JP6287362B2 - 感光層形成用塗布液の製造方法、該塗布液を用いて製造した電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents
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Description
上が要求される中で、従来の技術では画像の点や、電気特性の安定化、塗布液の生産性といった種々の点で未だ不十分な点が多かった。
(1)導電性支持体上にフタロシアニン組成物を含有する感光層を有する電子写真感光
体の感光層形成用塗布液の製造方法であって、該フタロシアニン組成物が、CuKα特性
による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10
.5°、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示すオキシチタ
ニウムフタロシアニン組成物、またはブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3
°、22.5°、24.2°、25.4°および28.6°に主たる回折ピークを示すオ
キシチタニウムフタロシアニン組成物であり、該フタロシアニン組成物の平均粒径が10
μm以下になるまで磨砕前の結晶型を維持させたまま乾式で磨砕処理後、湿式分散するこ
とを特徴とする、感光層形成用塗布液の製造方法。(請求項1)
(2)前記乾式の磨砕処理として、前記フタロシアニン組成物に分散メディアを加えて
ペイントシェーカーを用いて処理することを特徴とする、(1)に記載の感光層形成用塗
布液の製造方法。(請求項2)
(3)前記乾式で磨砕処理後、前記フタロシアニン組成物と分散メディアを分離するこ
となく溶媒を添加して湿式分散することを特徴とする、(2)に記載の感光層形成用塗布
液の製造方法。(請求項3)
本発明は、電子写真感光体の感光層形成用塗布液の製造方法、該塗布液を塗布、形成してなる感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いる画像形成装置、および該電子写真感光体を用いた電子写真カートリッジに係るものである。本発明に係る電子写
真感光体は、導電性支持体上にフタロシアニン組成物を含有する感光層を有するものである。
以下、本発明の感光層形成用塗布液について詳述する。
<電荷発生物質>
本発明に係る電荷発生物質としては、フタロシアニン組成物が用いられ、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン組成物、またはブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°および28.6°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン組成物が用いられる。本発明は上記の結晶型を持つオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた場合にのみ、乾式の磨砕処理をあらかじめ行うことにより、電気特性の感度と暗減衰が向上するという効果が見られるものである。
また、フタロシアニン組成物は本発明に係る前述した1種を単独、あるいは2種類を混合して用いてもよい。また、主成分が本発明に係る前述のフタロシアニン組成物であれば、それとは異なる公知の顔料を混合して2種類以上の顔料を用いてもよい。主成分とは使用する電荷発生物質の総量に対し、50質量%以上の含量である成分を指す。このとき混合する電荷発生物質としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられ、これらの中でも、光感度の面から、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が
好ましい。電荷発生物質としてこれらの顔料を使用する場合、通常はこれらの顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
本発明では前述のフタロシアニン組成物を乾式で磨砕処理する。乾式とは液体を使用せず、固体のみの状態であることを指す。分散メディアを用いての磨砕処理は種々の装置で行うことができるが、通常はペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインドミル等を用いて行い、好ましくはペイントシェーカー、ボールミルであり、特に好ましくはペイントシェーカーである。磨砕に使用するメディアの材質としてはメディア自体が粉体化することがなければどのようなものでもかまわないが、乾式磨砕後、メディアを分離することなく連続して湿式分散を行う場合には、感光層形成用塗布液に不溶で反応せず、かつ変質させない材質のものを使用する必要がある。通常はガラス、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、セラミックス等のビーズやボール等を用い、中でもガラス、ジルコニア、セラミックスのビーズやボールが好ましく、さらにはガラスビーズがより好ましい。
て湿式分散を行う場合には、湿式分散を行う装置も考慮してメディアの密度、粒子径を選ぶ必要がある。
本発明の感光層形成用塗布液に用いる有機溶媒としては、バインダー樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のエーテルケトン溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。後述の下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、または2種以上を併用しても用いることが可能である。
本発明に係る電子写真感光体の感光層形成用塗布液に用いられるバインダー樹脂としては、感光層形成用塗布液に用いられる有機溶媒に可溶であれば、特に限定されるものではない。バインダー樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これらのバインダー樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記フタロシアニン組成物を乾式で磨砕処理後、湿式分散することにより感光層形成用塗布液を製造する。感光層形成用塗布液は、前述の乾式分散で磨砕処理したフタロシアニン組成物を含有するものであり、該フタロシアニン組成物は塗布液中に分散されて存在する。該塗布液中に該フタロシアニン組成物を分散させるためには、サンドグラインドミル、ボールミル、ロールミル、アトライター、ペイントシェーカー、超音波発振装置等の公知の機械的な粉砕装置を用いて前述の有機溶媒中で湿式分散することにより製造することができる。湿式分散とは液体を使用した分散である。分散性の観点から、好ましくはサンドグラインドミル、ペイントシェーカー、超音波発振装置である。該フタロシアニン組成物の分散の際に、前述の他の電荷発生物質、後述の電荷輸送物質、前述のバインダー樹脂、添加剤等の他の原料を同時に入れて分散してもよいし、これらを別に分散、あるいは溶解しておき、後から該フタロシアニン組成物の分散液と混合して感光層形成用塗布液を調製してもよい。
ての凝集をほぐすことで、粒子界面に有機溶剤などの液体が浸透して濡れ、分散剤や樹脂によって再び凝集しないように安定化させることである。分散が進行すると、顔料の凝集体の大きさが徐々に小さくなっていき、顔料粒子個数は増大しながらも最終的にはほぼ最小単位の粒子径までほぐれていく。この凝集体の粒子径の減少によって、光は顔料粒子表面での反射の割合が減少し、透過の割合が増加することになる。つまり、このように分散度の変化によって、粒子個数の変化に伴う光吸収確率の変化、さらに顔料凝集粒子径の変化による光透過度の変化、顔料表面での光散乱度の変化が生じ、この変化は、吸収の少ない領域では顕著に現れることになる。そこで、最大吸収波長域との強度比を比べることで、同種の顔料の場合、分散状態の相対的な比較ができる。塗布液の分散指標値は、塗布性の観点から、通常4.0%以上、好ましくは5.0%以上、また、分散性の観点から通常
25.0%以下、好ましくは20.0%以下である。
前述のように製造された塗布液を用いて、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥することにより感光層を形成する。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。中でも浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法が好ましく、特に浸漬コーティング法が好ましい。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行ってもよい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、ブロッキング層として下引き層を設けることが好ましい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。これらは単独として用いてもよいし、またはいくつかの樹脂、金属酸化物等の粒子を同時に用いてもよい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂などの公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.25μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.75μm以上である。また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。また、下引き層は、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
感光層は導電性支持体上、前述の下引き層等のブロッキング層を有する場合は、その上に形成される。感光層の形式としては、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層、及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)で、その中でも、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける「順積層型感光層」が多く採用される。「順積層型感光層」はバランスの取れた光導電性を発揮することができる。また、他にも採用される感光層の形式として、電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を単一の層に含むような「単層型感光層」が挙げられる。
〈バインダー樹脂〉
電荷輸送層には、膜強度確保のためバインダー樹脂が使用される。電荷輸送層は電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。これら樹脂は珪素試薬などで修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、またはポリアリレート樹脂が特に好ましい。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素
環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、およびこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、およびこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
電荷輸送物質の好適な具体例を以下に示す。下記の化合物において、Rは同一でも、それぞれ異なっていてもよい置換基を表す。具体的には、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アリールアルキル等が好ましい。特に好ましくは、メチル基、エチル基、メトキシ基又はベンジル基である。また、nは0以上2以下の整数である。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して10質量部以上、残留電位低減の観点から30質量部以上が好ましく、さらに繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、35質量部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150質量部以下、さらに電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120質量部以下、さらに耐刷性の観点からは100質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80質量部以下がとりわけ好ましい。
。
なお、積層型を構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などを含有させてもよい。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。またレベリング剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
順積層型感光体では、その最表層に、感光層の損耗を防止し、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
前述した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、ワイヤーバー塗布、ローラー塗布、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
例えば電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常2000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4を備えて構成され、さらに必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6および定着装置7が設けられる。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので電子写真感光体1の表面を所定電位に均一に帯電する。図1ではローラー型の帯電装置(帯電ローラー)を記載しているが、これ以外にも帯電ブラシや、コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電装置がよく用いられる。電圧印加された直接帯電部材を感光体の表面に接触させて帯電させる直接帯電手段の例として、帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器が挙げられる。直接帯電手段としては、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
定着装置7は、その種類に特に制限はなく、熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着等、任意の方式を用いた装置が使用できる。これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。図1では一例として、上部定着部材(加圧ローラー)71および下部定着部材(定着ローラー)72を示した。これらの内部には加熱装置73が備えられている。記録紙P上に転写されたトナーが、所定温度に過熱された上部定着部材71と下部定着部材72の間を通過する際、トナーが溶融状態まで過熱され、通過後冷却されて記録紙上にトナーが定着される。
また、画像形成装置はこれらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
段6のうち、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
<感光体シートの作成方法>
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)を、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシランにより処理した表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
次に、電荷発生層形成用塗布液は以下のように調製した。特許第4941345号公報の実施例1と同様の方法で製造したオキシチタニウムフタロシアニン組成物は、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示した。この粉末X線回折スペクトルを図2に示す。このオキシチタニウムフタロシアニン組成物15質量部を、中心粒径(80%以上が含まれる粒径)が1.0mm〜1.4mmのガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製 GB502M)155質量部と共にペイントシェーカーにて2時間振とうして乾式磨砕を行った。この後さらにガラスビーズ390質量
部を追加して1,2−ジメトキシエタン210質量部を加え、サンドグラインドミルにて0.5時間湿式分散を行なって顔料分散液を作製した。このようにして得られた225質量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液150質量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて、最終的に固形分濃度4.0質量%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。このようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、前述の下引き層上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥して、乾燥後の膜厚が0.4μm(0.40g/m2)の電荷発生層を形成した。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物15質量部に1,2−ジメトキシエタン210質量部と、中心粒径が0.60mm〜0.85mmのガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製 GB200M)580質量部を加え、サンドグラインドミルで3時間分散して顔料分散液を得た。その他は実施例1と同様にして、電子写真感光体1Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特許第4941345号公報の実施例1と同様の方法ではあるが、N−メチル−2−ピロリドンの140〜150℃の加熱撹拌を3回繰り返し、熱水懸洗とメタノール懸洗を2回繰り返して製造した、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示す、オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体2Aを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
比較例1で用いたオキシフタロシアニン組成物の代わりに、実施例2で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体2Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特許第4941345号公報の実施例1と同様の方法ではあるが、反応後の生成物を130℃で熱濾過した後、N−メチル−2−ピロリドンとメタノールで洗浄して、N−メチル−2−ピロリドンの140〜150℃の加熱撹拌を3回繰り返し、熱水懸洗とメタノール懸洗を2回繰り返して製造した、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示す、オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体3Aを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに実施例3で用いたオキシチタニウムフタロシアニンを用いて、ペイントシェーカーでの乾式磨砕時間を2時間から30分に代えて、サンドグラインドミルでの湿式分散を0.5時間から2時間に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体4Aを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに実施例3で用いたオキシチタニウムフタロシアニンを用いて、ペイントシェーカーでの乾式磨砕時間を2時間から2分に代えて、サンドグラインドミルでの湿式分散を0.5時間から4時間に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体3Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
比較例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、実施例3で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体4Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特公平5−31137号公報の製造例1と同様の方法で製造した、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°、13.2°、1
5.1°および26.2°に主たる回折ピークを示す、オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体5Aを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
比較例1で用いたオキシフタロシアニン組成物の代わりに、実施例5で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いて、サンドグラインドミルの分散時間を4時間に変えた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体5Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図3と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特許4887716号公報の製造例1に記載の方法で製造したB型オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。このB型オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°および28.6°に主たる回折ピークを示す、オキシチタニウムフタロシアニン組成物であり、この粉末X線回折スペクトルを図4に示す。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体6Aを作製した。
また、実施例1と同様の方法で電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、22.5°、24.2°、25.4°および28.6°に主たる回折ピークを示し、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。この薄膜X線回折スペクトルを図5に示す。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに実施例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニンを用いて、ペイントシェーカーでの乾式磨砕時間を2時間から30分に代えて、サンドグラインドミルでの湿式分散を0.5時間から2時間に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体7Aを作製した。
[比較例6]
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに実施例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニンを用いて、ペイントシェーカーでの乾式磨砕時間を2時間から2分に代えて、サンドグラインドミルでの湿式分散を0.5時間から4時間に代えた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体6Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図5と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
比較例1で用いたオキシフタロシアニン組成物の代わりに、実施例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いて、サンドグラインドミルの分散時間を4時間に変えた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体7Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測
定したところ、図5と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特許4887716号公報の製造例1に記載の方法で製造したD型(別称Y型)オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。このD型オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に強い回折ピークを示す。この粉末X線スペクトルを図6に示す。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体8Bを作製した。
比較例1で用いたオキシフタロシアニン組成物の代わりに、比較例6で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いて、サンドグラインドミルの分散時間を1時間に変えた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体9Bを作製した。
また、実施例1と同様の方法で電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる回折ピークを示し、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。この薄膜X線回折スペクトルを図8に示す。
実施例1で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物の代わりに、特許4887716号公報の比較製造例1に記載の方法で製造したD型(別称Y型)オキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いた。このD型オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に強い回折ピークを示す。それ以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体10Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図7と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していなかった。
比較例1で用いたオキシフタロシアニン組成物の代わりに、比較例10で用いたオキシチタニウムフタロシアニン組成物を用いて、サンドグラインドミルの分散時間を1時間に変えた以外は、比較例1と同様にして、電子写真感光体11Bを作製した。
また、実施例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液の薄膜X線回折スペクトルを測定したところ、図8と同様のスペクトルが得られ、使用した電荷発生物質の結晶型を維持していた。
上記感光体1A〜7Aおよび1B〜11Bを作製する際に用いた電荷発生層形成用塗布液の分散指標値と粒度分布を測定した。
分散指標値の測定および算出方法についてだが、紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−1650PC)を用い、電荷発生層形成用塗布液を検出器の測定限界を超えない程度に1,2−ジメトキシシエタンで希釈して、10mmの石英セルを用いて400nmか
ら1000nmまでの吸光度を測定し、最大吸光度に対する1000nmの吸光度の割合を分散指標値として算出した。この値を比べることにより塗布液の分散状態の相対的な比較ができる。
粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%とな
る点の粒子径を累積10%粒子径とし、累積カーブが50%となる点の粒子径を累積50%粒子径(平均粒径)とし、累積カーブが90%となる点の粒子径を累積90%粒子径とした。電荷発生層形成用塗布液の液性の測定結果を表−1に示す。
の時間、ビーズ量等を調整することにより、分散状態に問題がない分散指標値と粒子径が同程度の液性を持つ電荷発生層形成用塗布液を調製することができたといえる。液性がほぼ同じであることから、液性由来の電気特性差を考慮する必要がなくなり、電気特性を直接比較することができる。
前記、実施例3、5および6に記載したオキシチタニウムフタロシアニン組成物について、乾式磨砕を終了した時点でオキシチタニウムフタロシアニン組成物を取り出して、その粒子径を粒度分布計(日機装社製、商品名:ナノトラックUPA−EX150)を用いて25℃で測定した。サンプルの作製方法は、オキシチタニウムフタロシアニン0.5gに1,2−ジメトキシエタン11.0gとポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の7質量%1,2−ジメトキシエタン溶液2.0gを加え、ハンドシェイクして分散液を得た。この分散液を検出器の測定限界を超えない程度に1,2−ジメトキシエタンで希釈して測定に用いた。粒度分布の測定結果を表−2に示す。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体1A〜9Aおよび1B〜9Bをアルミニウム製ドラムに貼り付け、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
140Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を1/5感度(E1/5)(μJ/cm2)として測定した。感度は値が小さいほど電気特性が良好であることを示す
。また、−700Vに帯電した5秒後の表面電位を測定し、その保持率を暗減衰(DDR)(%)とした。暗減衰は大きいほうが電荷保持能が高く良好であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行った。電気特性の評価結果を表−4に示す。
。乾式磨砕処理時間が短く平均粒径が10μmより大きい場合には乾式磨砕の効果は見られず、湿式分散のみの場合よりも電気特性が悪化する。すなわち粒径が大きく10μm以上の場合には最初からバインダー、溶媒と分散したほうがなじみやすくなり電荷発生と注入に有利となる。したがってオキシチタニウムフタロシアニン組成物を10μm以下の粒径まで乾式で磨砕処理することが、感度、暗減衰を良化させるためには重要である。
オキシチタニウムフタロシアニン組成物はその結晶型や製造方法、環境等により溶媒中での結晶安定性が異なる。湿式分散時に使用した1,2−ジメトキシエタン溶媒を用いて、オキシチタニウムフタロシアニン組成物の結晶安定性を試験した。試験方法としてはオキシチタニウムフタロシアニン組成物0.3gと1,2−ジメトキシエタン5.7gを氷冷下超音波洗浄器(アズワン社製 US−1R 出力55W 発振周波数40kHz)で2時間分散した後、遮光、密閉しておよそ25℃の環境下で一定期間放置した。放置後オキシチタニウムフタロシアニン組成物を濾取、乾燥して、粉末X線回折スペクトルを測定した。結果を表−5に示す。元の結晶型を維持している場合は○、他の結晶型が一部混入している場合は△、完全に結晶型転移を起こしている場合を×で表記した。
前記表−4に記載したD型オキシチタニウムフタロシアニン組成物を使用した感光体8B、9B、10B、11Bの感度と暗減衰の結果は、塗布液製造直後に感光体を作製、評価した結果であり、時間が経過するとA型転移が進行し感度低下が起こるおそれがある。オキシチタニウムフタロシアニン組成物の製造方法、保管状況、液状態等によりA型転移する時間は1週間、1か月、半年と様々であるが、いずれにせよ経時により感度が変動して感光体の特性がふれてしまうおそれがあるため、その対策が必要となる場合がある。それに対しA型、B型のオキシチタニウムフタロシアニン組成物を使用した場合は結晶型転
移がないため感度低下を起こさず、塗布液、感光体とも安定した性能を保つことができ、製造面で優位であるといえる。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラー
44 現像ローラー
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラー)
72 下部定着部材(定着ローラー)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (3)
- 導電性支持体上にフタロシアニン組成物を含有する感光層を有する電子写真感光体の感
光層形成用塗布液の製造方法であって、該フタロシアニン組成物が、CuKα特性による
粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、10.5°
、13.2°、15.1°および26.2°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウム
フタロシアニン組成物、またはブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、10.3°、2
2.5°、24.2°、25.4°および28.6°に主たる回折ピークを示すオキシチ
タニウムフタロシアニン組成物であり、該フタロシアニン組成物の平均粒径が10μm以
下になるまで磨砕前の結晶型を維持させたまま乾式で磨砕処理後、湿式分散することを特
徴とする、感光層形成用塗布液の製造方法。 - 前記乾式の磨砕処理として、前記フタロシアニン組成物に分散メディアを加えてペイン
トシェーカーを用いて処理することを特徴とする、請求項1に記載の感光層形成用塗布液
の製造方法。 - 前記乾式で磨砕処理後、前記フタロシアニン組成物と分散メディアを分離することなく
溶媒を添加して湿式分散することを特徴とする、請求項2に記載の感光層形成用塗布液の
製造方法。
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