と本願の下引き層を組み合わせて用いることで機械物性を良好にしつつ電気特性も改善できる。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0006264084
感光層に用いられるバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは50,000以上である。また、その上限は、好ましくは150,00
0以下、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光体の機械的強度が不足する可能性があり、大き過ぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から70質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定
性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には40μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは35μm以下が特に好適に用いられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減したりする目的で、保護層を設けてもよい。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
[カートリッジ、画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。
図1において、1はドラム状感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段2により、その表面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部3において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。
形成された静電潜像は、次に現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により給紙部から給送された転写体(紙など)Pに順次転写されていく。図1では、現像手段4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像手段4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
像転写された転写体はついで定着手段7に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。定着手段7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71、72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段6により転写残りのトナーが除去され、除電手段により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するにあたって、帯電器としては、コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。直接帯電手段として、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。
トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写行程はコロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明に係る電子写真感光体を用いたカートリッジは、上記感光体1と、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6からなる群のうち少なくとも一の部分とを備えていればよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
また、本発明に係る電子写真感光体、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6を備える画像形成装置に適用することも可能である。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<本実施例・比較例で使用するマロノニトリル化合物>
Figure 0006264084
<下引き層用分散液の調製>
(調液例1)
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中
でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、および、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットと該ポリアミド樹脂の10%質量比に相当するベンザルマロノニトリル化合物(A-1)とを加
熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
(調液例2)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-2)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(調液例3)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-3)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(調液例4)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-4)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(調液例5)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-5)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(調液例6)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-6)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(調液例7)
調液例1で、疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
(比較調液例1)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)を使用しなかった以外は、調液例
1と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
(比較調液例2)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-7)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(比較調液例3)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、ベンザルマロノニト
リル化合物(A-8)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調
製した。
(比較調液例4)
調液例1で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)の代わりに、マロノニトリル化合
物(A-9)を使用した以外は、調液例1と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
(比較調液例5)
調液例9で、ベンザルマロノニトリル化合物(A-1)を使用しなかった以外は、調液例
9と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
(比較調液例6)
比較調液例2で、疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した以外は、比較調液例2と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
(比較調液例7)
比較調液例4で、疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した以外は、比較調液例4と同じようにして下引き層用分散液を調製した。
Figure 0006264084
<感光体シート作成方法>
[実施例1]
調液例1で得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイヤーバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、特開2007-148387号公報の比較合成例1と同様の方法で機械的処理によりアモル
ファス化した後に溶媒に接触させ得られた、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し(D型)、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液1
00質量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
この電荷発生層形成用塗布液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として下記構造式で示されるCTM-1を40質量部、酸化防止剤とし
て下記式で示される酸化防止剤(1)を8質量部、バインダー樹脂として下記繰り返し構造からなるポリアリレート樹脂(PAR-A、粘度平均分子量70,000)100質量部、
およびレベリング剤としてシリコーンオイル0.1質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006264084
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[実施例2〜5]
実施例1で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、調液例2〜5の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプ
ルを作製した。
[実施例6]
実施例1で使用した電荷輸送物質CTM-1の代わりに、特開2002−80432号公報
中の実施例1に示された、下記構造式CTM-2で表わされる構造を主成分とする、幾何異性
体の化合物群からなる混合物を50質量部使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作成した。
Figure 0006264084
[実施例7〜9]
実施例6で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、調液例2〜4の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例6と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[実施例10]
実施例1で使用した電荷輸送物質CTM-1の代わりに、下記構造式CTM-3で表わされる化合物を40質量部、ポリアリレート樹脂(PAR-A)の代わりに、下記構造式で表されるポリカ
ーボネート樹脂(PCR-B)を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シー
トサンプルを作成した。
Figure 0006264084
[実施例11]
実施例10で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、調液例5の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[実施例12]
実施例10で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、調液例6の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例1]
実施例1で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例1の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例2]
実施例1で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例2の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例3]
実施例6で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例1の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例6と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例4]
実施例6で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例2の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例6と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例5]
実施例10で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例1の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例6]
実施例10で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例2の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例7]
実施例10で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例3の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例10と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
Figure 0006264084
[実施例13]
実施例1で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、調液例7の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[実施例14]
実施例13で使用した電荷輸送物質CTM-1の代わりに、前記構造式CTM-3で表わされる化合物を40質量部、ポリアリレート樹脂(PAR-A)の代わりに、下記構造式で表されるポ
リカーボネート樹脂(PCR-C)を使用した以外は実施例13と同様にして、電子写真感光
体シートサンプルを作成した。
Figure 0006264084
[比較例8]
実施例1で使用した調液例1の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例5の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
[比較例9]
実施例14で使用した調液例7の下引き層形成用塗布液の代わりに、比較調液例5の下引き層形成用塗布液を使用した以外は実施例14と同様にして、電子写真感光体シートサンプルを作製した。
Figure 0006264084
上記表−3と表−4の結果から分かるように、本発明の範囲内のベンザルマロノニトリル化合物を下引き層に含有することにより、何も加えない、または本発明の範囲外の化合物に比べて表面電位VLの低減効果がある。下引き層に本実施形態の構成を用いることで、電荷発生層から下引き層への電子の移動が速やかになり内部の残留電荷が低下し、表面電位VLの低減効果につながったと考えられる。

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に下引き層及び感光層を有する電子写真感光体であって、前記下引き層が、下記一般式(1)に示すベンザルマロノニトリル化合物と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006264084
    (一般式(1)中、Xはシアノ基,アルコキシ基,ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、-OSOAr、又は-OCOArを表す。Ar及びArは、シアノ基,アルキル基,ヒドロキシル基、ハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)中、Xが-OSOArである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)中、Xがシアノ基,アルコキシ基,ヒドロキシル基、ニトロ基又はハロゲン原子である請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 下引き層が、金属酸化物粒子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記金属酸化物粒子が酸化チタン又は酸化アルミニウムである請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層がポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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